特許第5693601号(P5693601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693601組込み式の圧力制限弁を備えたスクリュースピンドルポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693601
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】組込み式の圧力制限弁を備えたスクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/16 20060101AFI20150312BHJP
   F04C 14/24 20060101ALI20150312BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20150312BHJP
   F04C 14/28 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   F04C2/16 B
   F04C14/24 C
   F04C15/00 K
   F04C15/00 E
   F04C14/28 C
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-540296(P2012-540296)
(86)(22)【出願日】2010年9月15日
(65)【公表番号】特表2013-512372(P2013-512372A)
(43)【公表日】2013年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2010005657
(87)【国際公開番号】WO2011063870
(87)【国際公開日】20110603
【審査請求日】2012年6月28日
(31)【優先権主張番号】102009056218.4
(32)【優先日】2009年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ヨイストゲン
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−047153(JP,A)
【文献】 特開2008−133818(JP,A)
【文献】 登録実用新案第344535(JP,Z1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/16
F04C 14/24
F04C 14/28
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを取り付けるためのフランジ区分(2)が加工成形されているポンプケーシング(1)と、組込み式の圧力制限弁(28)とを備えたスクリュースピンドルポンプであって、前記圧力制限弁(28)が、前記ポンプケーシング(1)のフランジ区分(2)において、当該ポンプケーシング(1)に組み込まれており、
前記ポンプケーシング(1)のフランジ区分(2)に吐出室(6)が加工成形されており、前記圧力制限弁(28)が、前記吐出室(6)と直接に流体接続されており、
前記ポンプケーシング(1)が、少なくとも2つの別個のケーシング部材、即ちフランジ区分(2)とスピンドルケーシング区分(4)とから成っており、これらのフランジ区分(2)とスピンドルケーシング区分(4)とが互いにねじ締結、かしめ締結又はリベット締結されており、
少なくとも1つのスピンドル(20)が設けられており、該スピンドル(20)のスピンドルシャフト(18)が、前記フランジ区分(2)に設けられた吐出室(6)を貫通して案内されており、当該スピンドル(20)のらせん区分(26)が、前記スピンドルケーシング区分(4)に形成されたスピンドル室(10)に突入していることを特徴とする、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
前記吐出室(6)内の過剰圧力を流体タンク内へ放出するために、前記圧力制限弁(28)が前記流体タンクに接続されている、請求項1記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記圧力制限弁(28)が、前記スピンドル(20)に対して実質的に平行に向けられており、ほぼ前記スピンドルシャフト(18)の高さで前記フランジ区分(2)に挿入されている、請求項1又は2記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記スピンドルシャフト(18)にシール区分(24)が加工成形されており、該シール区分(24)は、前記吐出室(6)への入口において前記フランジ区分(2)とシール・滑り係合状態にあり、これにより、前記吐出室(6)を大気に対してシールするようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記吐出室(6)は、前記スピンドル(20)に対して離心するように加工成形されており、前記圧力制限弁(28)は、前記吐出室(6)の、スピンドル(20)に対して半径方向に大きく変位された区分(6a)に開口するようになっている、請求項からまでのいずれか1項記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記ポンプケーシング(1)のフランジ区分(2)に加工成形されており且つ前記吐出室(6)をリングディスク状に取り囲むフランジプレート(29)が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
前記圧力制限弁(28)が、前記フランジプレート(29)と前記スピンドルケーシング区分(4)との間の領域で、前記フランジ区分(2)のケーシング壁内に組み込まれている、請求項記載のスクリュースピンドルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、組込み式の圧力制限弁を備えたスクリュースピンドルポンプに関する。
【0002】
スクリュースピンドルポンプは、一般に自吸式の容積型ポンプであって、有利には低圧範囲に適しており、且つ給排水ポンプとして液体を圧送するため、燃料重油及び燃料軽油を圧送するため、並びにあらゆる潤滑液、再生油及び残油並びに油脂に使用される。更に、スクリュースピンドルポンプは、潤滑オイルポンプ、シーリングオイルポンプ、可変容量オイルポンプ、液圧オイルポンプ、冷却オイルポンプ及び冷凍オイルポンプ、並びにエンジン用の燃料ポンプとして使用され得る。
【0003】
従来技術からは例えば、ポンプケーシング内で互いに平行に組み込まれた3つのスピンドルを有する前記形式のスクリュースピンドルポンプが公知である。この場合、ポンプケーシングはスピンドル室を形成しており、このスピンドル室には3つのスピンドルのねじ区分又は軸区分が突入しており、前記スピンドル室は吐出室と流体接続されている。更にポンプケーシングには、スピンドル室の一方の軸方向端部において、このスピンドル室に開口する流入通路と、スピンドル室の他方の軸方向端部において、吐出室の形成下でこの吐出室に開口する流出通路とが加工成形されている。
【0004】
スピンドル室に対して平行に、圧力制限弁がポンプケーシング若しくはポンプケーシングのケーシング壁に挿入されており、前記圧力制限弁は、スピンドルに対して同軸的に延びており且つ吐出し流出通路内に開口する。圧力制限弁は更に、ポンプケーシングに加工成形された流入通路との接続部を有している。
【0005】
これにより、吐出し流出通路内の圧力が、予め規定された値を超過した場合には、圧力制限弁が開いて、過剰圧力をスクリュースピンドルポンプの吸込み側に放出する。このことは、ポンプの圧力過剰負荷を防止する。しかし、圧力制限弁をポンプケーシング内へ組み込むには、圧力制限弁のための収容スペースを得られるようにするために、所定の組込み箇所においてポンプケーシング若しくはケーシング壁を増大させる必要がある。このことはポンプケーシングの外側寸法の拡大を生ぜしめ、しかも、ポンプはポンプケーシングにおける付加的な材料鋳込みに基づき、全体としてより一層重くもなる。
【0006】
この公知の従来技術を考慮した本願発明の課題は、外側寸法をコンパクトに抑えることができ且つ従来技術に比べて軽量に構成された、組込み式の圧力制限弁を備えたスクリュースピンドルポンプを提供することにある。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成を有するスクリュースピンドルポンプによって解決される。本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の基本思想は、ポンプの機能及び/又は組込みのために必要な、ポンプケーシングにおける既存の材料集積部を、組込み式の圧力制限弁を組み込むために利用するということに基づくものである。したがって本発明では、機能に基づいて既にポンプケーシング若しくはケーシング壁に所定の材料集積部を有するポンプケーシングのフランジ区分に、圧力制限弁が組み込まれている。このようにして、ポンプケーシングに付加的な材料鋳込み部を設けずに済むので、当該ポンプケーシングの外側寸法は、圧力制限弁無しのスクリュースピンドルポンプと比べて増大はしない。更に、このような組込み式の圧力制限弁を備えたスクリュースピンドルポンプは全く又は僅かにしか重量が増大しない。
【0009】
有利には、本発明によるスクリュースピンドルポンプでは吐出室も、やはりポンプケーシングのフランジ区分に加工成形されており、この場合、圧力制限弁は直接に吐出室内に開口する。このようにして、吐出室の領域には十分な大きさのポンプケーシングの壁厚さが残されているので、付加的な壁の増大を行う必要無しで、吐出室内の予期され得る圧力に耐えられる。
【0010】
更に有利なのは、ポンプのフランジプレートを、このフランジプレートが吐出室をベルト状に取り囲むような位置でポンプケーシングに加工成形することである。このようにして、吐出室の領域のケーシング壁が付加的に補強される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】挿入されたスピンドルと、組込み式の圧力制限弁とを備えた本発明によるスクリュースピンドルポンプのケーシングを縦断して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0013】
本発明の有利な1実施形態に基づくスクリュースピンドルポンプのポンプケーシング1は、ポンプを所定の構成部材(詳しくは図示せず)に取り付けるためのフランジ区分2と、スピンドルケーシング区分4とから成っており、このスピンドルケーシング区分4は、フランジ区分2とは別個のケーシング部材を成しており且つフランジ区分2にねじ締結、かしめ締結又はリベット締結されている。
【0014】
フランジ区分2には吐出室6が加工成形されており、この吐出室6は接続孔8を介して、スピンドルケーシング区分4内のスピンドル室10に接続されている。更に、フランジ区分2において、接続孔8に対する軸方向延長部に入口孔12が形成されており、この入口孔12もやはり吐出室6に開口しており且つスピンドルケーシング区分4とは反対側の、フランジ区分2のフランジ状の外面に通じている。この外面にはポンプカバー14がねじ嵌められており、このポンプカバー14にもやはり貫通孔16が加工成形されており、この貫通孔16は、フランジ区分2の接続孔8及び入口孔12に対して軸方向に向けられている。
【0015】
接続孔8、入口孔12及び貫通孔16にはスピンドル20のシャフト18が挿入されており、このシャフト18はポンプカバー14の貫通孔16において、玉軸受又は転がり軸受22によって回転可能に支承されている。フランジ区分2の入口孔12の領域において、スピンドルシャフト18はシール区分24を備えて加工成形されており、このシール区分24は、フランジ区分2の入口孔12にシール作用を以て滑り係合している。スピンドル20は、最終的にらせん区分26を形成しており、このらせん区分26は、スピンドルケーシング区分4のスピンドル室10に収容されている。この場合、フランジ区分2に設けられた吐出室6は、スピンドルシャフト18に対して離心するように加工成形されている、つまり、吐出室6はスピンドルシャフト18若しくはフランジ区分2に形成された接続孔8に対して、半径方向に変位された区分6aを形成している。この半径方向にずらされた、若しくは変位された区分6aは、スクリュースピンドルポンプの流出孔27に開口している。更にフランジ区分2は、このフランジ区分2に一体成形された環状のフランジプレート29を有しており、このフランジプレート29は、吐出室6を取り囲んでおり且つフランジ区分2のケーシング壁を補強している。
【0016】
圧力制限弁28は、スピンドルシャフト18に対して平行に、接続孔8の高さ位置でフランジ区分2に組み込まれており、この場合、吐出室6の半径方向にずらされた、若しくは変位された区分6aに開口している。具体的には、フランジ区分2はこの領域に材料集積部2aを形成しており、この材料集積部2aの内部に吐出室6が加工成形されており、材料集積部2aは、圧力制限弁孔30をフランジ区分2の接続孔8に対して平行に加工成形するために適している。これにより、圧力制限弁28は、スピンドルケーシング区分4とフランジプレート29との間の領域において、ほぼ接続孔8の高さでスピンドルシャフト18に対して平行に位置している。
【0017】
この場合、圧力制限弁28はプランジャの形の弁体32から成っており、この弁体32のプランジャ先端部34は、ポンプケーシング1、つまりフランジ区分2に形成された弁座36にシール作用を以て着座する。この場合、弁体32は、ばね38によって予負荷されており、このばね38の予負荷力は、やはりポンプケーシング1のフランジ区分2にねじ込まれた調節ねじ40を介して調節可能である。弁座36の下位には、圧力制限弁28に対して実質的に垂直方向にフランジ区分2に穿孔された放出孔42が設けられており、この放出孔42は、所定の流体タンク(詳しくは図示せず)に接続されている。吐出室6の内部において、予負荷ばね38を介して調節される所定の圧力が超過されると直ちに圧力制限弁28が開いて、過剰圧力を直接に流体タンク内へ放出する。
【0018】
最後に述べておくと、圧力制限弁28の位置及び向きは、上述した実施形態に限定されるものではない。むしろ、圧力制限弁28は接続孔8に対して半径方向でフランジ区分2に組み込まれていてもよく、この場合、圧力制限弁28の弁プランジャ32は、接続孔8に対して平行に延びる、吐出室6とタンク接続部との間の圧力放出孔を開閉する。圧力制限弁28をフランジプレート29の上位に、つまりフランジプレート29とポンプカバー14との間でフランジ区分2に組み込むことも考えられ、この場合はポンプカバー14のフランジ締結面用に必要とされるフランジ区分2の材料集積部が、圧力制限弁28を組み込むために利用され得る。
【符号の説明】
【0019】
1 ポンプケーシング
2 フランジ区分
4 スピンドルケーシング区分
6 吐出室
6a 変位された区分
8 接続孔
10 スピンドル室
12 入口孔
14 ポンプカバー
16 貫通孔
18 スピンドルシャフト
20 スピンドル
22 転がり軸受
24 シール区分
26 らせん区分
27 流出孔
28 圧力制限弁
29 フランジプレート
30 弁孔
32 弁体
34 プランジャ先端部
36 弁座
38 予負荷ばね
40 調節ねじ
42 放出孔
図1