(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693610
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電子デバイスの製造方法および該方法により製造された電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20150312BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20150312BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
H01L21/88 J
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-545291(P2012-545291)
(86)(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公表番号】特表2013-516058(P2013-516058A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2010070357
(87)【国際公開番号】WO2011076782
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年9月3日
(31)【優先権主張番号】102009059303.9
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503059792
【氏名又は名称】ユナイティッド モノリスィック セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】United Monolithic Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン シュティークラウアー
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−088062(JP,A)
【文献】
特開2006−114732(JP,A)
【文献】
特開2002−083936(JP,A)
【文献】
特開平08−203924(JP,A)
【文献】
特開平03−153030(JP,A)
【文献】
特開平06−021058(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/016928(WO,A1)
【文献】
特表2009−514228(JP,A)
【文献】
特開平05−167062(JP,A)
【文献】
特開平03−016176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28−21/288、21/3205−21/3213、
21/44−21/445、21/768、
23/52−23/522、29/40−29/49、
29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaAs基板(HS)の前面上に少なくとも1つの半導体素子(BE)を備えた電子デバイス(EB)の製造方法であって、前記方法は、
前記GaAs基板(HS)を通る少なくとも1つのスルーホール(DK)を形成するステップと、
背面金属化部(RM)が前記スルーホール(DK)内にも堆積するように、前記半導体素子(BE)とは反対側の基板背面に、背面金属化部(RM)を設けるステップと、
を含み、
前記背面金属化部(RM)を設ける前記ステップは、
基板材料の表面に、固着層(1)として第1のAu層(1)を堆積させるステップと、
前記第1のAu層(1)の上に、拡散バリア層(2)を、前記第1のAu層(1)よりも厚い層厚で堆積させるステップと、
その後、前記拡散バリア層(2)の上に、前記背面金属化部(RM)の厚さ全体の少なくとも50%の厚さでAu導電層(4)を堆積させるステップと、
を含み、
前記背面金属化部(RM)は、前記スルーホール(DK)を介して基板前面上の導体路(LB)とのスルーコンタクトを形成する、
電子デバイス(EB)の製造方法。
【請求項2】
前記第1のAu層(1)を、少なくとも25nmの層厚、最大100nmの層厚で堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のAu層(1)の堆積の前に、前記基板(HS)の背面を平均凹凸が4nmよりも小さくなるようポリッシングする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記拡散バリア層(2)と前記Au導電層(4)との間に第2のAu層(3)を堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記拡散バリア層(2)は少なくとも、前記第1のAu層(1)に対する界面の領域(2a)、および/または前記第2のAu層(3)に対する界面の領域(2c)において、少なくとも1つの耐熱金属から成る、請求項1または4記載の方法。
【請求項6】
前記拡散バリア層(2)は、少なくとも中央層領域(2b)においてNを含む、請求項1または4または5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1のAu層(1)および/または前記拡散バリア層(2)および/または前記第2のAu層(3)をスパッタリングする、請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記Au導電層(4)を電気めっきにより析出する、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記第1のAu層(1)を、前記基板背面における層厚よりも薄い層厚で、前記スルーホール(DK)内に堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
基板前面に少なくとも1つの半導体素子(BE)を有し、基板背面に背面金属化部(RM)を有する、GaAs半導体基板(HS)を備えた電子デバイス(EB)であって、
前記基板において、該基板の前面と背面との間に少なくとも1つのスルーホール(DK)が設けられており、前記背面金属化部(RM)が該少なくとも1つのスルーホール(DK)の壁にも設けられており、
前記背面金属化部(RM)は、
基板材料の表面に、固着層(1)として堆積された第1のAu層(1)と、
前記第1のAu層(1)の上に、前記第1のAu層(1)よりも厚い層厚で堆積された拡散バリア層(2)と、
前記拡散バリア層(2)の上に、前記背面金属化部(RM)の厚さ全体の少なくとも50%の厚さで堆積されたAu導電層(4)と、
を含み、
前記背面金属化部(RM)は、前記スルーホール(DK)を介して基板前面上の導体路(LB)とのスルーコンタクトを形成している、
ことを特徴とする電子デバイス(EB)。
【請求項11】
前記第1のAu層(1)の層厚は、少なくとも25nmであり、最大100nmである、請求項10記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記基板背面は、前記第1のAu層(1)に対する界面において4nmよりも小さい平均凹凸を有する、請求項10または11記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記拡散バリア層(2)と前記Au導電層(4)との間に第2のAu層(3)が設けられている、請求項10記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記拡散バリア層(2)は少なくとも、前記第1のAu層(1)に対する界面の領域(2a)、または前記第2のAu層(3)に対する界面の領域(2c)において、Tiを含む、請求項10または13記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記拡散バリア層(2)は、少なくとも中央層領域(2b)においてNを含む、請求項10または13または14記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記第1のAu層(1)および/または前記拡散バリア層(2)および/または前記第2のAu層(3)はスパッタリング層である、請求項13記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記Au導電層(4)は電気めっき層である、請求項10から16のいずれか1項記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記スルーホール(DK)の壁において少なくとも前記第1のAu層(1)の層厚は、前記基板背面における層厚よりも薄い、請求項10記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造方法および該方法により製造された電子デバイスに関する。半導体基板上に少なくとも1つの半導体素子を備えた電子デバイスの場合、半導体素子において動作中に生じる損失熱を排出しなければならない。このことはとりわけ、高周波パワーデバイスにとって重要である。少なくとも1つの素子もしくは通例は複数の素子を含むモノリシック集積回路が、基板前面に形成されており、損失熱が基板を通りその背面を介してヒートシンクに排出され、たとえばデバイスケーシング表面を介して放出される。基板は、基板背面から基板前面まで貫通する開口部いわゆるビアホールを有していることが多く、この開口部は、平坦な背面金属化部から基板前面上の導体面に至る導電性のスルーホールとして用いられる。
【0002】
一般に基板裏面にはビアホールも含めて、金(Au)から成る導電層が堆積され、その際、Au導電層を半導体基板表面と固定的に接続するために通常、接着促進層が設けられる。この接着促進層はたとえば、ポリッシングされた基板表面に対してはGeを含むようにすることができるし、ごく大雑把に研磨された基板表面にはTi,Ta,W,PdまたはCrを含むようにすることができ、基板表面上にAu導電層が有利には電気めっきにより析出される。Tiは、基板背面の表面が粗く研磨されているだけの場合には殊に、半導体材料に対し良好な機械的定着を行う接着促進剤として用いられる。ビアホールの形成において破損耐性ならびにフォトリソグラフィに関する特性が改善されるため、微細に研磨された表面が有利であるが、このような表面であると良好な機械的定着は得られない。したがってGaAs基板背面の、有利には微細に研磨された表面に対しては一般に、基板背面とビアホール中に接着促進層としてGeが堆積される。接着促進層上にはAuが堆積され、その際に一般的には、第1の薄い金層がスパッタリングされ、この金層の上に電気めっきにより、いっそう厚いAu層が熱伝導性と導電性の高い導電層として形成される。背面金属化部の、基板とは反対側の表面にはヒートシンクがはんだ付けされており、その際、はんだとして一般に共融混合物のAuSn
4合金が用いられ、たとえばこれは薄いプリフォームシートの形態で用いられる。基板もしくはプリフォームシートと向き合った側のヒートシンク表面も、一般的にはAu表面である。基板とヒートシンクのはんだ接合では殊に基板の側において、熱伝導を損なう空洞が発生しやすい。はんだ接合における欠陥の発生を少なく抑える目的で、はんだ付けプロセスのパラメータは、時間と温度に従い狭い許容範囲で遵守されなければならない。
【0003】
公知の方法に従いGaAs基板上に形成されたデバイスは、とりわけかなり大きい電力によって高周波で駆動される素子の機能に関して、劣化や故障が繰り返し発生している。
【0004】
Varmazis等による会議の寄稿論文"How to Process the Backside of GaAs Wafers", Semiconductor International, 1. Dec. 2001には、スルーホールコンタクトによる半導体基板の背面金属化の問題点ならびに方法が論じられている。溶融したAuSnはんだによりスルーホールを充填すると機械的な応力が生じるが、このことを回避するために以下のことが提案される。すなわち、背面金属化部のAu層表面をTi,NiまたはCrから成る付加的な層によって覆い、ホトマスクおよびエッチングプロセスを用いることでこの付加的な層を、スルーホールコンタクト以外、背面金属化部の平坦な面において取り除いて、Au層のAu表面を再び露出させるのである。ホトマスクの除去後、付加的な層によって、酸化されAuSnはんだによっても湿りにくい表面がスルーホール内に形成される。
【0005】
本発明の課題は、たとえば大部分がAu層により形成された背面金属化部を備えたGaAs基板上に電子デバイスを製造する方法、ならびにこの方法により製造される電子デバイスを提供することにある。
【0006】
本発明による解決手段は、独立請求項に記載されている。従属請求項には、本発明の有利な実施形態ならびに発展形態が示されている。
【0007】
本発明の基礎を成す着想は、従来のデバイスにおいて発生する欠陥は、基板背面の半導体材料上にじかに堆積される固着金属と少なからぬ範囲で関連している、という点にある。たとえば固着金属層としてGeを用いると、基板材料への良好な拡散ゆえに、表面がポリッシングないしは微細に研磨された基板材料上できわめて良好に固着が行われることになるが、その反面、Geの強い拡散によって、背面金属化部の次に続く層との界面において障害も引き起こされ、しかもこのことで基板とは反対側の背面金属化部表面において、ヒートシンクとの接合に用いられるはんだによる湿潤が劣化してしまう可能性がある。このような作用によって殊に、基板前面上に配置された素子の損失熱の伝導が劣化してしまうおそれがある。さらにGeは、基板前面において殊にスルーホール周縁のところで、基板材料を通って活性素子に向かって遷移し、素子特性の劣化を引き起こすおそれがあることも判明している。
【0008】
発明の詳細な説明ならびに特許請求の範囲において明示的に挙げられている化学元素すなわちガリウムGa、ヒ素As、チタンTi、金Au、ゲルマニウムGe、窒素N、タンタルTa、タングステンW、パラジウムPd、クロムCrおよびその他の元素は、それぞれ化学的に一般に用いられているそれらの略語によって記載される。
【0009】
本発明のように基板背面の半導体金属上にじかに堆積される固着層の材料としてAuを用いることによって、驚くべきことに、高い信頼性を伴って基板との定着を行いながら既述の問題点が解消される。有利には基板背面はAu固着層を堆積する前に、4nmよりも小さな平均凹凸となるようポリッシングされる。この場合、第1のAu層から基板材料へAuが拡散され、このことは滑らかな基板表面において良好に固着させるために殊に有利である。第1のAu層の厚さは、有利には少なくとも25nmであり、たとえば少なくとも35nmである。ただし拡散はGeの拡散よりも著しく弱いので、素子の劣化は発生しない。同時にGaも、半導体材料から第1のAu層へ拡散する。
【0010】
Auから半導体材料への、およびGaから第1のAu層への相互の拡散を制限するために有利であるのは、第1のAu層の厚さを最大で100nmに制限することであり、殊に最大で75nmに制限することである。第1のAu層1の有利な厚さは、約50nm付近である。基板を通るスルーホール内に、それ自体慣用的なやり方で背面金属化部が同様に堆積されており、その際に有利であるのは、スルーホール壁部における少なくとも第1のAu層の層厚が、基板背面における層厚よりも薄いことである。
【0011】
特に有利な1つの実施形態によれば、第1のAu層とAu導電層との間に、有利には第1のAu層の上に直接、拡散バリア層が堆積されている。この拡散バリア層によって、第1のAu層の層厚を制限することにより基板材料へ内方拡散するAuの量が制限される一方、たとえば基板材料から第1のAu層を通って遷移するGaの拡散が進むのが阻止される。したがって拡散バリア層の材料は、拡散バリア層の材料中のGaの拡散係数が第1のAu層におけるものよりも小さくなるように選定される。有利には拡散バリア層は基本成分としてTiを含み、Gaの拡散を更に低減するために有利には、TiにNを混ぜることができる。
【0012】
拡散バリア層は有利には、基板を通るスルーホールの側縁にも堆積され、このような拡散層は有利には前面近くの領域で、活性的な半導体領域への背面金属化部および/またははんだ材料の原子の拡散に対するバリアとして作用する。
【0013】
有利には拡散層とAu導電層との間において、殊に拡散層の上に直接、Au導電層の電気めっき析出のためのスタート材料として、第2のAu層がたとえばスパッタリングにより形成される。スパッタリングにより形成されるAu層の特性は、電気めっきにより析出されたAu層とは、たとえば他の金属の拡散係数の点で異なる。有利な実施形態によれば拡散バリア層を、層平面に対し垂直な方向で組成が変化するように構成することができる。その際に有利には、第1のAu層に対する界面の領域において、および/または第2のAu層に対する界面の領域において、拡散バリア層はTiから成り、中央の層領域では、Gaに対する拡散係数がいっそう強く抑えられた材料としてTiNが用いられる。Au導電層の、基板とは反対側の面上に、背面金属化部の一部としてさらに別の層を堆積させることができる。
【0014】
次に、有利な実施例に基づき本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【0016】
図1には、半導体アセンブリとケーシング面とがはんだ接合を介して組み立てられる様子が示されている。半導体基板HSは、
図1の上方の向きを指すその前面において、1つの半導体素子BE一般には複数の半導体素子BEと金属導体路LBを担持している。半導体基板HSの、前面とは反対側に位置する背面には、背面金属化部RMが設けられている。基板を貫通してスルーホールDKが空けられていて、このスルーホールの壁にも同様に金属化部RMが被層されており、これによって基板前面上の導体路LBとのスルーコンタクトを形成することができる。
【0017】
図示の典型的な実施例の場合、電子デバイスEBは、ヒートシンクたとえばケーシングGEとの良好な熱伝導接続が行われるように構成されている。そのためにケーシングに金属層GMが設けられており、電子デバイスの背面金属化部RMをこの金属層GMと、たとえば薄いシートの形態のはんだによって、はんだ付けすることができる。
【0018】
この場合、背面金属化部は、基板背面に沿って延在しスルーホールDKを介して導体路LBへ至る電気的導体の機能と、動作中に半導体素子BEに生じる損失熱をヒートシンクとしてのケーシングGEへ導く熱伝導の機能とを果たす。電気的な機能に関しては、膜抵抗が僅かであることが重要であり、熱伝導の機能に関しては、熱伝導性が良好であることのほか、基板とケーシングGEとの間の種々の層の良好な結合が殊に重要であり、たとえば基板と背面金属化部ならびに背面金属化部とはんだ層との良好な結合が殊に重要である。
【0019】
基板背面のGaAs半導体材料とじかに接触する固着層としてゲルマニウムを使用すれば、通常、基板と背面金属化部との間で熱伝導性の良好な接触が保証される。ただしGEは、背面金属化部とはんだ層との間の熱伝導を妨げる原因となる可能性があること、基板前面上の素子の特性を劣化させる原因となる可能性があること、が判明している。
【0020】
図2には、本発明による背面金属化部の構造が描かれており、これは複数の層が合わさって形成されている。基板背面は、有利には平均凹凸が4mmよりも小さい僅かな粗面度までポリッシングされる。半導体基板HSの背面には、固着層として第1のAu層1がスパッタリングされる。第1のAu層1上に拡散バリア層2がスパッタリングされ、さらにその上に第2のAu層3がスパッタリングされる。拡散バリア層2は、第1のAu層1に対する界面の領域2aと、第2のAu層3に対する界面の領域2cにおいて、有利にはTiから成る。拡散バリア層の中央に位置する層領域2bにおいては、拡散バリア層は有利にはTiNである。
【0021】
GaAs中のAuの拡散係数はGeの拡散係数よりも小さいが、基板背面のポリッシングされた表面上に第1のAu層を実質的に平面的に延在させて良好な定着が保証される程度には十分大きい。これにより、基板から固着層へのきわめて良好な熱伝導が保証される。Ti固着層に関して、基板背面と固着層の幾何学的形状の噛み合いによる機械的な固着が一般的であるが、このような固着は不要である。拡散バリア層2の多層構造によって、領域2a,2cのTiと隣り合うAuスパッタリング層との信頼性のある堅牢な接合が保証される一方、中央の層領域として設けられたTiNが、半導体基板HSから成るGaのためのきわめて効果的な拡散バリアを成す。第2のAu層3は、Au導電層4を電気めっきにより析出するためのスタート金属として用いられる。Au導電層の厚さは背面金属化部全体の厚さの少なくとも50%を成す。電気めっきにより析出された厚いAu導電層4の上に最終層5を設けることができる。この層は、はんだと向き合う金属化部表面に形成され、これも複数の部分層から成る積層体として形成することができ、たとえば同様にスパッタリングされたAu層を含むことができる。
【0022】
拡散バリア層2によって有利にはAuの蓄積が制限される。このようなAuの蓄積は、半導体基板HSへの拡散のための、および半導体基板からGaを受け取るための、第1のAu層において生じるものであり、したがって第1のAu層と半導体基板との間の拡散プロセスを、定着に必要とされる程度に制限することができる。GaAsへのTiの拡散係数は著しく小さいので、領域2aから第1のAu層1を通って半導体基板HSへ至る拡散は重要ではない。拡散バリア層たとえば中央領域によって、Au導電層4の方向へのGaの遷移が効果的に阻止される。Au導電層においては、Gaによって膜抵抗が高められる可能性があるし、基板とは反対側の背面金属化部全体の表面へのGaの拡散が生じる可能性もあり、そこにおいてはんだプロセスに際してはんだによる湿潤を妨げるおそれがある。
【0023】
第1のAu層1の厚さは、有利には半導体基板の背面において少なくとも25nmであり、たとえば少なくとも35nm、最大100nmであって、殊に最大75nmである。有利には、第1のAu層1の厚さは約50nmである。
【0024】
拡散バリア層の厚さは、有利には第1のAu層の厚さよりも厚く、有利には100nm〜400nmたとえば150nm〜300nmにある。拡散バリア層を多層構造にした場合、各領域2a,2cの厚さは有利には5nm〜30nmである。Au導電層4を電気めっきにより析出するためのスタート金属として用いられる第2のAu導電層3の層厚は、有利には50nm〜500nmの範囲にある。Au導電層4の層厚は上述の層厚の数10倍であり、一般的には2000nm〜5000nmの範囲にある。最後の層または積層体5の層厚は、有利には200nm〜400nmにある。
【0025】
背面金属化部の層1〜5から成る積層体は、有利にはスルーホールDKの側壁における金属化部としても設けられている。有利にはスルーホールにおいては、少なくとも第1のAu層1の層厚は基板背面における層厚よりも薄く、殊に基板前面領域におけるスルーホールの側壁において、平坦な基板背面における第1のAu層1の層厚の50%よりも厚くない。これにより、場合によっては危険なほど素子BEの近くで半導体材料に拡散するAuの量がいっそう低減され、したがって金の内方拡散により素子が劣化する危険がいっそう少なくなる。半導体基板における固着層の定着に対する要求は、この領域では半導体基板背面上よりも厳しくない。なぜならば基板前面近くのこの領域は、損失熱の伝導に関してはそれほど重要ではないからである。拡散バリア層によって、スルーホール内殊に基板前面近くにおいて、あとから設けられる背面金属化部の層からの原子の拡散が、あるいは場合によっては活性素子に向かう方向でスルーホール中に到達したはんだ材料からの原子の拡散が、低減または阻止される。
【0026】
拡散バリア層のためにTiが基本成分として有利であるが、ただし一般的には、隣接するAu層に対し良好な接合特性を有し、この拡散バリア層におけるGaの拡散係数が低く、かつGaAsにおける拡散バリア層材料の拡散係数が低い他の材料を使用することもできる。殊に適しているのはすべての耐熱金属であり、ここで耐熱金属とは場合によっては広い意味でやはり耐熱金属と呼ばれ高温で融解する、周期表の第4、第5および第6副族の卑金属ならびにレニウムすなわちTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Reのことであるとし、さらにこれらとNとの化合物であるとする。
【0027】
これまで述べてきた事項および請求項に記載した特徴ならびに図面から読み取れる特徴は、それぞれ単独でも、あるいは様々な組み合わせとしても、有利に実現することができる。なお、本発明は、これまで説明してきた実施例に限定されるものではなく、当業者の能力の範囲で多種多様に変更を加えることができる。