(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通報を配信する配信サーバと、前記通報を中継する中継サーバと、前記通報を同報送信する第1基地局及び第2基地局とを少なくとも備える配信システムにおける配信方法であって、
前記第1基地局及び前記第2基地局の各基地局は、サービスエリア全体を前記各基地局が形成するセルよりも広範に区分したエリアのうち、前記各基地局が属するエリアを識別するエリア識別情報、及び、前記各基地局の宛名を識別するIPアドレスを記憶する第1記憶部を備え、
前記中継サーバは、前記第1基地局及び前記第2基地局の前記各基地局のIPアドレス及び当該IPアドレス全体を識別するための当該中継サーバ配下のネットワーク内でのブロードキャストアドレスを記憶する第2記憶部を備え、
前記配信サーバが、外部から受信した地震情報に基づいて震央地名及び地域を特定し、前記特定した震央地名を含む配信情報を生成するとともに、前記特定した地域を通報の配信エリアとして当該通報の配信エリアのエリア識別情報を生成し、
前記配信サーバが、前記通報の配信エリアのエリア識別情報及び前記配信情報を含む前記通報を、前記中継サーバに送信し、
前記中継サーバが、前記配信サーバから前記通報を受信した場合に、当該通報を、前記第1基地局及び前記第2基地局に送信し、
前記配信サーバは、前記中継サーバに係る前記ブロードキャストアドレスが設定された宛先識別情報、前記通報の配信エリアのエリア識別情報、及び前記配信情報を含む第3の通報を、前記中継サーバに送信し、
前記中継サーバは、前記配信サーバから前記第3の通報を受信した場合において、当該第3の通報内の前記宛先識別情報に前記中継サーバの前記第2記憶部内の前記ブロードキャストアドレスが設定されているときに、前記第1基地局及び前記第2基地局の前記各基地局について、当該基地局の前記IPアドレスで前記第3の通報内の前記宛先識別情報を書き換え、前記宛先識別情報を書き換えた前記第3の通報を、前記各基地局に送信し、
前記第1基地局及び前記第2基地局の前記各基地局が、前記中継サーバから前記通報又は前記第3の通報を受信した場合において、当該通報又は当該第3の通報内の前記エリア識別情報と前記各基地局の前記第1記憶部内の前記エリア識別情報とが一致したときに、当該通報又は当該第3の通報内の前記配信情報を、配下のセルに在圏している複数の端末に同報送信する、
ことを含むことを特徴とする配信方法。
【背景技術】
【0002】
近年、災害の発生を検知又は予測し、緊急情報を移動体通信網、インターネット等を介して配信するサービスが利用されている。このようなサービスとして、例えば、地震波の到来を予測し、緊急地震速報を配信するサービスが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
緊急地震速報の配信サービスでは、地震の発生直後に、気象庁等の機関により、震源近くの地震計で測定された観測データが解析される。そして、震源地、地震の規模(マグニチュード)等の情報が、配信サーバを介して該当地域(例えば、震度3以上の地域)のユーザの携帯端末に配信される。その情報を受信した携帯端末では、ポップアップ表示、所定の警告音等により、地震の発生がユーザに通知される。
【0004】
このようなサービスにより、ユーザは、外出先でも災害の発生や到来を認識することができ、避難や安全確保を開始することができる。
【0005】
図10は、CBS(Cell Broadcast Service)方式による配信システム11の概略構成の一例を示す図である。
【0006】
配信サーバ(Cell Broadcast Center, CBC)2は、不図示の気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信すると、緊急地震速報のメッセージ本文を作成する。即ち、緊急地震速報電文に含まれる、震央地を示す「震央地名コード」をキーとして所定のテーブルを参照し、「震央地名称」を抽出してメッセージ本文に挿入する。
【0007】
次に、配信サーバ2は、緊急地震速報の配信エリアを特定するために、緊急地震速報電文に含まれる、強い揺れが推定される地域を示す「地域コード」をキーとして所定のテーブルを参照し、対応する市区町村を示す「市区町村特定コード」を抽出する。ここで、市区町村特定コードとは、全国の市区町村を一意に特定するコードである。配信サーバ2は、市区町村特定コード毎にその市区町村に配置された基地局5に係る情報をテーブル管理しており、抽出した市区町村特定コードをキーとしてこのテーブルを参照し、基地局5及びその配下のセル、基地局5を収容する無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller, RNC)4等を特定する。
【0008】
そして、配信サーバ2は、特定した各セルの識別情報(ID)のリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを作成し、そのコピーを、特定した各RNC4に送信する。
【0009】
メッセージを受信したRNC4は、受信したメッセージのコピーを、自身が収容する各基地局5に送信する。また、メッセージを受信した基地局5は、受信したメッセージに含まれるセルIDリスト内に、自身の配下のセルのセルIDが含まれていれば、そのセルに在圏している各携帯端末6に、受信したメッセージに含まれるメッセージ本文を同報送信する。
【0010】
このような構成により、緊急地震速報を、特定のセルに在圏している携帯端末にのみ配信することができる。しかしながら、一般にセルIDリストのサイズが大きくなるため、メッセージのサイズが大きくなり、通信ネットワークに負荷がかかるという問題がある。
【0011】
ところで、近年、無線通信システムで用いられる基地局として、カバーエリア(セル半径)が数十メートル程度の、極めて小型の基地局が利用され始めている。このような小型基地局により形成されるセルは、「フェムトセル」と呼ばれ、そのセル半径は、一般に「マクロセル」と呼ばれるセル半径が数km〜10km程度のセルと比べて極めて小さい。小型基地局は、インターネット等の通信ネットワークを介して移動体通信網に接続することにより、自身の配下のセルに在圏している携帯端末に携帯電話等の通信サービスを提供する。小型基地局は、従来の基地局に比べて簡便且つ低コストで設置できるため、電波状況の悪い建物内等に設置することにより、携帯電話等の通信不能エリアの解消又は減少が期待されている。
【0012】
現在、小型基地局の設置数は、通信事業者によっても異なるが、数万〜数十万とも言われている。したがって、小型基地局の配下のセルに在圏している携帯端末の数は、それ以上になるものと推測されている。そこで、このような携帯端末にも緊急情報を配信することが試みられている(例えば、特許文献2を参照)。
【0013】
図11は、フェムトセルを対象とした配信システム11’の概略構成の一例を示す図である。
【0014】
各小型基地局10には、事前に、既定のセンタ装置8によりIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられる。
【0015】
配信サーバ2’は、不図示の気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信すると、緊急地震速報のメッセージ本文を作成する。また、配信サーバ2’は、緊急地震速報の配信エリアとして、小型基地局10及びその配下のセル、小型基地局10を収容するセンタ装置8、センタ装置8が収容する小型基地局10等を特定する。そして、配信サーバ2’は、特定したセンタ装置8が収容する各小型基地局10について、そのIPアドレスを宛先とし、特定した各セルのセルIDのリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを、特定したセンタ装置8に送信する。
【0016】
メッセージを受信したセンタ装置8は、受信したメッセージを、宛先の小型基地局10に送信する。また、メッセージを受信した小型基地局10は、受信したメッセージに含まれるセルIDリスト内に、自身の配下のセルのセルIDが含まれていれば、そのセルに在圏している各携帯端末6に、受信したメッセージに含まれるメッセージ本文を同報送信する。
【0017】
このような構成により、緊急地震速報を、特定のフェムトセルに在圏している携帯端末にも配信することができる。しかしながら、上述のように、メッセージのサイズが大きくなることに加えて、各小型基地局10にメッセージを送信しなければならないため、メッセージの送信数が増え、通信ネットワークにさらに負荷がかかるという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0029】
(第1の実施形態)
本実施形態では、サービスエリア全体をセルよりも広範なエリア(例えば、都道府県、市区町村等のレベルの行政区画)に区分し、各基地局5をいずれかのエリアに分類する。そして、各基地局は、自身の配下のセルのセルIDに代えて又は加えて、自身が属するエリアのエリアIDを記憶する。一方、配信サーバは、従来のセルIDに代えて、エリアIDを用いて、緊急情報の配信エリアを指定する。
【0030】
なお、以降の実施形態では、緊急情報として、緊急地震速報が配信される例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。緊急情報として、例えば、津波予測の情報、台風警報、火災に関する情報等、種々の災害に関する情報が配信されてもよい。また、緊急情報の配信方式として、CBSを想定するが、本発明はこれに限定されるものではない。配信方式は、緊急情報を配信できればよく、例えば、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)、PWS(Public Warning Service)、SMS(Short Message Service)等でもよい。
【0031】
図1は、配信システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0032】
配信システム1では、不図示の交換機が、コアネットワーク等の通信ネットワーク3を介して相互に接続される。交換機は、ある地域をカバーする無線通信ネットワークを通信ネットワーク3に接続する。無線通信ネットワークには、地域内をカバーする無線ゾーンを管理するように複数の基地局5が配置される。各基地局5は、自身を収容するRNC4を介して交換機に接続される。そして、ある地域内の携帯端末6がその地域内外の他の携帯端末6等と通信を行う際に、携帯端末6は、基地局5を介してRNC4に接続され、さらに交換機に接続され、そして通信ネットワーク3に接続される。
【0033】
通信ネットワーク3には、緊急地震速報を配信する配信サーバ2が接続される。配信サーバ2は、不図示の気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信すると、緊急地震速報の配信エリアを特定し、特定した配信エリアに在圏している携帯端末6に、緊急地震速報を配信する機能を備える。
【0034】
図2(a)は、配信サーバ2の概略構成の一例を示す図である。
【0035】
配信サーバ2は、緊急地震速報の配信エリアの特定、緊急地震速報の作成及び配信等を行う。そのために、配信サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、処理部23とを備える。
【0036】
通信部21は、配信サーバ2を通信ネットワーク3に接続するための通信インターフェース回路を備え、通信ネットワーク3との間で通信を行う。そして、通信部21は、RNC4、基地局5、携帯端末6等から受信したデータを、処理部23に供給する。また、通信部21は、処理部23から供給されたデータを、RNC4、基地局5、携帯端末6等に送信する。
【0037】
記憶部22は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部22は、処理部23での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部22は、アプリケーションプログラムとして、緊急地震速報の配信を行うアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部22は、データとして、地名コードと地名称との対応関係を示す地名コード−地名称対応テーブル、地域コードと市区町村特定コードとの対応関係を示す地域コード−市区町村特定コード対応テーブル、基地局5に係る情報を管理する基地局管理テーブル(
図2(b))等を記憶する。さらに、記憶部22は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0038】
図2(b)は、基地局管理テーブルの一例を示す。基地局管理テーブルには、各基地局5について、基地局5の基地局ID、基地局5が配置された市区町村の市区町村特定コード、基地局5が属するエリアのエリアID、基地局5を収容するRNC4のRNCID等が含まれる。
【0039】
処理部23は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部23は、配信サーバ2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部23は、配信サーバ2の各種処理が記憶部22に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部21等の動作を制御する。処理部23は、記憶部22に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部23は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0040】
処理部23は、少なくとも配信部231を備える。これらの各部は、処理部23が備えるプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして、配信サーバ2に実装されてもよい。
【0041】
配信部231は、緊急地震速報電文の受信を契機として、緊急地震速報の配信エリアの特定、緊急地震速報の作成及び配信等を行う。即ち、気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信した場合に、配信部231は、受信した緊急地震速報電文を解析して震央地名コード及び地域コードを特定する。また、配信部231は、特定した震央地名コードをキーとして、記憶部22に記憶されている地名コード−地名称対応テーブルを参照し、対応する地名称を抽出する。そして、配信部231は、抽出した地名称を、緊急地震速報のメッセージ本文に挿入する。
【0042】
次に、配信部231は、特定した地域コードをキーとして、記憶部22に記憶されている地域コード−市区町村特定コード対応テーブルを参照し、対応する市区町村特定コードを抽出する。また、配信部231は、抽出した市区町村特定コードをキーとして、記憶部22に記憶されている基地局管理テーブルを参照し、対応する基地局ID、エリアID、及びRNCIDを抽出する。
【0043】
そして、配信部231は、抽出したエリアIDのリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを作成し、そのコピーを、抽出した各RNCIDに対応するRNC4に送信する。RNC4に送信されたメッセージは、そのコピーが、RNC4が収容する各基地局5に送信される。
【0044】
図3は、基地局5の概略構成の一例を示す図である。
【0045】
基地局5は、緊急地震速報の配信エリアへの属否の判定、緊急地震速報の受信及び同報送信等を行う。そのために、基地局5は、第1通信部51と、第2通信部52と、記憶部53と、処理部54とを備える。
【0046】
第1通信部51は、基地局5をRNC4に接続するための通信インターフェース回路を備え、RNC4との間で通信を行う。そして、第1通信部51は、RNC4から受信したデータを、処理部54に供給する。また、第1通信部51は、処理部54から供給されたデータを、RNC4に送信する。
【0047】
第2通信部52は、2.1GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース回路を備え、携帯端末6との間で無線通信を行う。そして、第2通信部52は、携帯端末6から受信したデータを、処理部54に供給する。また、第2通信部52は、処理部54から供給されたデータを、携帯端末6に送信する。
【0048】
記憶部53は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部53は、処理部54での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部53は、アプリケーションプログラムとして、緊急地震速報の受信及び同報送信を行うアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部53は、データとして、自身の基地局ID、配下のセルのセルID、属するエリアのエリアID等を記憶する。さらに、記憶部53は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0049】
処理部54は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部54は、基地局5の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部54は、基地局5の各種処理が記憶部53に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部51、第2通信部52等の動作を制御する。処理部54は、記憶部53に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部54は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0050】
処理部54は、少なくとも同報送信部541を備える。これらの各部は、処理部54が備えるプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして、基地局5に実装されてもよい。
【0051】
同報送信部541は、緊急地震速報の受信を契機として、緊急地震速報の配信エリアへの属否の判定、緊急地震速報の同報送信等を行う。即ち、RNC4から第1通信部51を介して、緊急地震速報を受信した場合に、同報送信部541は、そのメッセージを解析してエリアIDリスト及びメッセージ本文を特定する。また、同報送信部541は、特定したエリアIDリスト内に、記憶部53に記憶されているエリアIDが含まれているか否かを判定する。そして、エリアIDリスト内にエリアIDが含まれている場合に、同報送信部541は、自身の配下のセルに在圏している各携帯端末6に、特定したメッセージ本文を同報送信する。
【0052】
図4は、配信システム1の動作シーケンスの一例を示す図である。なお、以下に説明する動作シーケンスは、予め記憶部22及び記憶部53に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部23及び処理部54により、配信サーバ2、RNC4、及び基地局5の各要素と協働して実行される。
【0053】
配信部231は、緊急地震速報電文の受信を待機する。
【0054】
気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信した場合に、配信部231は、受信した緊急地震速報電文を解析して震央地名コード及び地域コードを特定する。また、配信部231は、特定した震央地名コードに基づいて地名称を特定する。そして、配信部231は、特定した地名称に基づいて緊急地震速報のメッセージ本文を作成する(ステップS400)。
【0055】
次に、配信部231は、特定した地域コードに基づいて市区町村特定コードを特定する。また、配信部231は、特定した市区町村特定コードに基づいて基地局ID、エリアID、及びRNCIDを特定する(ステップS402)。例えば、市区町村特定コードとして「1」〜「3」が特定されたとし、
図2(b)に示される基地局管理テーブルが参照されたとすると、基地局IDとして「5a」〜「5d」が、エリアIDとして「7a」〜「7c」が、RNCIDとして「4a」、「4b」が特定される。
【0056】
そして、配信部231は、抽出したエリアIDのリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを作成し、そのコピーを、抽出した各RNCIDに対応するRNC4に送信する(ステップS404、S418)。例えば、エリアIDとして「7a」〜「7c」が、RNCIDとして「4a」、「4b」が特定されたとすると、メッセージ{エリアID=7a〜7c、本文}が作成され、そのコピーが、RNCID「4a」、「4b」に対応するRNC4a、4bに送信される。
【0057】
配信サーバ2から緊急地震速報を受信した場合に、RNC4は、そのメッセージのコピーを、自身が収容する各基地局5に送信する(ステップS406、S410、S414、S420、S424)。例えば、RNC4aは基地局5a〜5cに送信し、RNC4bは基地局5d、5eに送信する。
【0058】
RNC4から第1通信部51を介して、緊急地震速報を受信した場合に、同報送信部541は、そのメッセージを解析してエリアIDリスト及びメッセージ本文を特定する。また、同報送信部541は、特定したエリアIDリスト内に、記憶部53に記憶されているエリアIDが含まれているか否かを判定する。そして、エリアIDリスト内にエリアIDが含まれている場合に、同報送信部541は、自身の配下のセルに在圏している各携帯端末6に、特定したメッセージ本文を同報送信する(ステップS408、S412、S416、S422)。例えば、エリアIDリスト内にエリアID「7a」〜「7c」が含まれていたとすると、これらのエリアIDを記憶している基地局5a〜5dにより、その配下のセルに在圏している各携帯端末6に、メッセージ本文が同報送信される。
【0059】
以上説明してきたように、従来のセルIDに代えてエリアIDを用いて緊急地震速報の配信エリアを指定することにより、緊急地震速報のサイズを抑え、通信ネットワーク3に過度の負荷をかけずに緊急地震速報を配信することが可能となる。
【0060】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、サービスエリア全体をセルよりも広範なエリアに区分し、各基地局5をいずれかのエリアに分類し、各エリアのエリアIDを用いて緊急地震速報の配信エリアを指定するとしたが、サービスエリア全体を識別する特別なエリアIDを導入し、各基地局5に特別なエリアIDも格納し、緊急地震速報をサービスエリア全体に配信したい場合は、特別なエリアIDを用いて配信エリアを指定してもよい。これにより、緊急地震速報のサイズをさらに抑えることが可能となる。
【0061】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、本発明を、従来の基地局に適用した。しかしながら、本発明は、小型基地局にも適用することができる。そこで、本実施形態では、本発明を、小型基地局に適用する。また、本実施形態では、配信サーバは、従来の小型基地局のIPアドレスに代えて、小型基地局が属するネットワークのブロードキャストアドレスを用いて、緊急地震速報の宛先を指定する。一方、センタ装置は、既知のブロードキャストアドレス宛の緊急地震速報を受信すると、対応するネットワークに属する小型基地局を特定し、各小型基地局のIPアドレスで緊急地震速報の宛先を書き換える。
【0062】
図5は、配信システム1’の概略構成の一例を示す図である。
【0063】
配信システム1’では、不図示の交換機が、コアネットワーク等の通信ネットワーク3を介して相互に接続される。交換機は、ある地域をカバーする無線通信ネットワークを通信ネットワーク3に接続する。無線通信ネットワークには、地域内をカバーする無線ゾーンを管理するように複数の小型基地局10が配置される。各小型基地局10は、インターネット等の通信ネットワーク9及び自身を収容するセンタ装置8を介して交換機に接続される。そして、ある地域内の携帯端末6がその地域内外の他の携帯端末6等と通信を行う際に、携帯端末6は、小型基地局10及び通信ネットワーク9を介してセンタ装置8に接続され、さらに交換機に接続され、そして通信ネットワーク3に接続される。
【0064】
通信ネットワーク3には、緊急地震速報を配信する配信サーバ2’が接続される。配信サーバ2’は、不図示の気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信すると、緊急地震速報の配信エリアを特定し、特定した配信エリアに在圏している携帯端末6に、緊急地震速報を配信する機能を備える。
【0065】
図6(a)は、配信サーバ2’の概略構成の一例を示す図である。
【0066】
配信サーバ2’は、緊急地震速報の配信エリアの特定、緊急地震速報の作成及び配信等を行う。そのために、配信サーバ2’は、通信部21と、記憶部22’と、処理部23’とを備える。なお、これらの構成のうち、通信部21については、
図2(a)に示されるものと同一であるので、以下では説明を省略する。
【0067】
記憶部22’は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部22’は、処理部23’での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部22’は、アプリケーションプログラムとして、緊急地震速報の配信を行うアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部22’は、データとして、地名コードと地名称との対応関係を示す地名コード−地名称対応テーブル、地域コードと市区町村特定コードとの対応関係を示す地域コード−市区町村特定コード対応テーブル、小型基地局10に係る情報を管理する小型基地局管理テーブル(
図6(b))、センタ装置8に係る情報を管理するセンタ装置管理テーブル(
図6(c))等を記憶する。さらに、記憶部22’は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0068】
図6(b)は、小型基地局管理テーブルの一例を示す。小型基地局管理テーブルには、各小型基地局10について、小型基地局10の基地局ID、小型基地局10が配置された市区町村の市区町村特定コード、小型基地局10が属するエリアのエリアID、小型基地局10を収容するセンタ装置8のセンタ装置ID等が含まれる。
【0069】
図6(c)は、センタ装置管理テーブルの一例を示す。センタ装置管理テーブルには、各センタ装置8について、センタ装置8のセンタ装置ID、センタ装置8が収容する小型基地局10が属するネットワークのブロードキャストアドレス等が含まれる。
【0070】
処理部23’は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部23’は、配信サーバ2’の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部23’は、配信サーバ2’の各種処理が記憶部22’に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部21等の動作を制御する。処理部23’は、記憶部22’に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部23’は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0071】
処理部23’は、少なくとも配信部231’を備える。これらの各部は、処理部23’が備えるプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして、配信サーバ2’に実装されてもよい。
【0072】
配信部231’は、緊急地震速報電文の受信を契機として、緊急地震速報の配信エリアの特定、緊急地震速報の作成及び配信等を行う。即ち、気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信した場合に、配信部231’は、受信した緊急地震速報電文を解析して震央地名コード及び地域コードを特定する。また、配信部231’は、特定した震央地名コードをキーとして、記憶部22’に記憶されている地名コード−地名称対応テーブルを参照し、対応する地名称を抽出する。そして、配信部231’は、抽出した地名称を、緊急地震速報のメッセージ本文に挿入する。
【0073】
次に、配信部231’は、特定した地域コードをキーとして、記憶部22’に記憶されている地域コード−市区町村特定コード対応テーブルを参照し、対応する市区町村特定コードを抽出する。また、配信部231’は、抽出した市区町村特定コードをキーとして、記憶部22’に記憶されている小型基地局管理テーブルを参照し、対応する小型基地局ID、エリアID、及びセンタ装置IDを抽出する。さらに、配信部231’は、抽出したセンタ装置IDをキーとして、記憶部22’に記憶されているセンタ装置管理テーブルを参照し、対応するブロードキャストアドレスを抽出する。
【0074】
そして、配信部231’は、抽出した各センタ装置IDについて、対応するブロードキャストアドレスを宛先とし、抽出したエリアIDのリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを作成し、通信部21を介して対応するセンタ装置8に送信する。
【0075】
図7(a)は、センタ装置8の概略構成の一例を示す図である。
【0076】
センタ装置8は、緊急地震速報の中継及び分配、IPアドレスの管理等を行う。そのために、センタ装置8は、第1通信部81と、第2通信部82と、記憶部83と、処理部84とを備える。
【0077】
第1通信部81は、センタ装置8を通信ネットワーク3に接続するための通信インターフェース回路を備え、通信ネットワーク3との間で通信を行う。そして、第1通信部81は、配信サーバ2’等から受信したデータを、処理部84に供給する。また、第1通信部81は、処理部84から供給されたデータを、配信サーバ2’等に送信する。
【0078】
第2通信部82は、センタ装置8を通信ネットワーク9に接続するための通信インターフェース回路を備え、通信ネットワーク9との間で通信を行う。そして、第2通信部82は、携帯端末6、小型基地局10等から受信したデータを、処理部84に供給する。また、第2通信部82は、処理部84から供給されたデータを、携帯端末6、小型基地局10等に送信する。
【0079】
記憶部83は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部83は、処理部84での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部83は、アプリケーションプログラムとして、緊急地震速報の中継及び分配を行うアプリケーションプログラム、IPアドレスの管理を行うアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部83は、データとして、自身が管理するネットワークのブロードキャストアドレス、そのネットワークに属するIPアドレスの使用状況を管理するIPアドレス管理テーブル(
図7(b))等を記憶する。さらに、記憶部83は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0080】
図7(b)は、IPアドレス管理テーブルの一例を示す。IPアドレス管理テーブルには、各IPアドレスについて、IPアドレスの使用状況(使用中/未使用)、IPアドレスが割り当てられた小型基地局10の小型基地局ID等が含まれる。
【0081】
処理部84は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部84は、センタ装置8の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部84は、センタ装置8の各種処理が記憶部83に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部81、第2通信部82等の動作を制御する。処理部84は、記憶部83に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部84は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0082】
処理部84は、中継部841と、IPアドレス管理部842とを備える。これらの各部は、処理部84が備えるプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして、センタ装置8に実装されてもよい。
【0083】
中継部841は、緊急地震速報の受信を契機として、緊急地震速報の中継及び分配等を行う。即ち、配信サーバ2’から第1通信部81を介して、緊急地震速報を受信した場合に、中継部841は、そのメッセージを解析して宛先のIPアドレスを特定する。また、中継部841は、特定したIPアドレスと、記憶部83に記憶されているブロードキャストアドレスとが一致するか否かを判定する。そして、IPアドレスとブロードキャストアドレスとが一致した場合に、中継部841は、記憶部83に記憶されているIPアドレス管理テーブルを参照し、対応するネットワークに属する小型基地局10のIPアドレスを抽出する。中継部841は、抽出した各IPアドレスについて、そのIPアドレスで宛先を書き換えた上で、受信したメッセージを、第2通信部82を介して対応する小型基地局10に送信する。
【0084】
IPアドレス管理部842は、IPアドレス割当要求等の受信を契機として、IPアドレスの管理(割り当て等)を行う。即ち、小型基地局10から第2通信部を介して、IPアドレス割当要求を受信した場合に、IPアドレス管理部842は、受信したIPアドレス割当要求を解析して小型基地局10の小型基地局IDを特定する。また、IPアドレス管理部842は、記憶部83に記憶されているIPアドレス管理テーブルを参照し、使用状況が「未使用」のIPアドレスを一つ特定する。そして、IPアドレス管理部842は、特定したIPアドレスの使用状況を「使用中」に変更し、特定した小型基地局IDを対応付けて格納すると共に、そのIPアドレスを含むIPアドレス割当応答を、第2通信部を介して小型基地局10に送信する。
【0085】
なお、IPアドレスの割り当てに係る通信プロトコルとして、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を想定するが、本発明はこれに限定されるものではない。通信プロトコルは、IPアドレスの割当を行えればよく、他の通信プロトコルでもよい。
【0086】
図8は、小型基地局10の概略構成の一例を示す図である。
【0087】
小型基地局10は、緊急地震速報の配信エリアへの属否の判定、緊急地震速報の受信及び同報送信等を行う。そのために、小型基地局10は、第1通信部101と、第2通信部102と、記憶部103と、処理部104とを備える。
【0088】
第1通信部101は、小型基地局10を通信ネットワーク9に接続するための通信インターフェース回路を備え、通信ネットワーク9との間で通信を行う。そして、第1通信部101は、配信サーバ2’、センタ装置8等から受信したデータを、処理部104に供給する。また、第1通信部101は、処理部104から供給されたデータを、配信サーバ2’、センタ装置8等に送信する。
【0089】
第2通信部102は、2.1GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース回路を備え、携帯端末6との間で無線通信を行う。そして、第2通信部102は、携帯端末6から受信したデータを、処理部104に供給する。また、第2通信部102は、処理部104から供給されたデータを、携帯端末6に送信する。
【0090】
記憶部103は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。記憶部103は、処理部104での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部103は、アプリケーションプログラムとして、緊急地震速報の受信及び同報送信を行うアプリケーションプログラム、IPアドレスの管理要求を行うアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部103は、データとして、自身の小型基地局ID、配下のセルのセルID、属するエリアのエリアID、自身のIPアドレス等を記憶する。さらに、記憶部103は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0091】
処理部104は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部104は、小型基地局10の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部104は、小型基地局10の各種処理が記憶部103に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部101、第2通信部102等の動作を制御する。処理部104は、記憶部103に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部104は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0092】
処理部104は、少なくとも同報送信部1041と、IPアドレス設定部1042とを備える。これらの各部は、処理部104が備えるプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして、小型基地局10に実装されてもよい。
【0093】
同報送信部1041は、緊急地震速報の受信を契機として、緊急地震速報の配信エリアへの属否の判定、緊急地震速報の同報送信等を行う。即ち、センタ装置8から第1通信部101を介して、緊急地震速報を受信した場合に、同報送信部1041は、そのメッセージを解析してエリアIDリスト及びメッセージ本文を特定する。また、同報送信部1041は、特定したエリアIDリスト内に、記憶部103に記憶されているエリアIDが含まれているか否かを判定する。そして、エリアIDリスト内にエリアIDが含まれている場合に、同報送信部1041は、自身の配下のセルに在圏している各携帯端末6に、特定したメッセージ本文を同報送信する。
【0094】
IPアドレス設定部1042は、通信ネットワーク9への接続等を契機として、IPアドレスの設定を行う。即ち、通信ネットワーク9への接続等が検知された場合に、IPアドレス設定部1042は、記憶部103から自身の小型基地局IDを取得する。そして、IPアドレス設定部1042は、取得した小型基地局IDを含むIPアドレス割当要求を、第1通信部101を介してセンタ装置8に送信する。一方、センタ装置8から第1通信部101を介して、IPアドレス割当応答を受信した場合に、IPアドレス設定部1042は、受信したIPアドレス割当応答を解析してIPアドレスを特定する。そして、IPアドレス設定部1042は、特定したIPアドレスを記憶部103に格納すると共に、そのIPアドレスを用いて通信が行われるようにネットワーク接続に係る設定を行う。
【0095】
図9は、配信システム1’の動作シーケンスの一例を示す図である。なお、以下に説明する動作シーケンスは、予め記憶部22’、記憶部83、及び記憶部103に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部23’、処理部84、及び処理部104により、配信サーバ2’、センタ装置8、及び小型基地局10の各要素と協働して実行される。
【0096】
配信部231’は、緊急地震速報電文の受信を待機する。
【0097】
気象庁等の機関から緊急地震速報電文を受信した場合に、配信部231’は、受信した緊急地震速報電文を解析して震央地名コード及び地域コードを特定する。また、配信部231’は、特定した震央地名コードに基づいて地名称を特定する。そして、配信部231’は、特定した地名称に基づいて緊急地震速報のメッセージ本文を作成する(ステップS900)。
【0098】
次に、配信部231’は、特定した地域コードに基づいて市区町村特定コードを特定する。また、配信部231’は、特定した市区町村特定コードに基づいて小型基地局ID、エリアID、及びセンタ装置IDを特定する(ステップS902)。さらに、配信部231’は、特定したセンタ装置IDに基づいてブロードキャストアドレスを特定する(ステップS904)。例えば、市区町村特定コードとして「1」〜「3」が特定されたとし、
図6(b)に示される小型基地局管理テーブルが参照されたとすると、小型基地局IDとして「10a」〜「10d」が、エリアIDとして「7a」〜「7c」が、センタ装置IDとして「8a」、「8b」が特定される。さらに、
図6(c)に示されるセンタ装置管理テーブルが参照されたとすると、ブロードキャストアドレスとして「10.0.0.255」、「10.0.1.255」が特定される。
【0099】
そして、配信部231’は、抽出した各センタ装置IDについて、対応するブロードキャストアドレスを宛先とし、抽出したエリアIDのリスト、作成したメッセージ本文等を含むメッセージを作成し、通信部21を介して対応するセンタ装置8に送信する(ステップS906、S920)。例えば、エリアIDとして「7a」〜「7c」が、センタ装置IDとして「8a」、「8b」が、ブロードキャストアドレスとして「10.0.0.255」、「10.0.1.255」が特定されたとすると、メッセージ1{宛先=10.0.0.255、エリアID=7a〜7c、本文}、メッセージ2{宛先=10.0.1.255、エリアID=7a〜7c、本文}が作成される。そして、メッセージ1がセンタ装置ID「8a」に対応するセンタ装置8aに、メッセージ2がセンタ装置ID「8b」に対応するセンタ装置8bにそれぞれ送信される。
【0100】
配信サーバ2’から第1通信部81を介して、緊急地震速報を受信した場合に、中継部841は、そのメッセージを解析して宛先のIPアドレスを特定する。また、中継部841は、特定したIPアドレスと、記憶部83に記憶されているブロードキャストアドレスとが一致するか否かを判定する。そして、IPアドレスとブロードキャストアドレスとが一致した場合に、中継部841は、対応するネットワークに属する小型基地局10のIPアドレスを特定する。中継部841は、特定した各IPアドレスについて、そのIPアドレスで宛先を書き換えた上で、受信したメッセージを、第2通信部82を介して対応する小型基地局10に送信する(ステップS908、S912、S916、S922、S926)。例えば、センタ装置8aにおいて、メッセージ{宛先=10.0.0.255、エリアID=7a〜7c、本文}が受信されたとし、
図7(b)に示されるIPアドレス管理テーブルが参照されたとすると、IPアドレスとして「10.0.0.1」、「10.0.0.2」、「10.0.0.3」が特定され、メッセージ1{宛先=10.0.0.1、エリアID=7a〜7c、本文}、メッセージ2{宛先=10.0.0.2、エリアID=7a〜7c、本文}、メッセージ3{宛先=10.0.0.3、エリアID=7a〜7c、本文}が作成される。そして、メッセージ1がIPアドレス「10.0.0.1」に対応する小型基地局10aに、メッセージ2がIPアドレス「10.0.0.2」に対応する小型基地局10bに、メッセージ3がIPアドレス「10.0.0.3」に対応する小型基地局10cにそれぞれ送信される。
【0101】
センタ装置8から第1通信部101を介して、緊急地震速報を受信した場合に、同報送信部1041は、そのメッセージを解析してエリアIDリスト及びメッセージ本文を特定する。また、同報送信部1041は、特定したエリアIDリスト内に、記憶部103に記憶されているエリアIDが含まれているか否かを判定する。そして、エリアIDリスト内にエリアIDが含まれている場合に、同報送信部1041は、自身の配下のセルに在圏している各携帯端末6に、特定したメッセージ本文を同報送信する(ステップS910、S914、S918、S924)。例えば、エリアIDリスト内にエリアID「7a」〜「7c」が含まれていたとすると、これらのエリアIDを記憶している小型基地局10a〜10dにより、その配下のセルに在圏している各携帯端末6に、メッセージ本文が同報送信される。
【0102】
以上説明してきたように、従来の小型基地局のIPアドレスに代えて、小型基地局が属するネットワークのブロードキャストアドレスを用いて、緊急地震速報の宛先を指定することにより、緊急地震速報の送信数を抑え、通信ネットワーク3に過度の負荷をかけずに緊急地震速報を配信することが可能となる。
【0103】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、各センタ装置8は、一つのネットワーク(ブロードキャストアドレス)を管理するとしたが、複数のネットワークを管理してもよい。これにより、センタ装置8の数を削減し、運用コスト等を削減することが可能となる。
【0104】
また、処理部23、23’、処理部54、処理部84、及び処理部104が備える各機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【0105】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。