(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693785
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】改良された超音波処理の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-506975(P2014-506975)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-516476(P2014-516476A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】IB2012052076
(87)【国際公開番号】WO2012147038
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2014年1月17日
(31)【優先権主張番号】13/096,809
(32)【優先日】2011年4月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102989
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 佳知
(72)【発明者】
【氏名】ホルステインズ・フランク・ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】リッパート・アレクサンダー
【審査官】
溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−266194(JP,A)
【文献】
特開2005−167743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための装置であって、
前記基板のためのホルダであって、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールの中で半導体ウエハを支えるためのスピンチャックである、ホルダと、
前記ホルダによって保持される際の前記基板から所定の距離だけ離れているように配置されている音響共振器アセンブリであって、200nm〜20μmの範囲の厚さを有する少なくとも1つの圧電層を含む音響共振器アセンブリと、
前記ホルダによって保持される際の前記基板と、前記音響共振器アセンブリとの間の間隙内に液体を供給するためのディスペンサと、前記音響共振器アセンブリは、前記圧電層と前記間隙内の液体との間に位置する本体を備え、
少なくとも100MHzの周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給するように構成されている音響エネルギ源と、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記音響エネルギ源は、500MHzから5GHzの範囲の周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの圧電層は、500nmから10μmの範囲の厚さを有する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記音響共振器アセンブリは、前記ホルダによって基板が支えられる際の前記所定の距離が100μmから1000μmの範囲であるように、前記ホルダに相対的に配置されている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも1枚の圧電層は、AlN、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ZnO、及びGaAsからなる群より選択される少なくとも1つの圧電材料を含む複数の層であり、前記複数の層は、前記ホルダに面している共振器板に結合され、前記複数の層は、第1の電極を前記複数の層の一方の側に配置され第2の電極を前記複数の層の反対の側に配置された1対の電極に接触している、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記共振器板は、サファイヤ、シリコン、及び石英からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、装置。
【請求項7】
基板を処理する方法であって、
枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールの中で半導体ウエハを支えるためのスピンチャックであるホルダ上に基板を配置することと、
前記基板の表面から所定の距離に音響共振器アセンブリを配置することと、前記音響共振器アセンブリは、200nm〜20μmの範囲の厚さを有する少なくとも1つの圧電層を含み、
前記音響共振器アセンブリと前記基板との間の間隙内に処理液を投入することと、前記音響共振器アセンブリは、前記圧電層と前記間隙内の液体との間に位置する本体を備え、
少なくとも100MHzの周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給すること、
を備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記音響共振器アセンブリには、500MHzから5GHzの範囲の周波数を有する音響エネルギが供給される、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの圧電層は、500nmから10μmの範囲の厚さを有する、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記所定の距離は、100μmから1000μmの範囲である、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの圧電層は、前記ホルダに面している共振器板に結合され、前記共振器板は、サファイヤ、シリコン、及び石英からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、
前記処理液は、前記半導体ウエハの表面を洗浄するための、脱イオン水、アルコール、酸、及び塩基からなる群より選択される液体である、方法。
【請求項13】
請求項7に記載の方法であって、
前記処理液は、前記半導体ウエハの表面上に好ましくは銅などの金属を電着させるための、好ましくは銅イオンなどの金属イオンを含む溶液である、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの圧電層は、1〜5μmの範囲の厚さを有する、装置。
【請求項15】
基板を処理するための装置であって、
前記基板のためのホルダと、
前記ホルダによって保持される際の前記基板から100μm〜1000μmの距離だけ離れているように配置されている音響共振器アセンブリであって、500nm〜10μmの範囲の厚さを有する少なくとも1つの圧電層と、20μm〜675μmの範囲の厚さを有する本体とを備える音響共振器アセンブリと、
前記ホルダによって保持される際の前記基板と、前記音響共振器アセンブリの前記本体との間の間隙内に液体を供給するためのディスペンサと、
500MHz〜5GHzの範囲の周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給するように構成されている音響エネルギ源と、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面の超音波(メガソニック及びギガソニックを含む)処理の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板からの粒子状汚染物の除去は、超音波洗浄によって達成することができる。超音波の周波数が1,000kHz(1MHz)に近い又は1,000kHz(1MHz)を上回るときは、「メガソニック」と呼ばれることが多く、超音波の周波数が1,000MHz(1GHz)に近い又は1,000MHz(1GHz)を上回るときは、「ギガソニック」と呼ぶことができる。半導体ウエハの超音波洗浄のための従来技術は、キャビテーション効果に依存するものであり、この技術では、超音波エネルギが小泡の形成を誘発し、これら小泡の崩壊が大量のエネルギを周囲の流体内へ解放して基板の洗浄を促す。
【0003】
しかしながら、デリケートな表面又は構成要素を有する基板の近くの過剰なキャビテーションエネルギは、基板の損傷を引き起こすこともある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、実質的なキャビテーションを引き起こすことなく周囲の媒質内に音響流動を誘発させる周波数帯域の共振器を使用して半導体基板に超音波を印加するための方法及び装置を提供する。これらの共振器は、共振器板を含み、当該板の上には、PVD(物理的気相蒸着)、CVD(化学的気相蒸着)、及びスパッタリングなどの薄膜技術によってトランスデューサ素子が形成される。
【0005】
音響エネルギ源の一例は、共振器板に結合され高周波数発生器によって駆動される圧電素子である。
【0006】
本発明に従う方法及び装置は、基板の洗浄に有用であるだけでなく、電気化学反応(例えば、半導体ウエハ上への銅の蒸着)、エッチング、及びすすぎなどの最中の界面における拡散律速反応を向上させるにも有用である。
【0007】
本発明に従う装置は、基板のためのホルダと、そのホルダによって保持される際の基板から所定の距離だけ離れているように配置されている音響共振器アセンブリと、ホルダによって保持される際の基板と音響共振器との間の間隙内に液体を供給するためのディスペンサと、少なくとも約100MHzの、好ましくは少なくとも500MHzの、より好ましくは少なくとも1GHzの、最も好ましくは500MHzから5GHzまでの範囲の周波数を有する音響エネルギを音響共振器アセンブリに供給することができる音響エネルギ源とを含んでいてよい。
【0008】
発明の装置のとりわけ有用な実施形態は、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールの中で半導体ウエハを支えるためのスピンチャックにおいてである。
【0009】
音響共振器アセンブリは、200nmから20μmまでの範囲の、好ましくは500nmから10μmまでの範囲の、より好ましくは1〜5μmの範囲の厚さを有する少なくとも1つの圧電素子を含むことが好ましい。圧電素子は、薄膜バルク音響共振器(FBAR)フィルタの層のように形成された層であってよい。
【0010】
このような音響共振器アセンブリが、基板から100μmから1000μmまでの範囲の距離に配置されると、プロセス液内に、同液内における実質的な関連のキャビテーション及び泡形成を伴うことなくエッカート流動又はレイリー流動などの音響流動を誘発させることができる。
【0011】
本発明に従う、基板を処理する方法は、ホルダ上に基板を配置することと、その基板の表面から所定の距離に音響共振器アセンブリを配置することと、音響共振器と基板との間の間隙内に処理液を投入することと、少なくとも約100MHzの周波数を有する音響エネルギを音響共振器アセンブリに供給することとを含んでいてよい。
【0012】
本発明に従う方法が、基板処理のために使用される場合には、プロセス液は、例えば脱イオン水であってよく、一方で、方法が、基板と液体との界面における拡散律速反応を向上させるために使用されるならば、処理液は、例えば、例えば半導体ウエハなどの基板の表面上に好ましくは銅などの金属を電着させるための、好ましくは銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってよい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、したがって、ギガソニック帯域で動作する圧電トランスデューサを使用して基板を洗浄するための及び基板表面における拡散律速反応を向上させるための改良された方法と装置とを提供する。共振器アセンブリは、基板に面した共振器板に結合された薄膜圧電素子をそれぞれ含む複数のトランスデューサ積層体を含むことが好ましい。開示される周波数及び使用電力では、実質的なキャビテーションの生成を伴うことなく液体処理媒質内にエッカート流動又はレイリー流動を誘発させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本発明の完全な理解を与えるために含められる。これらの図面は、本発明の実施形態を例示すものであり、説明と相まって、本発明の実施形態の原理を更に完全に説明する役割を果たしている。
【
図1】処理される基板に関係付けて配置された、本発明の一実施形態に従う音響共振器を示す側面図である。
【
図2a】音響共振器アセンブリの一代替実施形態を示す底面図である。
【
図2b】音響共振器アセンブリの一代替実施形態を示す側面図である。
【
図3】本発明の更なる一実施形態に従う、トランスデューサ積層体の一部としての3つの個々の共振器島305を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に従う一続きの共振器によって液体内に形成される音響流動を写した顕微鏡写真である。
【
図5】本発明の更なる一実施形態に従う音響共振器アセンブリの一代替構成を示す図である。
【
図6】本発明の更なる一実施形態に従う音響共振器アセンブリの更に別の一構成を示す図である。
【
図7】本発明の更なる一実施形態に従う音響共振器アセンブリの尚も更に別の一構成を示す図である。
【
図9】上述された任意の実施形態に従う音響共振器アセンブリを備えた枚葉式ウェット処理装置を図示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
高周波数の共振器が液体に接触するときは、共振器の震動部分の前方に強い液体流が現れる。これらの液体流は、流体内における音響的乱れによって引き起こされる二次効果に起因するので、音響流動として又は更に具体的にはエッカート流動若しくはレイリー流動として知られる。
【0016】
この音響流動は、以下の現象を促進する。
1)流れを起こさせる又は維持する。これは、搬送又は混合にとって有益である。
2)界面における拡散律速反応を向上させる。これは、電気化学反応(Cuの蒸着など)、エッチング、すすぎにとって有益である。
3)界面にせん断応力を発生させる。これは、例えば、表面からの粒子状汚染物の除去をもたらすことができる。
【0017】
本発明に従う共振器の動作周波数は、100MHzから5GHzまでの範囲内であるように選択されることが好ましく、動作電力は、最大で10W/cm
2である。これらの高い周波数及びこれらの電力レベルでは、基本的に、共振器と基板との間の液体内にキャビテーションは起きない。このようなキャビテーションは、上述されたように、プロセスに悪影響を及ぼす恐れがある。
【0018】
高周波数共振器は、この場合は、電気エネルギを機械エネルギに変換する機器である。これは、振動する電気信号によって、適切に選択された圧電材料が幾何学的変化の振動を受けることを意味する。正確に結合されている場合には、圧電材料の変位は、隣接する媒質内に音響波を励起させる。これらの波は、共振器から媒質内へ伝搬する。音響波は、媒質内を伝わるのに伴って、吸収されるだろう。その結果、音響場から吸収された運動量は、音響流動と称される音場方向への液体の流れとして現れる。
【0019】
流速は、ほとんどの種類の流体において、そして広い周波数範囲にわたって、音波強度及び音響減衰係数に比例する。音響減衰係数αは、
【数1】
として表すことができる。ここで、ωは、角速度であり、ρ
0は、液体密度の平衡値であり、c
0は音の平衡速度であり、μはせん断粘度であり、μ’はダイラタンシー粘度である。したがって、高い流速は、高周波数の共振器を必要とするであろう。おおよそ100μmから1000μm、又はそれ以上の許容可能減衰長と組み合わせると、100MHzから5GHzまでの間の周波数が最も適している。
【0020】
通常は、最大で速度1m/sの流動渦が生成され、これは、基板の近く(<100μm)では、基板における非常に高いせん断速度(10000 1/sを上回る)を発生させる。これらの渦は、すすぎプロセスを加速させるために(そして基板から汚染物を運び去るために)及び基板から粒子状汚染物を除去するために、(一部のエッチングプロセス及び多くの電気化学プロセスなどの)拡散律速プロセスの向上において重要な役割を演じる。
【0021】
次に、図面について言及する。
図1は、トランスデューサ板の第1の実施形態の側面図を示している。基板100に隣接して、音響共振器積層体150が配置される。基板100は、例えば、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールのなかに配置された300mm半導体ウエハであってよい。共振器本体110と基板との間の距離d1は、通常は、100μmから1000μmまでの間で変化し、液体140で満たされている(例えば、500μmが挙げられるが、
図1では、説明のために誇張されている)。音響共振器積層体150は、例えばサファイヤ、シリコン、又は石英でありうる共振器本体110を含み、その裏側には、圧電材料の層160が存在し、この層は、例えば窒化アンモニウム、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、又は酸化亜鉛であってよく、2つの電極120の間に挟まれている。この音響共振器積層体が電気的に駆動されると、液体内に音響波が立ち上がり、その結果、液体内に音響流動130が発生する。
【0022】
本明細書で言及される共振器本体又は共振器板には、圧電層から処理液に超音波を伝える固形部材も含まれる。本明細書で共振器島として言及される構成要素は、共振器領域と呼ばれてもよく、これらの用語には、一般に、共振器全体ではなく共振器の一部のみを覆う圧電層も含まれる。圧電層は、通常は、圧電特性を有する複数の層を含み、圧電積層体と呼ばれてもよい。音響共振器アセンブリは、したがって、本体(又は板)と、圧電層と、この圧電層を電気的にかき混ぜるための2つの相対する電極とを含む。トランスデューサという用語は、一般に、共振器板及び圧電積層体を指している。
【0023】
本体110は、(機器の十分な機械的強度を保証するための)20μmから675μm(入手可能な基板の厚さ)までの範囲の好ましい厚さを有し、この例では、厚さ500μmのサファイヤが使用された。
【0024】
各音響共振器積層体150は、通常は、本体と、電極と、圧電材料とで作成される。先述のように、本体は、サファイヤ、シリコン、石英、又はこれらの材料の組み合わせで作成することができ、また、サファイヤの前面及び/又は後面に、石英の薄い層が随意として蒸着されてもよい。電極は、通常は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、又はプラチナ/チタンで作成され、圧電材料は、例えば、ZnO、AlN、GaAs、又はPZTであってよい。したがって、これらの異なる材料を組み合わせることによって、多くの異なる積層体が作成可能である。
【0025】
共振器積層体150は、電気通信で使用されるバルク音響波(BAW)フィルタとの関係で説明された技術を、より具体的には、薄膜バルク音響波共振器(FBAR)との関係で説明された技術を使用して作成されてよい。
【0026】
あるいは、電極120は、両方とも圧電層160の同じ側に配置することができ、この場合は、これらの電極は、電気通信分野における表面音響波(SAW)フィルタとの関係で説明されるように、互い違いの配列として構成されることが望ましい。
【0027】
図2a及び
図2bは、共振器板の一代替実施形態を示しており、ここでは、音響共振器積層体250は、多くの小さい圧電島220を含んでいる。島は、
図3に示されるように、通常は、おおよそ150μm×150μmのサイズであり、直列配列の形で二次元に規則的に並べられている。これらの複数の島の寸法は、最大で約1cm×1cmであるのが有利である。
【0028】
圧電島220は、通常は、
図3に詳しく示されるように、蒸着された電極を、画定された小領域及びそれらの間の電気的接続の形で本体210上にパターン形成することによって作成される。各島は、基板220と音響共振器積層体250との間に存在する液体240内へ音響波を立ち上げることができる。これは、音響流動230の形成をもたらす。
【0029】
図3は、トランスデューサ板300の一部としての3つの個々の共振器島305の断面を示している。各島は、150μm×150μmの通常幅を有し、蒸着電極303をパターン形成することによって作成される。島を直列に又は並列に電気的に駆動するために、パターン形成は、50μmの距離で互いに隔てられた各島間に電気的接続304を形成することも含む。
【0030】
電極303a及び303bは、この例では、アルミニウムで作成され、Al
2O
3(サファイヤ)で作成された本体301上にスパッタリング及びパターン形成される。AlN(窒化アルミニウム)は、圧電材料302として蒸着され、パターン形成されたアルミニウムの別の層によって再び覆われる。
【0031】
電極が、アルミニウムではなく銅で作成される場合、電極及び電極への接続は、先ず、サファイヤなどで作成された本体上に形成された絶縁層内に、対応するビア及び溝を形成することによって作成されるのが有利である。半導体デバイス内に相互接続層を作成するためのデュアルダマシン技術との関係で説明されるように、次いで、ビア及び溝が銅で満たされ、過剰な銅がCMPによって除去される。
【0032】
上記のように、本発明に従うトランスデューサ配列は、例えばLakin, 貼ochThin Film Resonator Technology,能och IEEE 2003 FCS-EFTF Paper We1A-4 (2003)に記載されるような、BAWフィルタの作成に使用されるものに基づく技術によって作成されてよい。
【0033】
第1の工程では、本体としてサファイヤウエハ(厚さ500μm)が使用され、その上に、100nmのSiO
2が蒸着される。次の工程では、300nmのアルミニウム膜が、DCスパッタリングによってSiO
2層の上に蒸着され、設計された共振器底部電極パターン303aに対応するようにパターン形成され、相互接続線304a及びアクティブ領域になる。
【0034】
続く工程では、AlNの層が、RFスパッタリングによって共振器として蒸着される。共振器層の厚さは、液体媒質内に発生する音響波の波長のおおよそ半分であるように、又はその半波長の奇数倍であるように選択されることが好ましく、この場合の半波長厚さは、約3μmである。共振器層の厚さは、その表面全体にわたって実質的に一定であることが好ましい。
【0035】
以下の工程では、300nmの更なるアルミニウム層が、DCスパッタリングによって第2の電極層303bとして蒸着され、上部電極パターンにしたがってパターン形成され、第2の相互接続線304b群及びアクティブ領域303bを形成する。
【0036】
電極303は、次いで、周波数発生器に直接接続されてよい。
【0037】
蒸着されるトランスデューサ積層体の材料の例が、表1に挙げられる。
【表1】
本体、電極、及び圧電層のパターン形成は、除去される領域を露出させるマスクを形成することを伴うフォトリソグラフィプロセスによってそれぞれ実施されてよい。除去される領域は、その後、通常はプラズマエッチングなどのドライエッチングによって除去される。
【0038】
図4は、1.9GHzで全て同時に駆動される一続きの共振器440によって液体460内に発生する音響流動430を示している。システムの流体力学を可視化するために、液体流に蛍光粒子が追加された。共振器の上方に、寸法約100μmの多くの渦を観察することができた。各渦は、共振器の一圧電島を表している。
【0039】
図5は、本体の一代替構成を示している。既定の数の共振器からなる極超音速構成単位560は、基板500に対して0度から45度までの特定の角度で傾斜されている。これは、例えば、大規模な流動効果570を液体540内の優先方向に形成することができる。
【0040】
図6は、1つ以上の共振器を含む一続きの極超音速構成単位640を伴う本体600の一例である。基板Wは、その上向きの主表面が固体素子に平行で且つ共振器の方を向いている状態で、軸Mを中心に回転する。また、所要の量のプロセス液を供給するために、本体600にプロセス液入口602が組み込み可能である。
【0041】
図7に、一代替設計が与えられており、ここでは、本体700は、1つ以上の共振器を含む一続きの極超音速構成単位740を有する。本体700に組み込まれた一連のプロセス液入口702及びプロセス液出口703は、基板Wが共振器の上又は下で直線移動する(M)間に基板Wを濡らすこと及び乾かすことを可能にする。
【0042】
図8は、拡散律速不均一反応831の一例を示している。第1の工程では、反応剤1が、液体840を通って固体表面800に向かって拡散し(832)、反応して(831)生成物2を形成する。続く工程では、生成物2が、拡散して表面から離れる(832)。この反応が拡散律速である場合には、共振器810によって生じた音響流動833の存在は、表面に向かう反応剤1の拡散及び表面から離れる生成物2の拡散を増進する。
【0043】
図9は、共振器配列920を図示すものであり、この配列は、上記の任意の実施形態との関係で説明されたように又はそうでなければ本発明にしたがうように構築されてよく、この場合は例えば300mm半導体ウエハなどの半導体ウエハである基板Wに関係付けて配置される。ウエハWは、スピンチャック900上に配置され、このチャックは、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュール910のなかに取り付けられる。
【0044】
周波数発生器915が、音響共振器アセンブリ920の圧電素子を駆動する。音響共振器アセンブリが上述のように液体供給開口を備えている場合には、915は、それらの開口への流体供給部を構成していてもよい。
【0045】
例えば
図1の実施形態を参照すると、
図9に示されるような装置のなかに取り付けられたときに、プロセス液140が、ウエハWの上表面と、本体150の下向き表面との間の空間内に存在するのに対し、音響共振器アセンブリの上向き表面は、プロセスチャンバ内の気体雰囲気に曝され、プロセス液には浸されないことが好ましい。
【0046】
上記のように、基板と音響共振器アセンブリとの間の距離は、100μmから1000μmまでの間である。共振器と基板との間の距離が大きすぎる場合には(例えば数ミリメートル)、GHz規模の共振器によって誘発される音響流動は、洗浄、エッチング、及び蒸着などの不均一プロセスに対して所望の効果を及ぼすことができない。
【0047】
上述された本発明の実施形態は、例えばジェット又はポンプなどの同数の可動パーツを必要とすることなく尚且つ音響的に誘起される泡の存在を必要とすることなく基板に近い小液体体積内における高速流動の導入の制御を可能にする。音響的に誘起される泡は、処理されるべき領域を部分的に遮断する可能性があり、又は過渡的キャビテーションの場合は、基板の表面又はその表面上に存在する構造を損傷させる恐れがある。
【0048】
以上の説明及び本明細書で示された特定の実施形態は、本発明及びその原理を説明するためのものに過ぎず、当業者ならば、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく容易に変更及び追加をなせるだろう。したがって、本発明の主旨及び範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるものと理解される。
適用例1:基板を処理するための装置であって、前記基板のためのホルダと、前記ホルダによって保持される際の前記基板から所定の距離だけ離れているように配置されている音響共振器アセンブリと、前記ホルダによって保持される際の前記基板と、前記音響共振器との間の間隙内に液体を供給するためのディスペンサと、少なくとも約100MHzの周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給することができる音響エネルギ源と、を備える装置。
適用例2:適用例1に記載の装置であって、前記ホルダは、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールの中で半導体ウエハを支えるためのスピンチャックである、装置。
適用例3:適用例1に記載の装置であって、前記音響エネルギ源は、少なくとも500MHzの、好ましくは少なくとも1GHzの、より好ましくは500MHzから5GHzまでの範囲の周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給する、装置。
適用例4:適用例1に記載の装置であって、前記音響共振器アセンブリは、200nmから20μmまでの範囲の、好ましくは500nmから10μmまでの範囲の、より好ましくは1〜5μmの範囲の厚さを有する少なくとも1枚の圧電層を含む、装置。
適用例5:適用例1に記載の装置であって、前記音響共振器アセンブリは、前記ホルダによって基板が支えられる際の前記所定の距離が100μmから1000μmまでの範囲であるように、前記ホルダに相対的に配置されている、装置。
適用例6:適用例4に記載の装置であって、前記少なくとも1枚の圧電層は、AlN、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ZnO、及びGaAsからなる群より選択される少なくとも1つの圧電材料を含む複数の層であり、前記複数の層は、前記ホルダに面している共振器板に結合され、前記複数の層は、第1の電極を前記複数の層の一方の側に配置され第2の電極を前記複数の層の反対の側に配置された1対の電極に接触している、装置。
適用例7:適用例6に記載の装置であって、前記共振器板は、サファイヤ、シリコン、及び石英からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、装置。
適用例8:基板を処理する方法であって、ホルダ上に基板を配置することと、前記基板の表面から所定の距離に音響共振器アセンブリを配置することと、前記音響共振器と前記基板との間の間隙内に処理液を投入することと、少なくとも約100MHzの周波数を有する音響エネルギを前記音響共振器アセンブリに供給すること、を備える方法。
適用例9:適用例8に記載の方法であって、前記ホルダは、枚葉式ウェット処理のためのプロセスモジュールの中で半導体ウエハを支えるためのスピンチャックである、方法。
適用例10:適用例8に記載の方法であって、前記音響共振器アセンブリは、少なくとも500MHzの、好ましくは少なくとも1GHzの、より好ましくは500MHzから5GHzまでの範囲の周波数を有する音響エネルギを供給される、方法。
適用例11:適用例10に記載の方法であって、前記音響共振器アセンブリは、200nmから20μmまでの範囲の、好ましくは500nmから10μmまでの範囲の、より好ましくは1〜5μmの範囲の厚さを有する少なくとも1つの共振器島を含む、方法。
適用例12:適用例8に記載の方法であって、前記所定の距離は、0.2mm未満、好ましくは100μmから1000μmまでの範囲である、方法。
適用例13:適用例11に記載の方法であって、前記少なくとも1つの共振器島は、前記ホルダに面している共振器板に結合され、前記共振器板は、サファイヤ、シリコン、及び石英からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、方法。
適用例14:適用例9に記載の方法であって、前記処理液は、前記半導体ウエハの表面を洗浄するための、脱イオン水、アルコール、酸、及び塩基からなる群より選択される液体である、方法。
適用例15:適用例9に記載の方法であって、前記処理液は、前記半導体ウエハの表面上に好ましくは銅などの金属を電着させるための、好ましくは銅イオンなどの金属イオンを含む溶液である、方法。