特許第5693578号(P5693578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693578パルス幅変調を有するチャージポンプ回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693578
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】パルス幅変調を有するチャージポンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20150312BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150312BHJP
   H03K 17/06 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H02M3/07
   H01L27/04 G
   H03K17/06 C
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-523317(P2012-523317)
(86)(22)【出願日】2010年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-501496(P2013-501496A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2010061284
(87)【国際公開番号】WO2011015578
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】0955470
(32)【優先日】2009年8月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510000633
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、ソシエテ、アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100146123
【弁理士】
【氏名又は名称】木本 大介
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、シュバリエ
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−248240(JP,A)
【文献】 特開2007−124850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0105312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅制御を有するチャージポンプ回路を備える電圧調整器であって、
− 負荷(RLOAD)に対して出力電圧を供給する出力と、
− フライングキャパシタ(CFLY)と、
− 前記出力と並列に結合された電荷蓄積キャパシタ(CTANK)と、
− 制御ロジックと、
− 第1の動作フェーズにおいて、前記フライングキャパシタを充電し、第2の動作フェーズにおいて、前記フライングキャパシタに蓄積された電荷を、前記蓄積キャパシタに移すように、構成され、且つ、前記制御ロジックによって制御される、スイッチング素子と、を有し、
− 各スイッチング素子は、並列に接続され、且つ、個別に制御される、比較的大型のMOSトランジスタと関連付けられた、比較的小型のMOSトランジスタを備え、
− 第1の動作モードにおいて、前記比較的小型のトランジスタのみがスイッチングされ、一方、第2の動作モードにおいて、前記比較的大型のトランジスタがスイッチングされ、
− 前記電圧調整器からの出力電圧と、基準電圧(Vref)との差に対応する、誤り信号(Verror)を生成する誤り信号生成器と、
− 鋸波信号(Vramp)を生成する鋸波信号生成器と、
− 前記誤り信号と前記鋸波信号とを比較し、前記スイッチング素子用のスイッチング信号を生成する、パルス幅変調器と、をさらに備え、
− 前記制御ロジックは、前記誤り信号が前記鋸波信号の最小値よりも小さい場合に、前記調整器を、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに移行させるように構成される、ことを特徴とする電圧調整器。
【請求項2】
前記制御ロジックは、さらに、前記誤り信号が前記鋸波信号の最大値よりも大きい場合に、前記スイッチング信号に対して適用される、パルススキッピング機能を実施するように構成される、ことを特徴とする請求項に記載の電圧調整器。
【請求項3】
前記小型のMOSトランジスタは、関連付けられた前記大型のMOSトランジスタと、それぞれ一体化されており、
前記第2の動作モードにおいて、前記大型のMOSトランジスタは、それぞれが関連付けられた前記小型のMOSトランジスタと同時にスイッチングされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧調整器。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の電圧調整器を備える、ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項5】
パルス幅制御を有するチャージポンプ回路を用いた電圧調整方法であって、
− 負荷に対して出力電圧を供給する出力と、
− フライングキャパシタと、
− 前記出力と並列に結合された電荷蓄積キャパシタと、
− 制御ロジックと、
− 第1の動作フェーズにおいて、前記フライングキャパシタを充電し、第2の動作フェーズにおいて、前記フライングキャパシタに蓄積された電荷を、前記蓄積キャパシタに移すように、構成され、且つ、前記制御ロジックによって制御される、スイッチング素子と、を有し、
各スイッチング素子は、並列に接続され、且つ、個別に制御される、比較的大型のMOSトランジスタと関連付けられた、比較的小型のMOSトランジスタを備え、第1の動作モードにおいて、前記比較的小型のトランジスタのみがスイッチングされ、一方、第2の動作モードにおいて、前記比較的大型のトランジスタがスイッチングされ、
前記出力電圧と、基準電圧(Vref)との差に対応する誤り信号が、鋸波信号の最小値よりも小さい場合に、前記チャージポンプ回路は、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに移行する、ことを特徴とする電圧調整方法。
【請求項6】
前記誤り信号が、前記鋸波信号の最大値よりも大きい場合に、スイッチング素子の制御信号に対して適用されるパルススキッピング機能が、さらに実施される、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記小型のMOSトランジスタが、関連付けられた前記大型のMOSトランジスタと、それぞれ一体化されているときに、前記第2の動作モードにおいて、前記大型のMOSトランジスタは、それぞれが関連付けられた前記小型のMOSトランジスタと同時にスイッチングされる、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、低ドロップアウト電圧調整器に関し、特に、そのような調整器に備えられる、パルス幅変調を有するチャージポンプ回路に関する。
【0002】
本発明は、携帯電話などの電子デバイスに備えられた集積回路におけるアプリケーションを有する。例えば、チャージポンプ回路は、このようなデバイスを備えるオーディオアンプの供給電圧を調整するために、用いられる。
【背景技術】
【0003】
考察されるアプリケーションでは、デバイスの電源は、送電網からの充電電圧を供給する充電器を用いて充電することができる、充電式電池を備える場合がある。供給電圧の利用可能範囲は、充電器によって電圧が供給される場合の約4.8Vから、電池の最小充電電圧に対応する約2.3V(これより低いと、正しい動作が保証できなくなる電圧)である。完全に充電された電池により供給される電圧は、約3.6Vである。
【0004】
オーディオアプリケーションでは、調整器が供給すべき出力電流は、聴音する音量と、再生されるべき音の強さとに応じて、典型的には、10〜20mAである。この範囲の値は、最大電力の約3分の2での聴音に対応する。しかし、より大きな音量の聴音を可能にし、および/または、ピーク電力の引き出しをサポートするために、調整器は、およそ120〜130mAの出力電流を供給可能でなければならない。
【0005】
例えば、長時間の使用の後に、電池の充電が低い場合には、電池によって供給される電圧が低い場合がある。電池の電圧は、また、温度によって影響されることもあるが、それは、温度が低くなるほど、電池が供給する供給電圧も低くなるためである。
【0006】
調整器において使用されるMOS(Metal Oxyde Semiconductor)トランジスタの抵抗率も、温度に大きく依存する。
【0007】
考察されるアプリケーションの種類において満たされるべき仕様に応じて、負荷が大量の電流、例えば120〜130mA、を消費する場合であって、且つ、電池によって供給される供給電圧が、約2.3Vの最小値に低下した場合であっても、デバイスの電圧調整器は、参照電圧を供給可能でなければならない。
【0008】
これらの仕様への準拠を保証するために、電圧調整器は、チャージポンプ回路を備えることができ、このチャージポンプ回路では、スイッチは、典型的には、パワーMOSトランジスタによって実現される。高い出力電流および低い供給電圧にもかかわらず、安定した出力電圧を維持するために、MOSトランジスタの抵抗率は、可能な限り低くなければならない。これが、MOSトランジスタのサイズが大きい理由である。典型的には、MOSトランジスタのゲート幅は、約0.5μmであり、且つ、MOSトランジスタのゲート長は、PMOSトランジスタでは約56mmであり、NMOSトランジスタでは約28mmである。MOSトランジスタのゲートは、典型的には、シリコン基板上の複数のフィンガーによって、折り曲げられる。簡略化のために、以下の説明では、このようなトランジスタを“大きなトランジスタ”と呼ぶ。
【0009】
しかし、このようなトランジスタの寄生ゲート−ソースキャパシタンスは高く、且つ、チャージポンプ回路は、よって、著しいスイッチング損失を有する。これは、回路の消費電力に影響を及ぼす。実際には、以下にPで示される、このスイッチング損失のために失われる電力は、次の数式によって表される。
P=Cgs×F×V (1)
ただし、Cgsは、ゲート−ソースキャパシタンスを示し、
Fは、スイッチング周波数を示し、
Vは、MOSトランジスタの供給電圧を示す。
【0010】
スイッチング損失を減少させるために、DC−DC変換器の領域から取り入れられた“パルススキッピング”技術を用いることができる。この技術は、調整器からの出力電圧と、基準電圧との差に対応する誤り信号が、所与の閾値を超えた場合に、チャージポンプスイッチ用の制御信号のパルスをスキップすることによって、スイッチング周波数を減少させることからなる。しかし、この技術は、負荷によって吸収される電流の極めて低い値に対してのみ適用される。
【0011】
図1は、供給電圧Vddの値と、出力電流Ioutの値とによって定義される電圧調整器の動作範囲11内において、パルスがこのようにスキップされ得る、動作領域のグラフを示している。電流Ioutは、電圧調整器によって供給される電流であり、負荷によって吸収される電流を意味する。一般に、電圧調整器は、2.3V〜4.8VのVddの値と、数百ミリアンペアに達し得るIoutの値と、に対して動作する。この範囲11において、およそ数ミリアンペアの電流Ioutの値にのみ、パルススキッピングを行えることが分かるが、これらの値は、Vddの値が下がるにつれて低下する。典型的には、パルススキッピングは、Vddが2.3Vに等しい場合の約1mAのIoutの値、または、Vddが4.8Vに等しい場合の約3mAのIoutの値に対してのみ、考慮することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、チャージポンプ回路におけるスイッチング損失を制限する技術の需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような理由で、本発明の第1の態様は、パルス幅制御を有するチャージポンプ回路を備える電圧調整回路を提案するものであり、その電圧調整回路は、
− 負荷に対して出力電圧を供給する出力と、
− フライングキャパシタと、
− 出力と並列に結合された電荷蓄積キャパシタと、
− 制御ロジックと、
− 第1の動作フェーズにおいて、フライングキャパシタを充電し、第2の動作フェーズにおいて、フライングキャパシタに蓄積された電荷を、電荷蓄積キャパシタに移すように、構成され、且つ、制御ロジックによって制御される、スイッチング素子と、を有する。
【0014】
この調整器において、
− 各スイッチング素子は、並列に接続され、且つ、個別に制御される、比較的大型のMOSトランジスタと関連付けられた、比較的小型のMOSトランジスタを備え、
− 第1の動作モードにおいて、比較的小型のトランジスタのみがスイッチングされ、一方、第2モード動作において、比較的大型のトランジスタがスイッチングされる。
【0015】
負荷によって吸収される電流が低い場合には、小型のMOSトランジスタを用いることができ、これらの小型のMOSトランジスタは、より少ないスイッチング損失をもたらし、一方、出力電流が高い場合には、大きなMOSトランジスタを用いることができ、これらの大きなMOSトランジスタは、必要な電力を供給することが可能である。
【0016】
一実施形態において、調整器は、さらに、
− 調整器からの出力電圧と、基準電圧との差に対応する、誤り信号を生成する誤り信号生成器と、
− 鋸波信号を生成する鋸波信号生成器と、
− 誤り信号と鋸波信号とを比較し、且つ、スイッチング素子用のスイッチング信号を生成するパルス幅変調器と、を備える。
【0017】
制御ロジックは、誤り信号が鋸波信号の最小値よりも小さい場合には、調整器を、第1の動作モードから第2の動作モードに移行させるように構成される。
【0018】
よって、第1の動作モードから第2の動作モードへの移行は、従来の調整器と比べて、追加の手段を必要とすることなく、自動で行われる。より詳細には、システムは、小さなMOSの動作から大きなMOSに、およびその逆に、外部コマンドを渡す必要がないという点で、完全に自動である。システムは、動作モードを、特に、
− 供給電圧と、
− 負荷(オーディオアンプ)に供給される電流と、
− 温度と、
の関数として、自動的に適合させる。
【0019】
一実施形態では、制御ロジックは、誤り信号が鋸波信号の最大値よりも大きい場合に、スイッチング信号に対して適用される、パルススキッピング機能を実施するように、さらに構成される。
【0020】
これは、この機能のために上述の利点を維持する。
【0021】
一実施形態では、小型のMOSトランジスタは、関連付けられた大型のMOSトランジスタと、それぞれ一体化されており、第2の動作モードにおいて、大型のMOSトランジスタは、それぞれが関連付けられた小型のMOSトランジスタと同時にスイッチングされる。
【0022】
よって、調整器によって占有されるシリコン表面積は、従来の調整器の表面積と比べて、それほど増加しない。
【0023】
第2の態様では、本発明は、また、第1の態様に係る電圧調整器を備える電子デバイスに関する。
【0024】
第3の態様では、本発明は、また、パルス幅制御を有するチャージポンプ回路を用いた電圧調整プロセスを提案するものであり、この電圧調整プロセスは、
− 負荷に対して出力電圧を供給する出力と、
− フライングキャパシタと、
− 出力と並列に結合された電荷蓄積キャパシタと、
− 制御ロジックと、
− 第1の動作フェーズにおいて、フライングキャパシタを充電し、且つ、第2の動作フェーズにおいて、フライングキャパシタに蓄積された電荷を、電荷蓄積キャパシタに移すように、構成され、且つ、制御ロジックによって制御される、スイッチング素子と、を有し、
各スイッチング素子は、並列に接続され、且つ、個別に制御される、比較的大型のMOSトランジスタと関連付けられた、比較的小型のMOSトランジスタを備え、第1の動作モードにおいて、比較的小型のトランジスタのみがスイッチングされ、一方、第2の動作モードにおいて、比較的大型のトランジスタがスイッチングされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明を読むことで明らかとなるであろう。この説明は、例示に過ぎず、添付の図面を参照して読まれるべきである。
【0026】
図1】上述の、スイッチング損失を制限するために、パルスをスキップすることができる、動作領域を示すグラフ。
図2】パルス幅変調を有するチャージポンプ回路の概略図。
図3】正の供給電圧から、調整された負の供給電圧を生成する、図2の回路の原理の応用を示す図。
図4図3の回路に適用された、本発明の実施形態を示す図。
図5図4のチャージポンプ回路を制御するための手段を示す機能図。
図6図4のチャージポンプ回路の動作モードを示す状態図。
図7図3の回路の動作を示すタイミングチャート。
図8図3の回路に適用することができるパルススキッピングを示す、別のタイミングチャート。
図9】第1の動作モードおよび第2の動作モードにおける回路の動作範囲と、パルススキッピングを適用することができる動作領域とを示す図。
図10】本発明を実施しない回路の、回路供給電圧の異なる値に対する、負荷によって消費される回路電流の関数としてチャージポンプ回路において消費される電流を示す曲線。
図11】実施する回路の、回路供給電圧の異なる値に対する、負荷によって消費される回路電流の関数としてチャージポンプ回路において消費される電流を示す曲線。
図12】本発明の第2の態様に係るデバイスの機能図。
図13】本発明の第3の態様に係るプロセスの実施形態におけるステップの図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は、電圧調整器において使用されるようなチャージポンプ回路の動作原理の概略図である。
【0028】
フライングキャパシタCFLYは、制御される4つのスイッチI1、I2、I3およびI4を有するブリッジで構成されている。より詳細には、キャパシタCFLYの第1の極板CC1は、制御スイッチI1を通して電圧V1の電位となり、且つ、制御スイッチI3を通して電圧V3の電位となる。キャパシタCFLYの他の極板CC2は、制御スイッチI2を通して電圧V2の電位となり、且つ、制御スイッチI4と、電荷蓄積キャパシタまたはリザーバキャパシタCTANKと、を通して電圧V4の電位となる。ここでインピーダンスRLoadによって表される負荷が、キャパシタCTANKの端子に、並列に接続される。
【0029】
チャージポンプの動作は、以下のとおりである。
【0030】
第1の動作フェーズ(フェーズ1)において、スイッチI1およびI2は閉じられ、且つ、スイッチI3およびI4は開かれる。キャパシタCFLYは、V1の電位とV2の電位との差に対応する電圧に、充電される。第2の動作フェーズ(フェーズ2)においては、この逆となる。スイッチI1およびI2は開かれ、且つ、スイッチI3およびI4は閉じられる。次いで、キャパシタCFLYは、電圧V3の電位と電圧V4の電位との間で、リザーバキャパシタCTANKおよび負荷RLoadに、放電される。キャパシタCFLYおよびCTANKは、フェーズ1においてキャパシタCFLYに蓄積される電荷の大部分が、典型的には負荷RLoadによって吸収される電流の関数として、フェーズ2においてキャパシタCTANKに移されるように、サイズが決められる。フェーズ1において、負荷によって吸収される電流は、キャパシタCTANKを放電することによって供給される。フェーズ1および2は、交互に起こる。
【0031】
電位V1、V2、V3およびV4の値は、適用の要件に、特に、負荷RLoadの端子で生成されるべき電圧の符号に、依存する。
【0032】
スイッチI1、I2、I3およびI4用の制御信号は、パルス幅変調ロジックの補助によって、パルス幅変調信号の周期の部分を有するように、生成されるが、その周期において、デューティサイクルに応じてスイッチI1およびI2が閉じられる。このデューティサイクルは、負荷RLoadによって吸収される電流Ioutの関数として、この電流が、適用の要件に対応するプロファイルに従うように、制御される。例えば、調整は、一定値の電流Ioutを供給することからなり得る。
【0033】
図3の略図は、負の電圧VPUMPを生成する、上述したチャージポンプ回路原理の例示的な実施を示している。この例では、電圧V1は、グランド電位Gndである電圧V2の電位に対して参照される供給電圧Vddに対応する。電圧V3は、ゼロ電圧であるが、これは、グランド電位Gndの電圧を意味する。電圧V4についても同様である。
【0034】
ここで考察される例では、スイッチI1は、MPoとして示されるPMOSトランジスタとして実現される。スイッチI2、I3およびI4は、それぞれ、MN3、MN1、およびMN4として示される、NMOSトランジスタとして実現される。これらの4つのトランジスタは、大型のMOSトランジスタ、または、“大きな”トランジスタである。トランジスタMPoは、ロジック信号PH1Lによって制御される。トランジスタMN3は、ロジック信号PH1Hによって制御される。トランジスタMN1は、ロジック信号PH2Lによって制御される。最後に、トランジスタMN4は、ロジック信号PH2Hによって制御される。信号PH1Lは、ロー状態でアクティブであるが、これは、信号PH1Lがローロジック状態である際に、トランジスタMPoが導通している(スイッチが閉じている)ことを意味する。他方で、信号PH1H、PH2L、およびPH2Hは、ハイ状態でアクティブであるが、これは、これらの信号がハイロジック状態である際に、トランジスタMN3、MN1およびMN4が導通状態である(スイッチが閉じている)ことを意味する。
【0035】
一例において、3つのNMOSトランジスタは、全て同じサイズであり、それらのサイズは、PMOSトランジスタのサイズの半分である。実際には、それらのゲート長は、PMOSトランジスタのゲート長である約56mmと比べて、約28mmに等しい。
【0036】
4つのトランジスタMPo、MN3、MN1およびMN4と、フライングキャパシタCFLYと、により形成されるブリッジは、チャージポンプ回路の電力部31を構成する。トランジスタ用の制御信号を生成する制御ロジック部は、ここでは表されていない。この電力部は、通常では外部構成要素である、フライングキャパシタCFLYを除いて、シリコン内で実施すること、且つ、システムオンチップ(SoC)に集積化することができる。このような理由で、図3において、キャパシタCFLYが点線で表されている。リザーバキャパシタCTANKおよび負荷インピーダンスRloadについても、同様である。
【0037】
図3におけるチャージポンプ回路は、導入部において説明された欠点、すなわち、上述の関係(1)によって決定される、著しいスイッチング損失の存在を示している。
【0038】
これらの欠点に対処するために、別のトランジスタを、トランジスタブリッジにおける大きなトランジスタのそれぞれと関連付けることが提案され、当該別のトランジスタは、サイズが小さく、且つ、当該大きなトランジスタと並列に接続されている。以下の説明において、 “小さなトランジスタ”という記載は、小型のトランジスタを表す。この記載は、以下においてさらに明らかとされる。また、2つのトランジスタに関して用いられる “関連付けられた”という用語は、これら2つのトランジスタが、並列に接続されることを表す。
【0039】
よって、MPo’として示される小さなPMOSトランジスタは、大きなトランジスタMPoと関連付けられており、且つ、信号PH1Lから独立したロジック信号PH1H’によって制御される。同様に、小さなトランジスタMN3’は、大きなトランジスタMN3と並列に接続されており、且つ、信号PH1Hから独立した信号PH1H’によって制御される。等しく同様に、トランジスタMN1は、小さなトランジスタMN1’と並列に接続されており、このトランジスタMN1は、信号PH2Lから独立した信号PH2L’によって制御される。最後に、トランジスタMN4は、小さなトランジスタMN4’と並列に接続されており、その小さなトランジスタMN4’は、信号PH2Hから独立したロジック信号PH2H’により制御される。
【0040】
大きなトランジスタMPo、MN3、MN1およびMN4と比べて、これらとそれぞれ関連付けられる、MPo’、MN3’、MN1’およびMN4’である、小さなトランジスタは、著しく小さいトランジスタ、例えば、10分の1のゲート長を有するトランジスタである。例えば、全てのトランジスタが、約0.5μmに等しいゲート幅を有する場合には、大きなPMOSトランジスタは、約56mmのゲート長を有するが、一方では、小さなPMOSトランジスタは、約5.6mmのゲート長を有する。3つの小さなNMOSトランジスタが、大きなNMOSトランジスタのゲート長の例えば10分の1のゲート長を有することにも留意すべきであり、これは、小さなPMOSトランジスタのゲート長の約2分の1であることを意味し、これは約2.8mmである。
【0041】
好適には、小さなトランジスタは、それらのシリコンでの実施において、関連付けられた大きなトランジスタと集積化される。実際には、通常のように、大きなMOSトランジスタは、並列に接続され、且つ、共通して制御される、複数のより小さなMOSトランジスタによって、従来実施されている。よって、ここでは、小さなトランジスタは、それらのシリコン実施の観点から、大きなトランジスタと集積化されるが、それらと関連付けられた制御信号によって、独立して制御される。換言すれば、小さなMOSトランジスタは、大きなMOSトランジスタとは別に制御することができる。この配置は、大きなトランジスタ及びそれらの関連付けられた小さなトランジスタのブリッジを備える、図4の電力モジュール41が、図3の電力モジュール31よりも少し大きなスペースを必要とする、という利点を提供する。わずかな追加の表面積は、基本的には、小さなMOSトランジスタの独立制御を可能にする接続に起因している。電力モジュール41によって占められる合計の表面積は、およそ0.056mmである。
【0042】
図2の略図を参照して既に上に示したように、チャージポンプ回路は、本明細書においてフェーズ1およびフェーズ2と呼ばれる、2つの交互に起こる動作モードで動作する。
【0043】
また、図4の回路は、調整器から出力される電流Ioutの強度の関数として、2つの動作モードで動作する。第1の動作モードでは、小さなMOSトランジスタのみがスイッチングされる。第2の動作モードでは、大きなMOSトランジスタが、単独で、または、これらとそれぞれ関連付けられる小さなMOSトランジスタと組み合わせて(特に、小さなトランジスタが、大きなトランジスタと関連付けられている場合)、スイッチングされる。
【0044】
第1の動作モードから第2の動作モードへの移行は、負荷RLOADにより吸収される、調整器からの出力電流Ioutの値に依存する。電流Ioutを測定するための手段を、設けることができ、この手段は、この回路の測定値を生成するものであり、この測定値は、小さなMOSトランジスタおよび大きなMOSトランジスタ用の制御信号を生成するように構成された、制御ロジックへの入力として供給される。
【0045】
これより、パルススキッピングを用いたパルス幅変調を有するチャージポンプのための既知の解決策から着想を得た利点、およびより的確な解決策を説明する。
【0046】
図5では、図4の電力回路用の制御モジュールが、好適な実施形態で表されている。
【0047】
これより示すように、この解決策は、ある動作モードから他の動作モードへの移行が自動で行われる、という利点を有する。
【0048】
この制御モジュールは、ロジックを備えており、このロジックは、負荷RLOADの端子での電圧VPUMPに基づいて、大きなMOSトランジスタおよび小さなMOSトランジスタのスイッチングを方向付ける。
【0049】
モジュールは、まず、比較回路51を備えており、この比較回路51は、電圧VPUMPを受け付けるための入力と、パワーオントリガ52を通して基準電圧VREFを受け付けるための別の入力と、電圧VLOOPを生成する出力と、を備える。
【0050】
比較器51は、例えば、その2つの端子のそれぞれで、電圧VPUMPおよび電圧VREFを受け付ける、直列の抵抗器のブリッジである。電圧VLOOPは、例えば、このような抵抗型ブリッジを形成する、直列の2つの抵抗器の間の中点で取られる。よって、電圧VLOOPは、抵抗型ブリッジの2つの抵抗のそれぞれの値によって重み付けされた、電圧VREFと電圧VPUMPとの間の差に等しい。よって、これは、VREFの値と比較されたVPUMPの値に対する重み付けされた誤りに対応する電圧である。抵抗型ブリッジ51の2つの抵抗が等しい場合には、この電圧は、これら2つの電圧の直接の差である。比較器51の他の実施形態、特にアクティブ比較器を考察することができる。しかし、抵抗型ブリッジの形の実施形態が、電圧VPUMPと電圧VREFとを比較するための、最も簡潔な実施形態だと思われる。
【0051】
回路52の機能は、回路の電源がオンのときに、電圧VREFの傾きを、より垂直にすることである。このモジュールは必須ではない。
【0052】
回路52は、起動時に、基準電圧を、0VからVREFへゆっくり増加させることを可能にし、起動中の電流のスパイクを制限して、パワーMOSにストレスをかけることを回避する。
【0053】
次に、制御モジュールは、誤り増幅器53を備え、この誤り増幅器53は、入力として電圧VLOOPを受け付け、且つ、出力として誤り電圧Verrorを生成する。例示としては、増幅器53は、積分増幅器の構造を有する。当然ながら、他の例示的な実施形態も、考えられるが、この実施形態は、単に非限定の例示として提供される。
【0054】
また、制御モジュールは、パルス幅変調器54を備え、このパルス幅変調器54は、第1の入力で誤り電圧Verrorを受け付け、且つ、第2の入力で鋸波電圧Vrampを受け付ける。電圧Vrampは、鋸波電圧生成器55によって生成される。これは、例えばクロック信号CLKの周波数に対応する周波数の鋸波電圧を生成する。以下の説明および図面では、信号Vrampの最小値および最大値は、それぞれ、“Vramp_min”および“Vramp_max”として示される。
【0055】
変調器54は、電圧Verrorと電圧Vrampとの間の比較の関数としてパルス幅変調される周期的な矩形波形信号Duty_cycleを生成する。この信号Duty_cycleは、入力“SET”として、組み合わせロジックブロック56に供給される。ブロック56は、また、これらの組み合わせ回路をゼロにリセットする入力“RESET”を備え、この入力は、信号CLK_controlの立ち上がりエッジによってアクティブ化され、この信号は、クロック信号CLKの周波数と同じ周波数のパルスを呈する。Tonは、信号Duty_cycleの幅変調された制御パルスの部分を示すが、その信号Duty_cycleの間は、信号がハイ状態でアクティブである。よって、デューティサイクルは、Ton/Tによって与えられ、ここでTは、信号Duty_cycleとクロック信号CLKの周期を示す。
【0056】
ブロック56は、図4における電力モジュールのブリッジの小さなMOSトランジスタ用のスイッチング信号PH1L’、PH2L’、PH1H’およびPH2H’を生成する。信号PH1L、PH2L、PH1HおよびPH2Hは、それぞれ、集合的に57として示されるパス−ゲートの補助により、上述の信号から生成される。
【0057】
図5の制御モジュールの動作を、これより説明する。
【0058】
パス−ゲート57は、変調器54によって生成される信号LQによって制御される。LQが1に等しい場合には、ゲート57は、信号を通さない。LQが0に等しい場合には、ゲート57は信号を通す。換言すると、状態LQ=1は、第1の動作モードに対応し、一方で、状態LQ=0は、第2の動作モードに対応する。
【0059】
第1の動作モード(LQ=1)では、交互に起こる動作フェーズ1および2によって、小さなMOSトランジスタのみがスイッチングされる。そして、スイッチング損失は極めて低く、それは、これらの小さなトランジスタのゲート−ソースキャパシタンスCgsが(上述の関係(1)に従って)低いためである。第2の動作モード(LQ=0)では、大きなMOSトランジスタは、第1の動作モードにある小さなMOSトランジスタの代わりに、または、第1の動作モードにある小さなMOSトランジスタに加えて、スイッチングされる。より大きなチャージポンピングが得られ、且つ、究極的には、出力電流Ioutによって吸収される負荷によらずに維持される、出力電圧VPUMPである。
【0060】
図6の状態図は、第1の動作モード(LQ=1)に対応する状態61から、第2の動作モード(LQ=0)に対応する状態62への、およびその逆の、自動的な移行を示している。これは、状態61において開始し、且つ、電圧Verrorが電圧Vramp_minよりも小さい場合に、状態62に移行する。逆に、デューティサイクルTonが、最小許容値とみなされるデューティサイクルの値Ton_minよりも小さい場合には、状態62から状態61に移行する。
【0061】
これらの異なる状態の例示が、図7のタイミングチャートによって与えられる。チャートの最も上の列は、電圧Vrampを表すが、この電圧Vrampは、クロック信号CLKの周期に対応する周期Tを有する、周期的な鋸波電圧である。点線の曲線は、誤り電圧Verrorを表すが、これは、図面において、電圧Vramp上に重ねられている。
【0062】
最小値Ton_minと、T/2に対応する最大値との間で、電圧Verrorの上に位置する、電圧Vrampの鋸波部分の幅によって、各周期において、信号Duty_CycleのデューティサイクルTonが与えられる。
【0063】
図7のタイミングチャートの2つ目の列は、デューティサイクルが、Ton_minに対応する最小値をまだ有していた場合に、信号Duty_Cycleがどうなるかを示している。
【0064】
タイミングチャートの上から3つ目の列は、誤り電圧Verrorが、図7の最も上の1つ目の列で表される通りである場合の、信号Duty_Cycleの様子を示している。
【0065】
タイミングチャートの4つ目の列(底のエントリー)は、制御モジュールの動作モードを制御する信号LQのロジックレベルを示している。LQ=1(状態61)である初期状態を仮定すると、電圧Verrorが、電圧Vramp_minよりも小さい場合に、信号LQは、ゼロ(状態62、LQ=0)に移行する。デューティサイクルTonは、次いで、デューティサイクルTonを増加させることによって電圧VPUMPを増加させることが、もはや不可能になるような、T/2に等しい、その最大値にある。第2の動作モードに移行することによって、電圧調整器の電力モジュール内の大きなMOSトランジスタの寄与が得られる。第2の動作モード(状態62、LQ=0)では、信号Duty_CycleのデューティサイクルTon/Tが、最小値Ton_min/Tに達する点まで減少すると、制御信号LQは、1に戻る。次いで、回路は、第1の動作モードに戻る。
【0066】
図8のタイミングチャートは、上述したような本発明の実施形態の実施と好適に適合する、パルススキッピング機能の実施を示している。
【0067】
実際には、この機能は、誤り電圧Verrorが電圧Vramp_maxよりも大きい場合に、実施することができるが、この誤り電圧Verrorは、極めて小さい電流Ioutが、負荷によって吸収されるために、電圧VPUMPが高くなりすぎる場合に対応する。この機能の管理は、組み合わせロジックブロック56をアクティブ化する信号CLK_Controlを生成する、変調器54(図5)によって、好適に保証することができる。信号CLK_Controlのクロックパルスは、クロック信号CLKの周期と同じ周期Tの分だけ、離されている。しかし、“Verror>Vramp_max”という条件が満たされる場合には、信号CLK_Controlは、これらのパルスを呈さない。換言すると、信号CLK_Controlのクロックパルスをスキップすることにより、ブロック56およびパス−ゲート57によって生成されたトランジスタ制御信号において、パルスがスキップされる。
【0068】
図1との比較のために提供される、図9は、上述したような本発明の実施形態を実施する調整器の電圧調整器動作範囲のグラフを示している。
【0069】
動作範囲は、調整器の第1の動作モード(LQ=1)に対応する中央領域91を備える。この動作領域は、電圧Vddがおよそ2.3Vである場合に、数十ミリアンペアまでの出力電流Ioutのすべての値に対応する。また、これは、Vddがおよそ4.8Vである場合に、数百ミリアンペアまで、おそらくは、電流Ioutの可能な最高値まで延びる。領域92は、領域91内に位置する。パルススキッピング機能は、この領域92内で実施することができる。この領域は、導入部において図1を参照して説明された領域12に対応する。動作領域91内(よって領域91に含まれる領域92内)で、チャージポンプ回路は、小さなMOSトランジスタのみをスイッチングすることによって動作する。
【0070】
また、調整器の動作範囲は、第2の動作モード(LQ=0)での調整器の動作に対応する領域93を含む。この領域93内で、チャージポンプ回路は、小さなMOSトランジスタの代わりに、または、小さなMOSトランジスタに加えて、大きなMOSトランジスタをスイッチングすることによって動作する。この動作領域は、Vddが、2.3Vにほぼ等しい場合、または、供給電圧Vddの値より大きな値に対するより高い値に、ほぼ等しい場合に、数十ミリアンペアの電流Ioutに対応する。
【0071】
好適には、電圧調整器が、領域91内で動作する場合に、領域93内での動作と比較して、スイッチング損失が大きく減少する。
【0072】
より概略的には、図8のグラフは、チャージポンプ回路のスイッチング損失を定義する、導入部で与えられた関係(1)を考慮して、本発明の利点を明らかに示している。より詳細には、
− 回路が、動作領域93にある場合に、大きなMOSトランジスタが用いられるが、これは、高い寄生ゲート−ソースキャパシタンスCgsを有するという利点を有するが、回路は、Pの値がより小さいままとなるような、比較的低い電圧Vddの値に対してのみ、この動作モードにあり、
− 回路が、動作領域91内にある場合に、チャージポンプ回路は、Pが小さいままであるような低いキャパシタンスCgsを有する、小さなMOSトランジスタのみの補助により動作し、
− パルススキッピングが実施される実施形態において、且つ、回路が動作領域92内にある場合に、小さなMOSトランジスタのみが、低キャパシタンスCgsで用いられるだけでなく、加えて、Pがさらに低くなるように、スイッチング周波数Fが減少する。
【0073】
換言すると、負荷によって吸収されるより高い電流Ioutに対して、電圧VPUMPの値が維持されることを保証するために、このような動作が、厳密に必要とされている場合に、調整器は、領域93内でのみ動作するが、この領域は、最少の利点の領域である。また、この動作モードは、供給電圧Vddに対する比較的低い値によっても、特徴付けられる。
【0074】
図10および図11のグラフは、供給電圧の3つの値(2.3V、3.6V、および4.8V)に対して、チャージポンプ回路によって消費される電流Iconsの値を示している。図10は、図3に従うチャージポンプ回路に対応し、この回路は、本発明の実施形態を実施しない。図11は、図4および図5に従うチャージポンプ回路に対応し、この回路は、本発明の実施形態を実施する。
【0075】
これら2つの図を比較することにより理解できるように、本発明の実施形態の実施は、全ての電圧Vddに対する電流Iconsを減少させる。この減少は、低い供給電圧Vdd(理解されるように、従来技術の回路と同じやり方で回路が動作する各点に対応する電圧)での電流Ioutの高い値を除いて、約50%の減少に相当する。
【0076】
第2の態様に係るプロセスのステップが、図12の略図によって示されている。
【0077】
ステップ121において、チャージポンプ回路は、第1の動作モード(小さなMOSトランジスタのみがスイッチングされる、LQ=1に対応する状態)で動作する。
【0078】
テストステップ122において、誤り電圧Verrorが、鋸波電圧Vrampの値Vramp_minよりも小さいと判定された場合(図面においてロジック値1によって表されるケース)には、ステップ123において、回路は、第2の動作モードに移行する(単独で、または、小さなMOSトランジスタとともに、大きなMOSトランジスタがスイッチングされる、LQ=0に対応する状態)。そうでない場合(図面においてロジック値0によって表されるケース)には、回路は、LQ=1の状態に留まり、ステップ121に戻る。
【0079】
回路が状態LQ=0のときに、テストステップ124において、デューティサイクルが、その最小値に達した(換言すると、TonがTon_minに等しい)と判定された場合には、回路は、LQ=1に対応する状態に戻り、且つ、プロセスは、ステップ121に戻る。そうでない場合には、回路は、LQ=0に対応する状態に留まり、且つ、プロセスは、ステップ123に戻る。
【0080】
回路が状態LQ=1のときに、テストステップ125において、誤り電圧Verrorが、鋸波電圧Vrampの値Vramp_maxよりも大きいと判定された場合には、ステップ126において、パルススキッピング機能が実施される(“PS”によって表される)。
【0081】
図13のブロック図は、上に表されたように、オーディオアンプを内蔵するデバイスの要素を示している。このようなデバイスは、デバイスが通信用であるか否かは問わず、オーディオ再生機能を有する、携帯電話または他の任意のデバイスとすることができる。
【0082】
デバイス100は、プロセッサ(CPU)などの制御ユニット101と、特に無線周波数搬送波を変調することにより、情報を、外部に送信し、且つ、外部から受信する、通信ユニット102と、を備える。また、デバイスは、デジタル形態の情報、例えば1つの音楽を記憶することができる、メモリ103を備える。プロセッサ101は、通信バス104を介して、ユニット102およびメモリ103と通信する。これら要素のそれぞれは、制御スイッチ107を通して、電池106によって供給される、供給電圧Vddによって電力供給される。電源がオンの場合には、このスイッチ107は閉じている。
【0083】
プロセッサ101は、ユニット102を介して受信されるか、または、メモリ103から読み出される、データに基づいて、増幅されるべきオーディオ信号Vinを生成する。
【0084】
この信号Vinを増幅するために、デバイス100は、オーディオ増幅回路105を備える。この回路105は、オンのときにスイッチ107を介して印加される電圧Vddによって、電力供給され、且つ、この供給電圧を調整するための、上述の実施形態で述べられた電圧調整器を備える。
【0085】
例えば、オーディオアンプは、電池またはスイッチモード電源(SMPS:switched-mode power supply)によって、正の電圧が供給され、且つ、負の電圧を生成する図4のチャージポンプ回路によって、負の電圧が供給されるが、このチャージポンプ回路自体も、電池またはSMPSによって、直接電力供給される。2つ目のケースでは、SMPSは、オーディオブロックの合計生成量を増加させる、という利点を有する。
【0086】
オーディオアンプに供給される正の電圧および負の電圧は、極めて低い電池電力(約2.3V)でも、オーディオ性能を維持することができる。また、これは、オーディオアンプとスピーカとの間のSoCの外部のキャパシタを除去することができるようにするので、回路のサイズおよびコストを低下させる。
【0087】
増幅回路105によって生成された出力信号Voutは、スピーカ109を駆動するが、このスピーカは、回路100の内部または外部とすることができる。追加で、または、代わりに、信号は、デバイス100のヘッドセットジャック108を駆動することもでき、ユーザが、ヘッドセットまたはイヤホンを用いて聞けるようにする。
【0088】
以上、本発明を、特定の実施形態を参照して述べた。技術的に考えられるどのような変形も、当然ながら、本願の文脈に属することを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13