特許第5693741号(P5693741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693741通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失、特にジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出するための方法、ユーザ機器及び該ユーザ機器へのインタフェースを備えている評価ユニット
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  • 特許5693741-通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失、特にジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出するための方法、ユーザ機器及び該ユーザ機器へのインタフェースを備えている評価ユニット 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693741
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失、特にジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出するための方法、ユーザ機器及び該ユーザ機器へのインタフェースを備えている評価ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20150312BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20150312BHJP
   H04B 17/00 20150101ALI20150312BHJP
【FI】
   H04W24/08
   H04W16/18 110
   H04B17/00 D
【請求項の数】30
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-539247(P2013-539247)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-504060(P2014-504060A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011070283
(87)【国際公開番号】WO2012066053
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2013年11月18日
(31)【優先権主張番号】10191430.7
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509073693
【氏名又は名称】ジェムアルト エム・ツー・エム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gemalto M2M GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブロイアー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント レール
【審査官】 重田 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−172953(JP,A)
【文献】 特開2009−278536(JP,A)
【文献】 特開2010−041679(JP,A)
【文献】 特表2000−508496(JP,A)
【文献】 Requirement for support of radio resource management,ETSI TS125.133,3GPP,2009年 3月,V7.14.0,p16-18,83,84,URL,http://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/125100_125199/125133/07.14.00_60/ts_125133v071400p.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失を検出する方法において、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出する方法であって、
前記通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)は、周波数分割多重(FDD)モード又は時分割多重(TDD)モードにおける、前記通信ユーザ機器(UE)とサービングベースノードステーション(sBNS)との間の複数の通信信号ユニット(SU)を含んでいる信号の送信に適している、セルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA)を基礎としている無線ネットワーク(RN)の構成要素であり、
通信信号ユニット(SU)は、前記サービングベースノードステーション(sBNS)のサービングセルカバレッジエリア(CA)において擬似雑音拡散コード(SC)と相関が取られており、また、擬似雑音チップ(CHI)として、スペクトル的に通信周波数帯域(FB I−XIX)の上限周波数と下限周波数との間に位置する多重共有通信周波数チャネルにおいて送信される、サービスアベイラビリティの損失を検出する方法において、
通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける受信電力にとって有意なチャネルバイアスパラメータと、前記通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)とを含んでいる電力パラメータ(S)のセットを、先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において測定するステップと、
(a)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては前記バイアスパラメータを検出できない、又は前記バイアスパラメータが弱く検出されるという条件、及び、
(b)前記後行の第2時間(t2)における非バイアスパラメータは前記先行の第1時間(t1)と比較して増分又は減分しているという条件を検査するステップと
を備えており、
前記後行の第2時間(t2)における前記非バイアスパラメータが前記先行の第1時間(t1)に比べて増分している場合には、ジャミング放射源が通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることをアプリケーションに指示する、及び/又は、
前記後行の第2時間(t2)における前記非バイアスパラメータが前記先行の第1時間(t1)に比べて減分している場合には、非稼働状況が通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることをアプリケーションに指示する、
サービスアベイラビリティの損失を検出する方法。
【請求項2】
前記条件を検査するステップは、
(a)バイアス比率パラメータ及びバイアス絶対パラメータを前記後行の第2時間(t2)においては検出できないことを検査するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける受信電力にとって有意な前記チャネルバイアスパラメータを、サービングダウンリンクチャネルにおいて測定する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記通信ユーザ機器(UE)は、サービングダウンリンクチャネルにおいて、前記サービングベースノードステーション(BNS)から、前記擬似雑音拡散コード(SC)をサービング擬似雑音拡散コード(sSC)として受信し、及び/又は、
前記通信ユーザ機器(UE)は、サービングダウンリンクチャネルにおいて、前記サービングベースノードステーション(BNS)から、ユーザデータ及び/又は制御データを受信する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サービングダウンリンクチャネルは、共通パイロットチャネル(CPICH)及び/又は専用物理チャネル(DPCH)である、
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記チャネルバイアスパラメータは、通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける総電力に相対的なチップ(CHI)当りの電力にとって有意なEc/Ioパラメータである比率パラメータである、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チャネルバイアスパラメータは、通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける擬似雑音拡散コード(SC)及び/又はユーザデータ及び/又は制御データにとって有意なRSCPパラメータである絶対パラメータである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記条件を検査するステップは、
(b)前記後行の第2時間(t2)における非バイアスパラメータは前記先行の第1時間(t1)と比較して増分又は減分していることを検査するステップを含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記条件を検査するステップは、
(c)非バイアスパラメータの増分した値は、閾値(X)よりも大きく基本ノイズフロア(NF)を超えていることを検査するステップを含み、
前記閾値(X)は受信可能な擬似雑音拡散コードの確認には十分な調整可能な大きさであり、基本的には拡散コード利得値に達するか、又は該拡散コード利得値を上回る、
求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記拡散コード利得値は24dBである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源を検出するために、先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において、通信リンクにおける電力パラメータのセットを測定するステップを備えており、
前記電力パラメータは、
(i)通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける総受信電力スペクトル密度によって除算された、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における擬似雑音チップ(CHI)当りの受信エネルギによって形成されたEc/Io比率(CPICH_Ec/Io,DPCH_Ec/Io)、及び/又は、
(ii)通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける、前記擬似雑音拡散コード(SC)に関する、前記サービングダウンリンクチャネルにおける受信信号コード電力(CPICH RSCP,DPCH RSCP)と、
(iii)付加的に、通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)と
を含む、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記条件を検査するステップは、
(a)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、総受信電力スペクトル密度によって除算された、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における擬似雑音チップ(CHI)当りの受信エネルギのEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)を検出できないか、又は該受信エネルギのEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)が弱く検出されるということ、及び/又は、
前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記擬似雑音拡散コード(SC)に関する、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における受信信号コード電力(CPICH RSCP,DPCH RSCP)を検出できないか、又は該受信信号コード電力(CPICH RSCP,DPCH RSCP)は弱く検出されるということ、及び、
(b)前記先行の第1時間(t1)と比較して前記後行の第2時間(t2)における非バイアス受信広帯域電力(RTWP)は、増分又は減分しているということ、
(c)前記非バイアス受信広帯域電力(RTWP)の増分した値は、閾値(X)よりも大きく基本ノイズフロア(NF)を超えていることを検査するステップを含む、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)の前記セットはベースノードステーションのアクティブセットであり、
該アクティブセットは、少なくとも、該アクティブセットにおける最大Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び/又は最大受信信号コード電力(CPICH RSCP)を有するサービングベースノードステーション(sBNS)及び/又はベースノードステーション(BNS)を含んでいる、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記条件を検査するステップは更に、
(a)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、最大Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び/又は最大受信信号コード電力(CPICH RSCP)を有するダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)を検出できないか、又は該ダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)は弱く検出されるということ;
(b)前記後行の第2時間(t2)における前記非バイアス受信広帯域電力(RTWP)は、前記先行の第1時間(t1)と比較して、最大Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び最大受信信号コード電力(CPICH RSCP)を有する前記ダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)に関して増分していることを確認するステップを含む、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(aa)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記通信周波数チャネルにおける少なくとも一つのダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)のいずれかに関して、Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び受信信号コード電力(CPICH RSCP)を検出できないか、又は該Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び該受信信号コード電力(CPICH RSCP)は弱く検出されるという別の条件を検査する、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(aaa)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記通信周波数帯域(FB I)における少なくとも一つのダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)のいずれかに関して、Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び受信信号コード電力(CPICH RSCP)を検出できないか、又は該Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び該受信信号コード電力(CPICH RSCP)は弱く検出されるという別の条件を検査する、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
(aaaa)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、全ての利用可能な通信周波数帯域(FB I−XIX)における少なくとも一つのダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)のいずれかに関して、Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び受信信号コード電力(CPICH RSCP)を検出できないか、又は該Ec/Io比率(CPICH_Ec/Io)及び該受信信号コード電力(CPICH RSCP)は弱く検出されるという条件を検査する、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
(d)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記擬似雑音拡散コードに関して、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)におけるEc/Io比率(CPICH_Ec/Io,DPCH_Ec/Io)及び/又は受信信号コード電力(CPICH RSCP,DPCH RSCP)を依然として検出できるが、しかしながら、前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記通信周波数チャネルにおける少なくとも一つのダウンリンクチャネル(CPICH,DPCH)のいずれかに関して、それぞれ減分していることを更に検査する、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記減分は、それぞれ90%よりも大きい、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記条件(a)及び前記条件(b)及び前記条件(c)が満たされると、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況は通信ユーザ機器(UE)に影響を及ぼしていることを前記ユーザ機器(UE)からアプリケーションに指示する、
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ジャミング及び/又は非稼動状況を指示するメッセージを前記ユーザ機器(UE)からアプリケーションに提供する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記条件(d)及び前記条件(b)及び前記条件(c)が満たされると、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況は通信ユーザ機器(UE)に影響を及ぼしていることを、前記ユーザ機器(UE)からアプリケーションに、及び/又は、少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)のセットのいずれかに警告する、
請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ジャミング及び/又は非稼動状況を指示するメッセージを前記ユーザ機器(UE)からアプリケーションに、及び/又は、少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)のセットのいずれかに提供する、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源及び/又は非稼動状況によって惹起される影響量を指示するために警告レベルを指示し、
前記警告レベルは、ノイズフロア(NF)を上回る広帯域電力(WBp)の超過量及び/又は所定の閾値(X)の大きさに依存する、
請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失を検出し、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出する、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されているユーザ機器であって、
前記通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)は、周波数分割多重(FDD)モード又は時分割多重(TDD)モードにおける、セルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA)を基礎としている無線ネットワーク(RN)の構成要素であり、
前記複数のベースノードステーション(BNS)の内の少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)のセットは前記ユーザ機器(UE)の到達距離内にあり、
サービングセルカバレッジエリア(CA)における通信リンクを、前記通信ユーザ機器(UE)と、少なくとも、少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)の前記セットの割り当てられたサービングベースノードステーション(sBNS)との間に提供することができ、
前記通信リンクは、前記通信ユーザ機器(UE)と、少なくとも、前記サービングベースノードステーション(sBNS)との間での、複数の通信信号ユニットを含む信号の送信に適合されており、
前記通信信号ユニット(SU)は、前記サービングベースノードステーション(sBNS)の前記サービングセルカバレッジエリア(CA)における擬似雑音拡散コード(SC)と相関が取られており、擬似雑音チップ(CHI)として、スペクトル的に通信周波数帯域(FB I−XIX)の上限周波数と下限周波数との間に位置する多重共有通信周波数チャネルにおいて送信され、
前記通信ユーザ機器(UE)は、少なくとも一つのダウンリンクチャネルのサービングダウンリンクチャネル(sCPICH)において、少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)の前記セットから、前記擬似雑音拡散コード(SC)を少なくとも一つの擬似雑音拡散コード(SC)のサービング擬似雑音拡散コード(sSC)として受信する、ユーザ機器において、
先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において電力パラメータのセットを測定する手段を備えており、前記電力パラメータは、
通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける受信電力にとって有意なチャネルバイアスパラメータと、
通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)と
を含んでおり、
以下の条件を検査する、即ち、
(a)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記バイアスパラメータを検出できないか、又は前記バイアスパラメータは弱く検出されるという条件と、
(b)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記非バイアスパラメータは増分又は減分しているという条件と、
を検査することを特徴とする、
ユーザ機器。
【請求項26】
前記電力パラメータは、
(i)通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける総受信電力スペクトル密度によって除算された、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における擬似雑音チップ(CHI)当りの受信エネルギによって形成されたEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)、及び/又は、
(ii)通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける、前記擬似雑音拡散コード(SC)に関する、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における受信信号コード電力(CPICH RSCP)、
(iii)また付加的に、通信ユーザ機器(UE)アンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)を含む、
請求項25に記載のユーザ機器。
【請求項27】
(a)総受信電力スペクトル密度によって除算された、前記サービングダウンリンクチャネル(CPICH,sDPCH)における擬似雑音チップ当りの受信エネルギのEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)、及び/又は、
前記擬似雑音拡散コード(SC)に関する、前記サービングダウンリンクチャネル(sCPICH,sDPCH)における受信信号コード電力(CPICH RSCP)が、前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては検出されないか、又は弱く検出されるという条件、及び、
(b)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記非バイアス受信広帯域電力(RTWP)は増分又は減分しているという条件を検査する手段が設けられている、
請求項25又は26に記載のユーザ機器。
【請求項28】
(b)前記先行の第1時間(t1)と比較して、前記後行の第2時間(t2)においては、前記非バイアス受信広帯域電力(RTWP)は、−24dBである拡散コード利得値の閾値よりも大きく増分又は減分しているという条件を検査する手段、
(c)前記非バイアス受信広帯域電力(RTWP)の増分した値は閾値(X)よりも大きく基本ノイズフロア(NF)を超えるかという条件を検査する手段が設けられている、
求項25乃至27のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項29】
前記閾値は24dBである、
請求項28に記載のユーザ機器。
【請求項30】
請求項1乃至24のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、アプリケーションとユーザ機器(UE)へのインタフェースとを備えている評価ユニットにおいて、
該評価ユニットは、
先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において、通信リンクにおける電力パラメータのセットを評価し、
条件(a)及び条件(b)及び条件(c)を検査し、
サービスアベイラビリティの損失を指示及び/又は警告し、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況は通信ユーザ機器(UE)に影響を及ぼしていることを指示及び/又は警告するように構成されていることを特徴とする、評価ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失、特にジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出するための方法に関する。更に本発明は、上記の方法を実施するように構成されているユーザ機器、並びに、上記の方法を実施するように構成されているアプリケーションとユーザ機器へのインタフェースとを備えている評価ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のセルラ方式の無線ネットワークはもう何年も公知のものではあり、種々異なる技術を基礎としている。最大有効範囲は現在でも、いわゆるGSM標準に準拠するモバイル通信用のグローバルシステムによって維持されている。ユーザ機器はそのようなセルラ方式のネットワークにおいて自由に移動することができ、また例えばGSM標準仕様書3GPP ETSI TS 51.010等に記載されているように、GSMネットワークの異なるセルにハンドオーバすることができる。
【0003】
現在の無線ネットワークは、例えばユニバーサル移動体通信システム(UMTS;universal mobile telecommunication system)において実現されているような、セルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA;code division multiple access)を基礎としている。UMTSはカメラシステム等のような機密保護の用途にとって益々重要になっている。
【0004】
一般的に、無線ネットワークにおけるユーザ機器はジャミング放射源による影響に晒される可能性がある。このコンテキストにおいてジャミングとは一般的に、基地局からの信号のユーザ機器による受信を阻止する機器によって行なわれるものである。実際のところ、高周波数が高出力レベルにあるユーザ機器の通信周波数と干渉することによって、ジャマーは実質的にセルラーフォンを使用不能にする。一方、幾つかのジャマー用途は例えば音信不通状況に起因して通話が抑制されるべきところでは合法であることを意味している。他のジャマーは、例えばユーザ機器等の機密保護用途に割り込むための悪用中に適用される。ジャマーはジャミングGSMまた、UMTS周波数を使用できる。しかしながらジャミングを検出及び阻止する解決手段は、現在のところ、基本的にはGMSジャマーに対してしか既知でない。これに関して、アンチジャミング解決手段の主たる目的は、ジャミング攻撃を阻止するよりもジャミング攻撃を確実に検出することであると認められる。
【0005】
アンチジャミング解決手段はWO 2007/019814から公知であるが、しかしながら、このアンチジャミング解決手段はGSM標準に限定されている。この刊行物には、通信端末に影響を及ぼすジャミング放射源を検出するための方法が開示されており、この方法では受信無線チャネル信号レベルがシグナリングチャネルにおける周期的な間隔で評価される。通信端末がシグナリングチャネルにおいて所定の閾値を超える無線チャネル信号レベルを検出するが、それにもかかわらずメッセージの内容を復号できない場合には、この状況は干渉状況とみなされ、警報信号が送信される。このGMSアンチジャミング解決手段に関する問題は、シグナリングチャネルにおける所定の閾値とメッセージ内容の受信を基礎としていることである。それらの特徴はGSM技術にとってある程度は固有のものではあるが、しかしながらUMTS技術には余り適していない。より詳細には、セルラ方式の符号分割多重アクセスを基礎とする無線ネットワークの枠内でのアンチジャミング解決手段がより需要が高いことが分かった。ユーザ機器の通信周波数帯域における外乱を処理する状態は、セルラ方式の符号分割多重アクセスを基礎とする無線ネットワーク内でのユーザ機器に関する動作のほぼ通常の状態である。特に、信号を復号できる限りは、イントラセル干渉及びインターセル干渉は一般的にCDMAを基礎とする無線ネットワークにおいて許容される。従って、この動作状態は必然的に、CDMAを基礎とする技術に起因して常に妨害されている。それらの自然な外乱の中から深刻なジャミング動作を識別することは依然として解決すべき課題である。
【0006】
その特殊な理由は以下の通りである。通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)はCDMAを基礎としている無線ネットワークの基本構成要素である。無線ネットワーク(RN)は周波数分割多重(FDD:frequency division duplex)モード又は時分割多重(TDD:time division duplex)モードのいずれかにおいて動作することができる。サービングセルカバレッジエリアにおける通信リンクが通信ユーザ機器とサービングベースノードステーション(sBNS)との間に提供されると、通信信号ユニット(SU)はサービングベースノードステーションのサービングカバレッジエリア(CA)における擬似雑音拡散コード(SC)と相関が取られ、また擬似雑音チップ(CHI)として多重共有通信周波数チャネルにおいて送信される。従って、通信周波数チャネルにおける複数のベースノードステーション及びユーザ機器の干渉は、スペクトル的に通信周波数帯域の上限周波数と下限周波数との間に位置している。従って、多重共有通信周波数チャネルにおける広帯域の「ジャミングのような」干渉を異常なイベントとみなすことはできず、それどころかそのような干渉は通常の動作状態の一部である。そのような状況は、前述の周波数帯域におけるユーザ数の変化を毎回生じさせることも考えられる。同様の状況は、ユーザ機器がベースノードステーションから比較的長い距離又は比較的短い距離を有している場合にも生じる可能性がある。更には、ユーザ機器が二つのベースノードステーションの到達距離内に存在する場合、特にそれとは逆に、二つのユーザ機器がCDMAを基礎としている無線ネットワークの同一セル又は隣接セルに属する場合にも同様の状況が生じる可能性がある。その結果、CDMAを基礎としている無線ネットワーク技術において問題無く実現されるべきアンチジャミング解決手段は一層洗練されたものである。
【0007】
WO 00/62437には、CDMAを基礎としている通信ネットワークにおけるジャマー検出感度を改善するためのコンセプトが開示されており、このコンセプトにおいては、無線システムの周波数帯域における正当な加入者の伝送の電力スペクトル密度特性とは区別することができる電力スペクトル密度特性を有しているジャミング信号を識別するためにスペクトル分析データが使用される。ジャミング放射源の近傍に位置する種々の基地局を使用することによって、また、それらの基地局において受信された電力スペクトル密度を比較することによって、ジャミング放射源の位置が推定される。付加的に、ハードウェハの誤動作又は故障を示唆する可能性がある異常な受信スペクトル特性を検出するためにそのようなスペクトル分析データが使用される。スペクトル分析は、約1.25MHzのCDMA信号帯域幅Cに関する実数入力データFFT及び複素数入力データFFTのモデルを使用し、また、ジャマー検出閾値が「ノイズフロア(noise floor)」に相対的にセットされ、ジャマー検出閾値がFFTの二つのケースに関して同一になるという仮定を基礎とする。P/Cが等しい電力スペクトル密度の場合、(帯域内)電力スペクトル密度Pはどちらかの技術に関して同一になる。しかしながら、ジャマー電力がIブランチとQブランチとの間で等しく分配される場合、ジャマー電力は実数入力データFFTに関しては、複素数入力データFFTの場合よりも3dB低くなる。
【0008】
それにもかかわらず、一般的に、また上述のWO2007/019814のGSM解決手段と比較すると、ユーザ機器に関する特定のシグナリングチャネルの信号レベルについての所定の閾値自体を規定することはできない。チャネル及び/又は信号レベルは、ネットワークの周囲環境に依存して絶えず変化している。また、擬似雑音拡散コードが通信ユーザ機器によって受信されない限り、そのようなメッセージ内容を受信することはできない。従って、擬似雑音拡散コードが無ければ、擬似雑音拡散コードがユーザ機器に既知でない限り、メッセージの伝送も内容の復号も不可能である。
【0009】
3GPP TS 25.133、特に4.2.2.1章においては、ユーザ機器が適切なUTRAセルを発見できない場合には、これは「非稼動エリア」とみなされ、また3GPP TS 25.331(「RRC Protocol Specification」)に準拠して動作が実施されるべきことが規定されている。
【0010】
これが本発明の出発点である。本発明の課題は、ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失、特にジャミング放射源及び/又は非稼動状況を検出するための効果的で信頼性の高い方法及び装置を提供することである。通信ユーザ機器及び複数のベースノードステーションは、例えば周波数分割多重モード又は時分割多重モードの無線ネットワークのような、セルラ方式の符号分割多重アクセスを基礎としている無線ネットワークの構成要素である。本発明の別の課題は、通信ユーザ機器に影響を及ぼす、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況を区別することである。本発明の更に別の課題は、広い周波数範囲においてジャミング放射源及び/又は非稼動状況の検出も実現する、より精巧なアンチジャミングコンセプト及び/又は非稼動抑制コンセプトを用いる方法及び装置を提供することである。とりわけ、本発明の更なる課題は、ジャミング放射源及び/又は非稼動状況に対する警告を実現する、即ち、ジャミング動作の瞬間的な状況及び/又は非稼動状況を検出するだけでなく、そのような状況に近付くことを予測する方法及び装置を提供することである。後者の課題を解決することに関する関心は高い。何故ならば、その解決手段によって方法及び装置は勿論、ジャミング動作及び/又は非稼動状況がユーザ機器のあらゆる通信を中断する前に、例えば警報を送信することによって適時に対応することができるからである。
【0011】
方法に関しては、上記の課題は、請求項1に記載されている本発明の方法によって解決される。この方法、また上記において概略を述べたような方法の発展形態は、あらゆる有利な形態のディジタル回路によって実現することができ、それにより、ディジタル回路に関連する利点を得ることができる。特に、本方法の一つ又は複数の方法ステップ又は方法の特徴を、その方法ステップを機能的に実行するための一つ又は複数の手段によって実現することができる。単一のプロセッサ又は他のユニットは特許請求の範囲に記載されている種々の手段の機能を実現することができ、これは特に本発明のコンセプトに応じたユーザ機器に対して用意されている。装置に関しては、上記の課題は、請求項21に記載されているユーザ機器の特に有利な発展形態によって解決される。特に、ユーザ機器は、(b)後行の第2時間(t2)における非バイアスパラメータは先行の第1時間(t1)と比較して増分したという条件、及び/又は、(b)後行の第2時間(t2)における非バイアスパラメータは先行の第1時間(t1)と比較して減分したという条件を検査するため手段を有している。
【0012】
特に、本発明のコンセプトにより、本発明の方法を実行するように構成されている、アプリケーションとユーザ機器へのインタフェースとを備えている、請求項24に規定されているような評価ユニットも得られる。
【0013】
本発明は、ユーザ機器自体では、また更なる測定を実施することなく、冒頭において概略を述べたようなCDMAシステムに由来する干渉に起因する通常モードの周波数外乱と、特定の状況において通常は定めることができない外的な外乱要因に起因するサービスアベイラビリティの損失とを区別することができないという問題から出発する。上記の標準に記載されているプロセスは不十分であり、また改良の余地があることから、本発明では、サービスアベイラビリティの損失の種類に関する更なる情報を収集することが所望されることを認識した。特に、本発明のコンセプトは、通信ユーザ機器に影響を及ぼす、ジャミング放射源の検出と非稼動状況の検出とを区別するための基礎を提供する。通信ユーザ機器に影響を及ぼす非稼動状況において、上記の標準は「非稼動エリア」だけに関する情報の提供に制限されている。しかしながら、ジャミングによって惹起されるものとも「非稼動エリア」とも異なる、通信ユーザ機器に影響を及ぼす更なる非稼動状況も関心の対象である。ユーザ通信機器に影響を及ぼすそれらの種類の非稼動状況を圏外状況と規定することができる。むしろ圏外状況は、ユーザ機器が依然として原理的にはベースノードステーションの「サービスエリア」内に位置している場合であっても、終日頻繁に発生する可能性がある状況である。例えば、圏外状況はユーザ機器が一時的に地下駐車場又は通信信号が弱い場所にあるときに発生する可能性がある。そのような情報は本発明のコンセプトでは特に有用であると認められる。
【0014】
基本的に、サービスアベイラビリティの損失を検出するために、本発明によれば、先行の第1時間及び後行の第2の時間において電力パラメータのセットが測定される。特に、先行の第1時間及び後行の第2時間における測定では、先行の第1時間の電力パラメータの第1の値と、後行の第2時間の電力パラメータの第2の値が比較される。この比較に基づき、サービスアベイラビリティの損失、また特にサービスアベイラビリティの損失の理由に関する限定的なステートメントが得られる。特に、比較の結果を、ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング状況及び/又は非稼動状況を区別するための基礎として使用することができる。
【0015】
本発明によれば、第1の電力パラメータとして、通信ユーザ機器アンテナコネクタにおける受信電力にとって有意なチャネルバイアスパラメータを先行の第1時間及び後行の第2時間において測定することができる。通常の場合、受信電力に関するチャネルバイアスパラメータを、より信頼性が高く安定したソース、即ち、特にnode Bダウンリンクコネクションにおけるソースに由来するものとみなすことができる。有利な発展形態においては、チャネルバイアスパラメータはサービングダウンリンクチャネルにおいて測定された受信電力にとって有意なものである。パイロットチャネル等の形態のサービングダウンリンクチャネルが特に有利である。つまりパイロットチャネルにおいては、特に安定したnodeB電力が送信される。このことは特に、通信ユーザ機器が擬似雑音拡散コードをサービング擬似雑音拡散コードとしてサービングベースノードステーションから受信するサービングダウンリンクチャネルに当てはまり、特にこれは共通パイロットチャネル(CPICH)である。特に、このことは、通信ユーザ機器がユーザデータ及び/又は制御データをサービングベースノードステーションから受信するサービングダウンリンクチャネルにも当てはまり、これは特に専用物理チャネル(DPCH)である。
【0016】
これに対し、サービスアベイラビリティの損失の状況において特に、ダウンリンクチャネルにおける受信電力、とりわけ、通信ユーザ機器アンテナコネクタにおける受信電力にとって有意なチャネルバイアスパラメータは検出されなくなるか、又は、サービスアベイラビリティの損失に起因して、先行の第1時間と比較すると、後行の第2時間においては少なくとも弱く検出されるにもかかわらず、受信電力は勿論所定の範囲内で変化する可能性がある。従って、バイアスパラメータを検出できない、又は先行の第1時間と比較すると、後行の第2時間においてはバイアスパラメータが弱く検出されるという条件を検査することによって、サービスアベイラビリティの損失の推定に関して第1の条件は満たされる。
【0017】
更に本発明のコンセプトによれば、通信ユーザ機器アンテナコネクタにおける通信ユーザ機器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力を測定することによって、サービスアベイラビリティの損失の種類に関する更なる情報を提供するために、価値のある基礎が提供される。後行の第2時間における非バイアスパラメータが先行の第1時間と比較すると変化しているという条件を検査することによって、本発明のコンセプトは、サービスアベイラビリティの損失の種類に関するステートメントを作成するための基礎を提供することができる。特に、非バイアスパラメータが顕著に変化すると、ステートメントを作成することができる。その変化によって、調整可能な大きさの閾値が超過されると、非バイアスパラメータの顕著な変化とみなされる。
【0018】
閾値は有利には、受信可能な擬似雑音拡散コードの確認にとって十分なものであるべきである。特に有利な発展形態においては、閾値は基本的には拡散コード利得値に達するか、又は拡散コード利得値を上回る。拡散コード利得値は例えば24dBの大きさである。
【0019】
特に有利な発展形態においては、先行の第1時間と比較すると後行の第2時間における非バイアスパラメータが増分しており、且つ、先行の第1時間と比較すると後行の第2時間におけるバイアスパラメータを検出できない、又は、バイアスパラメータが弱く検出される場合、ジャミング放射源は通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることが示される。この発展形態のコンセプトは、バイアスパラメータを検出できない、又はバイアスパラメータが弱く検出されるが、これに対し非バイアスパラメータが増分していると、ジャミング状況を想定するため、又は、少なくともジャミング状況の接近の警告を発するための堅固な基礎が与えられるという想定に基づいている。
【0020】
特に有利な発展形態においては、先行の第1時間と比較すると後行の第2時間における非バイアスパラメータは減分しており、これに対し、先行の第1時間と比較すると後行の第2時間においてはバイアスパラメータを検出できない、又は、バイアスパラメータが弱く検出される場合、非稼動状況が通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることが示される。従って、後行の第2時間において増分した非バイアスパラメータと、後行の第2時間において減分した非バイアスパラメータとを区別することによって、この発展形態は、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング状況と非稼動状況を区別することができる。
【0021】
更に有利には、増分又は減分のレベルを先行の第1時間と比較した後行の第2時間において測定することができる。特に、非稼動状況のケースにおいては、減分によって、信号をもはや検出できない状況が生じる。
【0022】
従って、前述のレベルをインジケータ又は信頼度として利用することができる。即ち、前述のレベルが高くなればなるほど、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング状況と非稼動状況の区別の信頼性はいっそう高くなる。特に、前述のレベルに関する閾値を拡散コード利得値、例えば有利には24dBであるように選択することができる。
【0023】
特に、ユーザ機器へのインタフェースを有している評価ユニットのアプリケーション層に前述の指示を提供することができる。評価ユニットを用いることにより、ジャミング状況と非稼動状況を区別する情報を提供することができる。この種の情報をユーザにシグナリングすることができる。ユーザは人間又は自動的な環境、例えば、警告環境又は監視環境、特に、例えば自動車のようなモバイルエンティティにおける環境である。従って、例えば、特定のロケーションにおいては警告機能又は監視機能をユーザ機器によって達成できず、これはジャミング状況又は非稼動状況に起因する可能性があるということに関して、自動車を運転する人間に警告を発することができる。後述のように、評価ユニットを用いる自動的な又は個人化された周囲環境についての情報を、サービスアベイラビリティの損失の種類に適合されている別の測定を実施するために使用することができる。例えば、他の警告機能又は監視機能を達成することができる。例えばこの状況を、非稼動状況において使用されないプロセスを省略することによるエネルギの節約に使用することができる。非稼動状況においては、稼動エリアである別の領域に関する再配置を提案することもできる。即ち、サービスプロバイダ又はネットワークプロバイダから受信したチェックリスト又は提案のような特定の条件に応じた前述の別のエリアは非稼動エリアとはみなされず、したがって警告システムは稼動エリアにおいて再び動作する。
【0024】
特に有利には発展形態においては、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力がある程度ノイズレベルに近いものとして検出される。勿論、ノイズレベルに近い非バイアス受信広帯域電力の正確な値は受信器の性能及び測定の精度に依存する。しかしながら、受信器の性能及び測定の精度又は同様の状況は不確定性に依存し、この不確定性は、適合された閾値を設定することによって良好なものであるとみなすことができる。
【0025】
それぞれの設定及びユーザへの情報を特定の状況に応じて適合させることができる。例えば、自動車はドライバがその自動車を離れる際に重要な情報をドライバに与えることができる。例えば、瞬間的なロケーションにおいて、モバイル技術を介した警告機能又は監視を利用できないという情報は、ジャミング状況が検出されるときには価値がある。
【0026】
他方では、非稼動状況が検出されると、モバイル技術を介した自動車の監視は非稼動状況に起因して利用不可能であることを指示する警告又は情報を人間に与えることができる。いずれのケースにおいても、既にそのような情報は受信エンティティ、例えば技術的な周囲環境又は人間にとって価値のあるものである。また、サービスアベイラビリティの損失はシステムに対する能動的なジャミング状況又は非稼動状況に起因するものであるという情報は既に多くのアプリケーションにとって重要である。
【0027】
非稼動状況及びジャミング状況においては、バイアスパラメータ、特に、例えばEc/Io値のようなバイアス比率パラメータを後行の第2時間においては検出できないか、又はバイアスパラメータが弱く検出される。特に、非稼動状況及びジャミング状況においては、バイアス比率パラメータはノイズフロアを上回るXdB(−24dB超)を下回ることが予測される。しかしながら、広帯域電力が増分したか又は減分したかを検査することによって、ジャミング状況と非稼動状況の両状況を区別することができる。
【0028】
電力パラメータは、電力にとって有意な何らかのパラメータとみなされる。このパラメータは勿論、物理的に測定可能な電力量自体を含むが、しかしながらまた、電力量を量的に表すために使用することができる他の何らかの値も含む。特に、パラメータは電力のメートル系単位を必ずしも有している必要はないが、しかしながら無次元の量であると考えられ、特に、比率の値、又は対数値、又はビット値、又は物理的な電力量を量的に表すことに適している他の値である。
【0029】
特に、電力の意味は広範に理解されるべきであり、またエネルギの意味も含んでいる。電力の有利な理解は、従来技術による電力スペクトル密度(PSD)であり、その一方で、電力スペクトル密度(PSD)の単位は広範囲であり、またこの用途においてはより広範に使用されるものである。一般的にPSDは、周波数に対する、また積分される場合には、(例えばチャネルのような)所定の帯域幅にわたる電力の関数である。つまり、この関数はそのような帯域幅における平均電力である。平均電力が(チップレートで除算されることによって)チップレートに正規化されると、チップ当りの平均エネルギが表される。従来技術による幾つかの信号はチップ当りのエネルギに関して直接的に定義され(DPCH_EC,EC,OCNS_EC及びS−CCPICH_EC)、その他の信号はPSDに関して定義される(IO,IOC,IOR及びI^OR)。また、PSDに対するチップ当りのエネルギの比率である量(DPCH_EC/IOR,EC/IOR等)も存在する。これは、通信システムにおける電力及びエネルギ又は同様の大きさに関しては常識的な事項である。それにもかかわらず、その比率における両方のエネルギの大きさが時間で除算される場合には、この比率はエネルギ比率から電力比率に変換されるとみなされ、これは測定の観点からより有用である。XdBm/3.84MHzのチップ当りのエネルギをXdBmのチップ当りの平均電力として表すことができる。同様に、YdBm/3.84MHzの信号PSDをYdBmの信号電力として表すことができる。
【0030】
特に有利な発展形態においては、受信電力がサービングダウンリンクチャネルにおいて測定される。CPICHチャネル(共通パイロットチャネル;common pilot channel)及び/又はDPCHチャネル(専用物理チャネル;dedicated physical channel)が特に有利であるが、しかしながら他のダウンリンクチャネルも受信電力の測定に有利に使用される。チャネルの意味は、特にダウンリンクコネクションにおけるモバイル通信の確立に適している通信周波数帯域(FB I−XIX)内の上限周波数と下限周波数との間の周波数のあらゆる範囲又は帯域を含むと解するべきである。特に有利な発展形態においては、利用可能な通信周波数帯域(FB I−XIX)は全てのUMTS通信周波数帯域を含む。特に、この方法は通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源の検出を含み、この通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)はモバイル通信(GSM)を基礎としている無線ネットワーク(RN)のセルラ方式のグローバルシステムの構成要素である。
【0031】
サービスアベイラビリティの損失は特にユーザ機器の非稼動状況を含む。この非稼動状況は、冒頭において述べたような「非稼動エリア」にいることから生じる。非稼動状況は、原則としてUTRAセルによってカバーされているが、しかしながら、そのエリアは適切なUTRAキャリアを受信することができないエリアにいることから生じる可能性がある。そのようなエリアは非稼動状況を伴う上記において例示したような圏外状況を生じさせる可能性があるが、基本的にはUTRAセルの有効範囲内にあるエリアを非稼動エリアと称する。例えば、そのようなエリアは地下駐車場又は地下鉄の線路において存在することが既知である。他の種類の非稼動状況は、原則としてUTRAセルによってカバーされないエリアにいることによって生じる可能性がある。従って、非稼動状況は適切なUTRAキャリアの有効範囲が失われることから生じる。
【0032】
本発明のそれらの発展形態の構成及び他の発展形態の構成は従属請求項において更に概述されている。それによって、上記において提案したコンセプトの利点は更に改善される。
【0033】
本発明の特に有利な発展形態の第1のヴァリエーションは、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源を検出する方法から出発し、ここで、
この通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)はセルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA)を基礎としている無線ネットワーク(RN)の構成要素であり、ここで、
通信信号ユニット(SU)は、サービングベースノードステーション(sBNS)のサービングセルカバレッジエリア(CA)における擬似雑音拡散コード(SC)と相関が取られ、擬似雑音チップ(CHI)として、スペクトル的に通信周波数帯域(FB I−XIX)の上限周波数と下限周波数との間に位置する多重共有通信周波数チャネルにおいて送信され、また、
通信ユーザ機器(UE)は、擬似雑音拡散コード(SC)をサービング擬似雑音拡散コード(sSC)として、前述のサービングベースノードステーション(BNS)からサービングダウンリンクチャネル(sCPICH)において受信する。
【0034】
発展形態の第1のヴァリエーションのコンセプトによれば、以下のステップが提供される:
−先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において、通信リンクにおけるセル選択判定基準電力パラメータ(S)のセットを測定するステップが提供され、ここで、電力パラメータ(S)は、
−通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける総受信電力に関する、チップ(CHI)当りの受信電力にとって有意な帯域及び/又はチャネルバイアス比率パラメータと、
−通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける擬似雑音拡散コード(SC)に関する受信信号電力にとって有意な帯域及び/又はチャネルバイアス絶対パラメータと、
−通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)とを含んでおり、また、
−以下の条件、すなわち、
(a)バイアスパラメータを後行の第2時間(t2)においては検出できないという条件、
(b)先行の第1時間(t1)と比較して、後行の第2時間(t2)において非バイアスパラメータは増分したという条件、
(c)非バイアスパラメータの増分した値は閾値(X)よりも大きく基本ノイズフロア(NF)を超えているという条件であって、閾値(X)は受信可能な擬似雑音拡散コードの確認にとって十分である調整可能な大きさであり、特に、基本的には拡散コード利得値に達するか、拡散コード利得値を上回り、とりわけ拡散コード利得値は24dBであるという条件を検査するステップが提供される。
【0035】
発展形態の第1のヴァリエーションの特に有利な適応形態においては、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源を検出する方法が提供される。ここで、
前述の通信ユーザ機器(UE)及び複数のベースノードステーション(BNS)は、特に、周波数分割多重(FDD)モード又は時分割多重(TDD)モードにおける、セルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA)を基礎としている無線ネットワーク(RN)の構成要素であり、ここで、
前述の複数のベースノードステーション(BNS)の内の少なくとも一つのベースノードステーション(BNS)のセットがユーザ機器(UE)の到達距離内にあり、
サービングセルカバレッジエリア(CA)内の通信リンクが、通信ユーザ機器(UE)と、少なくとも、少なくとも一つのベースノードステーションの前述のセットの割り当てられたサービングノードステーション(sBNS)との間に提供され、
前述の通信リンクは、通信ユーザ機器(UE)と、少なくともサービングベースノードステーション(sBNS)との間での、複数の通信信号ユニットを含む信号の送信に適合されている。
【0036】
有利には、前述の通信信号ユニット(SU)は、サービングベースノードステーション(sBNS)のサービングセルカバレッジエリア(CA)における擬似雑音拡散コード(SC)と相関が取られ、擬似雑音チップ(CHI)として、スペクトル的に通信周波数帯域(FB I−XIX)の上限周波数と下限周波数との間に位置する多重共有通信周波数チャネルにおいて送信され、また、
通信ユーザ機器(UE)は、少なくとも一つのサービングベースノードステーション(BNS)の前述のセットから、少なくとも一つのダウンリンクチャネルのサービングダウンリンクチャネル(sCPICH)において、擬似雑音拡散コード(SC)を少なくとも一つの擬似雑音拡散コード(SC)のサービング擬似雑音拡散コード(sSC)として受信する。
【0037】
発展形態の第1のヴァリエーションの有利な適合形態によれば、以下のステップが提供される:
先行の第1時間(t1)及び後行の第2時間(t2)において、通信リンクにおける電力パラメータのセットを測定するステップが提供され、ここで電力パラメータは、
(i)通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける総受信電力スペクトル密度によって除算された、サービングダウンリンクチャネル(sCPICH)における擬似雑音チップ(CHI)当りの受信エネルギによって形成されたEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)、及び/又は、
(ii)通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける擬似雑音拡散コードに関する、サービングダウンリンクチャネルにおける受信信号コード電力(CPICH RSCP);
(iii)また付加的に、通信ユーザ機器(UE)のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力(RTWP)を含んでいる。
【0038】
有利には、以下の条件が検査される、
(a)擬似雑音拡散コード(SC)に関するサービングダウンリンクチャネル(sCPICH)における受信信号コード電力(CPICH RSCP)及び総受信電力スペクトル密度によって除算された、サービングダウンリンクチャネル(CPICH)における擬似雑音チップ当りの受信エネルギのEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)を後行の第2時間(t2)においては検出できないという条件、
(b)先行の第1時間(t1)と比較して後行の第2時間(t2)における非バイアス受信広帯域電力(RTWP)は増分したという条件、
(c)非バイアス受信広帯域電力(RTWP)の増分した値は閾値(X)よりも大きく基本ノイズフロア(NF)を超えるという条件。
【0039】
本発明の第1の有利な発展形態のヴァリエーションは、ユーザ機器はそれ自体で、また更なる測定を行うことなく、通常モードの周波数外乱とジャミング周波数外乱とを区別できないという問題から出発し、CDMAを基礎としている無線ネットワークにおいては、周波数外乱が全く同一の擬似雑音拡散コードに固執するのではなく、むしろ有効になると、ユーザ機器には擬似拡散コードの変更が強制される。この問題により、本発明は、ジャミング動作が有効になるとユーザ機器はメッセージの送受信にとって重要な擬似雑音拡散コードを解放することになるという結論に至った。
【0040】
セルラ方式のCDMAを基礎としている無線ネットワークにおいては、擬似雑音拡散コードが、共通パイロットチャネル(CPICH)とも称されるダウンリンクチャネルにおいて、ベースノードステーションから通信ユーザ機器によって受信される。CPICHチャネルは、一定の電力を有するnode Bによるダウンリンクチャネルブロードキャストであり、ここでは擬似雑音拡散コードと称される既知のビットシーケンスである。その電力は通常の場合、総node B送信電力の5%から15%の間である。一般的なCPICH電力は43dBmの典型的な総送信電力の10%である。従ってCPICHチャネルは、node Bによって送受信されるべき信号ユニットのスクランブルのために使用される一次スクランブリングコードの第1の完全な識別のためにユーザ機器によって使用される。現在のCPICHは例えば、256の拡散率を有する拡散コード0を使用して送信される。CPICHは20ビットのデータを含んでおり、それらのデータは全て0であるか、又は、それらのデータを1と0が交互に繰り返されるパターンとして使用することができる。CPICHに関するスクランブリングコードが既知になると、通常の場合は、RSCP及びEc/Ioのようなセル選択判定基準電力パラメータのセットを含んでいる、信号品質の測定のためにチャネルを使用することができる。それらは3GPP TS25.133に最も正確に記述されている。定義及び略語等は3GPP TS25.215から公知である。特に、TS25.133の4.2.2.1章には、「圏外」状況が特許請求の範囲において定義されているような電力パラメータに関するセル判定基準を使用して定義されている。
【0041】
第1の選択判定基準電力パラメータは、帯域及び/又はチャネルバイアス比率パラメータ、即ち、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける総受信電力スペクトル密度によって除算された、サービングダウンリンクチャネル(sCPICH)における擬似雑音チップ(CHI)当りの受信エネルギによって形成されたEc/Io比率(CPICH_Ec/Io)である。
【0042】
別の帯域及び/又はチャネルバイアス絶対パラメータは、特に、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける、擬似雑音拡散コードに関する、サービングダウンリンクチャネルにおける受信信号コード電力(CPICH RSCP)である。
【0043】
ユーザ機器を連続するサイクルに関して評価した場合に、サービングセルが例えばEc/Io及びRSCP条件の形のセル選択判定基準を満たさなければ、ユーザ機器は全ての隣接セルに関する測定を開始すべきである。そのような測定によっても、最終的に特定の周期時間の後に、セル選択判定基準が満たされなければ、ユーザ機器は非稼動エリアにいるとみなされる。
【0044】
それらの問題に基づき、本発明の発展形態のこの第1のヴァリエーションは、効果的なジャミング検出のために、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信広帯域電力を測定することを更に必要とすることを認識した。
【0045】
上述の三つの電力パラメータに基づき、本発明の発展形態の第1のヴァリエーションのコンセプトは、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源の動作を確実に検出するには十分である三つの条件を検査することを提案する。本発明の発展形態の第1のヴァリエーションによって提案されるメインコンセプトは、請求項1及び8又は11に定義されているような条件(a)、(b)、(c)を検査することである。特に、この基礎は、バイアスパラメータを検出できないが、その一方で非バイアスパラメータは増分したという条件を検査することである。本発明の発展形態の第1のヴァリエーションによって提案されるメインコンセプトは、相対的な測定のコンセプトを提供することであり、ここで、通信リンクにおけるセル選択判定基準電力パラメータのセットは先行の第1時間及び後行の第2時間において測定される。このコンセプトは、電力パラメータの絶対測定又は事前に定義された閾値が、CDMAを基礎としている無線ネットワークにおいて無視できる程度の有効性しか有していないという着想に基づいている。その代わりに、本発明によれば、先行の第1時間及び後行の第2時間における状況の比較のような相対的な条件が重要である。
【0046】
付加的に、本発明の発展形態の第1のヴァリエーションのコンセプトの条件を判断する別の鍵は、非バイアスパラメータの増分した値が閾値よりも大きく基本ノイズフロアを超えたという条件を検査することによって得られる。実質的に、閾値は固定されていない、又は事前に規定されていないが、しかしながら、受信可能な擬似雑音拡散コードの確認にとっては十分である調整可能な大きさである。
【0047】
本発明の発展形態の第1のヴァリエーションは、非バイアス受信広帯域電力が従来技術による基本ノイズフロアを超える場合、擬似雑音拡散コードは受信可能であるべきということを認識した。従って、例えばEc/Io比率又はCPICHにおける受信信号コード電力が検出されるべきである。つまり、請求項1及び8又は11において定義されているような条件(a)、(b)及び(c)が全て満たされると、ジャミング放射源が通信ユーザ機器に影響を及ぼしている唯一の可能性が残っている。特に、本発明のコンセプトは先行の第1時間と後行の第2時間との間の相対的な状況を基礎としている。非バイアス受信広帯域電力が増分しているが、後行の第2時間におけるサービングノードステーションの損失の状態は先行の第1時間についての状況を比較する相対的な判定基準であり、従って、CDMAを基礎としている技術に適合されている。
【0048】
従って本発明のコンセプトは、絶対測定又は事前に記載された閾値からは離れている。一般的な位置測定と比較すると、CDMAを基礎としている無線ネットワークに適合された本発明の発展形態の第1のヴァリエーションによって提案されたコンセプトによって種々の利点が達成される。特に、このコンセプトにより、受信可能な擬似雑音拡散コードの確認のための閾値の調整可能な大きさの別の発展形態が実現される。従って、このコンセプトを種々のタイプのスクランブラ及びスクランブリングコードに適合させることができる。スクランブラのタイプ及びスクランブリングコードのタイプを、セルラ方式のCDMAを基礎としている無線ネットワークの特定のタイプに依存して変更することができる。しかしながら、CPICHに関するスクランブリングコードが既知となると、調整可能な大きさを例えば拡散コード利得値の閾値として提供することができ、これは256の拡散率を基礎としており、従って24dBの拡散コード利得値が生じる。
【0049】
また、本発明の発展形態の第1のヴァリエーションの第1のコンセプトは、広範な周波数範囲に拡張可能であるという利点を有している。またこのコンセプトを、ジャミング放射源の接近を示唆する警告コンセプトに使用することができる。
【0050】
特に、少なくとも一つのベースノードステーションのセットはベースノードステーションの能動的なセットである。従来技術におけるソフトハンドオフの間に使用される信号を有するセルのセットを能動的なセットと称する。いわゆるサーチフィンガが新しいセルからの高Ec/Io又はRSCPに関する十分な強さの信号を発見した場合には、このセルは能動的なセットに加えられる。従って、能動的なセットのセルはその他のセルよりも頻繁に検査される。従って、能動的なセット内の隣接セルとのハンドオフがより見込まれる。有利な実施の形態においては、能動的なセットは、少なくとも、最大Ec/Io比率及び/又は最大RSCPを有する、サービングベースノードステーション及び/又はベースノードステーションを含んでいる。従って有利には、別の有利な発展形態においては、最大セルに関するコンセプトの条件を更に検査することによって、検出方法をより信頼性の高いものにすることができる。
【0051】
別の有利な実施の形態においては、請求項13から16において(a)、(aa)、(aaa)又は(aaaa)と表されているような、バイアスパラメータを後行の第2時間において検出できないという別の条件を、通信周波数チャネルにおける少なくとも一つのダウンリンクチャネルのいずれかに拡張することができる。即ち、このコンセプトを全体として5MHzの周波数チャネル内において、また一つの周波数帯域又は全ての複数の周波数帯域に拡張することができる。特に、UMTS通信周波数帯域の全ての周波数帯域を実施することができる。特に、通信ユーザ機器はモバイル通信のセルラ方式のグローバルシステムの一部であって良く、従って、UMTSアンチジャミング測定とGSMアンチジャミング測定の組み合わせを基礎とすることができる。ここで、WO2007/019814の複数の実施の形態は、GSMアンチジャミング測定に関して参照によって本明細書に取り入れられる。
【0052】
発展形態の特に有利な構成においては、本発明のコンセプトは、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源を警告するために別の条件の検査も含むことができる。これらの発展形態及び別の有利な発展形態は請求項17から19の方法クレームにおいて概説されている。基本的に、特許請求の範囲におけるいわゆる条件(d)においては、バイアスパラメータを後行の第2時間においても依然として検出することができるが、各パラメータが顕著に減分している。従って、いわゆる条件(d)は、本発明のコンセプトのいわゆる条件(a)が検査される前に検査される。例えば、これは、擬似雑音拡散コードを依然として後行の第2時間において検出できるが、Ec/Io比率及び受信信号コード電力RSCPはそれぞれ先行の第1時間に比べて90%より大きく減分しているケースに当てはまる。この発展形態は、条件(d)、(b)及び(c)が満たされると、ジャミング放射源の警告に関する効果的なコンセプトを提供する。その結果、この発展形態のコンセプトにより、ジャミング放射源が通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることを警告又は指示するメッセージを提供することができる。特に、警告レベルをバイアス比率パラメータの減分量に依存させることができる。また、警告レベルを閾値の大きさに依存させることもできる。警告レベルをノイズフロアを上回る広帯域電力の超過量に依存させることもできる。例えば、先行の第1時間と比較した後行の第2時間におけるバイアスパラメータの減分及び非バイアスパラメータの増分が大きくなればなるほど、警告レベルはより高くなるべきである。また警告レベルは閾値の増加と共に高くなるべきである。
【0053】
特に有利な実施の形態においては、ジャミング動作時に、警告メッセージ又は警報メッセージがユーザ機器自体に存在していることが考えられる。有利には、警告メッセージ又は警報メッセージをユーザ機器から遠隔的に、例えばユーザ機器へのインタフェースを有している評価ユニットによって提供することもできる。そのような評価ユニットは、上述したような本発明のコンセプトを実行するように構成されているアプリケーションを提供することができる。
【0054】
例えば、評価ユニットはメモリにおいて始動される評価プログラムであって良い。特に、評価ユニットはアプリケーションの一部であり、またこのアプリケーションによって推定された警報信号である。例えば警報信号を、ユーザ機器から間隔を空けて設けられており、またセルラ方式の無線ネットワークを介する通信手段を有しているアンテナから送信することができる。特に、コンピュータ等をセルラ方式の無線ネットワークに接続することができ、また警報信号の送信を処理することができる。
【0055】
警報メッセージのそのような遠隔起動の特に有利なコンセプトは、基本的にWO2007/019814の実施の形態において最も良く記述されており、このために、この刊行物は参照により本明細書に取り入れられる。
【0056】
本発明の有利な発展形態の第2のヴァリエーションは、通信ユーザ機器に影響を及ぼす非稼動状況は、先行の第1時間と比較して、後行の第2時間における非バイアスパラメータが減分されていることを要求するという問題から出発する。この場合、非稼動状況は通信ユーザ機器に影響を及ぼしていることを指示することができる。特に、この指示を評価ユニットのアプリケーション層に提供することができる。
【0057】
閾値(24dB)及びノイズレベル(−105dBm)に関する閾値の例示的なセットは下記の表に示されている。
【表1】
【0058】
特に有利な発展形態においては、後行の第2時間T2においてはバイアス比率パラメータが−24dBを僅かに下回るか、−24dB付近にあるのではなく、−24dBを遥かに下回っているかを検査することによって、ジャミング状況を非稼動状況と区別することができる。−24dBを僅かに下回るか、−24dB付近にあるという弱い判定基準では非稼動状況を示唆する傾向にあり、これに対し、−24dBを遥かに下回っているという、検出が顕著に弱い又は全く検出されないという強い判定基準はジャミング状況を示唆する。特に、ジャミング検出と非稼動検出の区別は、後行の第2時間において非バイアス受信広帯域電力(即ち、総受信広帯域電力)(RTWP)が、−105dBmを明らかに下回っているのではなく(例えば−111dBm等の値が測定された場合)、むしろ−105dBmを明確に上回っているか(例えば−40dBm等の値が測定された場合)を検査することによって可能である。前者では非バイアス受信広帯域電力RTWPが多かれ少なかれノイズレベルを下回る(上記の例においては−105dBm)ので非稼動状況が指示される傾向にあるが、これに対し、ジャミング状況は非バイアス受信広帯域電力の急激な増分を指示する。
【0059】
本発明のより完全な理解のために、以下では添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。詳細な説明は、本発明の有利な実施の形態とみなされるものを説明及び記述する。勿論、本発明の精神から逸脱することなく、形式的又は詳細の種々の修正及び変更を行うことができる。従って、本発明は本願において図示及び記述する正確な形式及び詳細に制限されるものでなければ、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている本発明全体に及ばないものでもない。更に、本発明を表す明細書、図面及び特許請求の範囲に記載した複数の特徴は単独でも組み合わせでも本発明にとって重要である。特に、特許請求の範囲におけるいずれの参照番号も本発明の範囲を制限するものではないと解される。「含む」と言う語句は他の構成要素又はステップを排除するものではない。「一つ」又は「ある」と言う語句は複数を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】CDMAを基礎としている無線ネットワークの構造の簡略化されたシンボリックな図を示す。
図2A】多重共有通信周波数チャネルにおいて擬似雑音チップCHIを提供するための、通信信号ユニットSUと擬似雑音拡散コードSCとの相関を説明する図を示す。
図2B】5MHzの周波数帯域におけるユーザ機器に関するベースノードステーション主要電力を概略的にシンボリックに示す。即ち、図1の無線ネットワークのCDMAコード主要方法を示す。
図2C図2Bに示したものと同一の状況を示すが、ここでは、5MHzの周波数帯域においてユーザ機器によって測定された図2Bのベースノードステーション主要電力の頂部におけるジャミング電力も含まれている。
図3】ジャミングに起因して検出できないCPICHと比較して検出可能なCPICHを有している、先行の第1時間及び後行の第2時間におけるユーザ機器主要電力を示す例示的な状況をより量的に示す。
図4】ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失を検出する方法の有利な実施の形態を説明するためのフローチャートを示し、本発明のコンセプトによれば、ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源と、ユーザ機器に影響を及ぼす有効範囲の損失に起因する非稼動状況とを区別するための条件が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1には、基本的に、セルラ方式の符号分割多重アクセス(CDMA)を基礎としている無線ネットワークRNが示されている。無線ネットワークRNにより、種々の送信器、ここではユーザ機器UEは、単一の通信チャネルを介して情報を同時に送信することができる。このことは種々のユーザ機器UEによる異なる周波数の帯域幅の共有を実現する。CDMAベースのネットワークはスペクトラム拡散技術を使用することができ、また特別なコーディング方式、例えば周波数分割多重FDD(frequency division duplex)モード又は時分割多重TDD(time division duplex)モードは同一の物理チャネルを介する複数のユーザの多重使用を実現する。スペクトラム拡散信号方式は通信しているデータよりも遥かに広いデータ帯域幅を有している。CDMAを基礎としている無線ネットワークRNは、少なくとも一つのベースノードステーション、ここでは例えばサービングベースノードステーションsBNS及び別のベースノードステーションBNSのセットを提供し、それらのベースノードステーションはユーザ機器UEの到達範囲内にある。例えば、sBNS#1のサービングセル#1カバレッジエリアCA1内の通信リンク1が、通信ユーザ機器#1と、割り当てられているサービングベースノードステーションsBNS#1との間に提供されている。ユーザ機器UE#1はベースノードステーションBNS#2のセルカバレッジエリアCA2内にも位置しているので、ベースノードステーションBNS#2とサービングベースノードステーションsBNS#1は、いずれもユーザ機器UE#1の到達範囲内にあるベースノードステーションの能動的なセットを形成する。この実施の形態においては、sBNS#1が最も強い通信リンク1を有している。
【0062】
通信リンク1は、通信ユーザ機器UE#1とサービングベースノードステーションsBNS#1との間での、複数の通信信号ユニットSUを含む信号の送信に適している。図2Aに例示的に示されているように、通信信号ユニットSUはスクランブリングコード演算の入力を形成し、その際、信号ユニットSUはサービングベースノードステーションsBNS#1のサービングセルカバレッジエリアCA1における擬似雑音拡散コードsSCと相関が取られている。スクランブリングコード演算の出力信号は、サービングスクランブリングコードsSCを用いて本来の信号ユニットSUを処理するスクランブリング暗号化によって形成された、いわゆる擬似雑音チップCHIである。このことは、従来技術から基本的に既知であるような加法的又は乗法的なスクランブリング演算によって実施される。
【0063】
その結果、擬似雑音チップCHIは図1の通信リンク1において示唆されているような多重共有通信周波数チャネルにおいて送信され、また、サービング擬似雑音拡散コードsSCがユーザ機器UE#1に既知である場合にのみ、この擬似雑音チップCHIをユーザ機器UE#1によって送受信することができる。スクランブリングコードSC、即ち擬似雑音拡散コードが既知であれば、信号ユニットをユーザUE#1によって送受信することができる。
【0064】
擬似雑音拡散コードSCは、いわゆるサービングダウンリンクチャネルsCPICHにおいて、図1に示されているようなサービング擬似雑音拡散コードsSCとして通信ユーザ機器UE#1によって受信される。CPICHは20ビットのデータを含んでおり、それらのデータはsBNSの第2のアンテナにおける送信のために、全て0であるか、又は、時空間送信ダイバーシチ(STTD;space time transmit diversity)が使用される場合には0と1が交互に続くパターンである。ベースノードステーションの第1のアンテナはCPICHに関して常に全て0を送信する。CPICHダウンリンクチャネルは一定の電力を有しており、且つ、既知のビットシーケンスである。その電力は通常の場合、総BNS送信電力の5%から15%の間である。一般的なCPICH電力は43dBmの典型的な総送信電力の10%である。CPICHを信号品質の測定に使用することができる。
【0065】
この実施の形態においては、ジャマーが通信周波数帯域内にある多重共有通信周波数チャネルと干渉することによってユーザ機器UE#1に影響を及ぼす。周波数帯域FBI〜FBIXXは既知であり、それぞれが約60MHzの帯域幅を有している。各周波数帯域は、それぞれが5MHzの帯域幅を有している複数の通信周波数チャネルを含んでいる。従って、各周波数チャネルに関して、110dBmのノイズフロアを174dBm/Hzの相対ノイズに基づき規定することができる。
【0066】
図2Bに示されているように、ジャミング領域外のユーザ機器UE#10に関する主要電力は、比較的小さいCPICH電力と、ユーザ機器専用の比較的大きい信号コード電力と、共有信号電力の主要部分とが合算されたものである。後者は通信周波数チャネルの同一の5MHz帯域幅にある種々のユーザ機器によって使用される。それにもかかわらず、サービングベースノードステーション及び別のベースノードステーションによって各ユーザ機器に提供される擬似雑音拡散コードに応じて、各ユーザ機器に関して情報を検索することができる。
【0067】
サービスベースノードステーション1のカバレッジエリアCA1内のユーザ機器の数が変化すると、共有信号電力も変化することが多い。しかしながら、共有信号電力が変化した場合でもユーザ機器UE#10はサービング擬似雑音拡散コードsSCを利用することができるので、ユーザ機器UE#10はサービングベースノードステーションsBNS#1との通信リンクを維持することができる。これは、共有信号電力が変化した場合であっても、それにもかかわらずCPICH電力をユーザ機器UE#10によって検出できることに基づく。CPICH電力は通常の場合、主要電力の上限を下回る24dBmよりも低い。従って、瞬時の24dBmの拡散コード利得値に基づき、CPICH電力及び擬似雑音拡散コードSCをユーザ機器UE#10によって通常の動作中に検出することができる。
【0068】
サービングノードステーションsBNS#1とユーザ機器UE#10と間の距離、例えばサービングノードステーションsBNS#1とユーザ機器UE10との間の距離が低減されると、セル選択判定基準電力パラメータEc/Io比率(一般的には受信信号コード電力CPICH RSCPと同様にCPICH Ec/Ioと表される)が増分し、従って、信号品質全体が向上することになる。しかしながら、例えばUE#20に向かって移動することによってUE#10とsBNS#1との距離が増加すると、バイアスパラメータEc/Io、即ち、sBNS#1の受信信号コード電力CPICH RSCPとCPIHC Ec/Ioの比率はBNS#2のものに比べて減分されるが、その代わりにBNS♯2に関するものは増分される。従って、その状況に基づき、UE#10からUE#20へと移動することによって、ソフトハンドオーバがsBNS#1とBNS#2との間で行なわれる可能性がある。この状況は例えば3GPP TS25.133に記載されている。
【0069】
それらの通常動作とは区別されて、通信周波数チャネルにおける干渉は、ジャマーJの存在に起因する、図1に示されている状況である。ジャマーの存在によって、ユーザ機器UE#1においては、図2Cに示されているような受信主要出力が生じる。CPICH電力、専用信号コード及び共有信号電力に付加的に、図2Bの主要電力の頂部においては大量のジャミング電力がUE#1によって検出される。従って、図2Cから既に容易に見て取れるように、CPICH電力は拡散コード利得にはもはや存在せず、従ってもはや検出することはできない。この状況は、TS25.133、4.2.2.1章に記載されているような、非稼動状況とは区別される。即ち、ここで説明する図1及び図2Cの状況においては、バイアスパラメータを検出することはできないが、その一方で非バイアスパラメータは増分している。この増分はジャマーJのジャミング電力に起因している。「非稼動エリア」状態においては、非バイアスパラメータは減分し、バイアスパラメータも同様に減分する。
【0070】
従って本発明のコンセプトによれば、この状況は、通信ユーザ機器UE#1における通信ユーザ機器受信器の帯域幅内にある非バイアス受信帯域幅電力も測定されるときに、ユーザ機器UE#1に影響を及ぼすジャミング放射源を検出する効果的なコンセプトを提供するために使用することができる。バイアスパラメータ、即ちEc/Io及びRSCCIを検出することができず、且つ、非バイアスパラメータが増分しているという条件の検査に基づき、ジャミング放射源の第1の指示が得られる。しかしながら、この結果を強固なものにするために、第3の条件が本発明のコンセプトに応じて満たされなければならない。
【0071】
図3から最も良く見て取れるように、非バイアスパラメータの増分した値は、所定の閾値Xよりも大きく基本ノイズフロアを上回ることが検査されなければならない。ここで、閾値Xは受信可能な擬似雑音拡散コードの確認にとって十分なものである調整可能な大きさである。このケースにおいては、擬似雑音拡散コード利得値は24dBmの大きさを有している。
【0072】
図3の左側は、図2Bに既に示した状況を定量的に表している先行の第1時間に対応する。図3の右側は、図2Bに既に示した状況を定量的に表している後行の第2時間に対応する。従って、図3は例えばUE#10からUE#1への移動を表している。両ケースに関する図3におけるノイズフロアは174dBm/Hz及び5MHzの周波数帯域FBIにそれぞれ対応する−110dBmに位置しており、周波数帯域FBIは1920−1980MHzの間のアップリンク周波数と、2110−2170MHzの間のダウンリンク周波数とを有しており、二重距離(duplex distance)は190MHzであり、またチャネル幅は5MHzである。
【0073】
先行時点においては、CPICHを依然として検出することができ、また、CPICH電力は約−90dBmに位置しており、従って、−80dBmにおける非ジャミング状況に関して示される総広帯域電力WBpを10dBm下回っている。従って、CPICHチャネル電力は−24dBmの拡散コード利得内にある。CPICH電力は−104dBmまでは検出することができる。
【0074】
通信ユーザ機器UE#1のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内の非バイアス受信広帯域電力WBpがジャマーJのジャミング電力出力に起因して増分すると、この状況は変化する。この状況は後行の第2時間t2に示されており、CPICHはジャミングに起因してもはや検出することができない。既に概要を述べたように、先行の第1時間と比較すると、後行の第2時間t2における最大受信広帯域電力WBpは、図3の左側と右側との間の点線の矢印によって示されているように増分している。従って、特許請求の範囲及び上記において説明したような条件(b)の検査の結果は肯定される。更には、非バイアス受信広帯域電力WBpの増分した値は、閾値Xよりも大きく、即ち24dBmの拡散コード利得値よりも大きく、基本ノイズフロアNFを上回る。従って、特許請求の範囲の条件(c)は満たされている。他方では、−90dBmにおけるCPICH電力は広帯域電力から拡散コード利得を減算したものよりも遥かに下回っており、即ち−64dBmから遥かに下回っているので、Ec/Io比率もRSCP受信信号コード電力も検出することはできない。従って、特許請求の範囲に記載した条件(a)の検査の結果は肯定される。
【0075】
従って、後行の時間t2における状況はジャミング状況である。また図3の右側は、それどころか、上述したような肯定された条件(c)が必要であることを示している。非バイアス受信広帯域電力の増分した値がノイズフロアを超えて24dBよりも小さい場合には、これは依然として時間t1及び時間t2における非稼動エリア状況から生じることが考えられる。
【0076】
ここでは図示していない更に別の実施の形態においては、広帯域電力WBpが図3における破線の矢印における二重のスラッシュを下回る限りは、ユーザ機器UE#10からアプリケーションに、また特に、少なくとも一つのベースノードステーションのセットのいずれかへとジャミングを指示するメッセージを提供することによって警告を出力することができる。この場合、擬似雑音拡散コードに関するサービングダウンリンクチャネルsCPICHにおけるバイアスパラメータ、即ちEc/Io及びRSCPを依然として、t1とt2との間の後行の時間tにおいて検出することができる。しかしながら、それにもかかわらず、それぞれが顕著に減分しており、例えば先行の第1時間t1と比較して、90%よりも大きく減分している。この場合、警告レベルをノイズフロアNFを超える広帯域電力の超過量に依存して設定することができる。例えば、低警告レベルWLlowを時間t’において設定することができ、高警告レベルWLhighを時間t''において設定することができる。広帯域電力WBpが二重のスラッシュを超える後行の時間においては、CPICH電力はもはや拡散コード利得内にはなく、ジャミングはUE#1からsBNS#1への通信リンクを遮断している。このケースにおいて、条件(a)、(b)及び(c)は満たされており、またジャミング放射源は通信ユーザ機器UE#1に影響を及ぼしている。ジャミングを指示するメッセージをユーザ機器UE#1からアプリケーションに提供することができ、またアプリケーションは更に警告メッセージを提供することができる。警告メッセージをネットワーク局又は制御局の他のアイテムへと導くことができる。
【0077】
警告レベルは閾値Xの大きさと共に増分するものであっても良い。例えば、閾値が比較的低い場合には警告レベルを主として高くすることができ、この場合拡散コード利得はむしろ低く、またジャミングは閾値が高いケースよりも効果的に通信リンクを遮断する可能性がある。
【0078】
本発明の上述の実施の形態は、特に、通信ユーザ機器に影響を及ぼすジャミング放射源を検出する方法に関し、この通信ユーザ機器UE及び複数のベースノードステーションBNSはセルラ方式の符号分割多重アクセスCDMAを基礎としている無線ネットワークRNの構成要素であり、ここで、
通信信号ユニットSUは、サービングベースノードステーションsBNSのサービングセルカバレッジエリアCAにおける擬似雑音拡散コードSCと相関が取られ、擬似雑音チップCHIとして、スペクトル的に通信周波数帯域FB I−XIXの上限周波数と下限周波数との間に位置する多重共有通信周波数チャネルにおいて送信され、また、
擬似雑音拡散コードSCは通信ユーザ機器UEによって、サービングダウンリンクチャネルsCPICHにおいて、前述のサービングベースノードステーションBNSからのサービング擬似雑音拡散コードsSCとして受信される。
【0079】
図4には、通信ユーザ機器に影響を及ぼすサービスアベイラビリティの損失を検出し、また、ジャミング状況と非稼動状況とを区別する、特に有利な実施の形態のフローチャートが示されている。
【0080】
開始点(S)に続いて、先行の第1時間t1における第1のステップにおいては、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける受信電力にとって有意な少なくとも一つのチャネルバイアスパラメータbPが測定され、更に非バイアスパラメータubPが通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける通信ユーザ機器受信器の帯域幅内において測定される。この場合、非バイアスパラメータubPは、所定の受信器帯域幅内の非バイアス受信広帯域電力(又は総電力)RTWP又はIoである。
【0081】
この実施の形態においては、二つのバイアスパラメータbPが測定される。即ち、通信ユーザ機器のアンテナコネクタの総電力に相対的な擬似雑音チップ当りの電力にとって有意なEc/Ioパラメータの形態の比率パラメータが測定される。更には、絶対パラメータ、即ち、通信ユーザ機器のアンテナコネクタにおける信号電力にとって有意なRSCPパラメータがバイアスパラメータbPとして測定される。
【0082】
この実施の形態は、上述のようなバイアスパラメータbPを測定するための二つのオプションを提供する。一つの可能性は、通信パイロットチャネルCPICHにおけるバイアスパラメータbPの測定であり、この場合、サービングダウンリンクチャネルにおいては擬似雑音拡散コードがベースノードステーションBNSから通信ユーザ機器によって受信される。
【0083】
また、択一的又は付加的に、バイアスパラメータをサービングダウンリンクチャネル、ここでは専用物理チャネルDPCHにおいて測定することができ、この場合、ユーザデータ及び/又は制御データが前述のサービングベースノードステーションBNSから通信ユーザ機器によって受信される。アップリンクにおける専用物理チャネルは、論理的な分割において、ユーザデータの送信のための専用物理データチャネルDPDCHとして、また制御データを送信するための専用物理制御チャネル(DPCCH)として使用される。ダウンリンクにおいてはユーザデータ及び制御データが時間多重又は周波数多重されて受信される。
【0084】
CPICH並びにDPCHにおけるバイアスパラメータbPの測定は有利には、バイアスパラメータの測定がCPICHにおいてのみ、もしくは択一的にはDPCHにおいてのみ可能であり、またジャミング状況のステートメントと非稼動状況のステートメントを確実に区別することもでき、且つ、そのような確実な区別には十分であるにもかかわらず、サービスアベイラビリティの損失を検出する方法の信頼性を改善することができる。ジャミング状況及び非稼動状況での先行の第1時間t1におけるバイアス比率パラメータCPICH Ec/Ioの測定の例示的な結果は下記の表に示されている。また非バイアスパラメータubPの一例として、先行の第1時間t1における受信総広帯域電力RTWPも以下の表に示されている。詳細に関しては、本明細書の上記の概要を参照されたい。
【表2】
【0085】
更なるステップS2においては、同様の測定が後行の第2時間t2に関して繰り返される。一方ではジャミング状況の対応する値、また他方では非稼動状況の対応する値が表の列t2に示されている。
【0086】
後続のステップS3においては、一連の第1の検査ステップS3.1及び第2の検査ステップS3.2が行われる。ステップS3.1及びステップS3.2においては、先行の第1時間t1と比較して、後行の第2時間t2においてはバイアスパラメータbPを検出できない、又はバイアスパラメータbPが弱く検出されるという条件が検査される。従って、この実施例においては、ステップS3.1においては後行の第2時間におけるEc/Ioパラメータが、またステップS3.2においては後行の第2時間におけるRSCPパラメータが先行の第1時間t1における対応する値よりも低い場合には、「Yes」を表す分岐Yに進み、システムはサービスアベイラビリティの何らかの種類の損失を指示することができる。これに対し、バイアスパラメータbPが依然として十分な強さで検出できる場合には、「No」を表す分岐Nに進み、プロセスを終了点(E)において停止することができるか、又は、開始点(S)に戻り繰り返すことができる。
【0087】
「Yes」の分岐Yに続く第2の検査ステップS4においては、後行の第2時間t2における非バイアスパラメータubPが先行の第1時間t1と比較して変化しているという条件が検査される。第1の検査ステップS4.1においては、後行の第2時間t2における非バイアスパラメータが先行の第1時間t1に比べて増分しているという条件が検査される。増分している場合には、システムはジャミング状況を指示することができる。第2の検査ステップS4.2においては、後行の第2時間t2における非バイアスパラメータが先行の第1時間t1に比べて減分しているという条件が検査される。従って、ステップS4.2に示されているように、非バイアスパラメータubP、ここでは総受信広帯域電力RTWPが減分している場合には、プロセスは非稼動状況を指示することができる。この実施の形態においては、非稼動状況の更なる確認のために、総受信広帯域電力RTWPがノイズフロアの近くにあるか、又はノイズフロアを下回るかが検査される。
【0088】
全ての終了点(E)から、プロセスを反復的に繰り返すことができる。即ち、開始点(S)から再びプロセスを開始することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4