(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693755
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】静電容量方式タッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20150312BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 490
G06F3/041 660
G06F3/044 128
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-553381(P2013-553381)
(86)(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公表番号】特表2014-505316(P2014-505316A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】KR2012005294
(87)【国際公開番号】WO2013005979
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0066139
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】ユエ・ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ヨンべ
(72)【発明者】
【氏名】キム・インスク
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョ・ジョン
【審査官】
岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−098169(JP,A)
【文献】
特開2005−070821(JP,A)
【文献】
特開2009−271918(JP,A)
【文献】
特開2010−282729(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0245285(US,A1)
【文献】
特開2010−176571(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/078170(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00−43/00
G06F 3/03− 3/047
H01B 5/00− 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に上部透明電極及び上部金属配線電極が形成された第1の透明基板;
上面に下部透明電極及び下部金属配線電極が形成された第2の透明基板;及び
前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板を接着する透明接着部;を含み、
前記下部透明電極は導電性組成物を含み、
前記上部透明電極は、菱形パターン、及び前記各菱形パターン間の連結部である上部連結部を含み、
前記下部透明電極は、予めパターン化された前記下部透明電極を前記第2の透明基板の上面に載せた後にエッチングすることによって形成された多角形パターン及び前記各多角形パターン間の連結部である下部連結部を含み、
前記上部透明電極の菱形パターンと前記下部透明電極の多角形パターンは重畳されず、
前記下部透明電極の面積は前記上部透明電極の面積より大きいことを特徴とする静電容量方式タッチパネル。
【請求項2】
前記導電性組成物は炭素ナノチューブ(CNT)又はグラフェンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項3】
前記第1の透明基板又は第2の透明基板は、ガラス、PET(Polyethylene Terephthalate)、PEN(Polyethylene Naphthalate)、PI(Polyimide)及びアクリル(Acryl)のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項4】
前記多角形パターンは、六角形又は八角形のパターンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項5】
第1の透明基板の下面に上部透明電極及び上部金属配線電極を形成する段階;
第2の透明基板の上面に下部透明電極及び下部金属配線電極を形成する段階;
予めパターン化された前記下部透明電極を前記第2の透明基板の上面に載せた後にエッチングすることにより、多角形パターン及び前記各多角形パターン間の連結部である下部連結部を含む前記下部透明電極を形成する段階;及び
前記第1の透明基板及び第2の透明基板を接着する段階を含み、
前記下部透明電極は導電性組成物を含み、
前記上部透明電極は、菱形パターン、及び前記各菱形パターン間の連結部である上部連結部を含み、
前記上部透明電極の菱形パターンと前記下部透明電極の多角形パターンは重畳されず、
前記下部透明電極の面積は前記上部透明電極の面積より大きいことを特徴とする静電容量方式タッチパネルの製造方法。
【請求項6】
前記導電性組成物は炭素ナノチューブ(CNT)又はグラフェンを含むことを特徴とする、請求項5に記載の静電容量方式タッチパネルの製造方法。
【請求項7】
前記第1の透明基板又は第2の透明基板は、ガラス、PET(Polyethylene Terephthalate)、PEN(Polyethylene Naphthalate)、PI(Polyimide)及びアクリルのうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の静電容量方式タッチパネルの製造方法。
【請求項8】
前記多角形パターンは、六角形又は八角形のパターンであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式タッチパネルに関し、より詳細には、導電性組成物をコーティングした透明電極を使用しながらも、透明電極に一定のパターンを形成することによって優れた視認性を有する静電容量方式タッチパネルを提供する。
【背景技術】
【0002】
従来のITO透明電極を使用した既存のタッチパネルは、上部の感知パターンと下部の動作パターンの重畳部によって視認性が低下するという短所を有していた。また、抵抗値を減少させるために上部金属配線電極と下部金属配線電極を並列に構成していたが、過度な並列回路の形成時に全体の抵抗が低下し、タッチ感度が低下するおそれがあった。さらに、ITO透明電極をCNTやグラフェンに置き換える場合、このような問題はより深刻になり、前記物質の特性上、視認性もより低下し得るという問題があった。
【0003】
したがって、ITO透明電極をCNTやグラフェンなどの導電性物質に置き換えながらも、優れた視認性を有する電極パターン構造を開発する必要性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような問題を克服し、高価なITO透明電極をCNT、グラフェンなどの導電性物質に置き換えて、特定構造の電極パターンを有することによって、優れた視認性を有する静電容量方式のタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、下面に上部透明電極及び上部金属配線電極が形成された第1の透明基板;透明接着部;及び上面に下部透明電極及び下部金属配線電極が形成された第2の透明基板;を含み、前記下部透明電極は導電性組成物を含むことを特徴とする静電容量方式タッチパネルを提供する。
【0006】
また、本発明は、第1の透明基板の下面に上部透明電極及び上部金属配線電極を形成する段階;第2の透明基板の上面に下部透明電極及び下部金属配線電極を形成する段階;及び前記第1の透明基板及び第2の透明基板を接着する段階を含み、前記下部透明電極は導電性組成物を含むことを特徴とする静電容量方式タッチパネルの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る静電容量方式タッチパネルによると、ITO透明電極に比べて相対的に低廉な導電性物質を使用することによって価格競争力があり、特定構造の電極パターンを有することによって視認性に優れるという効果がある。
【0008】
併せて、本発明の製造方法によると、耐衝撃性に優れ、全体の抵抗が最小化された透明電極を有する静電容量方式のタッチパネルを製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例に係る静電容量方式タッチパネルの断面図である。
【
図2】(a)、(b)は、本発明の一実施例に係る上部透明電極120のパターンを示した図である。
【
図3】(a)、(b)は、本発明の一実施例に係る下部透明電極140のパターンを示した図である。
【
図4】(a)、(b)は、本発明の一実施例に係る上部透明電極120及び下部透明電極140の重畳形状を示した図である。
【
図5】実施例と比較例の波長別分光透過率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたる同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る静電容量方式タッチパネル及びその製造方法について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例に係る静電容量方式タッチパネルの断面図である。
【0013】
本発明の静電容量方式タッチパネルは、下面に上部透明電極120及び上部金属配線電極が形成された第1の透明基板110;透明接着部130;及び上面に下部透明電極140及び下部金属配線電極が形成された第2の透明基板150;を含む。このとき、前記下部透明電極は導電性組成物を含むことができる。
【0014】
前記第1の透明基板110又は第2の透明基板150は、ガラス(Glass)、PET(Polyethylene Terephthalate)、PEN(Polyethylene Naphthalate)、PI(Polyimide)及びアクリルのうち少なくともいずれか一つを含む。
【0015】
このうち、前記ガラスは、成形板ガラスを軟化温度に近い500℃ないし600℃で加熱し、圧縮した冷却空気によって急冷させてガラス表面部を圧縮・変形させ、内部を引張・変形させて強化したガラスである。前記ガラスは、通常のガラスに比べて曲げ強度は3〜5倍、耐衝撃性も3〜8倍強く、耐熱性にも優れるので、通常のガラスに比べてタッチパネルの耐久性向上を図ることができる。
【0016】
第1の透明基板110と第2の透明基板150の構成物質が同一に前記ガラスである場合、上部透明電極120及び下部透明電極140を形成すると高温に耐えられるので、低い抵抗の透明電極を得ることができる。
【0017】
一方、前記第1の透明基板110又は第2の透明基板150は、ポリエチレンテレフタレート(Poly―Ethylene Terephthalate、PET)で形成することができる。PETフィルムは、二軸延伸されるので、強度、耐熱性及び費用の面で多様な長所を有する。PETフィルムを第1の透明基板110又は第2の透明基板150に使用しようとする場合、約100℃で製造する。
【0018】
その他にも、前記PEN、PI、アクリルなどを第1の透明基板110又は第2の透明基板150に含ませることができるが、第1の透明基板110及び第2の透明基板150の両方にガラスを使用すると、透明電極の安定性、寸法安定性、不純物析出防止などの面で望ましい。
【0019】
本発明の上部透明電極120は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)又は導電性高分子を含むことができる。透明電極(Transparent Electrode)とは、第1の透明基板110及び第2の透明基板150の表面に透明性を維持しながら導電性を付与する薄膜電極である。したがって、透明電極は、透明でありながらも導電性を有する膜であって、ITO及びその代替材として導電性高分子や導電性微粒子を使用することができる。前記導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、及びポリチオフェンが望ましい。
【0020】
本発明の下部透明電極140は導電性組成物を含むことができる。本発明において、前記導電性組成物は、炭素ナノチューブ(CNT)又はグラフェンを含むことができる。これは、ITOに比べて相対的に低廉であり、導電性に優れるという面で望ましい。
【0021】
本発明の透明接着部130は、第1の透明基板110と第2の透明基板150との間に位置し、第1の透明基板110及び第2の透明基板150を粘着させる役割をする。本発明の静電容量方式タッチパネル100は、透明接着部130で積層して構成するので、抵抗膜式タッチパネルのように、中間に空気層がなく、界面で発生する反射率を大きく抑制することができ、干渉不均一やぎらつきが発生しない。前記透明接着部130は、光学用透明接着剤(Optically Clear Adhesive:OCA)で形成することが望ましい。誘電率の高い前記OCAを使用する場合、二つの電極間の電圧差が高くなり、より強い電場が形成され得る。
【0022】
図2の(a)、(b)を参照すると、前記上部透明電極120は、菱形パターン121a、121b、及び前記各菱形パターン間の連結部である上部連結部122a、122bを含み;前記下部透明電極140は、多角形パターン141a、141b、及び前記各多角形パターン間の連結部である下部連結部142a、142bを含む。
【0023】
上部透明電極120は、菱形パターン121a、121bで形成されており、それぞれの菱形パターンは、各パターン間の連結部である上部連結部122a、122bで連結される。また、
図3の(a)、(b)を参照すると、下部透明電極140は、多角形パターン141a、141bで形成されており、それぞれの多角形パターンは、各パターン間の連結部である下部連結部142a、142bで連結される。
【0024】
前記上部連結部122a、122bは、離隔して配列された菱形パターンを連結する構成であって、例えば、離隔する菱形の頂点間を連結することができる。前記下部連結部142a、142bは、多角形パターンが連続的に配列されることによって共通的に接触する面を意味する。
【0025】
前記上部透明電極120は、横方向に長く形成された多数の菱形パターン121a、121bが横方向に一定間隔だけ離隔して配列されることによって構成される。すなわち、上部透明電極120は、第1の透明基板110の前面の領域で菱形パターン121a、121bが横方向に互いに平行に形成され、前記菱形パターン121a、121bは、上部連結部122a、122bによって横方向に電気的に連結されることによって構成される。上部透明電極120に菱形パターン121a、121bを形成することによって、下部透明電極140から放出される電場の密度が増加し得る。
【0026】
前記下部透明電極140は、縦方向に長く形成された多数の多角形パターン141a、141bが連続的に配列されることによって構成される。すなわち、下部透明電極140は、第2の透明基板150の背面の領域で上部透明電極120と垂直に形成され、多角形パターン141a、141bは縦方向に互いに平行に形成され、前記多角形パターン141a、141bは、下部連結部142a、142bによって縦方向に電気的に連結されることによって構成される。
【0027】
前記下部透明電極140は、設計条件に応じて三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形のみならず、角のある多様な形状に形成することができる。また、下部透明電極140の下部金属配線電極が有する多角形パターンによって、上部透明電極120の上部金属配線電極が有する菱形パターンにおける菱形の対角線の長さは流動的であり得る。
【0028】
本発明の静電容量方式タッチパネルにおいて、前記上部透明電極120の面積は、下部透明電極140の面積より小さいことが望ましい。導電性の物質がコーティングされた下部透明電極140は、厚さ調節において、ITOを使用した上部透明電極120より不利であり、下部透明電極140を形成する過程で加工された面とそうでない面との間に視認性の差があるので、加工面積を最大限小さくすることが望ましい。
【0029】
図4は、本発明の一実施例に係る上部透明電極120及び下部透明電極140の重畳形状を示した図である。本発明は、前記上部透明電極120の菱形パターン121a、121bと、前記下部透明電極140の多角形パターン141a、141bとが互いに重畳されない場合がある。ただし、前記のようなパターンの場合も、上部連結部122a、122bと下部連結部142a、142bを重畳することによって、上部透明電極と下部透明電極とを電気的に連結させることが望ましい。前記のように上部透明電極120と下部透明電極140との交差面積が少ない場合、同一の連続したパターンが単純に繰り返されることによって発生するモアレ現象を低下させることができ、全体の抵抗を減少させることができる。
【0030】
また、
図4に示したように、本発明の電極パターンによると、下部透明電極が導電性組成物を含みながらも視認性に優れ、複数の地点でタッチする場合にも適宜対応することができる。
【0031】
本発明の他の側面によると、第1の透明基板110の下面に上部透明電極120及び上部金属配線電極を形成する段階;第2の透明基板150の上面に下部透明電極140及び下部金属配線電極を形成する段階;及び前記第1の透明基板及び第2の透明基板を接着する段階を含み、前記下部透明電極は導電性組成物を含むことを特徴とする静電容量方式タッチパネルの製造方法を提供する。
【0032】
本発明のタッチスクリーン透明電極構造を製造するためには、第1の透明基板110の下面に上部透明電極120を、第2の透明基板150の上面に下部透明電極140をそれぞれ形成するが、透明電極は、それぞれスパッタリング、CVDやPECVDを用いた蒸着、スプレーコーティング、エアージェットコーティング、グラビアオフセットコーティング、ロータリースクリーンコーティング、シルクスクリーンコーティングのうちいずれか一つの方法で行うことができ、このような方法は、透明電極の材料として使用される物質の種類に応じて適宜使用することができる。
【0033】
前記上部透明電極120にITO膜を使用する場合、プラズマ放電を用いたスパッタリング方法が一般的に用いられる。スパッタリングは、真空装置を使用して形成された真空条件でターゲットと呼ばれる膜形成材料に高電圧を印加する。そして、イオン化させた不活性ガスをターゲットの表面に衝突させ、ターゲットから離脱した材料を基材上に蒸着させる膜形成方法である。スパッタリングは、幅方向の均一性と長時間(流れ方向)加工時の安定性の面で優れ、幅の広いフィルム基材を長く且つ安定的に生産するのに適している。
【0034】
前記下部透明電極140にCNT膜や導電性高分子を使用する場合、エアージェットプリンティング、スプレープリンティング、ロータリースクリーンプリンティング、シルクスクリーンプリンティングなどで予めパターン化された下部透明電極140を第2の透明基板上に載せることができる。その後、レーザーによってエッチングすることによって、多角形パターンを有する下部透明電極を形成することができる。上述したように、下部透明電極は、エッチングする面積を最小化することを特徴とする。
【0035】
第1の透明基板110及び第2の透明基板150に透明電極を形成してパターニングすると、電極の抵抗を最小化するために、ディスプレイ画面領域を除いた領域に対して第1の透明基板110及び第2の透明基板150のそれぞれに金属配線電極を形成する。金属配線電極は信号配線であって、配線領域が広い場合、静電容量方式タッチパネルと共に使用されるディスプレイの有効面積が小さくなり得る。したがって、可能な限り、多数の配線の線幅を最小化して形成することが望ましい。
【0036】
上部金属配線電極及び下部金属配線電極を形成する段階は、通常のロールツーロールプリンティング、インクジェットプリンティング、エアージェットプリンティング、スプレープリンティング、オフセットプリンティング、グラビアオフセットプリンティング、リバースオフセットプリンティング、ロータリースクリーンプリンティングなどで行うことができる。また、上部金属配線電極及び下部金属配線電極の厚さは100μm以下であり得る。また、上部金属配線電極と下部金属配線電極は、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、モリブデン、銀及び金のうち少なくともいずれか一つの物質を用いてコーティング又は蒸着することができる。
【0037】
前記ロールプリンティング方法は、ローラーが基板上で回転しながらローラーの表面に付着した物質が基板に転写される方式である。このようなロールプリンティング方式を用いると、フォトリソグラフィなどの複雑な工程を排除することができ、金属配線電極の形成時における線幅を最小化することができる。
【0038】
前記インクジェットプリンティング、エアージェットプリンティング、スプレープリンティングの方法は、金属配線を形成するための導電性インクをノズルを用いて噴射して形成する方法であるが、前記プリンティング技法は、フォトリソグラフィやスクリーンプリンティングに比べて工程が簡単で、且つ費用が低廉であり、材料消費を最小化し、より正確な配線電極の形成を可能にする。したがって、金属配線電極の形成時における線幅を最小化することができる。
【0039】
前記第1の透明基板及び第2の透明基板を接着する段階における方法は特別に制限されないが、通常の技術者にとって自明な公知の方法によって行う。
【0040】
本発明は、添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって解釈しなければならない。また、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に対して多様な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当該技術分野で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0042】
上部菱形パターン121aを有する上部透明電極、及びシルクスクリーンを用いて形成される上部金属配線電極とを備える第1の透明基板と、下部多角形パターン141aを有する下部透明電極、及びシルクスクリーンを用いて形成される下部金属配線電極を備える第2の透明基板とを製作し、前記上部透明電極と前記下部透明電極との間をOCA(Acryl type)で付着した後、真空ラミネーター(NPC社 model LM S 110×150)を用いて静電容量方式タッチパネルを製作した。
【0044】
前記実施例において、前記下部透明電極が上部菱形パターン121aを有することを除いては、前記実施例1と同一の方法で静電容量方式タッチパネルを製作した。
【0045】
<実験例>―静電容量方式タッチパネルの視認性評価
【0046】
前記実施例及び比較例において、10×10(横×縦)の試片を製作し、UV―VIS分光透過率測定機(SHIMADZU社)を用いて上部透明電極と下部透明電極との重畳部位と非重畳部位の太陽光透過率を測定した。
【0047】
このとき、上部透明電極と下部透明電極との重畳部位と非重畳部位で測定された太陽光透過率の差が0.5%未満であれば視認性に優れると評価し、それ以上であれば視認性に優れていないと評価する。
【0048】
また、前記実施例と比較例を用いて抵抗線形性(Uniform)を測定(VITRON社の装備)し、具体的には、前記抵抗線形性は、前記実施例及び比較例の静電容量方式タッチパネルを一側の長さ方向に製作し、モジュールの両端間にDC5ボルトを印加した後、距離による電圧の変化差△Eを示した。
【0049】
上部透明電極の衝撃(タッチ)によって下部透明電極側に電場が形成されるので、衝撃による強度認識が良いほど透明電極のパターンに優れると評価し、衝撃位置の距離による電圧変化が小さく、抵抗による線形性が増加するほど衝撃位置に対する認識率に優れると評価する。
【0051】
図1を参考にすると、前記実施例の場合、550nm波長での分光透過率の測定結果、上部透明電極と下部透明電極との重畳部位と非重畳部位で0.5%未満の太陽光透過度差を示した。その一方、比較例の場合、上部透明電極と下部透明電極との重畳部位で透過率の減少が発生したので、550nm波長で上部透明電極と下部透明電極との重畳部位と非重畳部位で3%の透過率差を示した。
【0052】
その結果、上部透明電極の面積が下部透明電極の面積より小さく、上部透明電極の菱形パターンと下部透明電極の多角形パターンとが重畳されない構造を有する実施例の場合、上部透明電極及び下部透明電極が同一のパターンを有する比較例に比べて視認性に優れることが分かった。
【0053】
また、前記表1を参考にして、距離による電圧変化差の最終平均値を確認した結果、実施例の場合、比較例に比べて距離による電圧変化差が少なかったので、衝撃位置に対する認識力及び認識位置の正確度が良いことが分かった。
【0054】
その結果、上部透明電極の面積が下部透明電極の面積より小さい実施例の場合、上部透明電極の面積と下部透明電極の面積が同一である比較例に比べて優れたパターンであることが分かった。