特許第5693681号(P5693681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693681
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電磁弁のための磁石構成群
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/06 20060101AFI20150312BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01F7/06 G
   F16K31/06 305D
   F16K31/06 305B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-165248(P2013-165248)
(22)【出願日】2013年8月8日
(62)【分割の表示】特願2010-521371(P2010-521371)の分割
【原出願日】2008年7月7日
(65)【公開番号】特開2014-17491(P2014-17491A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】102007039344.1
(32)【優先日】2007年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【復代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ゴンサレス ロメロ
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ケルナー
【審査官】 瀧内 健夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−529214(JP,A)
【文献】 特開2001−007566(JP,A)
【文献】 実開平05−036805(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/06− 7/16
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁のための磁石構成群であって、巻付けボディ(3)を有しており、該巻付けボディ(3)は、巻線始端部(4.1)を通す第1の巻線収容スリット(12)を有した第1の電気的接続ドーム(10)と、巻線終端部(4.2)を通す第2の巻線収容スリット(22)を有した第2の電気的接続ドーム(20)とを有している形式のものにおいて、
巻線(4)が、第1の巻線収容スリット(12)の後方に配置され、第1の巻線載置部(11)上に配置された領域と、第2の巻線収容スリット(22)の後方に配置され、第2の巻線載置部(21)上に配置された領域とで、巻線(4)の直径が、この領域で巻線収容スリット(12,22)の幅の方向で拡大し、これにより、第1の巻線収容スリット(12)内への巻線始端部(4.1)の後方への滑脱と、第2の巻線収容スリット(22)内への巻線終端部(4.2)の後方への滑脱とが阻止されるように変形されており、
少なくとも一方の上記巻線載置部(11,21)内に、押し込み縁部(11.1,21.1)を備えた凹部(11.2,21.2)が成形され、該凹部(11.2,21.2)内に、巻線載置部(11,21)上に載置された巻線(4)の領域が、変形させられるために押し込まれ、巻線(4)が、押し込み縁部(11.1,21.1)の領域で、屈曲及び/又は湾曲されることを特徴とする、電磁弁のための磁石構成群。
【請求項2】
第1の巻線載置部(11)内に、押し込み縁部(11.1)を備えた第1の凹部(11.2)が成形され、該凹部(11.2)内に、第1の巻線載置部(11)上に載置された巻線(4)の領域が、変形させられるために押し込まれ、巻線(4)が、押し込み縁部(11.1)の領域で、屈曲及び/又は湾曲される、請求項1記載の磁石構成群。
【請求項3】
第2の巻線載置部(21)内に、押し込み縁部(21.1)を有した第2の凹部(21.2)が成形され、該凹部(21.2)内に、第2の巻線載置部(21)上に載置された巻線(4)の領域が、変形させられるために押し込まれ、巻線(4)が、押し込み縁部(21.1)の領域で、屈曲及び/又は湾曲される、請求項1又は2記載の磁石構成群。
【請求項4】
凹部(11.2,21.2)の押し込み縁部(11.1,21.1)が、各巻線収容スリット(12,22)のすぐ後方に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の磁石構成群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載の形式の巻付けボディが所属する電磁弁のための磁石構成群に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロールシステム(ASR−System)、又はエレクトロニックスタビリティプログラムシステム(ESP−System)を有した今日のブレーキシステム及び走行アシストシステムでは、圧力調節のために電磁弁が使用されている。大雑把に分けると、このような電磁弁は、流体ユニットにかしめられる弁カートリッジと、取付場所が通常、所属の制御機器内である磁石構成群とから成っている。磁石構成群は、相応の磁界を形成するために電気的な作動制御信号により作動制御される。磁石構成群は、巻付け支持体に巻き付けられた、所定の巻数を有する巻線コイルと、カバープレートと、ケーシングジャケットとを有している。この場合、カバープレートは磁気回路構成部分としてケーシングジャケットに押し嵌められていて、磁石構成群の磁気回路を閉じている。
【0003】
巻付けボディに巻線を巻き付ける巻き付け過程のために先行技術では、いわゆる余剰巻線なしの巻き付けが行われる巻き付け法が公知である。この場合、巻線は、補助ピンではなく、付加的なクランプを介して、巻付けボディ交換の際に位置固定される。即ち、先に形成された磁石構成群の巻線終端部が、次に形成される磁石構成群の始端部として使用されている。巻付けボディにおける巻線の固定は、この場合、巻付けボディの一部である電気的接続ドームの巻線収容スリットにおける挟み込みによって行われる。巻線収容スリットは、巻線と結合するために、切断式クランプ接続部(絶縁排除式コネクタ)として形成されている。電気的接続ドームはプラスチック射出成形部分として形成されているので、スリット幅のための許容誤差を射出成形技術的に維持するのは困難である。さらに、例えば振動や吸水のような射出成形後の過程による構成部品寸法への影響は通常、考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、巻線は例えば、巻き付け装置での切断過程中や、その後の、ばら荷のように扱われる搬送等のような組み付けプロセス、又は、巻き付けられた巻付けボディの取り扱いの際に、巻線収容スリットにおける弱すぎる押し付けにより、巻線収容スリットから滑脱してしまう恐れがある。クランプが強すぎると、巻線は例えば、巻線載置部の領域に完全には載置されず、上方に向かって逸れてしまうことがある。これにより巻線の位置決め誤差が生じ、そうすると切断ナイフとのコンタクト領域はもはや得られず、場合によってはコンタクト区域の外側で切断ナイフ開口の領域に位置することになる。さらに、巻線の後方へのずれが著しく生じた場合、巻線と磁石構成群のケーシングジャケットとの間が接触することがある。これは、フィールド負荷の際に生じる振動により、巻線の絶縁の破断を招き、これにより、短絡が生じ、さらには磁石構成群の故障が生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに対して、巻線を巻付けボディに巻き付けるための方法は、第1の接続ドームの第1の巻線収容スリット内に通された巻線始端部を、第1の巻線収容スリットの後方に配置されている第1の巻線載置部上に載置し、この場合、巻線を巻き付け過程前に、巻線の直径が、第1の巻線載置部上に載置された領域で、第1の巻線収容スリットの幅の方向で拡大し、第1の巻線収容スリット内への巻線始端部の滑脱が阻止されるように変形させ、保持するという利点を有している。巻線の保持と変形により、巻線始端部が巻き付け過程中に、若しくはその後の組み付けプロセス、及び/又は巻き付けられた巻付けボディの取り扱いの際に、第1の電気的接続ドームの第1の巻線収容スリット内に滑脱することが阻止される。これにより、有利にはプロセス確実性が高まり、巻線収容スリットのクランプ程度が、電気的接続ドームにおいてもはや安全臨界的なものではなくなる。
【0006】
巻線を巻付けボディに巻き付けるための装置では、巻線始端部が、巻付けボディの第1の電気的接続ドームの第1の巻線収容スリット内に通されており、保持押し込み工具が設けられており、該保持押し込み工具は、設定された巻数の巻付けを巻付けボディに行う巻き付け過程中、巻線収容スリット内に通された前記巻線始端部を保持面で、第1の巻線収容スリットの後方に配置された第1の巻線載置部に保持し、巻線を、第1の巻線載置部に載置された領域で、この領域における巻線の直径が、第1の巻線収容スリットの幅の方向で拡大し、巻線始端部が第1の巻線収容スリット内へと後方に滑脱することが阻止されるように変形させるように、構成されている。
【0007】
電磁弁のための磁石構成群は、巻付けボディを有しており、該巻付けボディは、巻線始端部を挿入するための第1の巻線収容スリットを有した第1の電気的接続ドームと、巻線終端部を挿入するための第2の巻線収容スリットを有した第2の電気的接続ドームとを有している。第1の接続ドームと第2の接続ドームとが例えばプラスチック射出成形部品として形成されており、それぞれ、第1の巻線収容スリット若しくは第2の巻線収容スリットの後方に配置された巻線載置部を有している。巻線は、第1の巻線載置部上に配置された領域と、第2の巻線載置部上に配置された領域とで、巻線の直径がこの領域で、巻線収容スリットの幅の方向で拡大し、第1の巻線収容スリットへの巻線始端部の後方への滑脱と、第2の巻線収容スリットへの巻線終端部の後方への滑脱とが阻止されるように変形されている。巻線の塑性変形により有利には、巻線始端部若しくは巻線終端部が対応する巻線収容スリット内へと滑脱することが阻止され、これにより、巻線始端部若しくは巻線終端部が、巻き付けられた巻付けボディの取り扱い時や、磁石構成群の所定の使用中に、電気的接続ドームの対応する巻線収容スリット内で保持され、磁石構成群によって所望の磁界を形成するために最良の電気的接続が対応する制御機器との間に得られる。
【0008】
従属請求項に記載の手段及び別の構成により、独立請求項1に記載の磁石構成群の有利な構成が得られる。
【0009】
特に有利には、第2の巻線収容スリットに通した巻線終端部を、第2の巻線収容スリットの後方に配置された第2の巻線載置部に載置し、巻線を、巻き付け過程後に、巻線の直径が、第2の巻線載置部に載置された領域で第2の巻線収容スリットの幅の方向で拡大され、巻線終端部の第2の巻線収容スリット内への後方への滑脱が阻止されるように変形させ、切断する。巻線の変形により、巻線終端部が、切断過程後、若しくはその後の組み付けプロセスにおいて、及び/又は、巻き付けられた巻付けボディの取り扱いの際に、第2の電気的接続ドームの第2の巻線収容スリット内に滑脱することが阻止される。これにより有利には、プロセス確実性が高まり、電気的接続ドームにおける巻線収容スリットのクランプ程度はもはや安全を脅かすものではなくなる。
【0010】
装置の構成では、切断押し込み工具が設けられており、該切断押し込み工具は、第2の巻線収容スリット内に通された、第2の巻線収容スリットの後方に配置された第2の巻線載置部上に載置された巻線終端部を巻き付け過程後に切断し、巻線を、第2の巻線載置部上に載置された領域で、この領域における巻線の直径が、第2の巻線収容スリットの幅の方向で拡大され、第2の巻線収容スリットへの巻線終端部の滑脱が阻止されるように変形させるように、構成されている。通された巻線の、第1の巻線載置部上に載置された領域の変形のためには、保持押し込み工具は、例えば、第1の巻線載置部に設けられた第1の凹部内に巻線を押し込む第1の押し込み突起を有している。さらに、切断押し込み工具は、第2の押し込み突起を有していて、この押し込み突起は、通された巻線の、第2の巻線載置部上に載置された領域を、変形させるために、第2の巻線載置部に設けられた第2の凹部内に押し込む。巻線載置部に設けられた凹部は、例えば、ノッチとして形成されていて、それぞれ、各巻線収容スリットのすぐ後方に配置されていて巻線を屈曲させるための押し込み縁部を有する。ノッチとして形成された凹部、保持押し込み工具、切断押し込み工具、押し込み縁部は、巻線始端部の形状と巻線終端部の形状とがほぼ変更されないように形成されている。これにより有利には、余剰巻線のない巻き付けが保証され、即ち、巻き付け装置の巻線ガイドに残っている巻線端部は、屈曲されておらず、従って次の巻き付けプロセスのために、次の巻付け支持体の巻線始端部として使用することができる。凹部の領域における巻線の塑性変形及び押し込み縁部を介した巻線の屈曲により、一方では、対応する巻線収容スリット内への滑脱が阻止され、他方では、巻線の横断面の変形は少ないので、続くカメラテストのテストウィンドウにおける巻線有無及び巻線間隔のテストを容易にし、巻線横断面の減少により生じるカメラテストの際の疑似エラーは回避される。さらに本発明によれば、磁石構成群の製造時の欠陥品も減じられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁石構成群の故障が生じる恐れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電磁弁のための磁石構成群を概略的に示した図である。
図2a図1の磁石構成群のための巻付けボディの平面図である。
図2b図2aのIIbで示した部分の詳細図である。
図2c図2aのIIcで示した部分の詳細図である。
図3a図1の磁石構成群のための巻付けボディを巻き付けられていない状態で示した概略的な側方図である。
図3b図1の磁石構成群のための巻付けボディを巻き付けられた状態で示した概略的な側方図である。
図4図1の磁石構成群のための第1の接続ドームを巻き付け過程前の状態で示した側方図である。
図5a図1の磁石構成群のための巻付けボディへの巻付けのための保持押し込み工具を示した斜視図である。
図5b図5aの保持押し込み工具を示した側方図である。
図6図1の磁石構成群のための第2の接続ドームを巻き付け過程後の状態で示した側方図である。
図7a図1の磁石構成群のための巻付けボディへの巻付けのための切断押し込み工具を示した斜視図である。
図7b図7aの切断押し込み工具を示した側方図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の有利な構成を図面につき説明する。図面において同じ符号は、同じ機能を有する構成部分若しくはエレメントを示す。
【0014】
図1図3bにより明らかであるように、電磁弁のための磁石構成群1は、巻付けボディ3を有しており、巻付けボディ3は、巻線始端部4.1が挿入されている、切断式クランプ接続部(絶縁排除式コネクタ)13として形成された第1の巻線収容スリット12を備えた第1の電気的接続ドーム10と、巻線終端部4.2が挿入されている、切断式クランプ接続部23として形成された第2の巻線収容スリット22を備えた第2の電気的接続ドーム20とを有している。磁石構成群1の磁気回路は、ケーシングジャケット2と、ケーシングジャケット2内に押し込まれたカバープレート5とから成っている。電気的接続ドーム10,20は例えばプラスチック射出成形部品として形成される。図2a〜図2cにより明らかであるように、第1の電気的接続ドーム10と第2の電気的接続ドーム20とはそれぞれ1つの凹部11.2,21.2を有した巻線載置部11,21を有している。
【0015】
図3aにより明らかであるように、巻線始端部4.1は、予め設定された巻数で巻付けボディ3に巻き付ける巻き付け過程前に、第1の電気的接続ドーム10の第1の巻線収容スリット12に通される。図3bにより明らかであるように、巻線終端部4.2は巻き付け過程後に、第2の電気的接続ドーム20の第2の巻線収容スリット22に通され、切断される。
【0016】
図4に示されたように、第1の巻線収容スリット12に通された巻線始端部4.1は巻き付け過程前及び巻き付け過程中に、第1の巻線収容スリット12の後方に配置されている第1の巻線載置部11に置かれ、保持押し込み工具30の保持面32によって保持される。図5a及び図5bに示されたように、保持押し込み工具30は、保持面32と押し込み突起31とを有している。巻線4は保持押し込み工具30の押し込み突起31によって押し込み縁部11.1を介して凹部11.2内に押し込まれ、巻線4は押し込み縁部11.1の領域で下方に向かって屈曲され、かつ巻線4の直径が、第1の凹部11.2の領域で、第1の巻線収容スリット12の幅の方向に拡大する直径を有するように変形される。これにより巻線始端部4.1が第1の巻線収容スリット12へと後方に滑脱することが阻止される。第1の電気的接続ドーム10における巻線4のクランプは、巻線4の張力に加えて付加的に、巻き付け過程中の引張力も受けて保持しなければならない。このことは、巻線4の本発明による変形により容易になる。さらに、巻線始端部4.1は、従来の巻き付け法と比較して横断面の変形が少ない。何故ならば、凹部11.2の領域における巻線4の変形過程により、巻線始端部4.1の領域における保持面32の押さえ力を減じることができるからである。にもかかわらず、巻線収容スリット12において巻線4が後方へと滑脱することを阻止することができる。従って保持押し込み工具30は、巻線4に対して、保持機能、塑性変形機能、屈曲機能を行う。図4により明らかであるように、巻線4の直径Aは、巻線始端部4.1の領域で変更されておらず、凹部11.2の領域で屈曲・変形過程により、例えばもともとの直径Aの2/3に相当する直径Bとなるように縮小される。ノッチとして形成された凹部11.2の深さCは、巻線4のもともとの直径Aの約半分である。
【0017】
図6に示されたように、第2の巻線収容スリット22に通された巻線終端部4.2は、巻き付け過程後に、第2の巻線収容スリット22の後方に配置されている第2の巻線載置部21に置かれ、切断押し込み工具40の切断ナイフ42によって切断される。図7a及び図7bに示されたように、切断押し込み工具40は切断ナイフ42と押し込み突起41とを有している。巻線4は、切断押し込み工具40の押し込み突起41によって、押し込み縁部21.1を介して凹部21.2内に押し込まれ、巻線4は押し込み縁部21.1の領域で下方に屈曲され、巻線4の直径が、第2の凹部21.2の領域で、第2の巻線収容スリット22の幅の方向で拡大する直径を有するように変形され、これにより巻線終端部4.2が第2の巻線収容スリット22内へと後方に滑脱するのが阻止される。本発明により巻線4を変形させることにより、巻線4は切断過程中保持され、切断押し込み工具40は切断過程中、同時に、切断機能と、塑性変形機能と、屈曲機能とを行う。切断押し込み工具40の切断ナイフ42によって、巻き付け機の巻線ガイド内に残っている巻線端部が切断の際に損傷されたり、変形されることはない。これにより、余剰巻線のない巻き付けが保証される。これは即ち、巻き付け機の巻線ガイドに残っている巻線端部が屈曲されておらず、従って次の巻き付けプロセスのために、次の巻付け支持体3の巻線始端部4.1として使用することができることを意味している。さらに図6に示されているように、巻線終端部4.2の領域における巻線の直径Aは変更されておらず、凹部21.2の領域で、屈曲・変形過程により、巻線4のもともとの直径Aの例えば2/3に相当する直径Bとなるように縮小される。ノッチとして形成された第2の凹部11.2の深さCは、巻線4のもともとの直径Aの約半分に相当する。切断過程中、切断ナイフ42は、第2の巻線載置部21内に深さDまで進入する。
【0018】
巻付けボディ3に巻線4を巻き付けるための本発明による装置及びこれに所属の磁石構成群1は、種々様々な直径を有する巻線4を本発明による方法により巻付けボディ3に巻き付けることができるように構成されている。これにより、種々様々な磁力を奏する磁石構成群を同じ装置及び同じ巻付けボディによって製造することができる。保持押し込み工具30、切断押し込み工具40、電気的接続ドーム10,20の巻線収容スリット12,22は例えば、絶縁エナメルも含めて様々な複数の巻線直径を加工することができるように形成されている。
【0019】
巻線の本発明による変形により有利には、巻き付け過程中、又は切断過程中、又はその後の組み付けプロセスで、及び/又は巻き付けられた巻付けボディの取り扱い時に、巻線が電気的接続ドームに設けられた対応する巻線収容スリットへと後退するように滑脱することが阻止される。これにより有利には、プロセス安全性が高められ、電気的接続ドームにおける巻線収容スリットのクランプ程度はもはや安全性を脅かすものではない。
【符号の説明】
【0020】
3 巻付けボディ
4 巻線
4.1 巻線始端部
4.2 巻線終端部
10 第1の電気的接続ドーム
11 第1の巻線載置部
12 第1の巻線収容スリット
20 第2の電気的接続ドーム
22 第2の巻線収容スリット
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b