特許第5693683号(P5693683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693683自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693683
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/227 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F16D3/227 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-171614(P2013-171614)
(22)【出願日】2013年8月21日
(62)【分割の表示】特願2011-264070(P2011-264070)の分割
【原出願日】2011年12月1日
(65)【公開番号】特開2013-231518(P2013-231518A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2013年11月5日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0053744
(32)【優先日】2011年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511272004
【氏名又は名称】ヒュンダイ ウィア コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】キム,ピル キ
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−170785(JP,A)
【文献】 実開昭60−61525(JP,U)
【文献】 特開2005−221033(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0017921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、
前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、
前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、
前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、
前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、
前記インナーレースの外口径の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心と異なる位置に形成されており、
前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、
前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径は、前記ケージの内口径の半径より小さい寸法を有することを特徴とする自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント。
【請求項2】
エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、
前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、
前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、
前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、
前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、
前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、
前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径の中心は、前記ケージの内口径の半径の中心から軸方向と半径方向とに変位した位置に形成されることを特徴とする自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント。
【請求項3】
エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、
前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、
前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、
前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、
前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、
前記インナーレースの外口径の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心と異なる位置に形成されており、
前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、
前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径のうち、一方は前記ケージの内口径の半径よりは小さい寸法を有し、他方は前記ケージの内口径の半径と同一の寸法を有することを特徴とする自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント。
【請求項4】
エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、
前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、
前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、
前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、
前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、
前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、
前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心から軸方向に変位した位置に形成され、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径のうち、一方は半径方向に変位した位置に形成されることを特徴とする自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントに関し、より詳しくは、インナーレースの外口径とケージの内口径との間にスキ間を発生させて、空回転時に車両から出るアイドル振動を吸収できるようにする、自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジョイントは回転軸の角度が互いに異なる回転軸に回転動力(トルク)を伝達するためのものであって、動力伝達角度が小さい推進軸の場合にはフックジョイントおよびフレキシブルジョイントなどが用いられ、動力伝達角度が大きい前輪駆動車の駆動軸の場合には等速ジョイントが用いられる。
【0003】
前記等速ジョイントは、駆動軸と受動軸との交差角が大きい場合においても等速で円滑に動力を伝達できるので独立懸架方式の前輪駆動車のアクスル軸に主に用いられ、シャフトを中心としてエンジン側(インボード側)はトライポッド式等速ジョイントやスライド式ボールタイプ等速ジョイントからなり、シャフトを中心として車輪側(アウトボード側)は固定式ボールタイプ等速ジョイントからなる。
【0004】
図1は、一般的な自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの断面構成図である。
【0005】
図1に示されているように、一般的な自動車用スライド式ボールタイプジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト1と、前記シャフト1の一端に連結設置されており、内部にトラック溝21として用いられるグルーブが形成されているアウターレース2と、前記アウターレース2の内部に設けられるインナーレース3と、前記アウターレース2の回転動力を前記インナーレース3に伝達するための複数個のボール4と、前記ボール4を保持するためのケージ5とを含んでなる。
【0006】
前記アウターレース2は中心軸と平行するトラック溝21および円筒形の内口径22を有している。
【0007】
前記インナーレース3は中心軸と平行するトラック溝31および球状の外口径32を有している。
【0008】
一般に、前記ボール4は、六つまたは八つが使用される。
【0009】
前記ケージ5は球状と直線部とを有する外口径51および球状を有する内口径52を有している。
【0010】
以下、前記構成による一般的な自動車用スライド式等速ジョイントの作用について説明する。
エンジン(図示省略)から出力された回転動力がトランスミッション(図示省略)を経由してシャフト1に伝達されるとアウターレース2およびボール4を通じてインナーレース3に回転動力が伝達されることによって、車輪(図示省略)を回転させることになる。
【0011】
前記ボール4は前記ケージ5の研削面53によって拘束され、また、前記ボール4はアウターレース2のトラック溝21とインナーレース3のトラック溝31との間に拘束されて回転方向のトルクを伝達する役割を果たす。この場合、ケージ5の内口径52はインナーレース3の外口径32を拘束し、ケージ5の研削面53はボール4を拘束して軸方向スライディングと切れ角運動が起こるようにする。切れ角が起こる場合、ケージ5およびボール4は作動角の二等分面線上に位置して等速が行われるようにする。
【0012】
したがって、ボール4がアウターレース2のトラック溝21内をスライディング移動しながら車両の変位によって切れ角になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記のような従来のスライド式ボールタイプの等速ジョイントは、軸方向運動インナーレース3に伝達された軸方向の力がインナーレース3の外口径32を通じてケージ5の内口径52に伝達されてボール4を押圧する構造であって、インナーレース3、ケージ5およびボール4が一つの小単位であって、同時に同一の軸方向に移動する特性を有しており、空回転の際に車両から出るアイドル振動を吸収できないので車体に伝達される主要原因になるという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、前記のような従来の問題点を解決するためのものであって、インナーレースの外口径とケージの内口径との間にスキ間を発生させて、空回転の際に車両から出るアイドル振動を吸収できるようにする、自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントを提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、インナーレースの外口径およびケージの内口径の構造変更を通して、軸方向スキ間の余裕量を確保できる、自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントは、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、前記インナーレースの外口径の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心と異なる位置に形成されており、前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径は、前記ケージの内口径の半径より小さい寸法を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントは、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径の中心は、前記ケージの内口径の半径の中心から軸方向と半径方向とに変位した位置に形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントは、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、前記インナーレースの外口径の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心と異なる位置に形成されており、前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径のうち、一方は前記ケージの内口径の半径よりは小さい寸法を有し、他方は前記ケージの内口径の半径と同一の寸法を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントは、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフトと、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレースと、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレースと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールを保持するためのケージとを含んでなり、前記インナーレースの外口径は半径が互いに異なる二つの区間に分けられ、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径の中心は前記ケージの内口径の半径の中心から軸方向に変位した位置に形成され、前記インナーレースの外口径の二つの区間の半径のうち、一方は半径方向に変位した位置に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、インナーレースの外口径とケージの内口径との間にスキ間を発生させて、空回転の際に車両から出るアイドル振動を吸収できるようにする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一般的な自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの断面構成図である。
図2】本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
図3】本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの軸方向移動時の凹部断面構成図である。
図4】本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの切れ角時の凹部断面構成図である。
図5】本発明の実施例2に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
図6】本発明の実施例3に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
図7】本発明の実施例4に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
図8】本発明の実施例5に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように、本発明の最も望ましい実施例を図面を参照して詳しく説明する。本発明の目的、作用および効果を含んだその他の目的、特徴点並びに動作上の利点などが望ましい実施例の説明によってより明確になるだろう。
【0028】
また、本発明における実施例は様々の実施可能な例中において当業者の理解のために最も望ましい実施例を選択して例示しているものであって、本発明の技術的な思想が必ずそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的な思想を外れない範囲内で多様な変化、付加および変更が可能であるのはもちろんであり、均等な他の実施例においても実施することができる。
【0029】
図2は本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図であり、図3は本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの軸方向移動時の凹部断面構成図であり、図4は本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの切れ角時の凹部断面構成図である。
【0030】
図2乃至図4に示されているように、本発明の実施例1に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト(図示省略)と、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレース(図示省略)と、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレース3aと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレース3aに伝達するための複数個のボール4aと、前記ボール4aを保持するためのケージ5aを含んでなり、前記インナーレース3aの外口径B21a、B22aは二つの区間に分けられてそれぞれの半径Ri1a、Ri2aを有し、前記それぞれの半径Ri1a、Ri2aの中心O2a、O1aはケージ5aの内口径C2aの半径Rcaの中心Oaから軸方向にそれぞれf2a、f1aほど離れている位置にある構造からなる。
【0031】
前記半径Rca、Ri1a、Ri2aはほとんど同一のサイズを有する。
【0032】
前記ケージ5aの内口径C2aの半径Rcaの中心Oaは、基準線Waから一定のオフセット距離ほど離れている。
【0033】
前記ケージ5aの内口径C2aとインナーレース3aの外口径B21a、B22aとの間で軸方向スキ間Z1a、Z2aが発生する構造からなる。
【0034】
前記ボール4aは基準線Wa上に位置し、前記ケージ5aの研削面C3aに拘束される。
【0035】
図5は、本発明の実施例2に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
【0036】
図5に示されているように、本発明の実施例2に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト(図示省略)と、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレース(図示省略)と、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレース3bと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレース3bに伝達するための複数個のボール(図示省略)と、前記ボールを保持するためのケージ5bとを含んでなり、前記インナーレース3bの外口径B21b、B22bは二つの区間に分けられてそれぞれの半径Ri1b、Ri2bを有し、前記それぞれの半径Ri1b、Ri2bの中心O2b、O1bはケージ5bの内口径C2bの半径Rcbの中心Obから軸方向にそれぞれf2b、f1bほど離れており、半径方向にはそれぞれf4b、f3bほど離れている構造からなる。
【0037】
前記半径Ri1bおよびRi2bは前記半径Rcbより小さい半径サイズを有する。
【0038】
前記ケージ5bの内口径C2bの半径Rcbの中心Obは、基準線Wbから一定のオフセット距離ほど離れている。
【0039】
前記ケージ5bの内口径C2bとインナーレース3bの外口径B21b、B22bとの間で軸方向スキ間Z1b、Z2bが発生する構造からなる。
【0040】
前記ボールは基準線Wb上に位置し、前記ケージ5bの研削面C3bに拘束される。
【0041】
図6は、本発明の実施例3に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
【0042】
図6に示されているように、本発明の実施例3に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト(図示省略)と、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレース(図示省略)と、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレース3cと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレース3cに伝達するための複数個のボール(図示省略)と、前記ボールを保持するためのケージ5cを含んでなり、前記インナーレース3cの外口径B21c、B22cは二つの区間に分けられてそれぞれの半径Ri1c、Ri2cを有し、前記それぞれの半径Ri1c、Ri2cの中心O2c、O1cはケージ5cの内口径C2cの半径Rccの中心Ocから軸方向にそれぞれf2c、f1cほど離れており、半径Rilcの中心O2cは半径方向にf3cほど離れている構造からなる。
【0043】
前記半径Ri1cは半径Rccより小さい半径サイズを有し、前記半径Ri2cは半径Rccとほぼ同一の半径サイズを有する。
【0044】
前記ケージ5cの内口径C2cの半径Rccの中心Ocは、基準線Wcから一定のオフセット距離ほど離れている。
【0045】
前記ケージ5cの内口径C2cとインナーレース3cの外口径B21c、B22cとの間で軸方向スキ間Z1c、Z2cが発生する構造からなる。
【0046】
前記ボールは基準線Wc上に位置し、前記ケージ5cの研削面C3cに拘束される。
【0047】
図7は、本発明の実施例4に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
【0048】
図7に示されているように、本発明の実施例4に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト(図示省略)と、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレース(図示省略)と、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレース3dと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレース3dに伝達するための複数個のボール(図示省略)と、前記ボールを保持するためのケージ5dとを含んでなり、前記インナーレース3dの外口径B2dは半径Ridを有し、前記半径Ridの中心O1dはケージ5dの内口径C2dの半径Rcdの中心Odから半径方向にfdほど離れている構造からなる。
【0049】
前記半径Ridは、半径Rcdより小さい半径サイズを有する。
【0050】
前記ケージ5dの内口径C2dの半径Rcdの中心Odは、基準線Wdから一定のオフセット距離ほど離れている。
【0051】
前記ケージ5dの内口径C2dとインナーレース3dの外口径B2dとの間で軸方向スキ間Z1d、Z2dが発生する。
【0052】
前記ボールは基準線Wd上に位置し、前記ケージ5dの研削面C3dに拘束される。
【0053】
図8は、本発明の実施例5に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの凹部断面構成図である。
【0054】
図8に示されているように、本発明の実施例5に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの構成は、エンジン側の回転動力が伝達されて回転するシャフト(図示省略)と、前記シャフトの一端に連結設置されており、内部にグルーブが形成されているアウターレース(図示省略)と、前記アウターレースの内部に設けられるインナーレース3eと、前記アウターレースの回転動力を前記インナーレース3eに伝達するための複数個のボール(図示省略)と、前記ボールを保持するためのケージ5eとを含んでなり、前記インナーレース3eの外口径B2eは半径Rieを有し、両端部はテーパ角度αを有し、前記半径Rieの中心O1eはケージ5dの内口径C2eの半径Rceの中心Oeから半径方向にfeほど離れている構造からなる。
【0055】
前記半径Rieは、半径Rceより小さい半径サイズを有する。
【0056】
前記ケージ5eの内口径C2eの半径Rceの中心Oeは、基準線Weから一定のオフセット距離ほど離れている。
【0057】
前記ケージ5eの内口径C2eとインナーレース3eの外口径B2eとの間で軸方向スキ間Z1e、Z2eが発生する。
【0058】
前記ボールは基準線We上に位置し、前記ケージ5eの研削面C3eに拘束される。
【0059】
以下、前記構成による、本発明の実施例5に従う自動車用スライド式ボールタイプの等速ジョイントの作用について説明する。
【0060】
エンジン(図示省略)から出力された回転動力がトランスミッション(図示省略)を経由してシャフトに伝達されるとアウターレースとボールとを通して、インナーレース3a、3b、3c、3d、3eに回転動力が伝達されることによって、車輪(図示省略)を回転させることになる。
【0061】
前記ボールはケージ5a、5b、5c、5d、5eの研削面C3a、C3b、C3c、C3d、C3eによって拘束され、また、前記ボールはアウターレースのトラック溝とインナーレース3a、3b、3c、3d、3eのトラック溝B1a、B1b、B1c、B1d、B1eとの間に拘束されて、回転方向のトルクを伝達する役割を果たす。この場合、ケージ5a、5b、5c、5d、5eの内口径C2a、C2b、C2c、C2d、C2eはインナーレース3a、3b、3c、3d、3eの外口径B21a、B22a、B21b、B22b、B21c、B22c、B21d、B22d、B21e、B22eを拘束し、ケージ5a、5b、5c、5d、5eの研削面C3a、C3b、C3c、C3d、C3eはボールを拘束して軸方向スライディングと切れ角運動が起こるようにする。切れ角が起こる場合、ケージ5a、5b、5c、5d、5eおよびボールは作動角の二等分面線上に位置して等速が行われるようにする。
【0062】
したがって、ボールがアウターレースのトラック溝内をスライディング移動しながら車両の変位によって切れ角になる。
【符号の説明】
【0063】
3a、3b、3c、3d、3e インナーレース
5a、5b、5c、5d、5e ケージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8