特許第5693735号(P5693735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693735
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】空気ダクト内の空気を殺菌する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20150312BHJP
   F24F 3/16 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A61L9/14
   F24F3/16
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-530582(P2013-530582)
(86)(22)【出願日】2010年9月27日
(65)【公表番号】特表2013-540008(P2013-540008A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2010064255
(87)【国際公開番号】WO2012041362
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】513075294
【氏名又は名称】スザンネ、コッヘル‐クンツ
【氏名又は名称原語表記】SUSANNE KOCHER−KUNZ
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】スザンネ、コッヘル‐クンツ
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−510040(JP,A)
【文献】 特開2006−109924(JP,A)
【文献】 特開2009−127912(JP,A)
【文献】 特開平11−089509(JP,A)
【文献】 特開2000−257933(JP,A)
【文献】 特開2003−047938(JP,A)
【文献】 特開2003−147694(JP,A)
【文献】 特開平03−085180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/14
F24F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非毒性の殺菌剤を用いた特に空気調節システムの空気供給ダクト(1)内の空気流(2)の空気を殺菌する方法において、
前記殺菌剤を霧化して粒子にする工程と、
前記空気流(2)の方向にほぼ対応する注入方向(31)に、注入装置(3)の少なくとも1つの注入ノズル(30)によって前記粒子を注入する工程と、
前記空気流(2)内に前記殺菌剤の前記粒子を分散させる工程と、
その後、内壁(100)に前記粒子を均一に吸着させる工程と、を備え、
前記粒子の吸着は、前記空気供給ダクト(1)の全長にわたって実現され得て、
前記注入された殺菌剤は、保持態様で作用する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
殺菌剤を用いた特に空気調節システムであって、空気がダクト内でイオン化され、空気内の少なくとも前記殺菌剤の粒子が電気的に帯電されるとともに前記ダクトの壁が接地電位に維持され、これにより帯電された粒子が前記ダクト壁により一層迅速に堆積される空気調節システムの前記空気供給ダクト(1)内の空気流(2)の空気を殺菌する方法において、
前記殺菌剤を霧化して粒子にする工程と、
前記空気流(2)の方向にほぼ対応する注入方向(31)に、注入装置(3)の少なくとも1つの注入ノズル(30)によって前記粒子を注入する工程と、
前記空気流(2)内に前記殺菌剤の前記粒子を分散させる工程と、
その後、内壁(100)に前記粒子を均一に堆積させる工程と、を備え、
前記粒子の堆積は、前記空気供給ダクト(1)の全長にわたって実現され
前記注入された殺菌剤は、保持態様で作用することを特徴とする方法。
【請求項3】
前記注入は、狭窄部分(12)の下流の流れが加速する領域で行われ、
流れの加速の下流の圧力(p1)は、前記狭窄部分(12)の領域における圧力(p2)より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れの加速は、前記空気供給ダクト(1)内に前記注入装置(3)が配置されることによって実現されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記流れの加速は、前記空気供給ダクト(1)の曲げ部によって実現され、
前記注入装置(3)は、前記曲げ部の出口領域における半径が小さい側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記流れの加速は、前記空気供給ダクト(1)内に配置された、前記狭窄部分(12)を通る方向に向けて前記空気流(2)を強制するシケイン(5)によって実現されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
特に乳酸の一部とビタミンCとクエン酸の一部とを含む殺生物生製品が、前記殺菌剤として使用されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の方法に従って空気を殺菌する装置において、
前記注入装置(3)に、少なくとも1つの注入ノズル(30)が設けられ、
前記注入ノズル(30)に、リザーバ(11)からパイプライン(9)およびポンプ(10)を介して殺菌剤が供給され得て、
前記殺菌剤の霧化されて注入される量は、電線(7)を介して制御装置(8)によって可変自在に制御され得ることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非毒性の殺菌剤を用いた特に空気調節システムの空気供給ダクト内の空気流の空気を殺菌する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も近い先行技術文献は、欧州特許第0615603号明細書である。ここには、空気調整システムの空気供給ダクト内の空気を殺菌する方法および装置が開示されている。非毒性の殺菌剤は、注入装置によって、空気供給ダクト内に、空気流とは反対方向に注入される。
【0003】
使用される非毒性の殺菌剤は、菌、藻、バクテリアおよび類似の有機体を死滅させ、空気流自体に効果的であるだけでなく、空気供給ダクトの内壁に堆積(niederschlag)した場合には、内壁に堆積した細菌に長い時間作用する。これにより、空気流内を流れる細菌はもはやなくなる。
【0004】
開示された方法では、注入装置の領域において空気が殺菌される。殺菌剤の粒子は、空気供給ダクト内に、空気流の方向において注入され、また、粒子は、イオン化手段によってイオン化される。空気流とは反対方向の注入により、結果として注入ノズルの周囲に形成される雲の形態となり、粒子の一部は、注入装置の近辺に隣接する空気供給ダクトの内壁に向かって移動して、そこに堆積され、好適には積み重ねられる。
【0005】
注入された粒子は、イオン化手段による粒子を付加的にイオン化することによって電気的に帯電され、空気供給ダクトが接地されていることから、空気供給ダクトの内壁の方向に迅速に導かれる。このため、イオン化された粒子は、放出された後短時間で、注入ノズルの領域における空気供給ダクトの内壁に堆積され、これにより、空気供給ダクトの周囲を移動しなくなる。空気の殺菌は、注入部のそばに局所的に制限され、注入装置の領域で行われる。このことに関連して、注入装置の近辺において、粒子が不所望に堆積する。空気供給ダクト内の粒子の範囲が制限されていることから、局地的に殺菌された空気は、注入装置の近辺で行われた殺菌の後に、空気供給ダクト内を循環し、更なる殺菌が行われなくなる。
【0006】
これにより得られる結果は、初期的で新しいシステムにおける満足しかなかった。ある時間を経過した後、不所望の堆積が、注入装置から異なる距離で空気供給ダクト内に形成され、細菌の塊が生じ得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、空気供給ダクト内の空気を殺菌する方法および装置であって、殺菌剤の粒子が、空気供給ダクトの実質的に全長にわたって空気供給ダクトの内壁に可能な限りに均一に分散することを可能にする方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
この目的と、注入ノズルの領域の内壁に局所的に蓄積された不所望の堆積を付加的に回避することとが、本発明による装置および本発明による方法によって実現される。注入により、空気の殺菌とダクトの内壁への堆積との関連がもたらされる。
【0009】
好ましい形態においては、殺菌剤は、保持作用(retensives Verhalten)を有している。これにより、ダクト全体に分散させて、内壁の全てを消毒することができる。テストを行った結果、空気は、殺菌剤の粒子よりもダクト内で何倍(約5−6倍)も速く移動することがわかった。粒子は、その慣性によって、ダクトの内壁に堆積され、空気流に再び引き込まれて他の地点で再び堆積される。この過程は繰り返され、ダクトの内壁を十分に完全に湿らせて消毒することが可能となる。
【0010】
空気分子のイオン化および静電荷の帯電の結果として、全ての微生物に影響が及ぼされる。しかしながら、オゾンは殺菌剤またはその構成を破壊するため、オゾンの形成は避けなければならない。
【0011】
添付した図面と関連させながら、以下に本発明の好適な実施の形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、空気供給ダクトを示す概略図である。
図2図2は、曲げられた空気供給ダクトを示す部分概略図である。
図3図3は、空気流を制御するシケインを有する直線状の空気供給ダクトを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、空気供給ダクト1の一部を示している。ここでは、空気流2は、矢印2で示されている。空気供給ダクト1には、流量センサ4と注入装置3とが、流れ方向2にこの順に設けられている。注入装置3は、殺菌剤を霧化して注入するための少なくとも1つの注入ノズル30を有している。空気供給ダクト1における更に下流側には、ここには示されていない他の注入装置3が設けられていてもよい。ここに述べる方法および装置は、特に空気調整システムに使用され得る。
【0014】
これらの要素は、電線7によって制御装置8に接続されている。少なくとも1つの注入ノズル30を有する注入装置3は、パイプライン9に連結されてポンプ10に通じている。ポンプ10は、リザーバ11から少なくとも1つの注入ノズル30に、水に溶解された殺菌剤を送り込む。空気流2が所定のしきい値より低下した場合、流量センサ4はポンプ10のスイッチを切ることができる。更に、ポンプの動作は、空気流量に適合され得る。
【0015】
少なくとも1つの注入ノズル30によって生成された殺菌剤のミストは、約50μmの大きさの粒子からなっている。これらの粒子は、空気流2の方向において注入方向31に注入される。空気供給ダクト1内の空気流2の方向におけるこのような注入により、粒子は、内壁100に堆積される前に、空気供給ダクト1内を遠くまで、最良の場合には、空気供給ダクト1内の全域に運ばれ得る。これにより、より長い時間殺菌剤の効果を有する。
【0016】
流速は小さいが圧力が高い場所において、流れの加速の下流領域で注入を行うことは好適である。
【0017】
図1には、空気流2の一部が覆われるように、注入装置3が配置されている。この結果として、狭窄部分12において流速が高まる。ベンチュリ管で知られているように、空気供給ダクト1の狭窄部分12と最大断面積13を有する領域との間には圧力差が生じる。
【0018】
狭窄部分12の領域においては、殺菌剤は注入ノズル30を介して霧化されるように注入される。この結果、流速が高いことにより、粒子は、空気流2に長い距離にわたって運ばれる。流速が高いことにより、空気供給ダクト1の内壁100に粒子がすぐに吸着されることが防止される。
【0019】
図2に示す空気供給ダクト1の曲げ部は、流れを加速させ、曲げの出口領域において曲げ部の半径が小さい側で圧力p1が高められる。狭窄部分12においては、半径が大きい側の圧力p2は、圧力p1より低くなり、この地点では、空気流2の対応する流速が高くなる。流速が高いことにより、殺菌剤の霧化された粒子が引き込まれ、その結果、殺菌剤の望ましい分散が、注入装置3から遠く離れた領域においても実現され得る。狭窄部分12の領域における注入装置3のこのような配置により、粒子が内壁100に吸着される前に空気供給ダクト1内で実質的に均一に確実に分散される。
【0020】
他の形態においては、空気供給ダクト1の全長にわたって、殺菌剤が堆積され得る。ここでは、空気供給ダクト1の断面領域内に配置されるシケイン(Schikane)5が使用される。これは、図3に概略的に示されている。シケイン5は、空気供給ダクト1内に狭窄部分12を形成し、狭窄部分12を通る方向に向けて空気流2を強制する。これにより、この場合においてもp1とp2とに圧力差が生じる。少なくとも1つの注入ノズル30を介してシケイン5の下流で注入が行われ、その結果として、霧化された殺菌剤が空気供給ダクト1の広い領域において堆積される。シケイン5は、本実施の形態において省略され得る。
【0021】
空気を湿らせる場合、空気供給ダクト1内の適切な地点において水を蒸発させればよい。その量は、湿度センサを用いて制御装置8によって制御される。菌類または藻等が発生することを防止するために、水に殺菌剤が添加されることが好適である。
【0022】
空気流は最終的には空気供給ダクト1から作業スペースまたはリビングスペースに達するため、殺菌剤は、最も厳しい健康管理基準に適合されるべきである。水銀、フェノール若しくは類似物質、またはアルコールを決して含むべきではない。
【0023】
出願人の商品名「OLLOSTAT」として利用可能な、乳酸、ビタミンCおよびクエン酸を含む殺生物性製品は、例えば、本発明による方法および装置に使用するための好適な殺菌剤として使用される。この殺菌剤は、スイス連邦公衆衛生局(schweizerischen Bundesamt fur Gesundheit)によって殺菌剤としての使用で承認されている。
【符号の説明】
【0024】
1 空気供給ダクト
100 内壁
2 空気流(矢印)
3 注入装置
30 注入ノズル
31 注入方向(矢印)
4 流量センサ
5 シケイン
7 電線
8 制御装置
9 パイプライン
10 ポンプ
11 リザーバ
12 狭窄部分
13 最大断面積
図1
図2
図3