特許第5693541号(P5693541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693541
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20150312BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20150312BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   F21S2/00 230
   H01L33/00 400
   F21V5/04 600
   F21Y101:02
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-223545(P2012-223545)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-75323(P2014-75323A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592032430
【氏名又は名称】HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148895
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 和孝
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−174402(JP,A)
【文献】 特開2009−238615(JP,A)
【文献】 特開2011−060798(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/109760(WO,A1)
【文献】 特開平09−049970(JP,A)
【文献】 特開昭60−007425(JP,A)
【文献】 特開2009−043566(JP,A)
【文献】 特開昭59−143145(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0216417(US,A1)
【文献】 国際公開第01/098760(WO,A1)
【文献】 特開2009−148756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/04
H01L 33/48
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置面上に一方向に並べられ、前記配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の光源と、
前記一方向に連接された複数の透過型光学素子を備える光学素子モジュールと、
を備えた光照射装置であって、
前記光学素子モジュールは、前記配置面に平行に設けられ、
前記透過型光学素子は、
前記光源からの光が入射する入射面と、
前記入射面に入射した光が出射する出射面と、
前記光軸と略平行に形成され、前記一方向において隣接する前記透過型光学素子に近接して対向する連接面と、を備え、
前記連接面は、鏡面又は散乱面であり、
前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、前記連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する連接面のいずれか一対の間を通ることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記連接面の対向する各対間、又は、該各対の連接面の少なくとも一部に、いずれかの前記光源の光軸が配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記複数の光源と前記光学素子モジュールとの間において、前記複数の光源の光軸上にそれぞれ配置された、少なくとも前記一方向において正の屈折力を有するレンズを備えた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記一方向において隣接する前記透過型光学素子の一対が、前記連接面の少なくとも一部において互いに当接した、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記光軸の方向に並べて配置された二つの前記光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、
前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、前記第1及び第2の光学素子モジュールのそれぞれにおける、前記連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する連接面のいずれか一対の間を通る、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記光軸の方向に並んで配置された二つの前記光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、
前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、前記第1及び第2の光学素子モジュールのいずれか一方における、前記連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する連接面のいずれか一対の間を通る、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記連接面が前記一方向に垂直な面である、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項8】
前記連接面が前記一方向に対して傾いた面である、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項9】
前記配置面上の異なる直線上に並べられた2組の前記複数の光源である、複数の第1の光源と、複数の第2の光源と、を備え、
前記複数の第1の光源と、前記複数の第2の光源が、前記連接面と平行な方向に配列された、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項10】
前記透過型光学素子が、レンズ、窓板、波長フィルタ、位相板及び偏光板の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項11】
前記透過型光学素子が光学樹脂材料から成る、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項12】
前記透過型光学素子が前記一方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズであり、
前記一方向に長いライン状の照射光を発生するように構成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項13】
前記光源がLED素子を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項14】
第1及び第2の光照射モジュールを備え、
前記第1の光照射モジュールが、
第1の配置面上に一方向に並べられ、前記第1の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第1の光源と、
前記一方向に連接された複数の第1の透過型光学素子を備え、前記第1の配置面に平行に設けられた第1の光学素子モジュールと、を備え、
前記第1の透過型光学素子が、
前記第1の光源からの光が入射する第1の入射面と、
前記第1の入射面に入射した光が出射する第1の出射面と、
前記第1の光源の光軸と略平行に形成され、前記一方向において隣接する前記第1の透過型光学素子に近接して対向する第1の連接面と、を備え、
前記第1の連接面は、鏡面又は散乱面であり、
少なくとも一つの前記第1の光源の光軸が、前記第1の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する第1の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、
前記第2の光照射モジュールが、
第2の配置面上に前記一方向に並べられ、前記第2の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第2の光源と、
前記一方向に連接された複数の第2の透過型光学素子を備え、前記第2の配置面に平行に設けられた第2の光学素子モジュールと、を備え、
前記第2の透過型光学素子が、
前記第2の光源からの光が入射する第2の入射面と、
前記第2の入射面に入射した光が出射する第2の出射面と、
前記第2の光源の光軸と略平行に形成され、前記一方向において隣接する前記第2の透過型光学素子に近接して対向する第2の連接面と、を備え、
前記第2の連接面は、鏡面又は散乱面であり、
少なくとも一つの前記第2の光源の光軸が、前記第2の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する第2の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、
前記第1及び前記第2の光源の光軸が、それぞれ前記一方向に延びる照射領域を通るように、前記第1及び前記第2の光照射モジュールが前記照射領域を中心に扇状に配置されており、
前記第1の連接面と前記第2の連接面が異なる平面上に形成されたことを特徴とする光照射装置。
【請求項15】
第3の光照射モジュールを更に備え、
前記第3の光照射モジュールが、
第3の配置面上に前記一方向に並べられ、前記第3の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第3の光源と、
前記一方向に連接された複数の第3の透過型光学素子を備え、前記第3の配置面に平行に設けられた第3の光学素子モジュールと、を備え、
前記第3の透過型光学素子が、
前記第3の光源からの光が入射する第3の入射面と、
前記第3の入射面に入射した光が出射する第3の出射面と、
前記第3の光源の光軸と略平行に形成され、前記一方向において隣接する前記第3の透過型光学素子に近接して対向する第3の連接面と、を備え、
前記第3の連接面は、鏡面又は散乱面であり、
少なくとも一つの前記第3の光源の光軸が、前記第3の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、前記対向する第3の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、
前記複数の第3の光源の光軸が前記照射領域を通るように、前記第3の光照射モジュールが、前記第1及び前記第2の光照射モジュールと共に前記照射領域を中心に扇状に配置され、
前記第1、前記第2及び前記第3の連接面が互いに異なる平面上に形成された、
ことを特徴とする請求項14に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の光源を所定方向に並べて配置し、所定方向に広がる均一な照度分布を有する照射光を発生する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの張り合わせ工程のような、紫外線(UV)硬化型接着剤を使用した大面積の接着において、細長いライン状の照射光を発生する照射装置が使用されている。特許文献1には、ラインライトガイドとシリンドリカルレンズとの組をシリンドリカルレンズの焦線方向に複数並べることで、非常に高価な長尺レンズを使用することなく長い照射領域を有するUV光を発生可能な照射装置が開示されている。
【0003】
短尺のシリンドリカルレンズを複数並べた場合、隣接するシリンドリカルレンズの端面間に生じる隙間の影響により、照度分布がライン方向で不均一になることが知られている。これは、光源から放射された光(発散光)の一部が、シリンドリカルレンズの端面(レンズ基材と空気層との境界部面)で反射されることによる。特に、臨界角(フレネル則)よりも大きな角度で端面に入射した光線は全反射されるため、主光線の近くに端面を配置すると照度分布の起伏が顕著になる。
【0004】
特許文献1の照射装置においては、各シリンドリカルレンズの端面を研磨し、この端面同士を突き合わせ、端面の突き合わせ面に対して各光源が発生する光量の角度特性が左右対称となり、且つ光線がシリンドリカルレンズの端面において全反射するように光源を配置することで、シリンドリカルレンズの継ぎ目の影響の解消が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−174402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の照射装置の構成では、端面を極めて高い角度精度及び面精度で形成し、更に鏡面研磨を施した専用のシリンドリカルレンズを使用する必要があり、依然としてレンズのコストが非常に高いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、配置面上に一方向に並べられ、配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の光源と、一方向に連接された複数の透過型光学素子を備える光学素子モジュールと、を備えた光照射装置であって、光学素子モジュールは、配置面に平行に設けられ、透過型光学素子は、光源からの光が入射する入射面と、入射面に入射した光が出射する出射面と、光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する透過型光学素子に近接して対向する連接面と、を備え、連接面は、鏡面又は散乱面であり、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通ることを特徴とするものが提供される。
【0008】
この各構成によれば、光軸が光学素子モジュールの隣接する透過型光学素子の境界部(近接して対向する一対の連接面(端面)で挟まれた部分)を通る光源の光が、境界部の連接面による反射を殆ど受けないため、境界部での反射を原因とする照度分布の変動が抑制され、均一性に優れたビームプロファイルが実現する。なお、通常の意味で光源の光軸を明確に定めることが難しい場合においては、例えばビームプロファイルの中心(一般に最も光強度の高い部分)を通る光線をもって光軸としてもよい。また、発光面が広い光源においては、光学素子の発光面と同じ断面を有する有幅の光軸を想定することができる。この場合においては、有幅の光軸の少なくとも一部が境界部を通る構成としてもよい。なお、連接面が「近接して対向する」とは、連接面同士が略全面で密着した状態や、連接面同士が完全に非接触となる状態、連接面同士が部分的に接触した状態を含む。
【0009】
上記の光照射装置において、連接面の対向する各対間、又は、該各対の連接面の少なくとも一部に、いずれかの光源の光軸が配置された構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、連接面による反射を抑制しつつ、多数の透過型光学素子を一方向に連接させて、この一方向において長く均一な強度の照射光を供給することが可能になる。
【0011】
上記の光照射装置において、複数の光源と光学素子モジュールとの間において、複数の光源の光軸上にそれぞれ配置された、少なくとも一方向において正の屈折力を有するレンズを備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、光源から放射された光が、この光源の光軸が通らない光学素子モジュールの境界部の連接面で反射されることにより照度分布が不均一になることが防止される。
【0013】
上記の光照射装置において、一方向において隣接する透過型光学素子の一対が、連接面の少なくとも一部において互いに当接した構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、連接面において発生する散乱光が減少し、より均一な照度分布の照射光を得ることができる。
【0016】
上記の光照射装置において、一方向において隣接する透過型光学素子の一対が、連接面の少なくとも一部において互いに当接した構成としてもよい。
【0017】
上記の光照射装置において、光軸の方向に並べて配置された二つの光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、第1及び第2の光学素子モジュールのそれぞれにおける、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通る構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、光軸近傍の光が二つの光学素子モジュールの境界部を連続して通過しないため、光学素子モジュールの境界部を通過する際に受ける散乱等による照度分布の変動が累積されることなく、平坦な照度分布が得られる。
【0019】
上記の光照射装置において、光軸の方向に並んで配置された二つの光学素子モジュールである第1及び第2の光学素子モジュールを備え、複数の光源のうち少なくとも一つの光源の光軸が、第1及び第2の光学素子モジュールのいずれか一方における、連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する連接面のいずれか一対の間を通る構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、透過型光学素子の境界部を通過する光軸の数を減らすことができるため、光が境界部を通過することにより照度分布が変動する領域を局在させることができる。
【0021】
上記の光照射装置において、連接面が一方向に垂直な面である構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、透過型光学素子の成形や、各光学要素のアライメントが容易になる。
【0023】
上記の光照射装置において、連接面が前記一方向に対して傾いた面である構成としてもよい。
【0024】
光照射装置を量産に使用する場合、コンベア等の搬送装置の周囲に光照射装置を配置して、搬送装置上を移動する被照射物に照射光を照射する構成が一般に採用されている。この場合、照射領域を広くとるために、一方向を搬送方向と垂直な方向に向けて光照射装置が設置される。また、光学素子モジュールの境界部で生じる散乱等による照度分布の空間的変調は、連接面に対して略対称に生じる。従って、連接面(すなわち透過型光学素子の境界部)が一方向に対して(言い換えれば、被照射物の搬送方向に対して)傾いた構成とすることにより、照射中に被照射物が受ける照度分布の空間的変調が平均化され、連接面の影響を緩和させることができる。
【0025】
上記の光照射装置において、配置面上の異なる直線上に並べられた2組の複数の光源である、複数の第1の光源と、複数の第2の光源と、を備え、複数の第1の光源と、複数の第2の光源が、連接面と平行な方向に配列された構成としてもよい。
【0026】
この構成によれば、平坦度に優れた面状の広い照射領域を有する照射装置が実現する。
【0027】
上記の光照射装置において、透過型光学素子が、レンズ、窓板、波長フィルタ、位相板及び偏光板の少なくとも一つを含む構成としてもよい。すなわち、透過型光学素子全般に本発明を適用することができる。
【0028】
上記の光照射装置において、透過型光学素子が光学樹脂材料から成る構成としてもよい。
【0029】
この構成によれば、必ずしも透過型光学素子の連接面を鏡面研磨する必要が無いため、例えば光学樹脂材料を射出成形した透過型光学素子をそのまま突き合わせたものを光学素子モジュールとして使用することができ、光学素子モジュールの加工コストを大幅に削減することができる。
【0030】
上記の光照射装置において、光透過型光学素子が一方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズであり、一方向に長いライン状の照射光を発生するように構成されてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、加工が難しく高価な長尺の透過型光学素子を使用することなく、照度分布の平坦度が良好なライン光照射装置を提供することが可能になる。
【0032】
上記の光照射装置において、光源がLED素子を含む構成としてもよい。
【0033】
また、本発明の実施形態によれば、第1及び第2の光照射モジュールを備え、第1の光照射モジュールが、第1の配置面上に一方向に並べられ、第1の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第1の光源と、一方向に連接された複数の第1の透過型光学素子を備え、第1の配置面に平行に設けられた第1の光学素子モジュールと、を備え、第1の透過型光学素子が、第1の光源からの光が入射する第1の入射面と、第1の入射面に入射した光が出射する第1の出射面と、第1の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第1の透過型光学素子に近接して対向する第1の連接面と、を備え、第1の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第1の光源の光軸が、第1の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第1の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、第2の光照射モジュールが、第2の配置面上に一方向に並べられ、第2の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第2の光源と、一方向に連接された複数の第2の透過型光学素子を備え、第2の配置面に平行に設けられた第2の光学素子モジュールと、を備え、第2の透過型光学素子が、第2の光源からの光が入射する第2の入射面と、第2の入射面に入射した光が出射する第2の出射面と、第2の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第2の透過型光学素子に近接して対向する第2の連接面と、を備え、第2の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第2の光源の光軸が、第2の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第2の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、第1及び第2の光源の光軸が、それぞれ一方向に延びる照射領域を通るように、第1及び第2の光照射モジュールが照射領域を中心に扇状に配置されており、第1の連接面と第2の連接面が異なる平面上に形成された構成としてもよい。
【0034】
この構成によれば、複数の光照射モジュールの光を重ね合わせることで、一方向に長く広がる照射領域を有しながらも、平坦度が高く、且つ強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。また、各光照射ユニットの光学素子モジュールの境界部を通った光が重なり合わないため、光学素子モジュールの境界部を通過する際に受ける散乱等による照度分布の変動が強め合うことなく、平坦な照度分布を得ることができる。
【0035】
上記の光照射装置において、第1及び第2の透過型光学素子が、一方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズである構成としてもよい。また、シリンドリカルレンズである第1及び第2の透過型光学素子によって、第1及び第2の光源から放射された光が、それぞれ照射領域に集光される構成としてもよい。これらの構成によれば、より強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。
【0036】
上記の光照射装置において、第3の光照射モジュールを更に備え、第3の光照射モジュールが、第3の配置面上に一方向に並べられ、第3の配置面と直交する方向に光軸の向きを揃えて配置された複数の第3の光源と、一方向に連接された複数の第3の透過型光学素子を備え、第3の配置面に平行に設けられた第3の光学素子モジュールと、を備え、第3の透過型光学素子が、第3の光源からの光が入射する第3の入射面と、第3の入射面に入射した光が出射する第3の出射面と、第3の光源の光軸と略平行に形成され、一方向において隣接する第3の透過型光学素子に近接して対向する第3の連接面と、を備え、第3の連接面は、鏡面又は散乱面であり、少なくとも一つの第3の光源の光軸が、第3の連接面のいずれかの少なくとも一部、又は、対向する第3の連接面のいずれか一対の間を通るように構成され、複数の第3の光源の光軸が照射領域を通るように、第3の光照射モジュールが、第1及び第2の光照射モジュールと共に照射領域を中心に扇状に配置され、第1、第2及び第3の連接面が互いに異なる平面上に形成された構成としてもよい。
【0037】
この構成によれば、平坦な照度分布を維持しつつも、より強い照射強度を有する照射光を発生することが可能になる。
【0038】
上記の光照射装置において、第1、第2及び第3の光照射ユニットが、照射領域の周りに等角度間隔で配置された構成としてもよい。この構成によれば、より平坦な照度分布を得ることができる。また、上記の光照射装置において、複数の第1、第2及び第3の発光素子が、それぞれ第2の方向に等間隔に配置された構成としてもよい。この構成によれば、より平坦な照度分布を得ることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の実施形態の構成によれば、一方向に連接された複数の透過型光学素子からなる光学素子モジュールを使用しても、突き合わされた連接面での光の反射を原因とする照射光の強度分布の変動が抑制され、均一なビームプロファイルが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の実施形態に係るUV照射装置1の外観図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るUV照射装置1の一部分解図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係るUV照射装置1の光学系を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るUV照射装置1の出射光のビームプロファイルである。
図5図5は、本発明の第2実施形態の光学系を示す図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態の光学系を示す図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態の光学系を示す図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態の光学系を示す図である。
図9図9は、本発明の第6実施形態の光学系を示す図である。
図10図10は、参考例の光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るUV照射装置1について説明する。UV照射装置1は、紫外線硬化型接着剤等の光硬化処理に使用される、ライン状の照射エリアを有するUV照射光を発生する装置である。図1は、UV照射装置1の外観図である。UV照射装置1は、本体ユニット100及びレンズユニット200を備えている。図2は、UV照射装置1から側板103を外し、本体ユニット100とレンズユニット200を分離し、更にレンズユニット200から窓板240(ガラス板)を外した状態を示す図である。また、図3はUV照射装置1の光学系(窓板240を除く)を示す図である。
【0042】
本体ユニット100は、複数(本実施形態においては12個)のLED素子110と、ケース101内に収容された駆動回路(不図示)を備えている。LED素子110は、駆動回路から駆動電流の供給を受けて、紫外線硬化型接着剤の硬化波長(例えば365nm)のUV光を出射する。LED素子110は、等間隔で一列に並べられて、ケース101前面のフロントパネル102に取り付けられている。以下の説明においては、図2の座標に示すように、LED素子110がUV光を出射する水平方向をX軸方向、LED素子110の配列方向をY軸方向、鉛直方向をZ軸方向とする。
【0043】
次に、レンズユニット200の構成について説明する。レンズユニット200は、LED素子110が放射したUV光を所定のビームプロファイルに成形するためのレンズ群が、所定の配置関係で正確に保持されたものである。図2に示すように、レンズユニット200のケース201内には、各レンズを保持するレンズホルダ202が収容されている。レンズホルダ202には、LED素子110と同数の球面レンズ210、第1シリンドリカルレンズモジュール220を構成する一対の第1シリンドリカルレンズ220a、220b(図3)及び第2シリンドリカルレンズモジュール230を構成する一対の第2シリンドリカルレンズ230a、230bが高い相対位置精度で保持されている。
【0044】
12個の球面レンズ210は、レンズユニット200を本体ユニット100に取り付けたときに、対応するLED素子110と対向して配置されるように、レンズホルダ202に保持されている。球面レンズ210を使用することで、LED素子110から出射された光の発散が低減されている。また、隣接するLED素子110から放射されるLED光の裾同士が重なり合ってY軸方向(LED素子110の配列方向)の照度分布が略均一になるように、LED素子110の間隔及び球面レンズ210の曲率(Y軸方向における正の屈折力)が設定されている。なお、本実施形態においては、球面レンズ210(2つの曲率方向を有するもの)が使用され、Y軸及びZ軸の2方向に光を集光する(発散を抑える)構成となっているが、Z軸方向に焦線を向けたシリンドリカルレンズを使用して、Y軸方向のみに光を集光する構成としてもよい。
【0045】
第1シリンドリカルレンズ220a、220b及び第2シリンドリカルレンズモジュール230a、230bは、シリコーン樹脂の射出成形により形成されたものである。第1シリンドリカルレンズモジュール220(第2シリンドリカルレンズモジュール230)は、一対の第1シリンドリカルレンズ220a、220b(第2シリンドリカルレンズ230a、230b)の焦線方向における平坦な端面同士を突き合わせた(当接又は近接させた)状態で保持することで形成されている。また、一対の第1シリンドリカルレンズ220a、220b(第2シリンドリカルレンズ230a、230b)は、境界部(突合部)において各光学面が略連続するように(すなわち、光学面に段差や大きな隙間が生じないように)端面同士が突き合わされている。第1シリンドリカルレンズモジュール220及び第2シリンドリカルレンズモジュール230は、それぞれY軸方向に焦線を向けて直列に(すなわち、光軸Pbの方向に並んで)配置され、LED素子110が放射するUV光をそれぞれZ軸方向に集光する。なお、本実施形態においては、隣り合う第1シリンドリカルレンズ220a、220b(第2シリンドリカルレンズ230a、230b)の端面同士を、接着剤等で直接固定せずに、突き合わせただけの状態でレンズホルダ202に保持させている。別の実施形態では、例えば光学用接着剤により各レンズの端面同士を直接固定した上で、レンズホルダ202で保持する構成としてもよい。また、端面間の隙間を屈折率整合剤により充填する構成としてもよい。また、本実施形態では、射出成形した各レンズを、端面を研磨することなくそのまま使用しているが、各レンズの端面を突き合わせる前に予め鏡面研磨してもよい。なお、本実施形態においては、突き合わせる各シリンドリカルレンズの端面同士の密着性を高めるために、端面に所定の押し圧を加えている。また、本実施形態においては、弾性を有するシリコーン樹脂製のシリンドリカルレンズを使用するため、例えば振動を受けてレンズホルダ202等に緩みが生じても、押し圧が安定して維持される。
【0046】
図3(a)は、各シリンドリカルレンズの境界部(隣接するシリンドリカルの端面により挟まれた部分)J1、J2付近におけるUV照射装置1の光学系をZ軸方向に見た平面図であり、図3(b)は、UV照射装置1の光学系をY軸方向に見た側面図である。本発明の実施形態においては、図3(a)に示すように、第1シリンドリカルレンズモジュール220の境界部J1に最も近いLED素子110bの光軸Pbが、境界部J1内を通っている。また、光軸Pbは、更に第2シリンドリカルレンズモジュール230の境界部J2内を通っている。従って、LED素子110bが出射する光(光軸Pbを通らない副光線も含む)は、各境界部J1、J2において反射をほとんど受けることなく、低損失でシリンドリカルレンズを透過することができる。
【0047】
図4(a)は、本発明の実施形態の構成(境界部1、J2に最も近接する光軸Pbが境界部J1、J2内を通る光学配置)が照射光の平坦度に与える効果を示すグラフ(Y軸方向における照明光の照度分布図)である。横軸はY軸方向の位置を示し、境界部J1,J2の位置を原点としている。縦軸は照射領域(但し、Z=0)における照射強度の相対値である。照度分布曲線Asは、図3に示す本実施形態の光学系のビームプロファイルである。また、照度分布曲線Bsは、図10に示す光学系(比較例)のビームプロファイルである。図10の光学系においては、隣接する2つのLED素子110a、110bの光軸Pa、Pbの略中間部に、光軸Pa、Pbと平行な境界部J1、J2が配置されている。この場合、光軸Pa、Pbは境界部J1、J2を通らないが、副光線Ps(LED光の裾の部分)が境界部J1、J2に入射して、反射される。
【0048】
図4(a)に示すように、比較例の照度分布曲線Bsは、境界部J1、J2(Y=0)の付近に2つの大きなノッチbを有している。これは、LED素子110a、110bから放射されたLED光の裾(副光線Ps)が境界部J1、J2で反射され、透過率が低下したことが原因であると考えられる。一方、本実施形態の照度分布曲線Asは、y=0の位置にノッチaを1つ有するのみであり、比較例よりも平坦度の高いビームプロファイルとなっている。なお、照度分布曲線As及びBsは、境界部J1、J2を構成する各シリンドリカルレンズの端面を散乱面とした場合のビームプロファイルである。照度分布曲線Asのノッチaは、光軸Pb(図3)近傍の光が境界部J1、J2内を伝搬する際に受ける強い散乱が原因であると考えられる。
【0049】
図4(b)は、境界部J1、J2を鏡面研磨した場合のビームプロファイルを示す。照度分布曲線Amは図3に示す本実施形態の光学系の境界部J1、J2を鏡面で形成した場合のものであり、照度分布曲線Bmは図10に示す比較例の境界部J1、J2を構成する各シリンドリカルレンズの端面を鏡面で形成した場合のものである。照度分布曲線Bmは、照度分布曲線Bsと同様に、境界部J1、J2(Y=0)の付近に2つの大きなノッチを有している。一方、照度分布曲線Amは、照度分布曲線Asと同様にY=0にノッチが生じるものの、ノッチの大きさは格段に小さなものとなっている。すなわち、本実施形態の光学系(図3)においては、境界部J1、J2の位置(Y=0)に、境界部J1、J2での散乱を原因とするノッチが照度分布曲線に現れるが、これは境界部J1、J2を鏡面にすることで大幅に低減することができる。一方、比較例の光学系(図10)においては、境界部J1、J2での反射を原因とする2つの大きなノッチが照度分布曲線に現れるが、これは境界部J1、J2の粗さを変えても低減することができない。
【0050】
なお、本実施形態(図3)においては、LED素子110bに隣接するLED素子110cから出射される光のうち、裾の外側部分の副光線Psが境界部J1、J2に臨界角θ未満の入射角θで入射するように構成されている。しかしながら、境界部J1、J2に入射する副光線Psの光量が微量である上、境界部J1、J2での反射率も低いため、LED素子110cから出射される光の境界部J1、J2での反射の影響はほとんど無視することができる。また、境界部J1、J2を構成する各シリンドリカルレンズの端面を散乱面とする場合は、図4(a)におけるノッチaの相対強度は、境界部J1、J2における、LED素子110bの光軸Pb付近のパワー密度に対するLED素子110cの光の裾の部分のパワー密度の比率と略同程度になる。このパワー密度の比率が、概ね10%未満(より望ましくは5%未満)となるような構成にすることが望ましい。
【0051】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態の光学系は、シリンドリカルレンズを2段直列に配置した構成であるが、シリンドリカルレンズを1段だけ使用した構成としても、あるいは3段以上のシリンドリカルレンズを直列に配置した構成としてもよい。図5に示す本発明の第2実施形態の光学系は、第1シリンドリカルレンズモジュール220のみを使用した光学系に本発明を適用した例である。第2実施形態の構成は、第2シリンドリカルレンズモジュール230を備えていない点を除いては、第1実施形態の構成と同じものである。第1実施形態と同様に、第1シリンドリカルレンズモジュール220の境界部Jに最も近接する光軸Pが境界部Jを通る光学配置となっており、境界部Jでの反射が抑えられるため、図4の照度分布曲線As、Amと同様に平坦度の高いビームプロファイルが得られる。また、シリンドリカルレンズを1段にしたことにより、ビームプロファイルの平坦度に影響を与える境界部Jの数が少なくなり、第1実施形態よりも更に平坦度の高いビームプロファイルが得られる。
【0052】
(第3実施形態)
また、本発明は、球面レンズ210を使用しない構成にも適応することができる。図6に示す本発明の第3実施形態の光学系は、球面レンズ210を使用しない光学系に本発明を適用した例である。第2実施形態の構成は球面レンズ210を備えていない点を除いては、第2実施形態の構成と同じものである。第1及び第2実施形態と同様に、第1シリンドリカルレンズモジュール220の境界部Jに最も近接する光軸Pが境界部Jを横断する光学配置となっており、境界部Jでの反射が抑えられるため、図4の照度分布曲線As、Amと同様に平坦度の高いビームプロファイルが得られる。
【0053】
(第4実施形態)
上述の第1〜第3実施形態は、2つのシリンドリカルレンズを端面で突き合わせたものを使用する構成であるが、レンズ以外の複数の透過型光学素子(例えば、窓板、透過型波長フィルタ、位相板、偏光板等)を端面で突き合わせたものを使用する構成にも本発明を適用することができる。図7に示す本発明の第4実施形態の光学系は、端面同士を突き合わせた2つの窓板240a、240bを使用する光学系に本発明を適用したものである。第4実施形態の光学系は、Y軸方向に等間隔で一列に並べられた複数のLED素子110と、対向する端面同士が突き合わされた一対の窓板240a、240bを備えている。窓板240a、240bの境界部Jに最も近接するLED素子110bの光軸Pが境界部Jを通る光学配置となっており、境界部Jでの反射が抑えられるため、図4の照度分布曲線As、Amと同様に平坦度の高いビームプロファイルが得られる。
【0054】
(第5実施形態)
図8に、本発明の第5実施形態の光学系を示す。第5実施形態は、六方格子状に2次元配列された複数のLED素子110と、5つのガラス板240a〜eの端面同士を突き合わせて形成した窓板240を備えている。上述の第4実施形態(図7)では、LED素子の配列方向(Y軸方向)と直交するZ軸方向に境界部Jの長手方向を向けて窓板240が配置されているため、一つのLED素子110bの光軸Pのみが境界部Jを通る構成となっていたが、本実施形態では、各LED素子110の光軸Pが、全ていずれかの境界部Jを通る構成となっている。
【0055】
また、上述の第4実施形態では、境界部Jの長手方向をLED素子110の配列方向と直交するZ軸方向に向けて窓板240が配置されていたが、本実施形態では、各境界部Jの長手方向がZ軸に対して、例えば、略30°傾くように窓板240が配置されている。一般に、ライン状の照射領域を有するUV照射装置1を使用して液晶パネル等の広い面積の接着を行う場合には、搬送装置を使用してUV照射装置1に対して被加工物をゆっくり移動させながら照射が行われる。本実施形態の場合は、図8に示す矢印Tの方向に被加工物を移動しながらUV照射を行うことが想定されている。図4の照度分布曲線から分かるように、境界部Jでの散乱による照度の空間的な変動は、境界部Jと垂直な方向(図4のグラフの横軸方向)に生じる。そのため、境界部Jと平行な方向に被加工物を移動しながら照射を行うと、照射光の照度分布がそのまま被加工物の照射量分布として転写され、接着が不均一になってしまう。図8に示すように、境界部Jに対して斜めの方向Tに被加工物を移動させながら照射を行うことにより、被加工物の照射量分布が平均化され(すなわち照度分布のノッチの影響が緩和され)、均一な接着が可能になる。
【0056】
(第6実施形態)
図9に、本発明の第6実施形態の光学系を示す。第6実施形態の光学系は、3つの光学ユニット10、10’、10”から構成される。光学ユニット10(10’、10”)は、Y軸方向に一列に並ぶ5つのLED素子110(110’、110”)と、対応するLED素子110(110’、110”)の出射面に対向して配置された5つの球面レンズ210(210’、210”)と、シリンドリカルレンズモジュール220(220’、220”)を備えている。シリンドリカルレンズモジュール220(220’、220”)は、2つのシリンドリカルレンズ220a(220a’、220a”)と220b(220b’、220b”)の隣り合う端面同士を突き合わせた状態で、レンズホルダ(不図示)によって保持されている。光学ユニット10、10’、10”は、それぞれ略同じ照度分布を有するライン状のUV光を発生する。
【0057】
各光学ユニット10、10’、10”は、Y軸方向に延びるライン状の照射領域Rが重なり合うように、照射領域Rを中心として所定の角度間隔θで扇状に配置されている。
【0058】
光学ユニット10のシリンドリカルレンズモジュール220は、同じ長さの2つのシリンドリカルレンズ220aと220bの端面同士を突き合わせたものである。また、Y軸方向に並んだ5つのLED素子110のうち、中央に配置された1つのLED素子110bの光軸Pbがシリンドリカルレンズモジュール220の境界部Jを通る。
【0059】
光学ユニット10’のシリンドリカルレンズモジュール220’は、長さの異なる2つのシリンドリカルレンズ220a’と220b’の端面同士を突き合わせたものである。図9(b)における右側のシリンドリカルレンズ220b’よりも、左側のシリンドリカルレンズ220a’の方が長く、境界部J’はシリンドリカルレンズモジュール220’のY軸方向における中央よりも右側に位置している。また、Y軸方向に並んだ5つのLED素子110’のうち、中央の一つ隣り(図9(b)における右隣り)に配置されたLED素子110c’の光軸Pc’がシリンドリカルレンズモジュール220’の境界部J’を通る。
【0060】
また、光学ユニット10”のシリンドリカルレンズモジュール220”も、長さの異なる2つのシリンドリカルレンズ220a”と220b”を端面で突き合わせたものである。図9(b)における左側のシリンドリカルレンズ220a”よりも、右側のシリンドリカルレンズ220b”の方が長く、境界部J”はシリンドリカルレンズモジュール220”のY軸方向における中央よりも左側に位置している。また、Y軸方向に並んだ5つのLED素子110”のうち、中央の一つ隣り(図9(b)における左隣り)に配置されたLED素子110a”の光軸Pc”がシリンドリカルレンズモジュール220”の境界部J”を通る。
【0061】
各光学ユニット10、10’、10”から出射される光の照度分布は略同じものであるが、突合部J、J’,J”の位置が異なるため、突合部J、J’,J”の散乱によってビームプロファイルに生じるノッチの位置が光学ユニット10、10’、10”により異なったものとなる。各光学ユニット10、10’、10”の突合部J、J’,J”のY軸方向における位置を同一にした場合は、各光学ユニット10、10’、10”のビームプロファイルに生じるノッチの位置も同一となる。そのため、3つの光学ユニット10、10’、10”の光を重ね合わせると、ノッチの強度変動が増幅され、合成後のビームプロファイルの平坦度が低下してしまう。本実施形態のように、各光学ユニット10、10’、10”の突合部の位置を互いに変えることにより、各光学ユニット10、10’、10”の光を合成したときにノッチが増幅されるのを抑制することができる。
【0062】
以上が、本発明の実施形態の一例の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって表現された技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0063】
例えば、上記の実施形態は紫外線の照射光を発生する装置に本発明を適用した例であるが、他の波長域の照射光(例えば白色光などの可視光、赤外光等)を発生する照射装置にも本発明を適用することができる。
【0064】
また、上記の第1実施形態においては、LED素子110bの光軸Pbが、第1シリンドリカルレンズモジュール220の境界部J1と、第2シリンドリカルレンズモジュール230の境界部J2の両方を通る構成となっているが、光軸Pbが境界部J1、J2の一方のみを通る構成としてもよい。また、第1実施形態においては、光軸上に2段のシリンドリカルレンズ(透過型光学素子)が配置された例であるが、境界部Jを有する透過型光学素子を3段以上配置した構成とすることもできる。また、各境界部Jに、少なくとも一つの発光素子の光軸が通る構成とすることもできる。また、複数の発光素子を有する場合、全ての発光素子の光軸がいずれかの境界部Jを通る構成とする必要はない。
【0065】
上記の各実施形態では、シリコーン樹脂の射出成型により形成されたシリンドリカルレンズが使用されるが、透過性光学素子の材質や形成方法はこれに限定されない。例えば、ホウケイ酸塩クラウンガラスや合成石英ガラス、白板ガラスをはじめとする各種光学ガラス材料の他、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の光学樹脂から形成された透過性光学素子を使用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 UV照射装置
100 本体ユニット
101 ケース
102 フロントパネル
110 LED素子
200 レンズユニット
201 ケース
202 レンズホルダ
210 球面レンズ
220 第1シリンドリカルレンズモジュール
230 第2シリンドリカルレンズモジュール
240 窓板
J 突合面
T 被照射物搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10