特許第5693604号(P5693604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693604
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】クラッチの駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 48/06 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F16D28/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-542358(P2012-542358)
(86)(22)【出願日】2010年11月29日
(65)【公表番号】特表2013-513764(P2013-513764A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】DE2010001386
(87)【国際公開番号】WO2011069478
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】102009057831.5
(32)【優先日】2009年12月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シューエン
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−016673(JP,A)
【文献】 特開昭58−170924(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004037708(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03908844(DE,A1)
【文献】 米国特許第03727191(US,A)
【文献】 米国特許第05379367(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 48/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドライブトレーンのクラッチの駆動制御方法であって、
前記クラッチを作動させるために所定の各設定期間においてそれぞれ位置目標値を生成し、各設定期間において、複数の所定の制御標本化期間で該クラッチを駆動制御する、駆動制御方法において、
前記設定期間と前記制御標本化期間との比に依存して決定された数の中間位置目標値に、位置目標値変化を分割し、前記クラッチの駆動制御のために該位置目標値変化を段階的に設定し、
現在の設定期間中に、現在生成された位置目標値と、該現在の設定期間より前の設定期間中に生成された位置目標値と、の差から、現在の位置目標値変化を求め、
前記設定期間と前記制御標本化期間との整数比に相当する数の中間ステップに、前記現在の位置目標値変化を分割し、
各中間ステップにおいて、先行の中間ステップにおいて求められた位置目標値と、各中間ステップにおける残りの中間ステップの位置目標値変化を該中間ステップの残りの中間ステップの数で分けたものと、の和により、各制御標本化期間で分割される中間位置目標値を形成する、駆動制御方法。
【請求項2】
最初である第1の中間ステップでは、現在の設定期間より前の設定期間中に生成された位置目標値と、前記現在の位置目標値変化を前記中間ステップの数で分けたものとの和によって、前記制御標本化期間で分割される第1の中間位置目標値を形成する、
請求項1記載の駆動制御方法。
【請求項3】
最後の中間ステップでは、前記制御標本化期間で分割される最後の中間位置目標値は、現在の設定期間中に生成された位置目標値に相当する、
請求項2記載の駆動制御方法。
【請求項4】
最初である第1の中間ステップにおいて、前記求められた現在の位置目標値変化の絶対値が所定の最小値を上回りかつ所定の最大値を下回るか否かを判定する、
請求項3記載の駆動制御方法。
【請求項5】
第1の中間ステップにおいてまず、前記位置目標値変化を前記中間ステップの数で分けたものの絶対値と、クラッチ位置制御部の所定のスイッチオン閾値の絶対値との比較から、最大値を求め、前記制御標本化期間で分割される第1の中間位置目標値を求めるために、求められた前記最大値を、現在の設定期間より前の設定期間において生成された位置目標値に加算する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドライブトレーンにおけるクラッチの駆動制御方法に関する。この駆動制御方法では、クラッチの方法のために、予め決定された各設定期間の間にそれぞれ1つの位置目標値を生成し、各設定期間中に、複数の所定の制御標本化期間でクラッチの駆動制御を行う。本願ではクラッチの方法とは、クラッチを動かすための操作を意味する。
【0002】
自動車のトランスミッションでは、クラッチ位置制御部はたとえばクラッチ制御部から、クラッチの方法のために設定位置を受け取る。この設定位置は、所望のクラッチ目標トルクから計算される。この設定位置は、予め決定された設定期間中に更新される。クラッチ位置制御部が、より短い時間の複数の制御標本化期間で動作する場合、設定期間中に分割された、クラッチ制御部の設定位置は、複数の制御標本化期間で動作するクラッチ位置制御部に対して、複数の段階的な目標値の列となる。このことにより、とりわけクラッチ作動機構が高ダイナミクスに構成されている場合には、制御部において振動が発生することとなり、とりわけ駆動制御電圧に振動が生じることになる。このことにより、たとえばクラッチアクチュエータのECモータ等であるハードウェアにかかる負荷が高くなり、ハードウェアに生じる摩耗が大きくなる。
【0003】
DE102004037708A1に、ドライブトレーンにモータが設けられた車両のトランスミッションの少なくとも1つのクラッチを開ループ制御および/または閉ループ制御するための手法が開示されている。この手法では、モータの回転数を求め、該エンジンの回転数に依存してクラッチを駆動制御する。このような回転数制御によって同時に、たとえば所望の目標トルクに達するまでクラッチの閉成を行う場合には、終了値をそのまま目標値として直接設定する、クラッチの位置制御も行うことができる。この手法の欠点は、位置制御と回転数制御との間でさらに付加的な結合を行わなければならず、それゆえ非常に面倒になるということである。上述のような手法ではさらに、特に低回転数の場合にクラッチ作動モータの回転数を良好に測定できなければならない。このことにより、対応するハードウェアの構成において、とりわけセンサ系において付加的な手間が生じ、またハードウェアに近いソフトウェアにおいても付加的な手間が生じる。
【0004】
それゆえ本発明の課題は、上述の形式のクラッチ駆動制御方法において、クラッチ位置制御の制御部において実行時間が異なることによる不具合を小さい手間で回避できるクラッチ駆動制御方法を提供することである。
【0005】
上記課題は、請求項1の方法によって解決される。
【0006】
本発明では、現在の設定期間中に決定された1つの位置目標値変化を中間位置目標値に分割し、該位置目標値変化をクラッチ駆動制御のために段階的に設定する。この中間位置目標値の数は、設定期間と制御標本化期間との比に依存して決定される。このようにして、設定期間中に必要とされる位置目標値変化はそれぞれ、制御標本化期間で分割された複数の中間位置目標値に分割して列を形成し、クラッチの駆動制御のために連続的に設定することができる。すなわち、中間位置目標値は各制御標本化期間において更新される。このことにより、クラッチの制御部における振動は減衰され、ハードウェアに不必要に負荷がかかることと、クラッチ作動機構に生じる不具合とが簡単かつ確実に回避される。
【0007】
現在の設定期間中には、該現在の設定期間中に設定された現在の位置目標値と、該現在の設定期間より前の設定期間中に設定された位置目標値との差から、現在の位置目標値変化を求めることができる。
【0008】
現在の位置目標値変化を、設定期間と制御標本化期間との整数比に相当する数の中間ステップに分割するのが有利である。このことにより、現在の設定期間中に必要な位置変化が、制御標本化期間で分割された複数の中間ステップに分割される。現在の設定期間中に必要な全体の位置変化は有利には、それぞれ制御標本化期間で分割された等しい大きさの複数の部分位置変化で得られる。これら複数の部分位置変化は、有利にはモータ増分に分割されたものである。
【0009】
有利には、制御標本化期間で分割される、各中間ステップの中間位置目標値を求めるために、各中間ステップに対応する位置目標値変化を、先行のステップにおいて求められた中間位置目標値に加算する。その際には、各中間ステップに対応する位置目標値変化は、各中間ステップにおける残りの中間ステップの位置目標値変化を該中間ステップにおける残りの中間ステップの数で分けたものから求められる。前記加算により得られた和はそれぞれ、各中間ステップにおいて求められ制御標本化期間で分割された中間目標値として割り当てられる。
【0010】
有利には、各中間ステップにおける残りの位置目標値変化は、現在の設定期間中に生成された位置目標値と、先行する中間ステップにおいて求められ制御標本化期間で分割された中間位置目標値との差から決定される。その際には、第1の中間ステップでは残りの位置目標値変化は、最初に求められ現在の設定期間中に必要な全体の位置目標値変化に相当する。
【0011】
有利には、第1の中間ステップにおいて、設定期間中の現在の全体的な位置目標値変化を中間ステップの総数で分けて得られる各部分を、該現在の設定期間より前の設定期間において生成された位置目標値に加算することにより、制御標本化期間で分割される第1の中間位置目標値が求められる。前記加算により得られた和はそのつど、第1の中間ステップにおいて求められ制御標本化期間で分割された中間目標値として割り当てられる。
【0012】
最後の中間ステップでは、制御標本化期間で分割された最後の中間位置目標値は、現在の設定期間において生成された位置目標値に相当する。現在の設定期間中に生成された位置目標値を、最後の中間ステップにおけるクラッチの駆動制御のために設定することにより、現在の設定期間中に要求される位置目標値変化に達する。
【0013】
本発明の方法において有利には、第1のステップにおいてまず、現在の設定期間中に要求される現在の位置目標値変化の絶対値が所定の最小値より大きく、かつ所定の最大値より小さいか否かを決定する。その際に有利なのは、現在の位置目標値変化の絶対値がこの所定の領域内にある場合のみ、本発明の方法を実施することである。その際にはたとえば、要求されている大きな位置変化ないしは所望の急峻な位置変化が妨害されることなく、かつ、要求されている位置変化が非常に小さく、制御部において振動が形成される可能性がない場合、または、要求されている位置変化では制御ユニットのスイッチオン閾値に達しない場合、不要な方法ステップがさらに実施されることがないように、上述の最大値および最小値を選択することができる。
【0014】
好適には、第1の中間ステップにおいてまず、最初に1つの位置目標値変化を中間ステップの数で分けたものの絶対値と、クラッチ位置制御部の所定のスイッチオン閾値の絶対値との比較から、最大値を求め、制御標本化期間で分割される中間位置目標値を求めるために、求められた前記最大値を、現在の設定期間より前の設定期間において生成された位置目標値に加算する。このことにより、要求されている位置変化が小さい場合でも、第1の中間ステップにおいて制御標本化期間において決定された中間位置目標値が少なくとも、クラッチ位置制御部のスイッチオン閾値に達することが保証される。
【0015】
以下、添付の図面を一例として参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】位置目標値の時間特性と、本発明において最適化された位置目標値の時間特性と、クラッチ位置制御部によって検出された位置目標値の時間特性と、クラッチアクチュエータの駆動制御電圧の時間特性の一実施例を示す。
図2】本発明の一実施例の方法の流れを概略的に示す。
【0017】
図1に、2つの部分に分かれたグラフを示す。このグラフの上部分には、自動クラッチの方法のための設定位置の特性経過の一例を、曲線 XtgtOld1 で示す。これらの設定位置は、クラッチにおいて自動車のドライブトレーンへ伝達すべき所望のクラッチトルクから計算され、所定の設定期間において分割された位置目標値 XTgtOld1 としてランプ状に、たとえばクラッチ制御部によって生成される。曲線 XAct_Ecmc は、制御標本化期間で動作するクラッチ位置制御部を示す。同図の下部分には、クラッチ位置制御部が位置変化を行うためにクラッチ操作要素をランプ状に駆動制御するために用いられる駆動制御電圧の特性経過を、曲線 UTgtOut で示している。前記クラッチ操作要素は、ここではクラッチアクチュエータである。設定期間の時間および制御標本化期間の時間は、ハードウェアに依存して予め決定される。この実施例では、設定期間の時間を、ここではたとえば、いわゆる10ms割込みで定めており、制御標本化期間の時間を、ここではたとえば2.5ms割込みで定めている。
【0018】
10ms割込みで分割される位置目標値特性経過 XTgtOld1 に対応して、制御標本化期間でここではたとえば2.5ms割込みで分割され本発明により最適化された位置目標値特性経過を、別の曲線 XTgt_Ecmc で示す。特性経過 XTgtOld1 においてそれぞれ現在の10ms割込みで、現在生成された位置目標値と該現在の10ms割込みより前の10ms割込みで生成された位置目標値との差から、現在の全体位置目標値変化が設定され、この現在の全体位置目標値変化はそのつど、設定期間と制御標本化期間との整数比に応じて、2.5ms割込みで分割された4つの中間位置目標値 XTgt_Ecmc に分割され、クラッチ位置制御部に対して設定される。このことにより、制御標本化期間に応じて、2.5msごとに位置目標値が更新される。このようにして、各10ms割込みにおいて要求される、目標位置の変化は、2.5ms割込みで分割された等しい大きさの4つの位置変化に分割される。このことにより、クラッチ作動モータの駆動制御電圧 UTgtOut の特性経過(図1の下部分)において急峻な変化や振動が生じるのが確実に回避される。
【0019】
図2に、本発明の方法の流れの一例をフローチャートで示す。開始点1から出発して、まず分岐2において、現在の10ms割込みにおいて位置目標値の変化が所望の領域内にあるか否かを判定する。こうするためには、現在の10ms割込みにおいて設定された位置目標値 XTgt と、該現在の10ms割込みより前の10ms割込みにおいて生成された瞬時位置目標値 XTgtOld との差の絶対値を形成し、この差の絶対値が所定の最小値より大きくかつ所定の最大値より小さいか否かを検査する。このことによって位置変化は、所定の最小値から所定の最大値までのみ考慮される。位置目標値の求められた変化がこの所定の領域内にない場合、終了点3において方法の実施が終了される。位置目標値の変化が上述の所定の領域内にある場合、ブロック4において、現在の10ms割込みにおいて生成された位置目標値 XTgt がターゲット位置目標値 XTgtNew として記憶され、現在の10ms割込みより前の10ms割込みにおいて生成された瞬時位置目標値 XTgtOld は XTgt として記憶される。
【0020】
その後、本発明の方法を、所定数のn個の2.5ms割込みにおいて分割された中間ステップで継続する。その際には、ターゲット位置目標値 XTgtNew と瞬時位置目標値 XTgtOld との差によって現在の10ms割込みにおいて必要とされる全体位置目標値変化が、2.5ms割込みで分割されたn個の中間位置目標値に分割され、クラッチ位置制御部に対して、これらの中間位置目標値は2.5ms中間ステップで連続的に順次設定される。中間ステップの数nはここでは、設定期間と制御標本化期間との整数比から求められる。すなわち、ここではたとえば、10msと2.5msとの比に応じて4つの中間ステップにされ、これら4つの中間ステップにおいて、2.5ms割込みで分割された4つの中間位置目標値が求められ、各2.5ms割込みにおいて割り当てられる。中間ステップを計数するためにステップカウンタが動作し、i=0からi=n−1まで計数し、この実施例ではi=0からi=4−1=3まで計数する。このステップカウンタは、各中間ステップごとに1増分する。各2.5ms割込みごとに、まず分岐5において、現在のステップカウンタiがn−1より小さいか否かを検査する。すなわち、方法が最後の中間ステップでないか否かを検査する。この実施例では、現在の中間ステップにおいてステップカウンタiが3より小さい場合、本方法は、図の左側に示された分岐に移行され、まずブロック6において、現在の2.5ms割込みに関する位置目標値変化 dX を求める。この位置目標値変化 dX は、現在の中間ステップにおける残りの中間ステップの位置目標値変化を該現在の中間ステップにおける残りのn−i個の中間ステップの数で分けたものから求められる。この現在の残りの位置目標値変化は、現在の10ms割込みにおいて記憶されたターゲット位置目標値 XTgtNew と、現在の中間ステップより前のステップにおいて記憶された位置目標値 XTgt との差から形成される。
【0021】
ブロック6において求められた位置目標値変化 dX は、後続のブロック7において、先行の中間ステップにおいて2.5ms割込みで記憶された位置目標値 XTgt に加算される。この加算で得られた和は、現在の2.5ms割込みに関する中間位置目標値 XTgt として割り当てられる。それと同時に、ステップカウンタiを1増分させ、次の2.5ms中間ステップを上述のように実施する。
【0022】
上述の手順によれば、最初の第1の2.5ms中間ステップにおいてブロック6で、現在の10ms割込みにおいて要求される全体位置目標値変化を、4つ(n=4,i=0)の中間ステップの数で分けたものから形成される。すなわち、全体位置目標値変化は中間ステップの総数によって除算され、この除算によって得られた商が、第1の中間ステップに関する位置目標値変化 dX として決定される。前記全体位置目標値変化は、最初に、ターゲット位置目標値として現在記憶されている XTgtNew と、前記第1の中間ステップにおいて瞬時位置目標値として記憶されている XTgtOld との差から求められたものである。
【0023】
次の2つの各中間ステップ(i=1,i=2)ではそれぞれ、ブロック6においてまず、現在記憶されているターゲット位置目標値 XTgtNew と、先行の中間ステップにおいて求められ2.5ms中間位置目標値として現在記憶されている XTgt との差から、そのつどの残りの位置目標値変化が求められ、これをn−1個の中間ステップの数で分けたものが形成される。すなわち残りの位置目標値変化は、中間ステップの数4−1=3ないしは4−2=2によって除算され、この除算によって得られた商は、第2の中間ステップないしは第3の中間ステップに対応する位置目標値変化 dX として決定される。
【0024】
第1の2.5ms割込みにおいてi=0である場合、すなわち、本方法が10ms割込みの第1の中間ステップにある場合、ブロック6と7の間の分岐8において、本方法は後続のブロック9へ移行する。ブロック9では、第1の中間ステップにおいて計算された位置目標値変化 dX と、クラッチ位置制御部の所定のスイッチオン閾値 XE とから最大大きさが求められ、その後に dX が、求められたこの最大値に等しくなるようにセットされる。その後、第1の中間ステップにおいて、ブロック7で、第1の2.5ms割込みにおいて求められる中間位置目標値 XTgt が、記憶された10ms瞬時位置目標値 XTgtOld と、ブロック9において求められた最大値との和から得られる。このことにより、位置目標値変化 dX が少なくとも、クラッチ位置制御部のスイッチオン閾値 XE を超える2.5ms位置目標値 XTgt の設定が、第1の2.5ms割込みにおいて行われることが、第1の中間ステップの間に保証される。
【0025】
後続の中間ステップ(i=1,i=2)では、分岐8において本方法はブロック7へ直接移行する。ブロック7ではそのつど、先行のブロック6において計算された、各中間ステップに対応する位置目標値変化 dX が、先行の割込みにおいて求められた2.5ms中間位置目標値 XTgt に加算され、その和が、新たな2.5ms中間位置目標値 XTgt として割り当てられる。
【0026】
分岐5において、ステップカウンタ1<n−1の条件が満たされない場合には、本方法は最後の中間ステップにおいて、図の右側に示された分岐に移行される。この右側の分岐ではまず、次の分岐10において、ステップカウンタi=n−1の条件が満たされているか否か、この実施例ではi=3が満たされているか否かを確認する確認問い合わせが行われる。すなわち、本方法が実際に最後の中間ステップにあるか否かを検査する。この条件が満たされている場合、次のブロック11において、10ms割込みの間に記憶された現在のターゲット位置目標値 XTgtNew が最後の2.5ms中間位置目標値 XTgt として割り当てられる。このことにより、最後の2.5ms割込みのときに、現在の10ms割込みにおいて生成された位置目標値に達する。
【0027】
最後に次のブロック12において、最後の2.5ms割込みにおいて割り当てられた現在のターゲット位置目標値 XTgtNew が、次の新たな10ms割込みに対応する新たな瞬時位置目標値 XTgtOld として記憶され、ステップカウンタiは0にセットされた後、本方法は終了点3に移行される。
【0028】
分岐10において条件i=n−1が満たされない場合、ブロック11を飛ばして、ブロック12において、先行の2.5ms割込みにおいて割り当てられた中間位置目標値 XTgt が、次の新たな10ms割込みに対応する新たな瞬時位置目標値 XTgtOld として記憶され、ステップカウンタiは0にセットされた後、本方法は終了点3に移行される。
【符号の説明】
【0029】
XTgtOld1 曲線
XAct_Ecmc 曲線
UTgtOut 曲線
XTgt_Ecmc 曲線
XE スイッチオン閾値
XTgt 位置目標値
XTgtOld 瞬時位置目標値
XTgtNew ターゲット位置目標値
dX 位置目標値変化
1 開始点
2 終了点
3 分岐
4 ブロック
5 分岐
6 ブロック
7 ブロック
8 分岐
9 ブロック
10 分岐
11 ブロック
12 ブロック
図1
図2