(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693534
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】冷却タンクの冷却構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 1/06 20060101AFI20150312BHJP
B21D 53/02 20060101ALI20150312BHJP
F25D 11/00 20060101ALN20150312BHJP
B67D 1/08 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
F28D1/06 B
B21D53/02 Z
!F25D11/00 102C
!B67D1/08 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-179684(P2012-179684)
(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-37908(P2014-37908A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2012年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】512212003
【氏名又は名称】ゲン ロン フー
【氏名又は名称原語表記】GEN LONG HU
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲン ロン フー
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−185538(JP,A)
【文献】
特開2011−232012(JP,A)
【文献】
特開2012−078022(JP,A)
【文献】
特開昭55−150487(JP,A)
【文献】
特表平07−503662(JP,A)
【文献】
特開平05−141881(JP,A)
【文献】
実開昭61−141567(JP,U)
【文献】
実開昭61−141568(JP,U)
【文献】
国際公開第2011/016443(WO,A1)
【文献】
特開平08−005270(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0274499(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/032084(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/06
B21D 53/02
B67D 1/08
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口し、底板に内部と連通する吐出管を設けた金属材料により構成された有底筒状の冷却タンク本体の外壁冷却領域に、予め冷却タンク本体と少なくとも同じ金属材料で一体的に構成された筒状ジャケットを被せるように挿入して水密的に被覆し、このように組付けた冷却タンク本体を成形ドラムに挿入して支持した状態で、筒状ジャケットの上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って加圧ロールを使用したロール加圧加工方法を使用してスパイラル状に移動しつつ接合しながら所定のピッチで冷却タンクの外壁面と筒状ジャケットとの間に所定の断面形状を有するスパイラル状の冷媒通路を一体的に形成し、この冷媒通路の一方に連結屈曲パイプを連結する冷媒の流入口を設け、他方にリターンパイプを設けた冷媒の流出口を設けることを特徴とする冷却タンクの製造方法。
【請求項2】
前記冷媒通路の一方から圧縮冷媒を順次送り込み他方から流出させて冷却タンク本体内の液体を一定温度以下に冷却する請求項1に記載の冷却タンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、飲料水供給装置(ウォ−ターサ−バー等と一般的に呼称されている)等で実施される冷却タンクの冷却構造及びその製造方法に係わり、更に詳しくは省エネ、高機能、経済的な圧縮機型冷却手段を備えた斬新な冷却タンク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水供給装置(ウォ−ターサ−バー等と一般的に呼称されている)等で実施される冷却タンクの冷却構造としては、例えば、上部が開口し、底板に内部と連通する吐出管(吐出口)を設けたステンレス等の金属材料により構成された有底円筒状の冷却タンク本体の外壁冷却領域に、フロンガス等の冷媒を流通させる所定の径の銅管(銅管蒸発器)をスパイラル状に巻付けて構成し、この銅管内に所定容量の冷媒を流通させることで、冷却タンクに収容した飲料水等の流体を所定温度(例えば、4°C〜8°Cの範囲)に冷却し、何時でも冷却タンクに設けた吐出管(吐出口)から冷水を注出させることが出来るように構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
ところで、このような従来の冷却タンクの冷却構造は、上述したようにステンレス製の冷却タンク本体の外壁冷却領域に、冷媒を流通させる所定の径の銅管(銅管蒸発器)をスパイラル状に巻付けて冷却させる構造であったため、銅管外壁と冷却タンク本体の外壁との間での接触軌跡が一本の螺旋状線接触状態となっており、接触面積(線接触)が狭い上に、冷媒が銅管を介して冷却タンク本体の外壁を間接的に冷却することから冷却タンク本体の冷水収容容量にもよるが一定温度に冷却させる冷却時間が長くかかり、冷却効率が極めて悪いと言う問題があった。
【0004】
また、冷却手段として用いる熱伝導性の良い銅管の銅金属材料は、現在の金属資源単価も高く、原料コストが嵩む上に、貴金属にとっても不要な無駄を招くことから、近年の省エネ、省資源の方針にそぐわないと言う問題があった。
【0005】
そこで、従来から経済的で、高効率、信頼性が高く、冷却タンク本体を直接冷却することができる飲料水等の冷却水の冷却タンクの構造及びその製造方法が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−327603号公報
【特許文献2】特開2007−210667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明はかかる従来の課題に着目し、経済的で、冷却効率が高い上に信頼性も高く、冷却タンク本体を直接冷却することができ、更に製造も容易な飲料水等の冷却水の冷却タンクの冷却構造及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記目的を達成するため、上部が開口し、底板に内部と連通する吐出管を設けた金属製材料により構成された有底筒状の冷却タンク本体と、冷却タンクの外壁冷却領域に被嵌し、冷却タンク内の流体を所定温度に冷却する冷却手段を設けた冷却タンクの冷却構造であって、前記冷却手段は、冷却タンク本体と少なくとも同じ金属材料で構成された筒状ジャケットを水密的に被嵌するとと共に、筒状ジャケットの上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って接合加工手段により接合しながら所定のピッチで冷却タンクの外壁面と筒状ジャケットとの間に所定の断面形状を有するスパイラル状の冷媒通路を一体的に形成し、この冷媒通路の一方に冷媒の流入口を設け、他方に冷媒の流出口を設けたことを要旨とするものである。
【0009】
ここで、前記冷却タンク及び筒状ジャケットが、0.1〜1mmの熱伝導が良く、防錆効果の高い金属製薄板で成形し、前記冷却手段のスパイラル状の冷媒通路は、冷却タンクの長手方向に沿って2〜10mmピッチで形成するものである。
【0010】
また、前記冷却タンク本体と筒状ジャケットとの接合加工手段が、加圧ロールを使用したロール加圧加工方法、締まり嵌め結合または滑り嵌め結合、溶接接合方法から選ばれた一つを使用して加工するものである。
【0011】
前記冷却手段は、冷媒通路の一方に設けた冷媒の流入口に連結屈曲パイプを連結すると共に、冷媒通路の他方に設けた冷媒の流出口にリターンパイプを設け、前記連結屈曲パイプの下端側からキャピラリチューブを挿入して構成する。
【0012】
また、この発明の冷却タンクの冷却構造の製造方法は、上部が開口し、底板に内部と連通する吐出管を設けた金属製材料により構成された有底筒状の冷却タンク本体の外壁冷却領域に、予め冷却タンク本体と少なくとも同じ金属材料で構成された筒状ジャケットを水密的に被嵌し、このように組付けた冷却タンク本体を成形ドラムに挿入して支持した状態で、筒状ジャケットの上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って加圧ロールを使用したロール加圧加工方法、締まり嵌め結合または滑り嵌め結合、溶接接合方法から選ばれた一つの接合加工手段を使用して接合しながら所定のピッチで冷却タンクの外壁面と筒状ジャケットとの間に所定の断面形状を有するスパイラル状の冷媒通路を一体的に形成し、この冷媒通路の一方に連結屈曲パイプを連結する冷媒の流入口を設け、他方にリターンパイプを設けた冷媒の流出口を設けることを要旨とするものである。
【0013】
ここで、前記冷媒通路の一方から圧縮冷媒を順次送りこみ他方から流出させて冷却タンク本体内の液体を一定温度以下に冷却するものである。
【0014】
このように、コンベヤベルトの端末部における成型加工を予めコンベヤベルト製造工場等で行うことで、コンベヤベルトの接合作業現場における加工時間や接合作業時間の短縮化を図ることが出来るものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、上記のように上部が開口し、底板に内部と連通する吐出管を設けた金属製材料により構成された有底筒状の冷却タンク本体と、冷却タンクの外壁冷却領域に被嵌し、冷却タンク内の流体を所定温度に冷却する冷却手段を設けた冷却タンクの冷却構造であって、前記冷却手段は、冷却タンク本体と少なくとも同じ金属材料で構成された筒状ジャケットを水密的に被嵌するとと共に、筒状ジャケットの上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って接合加工手段により接合しながら所定のピッチで冷却タンクの外壁面と筒状ジャケットとの間に所定の断面形状を有するスパイラル状の冷媒通路を一体的に形成し、この冷媒通路の一方に冷媒の流入口を設け、他方に冷媒の流出口を設けたので以下のような優れた効果を奏するものである。
(a).従来の冷却水の冷水タンクに較べて消費電力を約25%節約することが出来る等極めて経済的であり、また冷却効率が高い上に信頼性も高いものとすることが出来る。
(b).冷却タンク本体を直接冷却することができるので極めて効率的である。
(c).部品点数も少なく高価な金属族材料を使用せずに簡易に製造することが出来るので、従来の冷却水の冷水タンクに較べて安価に製作でき、従来の冷却タンクの冷却構造よりもコストダウンを図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明を実施した冷却タンクの全体を示す外観斜視図である。
【
図2】この発明を実施した冷却タンクの背面側拡大斜視図である。
【
図5】この発明の冷却タンクの組付け前の冷却タンクと筒状ジャケットの斜視図である。
【
図7】この発明の冷却タンクの製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、この発明を実施した冷却タンクの全体を示す外観斜視図、
図2はこの発明を実施した冷却タンクの背面側拡大斜視図、
図3は
図2の平面斜視図、
図4は
図2のA−A矢視半断面図を示し、この冷却タンクは、
図1〜
図4に示すように、上部1aが開口し、底板1bに内部と連通する吐出管2を設けたステンレス板等の金属製材料により構成された有底筒状の冷却タンク本体1Aと、冷却タンク1Aの外壁冷却領域1xに被嵌し、冷却タンク1A内の飲料水等の流体を所定温度に冷却する冷却手段3を設けた冷却構造になっている。
【0019】
前記冷却手段3は、冷却タンク本体1Aと少なくとも同じステンレス板等の金属材料で構成された筒状ジャケット4を水密的に被嵌するとと共に、筒状ジャケット4の上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って溶接等の接合加工手段により接合しながら所定のピッチPで冷却タンク1Aの外壁面と筒状ジャケット4との間に所定の断面形状(この実施形態では半円弧状であるが、この形状には限定されない)を有するスパイラル状の冷媒通路5を一体的に形成してある。
【0020】
そして、この冷媒通路5の一方にフロンガス等の冷媒の流入口6を設け、他方に冷媒の流出口7が設けてある。前記冷却タンク1A及び筒状ジャケット4は、0.1〜1mmの熱伝導が良く、防錆効果の高いステンレス板等の金属製薄板で成形してあり、また前記冷却手段3のスパイラル状の冷媒通路5は、冷却タンク1Aの長手方向に沿って2〜10mmピッチで形成してある。
【0021】
前記冷却タンク1A及び筒状ジャケット4の金属製薄板は、余り薄いと強度的な問題があり、また厚すぎると、加工や熱効率の点で上記の範囲が好ましく、またスパイラル状の冷媒通路5のピッチも冷却タンク本体1A冷却効率から2〜10mmピッチで形成するのが好ましい。
【0022】
前記冷却タンク本体1Aと筒状ジャケット4との接合加工手段は、加圧ロールを使用したロール加圧加工方法、締まり嵌め結合または滑り嵌め結合、溶接接合方法から選ばれた一つを使用して加工し、少なくとも冷媒通路5から冷媒が漏れないように形成することが重要である。
【0023】
前記冷却手段3は、冷媒通路5の一方に設けた冷媒の流入口6に連結屈曲パイプ8を溶接等により連結すると共に、冷媒通路5の他方に設けた冷媒の流出口7にはリターンパイプ9を連結して設け、前記連結屈曲パイプ8の下端側からは、所定の長さのキャピラリチューブ10が挿入してある。
【0024】
次に、この発明の冷却タンク1Aの製造方法を
図4〜
図7を参照しながら具体的に説明する。まず上部1aが開口し、底板1bに内部と連通する吐出管2を設けたステンレス板等の金属製材料により構成された所定径の有底筒状の冷却タンク本体1Aを予め製造しておき、この有底筒状の冷却タンク本体1A外壁冷却領域1xに、冷却タンク本体1Aの一方から予め冷却タンク本体1Aと少なくとも同じ金属材料で構成された筒状ジャケット4を被せるように挿入して水密的に被嵌する。
【0025】
このように組付けた冷却タンク本体1Aを
図7に示すように、製造工程の成形ドラム11に挿入して肩持ち状態で支持した状態で、筒状ジャケット4の上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って加圧ロール12を使用したロール加圧加工方法(または締まり嵌め結合または滑り嵌め結合、溶接接合方法から選ばれた一つ)の接合加工手段を使用して、前記冷却タンク本体1Aを一定方向に所定の速度で回転させながら、かつ接合加工手段の加圧ロール12を冷却タンク本体1Aの軸方向に加圧しながら一定のスピードで移動させると共に溶接させると、冷却タンク本体1Aの外壁面と筒状ジャケット4との間には所定の断面形状(半円弧状)を有するスパイラル状の冷媒通路5が一体的に形成される。
【0026】
この冷媒通路5の一方に上述した連結屈曲パイプ8を連結する冷媒の流入口6を設け、他方にリターンパイプ9を設けた冷媒の流出口7を設け、更に連結屈曲パイプ8の下端側からは、所定の長さのキャピラリチューブ10が挿入して構成するものである。
【0027】
このようにして製造した冷却タンク本体1A内に所定量の飲料水を収容しておき、前記冷媒通路5の一方からフロンガス等の圧縮冷媒を所定量順次送りこみ、他方から流出させて冷却タンク本体内の液体を一定温度以下に冷却するものである。
【0028】
このように、冷却手段3は、冷却タンク本体1Aと少なくとも同じ金属材料で構成された筒状ジャケット4とを水密的に被嵌するとと共に、筒状ジャケット4の上部または下部の一方の外壁面からの長手方向に沿って接合加工手段により接合しながら所定のピッチで冷却タンク本体1Aの外壁面と筒状ジャケット4との間に所定の断面形状を有するスパイラル状の冷媒通路5を一体的に形成し、この冷媒通路5の一方に冷媒の流入口6を設け、他方に冷媒の流出口7を設けたので、従来の冷却水の冷水タンクに較べて消費電力を約25%節約することが出来る等極めて経済的であり、また冷却効率が高い上に信頼性も高いものとすることが出来る。
【0029】
また、冷却タンク本体1Aを直接冷却することができるので極めて効率的であり、部品点数も少なく高価な金属族材料を使用せずに簡易に製造することが出来るので、従来の冷却水の冷水タンクに較べて安価に製作でき、従来の冷却タンクの冷却構造よりもコストダウンを図ることが出来る。
【符号の説明】
【0030】
1a 上部
1b 底板
1A 冷却タンク本体
1x 外壁冷却領域
2 吐出管
3 冷却手段
4 筒状ジャケット
5 冷媒通路
P ピッチ
6 冷媒の流入口
7 冷媒の流出口
8 連結屈曲パイプ
9 リターンパイプ
10 キャピラリチューブ
11 成形ドラム
12 加圧ロール