(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693577
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】経皮生検用の自動装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A61B10/02
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-522321(P2012-522321)
(86)(22)【出願日】2010年7月27日
(65)【公表番号】特表2013-500117(P2013-500117A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】IB2010053407
(87)【国際公開番号】WO2011013066
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年6月6日
(31)【優先権主張番号】RM2009A000392
(32)【優先日】2009年7月27日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512023214
【氏名又は名称】オドアルド、ブレッシニアーニ
【氏名又は名称原語表記】ODOARDO BURESSINIANI
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ、ブレッシニアーニ
【審査官】
宮澤 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−192134(JP,A)
【文献】
特開2006−239433(JP,A)
【文献】
特開2005−052408(JP,A)
【文献】
特表平10−513384(JP,A)
【文献】
特表2006−506200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮生検用の装置(1)において、
互いに固定可能な第1のハーフシェル(P)と第2のハーフシェル(Q)とからなるケーシング(2)を備え、
前記ケーシング(2)内にはチャンバー(3)が形成され、前記チャンバー(3)内でスライド要素(E)がスライド方向に沿ってスライド可能であり、
前記スライド要素(E)に、第1の中空円筒体からなる第1のカニューレ(A)と第2の中空円筒体からなる第2のカニューレ(C)とが連結され、
前記第1のカニューレ(A)と前記第2のカニューレ(C)とは、前記スライド方向に平行な、共通する長手軸(Z)を有し、
前記第2のカニューレ(C)は、前記第1のカニューレ(A)内に挿入され、
前記第1のカニューレ(A)は、その遠位端に前記第2のカニューレ(C)と相互作用する固定要素(B)を有し、
前記固定要素(B)は、前記第1のカニューレ(A)の前記遠位端の内部に固定された第3の中空円筒体を有し、
前記第3の中空円筒体は、その近位端に一対の刻み目(B10)を有し、
前記第2のカニューレ(C)は、その遠位端に一対の板要素(C10)を有し、前記一対の板要素(C10)は、径方向に互いに反対の位置に設けられるとともに、前記一対の刻み目(B10)と相互作用し、
前記第1のカニューレ(A)は、前記スライド要素(E)に対して回転自在となるように前記スライド要素(E)の第1の座部(E1)に挿入可能であり、前記第2のカニューレ(C)は、前記スライド要素(E)に対して回転自在となるように前記スライド要素(E)の第2の座部(E2)に挿入可能であり、前記第2のカニューレ(C)は、その近位端に、前記第2のカニューレ(C)が長手軸(Z)に平行に前記スライド要素(E)に対してスライドすることを防止する固定要素(K)を有することを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記刻み目(B10)は、その遠位端において前記第3の中空円筒体の壁部に向かって終端し、この終端する領域内で、前記壁部は一対の径方向反対に位置する斜面(B20)を有し、前記斜面(B20)は、前記壁部前記板要素(C10)を前記第2のカニューレ(C)および前記第1のカニューレ(A)と共通する長手軸(Z)に向けて偏向させるよう、前記板要素(C10)と相互作用することを意図されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記第1のカニューレ(A)の近位端は、前記第1のカニューレ(A)を長手軸(Z)周りに回転させる第1の駆動要素(H)に固定されている、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第1の駆動要素(H)は、連結要素(J)により、前記第2のカニューレ(C)にスプライン結合された第2の駆動要素(I)に連結されている、請求項3記載の装置(1)。
【請求項5】
前記連結要素(J)は、前記第1の駆動要素(H)が前記連結要素(J)上を前記長手軸(Z)に平行にスライド可能となるように、前記第1の駆動要素(H)に結合されている、請求項4記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第2の駆動要素(I)は、軸(i)上で回転自在に設けられたピニオン(F)に係合するクラウン歯車を有し、前記軸(i)は、前記スライド要素(E)に固定されるとともに前記長手軸(Z)に垂直であり、前記ピニオン(F)は、ギアホイール(F1)に固定されており、前記ギアホイール(F1)もまた前記軸(i)上で回転自在であり、前記ギアホイール(F1)は、前記第2のハーフシェル(Q)内部に固定されるとともに前記長手軸(Z)に平行に配置されたラック(Q2)に係合する、請求項4または5記載の装置(1)。
【請求項7】
前記長手軸(Z)に垂直な方向に前記スライド要素(E)に対してスライド可能な追加の固定要素(G)を更に備え、当該第2の固定要素(G)は、前記第1の駆動要素(H)の溝(H1)内に挿入可能な第1端部(G1)を有する、請求項3乃至6のいずれか一項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記追加の固定要素(G)の第2端部(G2)は、前記第2のハーフシェル(Q)内に設けられた座部(Q4)内に挿入可能である、請求項7記載の装置(1)。
【請求項9】
前記追加の固定要素(G)の前記第1端部(G1)および前記第2端部(G2)は、前記長手軸(Z)に垂直な前記方向に対して傾斜している、請求項7または8記載の装置(1)。
【請求項10】
前記スライド要素(E)の端面(X)に、前記端面(X)から前記長手軸(Z)に平行な方向に突出するロッド(W)が設けられ、弾性要素(Y)が前記ロッド(W)上に配置され、前記弾性要素(Y)の端部が前記第2のハーフシェル(Q)内に設けられた座部(T)内に収容される、請求項1乃至9のいずれか一項記載の装置(1)。
【請求項11】
前記弾性要素(Y)は、コイルばねからなる、請求項10記載の装置(1)。
【請求項12】
前記第2のハーフシェル(Q)の下部でスライド可能な引張要素(M)を更に備え、前記引張要素(M)は、前記回転軸(i)の下端(i1)を収容するスリット(M1)を有する、請求項7に従属する、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
前記引張要素(M)は、その近位端に前記ケーシング(2)から外方に突出する把持部(R)を有し、前記引張要素(M)が横方向移動軸(M2)を有することも可能であり、前記横方向移動軸(M2)の端部が、前記第2のハーフシェル(Q)のスロット(Q7)を介して前記ケーシング(2)から外方に突出する、請求項12記載の装置(1)。
【請求項14】
前記スライド要素(E)は、前記スライド要素(E)の第3の座部(E3)に挿入される拘束要素(S)を有し、前記拘束要素(S)は、前記スライド要素(E)のスライドを係止するために前記第2のハーフシェル(Q)の追加の座部(Q6)内に係合するようになっている、請求項1乃至13のいずれか一項記載の装置(1)。
【請求項15】
前記ケーシング(2)に固定されるとともに、前記第1のカニューレ(A)および前記第2のカニューレ(C)に結合されたスピンドル(D)を更に備え、前記第1のカニューレ(A)および前記第2のカニューレ(C)が前記スピンドル(D)上をスライド可能となっている、請求項1乃至14のいずれか一項記載の装置(1)。
【請求項16】
前記スピンドル(D)は、進入先端(D10)を有するとともに、内部が中空である、請求項15記載の装置(1)。
【請求項17】
前記スピンドル(D)の近位端に連結要素(V)が設けられ、これにより前記スピンドル(D)が吸引装置に連結されて、前記スピンドル(D)内部に真空が発生する、請求項15または16記載の装置(1)。
【請求項18】
前記スピンドル(D)は、前記進入先端(D10)の近傍に開口(D12)を有する、請求項16または17記載の装置(1)。
【請求項19】
前記スピンドル(D)は、内部にシールワッシャーを挿入可能な溝(D11)を有する、請求項15乃至18のいずれか一項記載の装置(1)。
【請求項20】
前記第2のハーフシェル(Q)は、前記第1の駆動要素(H)が前記長手軸(Z)に平行な方向に動作することを係止するために前記第1の駆動要素(H)と相互作用する隣接要素(Q3)を有する、請求項3乃至19のいずれか一項記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査のための軟組織および硬組織の生検標本を採取するために、ばね、空圧、油圧、電気機械、または電磁石の駆動システムによって駆動される、経皮生検用の自動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂または例えばアルミニウムまたは鋼鉄といった金属からなるボディと、例えばばねによってスライド可能に駆動する例えばスライドまたはキャリッジといった、針を収納するためのスライド可能要素と、からなる経皮生検用の装置が知られている。
【0003】
針は、末端部分を切除するために患者の体の組織に進入するのに適した鋭利な先端を有するカニューレと、カニューレ内に挿入可能であるとともにカニューレ内をスライドするマンドレルとから実質的に構成される。マンドレルもまたその遠位端が鋭利であり、マンドレルは、長手方向に延びるとともに切除された組織標本を保持するのに適するハウジングを有している。
【0004】
生検を実行するために、針のカニューレは、生検装置の第1のスライドまたはキャリッジ上に配置され、マンドレルは、第2のスライドまたはキャリッジ上に配置されるとともにそれぞれのカニューレ内に導入され、第1のスライドまたはキャリッジと第2のスライドまたはキャリッジとを位置決めして、カニューレがマンドレルのハウジングを覆うようにする。
【0005】
組織標本を取り除かなくてはならない領域まで針が患者の体に挿入された後、装置は、マンドレルを引っ張る第2のスライドまたはキャリッジを前進させるように駆動され、それによってマンドレルが前進し、マンドレルは、その内部に組織の一部分が進入するハウジングが覆われない状態となるよう、針のカニューレから抜け出す。このとき、第1のスライドまたはキャリッジが前進し、カニューレがマンドレル上を前進し、ハウジング内に進入した組織の一部分を組織の残りの部分から切り取り、かつハウジングを覆う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような経皮生検用の装置の短所は、針の金属壁と切除された組織の抵抗との間の摩擦現象という事実にある。これは、2つの前進工程のうち後者において、駆動システムがカニューレを搬送するスライドまたはキャリッジに対して加える推進力のかなりの割合を吸収し、解放工程において、しはしば組織がきれいかつ完全に切除されず、さらに悪いことには、針のシステムが閉まらないという結果につながる。
【0007】
他の経皮生検用の装置が知られており、これは、径および長さを変化させることができる中空円筒形状を有する針を有し、針の一端、いわゆる近位端に、オペレーターが針を使用可能とするのに適したグリップが設けられ、一方、針の他端、いわゆる遠位端に、取り除かれる組織標本を周囲の組織から少なくとも部分的に分離するのに適した切断端を有している。
【0008】
通常、針は、針内でスライド可能となる寸法を有する鋼ロッドからなるマンドレルに結合されている。このようなロッドは、針の遠位端から突出する鋭利な端部を有し、かつ、端部はそれが組織標本を取り除かなくてはならない領域に到達するまで、患者の体の組織を穿孔することを意図されている。挿入されたマンドレルとともに、針が組織標本を取り除かなくてはならない領域に到達した後、マンドレルは抜き出され、針は組織のさらに内部に押され、組織標本が針内部に進入する。
【0009】
このような他の装置は、針が患者の体内に進入するとともに採取された組織標本を内部に集めた後、針の近位端にスライド可能に挿入される要素を有している。
【0010】
このような固定要素は、針の内壁の区域と、内部に集められた組織標本との間に挿入されることが可能なように形成されている。
【0011】
固定要素が中空体の先細の端部まで押された時、それは径方向内側に偏向されて、組織標本を中空針の内壁の反対側の区域に押圧するようになっている。
【0012】
これは、固定要素の一部と針の内壁との間にある程度の標本の固定力が生じることを引き起こす。
【0013】
針の抜き出し工程中、この固定力により組織標本は針の中で保持されるべきであり、一方で、標本の遠位端は、針を抜き出すことによりもたらされる引張の効果と、針の回転との両方によって、周囲の標本から分離される。
【0014】
それにもかかわらず、このような他の装置も重大な短所を有している。
【0015】
固定要素を針に挿入することは非常に繊細な作業であり、潰れたりまたは傷付いたりすることにより、針の遠位端内に進入した標本が損傷することがしばしばある。取り除かれたが傷付いた標本は、臨床検査において改変を生じるおそれがあり、このため患者は生検を再度受けることを強いられ、結果として外傷の顕著な悪化や苦痛を生じることとなる。
【0016】
標本、固定要素および中空針の内壁の間の摩擦の効果によって生じる固定力は、標本を固定するのに十分ではないであろう。この状況で、必要性に対して与えられる回転の効果は、期待された効果を有さないであろうから、標本を採取することは不可能である。
【0017】
固定力が十分でないことにより生じるであろう他の良好でない状態は、抜き取り作業中、針の内部空間から標本が失われることである。この状況の下、取り除かれる前に中空針が横切る組織の内部にある標本を失うことがありうる。
【0018】
本発明の目的は、上述した欠点がなく、かつ組織標本を信頼性のある態様で採取することが可能な、経皮生検用の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、請求項1記載の経皮生検用の装置により達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生検装置の移動可能部分間の摩擦の影響を減らし、組織標本を損傷する危険を冒さずに、採取されるべき組織標本を残りの組織からより高い信頼性で分離することが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】
図3は、
図2の拡大及び断面詳細図であり、内部に有機組織標本が捕捉されるとともに有機組織から取り除かれる、本発明による装置の一部分に関する図。
【
図6】
図6は、
図3の更なる拡大詳細図であり、
図7とともに、2つの異なる動作状態を示す図。
【
図7】
図7は、
図3の更なる拡大詳細図であり、
図6とともに、2つの異なる動作状態を示す図。
【
図8】
図8は、有機組織標本を取り除く際の、本発明による装置の動作を示す図。
【
図9】
図9は、有機組織標本を取り除く際の、本発明による装置の動作を示す図。
【
図10】
図10は、有機組織標本を取り除く際の、本発明による装置の動作を示す図。
【
図21】
図21は、本発明による装置の外側ケーシングを構成する第1のハーフシェルを示す外面図。
【
図23】
図23は、本発明による装置の外側ケーシングを構成する第2のハーフシェルを示す外面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照することにより、非限定的な例示目的で、以下本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1において、本発明による装置1が図示されており、装置1は、互いに固定可能な第1のハーフシェルP(
図21)と第2のハーフシェルQとからなるケーシング2を備えている。
図1において、第2のハーフシェルQだけが見えている。
【0024】
ケーシング2内には、内部にスライド要素Eが収納されたチャンバー3が形成され、スライド要素Eは、チャンバー3内部でガイドQ1に沿ってスライド可能となっている。第1の中空円筒体からなる第1のカニューレAと、第2の中空円筒体からなる第2のカニューレCとは、スライド要素Eに連結されている。第2のカニューレCは第1のカニューレA内に挿入され、第1のカニューレAは、少なくとも限られた範囲で、第2のカニューレCに関して長手軸Zにスライド可能である。この長手軸Zは、カニューレA、Cの両方に共通しており、チャンバー3内でスライド要素Eがスライドする方向に平行である。
【0025】
第1のカニューレAの遠位端は、最小限の突出の設定値でケーシング2から突出し、この設定値は、当該遠位端が生検検査のために組織標本を取り除く領域に達するまで遠位端を患者の体に挿入するのに適している。
【0026】
第1のカニューレAおよび第2のカニューレCは、長手軸Zの周りに回転可能となるようにスライド要素Eに連結されている。第1のカニューレAおよびスライド要素Eは、第1のカニューレAを第1の座部E1(
図15)に挿入することにより連結されており、第1のカニューレAは、第1の座部E1の内部で長手軸Zの周りに回転自在となっている。同様に、第2のカニューレCおよびスライド要素Eは、第2のカニューレCを第2の座部E2(
図15)に挿入することにより連結されており、第2のカニューレCは、第2の座部E2の内部で長手軸Zの周りに回転自在となっている。
【0027】
第2のカニューレCは、その近位端に、第2のカニューレCが長手軸Zに平行な方向にスライド要素Eに対してスライドすることを防止する固定要素Kを更に有している。
【0028】
第2のカニューレCは、その遠位端において、径方向に互いに反対の位置に設けられた一対の板要素C10で終端している。
【0029】
第1のカニューレAの遠位端であって、第1のカニューレAの内部に、第2のカニューレCの板要素C10と相互作用することを意図する固定要素Bが固定されている。以下により詳細に説明するように、固定要素Bは、板要素C10が有機組織に接触したときに板要素C10の変形を防ぐとともに、板要素C10を長手軸Zに向けて偏向させるためのものである。
【0030】
固定要素Bは、その近位端に一対の刻み目B10を有する第3の中空円筒体(
図5)からなり、一対の刻み目B10は、径方向に互いに反対の位置に設けられ、板要素C10を受容するのに適している。
【0031】
一対の刻み目B10は、その遠位端において、固定要素Bの第3の中空円筒体の壁部に向かって終端し、この終端する領域内で、壁部は一対の径方向反対に位置する斜面B20を有する。斜面B20は、板要素C10を長手軸Zに向けて偏向させるよう、板要素C10と相互作用することを意図されている。
【0032】
第1のカニューレAは、その近位端において、第1のカニューレAを長手軸Zの周りに回転させるのに適する第1の駆動要素Hに固定されている。
【0033】
第1の駆動要素Hは、連結要素Jにより第2の駆動要素Iに連結されており、この第2の駆動要素Iは、第2のカニューレCにスプライン結合されるとともにクラウン歯車からなっている。連結要素Jは、第1の駆動要素Hが連結要素J上を長手軸Zに平行な方向にスライド可能となるように、第1の駆動要素Hに結合されている。連結要素Jは、第2の駆動要素Iにしっかりと連結された第1端部を有する枢軸からなっていてもよく、一方第2端部は第1の駆動要素Hにスライド可能に連結され、第1の駆動要素Hと第2の駆動要素Iとが回転に関して互いに連結されるようになっているが、長手軸Zに平行な方向への移動に関しては互いに連結されていない。この結果、第1のカニューレAおよび第2のカニューレCについても、回転に関して互いに連結されるようになっているが、長手軸Zに平行な方向への移動に関しては互いに連結されていない。
【0034】
長手軸Zに実質的に垂直な方向にスライド要素Eに対してスライド可能な追加の固定要素Gが、スライド要素Eに設けられている。追加の固定要素Gの第1端部G1は、第1の駆動要素Hの溝H1内に挿入可能であり、一方、追加の固定要素Gの第2端部G2は、第2のシェルQの座部Q4内に挿入可能である。追加の固定要素Gの第1端部G1および第2端部G2は、追加の固定要素Gのスライド方向に対して傾斜している。
【0035】
追加の固定要素Gの第1端部G1が溝H1内に挿入されたとき、第1の駆動要素Hはスライド要素Eに連結され、かつ第1のカニューレAは第2のカニューレCに対してスライドすることができない。反対に、追加の固定要素Gが座部Q4に達したとき、その第2端部G2は座部Q4内に挿入され、一方、第1端部G1は溝H1を抜け出し、第1の駆動要素Hはスライド要素Eと連結解除され、かつ第1のカニューレAは第2のカニューレCに対してスライドすることができるようになる。
【0036】
第2のハーフシェルQ内部に、追加の固定要素Gが座部Q4に達したとき第1の駆動要素Hが当接する隣接部Q3が設けられている。
【0037】
クラウン歯車Iは、回転軸i上で回転自在に設けられたピニオンFに係合し、回転軸iはスライド要素Eに固定されるとともに長手軸Zに垂直である。ピニオンFはギアホイールF1に固定されており、ギアホイールF1もまた回転軸i上で回転自在である。ギアホイールF1は、第2のハーフシェルQ内部に固定されるとともに長手軸Zに平行に配置されたラックQ2に係合する。
【0038】
スライド要素Eがチャンバー3内部でスライドするとき、ギアホイールF1は、ラックQ2に係合することにより回転軸iの周りを回転する。ピニオンFは回転動作をクラウン歯車Iに伝達し、クラウン歯車Iは連結要素Jにより第1の駆動要素Hを回転させる。かくして、第1の駆動要素Hに固定された第1のカニューレAと、クラウン歯車Iに固定された第2のカニューレCとは、スライド要素がチャンバー3内部でスライドする間、その共通軸Zの周りを同一の速度で一緒に回転する。第1のカニューレAおよび第2のカニューレCが同時に回転することは、回転中に2つのカニューレ間に摩擦抵抗が生じえないことを意味し、このことは本発明による生検装置の効率を向上させる。
【0039】
スライド要素Eは、その端面Xに、端面Xから突出するとともにスライド要素Eのスライド方向に平行なロッドWを有している。ロッドW上には、弾性要素Y、例えばコイルばねが配置されており、その端部は第2のハーフシェルQ内に設けられた座部T内に収容される。
【0040】
コイルばねは、スライド要素Eがチャンバー3内でスライドするための推進力を提供する。
【0041】
実際、スライド要素Eを座部Tの方向、すなわち
図1の左方へ向けて後退させることにより、コイルばねYは圧縮され、弾性エネルギーを蓄積する。この弾性エネルギーは、それが放出された時、スライド要素Eを座部Tから離れる方向、すなわち
図1の右方にスライドさせる推進力を発生する。
【0042】
コイルばねYに荷重を加えるための、座部Tへ向けたスライド要素Eのスライドは、引張要素Mによって制御される。引張要素Mは、ガイドQ5に沿って第2のハーフシェルQの下部でスライド可能であり、かつ装置のケーシング2から外方に突出する把持部Rを有している。
【0043】
引張要素M(
図19および
図20)は、軸iの下端i1を収容するスロットM1を有する。引張要素Mをケーシング2から抜き出すように引張要素Mに対して引張りを実行することにより、下端i1がスロットM1の端部に当接し、このときスライド要素EはコイルばねYの座部Tに向けて引っ張られてコイルばねYに荷重が加わる。把持部Rに加え、引張要素Mは、横方向移動軸M2を有していてもよい。横方向移動軸M2の端部は、第2のハーフシェルQの追加のスロットQ7を介してケーシング2から外方に突出し、把持部Rの代わりに横旋回軸M2を用いることにより引張要素Mが駆動されることを可能にする。
【0044】
スライド要素Eを引張りばねYに荷重が加わる位置に保持するために、例えば停止爪のような拘束要素Sが設けられている。拘束要素Sは、スライド要素Eの第3の座部E4に挿入されるとともに、スライド要素Eを所定位置に係止するために第2のハーフシェルQに設けられた追加の座部Q6内に係合可能となっている。
【0045】
本発明による生検装置は、マンドレルD(
図12)を更に備えている。マンドレルDは、ケーシング2に固定されるとともに、進入先端D10が固定要素Bの遠位端から現れるまで第2のカニューレCおよび固定要素Bの内部に挿入可能である。進入先端D10は、カニューレAおよびCを患者の体組織に導入することを促進するために用いられる。
【0046】
スピンドルDは、内部が中空であるとともに、その近位端に例えばルアー円錐(Luer cone)のような連結要素Vを有し、これによりスピンドルDが吸引装置に連結されて、スピンドルDの内部に真空が発生する。この真空は、例えば、細胞学的検査のためにスピンドル内部の有機液体を吸引するために用いられる。この有機液体は、先端D10の近傍に形成された開口D12を介して吸引される。
【0047】
スピンドルDは、内部にシールリングを挿入可能な溝D11を更に有し、これは、スピンドルDが、密閉された状態で第2のカニューレCの内部で確実にスライドできるのに適する。
【0048】
本発明による生検装置の作用を以下に記載する。
【0049】
カニューレAおよびCをスライド要素E上で連結するとともに、これらカニューレをスピンドルD上に挿入することにより、本発明による装置が組み立てられる。その後、スライド要素EをばねYの端部が挿入された座部Tが位置するチャンバー3の端部に向けて戻すように、引張要素Mを動作することにより、ばねYに荷重が加わる。ばねYに荷重が加わった後、スライド要素Eが爪Sにより所定位置にロックされる。スライド要素Eのこの位置で、スピンドルDの進入先端D10は、カニューレAの遠位端から突出するとともに、この進入先端D10は、第1のカニューレAの遠位端が生検検査のために組織標本を取り除く必要のある領域に到達するまで患者の体内に進入することを促進するために使用可能である。
【0050】
スピンドルDの援助によりカニューレAの遠位端を患者の体内に挿入した後であって、遠位端が組織標本を採取すべき領域に達した後、連結要素Vが吸引装置に連結され、可能な細胞学的検査のために有機液体の標本を採取することができる。
【0051】
組織標本を採取するために、スライド要素Eは解放され、圧縮されたばねYがスライド要素Eを前方に押すように拘束要素Sが動作する。スライド要素Eが前進している間、第1のカニューレAおよび第2のカニューレCはスピンドルDに対して前進し、これによりスピンドルDは第1のカニューレAおよび第2のカニューレCに対して引っ張られる。これにより有機組織30の部分30Aは、それが固定要素Bの近位端、すなわち第2のカニューレC(
図9)の遠位端の板要素C10が内部に挿入される刻み目B10が設けられた近位端に達するまで、第1のカニューレAの遠位端に固定された固定要素Bに進入する。スライド要素Eが前進している間、第1のカニューレAおよび第2のカニューレCはギアホイールF1によって回転され、ギアホイールF1は、ラックQ2、ピニオンF、クラウン歯車Iおよび第1の駆動要素Hに係合する。第1の駆動要素Hが隣接部Q3に当接した時、追加の固定要素Gの端部G2は、第2のシェルQの座部Q4にあり、この結果下方にスライドし、第1の駆動要素Hから解放される。これにより、第1の駆動要素Hはスライド要素Eから解放され、ばねYの推進力の効果により、スライド要素Eは更に前進することができ、一方、第1のカニューレAが連結された第1の駆動要素Hは、隣接部Q3に対して静止したままである。
【0052】
スライド要素Eが更に前進することにより、第2のカニューレCが第1のカニューレAに対して前進する。板要素C10は、一対の斜面B20に対して押圧されるとともに、それが有機組織の部分30Aを取り込むカニューレ空間を完全に閉じるまで板要素C10の長手軸Zに向けて偏向する。第2のカニューレCが回転動作することにより、板要素C10は切断動作によって、有機組織の部分30Aを損傷するおそれなく、残りの有機組織30から有機組織の部分30Aを裂けることなく分離することができる。
【0053】
スライド要素Eが行程の端部に到達した後、有機組織の部分30Aが第2のカニューレCの内部に捕捉されたままであるとき、引張要素Mを動作することにより、スライド要素Eは戻るように移動される。スライド要素Eが戻るように移動する間、追加の固定要素Gは、端部G2と座部Q4の壁部との相互作用の効果により、その第1端部G1が第1の駆動要素Hの溝H1内に挿入されるまで上昇し、再び第1の駆動要素Hに連結されるとともに、第2のカニューレCに対して第1のカニューレAを前進させ、板要素C10が斜面B20から離れ、長手軸Zに平行な位置に戻り、カニューレCの空間を解放するようになっている。スライド要素Eが戻るように移動する間、第1のカニューレAおよび第2のカニューレCはスピンドルD上をスライドし、その先端D10が組織標本30Aを第1のカニューレAおよび第2のカニューレCの先端外方へ押し出し、組織標本30Aを容易に戻せるようになっている。
【0054】
本発明によれば、従来技術で知られた装置において生じるような引き裂き動作ではなく、切断動作によって有機組織の標本が残りの組織から分離されるという事実により、有機組織の標本を採取することが容易かつ確実になり、かつ標本採取中に有機組織の標本が損傷するおそれが実質的に存在しない。
【0055】
さらに、スライド要素Eの最後の前進ステップのみに第1のカニューレAと第2のカニューレCとの間の最小量の相対動作が存在するという事実により、装置の駆動中に生じる摩擦によってばねYの弾性エネルギーの最適利用が可能となり、これは、組織標本が第1のカニューレAおよび第2のカニューレCに問題のある進入を引き起こすと考えられるばねYの不十分な推力により、組織標本を採取し損なう危険性を実質的に取り除く。