特許第5693810号(P5693810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693810
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】カスタマイズした患者の外科手術プラン
(51)【国際特許分類】
   A61B 19/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A61B19/00 502
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2008-247620(P2008-247620)
(22)【出願日】2008年9月26日
(65)【公開番号】特開2009-112793(P2009-112793A)
(43)【公開日】2009年5月28日
【審査請求日】2011年9月26日
(31)【優先権主張番号】11/862,746
(32)【優先日】2007年9月27日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501384115
【氏名又は名称】デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サイード・ハッダード
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−530177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の命令を含む機械可読媒体において、
前記複数の命令は、計算装置に、
患者の骨の画像を含む患者に関連するデータ、この患者に対して行われる整形外科手術に関連するデータ、および整形外科医の前記整形外科手術に関連した外科手術の好みを識別する好みデータを含む外科手術プランリクエストを受け取らせ、
前記整形外科手術のための外科手術プランであって、前記整形外科手術の外科手術ステップを定める順序付けられた複数の外科手術命令画像を含み、かつ前記外科手術命令画像を前記順序で表示することにより前記患者に対して行われる前記整形外科手術を支援するようにコンピュータ支援整形外科手術システムを設定する複数の設定命令を含む、外科手術プランを前記外科手術プランリクエストに基づいて作成させ、
前記コンピュータ支援整形外科手術システムで実行させるために、ネットワークを介して前記外科手術プランを保健医療施設に送信させる、機械可読媒体。
【請求項2】
請求項に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置に、
前記外科手術プランを変更するリクエストに応答して、変更された外科手術プランを得るために前記外科手術プランを変更させ、
前記ネットワークを介して前記変更された外科手術プランを前記保健医療施設に送信させる、機械可読媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置に、前記外科手術プランを特定の外科医に従って構成するというリクエストに応答して、前記特定の外科医に従って前記外科手術プランを作成させる、機械可読媒体。
【請求項4】
請求項1〜の内のいずれか1つに記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置に、前記外科手術プランを特定の施設に関連した外科手術に従って構成するというリクエストに応答して、前記特定の施設に従って前記外科手術プランを作成させる、機械可読媒体。
【請求項5】
外科手術プランを作成するためのシステムにおいて、
外科手術プランによって整形外科手術を行う外科医を支援するコンピュータ支援整形外科手術システムと、
患者の骨の画像を含む患者に関連するデータこの患者に対して行われる整形外科手術に関連するデータ、および整形外科医の前記整形外科手術に関連した外科手術の好みを識別する好みデータを含む外科手術プランリクエストを作成するクライアント計算装置と、
前記外科手術プランリクエストを受け取って、この外科手術プランリクエストのデータに基づいてカスタマイズした前記外科手術プランを作成する、外科手術プランシステムであって、前記外科手術プランが、前記外科手術プランリクエストに基づいて前記整形外科手術の外科手術ステップを定める順序付けられた複数の外科手術命令画像を含み、かつ前記外科手術命令画像を前記順序で表示することにより前記患者に対して行われる前記整形外科手術を支援するように前記コンピュータ支援整形外科手術システムを設定する複数の設定命令を含む、外科手術プランシステムと、
を含む、システム。
【請求項6】
請求項に記載のシステムにおいて、
前記外科手術プランシステムは、ベンダーに位置されており、
前記コンピュータ支援整形外科手術システムは、保健医療施設に位置されている、システム。
【請求項7】
請求項またはに記載のシステムにおいて、
前記外科手術プランシステムは、前記外科手術プランリクエストの少なくとも1つの画像に基づいて前記整形外科手術のための整形外科インプラントを選択する、システム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
外科医は、最小侵襲性整形外科手術に関心を向けるようになってきている。このような最小侵襲性整形外科手術は、通常は、外科医が手術領域を見る能力を制限するため、外科医は、通常は、外科手術を支援するコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムなどのコンピュータシステムに依存している。CAOSシステムは、例えば、行われている外科手術の手術ステップを例示する画像を表示するなどして、整形外科手術を行う外科医を支援する。一般的なCAOSシステムは、例えば、病院ネットワークなどのネットワークの他の電子システムに一体化されてもおらず、それら電子システムと通信するように構成されてもいないスタンドアローン型のシステムである。したがって、一般的なCAOSシステムは、他の電子システムおよびネットワークに保存された医療記録などの電子データにアクセスすることができない。さらに、一般的なCAOSシステムでは、外科手術の際にこのシステムを設定、較正、かつ/または駆動するために、外科医が相当量のデータおよび他の応答を入力する必要がある。
【0002】
〔発明の概要〕
本発明は、単独または任意の組み合わせで特許可能な対象を含みうる以下に示す特徴および/またはステップのうち1または複数を有することができるシステム、装置、および/または方法を含むことができる。
【0003】
ベンダーが、ベンダーの外部に位置する保健医療施設の患者のために外科手術プランを作成するための方法を開示する。この方法は、患者に関連するデータおよびこの患者に行う外科手術に関連するデータを含む外科手術プランリクエストを、ベンダーの外部の保健医療施設から受け取ることを含むことができる。この方法は、外科手術プランリクエストの受け取りに応答して、この外科手術プランリクエストのデータに基づいて患者に対してカスタマイズした外科手術プランを作成することを含むこともできる。外科手術プランを作成することは、患者に対して行われる外科手術を支援するために、コンピュータ支援整形外科手術システムを構成する外科手術プランの命令を作成することを含むことができる。外科手術プランは、患者の少なくとも1つの骨を示す1つ以上の医用画像に基づいて作成することもできる。
【0004】
この方法は、実行のために外科手術プランを保健医療施設に送ることをさらに含むことができる。この外科手術プランを送ることは、ネットワークを介して保健医療施設に外科手術プランを送信することを含むことができる。この外科手術プランを送ることは、外科手術プランを医療保健施設に郵送することを含むこともできる。
【0005】
一実施形態では、この方法は、外科手術プランの変更をリクエストする変更外科手術プランリクエストを保健医療施設から受け取ることをさらに含むことができる。このような実施形態の方法は、変更外科手術プランリクエストの受け取りに応答して、変更された外科手術プランを得るために外科手術プランを変更することと、実行するために保健医療施設に外科手術プランを送ることと、をさらに含むことができる。
【0006】
この方法の一部の実施形態は、特定の外科医に関連した外科手術に従って外科手術プランを作成することをリクエストする外科手術プランリクエストに応答して、その特定の外科医に関連した外科手術に従って外科手術プランを作成することを含むことができる。同様に、この方法の他の実施形態も、特定の施設に関連した外科手術に従って外科手術プランを作成することをリクエストする外科手術プランリクエストに応答して、その特定の施設に関連した外科手術に従って外科手術プランを作成することを含むことができる。
【0007】
また、複数の命令を含む機械可読媒体も提供する。これらの命令は、実行されるのに応答して、患者の骨の画像を含む外科手術プランリクエストに基づいて整形外科手術に対して外科手術プランを作成する計算装置をもたらすことができる。これらの命令は、さらに、ネットワークを介して保健医療施設に外科手術プランを送信する計算装置をもたらすことができる。また、この機械可読媒体の命令は、外科手術プランが、コンピュータ支援整形外科手術システムによってロードされると、整形外科手術を支援するコンピュータ支援整形外科手術システムを構成するように、外科手術プランを作成する計算装置をもたらすことができる。
【0008】
別の実施形態では、これらの命令は、計算装置であって、外科手術プランが、コンピュータ支援整形外科手術システムによって実行されるのに応答して、整形外科手術を支援するコンピュータ支援整形外科手術システムをもたらす命令を含むように、外科手術プランを作成する、計算装置をもたらすことができる。さらに、命令の実行は、計算装置であって、コンピュータ支援整形外科手術システムによって実行されるのに応答して、整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示するコンピュータ支援整形外科手術システムをもたらすように、外科手術プランを作成する、計算装置をもたらすことができる。
【0009】
さらに別の実施形態では、機械可読媒体の命令は、外科手術プランを変更するリクエストに応答して、変更された外科手術プランを得るために外科手術プランを変更する計算装置をもたらす。さらに、この実施形態の命令は、ネットワークを介して保健医療施設に変更された外科手術プランを送信する計算装置をもたらすことができる。
【0010】
これらの命令は、さらに、特定の外科医に従って外科手術プランを作成するリクエストに応答して、その特定の外科医に従って外科手術プランを作成する計算装置をもたらすことができる。これらの命令はまた、特定の施設に関連した外科手術に従って外科手術プランを作成するリクエストに応答して、その特定の施設に従って外科手術プランを作成する計算装置をもたらすことができる。
【0011】
また、外科手術プランを作成するためのシステムも提供する。このシステムは、クライアント、外科手術プランシステム、およびコンピュータ支援整形外科手術システムを含むことができる。クライアントは、患者に関連するデータおよびこの患者に対して行われる整形外科手術に関連するデータを含む外科手術プランリクエストを作成することができる。外科手術プランシステムは、外科手術プランリクエストを受け取ることができ、この外科手術プランリクエストのデータに基づいてカスタマイズした外科手術プランを作成することができる。コンピュータ支援整形外科手術システムは、外科手術プランシステムによって作成された外科手術プランにより整形外科手術を行う外科医を支援することができる。
【0012】
一実施形態では、外科手術プランシステムは、ベンダーに位置することができ、コンピュータ支援整形外科手術システムは、保健医療施設に位置することができる。さらに、外科手術プランシステムは、外科手術プランリクエストの少なくとも1つの画像に基づいて整形外科手術のための整形外科インプラントを選択することができる。コンピュータ支援外科手術システムは、外科手術プランシステムによって作成された外科手術プランを実行するのに応答して、整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示することもできる。
【0013】
本明細書に記載する本発明は、限定目的ではない単なる例として添付の図面に例示した。図面に例示した要素は、図解の簡潔さおよび明確さのために必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、一部の要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して拡大することができる。さらに、適当と考えられる場合は、各図面において、一致する要素または類似の要素を示すために参照符号を繰り返し用いた。
【0014】
〔詳細な説明〕
本開示の概念は、様々な改良形態および変更形態を許容できるが、本開示の特定の例示的な実施形態を、単なる例として図面に示し、本明細書において詳細を説明する。しかしながら、本開示の概念を開示する特定の形態に限定する意図はなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定められるような本発明の概念および範囲に含まれる全ての改良形態、等価形態、および変更形態を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0015】
以降の説明において、本開示のより完全な理解を提供するために、論理の実行、オペコード、オペランドを特定する手段、資源の分割/共有/複製の実施、システムの構成要素の種類および相互関係、および論理の分割/統合の選択などの様々な特定の詳細を説明する。しかしながら、当業者であれば、このような特定の詳細なしで、本開示の実施形態を実施できることを理解できよう。他の例では、本発明が不明確にならないように、制御構造、ゲートレベル回路、および全ソフトウエアの命令順序を詳細に示していない。当業者であれば、含められた説明により、過度の実験を行わずに、適切な機能を実施できるであろう。
【0016】
本明細書における、「一実施形態」、「ある実施形態」、および「一例の実施形態(an example embodiment)」などへの言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、すべての実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含まなくても良いことを意味する。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指さなくても良い。さらに、特定の特徴、構造、または特性をある実施形態に関連して説明した場合、明確に記載されているか否かにかかわらず、このような特定の特徴、構造、または特性を他の実施形態に関連して有効にすることは、当業者の知識の範囲内であると言える。
【0017】
本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの任意の組合せで実施することができる。本発明の実施形態は、1または複数のプロセッサが読み取って実行できる機械可読媒体に保存された命令として実施することもできる。機械可読媒体は、機械(例えば、計算装置)によって読取り可能な形態で情報を保存または送信するためのあらゆる機構を含むことができる。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、およびフラッシュメモリ装置などを含むことができる。
【0018】
図1を参照すると、外科手術プランをカスタマイズして実行するシステム10が示されている。このシステム10は、カスタム外科手術プラン20を提供するベンダー14を含むことができる。システム10は、保健医療施設12、およびベンダー14と保健医療施設12とを通信可能に結合するネットワーク16をさらに含むことができる。より詳細に後述するように、保健医療施設12は、ベンダー14により提供されたカスタム外科手術プラン20を実行し、かつ/またはカスタム外科手術プラン20を実行する介護者を支援する、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム30を含むことができる。
【0019】
ネットワーク16は、1または複数の広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、および/またはインターネットなどの公衆がアクセス可能なグローバルネットワークを含むことができる。加えて、ネットワーク16は、1または複数の有線ネットワークおよび/または無線ネットワークを含むことができる。したがって、ネットワーク16は、ルータ、スイッチ、コンピュータ、通信リンク、およびベンダー14と保健医療施設12とを動作可能に結合するように協働する他のネットワーク構成要素を含むことができる。
【0020】
保健医療施設12は、ネットワーク24、計算装置すなわちクライアント26、データベース28、およびCAOSシステム30を含むことができる。ネットワーク16と同様に、保健医療施設のネットワーク24も、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどの公衆がアクセス可能なグローバルネットワーク、および/または他の種類のネットワークを含むことができる。加えて、保健医療施設のネットワーク24は、有線ネットワークおよび/または無線ネットワークを含むことができる。したがって、保健医療施設のネットワーク24は、ルータ、スイッチ、コンピュータ、通信リンク、および保健医療施設12の計算装置26と医療データベース28とCAOSシステム30とおそらくは他のネットワークに対応した装置とを動作可能に結合するために協働する他のネットワーク構成要素を含むことができる。
【0021】
計算装置26は、データを表示し、かつ、例えば医師、看護士、麻酔医、および外科医などの保健医療施設12の介護者からの入力を受けることができる。計算装置26は、例えば、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、およびおそらくは他の計算装置などの様々な異なる計算装置を含むことができる。計算装置26は、保健医療施設12内に物理的に位置しているとして図1に例示されているが、一部の実施形態では、計算装置26のうち1つ以上は、保健医療施設12の外部の場所から保健医療施設のネットワーク24に遠隔的にアクセスすることができる。このような実施形態により、介護者が保健医療施設12から離れている間に、介護者が、カスタム外科手術プラン20を発注することができ、かつ/または他の方法で定めることができる。
【0022】
データベース28は、保健医療施設12の患者についての個人データ、医療データ、および/または他のデータを保存することができる。一実施形態では、データベース28は、保健医療施設12の患者の医用画像を保存する、患者アーカイブ通信システム(PACS:Patient Archiving Communication Systems)を含むことができる。
【0023】
ベンダー14は、外科手術プランシステム40を含むことができる。この外科手術プランシステム40は、保健医療施設12からネットワーク16を介して外科手術プランのリクエスト18を受け取り、受け取ったリクエストの情報に基づいてカスタマイズした外科手術プラン20を作成し、ネットワーク16を介してカスタム外科手術プラン20を保健医療施設12に提供することができる。外科手術プランシステム40は、1または複数の計算装置と、この計算装置に関連した、本明細書に記載する外科手術プランのカスタマイズを行うために協働するソフトウエア、ミドルウエア、および/またはファームウエアを含むことができる。具体的には、外科手術プランシステム40は、1または複数のプロセッサ46、1または複数のメモリ素子48、および1または複数の大容量記憶装置49を含むことができる。
【0024】
プロセッサ46は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ディスクリート処理回路(discrete processing circuitry)(例えば、論理装置の集合)、汎用集積回路、および/または特定用途向け集積回路(すなわち、ASICs)を含むことができる。メモリ素子48は、例えば、ダイナミックラム(DRAM)およびエスラム(SRAM)などの揮発性メモリ素子を含むことができる。メモリ素子48は、例えば、様々な種類の読出し専用メモリ(すなわち、ROM)およびFLASHメモリ素子などの不揮発性メモリ素子をさらに含むことができる。メモリ素子48は、通常は、プロセッサ46が現在処理している、かつ/または近い将来に処理する予定である、データおよび/または命令を保存する。
【0025】
大容量記憶装置49は、ハードドライブ、DVDドライブ、CDドライブ、データベースサーバ、ならびに/または、大量のデータおよび/もしくは命令を保存するのに適した他の装置を含むことができる。一実施形態の大容量記憶装置49は、不揮発性にデータおよび命令を保存するが、他の実施形態は、揮発性にデータを保存する大きなディスクキャッシュなどの大容量記憶装置を含むことができる。大容量記憶装置49は、通常は、プロセッサ46が近い将来に処理する予定ではない、かつ/または長期間保有することが望ましいデータおよび/または命令を保存する。上記した構成要素に加えて、外科手術プランシステム40は、例えば、ディスプレイ、入出力装置、および/または他の周辺構成要素などの、計算装置に一般に見られる他の装置および回路を含むことができる。
【0026】
CAOSシステム30の一実施形態が、図2に示されている。図示されているように、CAOSシステム30は、計算装置62と、例えば可動カメラユニット66および固定カメラユニット68などのカメラユニットを含むことができる。一部の実施形態では、CAOSシステム30は、両方のタイプのカメラユニット66、68を含むことができる。可動カメラユニット66は、ベース72に結合されたスタンド70を含む。ベース72は、可動カメラユニット66を病室内で再度位置付けできるようにいくつかの車輪71を含むことができる。可動カメラユニット66は、カメラヘッド74を含むことができる。カメラヘッド74は、2つのカメラ76を含むことができる。カメラヘッド74は、カメラ76の視野を調節できるように、スタンド70に対して位置付け可能とすることができる。
【0027】
固定カメラユニット68は、可動カメラユニット66に類似しており、ベース78、カメラヘッド80、およびこのカメラヘッド80をベース78に結合するアーム82を含む。一部の実施形態では、ディスプレイスクリーンや照明などの他の周辺機器を、ベース78に結合することもできる。カメラヘッド80は、2つのカメラ84を含む。固定カメラユニット68は、図2に示されているように天井につないでもよいし、または病室の壁につないでもよい。カメラユニット66のカメラヘッド74と同様に、カメラヘッド80は、カメラ84の視野を調節できるように、アーム82に対して位置付け可能とすることができる。カメラユニット66、68は、計算装置62と通信可能に結合されている。計算装置62は、整形外科手術を行っている際に、計算装置62を外科医の近くに位置付けできるように、いくつかの車輪88を有するカート86に取り付けるか、または他の方法で結合することができる。
【0028】
ここで図3を参照すると、CAOSシステム30の一実施形態のさらなる詳細が示されている。具体的には、計算装置62は、プロセッサ90、メモリ素子92、および大容量記憶装置93を含むことができる。プロセッサ90は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ディスクリート処理回路(例えば、論理装置の集合)、汎用集積回路、および/または特定用途向け集積回路(すなわち、ASICs)を含むことができる。メモリ素子92は、例えば、ダイナミックラム(DRAM)およびエスラム(SRAM)などの揮発性メモリ素子を含むことができる。メモリ素子92は、例えば、様々な種類の読出し専用メモリ(すなわち、ROM)およびFLASHメモリ素子などの不揮発性メモリ素子をさらに含むこともできる。メモリ素子92は、通常は、プロセッサ90が現在処理している、かつ/または近い将来に処理する予定である、データおよび/または命令を保存する。
【0029】
大容量記憶装置93は、ハードドライブ、DVDドライブ、CDドライブ、データベースサーバ、ならびに/または、大量のデータおよび/もしくは命令を保存するのに適した他の装置を含むことができる。一実施形態の大容量記憶装置93は、不揮発性にデータおよび命令を保存するが、他の実施形態は、揮発性にデータを保存する大きなディスクキャッシュなどの大容量記憶装置を含むことができる。大容量記憶装置は、通常は、プロセッサ90が近い将来に処理する予定ではない、かつ/または長期間保有することが望ましいデータおよび/または命令を保存する。
【0030】
計算装置62は、ディスプレイ装置94に通信可能に結合されている。ディスプレイ装置94は、計算装置62とは別個のものとして図3に例示されているが、一部の実施形態においてコンピュータ計算装置62の一部を構成することができる。加えて、一部の実施形態では、ディスプレイ装置94または追加のディスプレイ装置は、計算装置62から離れて位置付けられることができる。例えば、ディスプレイ装置94は、整形外科手術が行われる手術室の天井または壁に位置付けられることができる。これに加えてまたは別法では、ディスプレイ装置94は、ホログラフィックディスプレイなどの仮想ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどの体に取り付けるディスプレイ、および/または他の種類のディスプレイを含むことができる。計算装置62は、この計算装置62にデータを入力するためのキーボードおよび/またはマウスなどの入力装置も含むことができる。ディスプレイ装置94は、整形外科医100からの入力を受け取ることができるタッチスクリーン式ディスプレイ装置を含むことができる。すなわち、外科医100は、ディスプレイ装置94のスクリーンに単純に触れることにより、いくつかのスクリーン上の選択肢から選択するなど、計算装置62に入力データを与えることができる。
【0031】
計算装置62は、カメラユニット66(および/または68)に通信可能に結合することができる。可動カメラユニット66のみが図3に示されているが、固定カメラユニット68を、代替として用いることもでき、または可動カメラユニット66に加えて用いることもできる。
【0032】
CAOSシステム30は、患者106の適切な骨および/または整形外科手術器具108に結合できるセンサすなわち基準アレイ104を含むこともできる。例えば、図4に例示されているように、脛骨アレイ110は、基準アレイ112および骨クランプ114を含む。この骨クランプ114は、シャンツピン(Schantz pin)118を用いて患者106の脛骨116に結合されうるが、他の種類の骨クランプを用いてもよい。基準アレイ112は、延長アーム120を介して骨クランプ114に結合することができる。基準アレイ112は、フレーム122および3つの反射要素124を含むことができる。これらの反射要素124は、一実施形態では、球形であるが、他の幾何学的形状を有してもよい。加えて、他の実施形態では、4つ以上の反射要素を備えたセンサアレイを用いてもよい。反射要素124は、所定の構造で位置付けられてよく、この構造は、計算装置62が、反射要素124のその構造に基づいて脛骨アレイ110の独自性(identity)を確認することを可能にする。すなわち、図3に示されているように、脛骨アレイ110がカメラヘッド74の視野102内に位置付けられると、計算装置62は、カメラヘッド74から受け取った画像に基づいて脛骨アレイ110の独自性を決定することができる。さらに、反射要素124の相対位置に基づいて、計算装置62は、脛骨アレイ110、従ってこの脛骨アレイ110が結合された脛骨116の場所および向きを決定することができる。
【0033】
基準アレイも、他の手術器具に結合することができる。例えば、図5に示されているように、位置合せ器具130を用いて、骨の点を位置合せすることができる。位置合せ器具130は、その器具130のハンドル136に結合された3つの反射要素134を有するセンサアレイ132を含むことができる。位置合せ器具130は、骨の点を位置合せするために用いられるポインター端部138を含むこともできる。反射要素134は、計算装置62が、位置合せ器具130の独自性、およびその相対的場所(すなわち、ポインター端部138の場所)を決定できる構造で、位置付けられることができる。さらに、図6に例示されているように、脛骨切除ジグ140などの他の外科手術器具に基準アレイを用いることもできる。このジグ140は、切除すべき脛骨144の、ある場所で脛骨144に結合された切除ガイド部分142を含むことができる。ジグ140は、フレーム145を介して切除ガイド部材分142に結合された基準アレイ146を含むことができる。基準アレイ146は、計算装置62が、ジグ140の独自性およびその相対的場所位置(例えば、脛骨144に対する相対的場所)を決定できる構造で位置付けられうる3つの反射要素148を含むことができる。
【0034】
CAOSシステム30は、例えば、全膝関節置換術などを含む整形外科手術において整形外科医100を支援することができる。支援するために、計算装置62および/またはディスプレイ装置94を、外科医100の視野の中に位置付けることができる。上記したように、計算装置62は、このような位置付けを容易にするために可動カート86に結合することができる。カメラユニット66(および/またはカメラユニット68)は、図3に示されているように、カメラヘッド74の視野102が、整形外科手術が行われる患者106の一部をカバーするように位置付けられることができる。
【0035】
整形外科手術を行う際に、カスタム外科手術プラン20は、行われる整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示するように、CAOSシステム30の計算装置62をプログラムするか、または他の方法で設定する、1または複数の命令を含むことができる。これらの画像は、グラフィックレンダリング画像(graphically rendered images)またはグラフィックで画質を向上させた写真画像(graphically enhanced photographic images)とすることができる。例えば、これらの画像は、患者の適切な解剖学的部分の3次元レンダリング画像を含むことができる。外科医100は、計算装置62と対話して、様々な外科手術ステップの画像を順番に表示させることができる。加えて、外科医は、計算装置62と対話して、前に表示された外科手術ステップの画像を見るか、画像を選択的に見るか、提案した外科手術ステップまたは外科手術の解剖学的結果を与えるように計算装置62に命令を出すか、または他の外科手術に関連した機能を果たすことができる。例えば、外科医100は、異なる骨切除処置で得られる骨の構造のレンダリング画像を見ることができる。このように、カスタム外科手術プラン20は、外科手術を行っている際に外科医100が従うことができる、患者106に対してカスタマイズされた外科手術「ウォークスルー(walk-through)」を与えるようにCAOSシステム30を構成することができる。
【0036】
一実施形態では、カスタム外科手術プラン20は、行われる整形外科手術の少なくとも一部を構成する個々の外科手術ステップを示す命令画像の順序付けられた選択を含むことができる。このような命令画像は、外科手術器具の画像および関連するテキスト情報、外科手術器具および関連する患者の解剖学的構造のグラフィックレンダリング画像、ならびに/または、外科手術の際に外科医を助ける他の画像および/もしくはテキスト情報を含むことができる。命令画像は、電子ライブラリに保存することができる。電子ライブラリは、例えば、データベース、個々の命令画像および関連するルックアップテーブルを含むファイルホルダすなわち記憶場所、メモリ素子92に保存されたハードコードされた情報、大容量記憶装置93、および/または保健医療施設12のネットワーク24を介してアクセス可能な他の電子記憶装置として具現することができる。したがって、外科手術プラン20は、特に、命令画像が外科手術またはその一部の外科手術「ウォークスルー」を与えるように、ディスプレイ装置94によって外科医100に表示される命令画像の順序付けられた選択を含むことができる。外科手術プラン20は、いくつかの外科手術サブステップ画像を含むこともできる。外科手術サブステップ画像の一部は、整形外科手術が行われている際に外科医100によって選択される選択肢に基づいて、外科医100に表示してもしなくてもよく、また、この外科医100が実行してもしなくてもよい。
【0037】
一部の実施形態では、外科医100は、計算装置62と対話して、CAOSシステム30の様々な装置を制御することができる。例えば、外科医100は、CAOSシステム30と対話して、ディスプレイ装置94の使用者の好みまたは設定を制御することができる。さらに、計算装置62は、外科医100の応答を促すことができる。例えば、計算装置62は、外科医が現在行われている外科ステップを完了したか否か、外科医が他の画像を見たいか否かの問い合わせ、および/または他の外科手術の問い合わせをするように外科医に促すことができる。
【0038】
上記したように、計算装置26、データベース28、および/もしくはCAOSシステム30は、互いに通信し、かつ/またはローカルネットワーク24を介して通信ネットワーク16と通信することができる。例えば、外科医の計算装置26を用いて、データベース28に保存された、医用画像などのデータにアクセスすることができる。これに加えてまたは別法では、CAOSシステム30を用いて、手術前の整形外科手術プラン、整形外科手術の際に作成される外科手術メモ、患者の骨(および軟組織)および/もしくはこの患者の骨に結合された整形外科インプラントの医用画像、ならびに/または、他のデータを作成することができる。CAOSシステム30によって作成されるこのようなデータは、例えば、CAOSシステム30からネットワーク24を介してデータベース28にそのデータを送信することにより、このデータベース28に保存することができる。さらに、病院または他の保健医療施設で一般に見られる他の医療装置を用いて、患者の骨(および、一部の実施形態では軟組織)の医用画像を作成することができる。このような医用画像も、データベース28に保存することができる。医用画像は、患者の1または複数の適切な骨(および、所望に応じて軟組織)を視覚的に示すあらゆる種類の医用画像として具現することができる。例えば、医用画像は、任意の数のX線画像、磁気共鳴映像法(MRI)画像、またはコンピュータ断層撮影法(CT)画像などとして具現することができる。それとは関係なく、このような医用画像は、特定の医用画像に関連する付随データと共にデータベース28に保存することができる。このような付随データとして、限定するものではないが、患者の氏名および他の患者の識別情報、画像の日付、外科医または医師の氏名、ならびに、医用画像が作成された病院または保健医療施設の名称などを含むことができる。
【0039】
動作の際は、カスタム外科手術プランシステム10のベンダー14が、患者の外科手術プランのリクエストを受け取ることができ、その患者に対してカスタマイズした外科手術プランを作成することができ、この患者のカスタム外科手術プランを保健医療施設12に提供することができる。カスタム外科手術プラン20に従って外科手術を行う方法200が図7に示されている。この方法200は、ブロック202で、特定の患者に対してカスタマイズされたカスタム外科手術プラン20のために外科手術プランリクエスト18を定めて開始することができる。このために、保健医療施設12の1または複数の介護者が、1または複数の計算装置すなわちクライアント26を用いて外科手術プランリクエスト18を定めることができる。具体的には、介護者は、行われる外科手術およびこの外科手術を受ける特定の患者に関連した外科手術プランリクエストのデータを入力するか、または他の方法で収集することができる。外科手術プランリクエストのデータは、リクエストされている外科手術プランに関連したあらゆるデータ、行われる整形外科手術に関連したあらゆるデータ、この整形外科手術が行われる患者に関連したあらゆるデータ、および/またはこの患者に対して整形外科手術をカスタマイズするのに有用なあらゆる他のデータを含むことができる。例えば、このリクエストのデータは、限定するものではないが、行われる整形外科手術の種類、使用される整形外科インプラントの種類、患者の適切な解剖学的部分のレンダリング画像、整形外科インプラントおよび/もしくは計画されている切除ラインのデジタルテンプレート、手術前のメモ、線図、患者の履歴データ、X線、医用画像、患者の医療記録、患者の識別データ、ならびに/または患者に対して整形外科手術をカスタマイズするのに有用なあらゆる他のデータを含むことができる。
【0040】
通常は、医用画像は、整形外科手術の準備として手術前に作成される。医用画像は、任意の数の医用画像を含むことができる。例えば、医用画像は、患者の体の矢状面に沿った関連する骨の医用画像、および患者の体の前頭面に沿った関連する骨の医用画像を含むことができる。医用画像は、X線画像、磁気共鳴映像法(MRI)画像、コンピュータ断層撮影法(CT)画像、および/または1または複数の関連する骨の印(indicia)を与えることができるあらゆる他の種類の画像を含むことができる。このようなイメージング装置は、保健医療施設12内に位置することができ、または保健医療施設12から離れて位置することができる。イメージング装置は、保健医療施設12に通信可能に結合してもしなくてもよい。
【0041】
ブロック202で、外科医は、保健医療施設12内または保健医療施設12の外部に位置することができる計算装置26を用いて、外科手術プランのリクエスト18を定めることができる。具体的には、外科医は、計算装置26によってリクエストデータを入力および/または収集して外科手術プランリクエスト18を定めることができる。一部の実施形態では、外科医は、計算装置26を操作して、データベース28などの病院施設12の様々な情報サーバから、例えば、患者の医療履歴、X線、医用画像、および/または上記した他の関連するデータなどの外科手術プラン20に関連したデータを検索することができる。加えて、外科医は、患者に対する外科手術プラン20の作成を制限するか、限定するか、または他の方法で影響を与えることができる制限データを入力することができる。例えば、制限データは、整形外科インプラントの種類に対する外科医の好み、インプラントの特定の部品に対する外科医の好み、許容可能な整形外科インプラントのサイズの程度(例えば、推奨できるインプラントのサイズの範囲に対する制限)、切除する骨の量、整形外科インプラントの計画されている場所および/または向き、固定の種類(例えば、セメントを用いる固定、もしくはセメントを用いない固定)、材料の種類、仕上げ、ヘッドサイズなどの他の特徴、ならびに、金属対金属、セラミック対金属、セラミック対セラミック、またはポリ対金属(metal-on-poly)などの他の好みを含むことができる。
【0042】
制限データは、特定の外科医、保健医療施設、大学、および/または別の個人もしくは施設の名称が付されるか、または別様にこれらに関連した、名称が付された外科手術(branded surgical procedure)をさらに識別することができる。例えば、外科医は、ドクターブラウン(Dr. Brown)のスタイルで膝置換術を行うための外科手術プラン20をリクエストすることができる。同様に、外科医は、オックスフォードクリニック(Oxford Clinic)の膝関節形成術をリクエストすることができる。このように、外科医は、他の外科医によって完成された技術または他の施設によって開発された技術を外科医が用いることを可能にする、最新の外科手術プラン20を得ることができるため、このような新しい手術が医学界を通じて広まることができる速度を速める。
【0043】
ブロック204で、外科手術プランリクエスト18を、保健医療施設12からベンダー14に送ることができる。一実施形態では、保健医療施設12の計算装置26またはCAOSシステム30が、ネットワーク16を介して外科手術プランリクエスト18をベンダー14の外科手術プランシステム40に送信することができる。しかしながら、外科手術プランリクエスト18を外科手術プランシステム40に提供する他の方法も企図される。例えば、計算装置26またはCAOSシステム30が外科手術プランリクエスト18を外科手術プランシステム40に送信するのではなく、外科手術プランシステム40が、計算装置26、CAOSシステム30、および/または別の装置からネットワーク16を介してこのリクエストを回収することができる。さらに、外科手術プランシステム40は、CD−ROM、DVD−ROM、サムドライブ、フロッピーディスク、ポータブルハードドライブなどの記憶装置からの外科手術プランリクエスト18の受信を支持することもできる。このような実施形態では、保健医療施設12の介護者は、記憶装置に外科手術プランリクエスト18を保存して、この記憶装置をベンダー14に郵送するか、または他の方法で送達することができる。次に、ベンダー14は、リクエストを記憶装置から外科手術プランシステム40にアップロードすることができる。
【0044】
ブロック206で、外科手術プランシステム40は、外科手術プランリクエスト18により提供された制限データおよび他のデータに基づいて外科手術プラン20を作成することができる。外科手術プラン20の作成において、外科手術プランシステム40は、外科手術プランリクエスト18の医用画像に対してデジタルテンプレート処置を施して、患者の関連する骨と共に使用する、外科医または保健医療施設に推奨する整形外科インプラントを決定することができる。こうするために、外科手術プランシステム40は、医用画像から患者の骨または骨の解剖学的構造の適切な様相(aspects)を決定するように構成されることができる。例えば、外科手術プランシステム40は、関連する骨の1または複数の機械的な軸を決定し、関連する骨の1または複数の切除平面を決定し、および/あるいは関連する骨の特定の特徴部の位置を求めることなどができる。このような決定に基づいて、外科手術プランシステム40は、外科手術プランリクエスト18のインプラント制限データを満足する適切な整形外科インプラントの種類およびサイズを選択することができる。外科手術プランシステム40は、整形外科インプラントのサイズの推奨される範囲を決定するように構成することもできる。例えば、一部の実施形態では、外科手術プランシステム40は、±2サイズの範囲内で整形外科インプラントを決定するように構成することができる。例えば、外科手術プランシステム40は、サイズ5±2(すなわち、サイズ3〜7の範囲)の整形外科インプラントを推奨することができる。
【0045】
外科手術プラン20の作成において、外科手術プランシステム40は、整形外科インプラントのデジタルテンプレートを検索することもできる。デジタルテンプレートは、例えば、メモリ素子48、大容量記憶装置49、またはいくつかのデジタルテンプレートを保存できるあらゆる他の保存場所から検索されることができる。デジタルテンプレートは、患者の医用画像に対して重ね合わせることができる、外科手術のために選択された整形外科インプラントまたはそのコンポーネントの1または複数の2次元および/または3次元の電子レンダリングを含むことができる。例えば、デジタルテンプレートは、患者の脛骨または大腿骨の医用画像に重ね合わせられるか、または他の方法で組み込まれることができる整形外科膝インプラントのコンポーネントの2次元または3次元電子レンダリングとして具現することができる。詳細を後述するように、デジタルテンプレートは、関連する骨の機械的な軸または切除点/切除平面のラインまたは他の印などの、関連する骨の決定された様相または特徴を示す印と共に用いることができる。
【0046】
外科手術プランシステム40は、外科手術プランリクエスト20の医用画像にデジタルテンプレートを重ね合わせるか、または他の方法で組み込むことができる。例えば、例示的な一実施形態では、図8に例示されているように、整形外科インプラントのデジタルテンプレート300は、患者の骨の医用画像302に重ね合わされている。上記したように、例示的なデジタルテンプレート300は、2次元テンプレートとして例示されているが、他の実施形態では、デジタルテンプレートは、整形外科インプラントの任意の数の2次元および/または3次元電子レンダリングを含むことができる。
【0047】
外科手術プランシステム40は、患者の骨に対して、デジタルテンプレートによって表わされる整形外科インプラントの推奨される場所および向きを決定するために、外科手術プランリクエスト18のあらゆる適当なアルゴリズムおよびデータを用いるように構成することができる。例えば、インプラント制限データが、患者の骨の予測切除量を提供する場合、外科手術プランシステム40は、このような予測切除量に基づいて医用画像にデジタルテンプレートを位置付けるように構成することができる。加えて、上記で決定したような骨の様相のうち任意の1または複数を用いて、デジタルテンプレートの適切な位置付けを決定することができる。例えば、関連する骨の決定された機械的な軸、切除平面、および/または他の決定された様相を用いて、デジタルテンプレートの適切な位置付けを決定することができる。このように、外科手術プランシステムは、患者の関連する骨の印、ならびに、ある場所および向きで位置付けられた推奨される整形外科インプラントの印を有する、いくつかのデジタルテンプレート医用画像を作成する。
【0048】
自動工程として上記したが、一部の実施形態では、外科手術プラン20の作成は、半自動または手動工程とすることができる。例えば、ベンダー14のCADオペレータまたは医療技術者などの技術者が、関連する骨の機械的な軸、切除ライン、および/または他の特定の特徴などの関連する骨の様相を決定することができる。技術者は、このような様相の印を、医用画像に重ね合わせるか、または他の方法で組み込むように医用画像を編集することができる。例えば、技術者は、機械的な軸および/または切除ラインを電子的に描くことができる。関連する骨のこのような様相を決定したら、外科手術プランシステム40は、技術者によって決定された関連する骨の様相に基づいて推奨される整形外科インプラントを決定してカスタム外科手術プラン20を作成し、推奨される整形外科インプラントのデジタルテンプレートを検索し、かつ、例えば関連する骨の決定された様相に基づいてデジタルテンプレートを医用画像に重ね合わせるか、または他の方法で組み入れるように、構成されることができる。
【0049】
他の実施形態では、カスタム外科手術プラン40は、ベンダー14によって手動で作成することができる。このような実施形態では、技術者は、関連する骨の様相を決定し、医用画像にこのような様相の印を含め(例えば、関連する骨の機械的な軸や切除ラインなどを描く)、そしてこのような様相に基づいて推奨される整形外科インプラントおよび外科手術プラン20を決定することができる。次に、技術者は、推奨される整形外科インプラントのデジタルテンプレートを医用画像に手動で重ね合わせるか、または他の方法で組み入れることができる。技術者は、関連する骨の決定された様相に基づいてデジタルテンプレートを置き、かつ向きを定めることができる。例えば、技術者は、適当なCADソフトウエアプログラムなどを用いて、推奨される整形外科インプラントのデジタルテンプレートを医用画像に位置付けることができる。
【0050】
それとは関係なく、外科手術プランシステム40は、ブロック212で、外科手術プラン20を保健医療施設16に送ることができる。一実施形態では、外科手術プランシステム40は、ネットワーク16を介してカスタム外科手術プラン20を保健医療施設12に送信することができる。カスタム外科手術プラン20は、CAOSシステム30にアクセス可能な保健医療施設12のデータベース28に保存することができる。しかしながら、別法では、またはこれに加えて、カスタム外科手術プラン20は、保健医療施設12の計算装置26またはCAOSシステム30に保存することができる。
【0051】
ブロック214で、外科医は、計算装置26および/またはCAOSシステム30によって外科手術プランを見直すことができる。例えば、外科医は、整形外科インプラントのデジタルテンプレートが患者の骨に対して適切に位置しているか否か、推奨される整形外科インプラントの種類が正しいか否か、および/またはより大きいか、もしくはより小さなサイズの整形外科インプラントがより望ましいか否かなどを決定するためにデジタルテンプレート医用画像を再検討することができる。さらに、外科医は、外科手術プラン20によって定められた一連の動作を見直すことができる。
【0052】
ブロック216で、外科医は、外科手術プラン20の見直しに基づいて、ベンダー14に外科手術プラン20を変更させることを決定することができる。外科医が、ベンダー14に外科手術プラン20を変更させることを決定したら、外科医は、ブロック218で、例えば、カスタム外科手術プラン20に関してさらなる制限または指示を与えるなどして外科手術プランリクエスト18の態様を変更して、この変更した外科手術プランリクエスト18をベンダー14に送ることができる。例えば、外科医は、受け取った外科手術プラン20のデジタルテンプレート医用画像および/または他のデータを変更して、この変更したデジタルプレート医用画像および/または他のデータを外科手術プランシステム40に送ることができる。
【0053】
外科手術プランシステム40は、ブロック220で、変更外科手術プランリクエスト18によって外科手術プラン20を変更することができる。外科手術プランシステム40は、プロセスステップ218で外科医から受け取った、変更されたデジタルテンプレート医用画像および/または推奨データ(例えば、推奨される整形外科インプラントサイズの範囲)に基づいて外科手術プラン20に対して任意の数の修正処置を行うことができる。
【0054】
次に、外科手術プランシステム40は、変更された外科手術プラン20を保健医療施設12に送るためにブロック212に戻ることができる。このように、ベンダー14および外科医は、外科医が外科手術プラン20に満足するまで、患者の外科手術プラン20を変更することができる。
【0055】
外科医が、患者のカスタム外科手術プラン20に満足したら、ブロック222で、CAOSシステム30をカスタム外科手術プラン20に基づいて構成することができる。カスタム外科手術プラン20は、様々な異なる技術を用いてCAOSシステム30を構成することができる。CAOSシステム30の計算装置62は、外科手術プラン20をベンダー14から直接受け取ることができる。CAOSシステム30の計算装置62は、保健医療施設12の計算装置26および/またはデータベース28から外科手術プラン20をロードすることができる。CAOSシステム30の計算装置62は、CD‐ROM、DVD‐ROM、サムドライブ、フロッピー、または保健医療施設のベンダー14もしくは計算装置26によって作成される他のポータブル記憶装置などの機械可読媒体から外科手術プラン20をロードすることができる。別の実施形態では、外科手術プラン20は、整形外科手術の前にCAOSシステム30の計算装置62に手動で入力するために、技術者などの介護者に対する指示の文書を含むことができる。
【0056】
ブロック224で、CAOSシステム30は、患者に対するカスタム外科手術プラン20によって、整形外科手術の間、外科医を導く。具体的には、外科手術プラン20に従ったCAOSシステム30の計算装置62は、整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示するようにディスプレイ装置94を制御する。
【0057】
本開示は、添付の図面および上記の説明で詳細に例示し記載したが、このような例示および記載は、例として解釈すべきものであり、性質を制限するものと解釈をすべきものではなく、例示的な実施形態のみを図示および記載し、本開示の範囲内である全ての変更形態および改良形態が保護されるべきであることを理解されたい。
【0058】
〔実施の態様〕
(1)ベンダーが、前記ベンダーの外部にある保健医療施設の患者に対して外科手術プランを作成するための方法において、
前記患者に関連するデータおよび前記患者に対して行われる外科手術に関連するデータを含む外科手術プランリクエストを、前記ベンダーの外部にある前記保健医療施設から受け取ることと、
前記外科手術プランリクエストの受取りに応答して、前記外科手術プランリクエストのデータに従って前記患者に対してカスタマイズされた外科手術プランを作成することと、
実施するために前記外科手術プランを前記保健医療施設に送ることと、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記送ることは、ネットワークを介して前記外科手術プランを前記保健医療施設に送信することを含む、方法。
(3)実施態様1に記載の方法において、
前記送ることは、前記外科手術プランを前記保健医療施設に郵送することを含む、方法。
(4)実施態様1に記載の方法において、
前記患者に対する前記外科手術を支援するためにコンピュータ支援整形外科手術システムを構成する前記外科手術プランの複数の命令を作成すること、
をさらに含む、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記患者の少なくとも1つの骨を示す1または複数の医用画像に基づいて前記複数の命令を作成すること、
をさらに含む、方法。
【0059】
(6)実施態様1に記載の方法において、
前記外科手術プランに対する変更をリクエストする変更外科手術プランリクエストを前記保健医療施設から受け取ることと、
前記変更外科手術プランリクエストの受取りに応答して、変更された外科手術プランを得るために前記外科手術プランを変更することと、
実施するために前記外科手術プランを前記保健医療施設に送ることと、
をさらに含む、方法。
(7)実施態様1に記載の方法において、
前記外科手術プランが特定の外科医に関連した外科手術に従って作成されることをリクエストする前記外科手術プランリクエストに応答して、前記特定の外科医に関連した外科手術に従って前記外科手術プランを作成すること、
をさらに含む、方法。
(8)実施態様1に記載の方法において、
前記外科手術プランが特定の施設に関連した外科手術に従って作成されることをリクエストする前記外科手術プランに応答して、前記特定の施設に関連した外科手術に従って前記外科手術プランを作成すること、
をさらに含む、方法。
(9)複数の命令を含む機械可読媒体において、
前記複数の命令は、実行されるのに応答して、計算装置であって、
患者の骨の画像を含む外科手術プランリクエストに基づいて整形外科手術のための外科手術プランを作成し、
ネットワークを介して前記外科手術プランを保健医療施設に送信する、計算装置をもたらす、機械可読媒体。
(10)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置であって、前記外科手術プランが、コンピュータ支援整形外科手術システムによってロードされると前記整形外科手術を支援する前記コンピュータ支援整形外科手術システムを構成するように、前記外科手術プランを作成する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
【0060】
(11)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置であって、前記外科手術プランが、コンピュータ支援整形外科手術システムによって実行されるのに応答して前記整形外科手術を支援する前記コンピュータ支援整形外科手術システムをもたらす命令を含むように、前記外科手術プランを作成する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
(12)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置であって、コンピュータ支援整形外科手術システムによって実行されるのに応答して、前記整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示する前記コンピュータ支援整形外科手術システムをもたらすように、前記外科手術プランを作成する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
(13)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記計算装置であって、
前記外科手術プランを変更するリクエストに応答して、変更された外科手術プランを得るために前記外科手術プランを変更し、
前記ネットワークを介して前記変更された外科手術プランを前記保健医療施設に送信する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
(14)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記外科手術プランを特定の外科医に従って構成するというリクエストに応答して、前記特定の外科医に従って前記外科手術プランを作成する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
(15)実施態様9に記載の機械可読媒体において、
前記複数の命令は、前記外科手術プランを特定の施設に関連した外科手術に従って構成するというリクエストに応答して、前記特定の施設に従って前記外科手術プランを作成する、前記計算装置をさらにもたらす、機械可読媒体。
【0061】
(16)外科手術プランを作成するためのシステムにおいて、
患者に関連するデータおよびこの患者に対して行われる整形外科手術に関連するデータを含む外科手術プランリクエストを作成するクライアントと、
前記外科手術プランリクエストを受け取って、この外科手術プランリクエストのデータに基づいてカスタマイズした外科手術プランを作成する、外科手術プランシステムと、
前記外科手術プランシステムによって作成された前記外科手術プランによる前記整形外科手術を行う外科医を支援するコンピュータ支援整形外科手術システムと、
を含む、システム。
(17)実施態様16に記載のシステムにおいて、
前記外科手術プランシステムは、ベンダーに位置されており、
前記コンピュータ支援整形外科手術システムは、保健医療施設に位置されている、システム。
(18)実施態様16に記載のシステムにおいて、
前記外科手術プランシステムは、前記外科手術プランリクエストの少なくとも1つの画像に基づいて前記整形外科手術のための整形外科インプラントを選択する、システム。
(19)実施態様16に記載のシステムにおいて、
前記コンピュータ支援整形外科手術システムは、前記外科手術プランシステムによって作成された前記外科手術プランの実施に応答して、前記整形外科手術を構成する個々の外科手術ステップの画像を表示する、システム。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】特定の患者に対してカスタマイズした外科手術プランを作成するためのシステムを示す図である。
図2図1のコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムを示す図である。
図3図2のCAOSシステムに関して、さらに詳細を示す図である。
図4図2のCAOSシステムと共に用いるための骨位置検出器具(bone locator tool)を示す図である。
図5図2のCAOSシステムと共に用いるための位置合せ器具を示す図である。
図6図2のシステムと共に用いるための整形外科手術器具を示す図である。
図7】カスタム外科手術プランを作成、変更、および実行するための方法を示す図である。
図8】整形外科手術インプラントのデジタルテンプレートが重ね合わされた医用画像を示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8