【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、コロイダルシリカの一次粒子が環状に結合したネックレス状コロイダルシリカ、コロイダルシリカの一次粒子が鎖状に結合した鎖状コロイダルシリカ、及びバインダー樹脂を含有する防曇性組成物において、バインダー樹脂の質量(M
A)と、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量及び鎖状コロイダルシリカの固形分質量の合計(M
B)との比(M
A)/(M
B)を特定の範囲とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルムに関する。
1.コロイダルシリカの一次粒子が環状に結合したネックレス状コロイダルシリカ、コロイダルシリカの一次粒子が鎖状に結合した鎖状コロイダルシリカ、及びバインダー樹脂を含有する防曇性組成物であって、
前記バインダー樹脂の質量(M
A)と、前記ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量及び前記鎖状コロイダルシリカの固形分質量の合計(M
B)との比(M
A)/(M
B)が、0.2〜3.0である、
ことを特徴とする防曇性組成物。
2.前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種を含む、上記項1に記載の防曇性組成物。
3.前記ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量と、前記鎖状コロイダルシリカの固形分質量との合計を100質量%として、前記ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が5〜85質量%であり、前記鎖状コロイダルシリカの固形分質量が15〜95質量%である、上記項1又は2に記載の防曇性組成物。
4.上記項1〜3のいずれかに記載の防曇性組成物により形成された防曇層。
5.合成樹脂フィルムの少なくとも片面に、上記項4に記載の防曇層が形成された防曇性フィルム。
【0013】
本発明の防曇性組成物は、コロイダルシリカの一次粒子が環状に結合したネックレス状コロイダルシリカ、コロイダルシリカの一次粒子が鎖状に結合した鎖状コロイダルシリカ、及びバインダー樹脂を含有し、バインダー樹脂の質量(M
A)と、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量及び鎖状コロイダルシリカの固形分質量の合計(M
B)との比(M
A)/(M
B)が0.2〜3.0であるので、初期防曇性及び防曇性能の長期持続性、並びに透明性に優れており、フィルムに塗布して防曇層を形成した際に、フィルム同士の密着(ブロッキング)が抑制される。
【0014】
本発明の防曇性組成物は、また、バインダー樹脂の質量(M
A)と、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量及び鎖状コロイダルシリカの固形分質量の合計(M
B)との比(M
A)/(M
B)が上述の範囲であるので、当該防曇性組成物をフィルムに塗布して防曇層を形成した際に、湿気の多い場所でもフィルム同士の密着が抑制され、防曇層の表面を擦っても塗膜の脱落が抑制されるので、表面強度が高い防曇層を形成することができる。
【0015】
すなわち、本発明によれば、初期防曇性及び防曇性能の長期持続性、並びに透明性に優れ、フィルムに塗布して防曇層を形成した際に、フィルム同士の密着(ブロッキング)が抑制されている防曇性組成物を得ることができる。また、本発明によれば、上記防曇性組成物をフィルムに塗布して防曇層を形成した際に、湿気の多い場所でもフィルム同士の密着が抑制され、防曇層の表面を擦っても塗膜の脱落が抑制されている、表面強度が高い防曇層を形成可能な防曇性組成物を得ることができる。
【0016】
本発明の防曇性組成物を用いて形成された防曇層及び防曇性フィルムは、上述の防曇性、防曇性能の長期持続性、透明性を備えており、フィルム同士の密着が抑制されており、且つ、湿気の多い場所でもフィルム同士の密着が抑制され、表面強度に優れている。
【0017】
以下、本発明の防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルムについて詳細に説明する。
【0018】
1.防曇性組成物
本発明の防曇性組成物は、コロイダルシリカの一次粒子が環状に結合したネックレス状コロイダルシリカ、コロイダルシリカの一次粒子が鎖状に結合した鎖状コロイダルシリカ、及びバインダー樹脂を含有し、バインダー樹脂の質量(M
A)と、前記ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量及び前記鎖状コロイダルシリカの固形分質量の合計(M
B)との比(M
A)/(M
B)が、0.2〜3.0である。上記(M
A)/(M
B)が、0.2以上であると、上記防曇性組成物を用いて形成した防曇層が、より強度を発揮することができる。また、上記(M
A)/(M
B)が3.0以下であることにより、上記防曇性組成物を用いて形成した防曇層を備える防曇性フィルムは、より高い防曇性を発揮することができ、湿気の多い場所でのフィルム同士の密着を抑制できる。上記(M
A)/(M
B)は、0.2〜1.0であることが好ましく、0.3〜0.6であることがより好ましい。
【0019】
(バインダー樹脂)
本発明の防曇性組成物が含有するバインダー樹脂としては特に限定されないが、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が好適に用いられる。
【0020】
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が30〜85℃の(メタ)アクリル系単量体の単独重合体、(メタ)アクリル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
【0021】
上記ガラス転移温度が30〜85℃の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、炭素数5〜20の(メタ)アクリル酸(エステル)等が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等を用いることができる。
【0022】
上記(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数4〜20の不飽和結合を有するオレフィン系単量体が挙げられ、具体的には、ブタジエン、イソブテン、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(エステル)−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0023】
上記アクリル系樹脂の中でも、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、及び(メタ)アクリル酸(メチル)−スチレン共重合体が好適に用いられる。
【0024】
上記アクリル系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
上記ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂を用いることができる。これらのウレタン系樹脂は、水性組成物、又はエマルジョンの形態で用いてもよい。
【0026】
上記ウレタン系樹脂としては、防曇層の合成樹脂フィルムとの密着性、耐水性及び表面強度(耐傷付き性)に優れる点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンが好ましく、防曇層の耐水性及び耐傷付き性が更に向上し、且つ防曇性を発現するまでの時間が短縮でき、防曇性が持続する点で、シラノール基を有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンがより好ましい。これらのウレタン系樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
(ネックレス状コロイダルシリカ)
ネックレス状コロイダルシリカは、コロイダルシリカの一次粒子が環状に結合したコロイダルシリカである。すなわち、上記ネックレス状コロイダルシリカは、数個ないし十数個のコロイダルシリカの一次粒子が、パールネックレスのように環状に凝集したコロイダルシリカである。上記ネックレス状コロイダルシリカは、一次粒子が環状に凝集していればよく、ネックレス状の環から分岐した分枝鎖があってもよい。また、一次粒子により形成される環は、完全な円形又は楕円形のものに限られず、歪な形状の環であってもよい。上記ネックレスコロイダルシリカの形状は、電子顕微鏡により観察することができる。
【0028】
ネックレス状コロイダルシリカを形成するコロイダルシリカの一次粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
【0029】
上記コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、5〜30nmが好ましく、8〜25nmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲のコロイダルシリカの一次粒子を用いることにより、より防曇性に優れた防曇性組成物とすることができる。コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、JIS Z8830に準拠したBET法により測定することができる。
【0030】
上記ネックレス状コロイダルシリカは、一次粒子が結合し、70〜200nmの長さに連なっていることが好ましく、80〜150nmの長さに連なっていることがより好ましい。上記ネックレス状コロイダルシリカの長さは、一次粒子の結合により形成される二次粒子の環の一周の長さである。ネックレス状コロイダルシリカの長さを上記範囲とすることにより、防曇性組成物がより防曇性に優れる。ネックレス状コロイダルシリカの長さは、電子顕微鏡により写真撮影し、撮影されたネックレス状コロイダルシリカの一周の長さを測ることにより測定することができる。
【0031】
上記ネックレス状コロイダルシリカの市販品としては、日産化学工業部式会社製ネックレス状コロイダルシリカ 商品名:「ST−PS−S」、「ST−PS−M」、「ST−PS−SO」、「ST−PS−S−K」、「ST−PS−MO」が挙げられる。
【0032】
(鎖状コロイダルシリカ)
鎖状コロイダルシリカは、コロイダルシリカの一次粒子が数個ないし十数個鎖状に結合したコロイダルシリカであり、環状構造を有しないコロイダルシリカである。上記鎖状コロイダルシリカは、一次粒子が鎖状に凝集していればよく、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよい。上記鎖状コロイダルシリカの形状は、電子顕微鏡により観察することができる。
【0033】
鎖状コロイダルシリカを形成するコロイダルシリカの一次粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
【0034】
上記コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、5〜20nmが好ましく、10〜15nmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲のコロイダルシリカの一次粒子を用いることにより、防曇性組成物が透明性に優れる。コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、JIS Z8830に準拠したBET法により測定することができる。
【0035】
上記鎖状コロイダルシリカは、一次粒子が結合し、30〜150nmの長さに連なっていることが好ましく、40〜100nmの長さに連なっていることがより好ましい。上記鎖状コロイダルシリカの長さは、一次粒子の結合により形成される鎖状の二次粒子の主鎖の長さと、分枝鎖の長さとの合計の長さである。鎖状コロイダルシリカの長さを上記範囲とすることにより、防曇性組成物が透明性に優れる。鎖状コロイダルシリカの長さは、電子顕微鏡により写真撮影し、撮影された鎖状コロイダルシリカの主鎖の長さと、分枝鎖の長さを測定して合計することにより測定することができる。
【0036】
上記鎖状コロイダルシリカの市販品としては、日産化学工業部式会社製鎖状コロイダルシリカである、「スノーテックス−UP」シリーズ等が挙げられ、より具体的には、商品名:「ST−UP」、「ST−OUT」等が挙げられる。
【0037】
本発明の防曇性組成物に用いられるコロイダルシリカは、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量と、鎖状コロイダルシリカの固形分質量との合計を100質量%として、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が5〜85質量%であり、鎖状コロイダルシリカの固形分質量が15〜95質量%であることが好ましい。ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が10〜80質量%であり鎖状コロイダルシリカの固形分質量が20〜90質量%であることがより好ましく、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が10〜75質量%であり鎖状コロイダルシリカの固形分質量が25〜90質量%であることが更に好ましく、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が10〜30質量%であり鎖状コロイダルシリカの固形分質量が70〜90質量%であることが特に好ましく、ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量が10〜20質量%であり鎖状コロイダルシリカの固形分質量が80〜90質量%であることが最も好ましい。
【0038】
コロイダルシリカの配合比を上記配合比とすることにより、防曇性組成物の初期防曇性、防曇性能の長期持続性、及び透明性が優れ、且つ、当該防曇性組成物を用いて得られる防曇性フィルム同士の密着も抑制され、これらの特性に特に優れた防曇性組成物を得ることができる。
【0039】
上記ネックレス状コロイダルシリカの固形分質量と上記鎖状コロイダルシリカの固形分質量との合計は、防曇性組成物を100質量%として、0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。上記コロイダルシリカの固形分質量の合計が多過ぎると白濁化して外観が悪くなるおそれがあり、少な過ぎると良好な防曇効果が発現できないおそれがある。
【0040】
上記ネックレス状コロイダルシリカ、及び鎖状コロイダルシリカは、通常市販されている水に分散された製品そのもの、又は、通常市販されているシリカ粉末を水に分散させて水性ゾルとしたもののいずれを用いてもよい。
【0041】
本発明の防曇性組成物は、通常液状で使用される。液状分散媒としては、水を含む親和性ないし水混合性溶媒が挙げられ、具体的には、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これらの液状分散媒は、単独で用いても、併用して用いてもよい。
【0042】
(他の成分)
本発明の防曇性組成物は、上記ネックレス状コロイダルシリカ、及び鎖状コロイダルシリカを含有していれば、更に、無機微粒子を含有していてもよい。このような無機微粒子としては、例えば、コロイダルアルミナ、球状コロイダルシリカ、シリコン微粒子等が挙げられる。
【0043】
本発明の防曇性組成物には必要に応じて無機フィラー、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、帯電防止剤等を通常の量で配合することができる。
【0044】
無機フィラーとしては、一般に用いられる各種の化合物があげられ、特に、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩及び、その複合物が好ましい。具体的には、クレー(カオリンクレー、ソフタクレー、バードクレー、焼成クレー、ロウ石クレー)、タルク(滑石、フレンチチョーク)、アスベスト(クリソタイル、クロシドライド、アンモナイト、アンソフェライト、トレモライト、アクチノライト)、マイカ、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、アタパルジャイト、軽石粉、スレート粉、長石粉、ケイ灰石、フラースアース、トリポリ石、蛭石、含水又は無水の沈降性ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等で代表されるケイ酸塩、ハイドロタルサイト類(含水又は無水アルミニウム/マグネシウム塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルミニウム/Zn塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミ(含水又は無水)等の酸化物、炭酸カルシウム(重質炭カル、軽質炭カル、膠質炭カル又は沈降性炭カル、胡粉、チョーク、ウィッチング、アラレ石)、炭酸マグネシウム(沈降性、含水及び無水)等の炭酸塩、硫酸バリウム(バライト粉)、沈降性硫酸バリウム、硫酸カルシウム(石コウ、軟石コウ又は沈降性)、ブランフィクス等の硫酸塩、ライム(水酸化アルミ)、水酸化マグネシウム等の水酸化物、カーボンブラック(ファーネス、チャンネル、ランプ、サーマル、アセチレン)、グラファイト、炭素繊維、炭素球、無煙炭粉等の炭素原子からなるもの、銅、アルミニウム、ブロンズ、鉛、亜鉛、スチール等の金属の粉末、繊維、ホイスカーあるいはワイヤー、又は繊維状、球状、発泡、フライアッシュ球、シラスバルーン等のガラス物質、バリウムフェライト、マグネタイト、二硫化モリブデン、チタン酸カリ等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組合せて使用してもよい。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、フェニルサリシレート系等の紫外線吸収剤があげられる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤および/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0046】
光安定剤としては、防曇性組成物に通常配合される種々の化合物を使用することができる。具体的には例えば4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)アジペート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
【0047】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
【0048】
滑剤ないし熱安定剤としては、例えばポリエチレンワックス、流動パラフィン、ビスアマイド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、脂肪族アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、有機リン酸金属塩、有機ホスファイト化合物、フェノール類、β−ジケトン化合物等が挙げられる。
【0049】
上記各種添加剤は、それぞれ1種または2種以上を組合せて使用することができる。上記各種添加剤の配合量は、防曇性組成物の性能を悪化させない範囲、通常は防曇性組成物100質量部当り10質量部以下の範囲で選択することができる。
【0050】
本発明の防曇性組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記ネックレス状コロイダルシリカ、上記鎖状コロイダルシリカ、バインダー樹脂、水、及び必要に応じて他の成分を添加し、ホモジナイザー等の撹拌装置により撹拌混合する方法が挙げられる。
【0051】
2.防曇層
本発明は、上記防曇性組成物により形成された防曇層でもある。当該防曇層は、上記防曇性組成物を後述する合成樹脂フィルム等の表面に塗布し、乾燥させることにより得ることができる。
【0052】
防曇層の厚みは、塗布後の防曇性組成物の固形分の厚みとして0.1〜3.0μm程度が好ましく、0.2〜2.0μm程度がより好ましい。
【0053】
合成樹脂フィルム等の表面に防曇性組成物を塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、ドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り等の公知の塗布方法が挙げられる。塗布された防曇性組成物を乾燥することにより、防曇層を形成することができる。乾燥方法は、自然乾燥又は強制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、好ましくは30〜120℃、より好ましくは50〜100℃の温度範囲で乾燥すればよい。また、強制乾燥としては加熱乾燥が挙げられ、当該加熱乾燥としては、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等が挙げられる。
【0054】
3.防曇性フィルム
本発明は、合成樹脂フィルムの少なくとも片面に、上記防曇層が形成された防曇性フィルムでもある。合成樹脂フィルムに上記防曇層を形成することにより、初期防曇性、防曇性能の長期持続性、及び透明性に優れ、フィルム同士の密着が抑制された防曇性フィルムとすることができ、且つ、湿気の多い場所でもフィルム同士の密着が抑制され、防曇層の表面を擦っても塗膜の脱落が抑制されている、表面強度が高い防曇層を有する防曇性フィルムとすることができる。
【0055】
上記合成樹脂フィルムを形成する樹脂としては、特に限定されないが、塩化ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリオレフィン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。特に、農業用フィルムとして用いる場合、透明性、耐候性及び経済性の点から、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
合成樹脂フィルム上に防曇層を形成する際の防曇性組成物の塗布方法、塗布条件、防曇層の厚み等は、上記防曇層において説明した方法によればよい。
【0057】
合成樹脂フィルムと防曇層との接着性が十分でない場合には、合成樹脂フィルムの表面に、予めプラズマ放電処理、コロナ放電処理等の前処理を施しておいてもよい。
【0058】
上記防曇性フィルムは、農業用フィルムであることが好ましい。上記防曇性フィルムは、初期防曇性及び防曇性能の長期持続性、並びに透明性に優れ、且つフィルムに塗布した際にフィルム同士の密着が抑制されており、且つ、湿気の多い場所でもフィルム同士の密着が抑制され、表面強度が高い防曇層を有するので、農業用フィルムとして、作物栽培用のハウス、トンネル等に用いるのに適している。
【0059】
上記防曇性フィルムを農業用フィルムとして用い、ハウスに展張する場合、防曇層がハウスの内側となる面に形成されているように展張することが好ましい。防曇層がハウスの内側となる面に形成されていることにより、防曇性フィルムの内側表面に付着した水滴が、栽培作物へ落下するのを抑制することができる。
【0060】
上記防曇性フィルムは、防曇層が合成樹脂フィルムの両面に形成されていてもよい。防曇層が合成樹脂フィルムの両面に形成された防曇性フィルムを農業用フィルムとして用い、ハウスに展張すると、上述のようにハウスの内側となる面に形成された防曇層により、水滴が栽培作物へ落下するのを抑制することができる上に、更に、ハウスの外側となる面に形成された防曇層により、ハウス外面の汚れを抑制することができる。