特許第5693562号(P5693562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693562複数のフィールドプレートを有する電界効果トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693562
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】複数のフィールドプレートを有する電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20150312BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01L29/80 F
   H01L29/44 Y
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-506039(P2012-506039)
(86)(22)【出願日】2010年3月16日
(65)【公表番号】特表2012-524403(P2012-524403A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】US2010027486
(87)【国際公開番号】WO2010120423
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2012年9月18日
(31)【優先権主張番号】12/423,776
(32)【優先日】2009年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599034594
【氏名又は名称】トライクイント・セミコンダクター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TriQuint Semiconductor,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ツァーン、フア クエン
(72)【発明者】
【氏名】ダムカ、ディープ、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、マーティン、イー.
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、チャールズ、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】バリストレリ、アンソニー、エム.
【審査官】 早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−533717(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/126541(WO,A1)
【文献】 特開2008−277640(JP,A)
【文献】 特開2006−165387(JP,A)
【文献】 特表2007−526633(JP,A)
【文献】 特開2003−332357(JP,A)
【文献】 特開2000−077615(JP,A)
【文献】 特開2005−159157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/337−21/338
H01L 27/095−27/098
H01L 29/775−29/778
H01L 29/80−29/812
H01L 29/41−29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含むトランジスタと、
前記ゲート電極に連結され、前記ソース電極と前記ドレイン電極から実質的に等距離に配置され、前記ソース電極と前記ゲート電極との間および前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の電界を低減するように構成された第1のフィールドプレートと、
前記第1のフィールドプレートに近接配置され、前記ソース電極と前記ドレイン電極から実質的に等距離に配置され、前記ソース電極と前記ゲート電極との間および前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の電界をさらに低減するように構成された第2のフィールドプレートと、
前記第2のフィールドプレートに接地電位を供給するために前記第2のフィールドプレートと相互接続されるグランドパッド、を備え、
前記第2のフィールドプレートは、前記ソース電極および前記ドレイン電極のいずれからも電気的に分離されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ゲート電極は、前記ソース電極と前記ドレイン電極とから実質的に等距離に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のフィールドプレートは、それぞれ前記トランジスタの活性領域側に折り曲げられた第1の端部と第2の端部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のフィールドプレートに近接配置され、前記ソース電極と前記ドレイン電極とから実質的に等距離に配置される第3のフィールドプレートをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記トランジスタと同様に構成され、前記トランジスタに並列に接続された複数の他のトランジスタをさらに備え、前記トランジスタと前記複数の他のトランジスタは、複数のゲート電極、複数のソース電極および複数のドレイン電極で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記ゲート電極は第1のゲート電極を含み、前記装置は、前記ソース電極および前記第1のゲート電極から実質的に等距離に配置された第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極と前記ドレイン電極から実質的に等距離に配置された第3のゲート電極と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のゲート電極に連結された第3のフィールドプレートと、前記第3のゲート電極に連結された第4のフィールドプレートと、をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第3のフィールドプレートに近接配置され、前記ソース電極と前記第1のゲート電極とから実質的に等距離に配置された第5のフィールドプレートと、前記第4のフィールドプレートに近接配置され、前記第1のゲート電極と前記ドレイン電極とから実質的に等距離に配置された第6のフィールドプレートと、をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記トランジスタは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、シュードモルフィック高電子移動度トランジスタ(pHEMT)、横方向拡散金属酸化物半導体トランジスタ(LDMOS)および金属エピタキシャル半導体電界効果トランジスタ(MESFET)から構成される群から選択される電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項10】
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含むトランジスタと、前記ゲート電極に連結され、前記ソース電極と前記ドレイン電極とから実質的に等距離に配置され、前記ソース電極と前記ゲート電極との間および前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の電界を低減するように構成された第1のフィールドプレートと、前記第1のフィールドプレートに近接配置され、前記ソース電極と前記ドレイン電極とから実質的に等距離に配置され、前記ソース電極と前記ゲート電極との間および前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の電界をさらに低減するように構成された第2のフィールドプレートと、前記第2のフィールドプレートに接地電位を供給するために前記第2のフィールドプレートと相互接続されるグランドパッド、を含み、かつ、前記第2のフィールドプレートは、前記ソース電極および前記ドレイン電極のいずれからも電気的に分離されるRF信号選択用のスイッチと、
前記スイッチに連結された、前記RF信号を増幅させるための電力増幅器と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記電力増幅器に連結され、前記増幅されたRF信号の伝送を促進するように構成されたアンテナ構造をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、レーダ装置、衛星通信装置、携帯電話、基地局、放送ラジオまたはテレビジョン増幅システムであることを特徴とする請求項10または11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年4月14日出願の「FIELD EFFECT TRANSISTOR HAVING A PLURALITY OF FIELD PLATES」と題された米国特許非仮出願番号第12/423,776号の優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、広くはマイクロ電子デバイスに関し、より具体的には、複数のフィールドプレートを含む電界効果トランジスタとそれを組み込んだ回路に関する。
【背景技術】
【0003】
高電力電界効果トランジスタ(FET)スイッチは、無線通信とレーダシステムにおける無線周波数/マイクロ波回路に使用される。高電力スイッチングでは、一連のシャント接続FETスイッチが使用され得る。しかしながら、これらのシステムの電力処理性能は、FETスイッチのソースとドレイン間の無線周波数降伏電圧によって制限され得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、添付の図面と以下の詳細な記述によって容易に理解されるであろう。この記述を容易にするために、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。本発明の実施形態は実施例として示されるものであり、添付図面の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含むFETスイッチの断面図である。
【0006】
図2】種々の実施形態による図1のFETスイッチの回路図である。
【0007】
図3】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0008】
図4】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0009】
図5】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0010】
図6】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0011】
図7】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0012】
図8】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む別のFETスイッチの断面図である。
【0013】
図9】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む複数のFETスイッチを含む単位セルの平面図である。
【0014】
図10】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含む複数のFETスイッチを含む別の単位セルの平面図である。
【0015】
図11】種々の実施形態による対称のフィールドプレートを含むFETスイッチを組み込んだシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な記述では、本明細書の一部を構成する添付図面を参照する。その図面では、同じ参照番号は同じ部分を示し、また、本発明の実施形態は例示として示される。他の実施形態を利用して、本発明の範囲から逸脱することなく、構造または論理を変えられることは理解されるべきである。従って、以下の詳細な記述は限定的な意味でとらえられるべきではなく、本発明の実施形態の範囲は、添付の請求項とその等価物によって定義される。
【0017】
種々の作用が、本発明の実施形態の理解に役立つ順番と方法で複数の別個の作用として記述され得るが、しかしながら、この記述の順序は、これらの作用が順序依存性であると示唆されるように解釈されるべきではない。また、一部の実施形態では、記述以上のまたはそれ以下の作用が含まれ得る。
【0018】
本記述では、「ある実施形態では」、「実施形態では」、「一部の実施形態では」あるいは「種々の実施形態では」などの表現が用いられるが、各々同じかまたは異なる1つまたは複数の実施形態をさす。さらに、本発明の実施形態に関して使用される「備える」、「含む」および「有する」などの用語は、同意語である。
【0019】
本明細書での「連結した」とその派生表現は、以下の1つまたは複数を意味し得る。「連結した」は、互いに連結したとされる要素間に、連結または接続した他の要素がない、物理的または電気的な直接連結または接続を意味し得る。また、「連結した」は、互いに連結したとされる要素間に、1つまたは複数の他の要素が連結または接続した、物理的または電気的な間接連結または接続も意味し得る。
【0020】
「上に形成した」の表現とその派生表現も本明細書で使用され得る。「別の層上に形成した層」の文脈における「上に形成した」は、ある層が、必ずしも別の層に物理的または電気的に直に接することなく(例えば、該層間に介在する1つまたは複数の層が存在し得る)、その層「上に形成される」ことを意味する。しかしながら、一部の実施形態では、「上に形成した」は、ある層が、別の層表面の少なくとも一部に物理的に直に接していることを意味し得る。
【0021】
本開示の目的から、「A/B」の表記はAまたはBであることを意味する。「AおよびまたはB」は、「(A)、(B)あるいは(AおよびB)」を意味する。「A、BおよびCの少なくとも1つ」は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)あるいは(A、BおよびC)」を意味する。「(A)B」の表記は、「Bまたは(AB)」、すなわち、Aは選択的な要素であることを意味する。また、本発明の実施形態は、特定の数の成分または要素を含むように示され記述されるが、該実施形態は、成分や要素の任意の特定の数に限定されるものではない。
【0022】
図1は、種々の実施形態による電界効果トランジスタ(FET)スイッチ100の断面図である。図2は、種々の実施形態によるFETスイッチ100の回路を表す。
【0023】
図示のように、前記FETスイッチ100は、ソース電極102、ドレイン電極104およびゲート電極106を含む。また、ゲート電極106は、図示のように、ゲート電極106と一体的に形成された第1のフィールドプレート108を含んでいてもよい。このゲート構造はT−ゲートと呼ばれ得る。また、トランジスタ100は、第1のフィールドプレート108に近接配置され、図示のように、浮いているか、あるいは図3に示すように、グランドソースに連結するようにされてもよい第2のフィールドプレート110も含む。従来のFETスイッチのように、FETスイッチ100は、通常は双方向スイッチング用の抵抗220経由で、制御電圧用途用の制御端子として働くゲート電極106を用いて、ソース電極102およびドレイン電極104の両方をアースすることによって作動されてもよい。
【0024】
前記第1のフィールドプレート108および第2のフィールドプレート110は、ソース電極102およびドレイン電極104から実質的に等距離に配置される。また、ゲート電極106も、ソース電極102およびドレイン電極104から実質的に等距離であってもよい。種々の実施形態では、第1のフィールドプレート108と第2のフィールドプレート110をソース電極102およびドレイン電極104から実質的に等距離に配置することによって、ゲート電極106とソース電極102間のゲート−ソース領域と、ゲート電極106とドレイン電極104間のゲート−ドレイン領域における電界の低減効果が得られ得る。T−ゲート構造だけで降伏電圧をある程度増大させ得るが、対称のフィールドプレート108を追加することによって、降伏電圧をさらに増大し得る。また、降伏電圧のこの向上により、FETスイッチ100を組み込んだ装置の電力処理性能を増大させ得る。
【0025】
前記FETスイッチ100は、マイクロ波またはミリ波電力増幅用途に好適な種々のFETのうちのいずれか1つであってもよい。FETの例としては、高電子移動度トランジスタ(HEMT)(例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)/窒化ガリウム(GaN)HEMT)、シュードモルフィックHEMT(pHEMT)(例えばガリウムヒ素(GaAs)pHEMT)、メタモルフィックHEMT(mHEMT)(例えばGaAs mHEMT)、横方向拡散金属酸化物半導体トランジスタ(LDMOS)あるいは金属エピタキシャル半導体電界効果トランジスタ(MESFET)が挙げられ得る。
【0026】
図示のように、前記FETスイッチ100は一般に、バリア層116と基板112上に形成されたチャネル層114を含むFETである。基板112は、用途に好適な任意の材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、基板112は、例えばGaAsを含む。しかしながら、他の実施形態では、基板112はGaNを含んでいてもよい。別の材料あるいは材料の組み合わせも同様に好適であり得る。基板112は、例えば炭化ケイ素、シリコン、サファイア、窒化アルミニウム、あるいは、これらのいくつかの組み合わせまたは別の好適な材料とのいくつかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0027】
前記チャネル層114は、所望のバンドギャップを有する1つまたは複数の層を含んでいてもよい。種々の実施形態では、チャネル層114は、1つまたは複数のドープ化または未ドープ化GaAs層またはインジウムガリウムヒ素(InGaAs)層を含んでいてもよい。例えばGaNなどの他の材料も同様に好適であり得る。種々の実施形態では、チャネル層114は、基板112と同じ材料を含んでいてもよい。しかしながら、他の実施形態では、チャネル層114は、基板112の材料とは異なる材料を含んでいてもよい。
【0028】
前記バリア層116は、用途に好適な任意の材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、バリア層116は、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)を含む。別の材料または材料の組み合わせも同様に好適であり得る。例えば、バリア層116はAlGaNを含んでいてもよい。バリア層116は、用途に応じて、ドープ化されていても未ドープであってもよい。
【0029】
図示のように、前記ゲート電極106は、その一部がバリア層116に埋め込まれてもよい。ゲート電極106の埋め込み深さは、FETスイッチ100の所望の作動周波数に依存してもよい。例えば、FETスイッチ100が概ね3.5GHzの周波数で作動する一部の実施形態では、ゲート電極106のゲート長さを約0.6〜0.7μmとし、埋め込み深さを約200Åとしてもよい。種々の他の実施形態では、ゲート電極106は、バリア層116にさらに埋め込まれてもよく、あるいは全く埋め込まれなくてもよい。
【0030】
前記ゲート電極106、第1のフィールドプレート108および第2のフィールドプレート110は、目的に好適な任意の材料も含んでいてもよい。種々の実施形態では、ゲート電極106およびまたはフィールドプレート108、110は、金(Au)、ニッケル−金(Ni−Au)またはチタン−プラチナ−金(Ti/Pt/Au)を含んでいてもよい。
用途に応じて、他の金属も同様に好適であり得る。
【0031】
前記FETスイッチ100は、FETスイッチ100の1つまたは複数の層上に形成された誘電体118を含んでいてもよい。図示の実施形態では、誘電体118は、ソース電極102上、ドレイン電極104上、第2のフィールドプレート110上に、また、ゲート電極106とバリア層116の部分上にも形成される。また、誘電体118は、図示のように、第2のフィールドプレート110と第1のフィールドプレート108間にも形成され得る。
【0032】
図示されていないが、前記誘電体118は、同じ材料の層または複数の異なる材料の層を含む複数の層として形成されてもよい。種々の実施形態では、誘電体118の1つまたは複数の層は、窒化ケイ素または二酸化ケイ素を含む。他の誘電体も同様に好適であり得る。
【0033】
図4は、FETスイッチ400の別の実施形態を示す。図示のように、FETスイッチ400は、例えば、バリア層416、基板412上に形成されたチャネル層414およびこれらの上にある誘電体418を含むなどの、図1〜3に関して説明したFETスイッチ100の特徴の一部を含む。また、FETスイッチ400は、ソース電極402、ドレイン電極404、および一体型の第1のフィールドプレート408を有するゲート電極406も含む。
【0034】
また、前記FETスイッチ400は、ソース電極402およびドレイン電極404から実質的に等距離に配置された第2のフィールドプレート410も含む。FETスイッチ400の第2のフィールドプレート410は、図1〜3に示したFETスイッチ100の第2のフィールドプレート110のように実質的に平坦ではなく、FETスイッチ400活性領域側に、すなわち、バリア層416側に折り曲げられた端部410aおよび410bを含む。種々の実施形態では、端部410aおよび410bをFETスイッチ400の活性領域側に折り曲げることによって、ゲート−ソース領域およびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減する効果が得られ、さらに降伏電圧を増大させ得る。また、この降伏電圧の増大によって、FETスイッチ400の電力処理性能を増大させ得る。
【0035】
図5は、FETスイッチ500の別の実施形態を示す。図示のように、FETスイッチ500は、例えば、バリア層516、基板512上に形成されたチャネル層514およびこれらの上にある誘電体518を含むなど、図1〜3に関して説明したFETスイッチ100の特徴の一部を含む。また、FETスイッチ500は、ソース電極502、ドレイン電極504、一体型の第1のフィールドプレート508を有するゲート電極506および第2のフィールドプレート510も含む。
【0036】
また、前記FETスイッチ500は、第2のフィールドプレート510に近接配置された第3のフィールドプレート522も含む。第1のフィールドプレート508および第2のフィールドプレート510のように、第3のフィールドプレート522は、ソース電極502およびドレイン電極504から実質的に等距離に配置される。第2のフィールドプレート510および第3のフィールドプレート522の1つ、あるいはその両方は、浮いているか、あるいはアースされるように構成されてもよく、あるいは図示のように、第2のフィールドプレート510がソース電極502に連結され第3のフィールドプレート522がドレイン電極504に連結されるように構成されてもよい。
【0037】
種々の実施形態では、第3のフィールドプレート522を追加することにより、ゲート−ソース領域およびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減する効果が得られ、降伏電圧をさらに増大させ得る。また、この降伏電圧の増大によって、FETスイッチ500の電力処理性能を増大させ得る。
【0038】
図6は、FETスイッチ600の別の実施形態を示す。図示のように、FETスイッチ600は、例えば、バリア層616、基板612上に形成されたチャネル層614およびこれらの上にある誘電体618を含むなど、図1〜3に関して説明したFETスイッチ100の特徴の一部を含む。また、FETスイッチ600は、ソース電極602、ドレイン電極604、および一体型の第1のフィールドプレート608を有するゲート電極606も含む。
【0039】
また、前記FETスイッチ600は第2のフィールドプレート610も含む。FETスイッチ600の第2のフィールドプレート610は、図1および図3に示したFETスイッチ100の第2のフィールドプレート110のように単一の材料片ではなく、図示のように、第1のフィールドプレート部610aと、それから離れた第2のフィールドプレート部610bを含む。第1および第2のフィールドプレート部610aおよび610bは、浮いているか、あるいはアースされるように構成されてもよく、あるいは、第1のフィールドプレート部610aがソース電極602に連結され第2のフィールドプレート部610bがドレイン電極604に連結されるように構成されてもよい。
【0040】
種々の実施形態では、2つのフィールドプレート部610aおよび610bを含む第2のフィールドプレート610は、ゲート−ソース領域およびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減させる効果を有し得、降伏電圧をさらに増大させ得る。また、この降伏電圧の増大によって、FETスイッチ600電力処理性能を増大させ得る。
【0041】
図7は、FETスイッチ700のさらに別の実施形態を示す。図示のように、FETスイッチ700は、例えば、バリア層716、基板712上に形成されたチャネル層714およびこれらの上にある誘電体718を含むなどの、図1〜3に関して説明したFETスイッチ100の特徴の一部を含む。また、FETスイッチ700は、ソース電極702、ドレイン電極704および一体型の第1のフィールドプレート708を有するゲート電極706も含む。
【0042】
また、前記FETスイッチ700は、第2のフィールドプレート724および第3のフィールドプレート726も含む。第2のフィールドプレート724は、図1および図3に示したFETスイッチ100の第2のフィールドプレート110のように第1のフィールドプレート708上に配置されずに、ソース電極702上に配置され、第3のフィールドプレート726はドレイン電極704上に配置される。図示のように、第2のフィールドプレート724は、ソース電極702からゲート電極706側に突き出てもよい。同様に、第3のフィールドプレート726は、ドレイン電極704からゲート電極706側に突き出てもよい。
【0043】
種々の実施形態では、ソース電極702上に第2のフィールドプレート724を配置し、ドレイン電極704上に第3のフィールドプレート726を配置することによって、ゲート−ソース領域およびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減する効果を有し得、また降伏電圧をさらに増大させ得る。また、降伏電圧のこの増大によって、FETスイッチ700の電力処理性能を増大させ得る。
【0044】
図8は、FETスイッチ800のさらに別の実施形態を示す。図示のように、FETスイッチ800は、例えば、バリア層816、基板812上に形成されたチャネル層814およびこれらの上にある誘電体818を含むなどの、図7に関して説明したFETスイッチ700の特徴の一部を含む。また、FETスイッチ800は、ソース電極802、ドレイン電極804および一体型の第1のフィールドプレート808を有するゲート電極806も含む。また、FETスイッチ800は、ソース電極802上に配置された第2のフィールドプレート824およびドレイン電極804上に配置された第3のフィールドプレート826を含む。
【0045】
また、前記FETスイッチ800は、第2のフィールドプレート824に近接配置された第4のフィールドプレート828と、第3のフィールドプレート826に近接配置された第5のフィールドプレート830も含む。また、別のフィールドプレート810は、第1のフィールドプレート808に近接配置され、ソース電極802とドレイン電極804から実質的に等距離に配置されてもよい。追加のフィールドプレートを使用することによって降伏電圧をさらに増大させ、ゲート−ソースおよびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減させてもよい。
【0046】
種々の実施形態では、第4のフィールドプレート828と第5のフィールドプレート830(あるいは図示されたものより更に多くのフィールドプレート)を追加することによって、本明細書で議論した他の実施形態と同様に、ゲート−ソース領域およびゲート−ドレイン領域の電界をさらに低減させる効果を有し得、降伏電圧をさらに増大させ得る。また、この降伏電圧の増大によって、FETスイッチ800の電力処理性能を増大させ得る。
【0047】
本明細書に記載のFETスイッチをスイッチ回路の単位セルに組み込んでもよい。図9は、6つの個々のFETを含む単位セルの一例の平面図である。しかしながら、単位セルは任意の数のトランジスタを含み得ることに留意されたい。
【0048】
図9に示すように、単位セル900は、バリア層916上またはそれに埋め込まれた複数のゲート電極906、例えばゲートフィンガと、複数のドレイン電極904、例えばドレインフィンガと、複数のソース電極902、例えばソースフィンガと、を含む。単位セル900は、ゲート電極906への接続用ゲートパッド932と、ソース電極902への接続用ソースパッド944と、ドレイン電極904への接続用ドレインパッド934と、を含んでいてもよい。ソース電極902は、ソース相互接続ブリッジ946によって相互接続されてもよく、ドレイン電極904は、ドレイン相互接続ブリッジ948によって相互接続されてもよい。種々の実施形態では、相互接続ブリッジ946および948はエアブリッジであってもよい。
【0049】
個々のトランジスタの各々は、ソース電極902のうちの1つ、ゲート電極906のうちの1つおよびドレイン電極904のうちの1つで形成されてもよい。ゲート電極906は、隣接するソース電極902とドレイン電極904から実質的に等距離にある一体型の第1のフィールドプレート(図示せず)を含んでいてもよい。また、本明細書で議論するように、個々のトランジスタの各々は、第1のフィールドプレートに近接配置され、さらに、図1に示すFETスイッチ100の構造と同様な、隣接するソース電極902とドレイン電極904から実質的に等距離にある第2のフィールドプレート910を含んでいてもよい。簡略化のために、図9では、2つの第2のフィールドプレート910だけが示されている。種々の他の実施形態では、個々のトランジスタはその代わりとして、図4〜8を参照して議論した構造の1つと同様な構造を有する。
【0050】
前記単位セル900はさらに、制御電圧との連結用制御パッド936を含む。該制御電圧はその後、一連の抵抗922経由でゲート構造932に供給されてもよい。
【0051】
本明細書で議論するように、フィールドプレートは、浮いているかあるいはグラウンドソースに連結するように構成されてもよい。図9に示す単位セル900では、第2のフィールドプレート910は、相互接続942経由でアースパッド940に連結される。アースパッド940は、グラウンドソースとの連結用に構成されてもよい。
【0052】
種々の実施形態では、FETスイッチと、FETスイッチを組み込んだ単位セルとは、トリプルゲート構造が採用されてもよい。トリプルゲート構造を含む単位セル1000の一例を図10に示す。
【0053】
図示のように、単位セル1000は、例えば、バリア層1016上またはそれに埋め込まれた複数のゲート電極1006(例えばゲートフィンガ)と、複数のドレイン電極1004(例えばドレインフィンガ)と、複数のソース電極1002(例えばソースフィンガ)と、を含むなど、図9に関して説明した単位セル900の特徴の一部を含む。単位セル900は、ゲート電極1006への接続用ゲートパッド1032と、ソース電極1002への接続用ソースパッド1044と、ドレイン電極1004への接続用ドレインパッド1034と、を含んでいてもよい。ソース電極1002は、ソース相互接続ブリッジ1046によって相互接続され、ドレイン電極1004はドレイン相互接続ブリッジ1048によって相互接続されてもよい。
【0054】
図示の実施形態では、隣接するソース電極1002とドレイン電極1004との間に単一のゲート電極1006が含まれるのではなく、隣接するそれらの電極間に3つのゲート電極1006が含まれる。また、それぞれのゲート電極1006は、一体型の第1のフィールドプレート(図示せず)を含んでいてもよい。3つのゲート電極1006の第1のフィールドプレートは、中央のゲート電極1006が、隣接するソース電極1002と隣接するドレイン電極10004とから実質的に等距離であるように、第1のフィールドプレートが互いに実質的に等距離に配置されるように構成されてもよい。また、ゲート電極1006も互いに実質的に等距離であってもよい。
【0055】
また、本明細書で議論されるように、個々のトランジスタの各々は、第1のフィールドプレートに近接配置された第2のフィールドプレート1010を含んでいてもよい。第2のフィールドプレート1010は、中央のフィールドプレート1010が、隣接するソース電極1002と隣接するドレイン電極10004とから実質的に等距離であるように、隣接する第2のフィールドプレート1010から実質的に等距離にあってもよい。種々の他の実施形態では、個々のトランジスタはその代わりとして、図4〜8を参照して議論した構造の1つと同様の構造を有していてもよい。
【0056】
前記単位セル1000はさらに、制御電圧との連結用制御パッド1036を含む。該制御電圧はその後、相互接続1022経由でゲート電極1006に供給されてもよい。
【0057】
本明細書で議論したように、フィールドプレートは、浮いているかあるいはグラウンドソースに連結するように構成されてもよい。図10に示した単位セル1000では、第2のフィールドプレート1010は浮いている。他の実施形態では、第2のフィールドプレート1010は、図9を参照して説明した単位セル900と同様な方法でグラウンドソースに連結されてもよい。
【0058】
本明細書で記述したパッケージの実施形態は、種々の装置およびシステムに組み込まれてもよい。典型的なシステム1100のブロック図を図11に示す。図示のように、システム1100は、RF電力増幅器1134を含む。システム1100は、図示のように、RF電力増幅器1134に連結したトランシーバ1136を含んでいてもよい。
【0059】
前記RF電力増幅器1134は、トランシーバ1136からRF入力信号(RFin)を受信してもよい。RF電力増幅器1134は、RF入力信号(RFin)を増幅してRF出力信号(RFout)を提供してもよい。RF入力信号(RFin)およびRF出力信号(RFout)は共に、図11においてそれぞれTx−RFinおよびTx−RFoutで示した、送信チェーンの一部であってもよい。
【0060】
前記増幅されたRF出力信号(RFout)は、FETスイッチ1138に提供されてもよい。FETスイッチ1138は、アンテナ構造1140経由でRF出力信号(RFout)の空中伝送(OTM)を実現し得る。また、FETスイッチ1138は、アンテナ構造1140経由でRF信号を受信し、受信したRF信号(Rx)を受信チェーンに沿ってトランシーバ1336に連結してもよい。FETスイッチ1138は、本明細書で記述したように、追加のフィールドプレートを有するトランジスタを含んでゲート−ソースおよびゲート−ドレイン領域の電界を低減し、また、降伏電圧を増大させてもよい。FETスイッチ1138にこれらのトランジスタを使用することによって、高電力スイッチングに伴う高RF電圧スイングに対応する性能を備えたFETスイッチ1138を提供し得る。
【0061】
種々の実施形態では、前記アンテナ構造1140は、例えば、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ、あるいはRF信号のOTA送受信に好適な任意の他の形式のアンテナなどの指向性アンテナおよびまたは全方向性アンテナの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0062】
前記システム1100は、電力増幅を含む任意のシステムであってもよい。種々の実施形態では、システム1100は、高無線周波数電力と周波数での電力増幅に特に有用であり得る。例えば、システム1100は、任意の1つまたは複数の陸上通信と衛星通信、およびレーダシステムに対して、そしておそらく種々の産業および医療用途において好適であり得る。レーダ用途には、軍事用レーダ、航空交通管制、航海(ナビゲーション)などが含まれ得る。
【0063】
種々の実施形態では、前記システム1100は、レーダ装置、衛星通信装置、携帯電話、携帯電話基地局、放送ラジオまたはテレビジョン増幅システムから選択された1つであり得る。システム1100は、高周波送受信のための電力増幅が要求される用途などの他の用途において適用可能性を見出し得る。
【0064】
上記の実施形態に関して本開示を説明したが、同じ目的を達成するように意図された広範な代替およびまたは等価な方法を用いて、本開示の範囲から逸脱することなく、提示・説明した実施形態を置き換えられることは当業者には理解されるであろう。当業者であれば、本開示による実施形態は広範な実施形態で実施され得ることは容易に理解するであろう。本記述は、例示のためのものであって限定するものではないと見なされるように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11