【文献】
Hyper GroupWeb ENTERPRISE ver4.2J,Windows NT World,日本,株式会社IDGコミュニケーションズ,1998年 8月 1日,第3巻、第8号,pp.314-315
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、無料接続の提供対象とするアプリが複数存在する場合に、端末における各アプリの有無に応じて導入を順次促進する技術はなかった。このため、例えば、ある事業者がシリーズもの等として提供する複数のアプリが存在しても、それらアプリを端末にインストールしてもらうには個別に広告などを要し、その負担が大きいだけでなく、一連のアプリすべてを確実に端末にインストールしてもらうことは事実上困難であった。
【0005】
本発明の目的は、無料接続の提供対象とする複数のアプリについて、導入を順次促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)である通信制御装置は、無線LANを介し端末からの通信要求を受け付ける要求受付手段と、予め定められたプログラムを前記端末から検出する検出手段と、前記プログラムであって前記端末から検出されなかったプログラムを前記端末にインストールさせるインストール手段と、前記通信要求が前記プログラムからのものかを判定する通信判定手段と、前記通信要求が前記プログラムからのものと判定された場合、その通信要求に応じたWANアクセスを前記プログラムに対し提供する通信提供手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様(6)である通信制御方法は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、無線LANを介し端末からの通信要求を受け付ける要求受付処理と、予め定められたプログラムを前記端末から検出する検出処理と、前記プログラムであって前記端末から検出されなかったプログラムを前記端末にインストールさせるインストール処理と、前記通信要求が前記プログラムからのものかを判定する通信判定処理と、前記通信要求が前記プログラムからのものと判定された場合、その通信要求に応じたWANアクセスを前記プログラムに対し提供する通信提供処理と、をコンピュータが行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記要求受付手段により受け付けられた前記通信要求に対して、認証用画面を表示する認証手段を備え、前記インストール手段は、前記認証用画面に、前記プログラムを端末にインストールさせるためのリンクを設定した画面要素を表示させることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記プログラムの利用量を取得する取得手段と、取得された前記利用量が所定以上の場合に、前記プログラムについて、前記無線LANとは異なる予め定められた他の無線LANの利用を許可する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様(4)は、上記いずれかの態様における通信制御装置を備え、端末からの予め定められたプログラムによる通信要求に対しネットワーク接続を提供する第一の無線LAN網と、前記プログラムによる通信要求に対し、第二の通信制御装置による利用許可に基いてネットワーク接続を提供する第二の無線LAN網と、を備えたネットワークシステムにおいて、前記第二の通信制御装置は、前記端末の前記プログラムから利用量の情報を受信する情報受信手段と、受信された前記利用量の情報に基いて前記第二の無線LANの利用を許可する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様(7)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、上記いずれかの態様における通信制御方法を実行する通信制御装置を備え、端末からの予め定められたプログラムによる通信要求に対しネットワーク接続を提供する第一の無線LAN網と、前記プログラムによる通信要求に対し、第二の通信制御装置による利用許可に基いてネットワーク接続を提供する第二の無線LAN網と、を備えたネットワークシステムにおける接続提供方法において、前記第二の通信制御装置を構成するコンピュータは、前記端末の前記プログラムから利用量の情報を受信する情報受信処理と、受信された前記利用量の情報に基いて前記第二の無線LANの利用を許可する許可処理、を実行することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様(5)は、上記いずれかの態様における通信制御装置を備え、端末からの予め定められたプログラムによる通信要求に対しネットワーク接続を提供する第一の無線LAN網と、前記プログラムによる通信要求に対し、第二の通信制御装置による制御に基いてネットワーク接続を提供する第二の無線LAN網と、を備えたネットワークシステムにおいて、前記通信制御装置は、前記端末の前記プログラムから、暗号化された識別情報を前記第二の無線LAN網を介して受信及び復号化する情報受信手段と、受信及び復号化された前記識別情報に基いて前記第二の無線LANの利用の可否を判断して前記第二の通信制御装置に伝達する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無料接続の提供対象とする複数のアプリについて、導入を順次促進することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0016】
〔1.構成〕
図1は、本実施形態の全体構成図である。本実施形態は、第一の無線LAN網W1と、第二の無線LAN網W2と、を通信ネットワークNで接続したネットワークシステムに関する。第一の無線LAN網W1は、アクセスポイントAP1及び通信制御装置C1(「通信制御装置」は図及び以下において「制御装置」とも表す)を備え、ユーザID等により認証されたユーザと、端末Tからの所定のプログラムYによる通信要求と、に対しネットワーク接続を提供するものである。
【0017】
所定のプログラムYは、例えば、インターネットサービス事業者又はそのグループなど所定の主体が提供するスマートフォンなど情報端末のための一連のアプリY1、Y2、…を総称するもので、以下「特定アプリ」又は「特定アプリY」とも呼ぶ。
【0018】
第二の無線LAN網W2は、第一の無線LAN網W1とは異なる所定の他の無線LAN網であって、アクセスポイントAP2を備え、ユーザID等により認証されたユーザと、アプリYによる通信要求と、に対し、第二の制御装置C2による利用許可に基いてネットワーク接続を提供するものである。
【0019】
制御装置C1及びC2は、コンピュータの構成として、CPU等の演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置(例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ他)等の記憶装置7と、通信ネットワークN(例えば、光ファイバーその他の接続回線を介したインターネット等のバックボーン回線など)との通信装置8(例えば、LANアダプタなど)と、を有する。
【0020】
また、端末Tは、スマートフォンや携帯電話端末など、コンピュータを備えたモバイル情報端末である。端末Tは、図示はしないが、上記のようなコンピュータの構成に加え、内蔵充電池の充放電を制御する充電池制御部と、通話の発着信や音声処理を行う通話制御部と、GPSなどで端末の位置を測位する測位部と、を備える。さらに端末Tは、タッチパネル機能付き液晶等の表示画面(例えば
図3の符号G)を備える。
【0021】
制御装置C1及びC2では、演算制御部6が、図示しないプログラムを実行することにより、
図1に示す要素を実現する。プログラムは、例えば、基本ソフトウェア、アプリケーションプログラム、各種ミドルウェア、スクリプト等である。実現される要素のうち情報の記憶手段は、記憶装置7上の各種ファイルやワークエリア等の他、ネットワークコンピューティング(クラウド)によるリモート記憶などでもよい。
【0022】
また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0023】
記憶手段のうち、制御装置C1のユーザ情報記憶手段15は、第一の無線LAN網W1の利用認証に用いるユーザIDとパスワードのペアを記憶している手段であり、制御装置C2のユーザ情報記憶手段25は、第二の無線LAN網W2の利用認証に用いるユーザIDとパスワードのペアを記憶している手段である。これらユーザ情報記憶手段15、25は特に、他の拠点に設置された装置に通信ネットワークN経由でアクセスすることによって実現されることが一般的と考えられる。
【0024】
なお、図中(例えば
図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定したり方向の限定を意味するものではない。例えば、ある方向のデータ取得の前後に、データ要求や確認応答(ACK)が逆方向に発生し得る。
【0025】
また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0026】
〔2.作用〕
図2は、本実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
〔2−1.特定アプリへのアクセス提供〕
まず、制御装置C1では、要求受付手段20が、無線LANを介し端末Tからの通信要求を受け付けると(ステップS1、S11)、通信判定手段50は、通信要求が特定アプリYからのものかを判定する(ステップS12)。
【0027】
ここでいう通信要求は、ビーコンやプローブに基づくAuthenticationやAssociationの段階に限らず、それ以降のデータ授受段階におけるパケット転送要求や、必要な暗号およびユーザ認証に関するデータ授受の段階におけるものでもよい。
【0028】
その段階において、通信要求が特定アプリからのものかの判定は、通信のパケットやフレームに含まれるデータのうち、例えば、送信元となる端末側で通信要求の送信元となっているポート番号が、特定アプリYが用いるものとしてあらかじめ定められたものかどうか、また、通信先とする所定のドメイン名、IPアドレスや所定のポート番号、特定アプリYがデータに含める所定のコード列などを基準に行う。
【0029】
通信提供手段60は、通信要求が特定アプリYからのものと判定された場合(ステップS12:「YES」)、その通信要求に応じたWANアクセス(ここではインターネットアクセス)を特定アプリYに対し提供する(ステップS13、S2)。
【0030】
〔2−2.特定アプリの検出とインストール〕
上記のように第一の無線LAN網W1を利用できる特定アプリYは、端末Tから第一の無線LAN網W1を前回利用した時または他の機会に、アプリを提供する所定のサーバ(例えばアプリサーバA)からダウンロードしてインストールされたものである。ここで、制御装置C1は、通信要求を送ってきた端末Tにおいて未インストールの特定アプリYが存在するとき、その特定アプリYを端末にインストールさせる以下の機能を持つ。
【0031】
すなわち、通信要求を送ってきた端末Tに対し未インストールの特定アプリYをインストールさせる処理は次のようになる。すなわち、制御装置C1では、通信要求が特定アプリYからでなく(ステップS12:「NO」)、ブラウザからのものである場合(ステップS14:「YES」)、検出手段30が端末Tから、インストールされている特定アプリY(例えばY1、Y2、Y3など)の有無を検出する(ステップS16)。
【0032】
この検出の手法は、次のような例が考えられる。例えば、まず、Android(登録商標)やiOS(登録商標)などにおけるWeb IntentやカスタムURLスキームなどを用いて、通信要求に応じて制御装置C1が端末Tへ提供するウェブページ(例えば認証要求のためのリダイレクトページなど)から、検出対象のアプリを起動するURLを開く形で、特定アプリYの起動を試みる。
【0033】
その上で、そのウェブページに予め組み込んでおくJavaScript(登録商標)などのスクリプトにより、画面遷移状態を監視することでそのURLが開けているかを判定し、開けていないときに特定アプリYがインストールされていないと判定する。
【0034】
そして、インストール手段42は、特定アプリYであって端末Tから検出されなかった(ステップS17:「YES」)特定アプリY(「未検出アプリ」または「未検出アプリY」とも呼ぶ)を端末Tにインストールさせる。
【0035】
「インストールさせる」態様は、制御装置C1自体又は制御装置C1と連携するサーバが端末Tに、Web IntentやカスタムURLスキームなどを用いて、未検出アプリYのインストール動作を開始させるのでもよいし、未検出アプリのインストールを提供する外部のウェブサイトやサーバへのリンクや転送を提供するだけでもよい。
【0036】
例えば、より具体的には、認証手段22は、要求受付手段20により受け付けられた通信要求に対して、ユーザIDやパスワードを入力するための認証用画面を表示し(例えば
図3)、この認証用画面にインストール手段42が、特定アプリYを端末にインストールさせるためのリンク(インストールリンク)を設定した画面要素を表示させる(ステップS18)。
【0037】
ここでいうリンクは、所定のURLに対応する押しボタンBのほか、所定のURLへのハイパーリンクを設定した文字列や画像など任意の画面要素でよい。また、特定アプリYをインストールするための通信については、第一の無線LAN網W1が、例えばアプリサーバAへのアクセスなど必要なWANアクセスを提供する。
【0038】
なお、インストール手段42が未インストールの特定アプリYを端末Tにインストールさせる態様は、上記に限られない。例えば、認証用画面を用いることなく、通信要求に対し、特定アプリYをインストールするためのウェブページ(アプリ提供サイトの該当ページなど)へ直接リダイレクトさせ、ユーザからの確認操作に基づき端末Tでインストール動作を開始させるなどでもよい。
【0039】
なお、通信要求が特定アプリYからでなく(ステップS12:「NO」)ブラウザからでもない場合(ステップS14:「NO」)の対応は、エラー応答や無応答でもよいが(ステップS15)、通信要求元のプログラム等に対し、そのプログラムの種類やプラグインの機能等などによって特定アプリYのインストール動作を開始させることが可能な場合は、開始させるようにしてもよい。
【0040】
また、未検出アプリがない場合は(ステップS17:「NO」)、全ての特定アプリYをインストールした端末から、ユーザが第一の無線LAN網W1の利用権に対応するユーザIDやアカウントなどに基づいてブラウザなどからの利用を開始しようとしている可能性もあるので、インストールリンク無しの認証画面(厨子省略)を表示する(ステップS19)。
【0041】
そして、入力されたユーザIDとパスワードがユーザ情報記憶手段15に記憶されているいずれかのペアと一致すれば認証手段22が認証OKと判断し(ステップS20:「YES」)通信提供手段60がWANアクセスを端末Tに対し提供する(ステップS21)。
【0042】
〔2−3.アプリ間での検出〕
上記のように端末Tにインストールされた特定アプリYから、同じ端末Tにインストールされている他の特定アプリYを検出することもできる。すなわち、仮にブラウザ経由でしか特定アプリYを検出できないと、第一の無線LAN網W1の通信圏内で、ブラウザを起動せず特定アプリYのみを起動してインターネット接続を利用する場合、他の特定アプリYの導入を順次促進できないことになる。
【0043】
そこで、各特定アプリYに検出部33を設け、いずれかの特定アプリY(例えばY1)から他の特定アプリY(例えばY2)を、例えば特定アプリY1の検出部33によって検出し、検出できなければ特定アプリY1の推奨部34が特定アプリY2を端末Tの画面でユーザに推奨する。
【0044】
このように一群のアプリのそれぞれから、同じ端末にインストールされた他のアプリを検出するには、プロセス間通信を試みるなど既知のどのような手法を用いてもよい。例えばiOS(登録商標)では、インストールされた各アプリがそれぞれ固有名称のCustom pasteboardを作成し、互いに他のアプリに対応するCustom pasteboardの参照を試みてその結果で判断する。
【0045】
また、例えばAndroid(登録商標)では、アプリが、PackageManagerからインストール済みアプリケーションのパッケージ名を取得し、その中から他の特定アプリYのパッケージ名を検索することによって他の特定アプリYを検出する。
【0046】
図2のフローチャートでは、例えば、端末Tにインストールされている特定アプリY(例えばY1)の検出部33が、所定のタイミングで(ステップS3:「YES」)他の特定アプリY(例えばY2やY3)を検出する(ステップS4)。
【0047】
所定のタイミングとしては、いずれかの特定アプリYを最後にインストールした後、所定時間が経過したとき、特定アプリYからの通信による第一の無線LAN網W1を使用した累積時間、累積データ量、累積ページ数などが所定値に達した時などである。そして、未検出アプリYがあれば(ステップS5:「YES」)推奨部34がその未検出アプリYのインストールを端末Tの画面表示などで推奨する(ステップS6)。
【0048】
この場合、ユーザによるインストール用ボタンの操作など所定の承諾操作を待って(ステップS7:「YES」)、未検出アプリYをインストールする(ステップS8)。一度に推奨ないしインストールする未検出アプリYは一つでも任意の複数でもよい。
【0049】
〔2−4.ローミング〕
また、本システムは、多く使われる特定アプリYには、第二の無線LAN網W2を用いた無線LANアクセスを、ローミングとして提供する。ここで、ローミングを実現する構成は、利用量の判断や利用の許可をローミング利用の対象となる第二の無線LAN網W2の側で完結させるものである(
図1)。
【0050】
具体的には、特定アプリYの利用量送信部35が、第一の無線LAN網W1以外のローミング先となる他の無線LAN網(ここでは第二の無線LAN網W2)を利用しようとするとき、特定アプリYの利用量をデータとして通信要求に付随させて送信する。
【0051】
利用量のデータとしては、直近所定期間における特定アプリYの利用回数、起動回数、実行時間、表示などの処理をしたデータ量やページ数、スクロール量、広告表示数、これらの頻度やこれらを表す履歴、またはこれらの情報の一部または全部から所定の基準で計算したスコアなどが考えられる。
【0052】
このように送信される特定アプリYの利用量の情報を、制御装置C2の情報受信手段74が特定アプリYから受信することで取得し、許可手段75は、受信された利用量の情報に基いて、すなわち利用量が所定以上の場合に特定アプリYについて第二の無線LAN網W2の利用を許可する。許可された特定アプリYからのアクセスについては、通信提供手段60がWANアクセスを端末Tに対し提供する。
【0053】
〔3.効果〕
以上のように、本実施形態では、端末Tからの無線LAN(例えば第一の無線LAN網W1)への通信要求に対し、所定のプログラム(例えば特定アプリY)からの通信要求であれば無料接続を提供し、無料通信の対象となる所定の特定アプリYで端末Tから検出されない未導入のものはインストールさせる。これにより、特定アプリYからの無料接続をインセンティブとすることに加え、通信の際に未導入の特定アプリYの導入を順次促進することができる。
【0054】
特に、本実施形態では、通信要求に対しリダイレクト表示等されるユーザIDやパスワードの入力などを行う認証用画面(例えば
図3)に、特定アプリYをインストールさせるためのリンク(例えばボタンB)を表示する。これにより、ユーザID等による認証による無線LAN利用と、特定アプリYのインストールによる無線LAN利用とで、別々の画面を利用する必要がなく、通信制御装置の動作やユーザインタフェースが統一できる。
【0055】
また、本実施形態では、特定アプリYの利用量が多ければ所定の他の無線LAN(例えば第二の無線LAN網W2)も、ローミングの容量で利用可能とする。これにより、仮にローミング先の無線LANの事業者にレベニューシェア等を提供したとしても、特定アプリYを通じてコンテンツや広告を配信するビジネス機会を増大できる。
【0056】
さらに、本実施形態では、ローミング先の無線LAN(例えば第二の無線LAN網W2)に端末Tの特定アプリYから利用量の情報を送信して利用許可を得る。これにより、ユーザIDや利用履歴などの具体的個人的情報をローミング先へ送信する必要がなくプライバシーや情報セキュリティを保護できる。
【0057】
〔4.第2実施形態〕
上記実施形態(第1実施形態とする)では、ローミング利用を許可に関する処理を、ローミング利用対象とする第二の無線LAN網W2側で行ったが、許可の判断を第一の無線LAN網W1側で行うこともできる(第2実施形態)。
【0058】
具体的には、第2実施形態におけるネットワークシステムは、
図4に示すように、第一の無線LAN網W21と、第二の無線LAN網W22と、を備える。このうち第一の無線LAN網W21は、ユーザID等により認証されたユーザと、端末Tからの特定アプリY2(Y21、Y22…)による通信要求と、に対しネットワーク接続を提供するもので、第1実施形態で示した制御装置C1に情報受信手段71及び許可手段72を加えた制御装置C21を備える。
【0059】
また、第二の無線LAN網W22は、ユーザID等により認証されたユーザと、特定アプリY2(Y21、Y22…)による通信要求と、に対し、第二の制御装置C22による制御に基いてネットワーク接続を提供するものである。第2実施形態では、特定アプリY2は、暗号化された識別情報を通信要求とともに送信する識別情報送信部36を備える。
【0060】
また、第二の無線LAN網W22の制御装置C22は、情報転送手段23を備え、この情報転送手段23は、第二の無線LAN網W22の通信圏内に存在する端末Tの特定アプリY2から、暗号化された識別情報を通信要求に伴って受信すると、その識別情報を第二の無線LAN網W2の制御装置C21へ転送する。
【0061】
暗号化された識別情報は、例えば、アプリが持つユーザIDなどのログイン情報や、端末の識別情報、利用履歴などである。そして、第2実施形態では、第一の無線LAN網W21の制御装置C21において情報受信手段71は、端末Tの特定アプリY2から、暗号化された識別情報を第二の無線LAN網W22を介して受信及び復号化する。
【0062】
また、許可手段72は、受信及び復号化された識別情報に基いて、該当する特定アプリY2について第二の無線LAN網W22の利用の可否を判断して制御装置C22に伝達する。制御装置C22は、伝達された利用の可否に基づいて、すなわち利用が許可された特定アプリY2からの通信要求に対し通信提供手段60によりネットワーク接続を提供する。
【0063】
以上のように、第2実施形態では、暗号化された識別情報をローミング先の第二の無線LAN網W22を介しローミング元の第一の無線LAN網W21へ転送し、第一の無線LAN網で判断した利用可否をローミング先の第二の無線LAN網へ送る。これにより、具体的個人的情報に基いて利用可否判断の精度を上げつつ、識別情報をローミング先へ渡さないのでプライバシーや情報セキュリティを維持できる。
【0064】
〔5.第3実施形態〕
ローミングを実現するさらに他の態様(第3実施形態)として、ローミング元の第一の無線LAN網W31の制御装置C31に、
図5に示すように、取得手段81と許可手段82を設けることもできる。この場合、取得手段81が特定アプリY3(Y31、Y32…)の利用量を取得し、取得された利用量が所定以上の場合に許可手段82がその特定アプリYについて、第二の無線LAN網W32の利用を許可する。
【0065】
特定アプリY3の利用量を取得するには、通信量を集計して制御装置C31へ送信する機能(例えば利用量送信部37)を特定アプリY3自体に設けてもよいし、そのような機能を特定アプリYには設けず、特定アプリY3からの通信を処理する際に端末毎もしくはアプリ毎に通信ログを記録することで、特定アプリY3ごとに通信量を集計する機能を取得手段81の機能などとして制御装置C31の側に設けてもよい。
【0066】
また、第一の無線LAN網W31の側から、特定アプリY3による第二の無線LAN網W2の利用を許可するには、例えば、第二の無線LAN網W32にローミング利用を認めさせるための所定の電子的トークンなどを特定アプリY3へ送信し、特定アプリY3からローミング利用時に制御装置C32に送信させてもよいし、ローミング利用を認める特定アプリY3の識別情報を第二の無線LAN網W32の制御装置C32へ送信しておいてもよい。
【0067】
このように、第3実施形態では、特定アプリY3の利用量の取得と、ローミングによる他の無線LANの利用許可をローミング元の制御装置C31内の処理で完結する。これにより、第2実施形態のように識別情報を暗号化して制御装置C22から制御装置C21へ転送することなく、特定アプリY31の利用量の取得と、ローミングによる他の無線LAN(例えば第二の無線LAN網W32)の利用許可と、を第一の無線LAN網W31側で行える。
【0068】
このため、ローミング先の制御装置C32の側では、ローミングにかかわる構成が単純化でき、従来から存在するより多くの無線LAN網を第二の無線LAN網W32として利用し、ローミングの範囲を拡大できる。
【0069】
〔6.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャート、画面の図なども例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。
【0070】
一例として、ネットワークシステムを構成する無線LAN網も数は
図1に示したように2つには限定されず、いくつでもよい。また、制御装置C1(
図1)に準じた2つ以上の無線LAN網の制御装置にそれぞれ、情報受信手段74及び許可手段75も設け、いずれかの無線LANで無料接続できる特定アプリの利用量が多ければ、他の無線LAN網もローミング利用できるようにしてもよい。
【0071】
また、本出願に示す各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、端末を含むシステムなど)としても把握できる。方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの順序は、本出願に直接明記のものに限定されず、順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。
【0072】
また、個々の手段、処理やステップを実現、実行するコンピュータは共通でもよいし、手段、処理やステップごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。例えば、制御装置はそれぞれ、複数のサーバコンピュータで構成してもよい。また、上記「手段」の全部又は任意の一部を「部」(ユニット、セクション、モジュール等)と読み替えることができる。
【0073】
また、制御装置を構成する個々の手段を実現する態様は自由で、外部のサーバが提供している機能をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワーク・コンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出して実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。