特許第5693742号(P5693742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693742
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】エンジンの吸気制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/32 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F02D33/00 318A
   F02D33/00 318G
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-539659(P2013-539659)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2012076800
(87)【国際公開番号】WO2013058271
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2011-230972(P2011-230972)
(32)【優先日】2011年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 大地
(72)【発明者】
【氏名】中次 幸一
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−114997(JP,A)
【文献】 国際公開第01/98644(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 69/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルボディ(2)に設けられてスロットルバルブ(7)で開閉される吸気道(3)と,スロットルバルブ(7)より上流の吸気道(3)に開口する入口孔(18a)及び前記スロットルバルブより下流の吸気道(3)に開口する出口孔(18d)とを両端部に有するバイパス(18)と,このバイパス(18)の一部であって前記出口孔(18d)に連なる計量孔(18c)が開口するバルブシート面(20a)を一内側面に有するバルブガイド孔(20)と,このバルブガイド孔(20)に摺動可能且つ回転不能に嵌装されて前記計量孔(18c)を開閉するバイパスバルブ(30)と,このバイパスバルブ(30)をねじ機構(33)を介して開閉駆動するモータ(27)とを備えてなる,エンジンの吸気制御装置において,
前記バイパスバルブ(30)を,底壁(30d)と,この底壁(30d)の両側端から立ち上がる両側壁(30c,30c)と,前記底壁(30d)の両端より起立する第1及び第2端壁(30a,30b)とよりなっていて,前記底壁(30d)と対向する面を開放面(30e)とした箱形に構成すると共に,このバイパスバルブ(30)を前記バルブガイド孔(20)に摺動自在に嵌装し,
前記バイパスバルブ(30)内に,前記開放面(30e)からスライドピース(34)と,前記第1端壁(30a)で支承されて前記スライドピース(34)を前記第2端壁(30b)との当接方向へ付勢するコイルばね(38)とを収容し,
前記第2端壁(30b)には,前記スライドピース(34)の回り止め突起(34c)に係合してスライドピース(34)の回転を阻止する規制溝(37)を設け,
前記ねじ機構(33)を,前記スライドピース(34)に設けられるねじ孔(42)と,前記モータ(27)の回転出力軸(27b)に一体に連設されて前記ねじ孔(42)に螺合するねじ軸(35)とで構成したことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のエンジンの吸気制御装置において,
前記計量孔(18c)が開口する前記バルブガイド孔(20)の内側面を平面状のバルブシート面(20a)に形成し,このバルブシート面(20a)に,前記バイパスバルブ(30)の底壁(30d)の平面状の外面を摺動可能に接触させて,前記バルブガイド孔(20)に対する前記スライドピース(34)の回転を阻止するようにしたことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエンジンの吸気制御装置において,
前記スライドピース(34)に,前記ねじ孔(42)の内端が開口する横孔(36)を設け,この横孔(36)の奥側の内面に前記ねじ軸(35)の先端部を当接させることで,前記バイパスバルブ(30)の全開位置を規制するようにしたことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの吸気制御装置において,
前記スライドピース(34)と前記第2端壁(30b)との当接面(41,41′)を,前記コイルばね(38)の荷重によりそれら当接面(41,41′)間に前記バイパスバルブ(30)を,前記計量孔(18c)が開口する前記バルブガイド孔(20)の内側面のバルブシート面(20a)側に押圧する分力が発生するよう斜面に形成したことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気道と,スロットルバルブより上流の吸気道に開口する入口孔及び前記スロットルバルブより下流の吸気道に開口する出口孔とを両端部に有するバイパスと,このバイパスの一部であって前記出口孔に連なる計量孔が開口するバルブシート面を一内側面に有するバルブガイド孔と,このバルブガイド孔に摺動可能且つ回転不能に嵌装されて前記計量孔を開閉するバイパスバルブと,このバイパスバルブをねじ機構を介して開閉駆動するモータとを備えてなる,エンジンの吸気制御装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるエンジンの吸気制御装置は,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2009−114997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のかゝるエンジンの吸気制御装置では,モータの回転出力軸とバイパスバルブとの間に製作誤差による偏心があっても,その偏心を吸収して,モータの回転出力軸によるバイパスバルブの開閉作動をスムーズにさせるために,ねじ機構の雌ねじ部材とバイパスバルブとの間をオルダムジョイントを介して連結される。しかしながら,上記オルダムジョイントは,部品点数が多く,構造が複雑であるため,吸気制御装置のコスト低減の障害となっている。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,複雑なオルダムジョイントを用いることなく,モータの回転出力軸とバイパスバルブとの間の偏心を吸収し得るようにした,構造簡単な前記エンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気道と,スロットルバルブより上流の吸気道に開口する入口孔及び前記スロットルバルブより下流の吸気道に開口する出口孔とを両端部に有するバイパスと,このバイパスの一部であって前記出口孔に連なる計量孔が開口するバルブシート面を一内側面に有するバルブガイド孔と,このバルブガイド孔に摺動可能且つ回転不能に嵌装されて前記計量孔を開閉するバイパスバルブと,このバイパスバルブをねじ機構を介して開閉駆動するモータとを備えてなる,エンジンの吸気制御装置において,前記バイパスバルブを,底壁と,この底壁の両側端から立ち上がる両側壁と,前記底壁の両端より起立する第1及び第2端壁とよりなっていて,前記底壁と対向する面を開放面とした箱形に構成し,このバイパスバルブ内に,前記開放面からスライドピースと,前記第1端壁で支承されて前記スライドピースを前記第2端壁との当接方向へ付勢するコイルばねとを収容し,前記第2端壁には,前記スライドピースの回り止め突起に係合してスライドピースの回転を阻止する規制溝を設け,前記ねじ機構を,前記スライドピースに設けられるねじ孔と,前記モータの回転出力軸に一体に連設されて前記ねじ孔に螺合するねじ軸とで構成したことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記計量孔が開口する前記バルブガイド孔の内側面を平面状のバルブシート面に形成し,このバルブシート面に,前記バイパスバルブの底壁の平面状の外面を摺動可能に接触させて,前記バルブガイド孔に対する前記バイパスバルブの回転を阻止するようにしたことを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記スライドピースに,前記ねじ孔の内端が開口する横孔を設け,この横孔の奥側の内面に前記ねじ軸の先端部を当接させることで,前記バイパスバルブの全開位置を規制するようにしたことを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記スライドピースと前記第2端壁との当接面を,前記コイルばねの荷重によりそれら当接面間に前記バイパスバルブを,前記計量孔が開口する前記バルブガイド孔の内側面のバルブシート面側に押圧する分力が発生するよう斜面に形成したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,スライドピース及びバイパスバルブは,回り止め突起と規制溝との係合部において上下方向に相対変位が可能であり,またバイパスバルブとバルブガイド孔との間には,バイパスバルブの横幅方向への変位を可能にする間隙が存在するので,モータの回転出力軸及びバイパスバルブ間に製作誤差による偏心があっても,スライドピースの上下方向変位及びバイパスバルブの横幅方向変位により上記偏心を吸収することができ,したがって複雑なオルダムジョイントを使用せずに,バイパスバルブをこじることなくバルブガイド孔内をスムーズに摺動させることができる。その上,スライドピース及びバイパスバルブ間を軸方向に連結するコイルばねの固定端は,バイパスバルブの第1端壁で支承されるので,その固定端を支承する専用のリテーナ部材も不要となるから,部品点数の削減及び構造の簡素化をもたらすことができる。
【0011】
また吸気制御装置の組み立てに際して,開放面を有する箱形のバイパスバルブ内に,その開放面からスライドピースをコイルばねと共に収納してから,バイパスバルブをバルブガイド孔に嵌装すれば,バイパスバルブの上方開放面はバルブガイド孔の上側面で閉鎖されるから,ガイドピースの前記上方開放面からの離脱を防ぐことができ,したがってガイドピースの特別な離脱防止手段が不要であり,組立性を良好にすると共に,構造の簡素化を図ることができる。しかも,開放面を有する箱形のバイパスバルブ内の収容空間は,開放面を有する分,広い横断面を持つことになるので,バイパスバルブのコンパクト化を図りながら,その収容空間にコイルばね及びスライドピースを容易に収容することができる。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば,バルブガイド孔のバルブシート面とバイパスバルブとの平面接触によって,バイパスバルブのバルブガイド孔内での回転を簡単に阻止でき,ねじ機構の作動を確実にさせることができる。またバルブガイド孔のバルブシート面とバイパスバルブとの平面接触によれば,バルブガイド孔内でバイパスバルブが横幅方向に移動することがあっても,バイパスバルブにより調節された計量孔の開度に変動を生じさせることはない。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば,バルブボディに,ねじ孔の内端が開口する横孔を設け,この横孔の奥側の内面にねじ軸の先端部を当接させるという極めて簡単な構造によりバイパスバルブの全開位置を規制することができる。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば,前記コイルばねのセット荷重を利用して,バイパスバルブを,計量孔の上流端が開口するバルブガイド孔のバルブシート面に押しつけることができ,したがって振動によるバイパスバルブの浮き上がりを防ぎ,計量孔の開度調節を精確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の実施形態に係るエンジンの吸気制御装置をエンジンへの取り付け状態で示すもので,(A)は側面図,(B)はエアクリーナを取り除いて示す背面図である。(第1の実施の形態)
図2図2図1(A)の2−2線断面図である。(第1の実施の形態)
図3図3図2の3−3線断面図である。(第1の実施の形態)
図4図4図2の要部の分解斜視図である。(第1の実施の形態)
【符号の説明】
【0016】
2・・・・・スロットルボディ
3・・・・・吸気道
7・・・・・スロットルバルブ
18・・・・バイパス
18a・・・入口孔
18c・・・計量孔
18d・・・出口孔
20・・・・バルブガイド孔
20a・・・バルブシート面
27・・・・モータ(電動モータ)
30・・・・バイパスバルブ
30a・・・第1端壁(前端壁)
30b・・・第2端壁(後端壁)
30e・・・開放面
33・・・・ねじ機構
34・・・・スライドピース
34c・・・回り止め突起
35・・・・ねじ軸
36・・・・横孔
37・・・・規制溝
38・・・・コイルばね
41,41′・・・当接面
42・・・・ねじ孔
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。
【第1の実施の形態】
【0018】
先ず,図1において,自動二輪車の車体に搭載されたエンジンEに吸気管1を介してスロットルボディ2が取り付けられる。このスロットルボディ2は,吸気管1を通してエンジンEの吸気ポートに連通する吸気道3を中心部に有する。スロットルボディ2の上流端にはエアクリーナ4が接続され,吸気管1には,エンジンEの吸気ポートに向けて燃料を噴射し得る燃料噴射弁5が装着される。スロットルボディ2は,エンジンEへの取り付け状態において,吸気道3の軸線Aが水平面Hに対して上流側を上向きにした角度θをなすように傾斜して配置される。
【0019】
スロットルボディ2の中間部には,吸気道3の軸線Aと直交して水平に配置されるバルブ軸6が回転自在に支承され,このバルブ軸6には,吸気道3を開閉するバタフライ型のスロットルバルブ7が固着される。バルブ軸6の一端には,スロットル操作部材(図示せず)に連なる操作ワイヤを接続するスロットルドラム8が固着され,このスロットルドラム8と反対側のスロットルボディ2の側面にセンサボックス9が取り付けられる。このセンサボックス9には,スロットルバルブ7の開度を検知するスロットルセンサ10,吸気道3の下流側のブースト負圧を検出する負圧センサ11,並びにこれらセンサの出力信号や,その他エンジンEの運転情報を得て後述する電動モータ27の作動を制御する電子制御ユニット12が収められる。
【0020】
図1及び図2において,スロットルボディ2の上側壁には支持台15が一体に形成される。この支持台15には,吸気道3の軸線Aと平行な上向きの取り付け面15aが形成され,その取り付け面15aにバルブボディ16が重ねられ,そしてボルト17により支持台15に締結される。
【0021】
支持台15及びバルブボディ16には,スロットルバルブ7を迂回して吸気道3の上流部及び下流部間を連通するバイパス18が形成される。このバイパス18は,スロットルバルブ7より上流の吸気道3に開口するように支持台15からバルブボディ16にかけて設けられる入口孔18aと,この入口孔18aに隣接するようにバルブボディ16から支持台15にかけて設けられる計量孔18cと,入口孔18a及び計量孔18c間を連通するようバルブボディ16に設けられる連通孔18bと,計量孔18cをスロットルバルブ7より下流の吸気道3に連通するよう支持台15に設けられる出口孔18dとで構成される。而して,スロットルバルブ7の全閉時,バイパス18を流れるエンジンEの吸気は,入口孔18a,連通孔18b,計量孔18c出口孔18dを順次通過することになる。取り付け面15aとバルブボディ16の下面との間には,バイパス18の各部を囲むシール部材19が介装される。
【0022】
さらにバルブボディ16には,計量孔18cの上流側開口端を横切りながら連通孔18bの下流端部と一部が重なるバルブガイド孔20が設けられる。図示例では,バルブガイド孔20は,前記バルブ軸6と平行に配置されるが,前記吸気道3の軸線Aと平行に配置してもよい。
【0023】
またバルブボディ16の一端部には円筒状のモータハウジング21が一体に連設され,このモータハウジング21には,バルブガイド孔20の開放端に環状段部22を介して連なるモータ装着孔23と,このモータ装着孔23の開放端に連なる,それより大径で環状のシール凹部24とが設けられる。
【0024】
図2図4において,バルブガイド孔20には,モータ装着孔23側からバイパスバルブ30が摺動自在に嵌装される。これらバルブガイド孔20及びバイパスバルブ30は,断面が方形をなしていて,バルブガイド孔20内でのバイパスバルブ30の回転を不能にしている。
【0025】
この方形断面のバルブガイド孔20は,先端が前記連通孔18bの中間位置で終っていて,その各一辺の長さが円形断面の連通孔18bの内径より長くなっている。したがって,バルブガイド孔20の前端壁は,連通孔18bの中間部内周から起立する肩部20bを形成することになる。
【0026】
モータ装着孔23には電動モータ27の固定円筒部27aが嵌装され,シール凹部24には,固定円筒部27aの基端外周面に密接するOリング28が装着される。その際,固定円筒部27aの端面と環状段部22との間には,固定円筒部27aの端面より突出する回転出力軸27bの外周面に密接する円板状のシール部材29が挟持される。そして電動モータ27はモータハウジング21にボルト30により締結される。電動モータ27は,その側方に突出するカプラ31を備えている。
【0027】
電動モータ27の回転出力軸27bは,ねじ機構33を介してバイパスバルブ30に連結される。ねじ機構33は,バイパスバルブ30に回転不能に支持され,中心部にねじ孔42を有するスライドピース34と,前記回転出力軸27bに一体に連設されてスライドピース34のねじ孔42に螺合されるねじ軸35とで構成される。而して,回転出力軸27b即ちねじ軸35を回転すれば,回転不能のスライドピース34は軸方向に送られ,このスライドピース34がバイパスバルブ30を全閉位置と全開位置との間で軸方向に移動させることができる。バイパスバルブ30の全閉位置は,バイパスバルブ30が前記肩部20bに当接して計量孔18cの上流端を閉鎖する前進位置であり,バイパスバルブ30の全開位置は,バイパスバルブ30が計量孔18cの上流端を全開にする後退位置である。
【0028】
図2及び図4に明示するように,スライドピース34の前端部には,これを横幅方向に貫通する横孔36が穿設され,前記ねじ孔42の先端は,この横孔36に開口して終わっている。
【0029】
一方,前記ねじ軸35は,その先端部が球状端部35cに形成され,その球状端部35cが横孔36の円筒状内面に当接することで,バイパスバルブ30の前記全開位置が規制されるようになっている。
【0030】
バイパスバルブ30は,前記肩部20bに対向する前端壁30aと,電動モータ27側の後端壁30bと,この両端壁30a,30b間を一体に連結して相対向する側壁30c,30c及び底壁30dとよりなっていて,上面を開放面30eとした箱形をなしている。その底壁30dの下面は平坦面になっており,後端壁30bには,これを軸方向及び上下方向に貫通する規制溝37が設けられる。
【0031】
一方,スライドピース34は,バイパスバルブ30内に配置される円筒部34aと,この円筒部34aの後端に形成されて,前記後端壁30bの内面に当接するストッパフランジ34bと,このストッパフランジ34bの後端面に突設されて規制溝37に摺動自在に面接触する回り止め突起34cとよりなっており,ストッパフランジ34b及び規制溝37の対向面間には間隙44が設けられる。したがって,スライドピース34及びバイパスバルブ30は,上下方向Y及び横幅方向Xに相対変位が可能になっている。
【0032】
また前記前端壁30aとストッパフランジ34bとの間には,スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38が縮設される。このコイルばね38は,そのセット荷重によりバイパスバルブ30を,ストッパフランジ34bと後端壁30bとの当接位置に保持するもので,これによりスライドピース34及びバイパスバルブ30間を常に軸方向にガタ無く連結する。
【0033】
またバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20においては,バイパスバルブ30のバルブシート面20aから浮き上がりを防ぐべく,上下方向Yの間隙39はバイパスバルブ30の摺動を可能にする範囲で極力小さく管理されるが,バイパスバルブ30の横幅方向Xの変位は,バイパスバルブ30のバルブシート面20aからの浮き上がりに影響しないので,横幅方向Xの間隙40については比較的ラフな管理が可能となる。
【0034】
前記ストッパフランジ34bと後端壁30bとの当接面41,41′は,下方に向かってコイルばね38側に寄るように傾斜しており,したがって,両当接面41,41′がコイルばね38のセット荷重で互いに押圧されると,両当接面41,41′間に後端壁30b即ちバイパスバルブ30を下方に押圧する分力が発生し,これによりバイパスバルブ30を,計量孔18cの上流端が開口するバルブガイド孔20のバルブシート面20aに押しつけるようになっている。しかも,バルブガイド孔20及びバイパスバルブ30は,横断面が方形をなしていて,それぞれの下側面が平面になっているので,バルブガイド孔20及びバイパスバルブ30間の前記間隙40の範囲内でバイパスバルブ30がその軸線と直交する横幅方向Xに移動することがあっても,バイパスバルブ30により調節された計量孔18cの開度に変動を生じさせることはない。
【0035】
スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38には,前記横孔36を覆う密着巻き部38aが形成される。
【0036】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0037】
スロットルバルブ7の全閉時,スロットルボディ2の一側面に取り付けられたセンサボックス9内の電子制御ユニット12が,スロットルバルブ開度,エンジンの吸気負圧,吸気温,エンジン温度,エンジン回転数等のエンジンの運転条件に関する情報に基づいて,エンジン始動時,ファストアイドリング時,通常アイドリング時,エンジンブレーキ時など,エンジンの運転条件に対応したバイパスバルブ25の最適開度を得るべく,電動モータ28への通電を制御して,電動モータ27の回転出力軸27bを正転又は逆転させる。ロータ28aが回転又は逆転すると,その回転はねじ機構27により減速されながらスライドピース34を介してバイパスバルブ25に軸方向変位として伝達されるので,バイパスバルブ25の開度調節をきめ細かく行うことができる。
【0038】
而して,ねじ機構33のねじ軸35がバイパスバルブ30を後方へ引き寄せて,その先端の球状端部35aをバイパスバルブ30の横孔36の内面に突き当てることで,バイパスバルブ30の全開位置(図2参照)が規制され,このとき計量孔18cは全開となる。またねじ機構33のねじ軸35がバイパスバルブ30を前方へ送り出して,バイパスバルブ30の前端をバルブボディ16の肩部20bに当接させることで,バイパスバルブ30の全閉位置が規制され,このとき計量孔18cは全閉となる。そしてバイパスバルブ30の上記全開位置及び全閉位置間の中間位置により計量孔18cの開度が調節される。この計量孔18cの開度により,バイパス15を流れる吸気量がきめ細かく制御され,エンジン始動,ファストアイドリング,通常アイドリング,エンジンブレーキ等に対応することができる。
【0039】
スロットルバルブ7を開放していけば,その開度に応じた量の吸気が吸気道3を通してエンジンに供給され,エンジンは出力運転域に移っていく。
【0040】
ところで,スライドピース34及びバイパスバルブ30はコイルばね38により軸方向にガタ無く連結され,バイパスバルブ30はスライドピース34の軸方向移動に遅れなく追従することができる。しかも,スライドピース34及びバイパスバルブ30は,回り止め突起34cと規制溝37との面接触部において上下方向Y及び横幅方向Xにおいて相対変位が可能であるから,バルブガイド孔20内でバルブシート面20aに密着するバイパスバルブ30に対して,製作誤差により電動モータ27の回転出力軸27bが偏心していても,バイパスバルブ30に対するスライドピース34の上下方向Y及び横幅方向Xの変位により上記偏心を吸収することができる。したがって,構造が複雑なオルダムジョイントを用いずとも,電動モータ27の回転出力軸27b及びバイパスバルブ30に偏荷重が作用することを防ぐことができるので,バイパスバルブ30をバルブシート面20aに密着させた適正な姿勢をもってスムーズに摺動させることができる。
【0041】
またスライドピース34及びバイパスバルブ30間を軸方向に連結するコイルばね38の固定端は,バイパスバルブ30の前端壁30aで支承されるので,その固定端を支承する専用のリテーナ部材も不要となり,以上により吸気制御装置の部品点数の削減及び構造の簡素化をもたらすことができる。
【0042】
また,バルブガイド孔20の下側面が,スロットルバルブ7より下流の吸気道3に連なる計量孔18cが開口するバルブシート面20aになっているので,バイパスバルブ30は,中間開度ないし全閉の位置にあるとき,重力と,エンジンEの吸気負圧の作用とによりバルブシート面20aに確実に密着することができる。
【0043】
さらに,スライドピース34のストッパフランジ34bと,バイパスバルブ30の後端壁30bとの当接面41,41′は,下方に向かってコイルばね38側に寄るように傾斜していて,コイルばね38のセット荷重を受けると,バイパスバルブ30を下方に押圧する分力を発生させるので,これによってもバイパスバルブ30はバルブシート面20aに押しつけられ,バルブシート面20aにより確実に密着することができ,したがって振動によるバイパスバルブ30の浮き上がりを防ぎ,計量孔18cの開度調節を精確に行うことができる。
【0044】
またバイパスバルブ30の全開位置の規制は,バイパスバルブ30自体に設けられる横孔36の円筒状内周面にねじ軸35の球状端部35aが当接することで規制されるので,その規制専用のストッパ部材をバイパスバルブ30に設ける必要がなく,部品点数の削減及び構造の簡素化に寄与し,コストの低減を図ることができる。
【0045】
しかも,ねじ軸35の球状端部35aと横孔36の円筒状内周面との当接部は,接触面積が比較的広い面接触となるので,その当接部の面圧を低く抑えてその耐摩耗性を高め,バイパスバルブ30の全開位置精度を長期にわたり適正に維持することができる。
【0046】
上記ねじ軸35が螺合するねじ孔42をスライドピース34に加工する際には,それに先立ってねじ孔42の下孔と横孔36とを交差するようにドリル加工し,その後,上記下孔にねじ孔をリーマ加工するもので,そうすることにより,ねじ孔42の加工不足を確実に防ぐことができるのみならず,その際に発生する切粉を横孔36からスムーズに排出することができ,またねじ孔42の洗浄時には,残留する切粉を横孔36からスムーズに排出することができるので,高精度のねじ孔42を得ることができる。
【0047】
スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38には,横孔36を覆う密着巻き部38aが形成されるので,この密着巻き部38aにより,バイパスバルブ30内に侵入した異物の横孔36への侵入を防ぐことができ,したがって異物のねじ孔42及びねじ軸35の螺合部への侵入を特別なカバーを用いることなく防ぐことができ,ねじ機構33のスムーズな作動が保証される。
【0048】
この吸気制御装置の組み立てに際しては,先ずコイルばね38を装着したスライドピース34を,コイルばね38を縮めながらバイパスバルブ30内にその開放面30eから収納して,スライドピース34の回り止め突起34cをバイパスバルブ30の規制溝37に係合しながら,ストッパフランジ34bをバイパスバルブ30の後端壁30b内面に当接させる。それからシール部材29及びOリング28を装着した電動モータ27側のねじ軸35をスライドピース34のねじ孔42に螺合して,電動モータ27及びバイパスバルブ30の組立体を構成する。尚,最初にスライドピース34のねじ孔42にねじ軸35を螺合し,その後,スライドピース34をコイルばね38と共に,バイパスバルブ30内に開放面から収納してもよい。何れにせよ,バイパスバルブ30及びスライドピース34相互の組み立てが容易であり,延いては電動モータ27及びバイパスバルブ30の組立体の組立性が向上する。
【0049】
次に,上記組立体のバイパスバルブ30をバルブボディ16のバルブガイド孔20に嵌装する。このとき,バイパスバルブ30の開放面30eはバルブガイド孔20の上側面で閉鎖されるから,バイパスバルブ30の開放面30eからのスライドピース34の離脱を防ぐことができ,したがってスライドピース34のための特別な離脱防止手段が不要であり,組立性を良好にすると共に,構造の簡素化を図ることができる。しかも,上側面を開放面30eとした箱形のバイパスバルブ30内の収容空間は,上側面を開放面30eとした分,広い横断面を持つことになるので,バイパスバルブ30のコンパクト化を図りながら,その収容空間にコイルばね38及びスライドピース34を容易に収容することができる。
【0050】
続いて,電動モータ27をモータハウジング21のモータ装着孔23に嵌装した後,ボルト32で電動モータ27をモータハウジング21に締結して,バルブボディ16及び電動モータ27の組立体を構成する。
【0051】
そして,この組立体のバルブボディ16を,スロットルボディ2の支持台15の上向きの取り付け面15aに載せて,ボルト17により支持台15に締結する。これら支持台15及びバルブボディ16の締結面は,重力方向と交差する配置となるので,エンジンEを搭載した車両の走行中,スロットルボディ2及びバルブボディ16に激しい上下振動が加えられても,前記支持台15及びバルブボディ16の締結面,並びに締結用のボルト17には殆ど剪断荷重が作用せず,これによりバルブボディ16のずれを防いで,バルブボディ16系の耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
また重量物の電動モータ27を支持するバルブボディ16がスロットルボディ2の上側壁の支持台15に取り付けられることで,スロットルドラム8,センサボックス9及びバルブボディ16は,スロットルボディ2の両側面及び上面に分散して配置されることになり,スロットルボディ2に加えられる重量のバランスを図ることができ,これによりスロットルボディ2と吸気管1との連結部に偏荷重が作用することを回避し得る。
【0053】
エンジンEの運転中,ブローバイガスやEGRガス中のオイル,水分等の異物がバイパス18を侵入することがあり,その異物がバルブガイド孔20を通過して電動モータ27側へ侵入しようとしても,電動モータ27及びモータハウジング21間に介装されるシート部材29により電動モータ27への異物の侵入を防ぐことができる。したがって電動モータ28が異物の凍結あるいは堆積により作動不良を起こすことを未然に防ぐことができる。
【0054】
方形断面のバルブガイド孔20は,その先端が前記連通孔18bの中間位置で終っており,その各一辺の長さが円形断面の連通孔18bの溝幅及び深さより長くなっており,バルブガイド孔20の前端壁は,連通孔18bの中間部内周から起立してバイパスバルブ30の全閉位置を規制する肩部20bを形成するので,バイパスバルブ30の全閉位置を規制する特別なストッパ部材をバルブボディ16に設けずに済み,構造の簡素化を図ることができる。
【0055】
しかもバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20の横断面が方形であることから,上記方形の一辺の長さを直径とする円形断面のバイパスバルブ及びバルブガイド孔を採用した場合に比して,前記肩部20bとバイパスバルブ30との当接面積を広く確保できて,バイパスバルブ30の耐久性の向上に寄与し得る。
【0056】
さらにバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20の横断面が方形をなすことで,バイパスバルブ30が全開位置を占めるときは,上記方形の一辺の長さを直径とする円形断面のバイパスバルブ及びバルブガイド孔を採用した場合に比して,バルブガイド孔20には,連通孔18bに連通する大なる容積の膨張室がバイパスバルブ30の前端面によって画成されることになり,吸気が連通孔18bを通過した後,その吸気の流れを上記膨張室で効果的に減衰させることができ,その結果,吸気中に含まれる異物のバイパスバルブ30側への侵入を防ぐことができる。
【0057】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば前記電動モータ27に代えてステップモータ,その他の形式のモータを使用することができる。
図1
図2
図3
図4