【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、配置面上に一方向に並べられ、配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の光源と、一方向に連接された複数の透過型光学素子を備える光学素子モジュールと、を備えた光照射装置であって、光学素子モジュールは、配置面に平行に設けられ、透過型光学素子は、光源からの光が入射する入射面と、入射面に入射した光が出射する出射面と、光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する透過型光学素子に近接して対向する連接面と、を備え、
連接面は、鏡面又は散乱面であり、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通ることを特徴とするものが提供される。
【0008】
この各構成によれば、光軸が光学素子モジュールの隣接する透過型光学素子の境界部(近接して対向する一対の連接面(端面)で挟まれた部分)を通る光源の光が、境界部の連接面による反射を殆ど受けないため、境界部での反射を原因とする照度分布の変動が抑制され、均一性に優れたビームプロファイルが実現する。なお、通常の意味で光源の光軸を明確に定めることが難しい場合においては、例えばビームプロファイルの中心(一般に最も光強度の高い部分)を通る光線をもって光軸としてもよい。また、発光面が広い光源においては、光学素子の発光面と同じ断面を有する有幅の光軸を想定することができる。この場合においては、有幅の光軸の少なくとも一部が境界部を通る構成としてもよい。なお、連接面が「近接して対向する」とは、連接面同士が略全面で密着した状態や、連接面同士が完全に非接触となる状態、連接面同士が部分的に接触した状態を含む。
【0009】
上記の光照射装置において、連接面の対向する各対間、又は、該各対の連接面の少なくとも一部に、いずれかの光源の光軸が配置された構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、連接面による反射を抑制しつつ、多数の透過型光学素子を一方向に連接させて、この一方向において長く均一な強度の照射光を供給することが可能になる。
【0011】
上記の光照射装置において、複数の光源と光学素子モジュールとの間において、複数の光源の光軸上にそれぞれ配置された、少なくとも一方向において正の屈折力を有するレンズを備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、光源から放射された光が、この光源の光軸が通らない光学素子モジュールの境界部の連接面で反射されることにより照度分布が不均一になることが防止される。
【0013】
上記の光照射装置において、一方向において隣接する透過型光学素子の一対が、連接面の少なくとも一部において互いに当接した構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、連接面において発生する散乱光が減少し、より均一な照度分布の照射光を得ることができる。
【0016】
上記の光照射装置において、一方向において隣接する透過型光学素子の一対が、連接面の少なくとも一部において互いに当接した構成としてもよい。
【0017】
上記の光照射装置において、光軸の方向に並べて配置された二つの光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、第1及び第2の光学素子モジュールのそれぞれにおける、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通る構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、光軸近傍の光が二つの光学素子モジュールの境界部を連続して通過しないため、光学素子モジュールの境界部を通過する際に受ける散乱等による照度分布の変動が累積されることなく、平坦な照度分布が得られる。
【0019】
上記の光照射装置において、光軸の方向に並んで配置された二つの光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、第1及び第2の光学素子モジュールのいずれか一方における、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通る構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、透過型光学素子の境界部を通過する光軸の数を減らすことができるため、光が境界部を通過することにより照度分布が変動する領域を局在させることができる。
【0021】
上記の光照射装置において、連接面が一方向に垂直な面である構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、透過型光学素子の成形や、各光学要素のアライメントが容易になる。
【0023】
上記の光照射装置において、連接面が前記一方向に対して傾いた面である構成としてもよい。
【0024】
光照射装置を量産に使用する場合、コンベア等の搬送装置の周囲に光照射装置を配置して、搬送装置上を移動する被照射物に照射光を照射する構成が一般に採用されている。この場合、照射領域を広くとるために、一方向を搬送方向と垂直な方向に向けて光照射装置が設置される。また、光学素子モジュールの境界部で生じる散乱等による照度分布の空間的変調は、連接面に対して略対称に生じる。従って、連接面(すなわち透過型光学素子の境界部)が一方向に対して(言い換えれば、被照射物の搬送方向に対して)傾いた構成とすることにより、照射中に被照射物が受ける照度分布の空間的変調が平均化され、連接面の影響を緩和させることができる。
【0025】
上記の光照射装置において、配置面上の異なる直線上に並べられた2組の複数の光源である、複数の第1の光源と、複数の第2の光源と、を備え、複数の第1の光源と、複数の第2の光源が、連接面と平行な方向に配列された構成としてもよい。
【0026】
この構成によれば、平坦度に優れた面状の広い照射領域を有する照射装置が実現する。
【0027】
上記の光照射装置において、透過型光学素子が、レンズ、窓板、波長フィルタ、位相板及び偏光板の少なくとも一つを含む構成としてもよい。すなわち、透過型光学素子全般に本発明を適用することができる。
【0028】
上記の光照射装置において、透過型光学素子が光学樹脂材料から成る構成としてもよい。
【0029】
この構成によれば、必ずしも透過型光学素子の連接面を鏡面研磨する必要が無いため、例えば光学樹脂材料を射出成形した透過型光学素子をそのまま突き合わせたものを光学素子モジュールとして使用することができ、光学素子モジュールの加工コストを大幅に削減することができる。
【0030】
上記の光照射装置において、光透過型光学素子が一方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズであり、一方向に長いライン状の照射光を発生するように構成されてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、加工が難しく高価な長尺の透過型光学素子を使用することなく、照度分布の平坦度が良好なライン光照射装置を提供することが可能になる。
【0032】
上記の光照射装置において、光源がLED素子を含む構成としてもよい。
【0033】
また、本発明の実施形態によれば、第1及び第2の光照射モジュールを備え、第1の光照射モジュールが、第1の配置面上に一方向に並べられ、第1の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第1の光源と、一方向に連接された複数の第1の透過型光学素子を備え、第1の配置面に平行に設けられた第1の光学素子モジュールと、を備え、第1の透過型光学素子が、第1の光源からの光が入射する第1の入射面と、第1の入射面に入射した光が出射する第1の出射面と、第1の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第1の透過型光学素子に近接して対向する第1の連接面と、を備え、
第1の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第1の光源の光軸が、第1の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第1の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、第2の光照射モジュールが、第2の配置面上に一方向に並べられ、第2の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第2の光源と、一方向に連接された複数の第2の透過型光学素子を備え、第2の配置面に平行に設けられた第2の光学素子モジュールと、を備え、第2の透過型光学素子が、第2の光源からの光が入射する第2の入射面と、第2の入射面に入射した光が出射する第2の出射面と、第2の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第2の透過型光学素子に近接して対向する第2の連接面と、を備え、
第2の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第2の光源の光軸が、第2の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第2の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、第1及び第2の光源の光軸が、それぞれ一方向に延びる照射領域を通るように、第1及び第2の光照射モジュールが照射領域を中心に扇状に配置されており、第1の連接面と第2の連接面が異なる平面上に形成された構成としてもよい。
【0034】
この構成によれば、複数の光照射モジュールの光を重ね合わせることで、一方向に長く広がる照射領域を有しながらも、平坦度が高く、且つ強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。また、各光照射ユニットの光学素子モジュールの境界部を通った光が重なり合わないため、光学素子モジュールの境界部を通過する際に受ける散乱等による照度分布の変動が強め合うことなく、平坦な照度分布を得ることができる。
【0035】
上記の光照射装置において、第1及び第2の透過型光学素子が、一方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズである構成としてもよい。また、シリンドリカルレンズである第1及び第2の透過型光学素子によって、第1及び第2の光源から放射された光が、それぞれ照射領域に集光される構成としてもよい。これらの構成によれば、より強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。
【0036】
上記の光照射装置において、第3の光照射モジュールを更に備え、第3の光照射モジュールが、第3の配置面上に一方向に並べられ、第3の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第3の光源と、一方向に連接された複数の第3の透過型光学素子を備え、第3の配置面に平行に設けられた第3の光学素子モジュールと、を備え、第3の透過型光学素子が、第3の光源からの光が入射する第3の入射面と、第3の入射面に入射した光が出射する第3の出射面と、第3の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第3の透過型光学素子に近接して対向する第3の連接面と、を備え、
第3の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第3の光源の光軸が、第3の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第3の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、複数の第3の光源の光軸が照射領域を通るように、第3の光照射モジュールが、第1及び第2の光照射モジュールと共に照射領域を中心に扇状に配置され、第1、第2及び第3の連接面が互いに異なる平面上に形成された構成としてもよい。
【0037】
この構成によれば、平坦な照度分布を維持しつつも、より強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。
【0038】
上記の光照射装置において、第1、第2及び第3の光照射ユニットが、照射領域の周りに等角度間隔で配置された構成としてもよい。この構成によれば、より平坦な照度分布を得ることができる。また、上記の光照射装置において、複数の第1、第2及び第3の発光素子が、それぞれ第2の方向に等間隔に配置された構成としてもよい。この構成によれば、より平坦な照度分布を得ることができる。