(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から
図16を参照して、実施の形態におけるワーク搬送装置およびワーク搬送装置を備える加工システムについて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における第1のワーク搬送装置の概略図である。第1のワーク搬送装置1は、搬送台2と、枠部材としてのフレーム3を備える。フレーム3は、水平方向に延びるレール部3aを含む。第1のワーク搬送装置1は、搬送台2を移動させる移動装置を備える。搬送台2は、フレーム3のレール部3a上を走行する。
【0021】
搬送台2は、レール部3aに載置される車輪45を含む。搬送台2は、レール部3aに沿って水平方向に移動する。第1のワーク搬送装置1は、ワークを着脱可能な複数本のアームを備える。本実施の形態のワーク搬送装置は、加工後のワークを工作機械から取り外す第1のアーム11と、加工前のワークを工作機械に取り付ける第2のアーム21とを備える。第1のアーム11および第2のアーム21は、それぞれが上下方向に延びるように形成されている。第1のアーム11および第2のアーム21は、搬送台2に支持されている。
【0022】
第1のアーム11は、ラック12を含む。ラック12は、上下方向に延びるように配置されている。第1のアーム11は、下側の端部にハンド部16を含む。ハンド部16は、複数の爪部16aによりワークを保持することができるように形成されている。第1のアーム11は、ハンド部16を開閉するためのエアシリンダ17を含む。エアシリンダ17が駆動することにより、矢印82に示すように、ハンド部16の爪部16aが開閉して、ワークを保持したり離したりすることができる。
【0023】
第1のアーム11は、レール19を含む。レール19は、移動可能にガイドブロック15に支持されている。ガイドブロック15は、搬送台2に固定されている。第1のアーム11は、ガイドブロック15に支持されながら昇降する。すなわち、第1のアーム11は、矢印83に示す上下方向に移動可能に形成されている。
【0024】
第2のアーム21は、第1のアーム11から離れて配置されている。第1のアーム11および第2のアーム21は、搬送台2の移動方向に並んで配置されている。第2のアーム21は、第1のアーム11と同様に、ラック22を含む。また、第2のアーム21は、ハンド部26およびエアシリンダ27を含む。エアシリンダ27が駆動することにより、ハンド部26の爪部26aが開閉して、ワークを保持したり離したりすることができる。
【0025】
第2のアーム21は、レール29を含む。レール29は、移動可能にガイドブロック25に支持されている。ガイドブロック25は、搬送台2に固定されている。第2のアーム21は、ガイドブロック25に支持された状態で昇降する。すなわち、第2のアーム21は、矢印84に示す上下方向に移動可能に形成されている。
【0026】
ワーク搬送装置は、第1のアーム11および第2のアーム21を上下方向に移動させる駆動手段としての駆動装置を含む。第1のワーク搬送装置1の駆動装置は、第1のアーム11を駆動する第1のアーム駆動装置と、第2のアーム21を駆動する第2のアーム駆動装置とを含む。第1のアーム駆動装置は、ピニオン13と、ピニオン13を回転させる第1のサーボモータとを含む。第2のアーム駆動装置は、ピニオン23と、ピニオン23を回転させる第2のサーボモータとを含む。第1のサーボモータが駆動することにより、サーボモータ軸14が回転し、ピニオン13が回転する。この結果、第1のアーム11が上下方向に移動する。第2のサーボモータが駆動することにより、サーボモータ軸24およびピニオン23が回転し、第2のアーム21が上下方向に移動する。第1のアーム駆動装置および第2のアーム駆動装置は、独立して駆動可能に形成されている。
【0027】
本実施の形態のワーク搬送装置は、搬送台2の移動およびアームの移動を制御する制御装置を含む。搬送台2の移動装置は、制御装置により制御されている。ハンド部16,26のエアシリンダ17,27、第1のサーボモータおよび第2のサーボモータは、制御装置により制御されている。第1のアーム駆動装置および第2のアーム駆動装置は、独立して制御される。すなわち、第1のアーム11および第2のアーム21のうち、一方のアームを停止した状態で、他方のアームを駆動することができる。例えば、第1のアーム駆動装置のピニオン13が停止した状態で、第2の駆動装置のピニオン23を回転させて、第2のアーム21を上下方向に駆動することができる。
【0028】
なお、本実施の形態のアームを移動させる駆動装置は電動のサーボモータを含むが、この形態に限られず、任意の装置により第1のアームおよび第2のアームを移動させることができる。例えば、駆動装置は、油圧シリンダにより第1のアームおよび第2のアームを移動可能に形成されていても構わない。
【0029】
第1のワーク搬送装置1は、第1のアーム11と第2のアーム21とを接続する紐状の接続部材としての金属製のワイヤー41を含む。ワイヤー41の一方の端部は、第1のアーム11のハンド部16に接続されている。ワイヤー41の他方の端部は、第2のアーム21のハンド部26に接続されている。ワイヤー41は、第1の定滑車31により支持されている。第1の定滑車31は、回転可能に搬送台2に支持されている。第1の定滑車31は、ワイヤー41の延びる方向を変える。
【0030】
第1のワーク搬送装置1は、搬送台2に支持され、ワイヤー41に係合して回転する第2の回転部材として機能する第2の定滑車32を含む。第2の定滑車32は、搬送台2に回転可能に支持されている。第2の定滑車32は、2つの第1の定滑車31同士の間の領域に配置されている。第1のワーク搬送装置1は、第2の定滑車32から離れて配置されている動滑車33を含む。動滑車33は、搬送台2に支持され、ワイヤー41に係合して回転する第1の回転部材として機能する。動滑車33は、滑車支持部材34に支持されている。
【0031】
搬送台2は、上側に向かって延びるばね支持部2aを含む。第1のワーク搬送装置1は、付勢手段としてのコイルばね4を含む。コイルばね4は、一方の端部がばね支持部2aに支持されている。コイルばね4は、他方の端部が滑車支持部材34を支持している。このように、動滑車33は、コイルばね4を介して搬送台2に支持されている。
【0032】
図2に、第1のワーク搬送装置における動滑車および定滑車の部分の概略正面図を示す。
図3に、第1のワーク搬送装置の動滑車および第2の定滑車の部分の概略側面図を示す。
図1から
図3を参照して、第2の定滑車32は、滑車支持部材35を介して搬送台2に支持されている。動滑車33は、矢印85に示すように上下方向に移動する。コイルばね4は、動滑車33を引っ張る向きに付勢する。第1のワーク搬送装置1では、コイルばね4は、上側に向かって動滑車33を付勢している。ワイヤー41は、第1の定滑車31から第2の定滑車32に向かって延びる。ワイヤー41は、第2の定滑車32と動滑車33とに掛けられている。本実施の形態においては、ワイヤー41が動滑車33および第2の定滑車32の周りを3周巻回している。
【0033】
第1のアーム11の側に配置された第1の定滑車31に係合して延びるワイヤー41は、第2の定滑車32の第1の溝部に係合する。第2の定滑車32の第1の溝部から延びるワイヤー41は、動滑車33の第1の溝部に係合する。動滑車33の第1の溝部から延びるワイヤー41は、第2の定滑車32の第2の溝部に係合する。第2の定滑車32の第2の溝部から延びるワイヤー41は、動滑車33の第2の溝部に係合する。このように、ワイヤー41が螺旋状に巻回される。そして、第2の定滑車32の第4の溝部から延びるワイヤー41は、第2のアーム21の側に配置された第1の定滑車31に係合する。動滑車33の位置は、第1のアーム11および第2のアーム21の位置に依存する。
【0034】
本実施の形態のワーク搬送装置は、それぞれのアームを移動範囲の予め定められた位置にて上昇不能にするストッパを含む。
図1を参照して、第1のワーク搬送装置1は、第1のアーム11を移動範囲の上端で上昇不能にする第1のストッパ18を含む。また、第1のワーク搬送装置1は、第2のアーム21を移動範囲の上端で上昇不能にする第2のストッパ28を含む。これらのストッパは、搬送台2に固定されている。
【0035】
第1のストッパ18は、第1のアーム11が上側に向かって移動した時にハンド部16が当接することにより第1のアーム11を上昇不能にする。また、第2のストッパ28は、第2のアーム21が上側に向かって移動した時にハンド部26が当接することにより、第2のアーム21を上昇不能にする。
【0036】
たとえば、第2のアーム21を移動する時には、第1のアーム11を第1のストッパ18に当接した状態にして、第1のアーム駆動装置を停止する。そして、第2のアーム駆動装置を駆動することにより第2のアーム21を上下方向に移動させることができる。このときに、動滑車33がコイルばね4に付勢されているために、第1のアーム11が第1のストッパ18に当接した状態が維持される。また、動滑車33は、矢印85に示す方向に移動する。同様に、第2のアーム21を第2のストッパ28に当接させた状態で、第1のアーム駆動装置を駆動することにより第1のアーム11を上下方向に移動させることができる。
【0037】
次に、本実施の形態のワーク搬送装置の動作について具体的に説明する。
図4に、本実施の形態の第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第1の概略図を示す。本実施の形態のワーク搬送装置は、ガントリローダである。第1のワーク搬送装置1のフレーム3は、支柱部3bとレール部3aとを含む。レール部3aは、工作機械61のテーブル62およびワーク投入ステーション51のワーク52を載置するテーブルよりも上側に配置されている。レール部3aは、ハンド部16,26を工作機械61のテーブル62よりも上方に配置できる高さにて形成されている。
【0038】
加工システムは、複数の工作機械61を備える。複数の工作機械61は、一列に並んで配置されている。レール部3aは、工作機械61が並ぶ方向と平行な方向に延びている。ワーク52は、工作機械61のテーブル62に固定される。搬送台2は、レール部3aに沿って移動するために、矢印81に示すように、テーブル62の上方を工作機械61が並ぶ方向に移動する。
【0039】
本実施の形態の加工システムは、ワーク投入ステーション51を含む。本実施の形態のワーク投入ステーション51では、加工前のワーク52bをワーク搬送装置に取り付けたり、加工後のワーク52aをワーク搬送装置から取り外したりする。ワーク投入ステーション51は、ワーク交換装置により図示しないワークの貯蔵部からワーク52を投入することができる。または、作業員によりワーク52を載置しても構わない。更に、本実施の形態では、ワーク投入ステーション51にてワーク52の排出も行うことができる。
【0040】
図4は、第1のワーク搬送装置1がワーク投入ステーション51から加工前のワーク52bを引き取って、ワークを交換すべき工作機械61の上方に搬送台2を配置した状態を示している。第1のアーム11は第1のストッパ18に当接し、第2のアーム21は第2のストッパ28に当接した状態である。本実施の形態では、この第1のアームおよび第2のアームの状態を基準状態と称する。
【0041】
始めに、加工後のワーク52aを工作機械61から取り外す。
図4に示すように、加工が終了した加工後のワーク52aの真上に、第1のアーム11のハンド部16が配置されるように搬送台2を移動する。すなわち、第1のアーム11を移動したときに、ハンド部16にて加工後のワーク52aを保持できる位置まで搬送台2を移動する。加工前のワーク52bは、第2のアーム21に保持されている。第1のアーム11は、ワークを保持していない状態である。そして、第2のアーム駆動装置を停止した状態で、第1のアーム駆動装置を駆動する。矢印86に示すように、第1のアーム11が加工後のワーク52aに向かって移動する。
【0042】
第1のアーム駆動装置を駆動すると、ワイヤー41が第1のアーム11に引っ張られる。動滑車33は、矢印91に示すように下向きに移動する。そして、コイルばね4が伸びる。
【0043】
図5に、第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第2の概略図を示す。第1のアーム11を所定の位置まで下降した後に、エアシリンダ17を駆動することにより加工後のワーク52aを保持する。次に、矢印87に示すように、第1のワーク駆動装置により、第1のアーム11を上側に移動する。この時に、矢印92に示すように動滑車33は上向きに移動する。そして、コイルばね4は縮む。
【0044】
第1のアーム11が移動している期間中にも、コイルばね4は、ワイヤー41を引っ張る向きに付勢している。このコイルばね4の付勢力により、第1のアーム駆動装置には過剰な負荷がかからずにワーク52aを引き上げることができる。すなわち、動滑車33およびコイルばね4によりカウンターバランス機構が構成されている。このときに、第2のアーム21は、コイルばね4の付勢力により、ハンド部26が第2のストッパ28に当接した状態が維持される。
【0045】
図6に、第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第3の概略図を示す。第1のアーム駆動装置を駆動し、第1のアーム11が第1のストッパ18に当接するまで第1のアーム11を引き上げて基準状態に戻す。このように、加工後のワーク52aを第1のアーム11にて引き上げることができる。第1のアーム11および第2のアーム21は、基準状態に戻る。
【0046】
次に、加工前のワーク52bを工作機械61に取り付ける。矢印88に示す向きに搬送台2を移動して、第2のアーム21のハンド部26に保持された加工前のワーク52bをテーブル62の真上に配置する。ワーク52bを下降した時にテーブル62の取り付け位置にワーク52bが配置される位置まで搬送台2を移動する。
【0047】
図7に、第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第4の概略図を示す。次に、第2のアーム駆動装置を駆動して、矢印89に示すように第2のアーム21を下降する。第1のアーム駆動装置は停止した状態であり、第1のアーム11は第1のストッパ18に当接した状態である。動滑車33は矢印91に示すように下側に移動して、コイルばね4は伸びる。
【0048】
図8に、第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第5の概略図を示す。第2のアーム21を下降することにより、加工前のワーク52bをテーブル62の所定の位置まで降ろす。次に、ワーク52bをテーブル62に固定する。そして、第2のアーム21のエアシリンダ27を駆動することにより、ハンド部26を開いてワーク52bの保持を解除する。
【0049】
次に、第2のアーム駆動装置を駆動することにより、矢印90に示すように、第2のアーム21を上側に移動する。第2のアーム21のハンド部26が第2のストッパ28に当接するまで引き上げる。動滑車33は、矢印92に示すように上側に移動し、コイルばね4は縮む。第2のアーム21を基準状態の位置まで戻す。このように、工作機械61におけるワークの交換を行うことができる。
【0050】
図9に、第1のワーク搬送装置を備える加工システムの第6の概略図を示す。次に、ワーク投入ステーション51にてワークの交換を行う。第1のアーム11および第2のアーム21を基準状態に戻した後に、矢印93に示すように搬送台2をワーク投入ステーション51の真上まで移動する。ワーク投入ステーション51に対する加工後のワーク52aの引き渡し、および加工前のワーク52bの受け取りについても、工作機械61におけるワークの交換と同様の動作により行うことができる。
【0051】
たとえば、第1のアーム11を移動することにより、ワーク投入ステーション51に対して加工後のワーク52aを引き渡すことが出来る位置まで搬送台2を移動する。そして、第1のアーム11を移動することにより、ワーク投入ステーション51に加工後のワーク52aを引き渡す。この後に、第1のアーム11を基準状態に戻して、加工前のワーク52bを第2のアーム21にて保持可能な位置まで搬送台2を移動する。そして、第2のアーム21を移動することにより、加工前のワーク52bを第2のアーム21に保持する。
【0052】
このように、ワーク搬送装置は、加工前のワーク52bを、ワーク投入ステーション51から工作機械61まで搬送することができる。また、加工後のワーク52aを、工作機械61からワーク投入ステーション51まで搬送することができる。さらに、本実施の形態のワーク搬送装置は、複数のアームを備え、工作機械61からの加工後のワーク52aの取り外し、および加工前のワーク52bの工作機械61への取付けを、僅かな搬送台2の移動にて行うことができる。このために、工作機械61におけるワークの交換を短時間で行うことができる。
【0053】
また、
図1を参照して、本実施の形態のワイヤー41は、一方の端部が第1のアーム11に接続され、他方の端部が第2のアーム21に接続されている。そして、ワイヤー41は、動滑車33を介してコイルばね4により付勢されている。第1のアーム11にてワークを持ち上げる時または第2のアーム21にてワークを持ち上げるときに、動滑車33およびコイルばね4は、カウンターバランス機構として機能する。コイルばね4を含むカウンターバランス機構は、重力方向と反対方向に第1のアーム11および第2のアーム21を付勢する。そして、カウンターバランス機構は、第1のアーム駆動装置または第2のアーム駆動装置の負荷を軽減することができる。
【0054】
本実施の形態のワーク搬送装置は、2つのアームのそれぞれに対して、個別にカウンターバランス機構を設けておらず、2つのアームのカウンターバランス機構を1つのコイルばねで共用している。このために、カウンターバランス機構の構造を簡易にすることができる。
【0055】
第1のワーク搬送装置1は、ワイヤー41をハンド部16,26の方向に向けるための第1の定滑車31に加えて、第2の定滑車32を備える。そして、ワイヤー41は、動滑車33と第2の定滑車32との周りを巻回している。更に、第1のワーク搬送装置は、第1のアーム駆動装置と第2のアーム駆動装置とが独立して駆動可能に形成されている。この構成を採用することにより、工作機械からのワークの取り外しおよび工作機械へのワークの取り付けを、それぞれのアームにて独立して行うことができる。
【0056】
また、動滑車33の移動長さを短くすることができる。本実施の形態においては、第2の定滑車32と動滑車33との周りを3周巻回しているために、動滑車33の移動距離を6分の1にすることができる。この結果、搬送台2のばね支持部2aを短くすることができて、搬送台2の高さを低くすることができる。動滑車と第2の定滑車との周りを巻回する回数は3回に限られず、任意の回数にて巻回することができる。第2の定滑車と動滑車との周りを巻回する回数を増やすほど、動滑車の移動長さを短くすることができる。なお、第2の定滑車と動滑車との周りを巻回する回数を増やすほど、ばね定数が大きなコイルばねを用いることが好ましい。
【0057】
本実施の形態のワーク搬送装置は、一方のアームを停止した状態で他方のアームを駆動することができる。そして、ワーク搬送装置は、第1のストッパと第2のストッパとを備える。それぞれのアームを上昇不能にするストッパを配置することにより、一方のアームを移動するときに、他方のアームを上側に向かってストッパに当接させて固定することができる。一方のアームを移動する時に、他方のアームを停止させるためには、他方のアームを駆動するアーム駆動装置に負荷が加わる。しかしながら、ストッパを配置することにより、他方のアーム駆動装置に負荷が加わることを回避できる。すなわち、一方のアームを移動する時に、他方のアームのアーム駆動装置を停止した状態にすることができる。
【0058】
本実施の形態の第1のワーク搬送装置においては、動滑車が1個であるが、この形態に限られず、さらに別の動滑車を組み合わせても構わない。動滑車を増やして付勢手段のストロークを更に短くしても構わない。または、定滑車や動滑車を用いることにより、付勢手段の延びる向きを変えても構わない。
【0059】
また、付勢手段としてはコイルばねに限られず、動滑車を付勢する任意の装置を採用することができる。付勢手段としては、油圧シリンダや空気圧シリンダ等の流体シリンダを採用することができる。例えば、油圧シリンダを採用する場合には、動滑車が接続されたピストンよりも下側の油室に一定圧の作動油を供給し、動滑車を上側に付勢するように形成することができる。
【0060】
図10に、本実施の形態における第2のワーク搬送装置の概略図を示す。
図1および
図10を参照して、第2のワーク搬送装置5は、第1のワーク搬送装置1の第2の定滑車32を備えていない。第1のアーム11から延びるワイヤー41が1つの第1の定滑車31に係合した後に動滑車33に係合する。そして、動滑車33から延びるワイヤー41は、他の第1の定滑車31に係合した後に第2のアーム21に接続されている。
【0061】
また、第2のワーク搬送装置5においては、搬送台2のばね支持部2aが水平方向に延びるように形成されている。そして、コイルばね4は、水平方向に延びるように配置されている。
【0062】
このように、第1のワーク搬送装置1の第2の定滑車32が配置されておらず、第2の定滑車と動滑車との間でワイヤーが巻回されていなくても構わない。この構成を採用することにより、カウンターバランス機構の構成を簡易にすることができる。更には、接続部材としてのワイヤーは、第1のアームとの接続部と第2のアームとの接続部との間の領域にて第1の回転部材が係合していれば構わない。第1の回転部材としては動滑車または定滑車のいずれも採用することができる。
【0063】
また、コイルばね4が水平方向に延びるように配置されているために、第2のワーク搬送装置5の高さを低くすることができる。第2のワーク搬送装置5は、例えば、加工システムを収容する建屋の天井が低い場合に好適である。なお、コイルばねが水平方向に延びるように配置されたワーク搬送装置においても、第2の定滑車を配置して、第2の定滑車と動滑車との間でワイヤーが巻回されていても構わない。
【0064】
図11に、本実施の形態における第3のワーク搬送装置の第1の概略図を示す。
図1および
図11を参照して、第3のワーク搬送装置6は、第1のワーク搬送装置1に配置されている動滑車33、第2の定滑車32およびコイルばね4を備えていない構造を有する。また、第1のアーム11および第2のアーム21を駆動する駆動装置として、第1のアーム駆動装置が配置されておらずに、第2のアーム駆動装置が配置されている。
【0065】
第3のワーク搬送装置6においては、第1のアーム11と第2のアーム21とが、連動して移動する。ワイヤー41は、一方の端部が第1のアーム11に接続されている。ワイヤー41は、2つの第1の定滑車31に係合した後に、他方の端部が第2のアーム21に接続されている。ワイヤー41は、第1の定滑車31に吊り下げられている。ワイヤー41は、一方の端部と他方の端部との間の部分が第1の定滑車31に係合している。第3のワーク搬送装置6では、第1の定滑車31が第1の回転部材として機能する。
【0066】
図11は、第1のアーム11が工作機械に向かって移動した状態を示している。この状態において、第1のアーム11により、加工後のワークを工作機械から取り外すことができる。次に、第2のアーム駆動装置を駆動することにより、第2のアーム21を矢印96に示すように下側に移動することができる。第1のアーム11は、矢印95に示すように上側に移動する。
【0067】
図12に、第3のワーク搬送装置の第2の概略図を示す。
図12は、第1のアーム11を移動範囲の上端部まで移動して、第2のアーム21を移動範囲の下端部まで移動した状態である。この状態にて第2のアーム21にて加工前のワークを工作機械に取り付けることができる。
【0068】
図13に、第3のワーク搬送装置の第3の概略図を示す。レール部3a上にて搬送台2を移動する場合には、第1のアーム11および第2のアーム21を移動範囲の中間位置に配置することができる。たとえば、第1のアーム11のハンド部16と第2のアーム21のハンド部26とを略同じ高さにすることができる。そして、搬送台2を矢印81に示す方向に移動することができる。
【0069】
第3のワーク搬送装置6においては、一方のアームが移動する時に他方のアームが錘となり、カウンターバランス機構を構成することができる。この結果、アーム駆動装置に加わる負荷を軽減することができる。
【0070】
図14に、本実施の形態における第4のワーク搬送装置の概略図を示す。本発明のワーク搬送装置のアームは、2本に限定されるものではなく、複数本のアームを備えることができる。アームが3本以上になる場合は、2個のハンド部16,26をはじめとする各アームのハンド部16,26,76に動滑車36を回転可能に固定する。動滑車36にワイヤー41を掛け、ワイヤー41の端部41aを搬送台2に固定する。
図14には、アームを3本備えるワーク搬送装置が示されている。第4のワーク搬送装置は、第1のアーム11および第2のアーム21に加えて、第3のアーム71を備える。第3のアーム71は、ワークを保持するハンド部76を含む。それぞれの第1の定滑車31は、搬送台2に支持されている。第3のアーム駆動装置のピニオン73が回転することにより、第3のアーム71が上下方向に移動する。
図14に示すとおり、アームの数が増えても、複数のアームのカウンターバランス機構を1つのコイルばねで共用することができて、コイルばねの数を増やさなくても構わない。
【0071】
図15に、本実施の形態における第5のワーク搬送装置の概略図を示す。第5のワーク搬送装置は、第4のワーク搬送装置に第2の定滑車32を配置し、ワイヤー41を動滑車33と第2の定滑車32との周りに巻回させた例である。
【0072】
図16に、本実施の形態における第4のワーク搬送装置を備える他の加工システムの概略図を示す。次に、3本のアームを備えた第4のワーク搬送装置の動作について説明する。この加工システムでは、第1の工作機械61aにてワーク52cを単独で加工し、第2の工作機械61bにてワーク52dを単独で加工し、第3の工作機械61cにてワーク52cとワーク52dを組み立てた状態で加工する。そして、それぞれのワークの加工を同時期に並行して実施する。3本のアームを備えたワーク搬送装置は、この加工システムに好適である。
【0073】
より具体的には、第1の工作機械61aにて加工されたワーク52cを第1のアーム11で取りに行き、第2の工作機械61bで加工されたワーク52dを第2のアーム21で取りに行く。次に、第3の工作機械61cで加工されたワーク52c,52dを組み立てた状態のまま第3のアーム71で取る。そして、第1のアーム11で保持していた加工されたワーク52cを第3の工作機械61cに載置し、第2のアーム21で保持していた加工されたワーク52dを第3の工作機械61cのテーブル上に載置されているワーク52cに組み付けながら載置する。
【0074】
その後に、第3のアーム71に保持された完成品のワーク52c,52dをワーク搬出ステーション51bに載置する。第4のワーク搬送装置は、アームが3本あるために、加工中の単体のワーク52cおよび単体のワーク52dを搬送するときに、完成品のワーク52c,52dをワーク搬出ステーション51bに置きに行く必要はなく、サイクルタイムを短縮することができる。
【0075】
または、予め第2のアーム21でワーク投入ステーション51aに載置されている未加工のワーク52cを持ち上げておき、第1の工作機械61aに加工済みのワーク52cを取りに行くと共に、第2のアーム21にて未加工のワーク52cを第1の工作機械61aに載置しても構わない。同様に、予め第3のアーム71でワーク投入ステーション51aにある未加工のワーク52dを持ち上げておき、第2の工作機械61bに第2のアーム21にて加工済みのワーク52dを取りに行くと共に、第2の工作機械61bに未加工のワーク52dを載置してもよい。この場合には、はじめにワーク投入ステーション51aに未加工のワーク52c,52dを取りに行けばよく、搬送途中でワーク投入ステーション51aに未加工のワーク52c,52dを取りに戻る必要はない。この場合にもサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0076】
本実施の形態においては、第1のアームと第2のアームとを接続する紐状の接続部材として金属製のワイヤーを例に取り上げたが、この形態に限られず、接続部材は、紐状であり、定滑車や動滑車に係合する任意の部材を採用することができる。たとえば、接続部材は、樹脂などの任意の材質にて形成することができる。回転部材としては、搬送台に支持され、接続部材に係合して回転する任意の部材を採用することができる。例えば、接続部材としてチェーンを採用し、回転部材として外周に歯車が形成されたスプロケットを採用しても構わない。更には、接続部材としてベルトを採用し、回転部材としてプーリーを採用しても構わない。
【0077】
また、本実施の形態のそれぞれのアームを上下方向に移動させる駆動装置は、サーボモータ、ラックおよびピニオンを含むが、この形態に限られず2つのアームを駆動する任意の装置を採用することができる。たとえば、駆動装置は、油圧装置およびシリンダによりアームを移動させるように形成されていても構わない。
【0078】
本実施の形態のワーク搬送装置は、ワーク投入ステーションおよびワーク搬出ステーションのうちいずれか一方と工作機械との間でワークを搬送する他に、複数の工作機械同士の間でワークを搬送することができる。
【0079】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【解決手段】ワーク搬送装置は、工作機械またはワーク投入ステーションに対して昇降し、ワークの授受を行う第1のアーム11および第2のアーム21と、第1のアーム11および第2のアーム21を支持して工作機械とワーク投入ステーションとの間を移動する搬送台2と、第1のアーム11と第2のアーム21とを接続するワイヤー41と、搬送台2に支持された動滑車33とを備える。ワイヤー41は、第1のアーム11との接続部と第2のアーム21との接続部との間の領域で動滑車33に係合している。