【実施例】
【0128】
以下の特定の実施例は、本発明を図示することが意図され、特許請求項の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0129】
実施例1
組み換えLALの投与による早発性LAL欠乏症(ウォルマン病)の治療
生まれたとき(出生時体重、3.88kg)から体重増加不良のため、15週齢の男児が入院した。乳児は、嘔吐、摂食問題、栄養状態の不良、下痢、腹部膨満の増加、および貧血を示した。患者はウォルマン病と診断された。
【0130】
最初の身体検査で、患者の体重は5.62kgであり、年齢別体重の第5パーセンタイルより下であった。15週齢での最初の検査から4週間の間、および19週齢での最初の点滴前には、患者の体重は増加しなかった。推定された成長速度は、年齢別体重の第1パーセンタイル未満であると計算された。腹部は極端に膨満し、顕著な肝腫大および脾腫大を伴った。腹部の超音波およびCTスキャンは、カルシウム沈着を伴う肝脾腫大および両側性の対照的に肥大した副腎を認めた。216U/L(正常10〜45U/L)のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)と同様に、血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)のレベルは、119U/L(正常10〜50U/L)に上昇した。治療開始前の炎症のマーカーである血清フェリチンは、約1,500μg/L(正常7〜144μg/L)であった。患者は、治療前は一貫して貧血であり、ヘモグロビン値は7.2〜8.3g/dLの範囲であった。
【0131】
19週齢で、0.2mg/kgの初期用量で、週に1回のrhLAL(SBC−102)のIV点滴を開始した。点滴反応の可能性を相殺するために、患者は、SBC−102点滴の約90分前に1mg/kgのジフェンヒドラミンで前治療された。点滴時間は、約4時間であった。点滴は良好に耐容され、患者は、いずれの有害事象または点滴関連反応を起こさなかった。
【0132】
初期点滴の7日後、2回目の点滴が患者に投与された。患者は、約4時間、0.3mg/kgのSBC−102を投与され、いずれの有害事象の兆しを示すことなく耐容性を示した。
【0133】
治療を開始してから2週間以内に、患者は、鋭敏さおよび反応性を含む一般的な健康において顕著な改善を示した。下痢および嘔吐は安定した。患者の体重は増加し始め、血清トランスアミナーゼ(例えばASTおよびALT)において、基本的に正常レベルへの著しい減少を示した(
図1Aおよび1B)。患者の成長速度は、急速に正常化した(
図3および4)。腹部膨満は、腹囲の減少と対応して減少した。肝機能試験は、継続的に改善を示した(
図1Aおよび1B)。
【0134】
3回目の来院で、患者は0.5mg/kgのSBC−102を受けた。点滴は、継続的に良好に耐容された。臨床状態は継続的に改善し、治療開始から体重は7日で150g増加し、腕囲は1.5cm増加した(
図3および4)。肝臓試験は安定しており、ヘモグロビンレベルは増加し(10〜11g/dL)、フェリチンレベルは減少し続けた(
図2)。アルカリホスファターゼは、治療前、正常の低範囲の137U/L(正常110〜300U/L)であったが、治療により増加した(204U/L)。SBC−102投与によるこの効果は、前臨床疾患モデルで認められた知見と一致した。
【0135】
4回目の点滴を発端に、患者は毎週1.0mg/kgの用量を受け始めた。治療開始2ヶ月後、患者の成長は、実質的に改善し、推定成長速度は、第95パーセンタイルに近かった。この成長増加は、63日で1.25kgまたは2.79ポンドの増加をもたらし、体重が7.21kgとなり、年齢別体重の第30パーセンタイルとなった(
図3および4)。ASTおよびALTの両方のレベルは、最初の点滴後、急速に低下した。
【0136】
治療を経て3ヶ月、ASTおよびALTは正常であった。肝機能の改善に加え、フェリチンの著しい減少も見られた(
図2)。
【0137】
4ヶ月の治療にわたって、患者のGI症状は回復し、患者の栄養状態は良好であった。患者の体重は増加し続け(
図3および4)、正常で健康な乳児の身体徴候を示した。患者は、いずれの点滴反応または他の副作用を示すことなく点滴の耐容性を示し続けた。患者は、外来患者として21回目の1.0mg/kgの用量を受けた。
【0138】
実施例2
早発性LAL欠乏症に対する研究設計
遺伝子導入ガルス属で産生されたrhLALであるSBC−102が、IV点滴により毎週投与された。研究は、IV点滴により毎週投与されるSBC−102の2用量レジメンの安全性、耐容性、および有効性を評価するために考案される。そのため、この研究における主な結果変数は、LAL欠乏症による成長阻害を有する小児におけるSBC−102の安全性および耐容性を決定し、生命徴候および身体検査所見、臨床実験試験、抗薬物抗体試験、ならびに併用薬物の使用を含む。成長阻害がLAL欠乏症/ウォルマン表現型の共通する臨床特徴であることを考えると、この疾患の良好な療法は、LAL欠乏症により影響を受けた小児に見られる成長阻害に対処することができるはずである。小児の成長および栄養状態に直接関連するパラメータは、二次または探索目的、例えば、漸進的な体重の成長速度、体重増加、および線形の成長速度として評価される。この研究は、薬物動態生物マーカーに対するSBC−102の作用、肝臓および脾臓の大きさ、リンパ節腫大、ヘモグロビンおよび血小板、肝機能および栄養の実験評価、腹囲、中上腕囲、および頭囲も調査する。この研究は、血漿Cmaxおよび推定クリアランスを含むLAL欠乏症による成長阻害を有する小児のSBC−102の予備薬物動態も説明する。
【0139】
【表1】
【0140】
対象は、等しい大きさの2つの遂次コホート(各4人の対象)に参加する。投与は、各コホート内、コホート間、低用量コホート(コホート1;開始用量0.35mg・kg
−1)の最初の対象で開始する投与により調整される。コホート1の追加対象の投与および高用量コホート(コホート2;開始投与量1
mg・kg
−1)の投与の開始は、前の対象の許容可能な安全性および耐容性に基づく。
【0141】
コホート1
最初の4人の対象は、コホート1を構成する研究に参加した。このコホートの最初の対象は、0.35mg・kg
−1の単一用量のSBC−102を受け、少なくとも投与後24時間の間の安全性の検討に基づき投与の継続が許可されれば、対象は、次いで、0.35mg・kg
−1の2回目の用量のSBC−102を1週間後に受ける。対象が2回目の用量のSBC−102を受けた後、全ての利用可能な安全データが検討され、その時点で、最初の対象の用量を1mg・kg
−1に上げ、コホート1の他の対象の投与を開始するかどうかに関しての容認性が決定される。コホート1の他の対象3人の投与は、同様の様式で進める。安全性の検討は、0.35mg・kg
−1から1mg・kg
−1への対象の用量の増大を保障しないが、対象が開始用量での治療を継続することが安全であると考えられる場合、対象は、0.35mg・kg
−1の用量を受けるのを継続してもよい。コホート1のいずれかの対象が、1mg・kg
−1の少なくとも4用量のSBC−102を受けた後に、治療に対して最適以下の応答を示す場合、3mg・kg
−1へのさらなる用量増大は考慮される。
【0142】
コホート2
コホート2の投与開始は、コホート1が完全に参加し、安全性がコホート1で1mg・kg
−1の2用量以上のSBC−102を受けた少なくとも2人の対象について検討された後である。研究に登録された最後の4人の対象が参加し、コホート2で投与された。このコホートの最初の対象は、1mg・kg
−1の単一用量のSBC−102を受け、少なくとも投与後24時間の間の安全性の検討に基づき投与の継続が許可されれば、対象は、次いで、1mg・kg
−1の2回目の用量のSBC−102を1週間後に受ける。対象が2回目の用量のSBC−102を受けた後、全ての利用可能な安全データが以下の容認性に対して検討される:最初の対象の用量を3mg・kg
−1に上げ、コホート2の他の対象の投与を開始する。コホート2の他の対象3人の投与は、安全性の検討を用いて同様の様式で実施される。安全性の検討は、1mg・kg
−1から3mg・kg
−1への対象の用量の増大を容認しないが、対象が開始用量での治療を継続することが安全であると考えられる場合、対象は、1mg・kg
−1の用量を受けるのを継続してもよい。対象が1mg・kg
−1の開始用量に耐容性を示さない場合、0.35mg・kg
−1の低用量が考慮され得る。
【0143】
研究は、約22回の来院予定からなる:来院1回目(スクリーニング)、来院2回目(ベースライン評価、研究薬物の開始)〜21回目(研究薬物の毎週投与)、来院22回目(研究調査の終了)。LAL欠乏症による早発性成長阻害の重篤度および生命を脅かす性質を考慮すると、これらの対象は入院する可能性がある。
【0144】
研究の標的集団は、LAL欠乏症による成長阻害を有する男子および女子である。対象は、以下の基準を満たす場合、この研究に参加する条件を満たす:(1)対象の親または法廷後見人が、リスクおよび副作用の可能性を含む、完全な研究の性質および目的を理解し、実施されるいずれの研究手順前に書面による同意/許可を提供する、(2)アッセイを実施するラボの正常範囲に対して文書化されたLAL活性の低下、またはLAL欠乏症の診断を確認する分子遺伝子試験の文書化された結果を持つ男子または女子、および(3)生後6ヶ月前に発症した成長阻害。
【0145】
安全性
主要安全評価項目は、有害事象(AE)および点滴関連反応(IRR)の発生、生命徴候(血圧、心拍数、呼吸数、および体温)のベースラインからの変化、身体検査所見および臨床実験試験(CBC/血液学検査、血清化学、および尿検査)、併用薬物/療法の使用、ならびに血清転換率、血清転換まで時間、中央およびピーク免疫グロブリンG(IgG)ADA力価を含む抗SBC−102抗体(ADA)の特徴付け、およびピークIgG ADA力価までの時間を含む。
【0146】
有効性
有効性評価項目は、(1)肝臓および脾臓の大きさ(超音波による)ならびに肝臓および脾臓の容量ならびに脂肪含量(磁気共鳴映像法[MRI]による)のベースラインからの変化および/またはパーセント変化、ならびに(2)血清トランスアミラーゼ、血清脂質(総コレステロール、トリグリセリド、高密度リポタンパク質[HDL]、および低密度リポタンパク質[LDL])、ヘモグロビン、および血小板数のベースラインからの変化を含む。パーセンタイルおよびzスコアのベースラインからの変化を含む成長パラメータも≦18歳の対象について評価される。これらの成長パラメータは、Centers for Disease Control(CDC)成長チャートに基づき、対象の年齢が<30ヶ月の年齢別体重(WFA)、身長別体重(WFL)、年齢別身長(LFA)、および年齢別頭囲(HCFA)、ならびに対象が≧36ヶ月〜18歳のWFA、年齢別背丈(stature−for−age)(SFA;注記:背丈とは対象の身長を指す)、および背丈別体重(WFS)、ならびに全対象の体重不足、衰弱(wasting)、および成長阻害の成長状態の指標を含む。
【0147】
実施例3
早発性LAL欠乏症患者の身体評価
全身麻酔に耐えるのに十分な臨床的に安定である患者に対して、長期血管アクセスのための中心静脈カテーテル留置が考慮されるべきである。他の手順で全身麻酔および/または鎮静を受ける患者において、ベースライン腹部磁気共鳴映像法(MRI)スキャンが考慮される。全身麻酔および/または鎮静を必要とする新しい手順の事象において、それが1回目の点滴後3ヶ月以降である場合、調査MRIが考慮される。身体計測(体重、身長、腹囲、中上腕囲、および頭囲)が測定される。一般的な身体検査が実施される。詳細な身体検査が行われる。検査は、対象の一般的な外見、皮膚、頭、眼、耳、鼻、および喉の評価、心臓、肺、腹部、脚/関節、および精神状態を含む。全ての身体検査は以下も含む。
肝臓の大きさ:肝臓の大きさ(触診/非触診および肋骨縁からのセンチメートル)、規則性(平滑/結節性)、および感応性(敏感/非敏感)の臨床評価が行われる。
脾臓の大きさ:脾臓の大きさ(触診/非触診および肋骨縁からのセンチメートル)、規則性(平滑/結節性)、および感応性(敏感/非敏感)の臨床評価が行われる。
リンパ節腫大:大きさ、位置、およびあらゆる触診可能なリンパ節の特徴の評価が行われる。検査される領域は、頭部(後頭部、耳介前、耳後部、頤下、顎下)、頚部、鎖骨、腋窩、および鼠径部を含む。いずれの拡大した節は、敏感または非敏感として特徴付けされる。
撮影:仰臥位での対象のデジタル画像(全長および腹部拡大)が撮影される。
【0148】
肝臓/脾臓超音波およびMRI
肝臓および脾臓の大きさを測定するために、腹部超音波検査が実施され得る。
腹部MRIは、肝臓および脾臓の容量の良好な定量化を提供することができ、ベースラインおよび1回目の点滴の少なくとも3ヶ月後の来院で考慮される。
【0149】
生命徴候
生命徴候は、脈拍数、呼吸数、収縮期および拡張期の血圧、ならびに深部体温(肛門および口腔)を含む。脈拍数および血圧の評価は、対象が仰臥位であった後に取られる。生命徴候は、全ての研究来院で測定される。投与日、生命徴候は、点滴前、点滴中および点滴後2時間の間15分(±10)毎、次いで、点滴が完了した後2〜4時間の間30分(±15)毎に記録される。
【0150】
実施例4
実験評価
以下の実験評価は、診断試験および有効性として実施される。
1)CBC/血圧学検査:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血小板数、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、細胞形態の検査のための末梢血塗沫標本
2)化学的パネル:グルコース、尿素窒素、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム(総量およびイオン化)、マグネシウム、無機リン、総タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ
3)肝機能試験:AST/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)、ALT/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGTP)、アルブミン、ビリルビン(直接、総量)
4)抗薬物抗体:抗SBC−102抗体
5)尿検査:
pH、グルコース、ケトン、血液、タンパク質、亜硝酸塩
6)凝集研究:白血球(顕微鏡検査は、血液、亜硝酸塩、および/または白血球が異常である場合行われ得る)
7)実験栄養評価:血清αトコフェロール:コレステロール比、25OHビタミンD、血清レチノール、ジデヒドロレチノール、トランスサイレチン、血清フェリチン
8)脂質パネル
:総コレステロール、トリグリセリド、HDL、LDL
9)遺伝子プロファイル
タンパク質コード配列ならびに遺伝子転写、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)、安定性および認識され得るタンパク質の有効性を制御する配列の両方を含むDNA配列は、以下を含む:
1.リソソーム酸リパーゼ(LIPA遺伝子)
2.LAL欠乏症の疾患表現型の一因となる、および/またはそれを修飾してもよい脂質生物学に関与する他のタンパク質をコードする遺伝子、例えば、ABCA1
3.いずれかのSBC−102に対する脆弱性を修飾してもよい遺伝子
10)薬物動態評価
医原性貧血のリスクを低減するために、PK試料採取は制限され得る。重要度によって、試料は、以下のパラメータを導き出すために収集される:1)Cmaxおよび2)CLの推定。0日目(用量1)および105日目(用量16)のSBC−102の血清レベルの測定のために試料採取が収集される。全ての対象において、試料は、前用量(投与の30分以内)、点滴開始90(±5)分後、および点滴開始110(±5)分後に収集される。BP評価のために点滴をしない腕の加圧帯を膨らませる前に、生命徴候の評価と同じ時点で、全てのPK試料が採取される。他の時間点でのPK試料は、加圧帯の収縮の少なくとも5分後に採取される。
【0151】
実施例5
用量調製および点滴
SBC−102は、透明な液体として単一用量の10mLのガラスバイアルで提供される。溶液(総量10.5mL、5%の過剰を含む)は、2mg・mL
−1の濃度である。全てのSBC−102バイアルは、2〜8℃の調節温度で保管された。バイアルは凍結され、保管中、光から保護される。0.9%の生理食塩水に希釈されたSBC−102を含有するシリンジは、点滴直前に調製された。SBC−102のシリンジが、前もって調製されたときは、希釈された溶液にはラベルが貼られ、調製の4時間以内に使用された。
【0152】
点滴の朝の投与前に記録され、最も近い0.1kgに四捨五入された患者の体重は、各点滴のSBC−102量を計算するために使用された。研究に使用された総点滴量は、表2に示される投与レジメンに基づく。
【0153】
【表2】
【0154】
用量調製および投与は、シリンジ、針、移送管、および二方コックを含むがこれらに限定されない、減菌の非発熱性の使い捨て材料を使用して実施されるべきである。
【0155】
流量制御デバイス上の点滴速度は、表3に示されるように、約120分にわたって総量を投与するように設定されるべきである。
【0156】
【表3】
【0157】
実施例6
有害事象(AE)
臨床的に顕著な心血管、呼吸器、または他の作用を伴うAEまたは点滴関連反応(IRR)が認められる患者においては点滴を中断するべきであり、2歳未満の小児における重度の点滴反応管理のための協会のガイドラインにより、対象はアナフィラキシー反応について治療されなければならない。これは、必要な場合、静脈内抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、およびエピネフリンを含んでもよい。関連する生物学的産物において、大半の遅延性IRRは、点滴後24時間超で生じる。症状は、関節痛、筋肉痛、インフルエンザ様症状、頭痛、疲労、および発疹または蕁麻疹を含む。臨床的に示されるように、遅延性反応は、鎮痛剤または抗ヒスタミン剤で治療され得る。IRRは、急性(点滴開始24時間以内に生じる)または遅延性(点滴の1〜6日後に生じる)のいずれかに分類される。過敏反応の治療のための薬物および機器は、予想外の重度の過敏反応の場合の即時使用のために利用可能でなければならない。これらの供給品は、酸素、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、非経口、およびPO)、コルチコステロイド、エピネフリン、および心肺機能救急蘇生デバイスを含むが、これらに限定されない。類似する生物学的産物において、最も急性のIRRは、点滴の24時間以内に生じる(Cerezyme(登録商標)、VPRIV(登録商標)、Fabrazyme(登録商標)処方情報)。急性IRRの可能性の兆しは、軽度から中程度のIRRに分類され得る:充血、紅潮、発熱および/または悪寒、吐気、そう痒、蕁麻疹、胃腸症状(嘔吐、下痢、腹部痙攣)。軽度の反応は、一時的な中止または点滴速度の減少後の自己限定性の自然回復反応として定義される。中程度の反応は、単純な措置で回復しない、観察の延長を必要とする、および療法を中断する反応として定義される。重度のIRRは、胸痛、呼吸困難、喘鳴、喘音、低血圧もしくは高血圧、呼吸停止、無呼吸、呼吸困難、徐脈、または頻拍を伴う。上記の兆しおよび症状のいずれか点滴中に観察され、対象が血行動態的に安定している場合、点滴速度を遅くすることができ(事象の開始時に行われた速度の半分、例えば10mL・時間
−1から5mL・時間
−1に減少させる)、点滴時間を延長する。事象が解決されたら、点滴スケジュールの元の速度の75%に速度を増加させる前に、点滴は、最低30分間減速で継続するべきである。対象が過敏症の兆しを示し続ける場合、2歳未満の小児の点滴反応管理のための協会ガイドラインにより、IMまたは低IV用量の抗ヒスタミン剤が投与され得る。
【0158】
実施例7
遅発性LAL欠乏症を有するヒト患者へのrhLALの投与
研究の主な目的は、遅発性LAL欠乏症による肝不全を有する患者におけるSBC−102の安全性および耐容性(生命徴候、身体検査、臨床実験試験、免疫原性試験、有害事象評価、併用療法)を評価することである。第2の目的は、単一用量および複数用量(点滴前および点滴後、0日目および21日目)後にIV点滴により送達されたSBC−102の薬物動態を特徴付けするためである。遅発性LAL欠乏症の対象の採択基準は、以下を含む:
1.患者がリスクおよび副作用を含む研究の完全な性質および目的を理解し、全ての研究手順に従う意思があり、かつそれに従うことができ、同意を提出する;
2.≧18歳から≦65歳の男性または女性;
3.アッセイを実施するラボの正常範囲に対して文書化されたLAL活性の低下、またはLAL欠乏症の診断を確認する分子遺伝子試験の文書化された結果、
4.臨床像(肝腫大)および/または実験試験結果(ALTまたはAST≧1.5xULN)に基づく肝臓関与の証明、
5.スタチンまたはエゼチミブを受けている場合、患者は、スクリーニング前の少なくとも4週間の間、安定した用量を受けていなければならない、
6.女性は全員、スクリーニング時、血清妊娠試験が陰性でなければならず、また授乳をすることができない、および
7.妊娠の可能性がある女性患者は、研究期間中、高度に有効で承認された避妊法(複数可)を使用することに同意し、最終用量後30日間使用を継続しなければならない。
【0159】
臨床評価は、身体検査、尿検査、臨床化学分析、CBC/血液検査、急性期反応物、凝集研究、12誘導ECG、抗SBC−102抗体、およびCmaxを導き出すためのPK、AUC
inf、T
1/2、Cl、およびV
SSを含む。
【0160】
患者は、毎週1回、2時間にわたり静脈内(IV)点滴を介して0.35mg・kg
−1、1mg・kg
−1、または3mg・kg
−1のLALを与えられる。最初の対象が投与され、コホートの他の対象への投与を進める前に少なくとも24時間、耐容性について監視される。各対象は、最初のSBC−102の点滴後、24時間入院する。対象は、SBC−102用量のさらなる3用量の毎週1回のIV点滴を継続するが、但し、耐容性および安全性が許容可能であることを条件とする。
【0161】
薬物動態
PKデータは、少なくとも1用量の研究薬物を受けた、研究に参加した全ての対象を使用して分析されるが、主なプロトコルの逸脱により影響を受けた可能性がある、あらゆるデータ点を除外する。PK分析は、1つのコンパートメント点滴モデルを使用して実施される。以下のPKパラメータが導き出され、コホートにより提示される(Cmax、AUC
inf、T
1/2、Cl、およびV
SS)。単一用量および複数用量のPKパラメータは、来院2回目および来院6回目のデータを使用して比較される。
【0162】
この研究の用量間での提案された増分は、3、4、5、または6倍であり得、これは、mg・kg
−1での6倍の用量範囲にわたって、ヒトにおける最初の安定性、耐容性、および薬物動態の評価を可能にしてもよい。関連のある前臨床ラットモデルにおいて、毎週1回1mg・kg
−1、2週に1回3mg・kg
−1、および毎週1回5mg・kg
−1の薬物動態作用が比較可能である。よって、毎週1回3mg・kg
−1より多い用量を必要とすることは予想されないが、疾患の重症度により、4、5、6、7、8、9、または10mg・kg
−1等の、3mg・kg
−1を超える用量が考慮され得る。
【0163】
研究設計
この状態の患者の希少性を考えると、この研究の標的数は、9人の評価可能な対象である。対象は、コホート当り対象3人の3つの遂次コホートに参加する。コホート1に割り当てられた対象は、最初に投与を開始し、続いて、コホート2に割り当てられたもの、次いでコホート3のものが続く。
【0164】
【表4-1】
【0165】
コホート1
3人の対象が0.35mg・kg
−1のSBC−102のIV点滴を受ける。最初の対象が投与され、コホートの他の2人の対象への投与を進める前に少なくとも24時間、耐容性について監視される。各対象は、最初のSBC−102の点滴後、24時間入院する。対象は、0.35mg・kg
−1の3回のさらなるIV点滴を継続するが、但し、耐容性および安全性が許容可能であることを条件とする。
【0166】
コホート2
3人の対象が1mg・kg
−1のSBC−102のIV点滴を受ける。コホート2の最初の対象が投与され、コホートの他の2人の対象への投与を進める前に少なくとも24時間、耐容性について監視される。各対象は、最初のSBC−102の点滴後、24時間入院する。対象は、1mg・kg
−1の3回のさらなるIV点滴を継続するが、但し、耐容性および安全性が許容可能であることを条件とする。
【0167】
コホート3
3人の対象が3mg・kg
−1のSBC−102のIV点滴を受ける。コホート3の最初の対象が投与され、コホートの他の対象への投与を進める前に少なくとも24時間、耐容性について監視される。各対象は、最初のSBC−102の点滴後、24時間入院する。対象は、3mg・kg
−1のさらなる3用量の毎週1回のIV点滴を継続するが、但し、耐容性および安全性が許容可能であることを条件とする。
【0168】
安全委員会(SC)は、耐容性の不良または安全上のリスクの可能性により、いずれかの時点で、コホート全て、または個々の対象への投与を一時停止してもよい。
【0169】
対象が、来院8回目(研究の終了)以外の来院予定で、または来院予定外で研究治療を中断する場合、対象は、来院8回目で行われる研究評価の終了のために、最後のSBC−102の用量後7日以降に再来院するべきである。
【0170】
SBC−102は、来院2、4、5、および6日目にIV点滴により投与される。併用療法は、研究中記録される。有害事象は、同意の署名時から記録される。
【0171】
各対象は、合計4用量のSBC−102を毎週受けるが、但し、耐容性および安全性が許容可能であることを条件とする。
【0172】
研究期間
研究は、安全性の評価、および後続の臨床試験のための投与スケジュールを支持するために、4週間のSBC−102での投与、および休薬期を伴う。この研究の完了後、対象は、LAL欠乏症/CESD表現型を有する患者のSBC−102の長期安全性および有効性を評価するための別個のプロトコルのもと、SBC−102を再開する対象であってもよい。
【0173】
身体検査
一般的な身体検査は医学資格保有者によって実施される。系(心血管、呼吸器、胃腸、および神経系を含むがこれらに限定されない)が特定され、記録される。検査が行われる各時点で、いかなる異常も記述されるべきである。新しい異常の診断は、適切な場合、有害事象として記録されるべきである。
【0174】
スクリーニング来院で実施される追加の身体検査評価:
a)肝臓の大きさ:肝臓の大きさ(触診/非触診および肋骨縁からのセンチメートル)、規則性(平滑/結節性)、および感応性(敏感/非敏感)の臨床評価が行われる。
b)リンパ節腫大:大きさ、位置、およびいずれの触診可能なリンパ節の特徴の評価が行われる。検査される領域は、頭部(後頭部、耳介前、耳後部、頤下、顎下)、頚部、鎖骨、腋窩、および鼠径部を含む。いずれの肥大した節は、敏感または非敏感として特徴付けされる。
c)動脈疾患:右側および左側の後脛骨筋および足背動脈の脈拍が臨床的に評価され、右側および左側の足関節上腕血圧比(ABI)が記録される。ABIは、右側または左側の腕の上腕収縮期圧(どちらか高い方)で割った足背動脈または後部脛骨動脈の収縮期圧の比として定義される。
【0175】
生命徴候
脈拍数、呼吸数、収縮期および拡張期の血圧、および体温を含む生命徴候が測定される。脈拍数および血圧の評価は、対象が少なくとも5分間半仰臥位であった後に取られた。投与日、生命徴候は、点滴前、点滴中および点滴後2時間の間15分(±5)毎、ならびに点滴が完了した後2〜4時間の間30分(±10)毎に記録される。点滴関連反応(IRR)の場合には、治験担当医師の判断でさらなる数値が取られてもよい。対象が少なくとも5分間、仰臥であった後、正式記録値を含む12誘導心電図(ECG)が取られる。
【0176】
実験評価
実験試験の試料は、評価スケジュールに示される時間点で収集される。以下の分析(ESR、凝集研究、および抗SBC−102抗体を除く)が実施される。
【0177】
CBC/血液学検査:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血小板数、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球
化学的パネル:グルコース、尿素窒素、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、無機リン、総タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、尿酸
肝機能試験:AST/SGOT、ALT/SGPT、アルカリホスファターゼ、GGTP、アルブミン、ビリルビン(直接、総量)
脂質パネル:総コレステロール、トリグリセリド、HDL、LDL
凝集研究:プロトロンビン時間(PT)国際標準率(INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
尿検査:グルコース、ケトン、血液、pH、タンパク質、亜硝酸塩、および白血球(顕微鏡検査は、血液、タンパク質、亜硝酸塩、および/または白血球が異常である場合にのみ行われる)
ウイルス性肝炎スクリーニング:HBsAgおよびHCV血清学検査(スクリーニング時、または試験中に臨床的に示される場合)
自己免疫肝炎スクリーニング:抗平滑筋抗体(ASMA)、抗核抗体(ANA)、抗LKM1抗体、抗SLA抗体
抗薬物抗体:抗SBC−102抗体
急性期反応物:高感受性C反応性タンパク質(CRP)、赤血球沈降速度(ESR)、および血清フェリチン
妊娠試験:女性は全員、最低でも月に1回妊娠試験を行う。これらは、来院1日目および来院8日目に血清、ならびに来院2日目および来院6日目に尿を使用して実施される。
薬物動態(PK)評価:PK試料は点滴カニューレとは反対の腕から採取される。0日目(用量1、来院2回目)および21日目(用量4、来院6日目)のSBC−102血清レベルを測定するための詳細な試料採取が収集される:前投与直前(投与の30分以内)、点滴
中10(±1)、15(±1)、20(±1)、40(±2)、60(±2)、および90(±2)分、ならびに点滴の
終わり(約120分)、ならびに点滴の完了5(±1)、10(±1)、20(±1)、30(±1)、40(±2)、60(±2)、および120(±2)分後。
【0178】
SBC−102の調製
来院1日目に記録された対象の体重は、各点滴のSBC−102量を計算するために使用される。IV点滴用のSBC−102医薬品は、以下のステップを使用して、希釈により調製される。
1.バイアルが冷蔵庫から取り出される。
2.バイアルの使用期限が過ぎていないことを確認する。
3.投与に必要な計算されたSBC−102の総量が決定される。
例:
対象の体重(kg):70kg
対象の用量レベル:3mg・kg
−1
薬物の濃度:2.0mg・mL
−1
【0179】
【表4-2】
【0180】
4.以下の0.9%の生理食塩水の点滴袋は、投与群の割り当てに基づき使用される。
【0181】
【表4-3】
【0182】
5.投与に必要なSBC−102の容量に等しい容量(上記ステップ3で計算される)は、100mLまたは250mLのいずれかの0.9%の生理食塩水の点滴袋から取り出される(即ち、上記の例を使用すると、105mLの生理食塩水が250mLの点滴袋から取り出される)。
【0183】
6.0.9%の生理食塩水に対する計算されたSBC−102の総量が作製され、移される(即ち、上記の例を使用すると、105mLのSBC−102溶液が作製され、点滴袋に移される)。
【0184】
7.袋を混合するために、ゆっくりした反転を使用する。
【0185】
rhLALの投与
1.IV点滴管類が希釈されたSBC−102の袋に取り付けられる。
2.管類を準備し、全ての空気を排出する。
3.約100分にわたり以下の速度で総量を投与するために、流動制御デバイス上の点滴速度を設定する。
【0186】
【表4-4】
【0187】
4.対象によって変動し、かつ前肘静脈または手首の静脈(または中心静脈カテーテル)を含んでもよいIV点滴部位が選択される。
5.IV管類が血管カテーテルに取り付けられる。開通性を評価し、生理食塩水が容易に流れるかを検証するために、生理食塩水がIV路に注入される。
6.IV路は、テープで固定される。
7.流動制御でデバイスを使用して、SBC−102点滴が開始される。
8.点滴は、定期的に監視される。
9.袋が空になったら、注入ポートを使用して、25mLの0.9%生理食塩水を直ぐに点滴袋に注入する。
10.点滴が完了するまで、ラインを同じ点滴速度で流す(0.35mg・kg
−1および1mg・kg
−1用量において、1時間当り60mL[1分当り1mL]、そして3mg・kg
−1用量において、1時間当り150mL[1分当り2.5mL])。点滴の終了は、点滴および流しが完了し、文書化されたときと定義される。
【0188】
点滴反応
点滴関連反応(IRR)は、少なくとも点滴におそらく関連する免疫学的に媒介される有害事象として定義される。IRRは、急性(点滴の開始の24時間以内に生じる)または遅延性(点滴後1〜14日の間に生じる)のいずれかとして分類される。
【0189】
過敏反応の治療のための薬物および機器は、予想外の重度の過敏反応の場合の即時使用のために利用可能でなければならない。これらは、酸素、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、非経口、およびPO)、コルチコステロイド、エピネフリン、および心肺機能救急蘇生デバイスを含むが、これらに限定されない。
【0190】
急性IRRの可能性の兆しは、充血、紅潮、発熱および/または悪寒、吐気、そう痒、蕁麻疹、胃腸症状(嘔吐、下痢、腹部痙攣)、胸痛、呼吸困難、喘鳴、喘音、低血圧もしくは高血圧を含む心肺反応であり得る。上記の兆しおよび症状のいずれか点滴中に観察され、対象が血行動態的に安定している場合、点滴速度を遅くするか、または停止しなければならない。対象が過敏症の兆しを示し続ける場合、IMまたは低IV用量の抗ヒスタミン剤を投与するべきである。臨床的に顕著な心血管または呼吸器作用を伴う重度の点滴反応が認められる患者においては、点滴を中断するべきである。そのようなアナフィラキシー反応において、対象は、静脈内抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、およびエピネフリンを用いて治療され得る。
【0191】
実施例8
ラットモデルにおける組み換えLALの投与
組み換えヒトLALの反復投与の体重、組織トリグリセリドおよびコレステロール、肝腫大、脾腫大、リンパ節腫大、腸管重量、および他のパラメータに対する作用が、Yoshida and Kuriyama(1990)Laboratory Animal Science,vol 40,p486−489に記載されるLAL欠乏ドンリュウラットにおいて評価され(Kuriyama et al(1990)Journal of Lipid Research,vol31,p1605−1611、Nakagawa et al,(1995)Journal of Lipid Research,vol 36,p2212−2218も参照)、その開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
LAL欠失(LAL−/−)にホモ接合性である4週齢のドンリュウラットは、遺伝子導入ニワトリの卵管系で産生された組み換えヒトLALまたは生理食塩水プラセボのいずれかを用いて投与される群に割り当てられた。野生型の同年齢の同腹仔のラットを対照として使用した。LAL−/−ラットは、単一用量として、または30分の間隔をあけて与えられる2等用量で、尾血管注入により、4週間の間、週に1回(合計4用量)または4週間の間、2週に1回(合計2用量)を投与された。組み換えLALの用量は、1mg/kgまたは5mg/kgであった。投与スケジュールを表5に示す。アナフィラキシー反応の可能性を相殺するために、ラットをジフェンヒドラミン(5mg/kg)を用いて前治療されたが、これは、リソソーム蓄積症の治療のための酵素置換療法の動物モデルにおける以前の経験に基づく手順であり(Shull et al.(1994)Proceedings of the National Academy of Science,vol91,p.12937、Bielicki et al.(1999)The Journal of Biological Chemistry,274,p.36335、Vogler et al.(1999)Pediatric Research,45,p.838.)、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0192】
図9は、1週当り1mg/kgの組み換えLAL、もしくは1週当り5mg/kgの組み換えLAL、または2週当り5mg/kgの組み換えLALのいずれかで投与されたラットの体重増加の毎日の進展を示す。2つの用量数と頻度との間の治療的作用には、ほとんど、または全く差がないことが図から分かる。
【0193】
【表5】
【0194】
実施例9
組み換えLALを用いて治療されたLAL−/−ラットの病理検査
実施例8に記載される研究の終了時、研究動物は、人道的に安楽死され、肉眼による病理像、組織病理像、および臨床化学を検査するために剖検された。肉眼による剖検は、身体の外表面、全ての開口部、ならびに頭部、胸部、および腹部空洞、ならびにそれらの内容物の検査を含んだ。内部臓器および組織の塊は、ラットに対して決定され、臓器および組織は、採取され、10%の中性−緩衝ホルマリンで固定された。固定後、組織を処理し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色切片の組織学的スライドを準備し、評価した。
【0195】
分析された治療された動物の肉眼による病理学的検査は、
図10に示される解剖に見られるように、肝臓の大きさおよび色の実質的な正常化を示した。臓器対体重比が決定され、プラセボ治療されたラットと比較して、解剖された良好に治療された動物の肝臓、脾臓、腸間膜組織、十二指腸、空腸、および回腸の相対的な臓器の大きさにおいて減少を示した。分析された組み換えLAL治療されたラットからの肝組織の組織病理像は、プラセボ治療された動物の泡沫状のマクロファージの実質的な蓄積とは好対照に、基本的に正常な肝臓組織像を示す(
図10)。
【0196】
実施例10
マクロファージおよび線維芽細胞リソソームにおける組み換えヒトLALの内在化
遺伝子導入鳥由来の組み換えヒトLAL(「SBC−102」)が細胞に結合する、およびリソソームコンパートメントに内在化される能力は、マクロファージおよび線維芽細胞の細胞を使用して、生体外で検証された。マクロファージ細胞と共にインキュベートされるとき、蛍光的に標識されたSBC−102は、リソソームに局在化することが分かった。この作用は、マンノース多糖競合物を使用する、N−アセチルグルコサミン/マンノース(GlcNAc/マンノース)受容体を認識の機構として関係付ける、およびこれらの細胞による取り込みにより弱毒化され得る。SBC−102は、生体外でインキュベートした後、LAL欠乏ヒト線維芽細胞および正常なマウス線維芽細胞の両方において、細胞関連LAL活性を増加させ、SBC−102への露出が欠乏した酵素活性の実質的な置換をもたらすことができることを示す。
【0197】
マンノース−6−リン酸塩(M6P)は、遍在するM6P受容体を介して、リソソーム酵素の広範な細胞の種類への送達に関与することが示されているSBC−102のオリゴ糖構造に存在する。
【0198】
組み換えLALは、遺伝子導入メンドリの卵白から精製された。Oregon Green NHSは、Invitrogen(登録商標)(#0−10241)から得た。ラット肺胞マクロファージ系のNR8383、およびマウス線維芽細胞系のNIH−3T3は、ATCCから得た。LAL欠乏ウォルマン線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Researchから得、LysoTracker(登録商標)Redは、Invitrogen(登録商標)から得た。
【0199】
酵素標識:PBS中の4mgの遺伝子導入鳥由来のLALを、製造者の推奨に従いOregon Greenで標識し、続いて反応をPBSに対して透析し、次いで濃縮した。
【0200】
マクロファージの取り込み:蛍光的に標識された遺伝子導入鳥由来のLAL(5μg/mL)およびLysoTracker(登録商標)Redを、2時間、NR8383細胞と共にインキュベートした。488nm、次いで514nmの定順位走査モードを使用して、共焦点蛍光顕微鏡法により細胞を検査した。
【0201】
マンナンを用いた拮抗阻害:蛍光的に標識されたSBC−102(5ug/mL)およびマンナンを、2時間、NR8383細胞と共にインキュベートした。細胞をトリプシン処理し、エンドポイントとして中央蛍光強度を使用して、蛍光活性化された細胞選別により組み換えLAL取り込みを測定した。
【0202】
遺伝子導入鳥由来LALが取り込まれ、続いて標的細胞のリソソームの中へ組み込まれる能力は、マクロファージ細胞系のNR8383を使用して検査された。蛍光的に標識された遺伝子導入鳥由来LALおよびリソソームマーカーの「LysoTracker(登録商標)Red」(Invitrogen登録商標)を、2時間、細胞と共にインキュベートした。遺伝子導入鳥由来LALおよびリソソームマーカーの、これらの細胞のリソソームへの共局在化は、続いて、定順位走査モードを使用して、共焦点蛍光顕微鏡法により検査された(
図11)。組み換えLALは、リソソームへの局在化を示し、これは、様々な供給源からの組み換えヒト(rhLAL)を使用した類似する生体外研究と一致する。
【0203】
遺伝子導入鳥由来LALのGlcNAc/マンノース受容体への結合特異性は、マクロファージ細胞系のNR8383を使用して、競合結合アッセイにより評価された(
図12)。5μg/mLの蛍光標識された(Oregon Green)遺伝子導入鳥由来LAL、および様々な濃度のマンノース含有オリゴ糖、マンナンを、2時間、細胞と共に同時にインキュベートした。エンドポイントとして中央蛍光強度を使用して、マンナンを含まない対照と比較した、マンナンにより取り込まれた遺伝子導入鳥由来LALの相対阻害が、蛍光活性化された細胞選別分析により定量化された。遺伝子導入鳥由来LAL結合/取り込みにおいて、マンノース用量依存阻害が観察され、これは、遺伝子導入鳥由来LAL:GlcNAcR相互作用と一致する。
【0204】
加えて、線維芽細胞の細胞におけるマンノース−6−リン酸塩媒介取り込みが、マンノース−6−リン酸塩との競合実験により示された。
【0205】
実施例11
治療された細胞におけるLAL活性の増加
LALは、コレステロール、グリセロール、および遊離脂肪酸を取り除くために、コレステロールエステルおよびトリグリセリドの加水分解を触媒する。よって、LAL活性は、例えば、蛍光基質であるオレイン酸4−メチルウンベリフェリル(4MUO)の切断により測定され得る。
【0206】
線維芽細胞
遺伝子導入鳥由来LALの曝露が細胞のLAL活性を増加させる能力が、生体外で正常細胞およびLAL欠乏細胞の両方を使用して検査された。線維芽細胞をウォルマン患者から単離し、0、0.16、または0.5マイクログラム/mLのいずれかの濃度の遺伝子導入鳥由来LALの存在下で、正常なマウス線維芽細胞(NIH−3T3)を5時間インキュベートした。次いで、非特異的シグナルを取り除くために細胞を洗浄し、オレイン酸4−メチルインベリフェリル(4−MUO)基質を使用して、LAL活性について細胞溶解物をアッセイした。
図13は、内因性細胞関連LAL活性が、NIH−3T3と比較して、ウォルマン線維芽細胞で低く、遺伝子導入鳥由来LALと共にインキュベートした後のLAL活性の用量依存増加が両方の細胞種において観察されたことを示す(
図13)。
【0207】
白血球
血清単核白血球は、投与前および投与後のLAL欠乏症患者から得た。血液試料は、酵素活性を損失することなく冷蔵庫で保管された。単核白血球(リンパ球)は、フィコールおよびジアトリゾ酸ナトリウムの調製物を使用して、血液から単離された。ハンクス平衡塩溶液で1:1に事前に希釈した4〜8mLの血液を、3mLのフィコール−パック上に静かに重ね、遠心分離した。単核細胞環を吸引し、ハンクス溶液で1回、次いで、1〜2mLの水にペレットを再懸濁することにより少なくとも2回洗浄した。使用前に−20℃でペレットを凍結させた。アッセイ前に、ペレットを解凍し、蒸留水に再懸濁し、氷上で超音波処理した。次いで、調製物を20,000×gで15分間、4℃で遠心分離した。アッセイ前に、上清(0.5〜1.5mgのタンパク質/mLを含有する)を氷上に維持した。
【0208】
酸リパーゼアッセイ用の基質は、ヘキサン中の1mlの10mM 4MUO(オレイン酸4−メチルウンベリフェリル)を、CHCI
3中の1mLの16mM L−α−ホスファチジルコリンに添加することにより調製された。N
2下で溶媒を蒸発させ、水中の25mlの2.4mMタウロデオキシコール酸(ナトリウム塩)を添加した。混合物を30〜40Wで1〜2分間、氷上で超音波処理した。アッセイ前に、1容量の基質ストックを7容量の200mM酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH4.0)で希釈した。各2mLの反応キュベットは、100nmolのオレイン酸4−メチルウンベリフェリル、160nmolのL−α−ホスファチジルコリン、および600nmolのタウロデオキシコール酸ナトリウムを含有した。
【0209】
5〜100μLの酵素を添加することによって反応を開始させ、分光蛍光光度計を使用して37℃で監視した。4MUOの切断は、例えば、放出されたフルオロフォアである4−メチルウンベリフェロン(4MU)の約360nmでの励起、および約460nmでの発光により検出された。経時的な蛍光の変化が記録された。
【0210】
実施例12
組み換えヒトLAL(SBC−102)の生体内分析
LAL欠乏ヨシダラット(即ち、ホモ接合)(Kuriyama et al.(1990),Journal of Lipid Research,vol.31,p1605−1611、Nakagawa et al.,(1995)Journal of Lipid Research,vol.36,p2212−2218、およびYoshida and Kuriyama(1990)Laboratory Animal Science,vol.40,p486−489を参照)は、4週齢から4週間の間、1回/週でSBC−102(5mg/kg、IV)またはプラセボのいずれかで治療された。各投与において、SBC−102は、30分の間隔をあけて2等用量(2.5mg/kg)でラットの尾血管に注入された。ラットおよび同年齢野生型対照は、最終用量の1週間後に検査された。分析は三つ組で行われた。
【0211】
SBC−102治療された動物の肉眼による病理検査は、臓器の大きさの減少に加え、肝臓の色の正常化を示した。SBC−102治療されたラットは、ビヒクル治療された動物の泡沫状のマクロファージの実質的な蓄積とは好対照に、基本的に正常な肝臓組織像を示した。LAL
−/−ラットでは上昇した血清アラニンおよびアスパラギントランスフェラーゼのレベルも、SBC−102治療されたラットでは低下した。
【0212】
内部臓器および組織の塊は、各ラットに対して決定され、そのデータを
図14に示す。臓器の大きさは、4週間、5mg/kgのビヒクルまたはSBC−102を毎週投与された後のLAL
−/−ラットおよびLAL
+/+ラットにおける、8週齢で決定された体重率として表される。
【0213】
SBC−102またはビヒクル治療されたヨシダラットの体重は、
図15に示されるように、野生型ラットと比較された。SBC−102(5mg/kg)またはビヒクルは、単一用量として、または分割用量(4時間以内の間に与えられる)としてのいずれかで、IV注入によりLAL
−/−ラットに投与された。LAL
+/+ラットは、同年齢の同腹仔対照であった。
【0214】
実施例13
トリグリセリド分析
トリグリセリド分析は、野生型のホモ接合プラセボおよびホモ接合SBC−102治療された動物からの肝臓および脾臓組織に対して実施された。トリグリセリド分析は、標準的な方法論(即ち、MBL Internationalのトリグリセリド定量化キット、カタログ#JM−K622−100)を使用して実施され、三つ組で行われた。
【0215】
【表6】
【0216】
肝臓基質レベル
図16は、4週間、5mg・kg
−1のビヒクルまたはSBC−102を毎週投与された後のWTおよびLAL欠乏ラットにおける、8週齢で決定された肝臓コレステロール、コレステリルエステル、およびトリグリセリドのレベルを示す。
【0217】
実施例14
ラット用量反応研究
上記で実施された研究に基づき、LAL
−/−ラットにおいて、用量の範囲および投与スケジュール(qwおよびqow)の薬物動態(PD)作用を検査した。これらの研究において、4週齢から1ヶ月間、SBC−102が、0.2、1、3、および5mg/kg(qow)、または0.35、1.0、および5.0mg/kg(qw)の投与量で、IV注入により投与された。結果は、体重(BW)増加(
図17)、臓器巨大症(
図18)、および組織基質レベル(
図19)の改善を示す。SBC−102の用量が増加すると、血清トランスアミナーゼレベルも低下し、より高い用量で、レベルは、実質的に野生型レベルに達した。
【0218】
実施例15
SBC−102の薬物動態
a.試料採取
PK試料は、遅発性LAL欠乏症に罹患する成人患者から得た。患者は、2時間、0.35mg/kgを投与された。0日目(用量1、来院2回目)および21日目(用量4、来院6日目)の血清試料が、用量直前(投与の30分以内)、点滴中(DI)10(±1)、15(±1)、20(±1)、40(±2)、60(±2)、および90(±2)分、ならびに点滴の終わり(EOI)(点滴の開始から約120分)、ならびに点滴の完了(AI)5(±1)、10(±1)、20(±1)、30(±1)、40(±2)、60(±2)、および120(±2)分後に収集される。
【0219】
b.血清酵素アッセイ
−20℃の冷凍庫に保持された4−MUO(4mM)を、使用前に、暗所で、4℃の冷蔵庫で解凍し、暗所で1.5時間、25℃のインキュベータに設置した。SBC−102医薬品を1.56ng/mLに希釈することにより標準物を調製した。ブランクアッセイ緩衝液を含んだ。第1希釈用に、全ての試料を50ng/mLに希釈した。希釈物を作製した直後に標準物および試料を平板培養した。標準物および試料を調製した後、62.5uLのアッセイ緩衝液(0.2mol/L酢酸ナトリウム三水和物、pH5.5)を各ウェルに添加した。二つ組で、12.5uLの標準物および試料を各ウェルに添加した。4%のトリトンX−100を用いて4−MUO(4mM)を1.6×に希釈し、ウェル当り25uLを添加した。多穴プレートを軽く数回たたいて混合し、きつく密封し、30分間、37℃のインキュベータに設置した。インキュベート後、50uLの停止溶液(0.77Mトリス、pH8.0)を各ウェルに添加し、150uL/ウェルの最終容量を作製した。プレートをマイクロプレートリーダーに設置し、360nmの励起および460nmの発光で、プレートの底部から蛍光のレベルを測定した。
【0220】
表7〜11に示されるように、遅発性LAL欠乏症に罹患する成人患者に投与された組み換えLALの血清C
maxは、約270ng/mL〜720ng/mLの範囲であった。半減期(t
1/2)は、7.6分〜16.7分の範囲であり、平均t
1/2は、約13分(標準偏差3.812)であった。
【0221】
【表7】
【0222】
【表8】
【0223】
【表9】
【0224】
【表10】
【0225】
【表11】
【0226】
実施例16
免疫原性分析:抗SBC−102の測定
各不明の陽性および陰性試料を、1×PBS中の5%の粉ミルクに1:20に希釈し、回転器(500rpm)上で12〜18時間、4℃でインキュベートした。アッセイ前に、試料を2000×gで20分間遠心分離し、上清を新しい1.5ml管に移した。
【0227】
SBC−102を、1XPBS緩衝液中で0.5ug/mLの濃度に希釈し、100uLを96ウェルELISAプレートの各ウェルに設置した。プレートを接着カバーで覆い、室温で8時間または一晩、4℃でインキュベートした。インキュベート後、ウェルを1×洗浄緩衝液で3回洗浄した。200uLの5%BSA−無IgGを各ウェルに添加し、プレートを密封し、4℃で12〜18時間または室温で2時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを1×洗浄緩衝液で3回洗浄した。100uLの各対照試料、不明試料、および陰性試料を三つ組でウェルに添加した。プレートをマイクロプレート振とう器(500rpm)上で室温で1.5時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを1×洗浄緩衝液で3回洗浄した。希釈緩衝液で100ng/mLの濃度に希釈された100uLのビオチン化したSBC−102を各ウェルに添加し、プレートをマイクロプレート振とう器(500rpm)上で、室温で1.5時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを1×洗浄緩衝液で洗浄した。希釈緩衝液で1:4000に希釈された100uLのストレプトアビジン−HRP抱合体を各ウェルに添加した。プレートをマイクロプレート振とう器(500rpm)上で、室温で1.5時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。100uLのTMB基質を各ウェルに添加し、プレートを暗所で15分間インキュベートした。50uLの停止溶液(0.5N H
2SO
4)を各ウェルに添加し、反応を停止させた。450nmでのODを測定した。
【0228】
表12に一覧にされるように、4週間、0.35mg/kgの用量のSBC−102を毎週受けた患者は、抗SBC−102抗体のレベルの上昇を示さず、SBC−102点滴による酵素置換療法がヒト患者においていずれの顕著な免疫原性を引き起こさないことを示唆する。これらの患者は、いずれの有害事象または点滴関連反応(IRR)を示さなかった。
【0229】
【表12】
【0230】
実施例17
組み換えLALの投与によるウォルマン病(WD)の治療
生後以来体重増加困難および発育不良のため、7週齢の女子の患者が入院した。最初の身体検査で、患者の体重は、3.6kg(出生時体重3.7kg)であり、痩せており、皮下脂肪は緩い。腹部は膨満し、6cmの堅い肝腫大および4cmの脾腫大を伴う。肥大したリンパ節が鼠径部で認められ、筋活動は弱い。
【0231】
最初のヘモグロビンレベルは9.2gm、血小板は506,000、白血球は11,550である。尿検査は正常であり、骨髄塗抹標本から、空胞のあるリンパ球および多数の泡沫状細胞が明らかである。血清化学測定値:総脂質834mg/100ml、リン脂質176mg/100ml、トリグリセリド141mg/100ml、コレステロール129mg/100ml、ビリルビン0.3mg/100ml、アルカリホスファターゼ9.0BU%、SGOT90単位、SGPT50単位、コリンエステラーゼ20単位、尿素窒素8.3mg、空腹時の糖45mg/100ml。腹部のCTスキャンは、カルシウム沈着を伴う肝脾腫大および両側性の対照的に肥大した副腎を示す。
【0232】
患者は、投与のための静脈血管アクセスポートを外科的に移植される。ポートを携帯型点滴機に接続した後、アナフィラキシー点滴反応の可能性を相殺するために、患者は、組み換えLAL点滴の前に20分間、1mg/kgのジフェンヒドラミンで前治療される。次いで、患者は、静脈内点滴により5時間にわたり1mg/kgの組み換えLALを投与される。この療法は、無期限で、7日毎に1回繰り返される。
【0233】
最初の用量の組み換えLALを投与してから2週間以内に、患者は、超音波により決定される、体重増加および主要な腹部臓器の大きさについて評価される。患者のリソソーム酸リパーゼ活性を試験する実験結果も実施される。
【0234】
実施例18
組み換えLALの投与によるコレステリルエステル蓄積症(CESD)の治療
そう痒性腹部皮疹を伴う3歳の男子が、彼の小児科医によって検査される。腹部検査時、肝腫大が医師によって認められ、超音波によって確認される。この時点では、診断は行われず、患者は定期的に監視される。
【0235】
8歳で、彼は胃腸炎で病院に入院する。肝臓生検の光学顕微鏡法は、肝細胞に細胞質内グリコーゲンおよび小さい脂質滴の増加を示す。電子顕微鏡法は、小さい高電子密度顆粒を伴う膜結合脂質滴を示す。グリコーゲン蓄積症III型(脱分枝酵素欠損症)の仮診断がなされたが、皮膚線維芽細胞脱分枝活性は正常である。
【0236】
10歳で、肝腫大が持続し、2回目の肝臓生検が行われる。光学顕微鏡法は、軽度の門脈周囲線維症を伴う、細胞質顆粒および空胞を含有する膨満した肝細胞を伴った肝臓軟組織の小葉構造の変化を示す。線維芽細胞酸リパーゼ活性は、正常の7%であることが判明し、CESDの診断を確認する。総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の血漿濃度は、それぞれ、7.51、3.24、および5.58mmol/Lで、年齢および性別の第95パーセンタイルよりそれぞれ上であるが、一方で、血漿高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)は、0.47mmol/Lで、第5パーセンタイルより下であり、彼は、複合型高脂血症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポタンパク血症、および高βリポタンパク血症)である。
【0237】
患者は、投与のための静脈血管アクセスポートを外科的に移植される。ポートを携帯型点滴機に接続した後、アナフィラキシー点滴反応の可能性を相殺するために、患者は、組み換えLAL点滴の前に20分間、5mg/kgのジフェンヒドラミンで前治療される。次いで、患者は、静脈内点滴により5時間にわたり5mg/kgの組み換えLALを投与される。この療法は、無期限で、14日毎に1回繰り返される。
【0238】
最初の用量の組み換えLALを投与してから2週間以内に、患者は体重増加および主要な腹部臓器の大きさについて、超音波検査によって決定されたとおりに評価される。患者のリソソーム酸リパーゼ活性を試験する実験結果も実施される。
【0239】
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上記明細書の各実施例は、本発明の説明のために提供され、本発明を制限するものではない。実際、様々な修正、組み合せ、追加、除去、および変形が本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく本発明になされてもよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特色は、またさらなる実施形態を得るために、別の実施形態に使用されてもよい。本発明は、そのような修正、組み合わせ、追加、除去、および変形を網羅することが意図される。
【0240】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、および受入番号/データベース配列(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の両方を含む)は、各個別の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、および受入番号/データベース配列が参照によりそのように組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。