特許第5693796号(P5693796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000002
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000003
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000004
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000005
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000006
  • 特許5693796-手持ち式工作機械 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693796
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】手持ち式工作機械
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B25B21/00 Q
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-537541(P2014-537541)
(86)(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公表番号】特表2014-530773(P2014-530773A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】EP2012068935
(87)【国際公開番号】WO2013060545
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】202011107082.8
(32)【優先日】2011年10月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ファルク ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】シム ティク イェオー
(72)【発明者】
【氏名】チュアン チェオン ユー
(72)【発明者】
【氏名】フォイフォイ リム
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010002353(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2039449(EP,A1)
【文献】 米国特許第5481949(US,A)
【文献】 特開2007−98493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式工作機械(100)であって、出力軸(124)を備えており、該出力軸(124)には、多角体−内部取付け部(290)と多角体−外部取付け部(210)とを有する工具取付け部(150)が形成されており、前記多角体−内部取付け部(290)は、前記工具取付け部(150)に対応配置されたロック装置(240)により当該多角体−内部取付け部(290)内でロック可能な挿入工具(140)と連結できるように形成されており、前記ロック装置(240)は、ロックスリーブ(500)を有しており、該ロックスリーブ(500)は、前記挿入工具(140)をロック解除するために、対応配置されたばね部材(242)によってもたらされるばね力に抗して、ロック位置からロック解除位置へ、手持ち式工作機械(100)から離反する軸方向(499)に移動させることができるようになっているものにおいて、
前記ロックスリーブ(500)は、操作部材(510)と保持部材(560)とを有しており、これらの操作部材(510)と保持部材(560)とは、ねじ山結合部(350)を介して互いに結合されており、前記保持部材(560)は、対応配置された前記ばね部材(242)によって、前記ロックスリーブ(500)のロック位置に向かって押圧されるようになっており、前記操作部材(510)は、前記ロックスリーブ(500)をロック位置からロック解除位置へ移動させることができるように形成されていることを特徴とする、手持ち式工作機械。
【請求項2】
前記操作部材(510)は、少なくとも部分的に螺旋状に形成された雌ねじ山(519)を有しており、該雌ねじ山(519)は、前記ねじ山結合部(350)を形成するために、前記保持部材(560)の、少なくとも部分的に螺旋状に形成された雄ねじ山(569)に螺合されている、請求項1記載の手持ち式工作機械。
【請求項3】
前記操作部材(510)は、少なくとも部分的に同心的な軸から形成された雌ねじ山(519)を有しており、該雌ねじ山(519)は、前記ねじ山結合部(350)を形成するために、前記保持部材(560)の、少なくとも部分的に同心的な軸から形成された雄ねじ山(569)に圧着されている、請求項1記載の手持ち式工作機械。
【請求項4】
前記操作部材(510)は、第1の取付け補助部(512)を有しており、前記保持部材(560)は、第2の取付け補助部(562)を有しており、第1及び第2の取付け補助部(512,562)は、前記保持部材(560)における前記操作部材(510)の取付けを少なくとも容易にするために形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の手持ち式工作機械。
【請求項5】
前記第1及び第2の取付け補助部(512,562)は、八角体−外周面の形式で形成されている、請求項4記載の手持ち式工作機械。
【請求項6】
前記ねじ山結合部(350)には、手持ち式工作機械(100)の運転中に前記ねじ山結合部(350)の領域に生じる振動を緩衝するための緩衝部材(450)が対応配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の手持ち式工作機械。
【請求項7】
前記緩衝部材(450)は、防振塗料を有している、請求項6記載の手持ち式工作機械。
【請求項8】
前記ロック装置(240)には、少なくとも2つのロック部材(311,312,313,314)が対応配置されており、これらのロック部材(311,312,313,314)は、前記ロックスリーブ(500)のロック位置において、前記操作部材(510)により、対応するロック位置に押し込まれる、請求項1から7までのいずれか1項記載の手持ち式工作機械。
【請求項9】
前記操作部材(510)は、外側のグリップ領域(518)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の手持ち式工作機械。
【請求項10】
多角体−内部取付け部(290)と多角体−外部取付け部(210)とを有する工具取付け部(150)であって、前記多角体−内部取付け部(290)は、前記工具取付け部(150)に対応配置されたロック装置(240)により当該多角体−内部取付け部(290)内でロック可能な挿入工具(140)と連結できるように形成されており、前記ロック装置(240)は、ロックスリーブ(500)を有しており、該ロックスリーブ(500)は、前記挿入工具(140)をロック解除するために、対応配置されたばね部材(242)によりもたらされるばね力に抗して、ロック位置からロック解除位置へ、対応配置された手持ち式工作機械(100)から離反する軸方向(499)に移動させることができるようになっているものにおいて、
前記ロックスリーブ(500)は、操作部材(510)と保持部材(560)とを有しており、これらの操作部材(510)と保持部材(560)とは、ねじ山結合部(350)を介して互いに結合されており、前記保持部材(560)は、対応配置された前記ばね部材(242)によって、前記ロックスリーブ(500)のロック位置に向かって押圧されるようになっており、前記操作部材(510)は、前記ロックスリーブ(500)をロック位置からロック解除位置に移動させることができるように形成されていることを特徴とする、工具取付け部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、手持ち式工作機械であって、出力軸を備えており、この出力軸には、多角体−内部取付け部と多角体−外部取付け部とを有する工具取付け部が形成されており、多角体−内部取付け部は、工具取付け部に対応配置されたロック装置により多角体−内部取付け部内でロック可能な挿入工具と連結できるように形成されており、ロック装置はロックスリーブを有しており、ロックスリーブは、挿入工具をロック解除するために、対応配置されたばね部材によってもたらされるばね力に抗して、ロック位置からロック解除位置へ、手持ち式工作機械から離反する軸方向に移動させることができるようになっているものに関する。
【0002】
EP2039449A1から公知の、前記のような回転インパクトドライバとして形成された手持ち式工作機械は、多角体−内部取付け部と多角体−外部取付け部とを備えた工具取付け部を有しており、この場合、多角体−内部取付け部は、外側多角カップリングを備えた挿入工具、例えばドライバビットに連結可能であり、多角体−外部取付け部は、内側多角カップリングを備えた挿入工具、例えばソケットレンチに連結可能である。多角体−内部取付け部内にドライバビットを位置固定するためには、ロック装置が設けられており、このロック装置では、ロックスリーブが対応配置された圧縮ばねによって、ドライバビットから離反する軸方向に予荷重を加えられるようになっており、ドライバビットをロック解除して取り外すためには、ロックスリーブを前記ばね力に抗してロック位置からロック解除位置へ、ドライバビットに向かって軸方向に移動させる必要がある。
【0003】
この従来技術における欠点は、手持ち式工作機械の操作が面倒で難しいという点にある。それというのも、ロックスリーブが軸方向に見て、比較的短い長さ及び比較的小さな直径しか有しておらず、これにより、ロック位置からロック解除位置へ移動させる際に把持及び保持し難くなっているからである。このことは、前記のような手持ち式工作機械の使用に際して、快適性の損失につながる。
【0004】
発明の開示
したがって本発明の課題は、多角体−内部取付け部と、簡単且つ快適に操作することができ、特にロック解除に際して、対応配置された挿入工具の安全で確実な取外しを可能にするロック装置とを備えた工具取付け部を有する、新たな手持ち式工作機械を提供することにある。
【0005】
この課題は、多角体−内部取付け部と多角体−外部取付け部とを有する工具取付け部が形成された出力軸を備える手持ち式工作機械により解決される。前記多角体−内部取付け部は、工具取付け部に対応配置されたロック装置により多角体−内部取付け部内でロック可能な挿入工具と連結できるように形成されている。前記ロック装置は、ロックスリーブを有しており、このロックスリーブは、挿入工具をロック解除するために、対応配置されたばね部材によりもたらされるばね力に抗して、ロック位置からロック解除位置へ、手持ち式工作機械から離反する軸方向に移動させることができるようになっている。ロックスリーブは、操作部材と保持部材とを有しており、これらの操作部材と保持部材とは、ねじ山結合部を介して互いに結合されており、この場合、保持部材は、対応配置されたばね部材によって、ロックスリーブのロック位置に向かって押圧される。操作部材は、ロックスリーブをロック位置からロック解除位置へ移動させることができるように形成されている。
【0006】
つまり本発明は、2つの部分から成る構成に基づいて、軸方向に延長された長さ並びに拡大された直径を有し、延いては比較的快適且つ安全に操作することのできるロックスリーブを備えたロック装置を工具取付け部が有している、手持ち式工作機械の提供を可能にする。
【0007】
好適には、操作部材は、少なくとも部分的に螺旋状に形成された雌ねじ山を有しており、この雌ねじ山は、ねじ山結合部を形成するために、保持部材の、少なくとも部分的に螺旋状に形成された雄ねじ山に螺合されている。
【0008】
これにより、個々の構成部材が安定的で堅牢なねじ山結合部を介して互いに結合することができるようになっている、2つの部分から成るロックスリーブを提供することが可能になる。
【0009】
これに対して択一的に、操作部材は、少なくとも部分的に同心的な軸から形成された雌ねじ山を有していてよく、この雌ねじ山は、ねじ山結合部を形成するために、保持部材の、少なくとも部分的に同心的な軸から形成された雄ねじ山に圧着されている。
【0010】
これにより、個々の構成部材が確実なねじ山結合部を介して迅速且つ簡単に互いに結合することができるようになっている、2つの部分から成るロックスリーブを提供することが可能になる。
【0011】
1つの構成において、操作部材は第1の取付け補助部を有しており、保持部材は、第2の取付け補助部を有している。第1及び第2の取付け補助部は、好適には、保持部材における操作部材の取付けを少なくとも容易にするために形成されている。
【0012】
これにより本発明は、個々の構成部材が適当な取付け補助部の提供により、互いに簡単に取り付けられるようになっている、2つの部分から成るロックスリーブを提供することを可能にする。
【0013】
好適には、第1及び第2の取付け補助部は、八角体−外周面の形式で形成されている。
【0014】
これにより、単純で廉価な取付け補助部の提供が可能になる。
【0015】
1つの構成において、ねじ山結合部には、手持ち式工作機械の運転中にねじ山結合部の領域に生じる振動を緩衝するための緩衝部材が対応配置されている。
【0016】
これにより本発明は、手持ち式工作機械の運転中に発生する振動によって生ぜしめられる、ロックスリーブの個々の構成部材相互の解離若しくは分離を安全且つ確実に防止することのできる、2つの部分から成るロックスリーブを提供することを可能にする。
【0017】
好適には、前記緩衝部材は防振塗料を有している。
【0018】
これにより、廉価であると共に、迅速且つ簡単に被着可能な緩衝部材を使用することができる。
【0019】
1つの構成において、ロック装置には少なくとも2つのロック部材が対応配置されており、これらのロック部材は、ロックスリーブのロック位置において、操作部材により、対応するロック位置に押し込まれる。
【0020】
これにより本発明は、堅牢で安定的なロック装置の提供を可能にする。
【0021】
操作部材は、好適には外側の把持領域を有している。
【0022】
これにより、快適に操作可能なロックスリーブの提供が可能になる。
【0023】
冒頭で述べた課題は、多角体−内部取付け部と多角体−外部取付け部とを有する工具取付け部によっても解決される。前記多角体−内部取付け部は、工具取付け部に対応配置されたロック装置により多角体−内部取付け部内でロック可能な挿入工具と連結できるように形成されている。前記ロック装置は、ロックスリーブを有しており、このロックスリーブは、挿入工具をロック解除するために、対応配置されたばね部材によりもたらされるばね力に抗して、ロック位置からロック解除位置へ、対応配置された手持ち式工作機械から離反する軸方向に移動させることができるようになっている。ロックスリーブは、操作部材と保持部材とを有しており、これらの操作部材と保持部材とは、ねじ山結合部を介して互いに結合されており、この場合、保持部材は、対応配置されたばね部材によってロックスリーブのロック位置に向かって押圧されるようになっている。操作部材は、ロックスリーブをロック位置からロック解除位置に移動させることができるように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に基づく挿入工具を備えた手持ち式工作機械の概略図である。
図2図1に示した工具取付け部を備えた出力軸を、実施例に基づくロック装置と共に示した斜視図である。
図3図1に示した工具取付け部及び挿入工具、並びに図2に示したロック装置を備えた出力軸の断面図である。
図4図3の断面図を拡大して、図1に示した挿入工具無しで示した図である。
図5A図2図4に示したロックスリーブの操作部材の斜視図である。
図5B図2図4に示したロックスリーブの保持部材の斜視図である。
【0025】
実施形態の説明
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【0026】
図1に示した、工具取付け部150を備えた手持ち式工作機械100は、ハンドグリップ126を備えたケーシング110を有している。1つの実施形態において、手持ち式工作機械100は、電力網から独立して電力を供給するために、バッテリパック130と機械的且つ電気的に接続可能である。
【0027】
手持ち式工作機械100は、典型的にはバッテリ式回転インパクトドライバとして形成されている。但し指摘しておくと、本発明はバッテリ式回転インパクトドライバに限定されるものではなく、むしろ工具が回転させられる、例えばドライバ、ドリルドライバ、インパクトドリルマシン等の、種々様々な電動工具において、電動工具が電力網から独立してバッテリパックにより運転可能なのか、又は電力網に依存して運転可能なのかには関係無く、適用可能である。更に指摘しておくと、本発明は、モータで運転される手持ち式工作機械に限定されるものではなく、図2図4において説明する工具取付け部150を用いることのできる工具全般に適用可能である。
【0028】
ケーシング110内には、バッテリパック130から電流を供給される電動駆動モータ114と、伝動装置118と、打撃機構122とが配置されている。駆動モータ114は、例えば手動スイッチ128を介して操作可能、即ち、接続及び遮断可能であり、且つ任意のモータタイプ、例えば電子整流モータ又は直流モータであってよい。好適には、駆動モータ114は、逆転運転と、所望の回転速度のプリセットの両方を実現することができるように、電子的に制御若しくは調整可能である。適当な駆動モータの機能形式及び構成は、従来技術に基づき十分に知られているので、ここでは説明を簡潔にするために、詳細な説明は省略する。
【0029】
駆動モータ114は、対応配置されたモータ軸116を介して、伝動装置118に結合されており、この伝動装置118は、モータ軸116の回転を、伝動装置118と打撃機構122との間に設けられた駆動部材120、例えば駆動軸の回転に変換する。この変換は好適には、駆動部材120がモータ軸116に対して相対的に増大されたトルクでもって、しかし回転速度は低下されて回転するように行われる。駆動モータ114は、図面ではモータケーシング115内に配置されており、伝動装置118は、伝動装置ケーシング119内に配置されている。この場合、伝動装置ケーシング119とモータケーシング115とは、典型的にはケーシング110内に配置されている。
【0030】
駆動部材120に結合された打撃機構122は、典型的には回転打撃機構であり、回転打撃機構は、高強度の衝撃的な回転パルスを生ぜしめて、出力軸124、例えば出力スピンドルに伝達する。出力軸124には工具取付け部150が設けられており、この工具取付け部150は、好適には挿入工具を取付けるように形成されていて、1つの実施形態では、外側多角カップリング142を備えた挿入工具140と、内側多角カップリングを備えた挿入工具、例えばソケットレンチの両方共に連結可能である。挿入工具140は、典型的には図示の六角カップリングとして形成された外側多角カップリング142を備えたドライバビットとして形成されており、外側多角カップリング142は、工具取付け部150の適当な内部取付け部(図2の290)内に配置されている。このようなドライバビットは従来技術に基づき十分に知られているので、ここでは説明を簡潔にするために、詳細な説明は省略する。
【0031】
図2には、図1に示した工具取付け部150を備えた出力軸124が示されており、この出力軸124の、出力カム208が設けられた、基部に近い方の端部領域202は、図1では手持ち式工作機械100の打撃機構122に結合されている。1つの実施形態において、出力軸124の、基部から遠い方の端部領域204には、軸方向の拡張部220が形成されている。この軸方向の拡張部220は、好適には外部取付け部210と内部取付け部290とを備えた工具取付け部150に設けられていて、好適には工具取付け部150と一体的に形成されている。
【0032】
1つの実施形態において、出力軸124は、出力カム208を起点として、基部から遠い方の端部領域204に向かって、第1の直径D1を備えた好適には円筒形の第1の区分214を有している。第1の環状のショルダ215において、軸124は細くなり、第1の直径D1よりも小さな第2の直径D2を備えた第2の円筒形の区分216に移行する。第2の環状のショルダ(図3の399)において、出力軸124は再度細くなり、外部取付け部210に移行する。外部取付け部210自体は、第3の環状のショルダ217において、軸方向の拡張部220に移行する。
【0033】
外部取付け部210と内部取付け部290とを備える工具取付け部150は、図示のように出力軸124に設けられており、好適には出力軸124と一体的に形成されている。外部取付け部210には、好適には弾性変形可能な保持部材230が対応配置されており、内部取付け部290には、操作可能なロック装置240が対応配置されている。
【0034】
外部取付け部210は、典型的には多角体−外部取付け部、好適には、半径方向に見て図示のように4つの有利には平らな側面261,262,263,264を有する四角体−外部取付け部であり、1つの実施形態では、欧州又は北米工業規格に則して製造された、内側多角カップリングを備えた挿入工具、例えばソケットレンチを取り付けるように形成されている。側面261,262,263,264は、図示のように面取りされた縁部を介して互いに接続されている。
【0035】
外部取付け部210は、出力軸124の、基部から遠い方の端部領域204の方向で、軸方向の拡張部220に移行している。拡張部220は、典型的には終端カラー222を有しており、この終端カラー222は、基部から遠い方の端部領域204に向かって円錐状に面取りされた端部を有している。この終端カラー222の直径は、外部取付け部210の2つの向かい合う側面間の間隔、例えば側面261と側面263、又は側面262と側面264の間の間隔よりも小さくなるように、予め設定されていてよい。
【0036】
欧州又は北米工業規格に則して製造された、内側多角カップリングを備えた挿入工具、例えばソケットレンチを位置固定するために、外部取付け部210の、軸方向の拡張部220の領域には、保持部材230が取り付けられている。この保持部材230は、図示のように位置固定部材234を有しており、この位置固定部材234は、好適には弾性変形可能な、金属のCリングとして形成されている。
【0037】
内部取付け部290は、典型的には多角体−内部取付け部の形式で、出力軸124の内部に形成されていて、図1に示したドライバビット140を取り付けるために使用される。図示のように、内部取付け部290は、六角体−内側成形部250を有している。内部取付け部290には、好適にはロックスリーブとして形成される操作部材500を介して操作可能なロック装置240が、図1に示したドライバビット140をロックするために対応配置されている。
【0038】
1つの実施形態において、ロックスリーブ500は、挿入工具140をロック解除するために、対応配置されたばね部材(図3の242)によりもたらされるばね力に抗して、基部から遠い方の端部領域204に向かって(図4の499)、ロック位置からロック解除位置に移動させることができるようになっている。図示のように、ロックスリーブ500は2つの部分から形成されていて、内側のリングショルダ515と、外側のグリップ領域518とを備えた操作部材510を有しており、この操作部材510は、対応配置された保持部材560に取り付けられている。
【0039】
操作部材510には、典型的には第1の取付け補助部512が対応配置されており、保持部材560には、第2の取付け補助部562が対応配置されている。第1の取付け補助部512は、典型的には内側のリングショルダ515の領域内で、図示のように挿入工具140に面した、操作部材510の一方の軸方向端部に配置されている。第2の取付け補助部562は、典型的には出力軸124の基部に近い方の端部領域202に面した、保持部材560の軸方向端部に配置されている。
【0040】
第1の取付け補助部512及び第2の取付け補助部562は、保持部材560における操作部材510の取付けを、少なくとも容易にするために形成されている。図示のように、第1の取付け補助部512及び第2の取付け補助部562は、八角体−外周面の形式で形成されていて、この八角体−外周面には、例えばロックスリーブ500を取り付ける際に、適当な八角レンチが係合可能である。
【0041】
図3には、出力軸124と、ロック装置240並びに保持部材230を有する工具取付け部150と、図1に示した挿入工具140とを備えた、図2に示したユニットが示されている。保持部材230は図示のように、図2に示した金属のCリング234と、好適には弾性的なゴム材料から成るOリングとして形成されたばね部材334とを有しており、これらのCリング234とばね部材334とは、軸方向の拡張部220に設けられた、対応する環状溝330内に配置されている。Oリング334は、取付けた後に所定のばね力でもってCリング234を半径方向に押圧するために用いられる。
【0042】
図示のように、挿入工具140の外側多角カップリング142は、工具取付け部150の多角体−内部取付け部290の六角体−内側成形部250内でロックされている。このために挿入工具140は、典型的には外側多角カップリング142の領域に、例えばDIN3126−E6.3に基づき設けられた外側の環状溝342を有しており、この環状溝342には、1つの実施形態では少なくとも2つのロック部材312,313が係合している。これらのロック部材312,313並びに2つの別のロック部材311,314は全て、図示のようにロックボールの形式で形成されていて、典型的には例えば出力軸124の第2の円筒形の区分216に設けられた第2のショルダ399の領域に形成された、第1の半径方向の開口315若しくは第2の半径方向の開口316内に少なくとも配置されており、この場合、ボール311,312は出力軸124の開口315に挿入されており、ボール313,314は出力軸124の開口316に挿入されている。この場合、第2の半径方向の開口316は、典型的には第1の半径方向の開口315とは正反対の側に位置するように形成されている。
【0043】
ロックボール311,312,313,314は、ロックスリーブ500により開口315若しくは316内に保持されるようになっており、この場合にボール311,312,313,314は、ロックスリーブ500の操作部材510の内側のリングショルダ515によって、対応するロック位置へ押圧される。このロック位置は、ロックスリーブ500若しくはロック装置240のロック位置に対応している。
【0044】
ロック装置240は、図示のように操作部材510と保持部材560とから形成されたロックスリーブ500と、ロックボール311,312,313,314とを有している。更にロック装置240は、典型的には圧縮ばねとして形成されていて、ロックスリーブ500の内側に配置されたばね部材242と、典型的にはCリングとして形成されていて、出力軸124の外周面に設けられた環状溝218内に配置された保持部材246とを有している。
【0045】
1つの実施形態において、ロックスリーブ500の操作部材510と保持部材560とは、それぞれスリーブ状に形成されていて、ねじ山結合部350を介して互いに結合されている。このために操作部材510は、例えば少なくとも部分的に螺旋状に形成された雌ねじ山(図4の519)を有しており、この雌ねじ山519は、ねじ山結合部350を形成するために、保持部材560の、少なくとも部分的に螺旋状に形成された雄ねじ山(図4の569)に螺合されている。但し指摘しておくと、螺旋状に形成された雌ねじ山及び雄ねじ山の使用は、典型的な特徴であるに過ぎず、本発明を限定するものではない。むしろ、別の複数のねじ山タイプ若しくは固定形式も適用可能である。例えば、操作部材510の雌ねじ山(図4の519)と、保持部材560の雄ねじ山(図4の569)とは、それぞれ少なくとも部分的に同心的な軸から形成されていてよく、この場合は雄ねじ山(図4の569)が、雌ねじ山(図4の519)に圧着されている。更に、例えば半径方向にねじ込まれたねじ、半径方向に圧入され且つ/又は接着若しくは溶接されたピンを用いて、又は接着され且つ/又は溶接された横方向ピン若しくは接線方向ピンを介して、操作部材510を保持部材560にねじ締結することも、実現可能である。
【0046】
1つの実施形態において、取付け補助部562の領域内に環状のインナショルダ565を備えた保持部材560は、図示のように保持部材246とインナショルダ565の間に配置されたばね部材242によって、ロックスリーブ500のロック位置の方向に、即ち、第1の環状のショルダ215に向かって、出力軸124の基部に近い方の端部領域202の方向に押圧される。ロックスリーブ500を前記ロック位置からロック解除位置に移動させられるようにするために、操作部材510が設けられている。この操作部材510は、ユーザがそのグリップ領域518を把持することができるようになっていて、ばね部材242によってもたらされるばね力に抗して、保持部材560と共に、出力軸124の基部から遠い方の端部領域204に向かって移動させることができる。
【0047】
ロック解除位置において、操作部材510の内側のリングショルダ515は、ロックボール311,312,313,314を解放する。これによりロックボール311,312,313,314は、挿入工具140を多角体−内部取付け部290から取り外す際に、出力軸124に対応配置された半径方向の開口315若しくは316内で半径方向外側に向かって、内側のリングショルダ515に続く、操作部材510の拡張された内周面516の方向に移動することができるようになり、延いては挿入工具140の環状溝342から脱出する若しくは転がり出ることができるようになっており、その結果、挿入工具140は解放されることになる。
【0048】
1つの実施形態において、操作部材510の外周面は、少なくとも30mmの直径396を有しており、操作部材510の軸方向のグリップ領域518は、図示したように例えば10.4mmの、少なくとも10mmの長さ398を有している。つまり、前記直径396と長さ398とは、慣用の操作スリーブに対して著しく拡大され得る。慣用のバッテリ式回転インパクトドライバの場合、操作スリーブの直径は大抵23mm未満で長さは9mm未満である。更に、出力軸124の、基部から遠い方の端部領域204と、出力カム208との間の軸方向長さ392は、典型的には43mm以上であることはなく、出力軸124の基部から遠い方の端部領域204と、半径方向の開口315,316の相応の開口中心点との間の軸方向長さ394は、典型的には14mm以上であることはない。つまり、前記長さ392,394を著しく短縮することもできる。慣用のバッテリ式回転インパクトドライバの場合は大抵、前記長さ392は少なくとも44mmであるか、若しくは前記長さ394は25mm以上である。
【0049】
図4には、図3に示したユニットが、ロック装置240の典型的な機能形式並びにねじ山結合部350の典型的な構成を明確に示すために、挿入工具140無しで示されている。ねじ山結合部350は図示のように、操作部材510の内周面に図3で説明したように形成された雌ねじ山519と、保持部材560の外周面に図3で説明したように形成された雄ねじ山569とにより形成され、典型的には図1に示した手持ち式工作機械100の運転中に、ねじ山結合部350の領域に生じる振動を緩衝するための緩衝部材450を備えている。この緩衝部材450は、例えば防振塗料を有していてよい。
【0050】
ロック装置240は、図面ではそのロック位置で示されており、このロック位置において、ばね部材242が、保持部材560延いてはロックスリーブ500を、第1の環状のショルダ215に対して押圧していることにより、操作部材510の内側のリングショルダ515が、開口315若しくは316内のロックボール311,312,313,314を半径方向内側に向かって押圧している。図3において説明したように、ロックスリーブ500がロック解除位置に移動すると(矢印499で図示)、ロックボール311,312,313,314は解放され、延いては半径方向外側に向かって、操作部材510の拡張された内周面516の方向に移動することができるようになっている(矢印497,498で図示)。
【0051】
工具取付け部150若しくは出力軸124におけるロック装置240の典型的な取付けでは、まず最初に保持部材560、次にばね部材242、次いで保持Cリング246が、この保持Cリング246が環状溝218に係合し、延いてはそこで軸方向に位置固定されるまで、出力カム208に向かって出力軸124に被せ嵌められる。次いで、ボール311,312,313,314を開口315若しくは316に挿入してから、操作部材510を保持部材560に、例えば取付け補助部512,562を用いて取り付ける。
【0052】
図5Aには、典型的には操作部材510に設けられる雌ねじ山519を明確に示すために、図2図4に示した操作部材510の第1の斜視図502が示されている。雌ねじ山519は、図3で説明したように形成されていてよい。更に図5Aには、操作部材510のグリップ領域518並びに取付け補助部512の典型的な構成を明確に示すために、操作部材510の第2の斜視図504が示されている。
【0053】
図5Bには、典型的には保持部材560に設けられる雄ねじ山569並びに保持部材560の取付け補助部562を明確に示すために、図2図4に示した保持部材560の第1の斜視図552及び第2の斜視図554が示されている。雄ねじ山569は、図3で説明したように形成されていてよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B