特許第5693749号(P5693749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693749光透過性導電性フィルム及び光透過性導電性フィルムを含有するタッチパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693749
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】光透過性導電性フィルム及び光透過性導電性フィルムを含有するタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20150312BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20150312BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20150312BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01B5/14 A
   B32B7/02 104
   B32B9/00 A
   G06F3/041 490
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-547039(P2013-547039)
(86)(22)【出願日】2013年8月5日
(86)【国際出願番号】JP2013071108
(87)【国際公開番号】WO2014024819
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2013年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-174379(P2012-174379)
(32)【優先日】2012年8月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591158335
【氏名又は名称】積水ナノコートテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 守雄
(72)【発明者】
【氏名】澤田石 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】武藤 勝紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 治
(72)【発明者】
【氏名】中谷 康弘
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−238178(JP,A)
【文献】 特開2002−014364(JP,A)
【文献】 特開2006−310070(JP,A)
【文献】 特開2010−168647(JP,A)
【文献】 特開2012−064546(JP,A)
【文献】 特開平03−009323(JP,A)
【文献】 特開平06−024826(JP,A)
【文献】 特開2011−037679(JP,A)
【文献】 特開2011−126746(JP,A)
【文献】 特開2011−018623(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/001631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
B32B 7/02
B32B 9/00
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する光透過性支持層;及び
(B)3〜10重量%のSnOを酸化インジウムに添加して得られうる酸化インジウムスズを含有する光透過性導電層
を含有し、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている光透過性導電性フィルムであって、
(Ibα−Ibα−0.025°)/(Iaα−Iaα−0.025°
で表される関数f(α)の平均値が0.08〜5.00である
ことを特徴とする、光透過性導電性フィルム
(ただし、αは、
αmin+n×0.025°(n=1、2、3、・・・)
(ただし、αminは、0.100°以上の範囲内において、薄膜法XRD測定において(222)面のピークが確認できる最小の入射角である)
で表される変数であり、
次式(I)及び(II)を満たし、
α≦0.600° ・・・・(I)
f(α)≧0.7×f(α−0.025°)・・・・(II)
Iaαは、入射角αの薄膜法XRD測定におけるポリエチレンテレフタレート由来の2θ=26°付近のピーク強度であり、かつ
Ibαは、入射角αの薄膜法XRD測定における酸化インジウム由来の(222)面のピーク強度である。)。
【請求項2】
前記光透過性支持層(A)の厚さが、20〜200μmである、請求項1に記載の光透過性導電性フィルム。
【請求項3】
光透明性導電層(B)の厚さが、15〜30nmである、請求項1又は2に記載の光透過性導電性フィルム。
【請求項4】
大気中90〜160℃で10〜120分間加熱することにより得られうる、請求項1〜3のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光透過性導電性フィルムを含有する、タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性導電性フィルム、その製造方法及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルに搭載される光透過性導電性フィルムとして、ポリエステル等からなる光透過性支持層の少なくとも一方の面に、直接又は他の層を介して、酸化インジウムを含有する光透過性導電層を配置した光透過性導電性フィルムが数多く用いられている。
【0003】
光透過性導電性フォルムを例えば格子状等の電極として成形(いわゆるパターニング)する際に、光透過性導電性フィルムをいったん配置した後、薬品処理によって所定の領域のみについてフィルムを除去する、いわゆるエッチング処理を行い、結果として所望の形状の電極を形成することが行われている。したがって、エッチング処理によりエッチングされにくいか、あるいは過度にエッチングされやすい光透過性導電性フィルムは、所望の形状にパターニングすることが困難である等の問題がある。
【0004】
このように、タッチパネルに搭載される光透過性導電性フィルムとしては、エッチング処理により所望の形状に成形することが容易である特性(いわゆるエッチング性)に優れている光透過性導電性フォルムが求められている。
【0005】
これまでに、酸化インジウムを含有する光透過性導電層の結晶性を制御することにより、エッチング性に優れている光透過性導電性フォルムを提供しようとする試みがなされている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−129427号公報
【特許文献2】特許4269587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れたエッチング性を有する、(A)ポリエステル樹脂を含有する光透過性支持層及び(B)酸化インジウムを含有する光透過性導電層を含有する光透過性導電性フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ね、薄膜法によるXRD測定において、ポリエステルの回折強度と酸化インジウムの回折強度が所定の関係を示す光透過性導電性フィルムが、上記課題を解決できることを新たに見出した。本発明は、この新たな知見に基づいてさらに種々の検討を重ねることにより完成されたものであり、次に掲げるものである。
項1
(A)ポリエステル樹脂を含有する光透過性支持層;及び
(B)酸化インジウムを含有する光透過性導電層
を含有し、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている光透過性導電性フィルムであって、
(Ibα−Ibα−0.025°)/(Iaα−Iaα−0.025°
で表される関数f(α)の平均値が0.08〜5.00である
ことを特徴とする、光透過性導電性フィルム
(ただし、αは、
αmin+n×0.025°(n=1、2、3、・・・)
(ただし、αminは、0.100°以上の範囲内において、薄膜法XRD測定において(222)面のピークが確認できる最小の入射角である)
で表される変数であり、
次式(I)及び(II)を満たし、
α≦0.600° ・・・・(I)
f(α)≧0.7×f(α−0.025°)・・・・(II)
Iaαは、入射角αの薄膜法XRD測定におけるポリエステル樹脂由来の2θ=26°付近のピーク強度であり、かつ
Ibαは、入射角αの薄膜法XRD測定における酸化インジウム由来の(222)面のピーク強度である。)。
項2
前記光透過性支持層(A)の厚さが、20〜200μmである、項1に記載の光透過性導電性フィルム。
項3
前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである、項1又は2に記載の光透過性導電性フィルム。
項4
光透明性導電層(B)の厚さが、15〜30nmである、項1〜3のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
項5
大気中90〜160℃で10〜120分間加熱することにより得られうる、項1〜4のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
項6
光透過性導電層(B)が、3〜10%のSnOを酸化インジウムに添加して得られうる酸化インジウムスズを含有する、項1〜5のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
項7
項1〜6のいずれかに記載の光透過性導電性フィルムを含有する、タッチパネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れたエッチング性を有する、(A)光透過性支持層及び(B)酸化インジウムを含有する光透過性導電層を含有する光透過性導電性フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】光透過性支持層(A)の片面に光透過性導電層(B)が隣接して配置されて
いる、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図2】光透過性支持層(A)の両面に光透過性導電層(B)が隣接して配置されて
いる、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図3】互いに0.025°差の連続する三種のX線入射角(α−0.025°、α
°、α+0.025°)でそれぞれ測定したポリエステル樹脂由来の回折強度Ia及び酸化インジウム由来の回折強度Ibを、ポリエステル樹脂由来の回折強度を横軸、かつ酸化インジウム由来の回折強度を縦軸としてそれぞれプロットして得られたグラフの一例である。
図4】関数f(α)のグラフの一例である。
図5】光透過性支持層(A)の片面にアンダーコート層(C)及び光透過性導電層
(B)がこの順で互いに隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図6】光透過性支持層(A)の両面にアンダーコート層(C)及び光透過性導電層
(B)がこの順で互いに隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図7】光透過性支持層(A)の片面にハードコート層(D)、アンダーコート層(
C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図8】光透過性支持層(A)の一方の面にハードコート層(D)、アンダーコート
層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されており、他方の面に別のハードコート層(D)が直接配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
図9】光透過性支持層(A)の両面にハードコート層(D)、アンダーコート層(
C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【発明を実施するための形態】
【0011】
1. 光透過性導電性フィルム
本発明の光透過性導電性フィルムは、
(A)ポリエステル樹脂を含有する光透過性支持層;及び
(B)酸化インジウムを含有する光透過性導電層
を含有し、
前記光透過性導電層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている光透過性導電性フィルムであって、
(Ibα−Ibα−0.025°)/(Iaα−Iaα−0.025°
で表される関数f(α)の平均値が0.08〜5.00である
ことを特徴とする、光透過性導電性フィルム
(ただし、αは、
αmin+n×0.025°(n=1、2、3、・・・)
(ただし、αminは、0.100°以上の範囲内において、薄膜法XRD測定において(222)面のピークが確認できる最小の入射角である)
で表される変数であり、
次式(I)及び(II)を満たし、
α≦0.600° ・・・・(I)
f(α)≧0.7×f(α−0.025°)・・・・(II)
Iaαは、入射角αの薄膜法XRD測定におけるポリエステル樹脂由来の2θ=26°付近のピーク強度であり、かつ
Ibαは、入射角αの薄膜法XRD測定における酸化インジウム由来の(222)面のピーク強度である。)
である。
【0012】
本発明において「光透過性」とは、光を透過させる性質を有する(translucent)ことを意味する。「光透過性」には、透明(transparent)が含まれる。「光透過性」とは、例えば、全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上である性質をいう。本発明において全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色社製、商品名:NDH−2000、またはその同等品)を用いてJIS−K−7105に基づいて測定する。
【0013】
本明細書において、光透過性支持層(A)の一方の面に配置される複数の層のうち二つの層の相対的な位置関係について言及する場合、光透過性支持層(A)を基準にして、光透過性支持層(A)からの距離が大きい一方の層を「上層」又は「上方に位置する」等といい、光透過性支持層(A)からの距離が小さい他方の層を「下層」又は「下方に位置する」等ということがある。
【0014】
図1に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の片面に光透過性導電層(B)が互いに隣接して配置されている。このような光透過性導電性フィルムのことを、「片面光透過性導電性フィルム」ということがある。
【0015】
図2に、本発明の光透過性導電性フィルムの別の態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両面に光透過性導電層(B)が互いに隣接して配置されている。このような光透過性導電性フィルムのことを、「両面光透過性導電性フィルム」ということがある。
【0016】
1.1 光透過性支持層(A)
本発明において光透過性支持層とは、光透過性導電層を含有する光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性導電層を含有する層を支持する役割を果たすものをいう。光透過性支持層(A)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性支持層として通常用いられるものを用いることができる。
【0017】
光透過性支持層(A)は、ポリエステル樹脂を含有する。ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、特にPETが好ましい。光透過性支持層(A)は、二種以上のポリエステル樹脂を含有していてもよい。
【0018】
光透過性支持層(A)は、さらにその他の成分を含有していてもよい。光透過性支持層(A)は、一種以上のポリエステル樹脂に加えて、さらに二種以上のその他の成分を含有していてもよい。
【0019】
光透過性支持層(A)の厚さは、特に限定されないが、20〜200μmであれば好ましく、25〜200μmであればより好ましく、30〜190μmであればより好ましく、50〜150μmであればさらに好ましい。光透過性支持層の厚さは厚さ測定機(株式会社ニコン社製DIGIMICRO MF501+MFC‐101、又はその同等品)を用いて計測する。
【0020】
1.2 光透過性導電層(B)
光透過性導電層(B)は、酸化インジウムを含有し、ドーパントとしてスズ酸化物及び/又は亜鉛酸化物等を含んでいてもよい。光透過性導電層(B)としては、酸化インジウムスズ(tin−doped indium oxide(ITO))が好ましい。
【0021】
光透過性導電層(B)の素材は、特に限定されないが、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫及び酸化チタン等が挙げられる。光透過性導電層(B)としては、透明性と導電性を両立する点で酸化インジウムにドーパントをドープしたものを含む光透過性導電層が好ましい。光透過性導電層(B)は、酸化インジウムにドーパントをドープしたものからなる光透過性導電層であってもよい。ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、酸化スズ及び酸化亜鉛、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
【0022】
光透過性導電層(B)の素材として酸化インジウムに酸化スズをドープしたものを用いる場合は、酸化インジウム(III)(In)に酸化スズ(IV)(SnO)をドープしたもの(tin−doped indium oxide;ITO)が好ましい。この場合、SnOの添加量としては、特に限定されないが、例えば、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%等が挙げられる。また、ドーパントの総量が左記の数値範囲を超えない範囲で、酸化インジウムスズにさらに他のドーパントが加えられたものを光透過性導電層(B)の素材として用いてもよい。左記において他のドーパントとしては、特に限定されないが、例えばセレン等が挙げられる。
【0023】
光透過性導電層(B)は、上記の各種素材のうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
【0024】
光透過性導電層(B)は、特に限定されないが、結晶体若しくは非晶質体、又はそれらの混合体であってもよい。
【0025】
光透過性導電層(B)は、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
【0026】
光透過性導電層(B)は、加熱処理により結晶化されている。結晶化の程度が進むにつれ、関数f(α)の値を増加させることができる。言い換えれば、加熱処理前にあらかじめ関数f(α)の平均値を求めておき、必要に応じて加熱処理を行うことで結晶化の程度を調整することにより関数f(α)の値を調整できる。
【0027】
光透過性導電層(B)は、好ましくは、薄膜法XRD測定において、(222)面のピークが他のピークに比べて最も強い。
【0028】
光透過性導電層(B)の厚さは、15〜30nm、好ましくは16〜28nm、より好ましくは17〜25nmである。
【0029】
光透過性導電層(B)の厚さは、次のようにして測定する。透過型電子顕微鏡観察により測定する。具体的には、ミクロトーム又はフォーカスイオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直方向に薄く切断して、その断面を観察する。
【0030】
光透過性導電層(B)を形成する方法は、湿式及び乾式のいずれであってもよい。
【0031】
光透過性導電層(B)を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、イオンプレーティング法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、及びパルスレーザーデポジション法等が挙げられる。光透過性導電層(B)を形成する方法としては、スパッタリング法が好ましい。
【0032】
薄膜法による入射角αのXRD測定において、ポリエステル樹脂の回折強度と酸化インジウムの回折強度が所定の関係を示す本発明の光透過性導電性フィルムを得るためには、特に限定されないが、スパッタリング法により光透過性導電層(B)を形成する場合は、例えば酸素分圧、下地となる層の平均表面粗さ(Ra)、水導入の分圧、成膜温度及び光透過性導電層(B)の厚さのバランスを適宜調整すればよい。
【0033】
1.3 関数f(α)
本発明の光透過性導電性フィルムは、関数f(α)の平均値が0.08〜5.00であることを特徴とする。
【0034】
関数f(α)は、
(Ibα−Ibα−0.025°)/(Iaα−Iaα−0.025°
で表される。
【0035】
ただし、
Iaαは、入射角αの薄膜法XRD測定におけるポリエステル樹脂由来の2θ=26°付近のピーク強度であり、かつ
Ibαは、入射角αの薄膜法XRD測定における酸化インジウム由来の(222)面のピーク強度である。
【0036】
Iaα−0.025°は、入射角αより0.025°小さいX線入射角の薄膜法XRD測定におけるポリエステル樹脂由来の2θ=26°付近のピーク強度であり、かつ
Ibα−0.025°は、入射角αより0.025°小さいX線入射角の薄膜法XRD測定における酸化インジウム由来の(222)面のピーク強度である。
【0037】
すなわち、関数f(α)は、以下のようにして得られる。0.025°差の二つのX線入射角で測定した二つのX線回折パターンから、二つのポリエステル樹脂由来の回折強度及び二つの酸化インジウム由来の回折強度を得る。ポリエステル樹脂由来の回折強度を横軸、かつ酸化インジウム由来の回折強度を縦軸として、0.025°差の二つのX線入射角でそれぞれ測定したポリエステル樹脂由来の回折強度及び酸化インジウム由来の回折強度から定まる二つの座標をそれぞれプロットする。関数f(α)は、当該二点を結んだ直線の傾きである(図3)。
【0038】
ただし、αは、
αmin+n×0.025°(n=1、2、3、・・・)
(ただし、αminは、0.100°以上の範囲内において、薄膜法XRD測定において(222)面のピークが確認できる最小の入射角である)
で表される変数であり、
次式(I)及び(II)を満たすものである。
α≦0.600° ・・・・(I)
f(α)≧0.7×f(α−0.025°)・・・・(II)
ようするに、関数f(α)の平均値とは、αが、αmin+1×0.025°、αmin+2×0.025°、αmin+3×0.025°、・・・のときにそれぞれf(α)が取りうる各数値の平均値である。
【0039】
なお、αの最小値は、0.100°以上の範囲内において、薄膜法XRD測定において(222)面のピークが確認できる最小の入射角αminに1×0.025°を加えたものである。
【0040】
本発明において、「(222)面のピークが確認できる」とは、一般的な方法で確認できることを意味し、すなわち、バックグラウンド処理によりバックグラウンドを差し引いた際にピークが確認できることを示している。例えば、2θが28°から34°の回折パターンにおいて、28°〜29°及び32°〜34°のプロファイルをベースとしてバックグラウンド処理をした際に(222)面に由来する回折強度が、バックグラウンドより強いこと等が該当する。上記範囲において、他の物質からの回折が現れる場合はその回折を避けるようにベースとなる範囲を適宜変更し、バックグラウンド処理すればよい。「(222)面のピークが確認できる」とは、より具体的には、上記において、回折パターンにおける前後の回折パターンの傾向と比較して、(222)面の回折強度が強いことを示している。上記において、例えば、前後2.0°の回折パターンの傾向との比較を行ってもよい。上記において、好ましくは前後1.5°の回折パターンの傾向との比較を行い、より好ましくは前後1°の回折パターンの傾向との比較を行う。
【0041】
また、αの最大値は、f(α)≧0.7×f(α−0.025°)を満たす最大値、及び0.600°のいずれか小さい値である。ただし、両者が同一である場合はその値をαの最大値とする。この範囲内にあるそれぞれの入射角で測定したそれぞれのX線回折パターンから得られたポリエステル樹脂由来の回折強度及び酸化インジウム由来の回折強度から定まるそれぞれの座標を、ポリエステル樹脂由来の回折強度を横軸、かつ酸化インジウム由来の回折強度を縦軸としてプロットしたそれぞれの点は、線型性をほぼ保っている(図3)。
【0042】
なお、図4は、点線枠で囲まれている点同士が上記式(I)及び(II)を満しており、左から4番目にプロットされた点が左から3番目にプロットした点に対してf(α)≧0.7×f(α−0.025°)の関係を満たしていない場合の一例である。
【0043】
なお、上記において全ての計算においては、小数点以下3桁まで計算を行い、小数点以下3桁を四捨五入するものとする。
【0044】
X線回折は株式会社リガク製 薄膜評価用資料水平型X線回折装置 SmartLab、またはその同等品を用いて薄膜法にて測定する。平行ビーム光学配置を用い、光源にはCuKα線(波長:1.5418Å)を40kV、30mAのパワーで用いる。入射側スリット系はソーラスリット5.0°、高さ制御スリット10mm、入射スリット0.1mmを用い、受光側スリットにはパラレルスリットアナライザー(PSA)0.114deg.を用いる。検出器はシンチレーションカウンターを用いる。試料ステージは多孔質吸着試料ホルダを用いて、試料に凹凸が生じない程度に試料を吸着固定する。カールが強く吸着固定できない場合は、試料の端を粘着テープ等で補助的に固定し、吸着固定する。ステップ間隔及び測定スピードはX線回折パターンを認識できる程度に適宜調整する。一例としては、ステップ間隔及び測定スピードはステップ間隔0.02°、測定スピード1.5°/minが好ましい。測定範囲は20°〜35°で測定する。
【0045】
測定はX線の入射角0.1〜0.6°の範囲で低角側から順に0.025°単位で変更させてそれぞれ測定する。なお、試料の固定状態により回折線の強度が異なるため、一連の測定が終了するまで試料は試料台に固定したままとする。得られたX線回折パターンについて単色化する必要はなく、各ピーク強度はバックグラウンドを差し引いた値を用いてもよい。試料は送風乾燥器等で大気雰囲気中150℃で1時間加熱処理したものを用いる。
【0046】
本発明において、各層の厚みは透過型電子顕微鏡観察により求める。具体的には、ミクロトーム又はフォーカスイオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直方向に薄く切断し、その断面を観察する。
【0047】
1.4 アンダーコート層(C)
本発明の光透過性導電性フィルムは、さらに、アンダーコート層(C)を含有し、かつ少なくとも一方の光透過性導電層(B)が少なくともアンダーコート層(C)を介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。
【0048】
光透過性導電層(B)は、アンダーコート層(C)に隣接して配置されていてもよい。
【0049】
図5に、本発明の片面光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、アンダーコート層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0050】
図6に、本発明の両面光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両方の面に、アンダーコート層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0051】
アンダーコート層(C)の素材は、特に限定されないが、例えば、誘電性を有するものであってもよい。アンダーコート層(C)の素材としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンアルコキシド、アルキルシロキサンの及びその縮合物、ポリシロキサン、シルセスキオキサン、ポリシラザン、酸化二オブ(V)等が挙げられる。アンダーコート層(C)は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
【0052】
アンダーコート層(C)としては、SiO(x=1.0〜2.0)を含む層が好ましい。アンダーコート層(C)は、SiO(x=1.0〜2.0)からなる層であってもよい。
【0053】
アンダーコート層(C)は、一層が配置されていてもよい。あるいは二層以上が互いに隣接して、または他の層を介して互いに離間して配置されていてもよい。アンダーコート層(C)が二層以上互いに隣接して配置されているのが好ましい。例えば三層が互いに隣接して配置されている場合、中間にSiOからなるアンダーコート層(d−2)、それを挟むようにしていずれもSiO(x=1.0〜2.0)からなるアンダーコート層(d−1)及び(d−3)を配置させるのが好ましい。
【0054】
アンダーコート層(C)の一層あたりの厚さとしては、特に限定されないが、例えば5〜50nm等が挙げられる。二層以上が互いに隣接して配置されている場合は互いに隣接している全てのアンダーコート層(C)の合計厚さが上記範囲内であればよい。
【0055】
アンダーコート層(C)の厚さは、次のようにして測定する。透過型電子顕微鏡観察により求める。具体的には、ミクロトーム又はフォーカスイオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直に薄く切断して、その断面を観察する。
また、アンダーコート層(C)にはアンダーコート層の下側の層と上側の層との密着性を付与するため等、単位面積あたりの付着量が少なく、透過型電子顕微鏡観察によっては層になっていることが確認できないものも含まれる。このような場合には、アンダーコート層(C)の厚さは、蛍光X線分析(XRF)装置を用いてアンダーコート層を構成する物質に基づく強度を測定し、あらかじめ作成した検量線に基づいて付着量を算出し、バルクの密度を用いて求める。
【0056】
アンダーコート層(C)の屈折率は、本発明の光透過性導電性フィルムがタッチパネル用光透過性導電性フィルムとして使用できる限り特に限定されないが、例えば、1.4〜1.5が好ましい。
【0057】
アンダーコート層(C)を配置する方法は、湿式及び乾式のいずれでもよく、特に限定されないが、湿式としては例えば、ゾル−ゲル法、微粒子分散液、コロイド溶液を塗布する方法等が挙げられる。
【0058】
アンダーコート層(C)を配置する方法として、乾式としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、化学気相堆積法及びパルスレーザーデポジション法により隣接する層上に積層する方法等が挙げられる。
【0059】
1.5 ハードコート層(D)
本発明の光透過性導電性フィルムは、さらに、ハードコート層(D)を含有していてもよい。
【0060】
本発明の光透過性導電性フィルムがハードコート層(D)を含有している場合、少なくとも一方の光透過性導電層(B)が少なくともハードコート層(D)を介して光透過性支持層(A)の面に配置されている。
【0061】
図7に、ハードコート層(D)を含有する本発明の片面光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面にハードコート層(D)、アンダーコート層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0062】
図8に、ハードコート層(D)を含有する本発明の片面光透過性導電性フィルムの別の態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面にハードコート層(D)、アンダーコート層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されており、光透過性支持層(A)の他方の面に別のハードコート層(D)が直接配置されている。
【0063】
図9に、ハードコート層(D)を含有する本発明の両面光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両方の面にハードコート層(D)、アンダーコート層(C)及び光透過性導電層(B)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0064】
ハードコート層(D)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいてハードコート層として通常用いられるものを用いることができる。
【0065】
ハードコート層(D)の素材は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂及びアルキド系樹脂等が挙げられる。また、ハードコート層は例示した前記素材に加えて、シリコン、二オブ又はジルコニア等を含むフィラーを含有していてもよい。
【0066】
ハードコート層(D)の一層あたりの厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜3μm、0.2〜2μm、及び0.3〜1μm等が挙げられる。二層以上が互いに隣接して配置されている場合は互いに隣接している全てのハードコート層(D)の合計厚さが上記範囲内であればよい。左記の例示列挙においては後出のものが前出のものよりも好ましい。ハードコート層(D)の厚さは、次のようにして測定する。透過型電子顕微鏡観察により求める。具体的には、ミクロトーム又はフォーカスイオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直に薄く切断して、その断面を観察する。
【0067】
ハードコート層(D)を配置する方法としては、特に限定されないが、例えば、フィルムに塗布して、熱で硬化する方法、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する方法等が挙げられる。生産性の点で、紫外線により硬化する方法が好ましい。
【0068】
本発明の光透過性導電性フィルムは、ハードコート層(D)を含有しないか、あるいは含有したとしてもその厚さが0.3〜1μm程度であることが好ましい。
【0069】
1.6 その他の層(E)
本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、光透過性導電層(B)に加えて、アンダーコート層(C)、ハードコート層(D)及びそれらと異なる少なくとも1種のその他の層(E)からなる群より選択される少なくとも1種の層がさらに配置されていてもよい。
【0070】
その他の層(E)としては、特に限定されないが、例えば、接着層等が挙げられる。
【0071】
接着層とは、二層の間に当該二層と互いに隣接して配置され、当該二層間を互いに接着するために配置される層である。接着層としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて接着層として通常用いられるものを用いることができる。接着層は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
【0072】
また、光透過性導電層上に銅、ニッケル、銀又はクロム等を含有する無機物層を形成してもよい。この際、前記無機物層の存在によりXRD測定ができなくなる場合があるが、この場合には、硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩又は水酸化物等を含有する酸水溶液又はアルカリ水溶液により無機物層を除去し、適宜洗浄した後にXRD測定を行ってもよい。
【0073】
1.7 本発明の光透過性導電性フィルムの用途
本発明の光透過性導電性フィルムは、エッチング性に優れ、このため光透過性導電層(B)のパターニングが容易である。
【0074】
したがって、本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性導電層(B)をパターニングした上で使用する用途に適している。
【0075】
パターニングの方法は、特に限定されないが、例えば次のようにして行う。まず、レジスト(エッチング液から層を保護するための保護膜)を、光透過性導電層上の、残したい領域に塗布する。塗布の手段はレジストの種類にもよるがスクリーン印刷によって行ってもよいし、フォトレジストを用いる場合であれば、次のようにして行う。光透過性導電層上の、残したい領域にスピンコーター又はスリットコーター等を用いてフォトレジストを塗布し、光又は電子線を部分的に照射してフォトレジストの溶解性をその部分においてのみ変化させ、その後に溶解性が相対的に低くなっている部分を除去する(これを現像という)。このようにしてレジストが光透過性導電層上の、残したい領域においてのみ存在している状態とする。引き続いて、エッチング液を光透過性導電層に作用させ、光透過性導電層のうちレジストで保護されていない領域を選択的に溶解し、この溶解物を最終的に除去することにより、パターンを形成する。
【0076】
パターニングにより形成されるパターンの形状は、特に限定されないが、通常、縞状又はダイヤモンド状である。縞状にパターニングされた光透過性導電性フィルムを縞方向が直交するように二枚重ね合わせることにより、格子状のパターンを形成できる。
【0077】
光透過性導電層(B)をパターニングした上で使用する用途としては、特に限定されないが、例えばタッチパネル、電子ペーパー及び太陽電池等が挙げられる。タッチパネルについて詳細は、2で説明する通りである。
【0078】
2.本発明のタッチパネル
本発明のタッチパネルは、本発明の光透過性導電性フィルムを含み、さらに必要に応じてその他の部材を含んでなる。
【0079】
本発明のタッチパネルの具体的な構成例としては、次のような構成が挙げられる。なお、保護層(1)側が操作画面側を、ガラス(5)側が操作画面とは反対側を向くようにして使用される。
(1)保護層
(2)本発明の光透過性導電性フィルム(Y軸方向)
(3)絶縁層
(4)本発明の光透過性導電性フィルム(X軸方向)
(5)ガラス
本発明のタッチパネルは、特に限定されないが、例えば、上記(1)〜(5)、及び必要に応じてその他の部材を通常の方法に従って組み合わせることにより製造することができる。
【0080】
3. 本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法
本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法は、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、光透過性導電層(B)を配置する工程をそれぞれ含む。
【0081】
本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法は、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、光透過性導電層(B)に加えて、アンダーコート層(C)、ハードコート層(D)及びそれらと異なる少なくとも1種のその他の層(E)からなる群より選択される少なくとも1種の層をそれぞれ配置する工程をそれぞれ含んでいてもよい。
【0082】
上記において、それぞれの層を配置する工程は、それぞれの層について説明した通りである。それぞれの層を配置する順番については、特に限定されない。例えば、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に光透過性支持層(A)側から順次配置させてもよい。
あるいは、例えば、最初に光透過性支持層(A)ではない層(例えば、光透過性導電層(B))の一方の面に他の層を配置させてもよい。あるいは、一方で2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得てから、又はそれと同時に、他方で同様に2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得て、これらの2種の複合層をさらに互いに隣接するように配置させてもよい。
【実施例】
【0083】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、さらに、酸化インジウムスズを16nm成膜した。具体的にはターゲット材として、酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%からなる焼結体材料を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、SiO層を形成し、その上に光透過性導電層を形成した。大気中で加熱処理し、最終的に本発明の光透過性導電性フィルムを得た。
【0085】
光透過性導電層は以下のように形成した。チャンバー内を3.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内に酸素分圧が4.5×10−3Paになるよう酸素ガスとアルゴンガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとして、成膜温度は50℃としてスパッタリング処理した。
【0086】
その後、大気中、150℃で60分加熱処理したものをXRDにて評価した。関数f(α)の平均値は1.07であった。また、下地層の表面粗さ(Ra)は1.4nmであった。
【0087】
なお、全ての実施例及び比較例において、薄膜法によるXRD測定および下地層の表面粗さ(Ra)は、次のようにして行った。X線回折は株式会社リガク製 薄膜評価用資料水平型X線回折装置 SmartLabを用いて薄膜法にて測定した。平行ビーム光学配置を用い、光源にはCuKα線(波長:1.5418Å)を40kV、30mAのパワーで用いる。入射側スリット系はソーラスリット5.0°、高さ制御スリット10mm、入射スリット0.1mmを用い、受光側スリットにはパラレルスリットアナライザー(PSA)0.114deg.を用いた。検出器はシンチレーションカウンターを用いた。試料ステージは多孔質吸着試料ホルダを用いて、試料に凹凸が生じない程度に試料を吸着固定した。ステップ間隔及び測定スピードはステップ間隔0.02°、測定スピード1.5°/minとし、測定範囲は20°〜35°で測定した。
【0088】
XRD測定はX線の入射角0.1〜0.6°の範囲で低角側から順に0.025°単位で変更させてそれぞれ測定した。なお、試料の固定状態により回折線の強度が異なるため、一連の測定が終了するまで試料は試料台に固定したままとした。また、得られたX線回折パターンは単色化していない。
【0089】
X線回折パターンより入射角αにおけるPET樹脂由来の2θ=26°付近のピーク強度と酸化インジウムスズ由来の(222)面のピーク強度を求め、本発明の関数f(α)の平均値を求めた。
【0090】
下地層の表面粗さ(Ra)は光透過性導電層を成膜していない試料を用意し、原子間力顕微鏡(株式会社島津製作所、SPM−9700)を用いて、所定のコンタクトモードで1μm平方の測定面を探針(OLYMPUS社製 OMCL−TR800−PSA−1 バネ定数0.15 N/m)で走査して得られる、平均線からの絶対偏差を平均した値である。
【0091】
実施例2
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、酸化インジウムスズを22nm成膜した。それ以外は、実施例1と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は2.86であった。
【0092】
実施例3
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、酸化インジウムスズを28nm成膜した。それ以外は、実施例1と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は4.15であった。
【0093】
比較例1
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、酸化インジウムスズを34nm成膜した。それ以外は、実施例1と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は5.26であった。
【0094】
実施例4
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を10nm形成し、さらに、酸化インジウムスズを22nm成膜した。具体的にはターゲット剤として、酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%からなる焼結体材料を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、SiO層を形成し、その上に光透過性導電層を形成した。大気中で加熱処理し、最終的に本発明の光透過性導電性フィルムを得た。
【0095】
光透過性導電層は以下のように形成した。チャンバー内を3.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内に酸素分圧が4.5×10−3Pa及び水分圧が2.0×10−4Paになるよう酸素ガス、水及びアルゴンガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとして、成膜温度は50℃としてスパッタリング処理した。その後、大気中、150℃で60分加熱処理したものをXRDにて評価した。関数f(α)の平均値は1.54であった。また、下地層のRaは1.4nmであった。
【0096】
実施例5
光透過性導電層は以下のように形成した。チャンバー内を3.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内に酸素分圧が4.5×10−3Pa及び水分圧が3.0×10−3Paになるよう酸素ガス、水及びアルゴンガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとして、成膜温度は50℃としてスパッタリング処理した。それ以外は、実施例4と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は0.25であった。
【0097】
実施例6
光透過性導電層の成膜温度を80℃とした。それ以外は実施例5と同様の製法により、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は0.87であった。
【0098】
実施例7
光透過性導電層の成膜の際、基材の加熱は行わなかった。それ以外は実施例5と同様の製法により、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は0.15であった。
【0099】
比較例2
光透過性導電層は以下のように形成した。チャンバー内を3.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内に酸素分圧が4.5×10−3Pa及び水分圧が2.0×10−2Paになるよう酸素ガス、水及びアルゴンガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとして、成膜温度は50℃としてスパッタリング処理した。それ以外は実施例4と同様の製法により、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。
XRDによる評価の結果、酸化インジウムに由来する(222)面の回折が認められなかった。
【0100】
実施例8
厚さ100μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、さらに、酸化インジウムスズを22nm成膜した。具体的にはターゲット剤として、酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%からなる焼結体材料を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、SiO層を形成し、その上に光透過性導電層を形成した。大気中で加熱処理し、最終的に本発明の光透過性導電性フィルムを得た。
【0101】
このとき、SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を0.7nmとした。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.63であった。
【0102】
実施例9
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を2.5nmとした。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は3.65であった。
【0103】
実施例10
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を3.6nmとした。また、光透過性導電層の成膜の際、基材の加熱は行わなかった。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は3.78であった。
【0104】
実施例11
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を3.6nmとした。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は4.55であった。
【0105】
実施例12
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を4.2nmとした。また、ターゲット材として、酸化インジウム:91重量%及び酸化スズ:9重量%からなる焼結体材料を用いた。それ以外は、実施例10と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は4.77であった。
【0106】
比較例3
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を4.2nmとした。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は8.46であった。
【0107】
実施例13
光透過性導電層の成膜時にチャンバー内の酸素分圧が3.2×10−3Paになるよう酸素ガスとアルゴンガスを導入した。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.39であった。
【0108】
実施例14
光透過性導電層の成膜時にチャンバー内の酸素分圧が5.4×10−3Paになるよう酸素ガスとアルゴンガスを導入した。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は3.82であった。
【0109】
実施例15
ターゲット材として、酸化インジウム:92重量%及び酸化スズ:8重量%からなる焼結体材料を用いた。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は2.38であった。
【0110】
実施例16
光透過性導電層は以下のように形成した。チャンバー内を3.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内に酸素分圧が4.5×10−3Pa及び水分圧が1.0×10−4Paになるよう酸素ガス、水及びアルゴンガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとして、成膜温度は50℃としてスパッタリング処理した。それ以外は、実施例4と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.86であった。
【0111】
実施例17
水分圧を7.0×10−4Paとした他は実施例16と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.02であった。
【0112】
実施例18
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を0.3nmとした他は実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.40であった。
【0113】
実施例19
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を0.5nmとした他は実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は1.46であった。
【0114】
実施例20
SiO成膜時のスパッタ電力を調整し、下地層の表面粗さ(Ra)を2.5nmとし、さらにPET樹脂基材上にSiOを20nm形成した他は実施例16と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は3.65であった。
【0115】
実施例21
酸素分圧を4.0×10−3Paとした他は実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は2.33であった。
【0116】
実施例22
酸素分圧を4.9×10−3Paとした他は実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は2.98であった。
【0117】
比較例4
光透過性導電層の成膜時にチャンバー内の酸素分圧が6.6×10−3Paになるよう酸素ガスとアルゴンガスを導入した。それ以外は、実施例2と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、関数f(α)の平均値は6.16であった。
【0118】
比較例5
厚さ125μmのPET樹脂基材上にSiO層を20nm形成し、酸化インジウムスズを10nm成膜した。それ以外は、実施例1と同様とし、本発明の光透過性導電性フィルムを得た。XRDによる評価の結果、酸化インジウムに由来する(222)面の回折が認められなかった。
【0119】
エッチング特性の評価は、次のようにして行った。光透過性導電性フィルムを20%塩酸に浸漬し、表面抵抗が計測不能になるまでの時間を求めた。光透過性導電性フィルムは10秒〜90秒までの10秒間隔で浸漬時間を設定し、表面抵抗が計測不能になった時間をエッチング処理完了時間とした。
【0120】
エッチング処理完了時間が40秒、50秒のときを「◎」、30秒、60秒、70秒のときを「○」、20秒、80秒のときを「△」、10秒、90秒およびそれ以上を「×」として評価した。
【0121】
全ての実施例及び比較例それぞれについて、関数f(α)の平均値及びエッチング特性の評価結果等を併せて表1に示す。なお、表中「222NG」とあるのは、0.100°以上の範囲において0.025°刻みで入射角を変えながら測定を行っても、酸化インジウムに由来する(222)面の回折が認められなかった場合を示している。
【0122】
【表1】
【0123】
表1の結果より、エッチング特性の評価結果は、関数f(α)の平均値が0.08〜5.00にあるときに「△」又はよりよい結果となり、0.2〜4.00にあるときに「○」又はよりよい結果となり、1.5〜3.00にあるときに「◎」となることが分かる。
【0124】
なお、「ITO(%)」は、ターゲット中に含まれる酸化インジウム以外の不純物である酸化スズの濃度を示している。例えば、「5%」とあるのは、酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%のターゲットを用いたことを示している。
【0125】
ITOの膜厚は、透過型電子顕微鏡観察により求めた。具体的には、フォーカスイオンビームを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直方向に薄く切断して、その断面の観察より求めた。
【符号の説明】
【0126】
1 光透過性導電性フィルム
11 光透過性支持層(A)
12 光透過性導電層(B)
13 アンダーコート層(C)
14 ハードコート層(D)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9