特許第5693584号(P5693584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693584像形成フレキシブルファイババンドルによる燃焼タービン監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693584
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】像形成フレキシブルファイババンドルによる燃焼タービン監視システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20150312BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   G02B23/24 C
   G02B23/26 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-529764(P2012-529764)
(86)(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公表番号】特表2013-505477(P2013-505477A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】US2010043859
(87)【国際公開番号】WO2011034661
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】12/562,196
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(72)【発明者】
【氏名】ゾンボ、ポール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナラガダ、ヴィネイ
(72)【発明者】
【氏名】バレーヌ、エルワン
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−043618(JP,A)
【文献】 特開2000−121956(JP,A)
【文献】 特表2008−541036(JP,A)
【文献】 特開2000−162510(JP,A)
【文献】 特開昭58−093008(JP,A)
【文献】 特開平03−150520(JP,A)
【文献】 特開昭60−169745(JP,A)
【文献】 特開2009−039205(JP,A)
【文献】 特開平09−033728(JP,A)
【文献】 特開2000−171728(JP,A)
【文献】 特開昭63−300211(JP,A)
【文献】 実開昭59−104125(JP,U)
【文献】 特開平11−036809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/24 − 23/26
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケーシング壁と、前記外側ケーシング壁から半径方向の内側に配置された動翼リング構造と、前記動翼リング構造内に形成された高温ガス流路内で回転軸のまわりを回転するように支持された細長いタービン動翼とを含むガスタービンエンジンにおいて、前記タービン動翼の一部位の像を形成するための装置であって、
前記動翼リング構造に隣接して前記タービンエンジンに取り付けられた像形成端と、前記外側ケーシング壁に隣接して前記タービンエンジンに取り付けられた観察端と、を含むフレキシブルな像形成光ファイババンドルを備え、
前記像形成端は、該像形成端を通過する前記高温ガス流路内における前記動翼の回転運動中に、当該動翼の所定の場所の像を形成し、
前記観察端は、前記高温ガス流路から外れた場所で前記動翼の像を提供し、
前記像形成端は、前記動翼の回転運動中に前記動翼の像を受けるための像形成面を画定する複数の受光部位を備え、
前記フレキシブルな像形成光ファイババンドルに複数の光学素子が用いられ、該光学素子のそれぞれが、1つの前記受光部位に対応する1つの個別光路を画定し、
前記光学素子がフレキシブル金属シースにより包囲され、該フレキシブル金属シースが前記動翼リング構造と前記外側ケーシング壁との間のシェル領域を通って延び、
前記観察端は、複数の放射部位を備え、該放射部位のそれぞれは、前記像形成バンドルの光学素子の端部に形成されて1つの前記受光部位に対応し、前記像形成端で受けた像に対応する二次元像を放射し、
前記フレキシブル金属シースはフレキシブル編組金属シースで、前記フレキシブルな像形成光ファイババンドル内の前記光学素子に対して冷却空気を通せるように通気性であり、
前記冷却空気が、前記動翼リング構造と前記外側ケーシング壁との間の前記シェル領域を通る空気で、前記高温ガス流路内の圧力より高い圧力の空気である、装置。
【請求項2】
外側ケーシング壁と、前記外側ケーシング壁から半径方向の内側に配置された動翼リング構造と、前記動翼リング構造内に形成された高温ガス流路内で回転軸のまわりを回転するように支持された細長いタービン動翼とを含むガスタービンエンジンにおいて、前記タービン動翼の一部位の像を形成するための装置であって、
前記動翼リング構造に隣接して前記タービンエンジンに取り付けられた像形成端と、前記外側ケーシング壁に隣接して前記タービンエンジンに取り付けられた観察端と、を含むフレキシブルな像形成光ファイババンドルを備え、
前記像形成端は、該像形成端を通過する前記高温ガス流路内における前記動翼の回転運動中に、当該動翼の所定の場所の像を形成し、
前記観察端は、前記高温ガス流路から外れた場所で前記動翼の像を提供し、
前記像形成端は、前記動翼の回転運動中に前記動翼の像を受けるための像形成面を画定する複数の受光部位を備え、
前記フレキシブルな像形成光ファイババンドルに複数の光学素子が用いられ、該光学素子のそれぞれが、1つの前記受光部位に対応する1つの個別光路を画定し、
前記光学素子がフレキシブル金属シースにより包囲され、該フレキシブル金属シースが前記動翼リング構造と前記外側ケーシング壁との間のシェル領域を通って延び、
前記観察端は、複数の放射部位を備え、該放射部位のそれぞれは、前記像形成バンドルの光学素子の端部に形成されて1つの前記受光部位に対応し、前記像形成端で受けた像に対応する二次元像を放射し、
前記像形成端を密閉するハウジングと、前記ハウジング内に配置されて、前記動翼から前記像形成端への光の像を形成する、少なくとも1つの対物光学素子と、を含み、
前記動翼リング構造と前記外側ケーシング壁との間の前記シェル領域を通過する空気で、前記高温ガス流路内の圧力より高い圧力の空気である冷却空気を入れるために、前記ハウジングを通し画定された空気流路を含む、装置。
【請求項3】
前記像形成端が、前記動翼の端部と前記回転軸との間に位置する前記動翼の所定の場所から像を受けるように向けられている、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光学素子の両端に前記受光部位及び前記放射部位が画定されており、
前記受光部位及び前記放射部位は、それぞれ、前記像形成端及び前記観察端に並列に配置され、
前記受光部位に形成される前記動翼の所定の場所の像が、前記放射部位において再現される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記像形成端が、前記観察端で近赤外像を提供するために前記光学素子を通し伝送される近赤外像をなす像を受け、
前記近赤外像によって、前記ガスタービンエンジンの運転中に前記動翼の所定の場所から得られる強度変動の像を構成する温度マッピングが提供される、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フレキシブルな像形成光ファイババンドルは、前記動翼リング構造と前記外側ケーシング壁との間にフレキシブルな非直線の光路を形成する、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジン構成部品を監視するための装置に関するものであり、とりわけ、ガスタービンエンジンの運転中、高温ガス流路内におけるタービン動翼のある場所の像を形成するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンエンジンの内部部品のような手の届かない領域または密閉領域は、エンジン内部部品の完全性を確認し、部品が故障する前に、潜在的な問題すなわち部分的には欠陥を突き止めることによってエンジンの安全運転を維持するため、あるいは、既存の問題の原因を特定するために定期点検を必要とする場合が多い。例えば、ガスタービンエンジン停止時間の日常保守中などにおけるボアスコープを用いた目視検査によって問題を突き止めることが可能である。
【0003】
エンジンの運転中にタービンエンジンのさらなる監視を実施して、エンジンの高温ガス流路内に配置された構成部品の状態をさらに確認することが可能である。構成部品が比較的低温であるタービンエンジン停止時間中にタービン内部構成部品の検査に用いられるボアスコープには、さまざまな構造及び材料を取り入れることが可能であるが、タービン運転中におけるタービン構成部品の目視による監視では、監視機器に対してさらなる制約が課せられる。既知の高温監視システムの場合、高温ガス流路内の位置から得られた画像をエンジン外部の位置に伝送するため、観察チューブを用いて、光学構成部品すなわち一連のレンズを支援し、高温ガスの熱から光学構成部品を切り離すことが可能である。さらに、冷却流体の加圧流を監視システムに送り込むため、例えばタービンエンジン外部の冷却空気供給源から導管を通じて供給することが可能な冷却空気流が必要になる可能性がある。
【0004】
さらに、エンジン運転中、タービンエンジン構成部品を連続監視するために用いられるような先行監視システムに利用可能な有効監視場所には、一般に、タービンエンジンの外側ケーシング壁から内部へのほぼ直通の進入経路といった、所定の進入経路をなす場所が含まれていた。従って、連続監視システムによるタービンエンジンの構成部品の監視は、一般に、エンジンの外側ケーシング壁と内部との間でほぼ妨げられずに進入できる場所に制限された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様の1つによれば、ガスタービンエンジンにおける構成部品の像を形成するための像形成システムが提供される。像形成システムには、エンジンの高温ガス流路内にある構成部品の像を形成するための像形成端と、高温ガス流路から外れた場所構成部品の像を提供する観察端とを具備した像形成フレキシブルバンドルが含まれている。像形成端には、構成部品の像を受けるための像形成面を画定する複数の受光部位が含まれている。像形成フレキシブルバンドルは、複数の高温光学素子により画定される複数の個別光路を形成し、その各光路が1つの受光部位に対応する。観察端は、複数の放射部位を備え、その各放射部位が1つの受光部位に対応する。観察端を形成する放射部位の位置及び数は、像形成フレキシブルバンドルを介して像形成端から観察端にコヒーレントな画像を伝送するため、像形成端を形成する像形成部位の位置及び数と1対1で対応している。
【0006】
像形成端における受光部位は、所定の像形成アレイをなすように互いに並列に配置することが可能であり、観察端における放射部位は、所定の観察アレイをなすように互いに並列に配置することが可能である。
【0007】
観察アレイを形成する放射部位の位置及び数は、像形成アレイを形成する像形成部位の位置及び数と1対1で対応するのが望ましい。
【0008】
像形成アレイには、像形成端に矩形アレイをなすように配列された受光部位の複数の横列と縦列が含まれるのが望ましく、観察アレイには、観察端に矩形アレイをなすように配列された放射部位の複数の横列と縦列が含まれている。
【0009】
高温光学素子には、少なくとも約350℃の温度に対して耐熱性である光ファイバを用いる
【0010】
この光学素子には、複数の光ファイバを用いることが可能であり、像形成フレキシブルバンドルには、観察端でコヒーレントな画像を提供するため、少なくとも約1000の光ファイバを含むことが可能である。
【0011】
光学素子を包囲するフレキシブル金属シースを設けることが可能であり、フレキシブル金属シースは、空気がフレキシブル金属シースを通って光学素子と冷却接触するように通気性である。
【0012】
像形成システムには、像形成端を密閉するハウジング、及び、構成部品から像形成端への光の像を形成するために配置された少なくとも1つの光学素子を含むことが可能であり、冷却空気を通すため、ハウジングには冷却通路を形成することが可能である。
【0013】
像形成システムには、像形成バンドルを介して伝送され、放射部位から放射される、二次元近赤外像を受像記録するためのカメラと、放射部位から放射された光をカメラに結像するための少なくとも1つのレンズを含むことが可能である。
【0014】
本発明のもう1つの態様によれば、外側ケーシング壁と、外側ケーシング壁から半径方向の内側に位置する動翼リング構造と、動翼リング構造内に形成された高温ガス流路内の回転軸のまわりを回転するように支持された細長いタービン動翼とを含むガスタービンエンジンに、タービン動翼の一部位の像を形成するための装置が設けられている。この装置は、フレキシブルな像形成光ファイババンドルを備え、このフレキシブルな像形成ファイババンドルは、動翼リング構造に隣接してタービンエンジンに取り付けられた像形成端と、外側ケーシング壁に隣接してタービンエンジンに取り付けられた観察端とを備える。像形成端は、該像形成端を通過する高温ガス流路内における動翼の回転運動中に、当該動翼の所定の位置の像を形成し、観察端は、高温ガス流路から外れた場所で動翼のコヒーレントな画像を提供する。像形成端には、像形成端を動翼が通過する間に動翼の像を受けるための像形成面を画定する複数の受光部位が含まれている。フレキシブルな像形成光ファイババンドルには複数の高温光学素子が用いられ、その光学素子のそれぞれが1つの受光部位に対応する1つの個別光路を画定する。フレキシブル金属シースが、光学素子を包囲し、動翼リング構造と外側ケーシング壁の間のシェル領域を通って延びている。観察端には、複数の放射部位が含まれており、放射部位のそれぞれは、像形成バンドルの光学素子の端部に形成され受光部位の1つに対応し、像形成端において受けた像に対応するコヒーレントな二次元像を放射する。
【0015】
像形成端は、動翼の端部と回転軸との間に位置する動翼の所定位置から像を受けるように配向することが可能である。
【0016】
フレキシブル金属シースは、フレキシブルな像形成バンドル内の光学素子に対する冷却空気を通せるように通気性のフレキシブル編組金属シースとすることが可能である。冷却空気、動翼リング構造と外側ケーシング壁の間のシェル領域を通過する空気で、高温ガス流路内の圧力より高い圧力の空気とする
【0017】
像形成端は、放射端で近赤外像を提供するために、高速像として光学素子を通し伝送される近赤外像をなす像を受ける。この近赤外像によって、ガスタービンエンジンの運転中に動翼の所定の位置から得られる強度変動の像を構成する温度マッピングが提供される
【0018】
高温光学素子には、ガスタービンエンジンの運転中における像を伝送するため、少なくとも約350℃の温度に対して耐熱性の光ファイバを用いることが可能である。
【0019】
像形成バンドルは、動翼リング構造と外側ケーシング壁との間にフレキシブルな非直線の光路を形成することが可能である。
【0020】
像形成端は、動翼リング構造に隣接して、外側ケーシング壁に隣接した観察端の位置及び配向とは無関係に配置され配向されている。
【0021】
像形成端を密閉するためにハウジングを設けることが可能であり、ハウジングに空気流路を形成して、動翼リング構造と外側ケーシング壁の間のシェル領域を通過する空気、高温ガス流路内の圧力より高い圧力の空気とし得る冷却空気を入れることが可能である。
【0022】
本明細書は、本発明を具体的に特定し、明確に請求する請求項を含むが、本発明については、同様の参照番号によって同様の要素を示した添付図面と連係する以降の説明からより明確な理解が得られるものと確信する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】エンジンの構成部品からの像を受けるように配置されたフレキシブル像形成バンドルを含む像形成システムを表わした、タービンエンジンの一部の断面図である。
図2】フレキシブル像形成バンドルの端部に配置されたアレイの一部の拡大端面図である。
図3】フレキシブル像形成バンドルの端部の部分切取り図である。
図4】動翼リング構造に支持されたフレキシブル像形成バンドルの像形成端の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
望ましい実施形態に関する本欄の詳細説明において、本欄の一部をなし、制限のためではなく例証のために、本発明を実施することが可能な特定の望ましい実施形態を示した、添付図面が参照される。もちろん、他の実施形態を利用することも可能であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更を加えることも可能である。
【0025】
まず図1を参照すると、ガスタービンエンジン12の運転中におけるガスタービンエンジン12の構成部品の像を形成するための像形成システム10が例示されている。とりわけ、タービンエンジン12に取り付けられて、タービンエンジン12のタービンセクション内において外側ケーシング壁18と外側ケーシング壁18から半径方向の内側に支持された動翼リング構造20の間に延びるように配置された像形成システム10が示されている。例示の実施形態の場合、像形成システム10は、細長いタービン動翼14をなす構成部品の一部位の像を形成するために設けられている。動翼14は、エンジン12の動翼リング構造20内に形成された高温ガス流路22内に延びており、動翼14は、エンジン12のロータ(図示せず)の回転軸16のまわりを回転するように支持されている。
【0026】
像形成システム10には、エンジン12の高温ガス流路22内の構成部品すなわち動翼14の像を形成するため、像形成システム10の内端25に配置された像形成端26を具備するフレキシブル像形成バンドル24が含まれている。像形成バンドル24には、さらに、高温ガス流路22から外れた場所、すなわち、外側ケーシング18の外側の場所に動翼14の像を提供するため、像形成システム10の外端27に配置された観察端28が含まれている。
【0027】
フレキシブル像形成バンドル24の像形成端26の一部に関する拡大端面図を示す図2において明らかなように、像形成端26には、動翼14の像を受けるための像形成面32(図3参照)を画定する複数の受光部位30が含まれている。フレキシブル像形成バンドル24は、複数の個別光路を画定しており、本実施形態の場合、個別光路は、複数の光ファイババンドル素子34(今後は光学素子34)によって画定されている(やはり、図3参照)。各光路の端部は、受光部位30に対応する光学素子34の端部によって画定されており、複数の光学素子34は、フレキシブル像形成バンドル24内のファイババンドル35を形成している。
【0028】
フレキシブル像形成バンドル24の観察端28は、像形成端26とほぼ同じ構造をなすように形成されており、図2に括弧内の参照番号で例示されている。すなわち、観察端28には、複数の放射部位36が含まれており、各放射部位36は、像形成端26で受けた像に対応する像を放射するため、それぞれの受光部位30に対応している。
【0029】
図2に示すように、像形成端26の受光部位30は、所定の像形成アレイ38をなすように互いに並列に配置されている。同様に、観察端28の放射部位36は、所定の観察アレイ40をなすように互いに並列に配置されている。観察アレイ40を形成する放射部位36の位置及び数は、像形成アレイ38を形成する受光部位30の位置及び数と1対1で対応するのが望ましい。像形成アレイ38には、像形成端26に矩形アレイをなすように配列された受光部位30の複数の(基準線Rに沿って一定間隔で配置された)横列と(基準線Cに沿って一定間隔で配置された)縦列が含まれるのが望ましい。観察アレイ40は対応する構成で形成されており、観察端28に矩形アレイをなすように配列された放射部位36の複数の横列と縦列が含まれている。
【0030】
図2に見られる本発明の実施形態の1つでは、各光学素子34、6×6の矩形アレイをなすように配列した36の10μm光ファイバ33の高温マルチファイババンドルで構成される。光ファイバ33は、ニューヨーク、エルムスフォードのSCHOTT North America社から入手可能なもののように、少なくとも約350℃以上の温度まで耐熱性であることが望ましい。さらに、光ファイバ33は、可視光から近赤外光まですなわち約1.7μmまでの範囲内にある波長の光に対して透過性であることが望ましい。
【0031】
受光部位30と放射部位36とが1対1で対応することによって、フレキシブル像形成バンドル24が像形成アレイ38から観察アレイ40にコヒーレントな像を伝送するように構成される。近赤外波長でコヒーレントな像を伝送することによって、フレキシブル像形成バンドル24の観察端28に、動翼14にある像形成場所を温度マッピングするための高解像度近赤外像が生成可能になる。すなわち、その像形成場所内における可視光または近赤外光の強度変動を求めて、その像内の強度変動が示すとおりに温度マップを作成することにより、動翼14の熱的及び構造的変動の少なくともいずれかを分析することが可能になる。
【0032】
コヒーレントな像を伝送するためには、少なくとも約1000の光ファイバ33が必要になると考えられる。従って、本発明の実施形態の1つでは、少なくとも約30の光学素子34を設けて、受光部位30及び放射部位36のそれぞれを形成することが可能である30の光学素子34は、像形成端26及び観察端28におけるコヒーレントな像を提供するための30×36=1080の光ファイバ33に相当する。留意すべきは、観察部位28に与えられる像の解像度を高めるため、1000を大幅に超える光ファイバ33を設けることが可能であるという点である。望ましい実施形態の1つでは、像形成バンドル24に、10,000の光学素子34に相当する360,000の光ファイバ33を含むことが可能である。さらに、光学素子34のそれぞれは、本書に記載のものより多いかまたは少ない光ファイバ33で形成することが可能である。代わりに、光学素子34、光学素子34のそれぞれについて上述のように、例えば6本の光ファイバ33といった複数の光ファイバ33の集合体ではなく、像形成端26及び観察端28のそれぞれでアレイをなすように配列された個別ファイバ33とすることが可能である。
【0033】
図3を参照すると、フレキシブル像形成バンドル24には、さらに、ファイババンドル35を包囲するフレキシブル金属シース42が含まれる。フレキシブル金属シース42は、少なくとも約350℃以上の高温に耐える金属から形成される。本発明の実施形態の1つでは、フレキシブル金属シース42には、フレキシブル編組ステンレス鋼金属シースを用いることが可能である。フレキシブル金属シース42は、光学素子34を保護して、光学素子34を熱から遮蔽し、フレキシブル像形成バンドル24が動翼リング構造20と外側ケーシング壁18の間に延びる際、通過するシェル領域44(図1)内に配置された構成部品(図示せず)との接触による損傷から光学素子34を守る。シェル領域44を通って延びる光学素子の長さは、約1.2メートルとすることが可能である。さらに、光学素子34がフレキシブル金属シース42の内部と接触しないように、ファイババンドル35の外周に中間スリーブ37を設けることも可能である。例えば、中間スリーブ37には、ファイババンドル35の摩耗損傷のような損傷を防ぐため、ガラス繊維スリーブを用いることが可能である。
【0034】
図3において明らかなように、フレキシブル像形成バンドル24には、フレキシブル金属シース42の端部に固定されて、フレキシブル像形成バンドル24の像形成端26のための剛性先端セクションを形成するエンドチップハウジング66が含まれている。エンドチップハウジング66は、高温ろう付け68または他の既知の取り付けメカニズムによってフレキシブル金属シース42に取り付けることが可能である。ファイババンドル35の像形成アレイ端は、像形成アレイ38の外形と一致する形状をした内部開口72を備えるように形成することが可能なブッシング70によって、エンドチップハウジング66に支持されている。例えば、内部開口72は、像形成アレイ38の矩形形状と一致する矩形形状を備えることが可能である。
【0035】
図4を参照すると、像形成システム10には、対物レンズセクション47と取付けセクション49を含む像形成ハウジング46が含まれている。取付けセクション49は、動翼リング構造20のアパーチャ51に通して取り付けられ、動翼リング構造20の半径方向の内側に位置する静翼シュラウド部分21(図1)まで延びることが可能である。対物レンズセクション47は、取付けセクション49内に入り込み、それによって支持される。対物レンズセクション47には、像形成端26を密閉するエンドチップハウジング66と係合してしっかりと結合された近位端59が含まれている。エンドチップハウジング66と近位端59の結合部には、ねじ込み結合部61を用いることが可能である。
【0036】
対物レンズセクション47には、高温ガス流路にまたはそれに隣接して配置された遠位端55が含まれており、さらに、対物レンズセクション47に沿って遠位端55に隣接した場所から近位端59に隣接した場所まで配置された複数のレンズ48を含む光学構成部品が設けられている。対物レンズセクション47は、動翼14に沿った所定の場所50(図1)からの光をフレキシブル像形成バンドル24の像形成端26の像形成面32(図3)に結像する。すなわち、対物レンズセクション47のレンズ48は、受光部位30の像形成面32に所定の場所50の焦点を合わせるように構成されている。
【0037】
所定の場所50は、動翼14の長さ方向に沿った動翼14の半径方向の外側先端52(図1)と回転軸16との間にある位置に配置することが可能である。所定の場所には、対物レンズセクション47のレンズ48によって形成され、角度θで規定される視野63(図1)内の領域が含まれる。視野の角度θは約50°とすることが可能である。
【0038】
図1を参照すると、フレキシブル像形成バンドル24の観察端28は、像形成端26に関して既述のものとほぼ同じ構造をなすように形成することが可能である。像形成システム10の外端27は、外側ケーシング壁18の点検口76まで延びており、点検口76にしっかり取り付けられて、フレキシブル像形成バンドル24の観察端28でエンドチップハウジング74を受けるように構成された観察ハウジング54を含んでいる。観察ハウジング54は、観察端28の放射部位36からカメラ58に放射される光の像を形成するために配置されたレンズ56を含む少なくとも1つの光学素子を密閉することも可能である。
【0039】
図1において明らかなように、像形成システム10には、さらに、カメラ58が受けた像の収集及び記録を制御するためのプロセッサ60を含むことが可能である。カメラ58には、約1.5μmほどの波長すなわち近赤外スペクトル範囲内の波長で伝送される像を受けて処理し、さらに可視光範囲内の像も処理するアレイを備えた近赤外焦点面カメラを用いることが可能である。
【0040】
図4を参照すると、対物レンズセクション47のレンズ48は、シェル領域44に供給されるシェル空気、すなわち、静翼及び関連するシュラウド構造といったタービン構成部品を冷却するためシェル領域44に供給される空気で冷却される。とりわけ、対物レンズセクション47とアパーチャ51の間、並びに、対物レンズセクション47と取付けセクション49の内径との間にギャップ80を設けて、像形成ハウジング46を通る空気流路を形成することが可能である。ギャップ80は、対物レンズセクション47を包囲する環状領域によって形成することが可能である。シェル領域44に供給される空気は、対物レンズセクション47が動翼リング構造20のシェル側の面84と交差する場所82からギャップ80に流入することが可能である。ギャップ80を通る空気は、チャンバ86内に入り込むことが可能な遠位端55まで流れて、遠位レンズ48aに隣接した空気のパージ流及び冷却流を生じさせる。
【0041】
さらに図3を参照すると、本発明では、さらに冷却空気流を発生して光学素子34を冷却し、それによって、タービン運転中における像形成システム10の長時間利用を促進する。具体的には、シェル空気をなす冷却空気が、フレキシブル金属シース42の壁を通って、ファイババンドル35に冷却接触する。すなわち、フレキシブル金属シース42は、通気性であり、空気は、図3及び4に流れ線88で例示のように、フレキシブル金属シース42を形成するフレキシブルな編組ステンレス鋼金属シースの壁の編組要素間に形成された、小さいギャップを貫流することが可能である。さらに、空気は中間スリーブ37を通って、光学素子34を冷却することが可能である。フレキシブル金属シース42を通り抜ける空気流88が、さらに、像形成端26でフレキシブル像形成バンドル24から流出し、ブッシング70とエンドチップハウジング66との間の1つ以上のギャップまたはブッシング70と光学素子34の端部の像形成アレイ38との間の1つまたは複数のギャップを通って流出することで、冷却空気が対物レンズセクション47に流入し、レンズ48を冷却できるようにすることが可能になる。フレキシブル像形成バンドル24から対物レンズセクション47で与えられる冷却空気は、ギャップ80を通る空気と合流し、遠位端55を通って出て行く。
【0042】
留意すべきは、シェル領域44内における空気は、一般に圧力が約250psiであり、従って、空気をフレキシブル金属シース42に通し、対物レンズセクション47に沿って流して、ファイババンドル35及びレンズ48を冷却するようにする加圧空気源になる。すなわち、シェル領域44内の空気は、高温ガス流路22の圧力よりかなり高いので、冷却空気が高温ガス流路22の方向に流れることになる。こうした冷却構成によって、ファイバ34が連続して冷却されるので、フレキシブル像形成バンドル24によって行われる連続オンライン像形成中、ファイバ34の熱劣化及び損傷の少なくともいずれかがほぼ阻止されることになる。
【0043】
本像形成システム10は、タービンエンジンの運転中、すなわち、1つまたは複数の動翼14が像形成システム10の像形成端26を通過する回転運動中、動翼14の所定の場所50の二次元像を形成するようになっている。像形成システム10は、視野63内に画定される所定の場所50の領域にある特徴を含む基準線R及びCによって画定される方向にそれぞれ対応し得る高さと長さの次元を備えた像を、提供する。したがって、所定の場所50図1の観察場所50により概略的に例示されているような、動翼14における観察領域または観察区域である
【0044】
像形成システム10は、とりわけ、フレキシブル像形成バンドル24を介して可視または近赤外像を伝送するように構成されている。システム10によって像形成される特徴欠陥または応力の指標とすることが可能で、例えば、所定の場所50内において、可視または近赤外光の強度変動を含、すなわち、温度マッピングを提供する。例えば、それらの特徴は、像形成面32形成され、フレキシブル像形成バンドル24を通して放射部位36に伝送される近赤外スペクトル内の像を利用して示すことが可能であり、像形成面32における像に対応する二次元像が形成されて、カメラ58に伝送される。所定の場所50の温度マッピングは、オンラインで実施され、例えば、エンジン12の運転中における構成部品の潜在的故障を表わす構成部品の状態を発見するために用いることが可能である。
【0045】
像形成システム10は、複数回にわたる動翼の通過から得られる像を高速処理するように構成されている。すなわち、像形成システム10は、タービンエンジン12のロータ(図示せず周囲に配置された動翼14の各動翼の通過像を捕捉する。像形成システム10は、連続オンラインモードで動作し、タービンエンジン12の運転中、各動翼の通過毎に及び各ロータの回転毎に可視及び赤外像を連続して得ることが可能である。
【0046】
本書に開示のフレキシブル像形成バンドル24は、以前のシステムにおいて直面していた点検の制約を回避して、エンジン内部の構成部品を視検できるようにする。フレキシブル像形成バンドル24によれば、観察端28の場所による制限をほとんど受けることなく、特に選択された所定の場所50を視検できるように像形成端26を配置することが可能になる。例えば、図1に例示のように、フレキシブル像形成バンドル24は、像形成端26と観察端28との間に非直線の光路を形成することが可能であり、フレキシブル像形成バンドル24の両端間の経路を自由に構成できるように、しっかりと曲げるかまたは湾曲させることが可能である、すなわち、1つ以上の曲率半径を持たせて湾曲させることが可能である。すなわち、像形成端26は、外側ケーシング壁18に隣接した観察端28の配置及び配向と関係なく、動翼リング構造20に隣接して配置し配向することが可能である。このため、シェル領域44内におけるフレキシブル像形成バンドル24の形状及び位置は、シェル領域44内に位置する構成部品(図示せず)のまわりかその中の少なくともいずれかを通って延びるように容易に変えることが可能になる。さらに、シェル空気によって光ファイババンドル35を冷却するフレキシブル像形成バンドル24を導入すると、高温光学素子34及びレンズ48の少なくともいずれかをほとんど劣化させることなく、高温オンライン用途における、すなわち、高温ガス流路22に隣接したフレキシブル像形成バンドル24の利用が促進されることになる。
【0047】
本説明から当然明らかなように、本発明によれば、フレキシブル像形成バンドルの両端をタービンの望ましい場所に独自に配置することが可能な、タービンエンジンの像を伝送するためのフレキシブル導管が提供される。さらに、本発明によれば、タービンの運転中にタービンの内部構成部品からコヒーレントな像を得ることができるように、高温環境において、すなわち、少なくとも350℃の温度環境においてコヒーレントな近赤外像を伝送するように構成された耐久フレキシブル構造のようなフレキシブル像形成バンドルが提供される。
【0048】
言うまでもなく、本発明については、特に動翼14を含む構成部品を視検することに関連して解説してきたが、本発明はタービンエンジン12内に配置された他の構成部品の視検に用いることも可能である。例えば、像形成システム10は、高温ガス流路22内に配置された静翼(図示せず)のような静止構成部品を視検するように実施することも可能である。
【0049】
本発明の特定の実施形態について例示し、解説してきたが、当分野の技術者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更及び修正を加えることが可能である。従って、付属の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるこうした全ての変更及び修正を網羅するように意図されている。
【符号の説明】
【0050】
10 像形成システム
12 ガスタービンエンジン
14 タービン動翼
16 ロータ回転軸
18 外側ケーシング壁
20 動翼リング構造
22 高温ガス流路
24 像形成バンドル
25 像形成システムの内端
26 像形成端
27 像形成システムの外端
28 観察端
30 受光部位
32 像面
33 光ファイバ
34 光学素子
35 ファイババンドル
36 放射部位
38 像形成アレイ
40 観察アレイ
42 フレキシブル金属シース
44 シェル領域
46 像形成ハウジング
47 対物レンズセクション
48 レンズ
49 取付けセクション
51 動翼リング構造のアパーチャ
54 観察ハウジング
56 レンズ
58 カメラ
60 プロセッサ
66 エンドチップハウジング
70 ブッシング
72 ブッシングの内部開口
74 エンドチップハウジング
76 点検口
図1
図2
図3
図4