特許第5693719号(P5693719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693719
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】ウエハ状物品を保持するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/30 572B
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-520248(P2013-520248)
(86)(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公表番号】特表2013-535821(P2013-535821A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】IB2011052961
(87)【国際公開番号】WO2012011005
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年5月13日
(31)【優先権主張番号】12/842,836
(32)【優先日】2010年7月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クムニグ・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーンズベルガー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オブウェガー・レイナー
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0118672(KR,A)
【文献】 特開平9−213772(JP,A)
【文献】 米国特許第4903717(US,A)
【文献】 米国特許第5513668(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とを有する複数の可動接触要素と、
前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に前記接触要素が接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記接触要素を一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数の接触要素の1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域よりも容易に前記複数の接触要素の横移動に屈する構造を有し、
前記ギアメカニズムは、前記ボディ内の長い切り出し又は空洞に平行な歯を有するボティの上に位置を有する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記接触要素は、前記第2の位置から前記第1の位置に一体的に移動可能である一連のピンである、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置の前記ボディは、プラスチックで作成される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置は、枚葉式湿式処理のためのプロセスモジュール内のスピンチャックである、装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、
前記ピンは、円形に並ぶように配置され、
各ピンは、それぞれの枢動ベースの枢動軸に平行で尚且つ該枢動軸からずれた軸に沿って、前記枢動ベースから上向きに突き出している、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記ギアメカニズムは、その半径方向内側の縁に歯を有するギアリングであり、
前記歯は、前記接触要素上の対応する歯と噛み合い係合している、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記ギアメカニズムは、その半径方向外側の縁に歯を有するギアリングであり、
前記歯は、前記接触要素上の対応する歯と噛み合い係合している、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記構造は、前記ギアメカニズムが前記接触要素上に対して5から20Nまでの範囲の最大の力で作用するように構成される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記構造は、前記その他の領域よりもヤング率が小さい狭められた領域を画定する前記ギアメカニズム内の切り出しである、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記切り出しは、前記ギアメカニズムの外縁表面が割り込まれることのないように、囲まれている、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、
前記切り出しは、前記狭められた領域が片持ち梁の形態をとるように、前記ギアメカニズムの縁表面に割り込んでいる、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記構造は、前記ギアメカニズムの空洞に収まる挿入物であり、
前記挿入物は、前記少なくとも1つの接触要素の対応する歯と噛み合い係合するギア歯を含み、
前記挿入物は、少なくとも1つの弾性要素によって、前記対応する歯と噛み合い係合するように促され、
前記少なくとも1つの弾性要素は、前記空洞に向かう方向への前記少なくとも1つの接触要素の変位に屈する、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの弾性要素は、少なくとも1つのバネである、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの弾性要素は、前記空洞に収まるエラストマ材料のボディである、装置。
【請求項15】
ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とをそれぞれ有する複数の可動のピンアセンブリと、
前記突き出し部分が前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記複数のピンアセンブリを一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数のピンアセンブリの1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域におけるよりも容易に前記複数のピンアセンブリの横移動に適応するための手段を含み、
前記ギアメカニズムは、前記ボディ内の長い切り出し又は空洞に平行な歯を有するボティの上に位置を有する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどのウエハ状物品を保持するための装置に関するものである。
【0002】
半導体ウエハは、エッチング、洗浄、研磨、及び材料蒸着などの様々な表面処理プロセスを経る。このようなプロセスに適応するためには、1枚のウエハを、例えば米国特許第4,903,717号及び第5,513,668号で説明されるように、回転式キャリアに関連付けられたチャックによって1つ以上の処理流体ノズルに関係付けて支えることができる。
【0003】
上で言及された特許は、ベルヌーイの定理に基づいて動作するので、ウエハは、チャックとの接触によってではなく、ガスクッションからの下からの支えを受ける。このようなチャックは、それでもやはり、チャック上に位置決めされるウエハの半径方向外側に円形に並ぶ一連のピンを含むのが通常である。これらのピンは、チャックに相対的なウエハの横移動を阻止する。
【0004】
米国特許第4,903,717号で説明されるように、各ピンは、それぞれの枢動ベースから上向きに突き出している。ベースの枢動によって、該ベースに関連付けられたピンが円弧に沿って移動し、したがってその半径方向の位置を調整可能であるように、ピン及びベースの軸は、垂直ではあるが、互いにずらされている。枢動ベースは、それぞれ、チャックの回転軸と同軸である一般的なギアリングの歯と噛み合うギア歯を備えている。チャックに相対的なギアリングの回転は、したがって、全てのピンを一体的に尚且つ同程度に移動させる。
【0005】
この構成は、ウエハの配置又は取り出しのためにピンが半径方向外側に移動され、次いで、ウエハの周縁に接触するために半径方向内側に移動されることを可能にする。このような接触は、チャックに相対的なウエハの横移動のみならず、チャックのスピンに伴うウエハとチャックとの間の相対的回転をも阻止する。
【0006】
その他のスピンチャックは、例えば米国特許第6,485,531号で説明されるように、チャックボディを周囲の環状磁気ステータ内に同軸に位置決めされる磁気ロータとして形作ることによって、磁場の制御下で動作する。このようなチャックでは、回転ヘッドがウエハを支える。本出願人は、上述されたのと共通する特性を有するがこの状況でウエハの重量を支える働きもするピンを用いるようなチャックを設計した。
【0007】
スピンチャックは、使用に際して極端な温度及び高酸性のエッチング溶液に見舞われる。或る一連の処理条件下で問題なく振る舞える設計は、異なる処理条件下ではあまり一貫性をもって振る舞えない恐れがある。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、上述されたタイプのチャックにおいて、ピンが、極端な処理条件下で常に高い信頼性で開閉するとは限らないことを発見した。本発明にしたがうと、半導体ウエハなどのウエハ状物品を保持するための装置は、一般的なギアリング又は一体的に動作される一連のギアセクタによる制御下でウエハ状物品の周縁に接触される一連のピンを備えている。ピンアセンブリに係合するギアリング又はギアセクタ領域では、これらの要素は、ピンアセンブリの付近におけるチャック部品の熱膨張差に適応するために、その他のギアリング又はギアセクタ領域よりも容易に屈するように設計されている。
(1)本発明の第1の形態は、ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とを有する複数の可動接触要素と、
前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に前記接触要素が接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記接触要素を一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数の接触要素の1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域よりも容易に前記複数の接触要素の横移動に屈する構造を有し、
前記ギアメカニズムは、前記ボディ内の長い切り出し又は空洞に平行な歯を有するボティの上に位置を有する、装置である。
(2)本発明の第2の形態は、ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とをそれぞれ有する複数の可動のピンアセンブリと、
前記突き出し部分が前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記複数のピンアセンブリを一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数のピンアセンブリの1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域におけるよりも容易に前記複数のピンアセンブリの横移動に適応するための手段を含み、
前記ギアメカニズムは、前記ボディ内の長い切り出し又は空洞に平行な歯を有するボティの上に位置を有する、装置である。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とを有する複数の可動接触要素と、
前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に前記接触要素が接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記接触要素を一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数の接触要素の1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域よりも容易に前記複数の接触要素の横移動に屈する構造を有する、装置。
[適用例2]
適用例1に記載の装置であって、
前記接触要素は、前記第2の位置から前記第1の位置に一体的に移動可能である一連のピンである、装置。
[適用例3]
適用例1に記載の装置であって、
前記装置の前記ボディは、プラスチックで作成される、装置。
[適用例4]
適用例1に記載の装置であって、
前記装置は、枚葉式湿式処理のためのプロセスモジュール内のスピンチャックである、装置。
[適用例5]
適用例2に記載の装置であって、
前記ピンは、円形に並ぶように配置され、
各ピンは、それぞれの枢動ベースの枢動軸に平行で尚且つ該枢動軸からずれた軸に沿って、前記枢動ベースから上向きに突き出している、装置。
[適用例6]
適用例1に記載の装置であって、
前記ギアメカニズムは、その半径方向内側の縁に歯を有するギアリングであり、
前記歯は、前記接触要素上の対応する歯と噛み合い係合している、装置。
[適用例7]
適用例1に記載の装置であって、
前記ギアメカニズムは、その半径方向外側の縁に歯を有するギアリングであり、
前記歯は、前記接触要素上の対応する歯と噛み合い係合している、装置。
[適用例8]
適用例1に記載の装置であって、
前記構造は、前記ギアメカニズムが前記接触要素上に対して最大で5から20Nまでの範囲で作用するように構成される、装置。
[適用例9]
適用例1に記載の装置であって、
前記構造は、前記その他の領域よりもヤング率が小さい狭められた領域を画定する前記ギアメカニズム内の切り出しである、装置。
[適用例10]
適用例9に記載の装置であって、
前記切り出しは、前記ギアメカニズムの外縁表面が割り込まれることのないように、囲まれている、装置。
[適用例11]
適用例9に記載の装置であって、
前記切り出しは、前記狭められた領域が片持ち梁の形態をとるように、前記ギアメカニズムの縁表面に割り込んでいる、装置。
[適用例12]
適用例1に記載の装置であって、
前記構造は、前記ギアメカニズムの空洞に収まる挿入物であり、
前記挿入物は、前記少なくとも1つの接触要素の対応する歯と噛み合い係合するギア歯を含み、
前記挿入物は、少なくとも1つの弾性要素によって、前記対応する歯と噛み合い係合するように促され、
前記バネは、前記空洞に向かう方向への前記少なくとも1つの接触要素の変位に屈する、装置。
[適用例13]
適用例12に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの弾性要素は、少なくとも1つのバネである、装置。
[適用例14]
適用例12に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの弾性要素は、前記空洞に収まるエラストマ材料のボディである、装置。
[適用例15]
ウエハ状物品を保持するための装置であって、
ウエハ状物品に接触するための突き出し部分と前記装置のボディに収まる取り付け部分とをそれぞれ有する複数の可動ピンアセンブリと、
前記接触要素が前記装置上に位置決めされたウエハ状物品に接触する第1の位置と第2の非接触位置との間で、前記接触要素を一斉に駆動するギアメカニズムと、を備え、
前記ギアメカニズムは、前記複数の接触要素の1つに係合する少なくとも一領域において、前記少なくとも一領域に隣接する前記ギアメカニズムのその他の領域におけるよりも容易に前記複数の接触要素の横移動に適応するための手段を含む、装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面を参照にして与えられる本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、本発明のその他の目的、特徴、及び利点が明らかになる。
図1a】本発明の一実施形態にしたがった装置を示した部分断面斜視図である。
図1b図1aの細部D1bを示したやはり部分断面斜視図である。
図1c図1bに対応した図であり、図中、ステータは、及びそれゆえにチャックも、プロセスチャンバの円筒壁に相対的に上昇されている。
図1d図1cに対応した図であり、図中、チャックは、ピンアセンブリを露出させるために、異なる角度方向を向いている。
図2】ギアリングと、ピンアセンブリと、チャックとの間の接続、並びにギアリングと、該ギアリンに関連付けられた制御メカニズムとの相互作用を示した部分切り欠き平面図である。
図3】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第1の例を示した放射断面図である。
図4】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第2の例を示した放射断面図である。
図5】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第3の例を示した放射断面図である。
図6】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第4の例を示した放射断面図である。
図7】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第5の例を示した放射断面図である。
図8】本発明にしたがったギアリング又はギアセクタの第6の例を示した放射断面図である。
図9】本発明にしたがったチャックの第2の実施形態を上から見た斜視図である。
図10a図9の実施形態を下から見た斜視図である。
図10b図10aの細部D10bにおけるギアリング30’の一例を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1aの装置100は、チャンバと、ウエハ(円盤状物品)を把持する及び回転させるための環状チャック20と、ステータ80とを含む。チャンバは、円筒壁60と、底板65と、上板(不図示)とを含む。上板には上方分配管63が通され、底板65には下方分配管67が通される。
【0011】
ステータ80は、ステータベース板5に取り付けられ、円筒壁60と同心円状である。ステータベース板5は、例えば空気圧式の持ち上げ装置によって、円筒壁60の軸に沿って軸方向に移動可能である。ステータベース板5及び該板に取り付けられステータ80は、円筒壁60の外径よりも直径が大きい中央開口を有する。上板もまた、チャンバを開くために軸方向に移動可能である。上板は、その閉位置では、円筒壁60に対して密着される。
【0012】
ステータ80は、環状チャックの一部であるロータ85を軸方向及び半径方向に方向付けるための並びに駆動するための、幾つかのコイル84を含む。このような構成は、米国特許第6,485,531号で更に説明されている。環状チャック20の直径は、環状チャック20が円筒壁60内で自由に浮揚可能且つ回転可能であるように、円筒壁の内径未満である。環状チャック20は、内側チャックベースボディ21を含み、該内側チャックベースボディ21は、その外側を環状溝が取り巻いており、該環状溝は、ギアリング30を受け入れる。ギアリング30は、好ましくは、PEEK、アルミニウム、又はステンレス鋼で作成される。
【0013】
ギアリング30は、内向きの歯31を含む。そして、内向きの歯31は、ピンシャフト27の歯を駆動する(図1cを参照せよ)。
【0014】
この実施形態は、6本の下向きのピンシャフト27を有し、各シャフトは、ギアリング30によって駆動される小ギアを有する。ピンシャフト27は、環状チャックの回転軸に平行な軸Aを中心に回ることができる。
【0015】
ピン28は、ピンシャフト27の回転軸Aに対して偏心した位置でピンシャフト27に取り付けられる又はピンシャフト27と一体的に形成される。したがって、ギアリング30によってピンシャフト27が回されるときに、ピン28は、チャックから半径方向に変位される。ピン及びギアリング30は、ともに、チャックベースボディ21に載せられるので、ピンシャフト27は、ギアリング30がチャックベースボディに相対的に回転するときにのみ、ギアリング30によって回転される。
【0016】
ピン28は、ウエハWの周縁でウエハWに接触するように位置決めされる。ピン28は、ウエハWの重量も支えるので、ウエハが把持されているときの、ピン28に相対的なウエハWの軸方向変位を阻止するために、形状が円筒状であるか、又はウエハの縁に接触する半径方向内側の側面に陥凹部分を有するか、のいずれかであってよい。
【0017】
ギアリング30をチャックベースボディ21の環状溝に嵌め込むために、ギアリング30は、環状溝に挿入されたときに合わさって固定される2つの別々のパーツからなる。チャックベースボディ21及びギアリング30は、ギアリング30がピン28を、ウエハの把持に対応するそれらの半径方向最奥位置に促すように、1つ以上のつる巻きバネ40(図2を参照せよ)を通じてつながれる。
【0018】
永久磁石33(図1bを参照せよ)が、歯ギアリング30に取り付けられる。チャックベースボディ21の外周には、永久磁石である少なくとも24個の複数のロータ磁石85が、等間隔で配置される。これらのロータ磁石85は、駆動・位置決めユニットの一部である、すなわち、チャックベースボディ21に取り付けられるロータ(能動軸受けの構成要素)の一部である。
【0019】
複数のロータ磁石85、及び永久磁石33を載せているギアリング30は、チャックベースボディ21と、外側の下方チャックカバー22と、ロータ磁石カバー29とによって提供される中空の環状空間に封じ込められる。このようなロータ磁石カバー29は、ステンレス鋼製のジャケットであってよい。カバー22及び29は、環状であり、チャックベースボディ21と同心円状である。
【0020】
チャック20を組み立てるときは、ピンシャフト27は、図1cに示されるようにチャックベースボディ21に対してしっかり密着されるように、上方からそれぞれのシートに挿入される。各ピンシャフト27は、ネジ24によって適所に固定される。また、各ピンシャフトは、そのシートに、ピンシャフトとネジとの間のつる巻きバネによって押し込めることができる。
【0021】
ステータベース板5に取り付けられるのは、円筒壁60に対して同心円状に配置されるステータ及び能動位置決めユニット80である。位置決めユニット80は、ロータ磁石85に連絡しており、そうしてチャック20を浮揚させる、位置決めする、及び回転させる。
【0022】
能動位置決めユニット80の下方には、ステータベース板5に取り付けられた2つの空気圧シリンダ50がある。空気圧シリンダ50のロッドの末端側の端に、ロック磁石55(永久磁石)が配置される。ロック磁石は、ギアリング30の永久磁石33に対応している。空気圧シリンダ50は、ロック磁石55が円筒壁60の軸に対して半径方向に移動可能であるように配置される。
【0023】
例えばウエハを解放するなどのために、ピンが開かれるときは、以下の手順が実施される。ロック磁石55と浮揚チャック20との間の隙間から円筒壁60が無くなるように(図1cを参照せよ)、ステータベース板5、及びそれとともに浮揚チャック20が持ち上げられる。その後、空気圧シリンダ50は、ロック磁石55をチャック20のごく近くに移動させ、チャックは、永久磁石33、及びそれとともにギアリング30がロック磁石によってロックされるように、回される。次いで、チャックは、ギアリングが静止している状態で回され、そうして、ピン28は、開かれる。或いは、空気圧シリンダが移動される間、チャックベースボディが静止していることによって、ロック磁石が接線方向に(チャックの外周に沿って)回り、それによってギアリングが回されることも考えられる。
【0024】
しかしながら、上述されたように、本発明者らは、高めのプロセス温度では、説明されたようなチャックのピンが、処理の完了に際して又は処理中にウエハを移動させたいときに開けない恐れがあることを発見した。処理チャンバは、熱硫酸又は120℃程度の温度に過熱された水を内包していると考えられるので、ピン、及びそれらに関連付けられた作動メカニズムは、チャックが使用されている間は観察不可能である。更に、本実施形態のギアリング30は、チャックボディ21の溝に収まっている。
【0025】
それでも尚、本発明者らは、この問題の原因が、好ましくはステンレス鋼で作成されるリングギア230が、好ましくはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)又はECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレン)などのプラスチックで作成されるチャックベースボディ21よりも、高温で見舞われる熱膨張の程度が少ないことにあることを、突き止めた。ピンシャフト27は、チャックベースボディ21に嵌め込まれるので、相対的に大きいチャックベースボディ21の膨張は、ピンアセンブリを、対応するギアリング30の変位を伴うことなく半径方向外側に変位させると考えられ、それゆえに、ピン28は、ギアリング30を行き詰まらせるのに十分な力をもって、ギアリング30の歯に押し付けられるだろう。この現象は、ギアリング30が、ピンアセンブリを半径方向内側に促し、それゆえに、ピンシャフト27が、膨張されたチャックベースボディ21内に捕らわれる状態としても、理解することができる。ピンアセンブリは、ギアリング30と噛み合い係合しているので、結果は同じである、すなわち、ギアリング30が捕らわれることになる。
【0026】
問題の原因を突き止めた発明者らは、チャックベースボディの熱膨張によって引き起こされるピンアセンブリの高温変位に適応するために、ギアリングを少なくともそれがそれぞれのピンアセンブリに接触する領域で弱めるなどのような、様々な解決策を考え出した。
【0027】
図3〜8は、本発明を実施するように設計された幾つかの構造例を示している。これらの各図は、リングギア30の、それぞれのピンアセンブリに接触する領域を含む一部分を、放射断面図で示している。したがって、本実施形態では、これらの各図に示された構造は、ギアリング30の外周に沿って6回にわたって繰り返されと考えられ、これら6つの区分は、ギアリング30の、図に示されるようにおおよそ同じ幅を有する中実のすなわち未変更の領域によって、相互につながれている。
【0028】
その問題に対する解決策は、歯ギア(30)がピンシャフト(27)に触れる区域(31)を、弱めの形態で具現化することであった。これは、ヤング率を低くされた区域を有することを意味する。
【0029】
図3では、歯31の後ろ側に、狭めであってそれゆえに大幅に弱められた領域33、34を画定する囲まれた切り出し32がある。リングギア30の材料は、狭めの領域33が、チャックベースボディ21の熱膨張及びそれに関連したピンアセンブリ27の変位を受けて半径方向外側に撓む一方で、尚も、チャックベースボディ21の冷却及び収縮に伴ってその初期位置に戻るような、十分な弾性を有する。
【0030】
図4では、切り出し32’は、完全には囲まれておらず、したがって、弱められた領域33’は、片持ち梁の構成をとっている。
【0031】
図5では、歯31は、ギアリング30内に形成された空洞36に嵌め込まれる別個のブロック35に形成されている。コイルバネ37は、ブロック35を、ピンアセンブリ27と噛み合い係合するように半径方向内側に促す一方で、尚も、ピンアセンブリ27の、チャックベースボディ21の熱膨張に際した半径方向外側の変位にも適応している。
【0032】
図6〜8の例は、基本的に図5と同じ原理に基づいて動作する。図6では、図5のコイルバネ37が、板バネ38に置き換わっている。図7では、先述の例におけるバネが、やはり同様にピンアセンブリの外向き変位に適応するような圧縮弾性を有するエラストマ材料のボディ39に置き換わっている。最後に、図8は、空洞36’に嵌め込まれているのではなくストリップバネ41を通じて空洞の縁につながれたブロック35’を示している。
【0033】
図3〜8の各例に共通しているのは、ピンを開閉するときにピンシャフトを駆動する歯区域が、リングギアの、隣接する領域における半径方向の全幅と比べて大幅に弱められていることである。したがって、弱められた領域は、弱められていない隣接する領域よりも、低い有効ヤング率を有していると見なすことができる。
【0034】
これらのどの実施形態でも、ピンシャフトの各小ギアに加えられる最大の力は、これらの「弱められた」区域によって制限され、好ましくは、5から20Nまでの範囲の値に制限される。
【0035】
図9は、ベルヌーイの定理に基づいて動作するスピンチャック10’を、ウエハWが適所にある状態で示している。ピンアセンブリ27’は、上方チャックボディ11に取り付けられ、ウエハの縁に係合する偏心ピン28’は、上方チャックボディ11から上向きに突き出している。上方チャックボディ11は、下方チャックボディ12と合わせられ、そして、下方チャックボディ12は、シャフト(不図示)を通じて機械的に駆動される。
【0036】
図10aでは、チャック10’は、下方ベースボディ12を取り外された状態で、下方から示されている。これは、この実施形態の、幾分異なるギアリング30’を明らかにしており、ここでは、先の実施形態とは対照的に、ギアリングの半径方向外側の縁に歯31が設けられている。円を描いた矢印は、チャックの時計回りの回転を示している。ただし、この図では、チャックが下方から示されているので、矢印自体は反時計回りを向いている。
【0037】
ピンアセンブリ27’のボディが、上方ベースボディ11に収まっている一方で、歯31は、ピンアセンブリ27’上の対応する歯と噛み合っている。ギアリング30’と上方ベースボディ11との間につながれたコイルバネ43は、ギアリングを、上方ベースボディ11に相対的に或る角度方向に向くように促し、この向きでは、上方ベースボディ11の上面から突き出したピン28’は、チャックの使用に際したウエハWの把持に対応するそれらの半径方向最奥位置にある。
【0038】
図10aの細部D10bは、図10bの概略断面図に示されており、ここでは、理解を容易にするために、ギアリングのみが描かれている。図10bは、図3に類似しているが、この実施形態のピンアセンブリ27が、ギアリング30’の半径方向外側に位置しているゆえに、歯31を、半径方向外側の狭い領域44にあるものとして示している。更なる図解を伴わなくても、図4〜8の例は、この実施形態にも同様に適応可能であることがわかる。
【0039】
本発明は、スピンチャックとの関連で説明されてきたが、非回転チャックにも使用することが可能である。更に、本発明は、湿式化学処理に使用されるチャックとの関連で説明されてきたが、乾式処理にも使用することが可能である。
【0040】
本発明は、その様々な好ましい実施形態との関連で説明されてきたが、これらの実施形態は、本発明を単に例示するために提供されたものであり、添付の特許請求の範囲の真の範囲及び趣旨によって与えられる保護の範囲を制限する口実として使用されるべきでない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b