(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693826
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】モルタル壁構造、モルタル壁表面に貼着される補強シート、及びモルタル壁構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20150312BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
E04G23/02 A
E04B2/56 641A
E04B2/56 603A
E04B2/56 604A
E04B2/56 621N
E04B2/56 641K
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-117073(P2009-117073)
(22)【出願日】2009年5月13日
(65)【公開番号】特開2010-265654(P2010-265654A)
(43)【公開日】2010年11月25日
【審査請求日】2012年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】大久保 藤和
(72)【発明者】
【氏名】池ケ谷 孝仁
【審査官】
土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−242324(JP,A)
【文献】
特開昭61−191751(JP,A)
【文献】
特開平09−125601(JP,A)
【文献】
特開2001−152676(JP,A)
【文献】
特開2003−084134(JP,A)
【文献】
特開2002−194855(JP,A)
【文献】
特開2004−149929(JP,A)
【文献】
特開平10−102720(JP,A)
【文献】
特開2008−231869(JP,A)
【文献】
特開2007−239283(JP,A)
【文献】
特開2004−131985(JP,A)
【文献】
特開2002−356972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04B 2/56
E04F 13/02 − 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する軽量モルタル壁の構造であって、
前記開口部における隅角部周辺の軽量モルタル壁表面に前記軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた形状部を一枚で有する補強シートが貼着されてなり、
前記補強シートの軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた形状部が略直角の欠損形状であり、
前記開口部の隅角部に合わせて貼着されている前記補強シートは他の隅角部にまでは対応しておらず、かつ、互いに隣接する隅角部に合わせて各々貼着されている前記補強シートは一つには繋がっておらず、前記貼着されている前記補強シートによって前記開口部の全周囲は囲まれていない
ことを特徴とする軽量モルタル壁構造。
【請求項2】
粘度(25℃での値)が3000mPa・sより高い流動性を有する光硬化型接着剤が軽量モルタル壁の開口部の隅角部周辺の軽量モルタル壁表面に塗布され、前記塗布された光硬化型接着剤の表面に光硬化型樹脂を用いて構成され、かつ、前記軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた形状部を一枚で有する光透過可能な補強シートが配され、光照射により硬化して前記補強シートが前記軽量モルタル壁表面に貼着されてなる
ことを特徴とする請求項1の軽量モルタル壁構造。
【請求項3】
前記補強シートはガラス繊維中に光硬化型樹脂が含浸して構成されてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の軽量モルタル壁構造。
【請求項4】
軽量モルタル壁の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に貼着されることにより用いられ、軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた形状部を一枚で有し、
軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた前記形状部が、略直角の欠損形状であり、
前記開口部の隅角部に合わせて貼着されている前記補強シートは他の隅角部にまでは対応しておらず、かつ、互いに隣接する隅角部に合わせて各々貼着されている前記補強シートは一つには繋がっておらず、前記貼着されている前記補強シートによって前記開口部の全周囲は囲まれていない
ことを特徴とする軽量モルタル壁の補強シート。
【請求項5】
ガラス繊維中に光硬化型樹脂が含浸して構成されてなる
ことを特徴とする請求項4の軽量モルタル壁の補強シート。
【請求項6】
軽量モルタル壁の開口部における隅角部周辺の軽量モルタル壁表面に、請求項4又は請求項5の補強シートを貼着する
ことを特徴とする軽量モルタル壁構造の製造方法。
【請求項7】
粘度(25℃での値)が3000mPa・sより高い流動性を有する光硬化型接着剤を軽量モルタル壁の開口部の隅角部周辺の軽量モルタル壁表面に塗布した後、
前記塗布された光硬化型接着剤の表面に、光硬化型樹脂を用いて構成され、かつ、前記軽量モルタル壁の開口部の隅角部の形状に略合わせた形状部を一枚で有し、前記開口部の隅角部に合わせて貼着されている補強シートは他の隅角部にまでは対応しておらず、かつ、互いに隣接する隅角部に合わせて各々貼着されている補強シートは一つには繋がっておらず、前記貼着されている前記補強シートによって前記開口部の全周囲は囲まれていない光透過可能な補強シートを配し、
この後、光照射して硬化せしめることにより、前記補強シートを前記軽量モルタル壁表面に貼着する
ことを特徴とする軽量モルタル壁構造の製造方法。
【請求項8】
前記補強シートはガラス繊維中に光硬化型樹脂が含浸して構成されてなる
ことを特徴とする請求項6又は請求項7の軽量モルタル壁構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば軽量モルタル壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタル(コンクリート)製の壁は、その開口部における隅角部に、ひび割れが入り易い。この為、前記開口部の隅角部の壁内に補強用の金物や繊維ネットを埋設することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−191751号公報
【特許文献2】特開昭59−217861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1,2の技術は、未だ、満足できるものでは無かった。
例えば、木造モルタル造の家に用いられている軽量モルタルは、一般的なモルタルやコンクリートに比べて、軽量で耐火性に優れているものの、強度が低い。この為、開口部における隅角部周辺の軽量モルタルに補強用金物や繊維ネットを埋設しても、前記隅角部周辺のモルタルにひび割れが入ることが多かった。
又、埋設を必須要件としたものであることから、作業性が劣る。すなわち、作業コストが高いものとなっている。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、モルタルが軽量モルタルであっても、モルタル壁の開口部における隅角部周辺にひび割れが入り難く、かつ、簡単に実施できるモルタル壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、
開口部を有するモルタル壁の構造であって、
前記開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に補強シートが貼着されてなる
ことを特徴とするモルタル壁構造によって解決される。
【0007】
特に、上記のモルタル壁構造であって、補強シートが光硬化型樹脂を用いて構成されてなることを特徴とするモルタル壁構造によって解決される。
【0008】
又、上記のモルタル壁構造であって、補強シートが光透過可能に構成されてなることを特徴とするモルタル壁構造によって解決される。
【0009】
又、上記のモルタル壁構造であって、補強シートが光硬化型接着剤により貼着されてなることを特徴とするモルタル壁構造によって解決される。
【0010】
又、前記の課題は、
モルタル壁の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に貼着される
ことを特徴とする補強シートによって解決される。
【0011】
特に、上記の補強シートであって、該補強シートが光硬化型樹脂を用いて構成されてなることを特徴とする補強シートによって解決される。
【0012】
特に、上記の補強シートであって、該補強シートが光透過可能に構成されてなることを特徴とする補強シートによって解決される。
【0013】
又、前記の課題は、
モルタル壁の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に、上記の補強シートを貼着する
ことを特徴とするモルタル壁構造の製造方法によって解決される。
【0014】
特に、モルタル壁の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に、接着剤を用いて、上記の補強シートを貼着する
ことを特徴とするモルタル壁構造の製造方法によって解決される。
【発明の効果】
【0015】
ひび割れが起き難いモルタル壁が、モルタル壁の表面にシートを貼るのみの簡単な作業、かつ、低廉なコストで得られる。
その結果、耐久性が高い建物が低廉なコストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明になる第1実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図
【
図2】本発明になる第2実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図
【
図3】本発明になる第3実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の本発明はモルタル壁構造(中でも、軽量モルタル壁構造)である。特に、開口部を有するモルタル壁(中でも、軽量モルタル壁)の構造である。そして、前記開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に補強シートが貼着されたものである。前記補強シートは、好ましくは、光硬化型樹脂を用いて構成されたものである。又、好ましくは、光透過可能に構成されたものである。例えば、透過光/入射光が約10%以上の透明材で構成されたシートであるとか、或いは透過光/入射光が約10%以上の透明部を部分的に有するシートで構成されたものである。前記補強シートの貼着は接着剤を用いて行われる。好ましい接着剤として光硬化型接着剤が挙げられる。
【0018】
第2の本発明は補強シートである。特に、モルタル壁(中でも、軽量モルタル壁)の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に貼着される補強シートである。この補強シートは、好ましくは、光硬化型樹脂を用いて構成されたものである。又、好ましくは、光透過可能に構成されたものである。例えば、透過光/入射光が約10%以上の透明材で構成されたシートであるとか、或いは透過光/入射光が約10%以上の透明部を部分的に有するシートで構成されたものである。
【0019】
第3の本発明はモルタル壁構造の製造方法(モルタル壁構築方法)である。そして、モルタル壁(中でも、軽量モルタル壁)の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に、上記の補強シートを貼着する工程を具備する。特に、モルタル壁(中でも、軽量モルタル壁)の開口部における隅角部周辺のモルタル壁表面に、接着剤を用いて、上記の補強シートを貼着する工程を具備する。
【0021】
本発明に用いられる補強シートは、樹脂、炭素、ガラス、金属、植物性繊維、動物性繊維等を、適宜、用いて構成できる。尚、軽量性と強度との観点から、樹脂製、炭素製又はガラス製のシートが好ましい。例えば、繊維強化樹脂シートは好ましいものである。特に、短時間に強固な補強シートを得ることが出来ることから、光硬化型樹脂を用いて補強シートを構成したものが好ましい。例えば、可視光や紫外線により硬化する光硬化型樹脂の層と繊維シート層(又は繊維メッシュ層)とが積層されてなる補強シートは好ましいものとして挙げられる。或いは、補強用の繊維の間(例えば、繊維シートにおける繊維間とか繊維メッシュにおけるメッシュ間)に光硬化型樹脂が含浸してなる補強シートも好ましいものとして挙げられる。すなわち、斯かる補強シートは軽量モルタルのひび割れ抑制効果が大きい。上記繊維シート(又は繊維メッシュ)を構成する繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、高密度ポリエチレン繊維やアラミド繊維などの有機繊維を用いることが出来る。又、Al等の軽金属の繊維を用いることも出来る。上記光硬化型樹脂は、一般的には、硬化性樹脂成分と光重合開始剤とを含む樹脂組成物で構成される。前記硬化性樹脂成分は、光重合開始剤が吸光により活性化されるに伴い、これによって重合・硬化する樹脂成分である。このような樹脂成分としては、例えば不飽和ポリエステル型、アクリル型、チオール・エン型、エポキシ型などの各種のものが知られている。例えば、光硬化型ビニルエステル樹脂、光硬化開始剤とエポキシアクリレート樹脂との混合物などが挙げられる。この他にも、テトラメチルキシリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネートと、ポリオキシアルキレングリコールを含むポリオールと、活性水素及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとを反応させて得られる末端に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、このオリゴマーと相溶性のある(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含む組成物からなる樹脂も挙げられる。尚、耐候性の点からはアクリル型のものは好ましいものである。
【0022】
本発明における補強シートは、好ましくは、開口部の隅角部の形状に略合わせた形状のものである。すなわち、斯かる形状の補強シートは、目的箇所に効率よく貼り付けることが出来る。特に、開口部における隅角部の周辺にのみ、補強シートを効率良く貼り付けることが出来る。この結果、施工効率が良い。
【0023】
本発明の補強シートは約10cm
2以上の大きさのものであることが好ましい。より好ましくは、20cm
2以上の大きさのものである。なぜならば、小さ過ぎると、ひび割れ抑制効果が小さいからである。上限値に格別な制約は無い。しかしながら、大きくなり過ぎると、貼着し難く、かつ、コストも高いものとなる。従って、2000cm
2以下の大きさのものが好ましい。
【0024】
補強シートの貼着に用いられる接着剤は、好ましくは、光硬化型樹脂からなる接着剤(光硬化型接着剤)である。なぜならば、光照射で迅速に硬化することから、施工効率が良く、かつ、接着剤の硬化後に直ちにひび割れの発生を抑制できるからである。すなわち、上記補強シートを軽量モルタルに貼り付けるに際して、光硬化型接着剤を用いると、紫外線(又は可視光)の照射により、例えば10〜40分程度の短時間で貼り付けることができる。特に、光硬化型樹脂を用いて補強シートを構成すると共に、補強シートを軽量モルタルに貼り付けるに際しても光硬化型接着剤を用いた場合、紫外線(又は可視光)の照射により、例えば10〜40分程度の短時間で、補強シート(光硬化型樹脂シート)の硬化と貼着が同時に行えるので、より好ましい。尚、この場合、補強シートは、光透過可能に構成されていることを前提とする。すなわち、補強シートが遮光性のものになっていると、光硬化型接着剤に光照射が出来ないからである。尚、光硬化型接着剤以外の接着剤(即ち、非光硬化型接着剤)を用いることも出来る。例えば、2液型のエポキシ樹脂からなる接着剤、2液型ポリエステル樹脂からなる接着剤などが挙げられる。又、光硬化型接着剤と非光硬化型接着剤とを併用することも出来る。尚、補強シートが遮光性に構成されている場合には、熱硬化型接着剤と言った非光硬化型接着剤を用いる。
【0025】
接着剤は貼着に際しては流動性を多少なりとも有する。例えば、粘度(以下、特に断らない限り25℃の値)が3000mPa・sの場合よりも高い流動性を有する接着剤は好ましい。なぜならば、斯かる特性の接着剤を軽量モルタルの表面に塗布した場合、軽量モルタルのポア(空孔)に接着剤が含浸し易い。そして、軽量モルタルの空孔に接着剤が含浸すると、軽量モルタルの強度が増し、モルタルにひび割れが起き難いものとなる。かつ、モルタル表面の平坦性が高まり、接着剤による補強シートの貼着性(接着性:一体性)が高まり、モルタルにひび割れが起き難いものとなる。尚、接着剤の流動性が高すぎると、塗布した際に、接着剤が垂れ落ち易いものとなる。従って、好ましくは、粘度が1000mPa・sの場合よりも低い流動性を有する接着剤である。すなわち、粘度が1000〜3000mPa・sの接着剤は好ましい。尚、粘度が3000mPa・sより小さな接着剤を、先ず、補強シートの貼着箇所の軽量モルタル表面に塗布・含浸させた後、この接着剤塗布表面上に粘度が1000mPa・sより大きな接着剤を塗布し、そして補強シートを貼り付けるようにしても良い。このような場合には、最初に塗布する接着剤としては、接着剤が内部に入り込み、光照射が困難な為、非光硬化型接着剤を用いることが好ましい。そして、後から塗布する接着剤として、光硬化型接着剤を用いるのは好ましいことである。
【0026】
本発明の開口部を有する軽量モルタル壁は、セメント、細骨材及び水が含まれる組成物を用いて構成される。
【0027】
上記軽量モルタルに含有されるセメントは、例えば普通、早強、超早強、中庸熱、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメント、アルミナセメント、急硬性セメント、超速硬セメント、或いは都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として利用したエコセメント等が挙げられる。これらの中の一種のセメントを用いることが出来る。勿論、二種以上のセメントを用いても良い。
【0028】
上記軽量モルタルに含有される細骨材は、モルタルに使用可能な細骨材であれば限定されない。如何なるものでも良い。例えば、珪砂、石灰石砂、寒水石砂、砕砂、海砂、スラグ細骨材、人工軽量細骨材やパーライト等の無機質軽量細骨材、ポリエチレン粒やエチレン酢酸ビニル粒等の有機質軽量細骨材などを適宜用いることが出来る。
【0029】
上記軽量モルタルには、セメント、細骨材及び水に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、モルタルやコンクリートに使用できる混和材料の1種又は2種以上を添加することができる。この混和材料としては、例えば高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤、減水剤、流動化剤を含むセメント分散剤、セメント用ポリマー、膨張材(剤)、急結剤(材)、急硬剤(材)、収縮低減剤、顔料、撥水剤、防水材、表面硬化剤、保水剤、粘度調整剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、遅延剤、硬化促進剤、潜在性水硬性物質、石炭灰やシリカヒューム等のポゾラン反応性物質等が挙げられる。
【0030】
上記軽量モルタルは、既往(公知)な製造方法を用いて製造できる。例えば、ミキサで混練することによって製造できる。尚、ミキサ混練になるものは、軽量モルタルの成分や物性が均一になるので好ましい。使用するミキサとしては、例えば左官ミキサ、強制練りコンクリートミキサ、万能ミキサ等が挙げられる。混練時に軽量モルタルに含まれる各材料を一度にミキサで混合しても良いし、事前に材料の一部をミキサで混合しても良い。尚、固形の材料は予め乾式混合されていると、混練時に短時間で均質に混合するので好ましい。
【0031】
製造された軽量モルタルを壁面に適用する方法は常法によることが出来る。例えば、壁面の合板に防水シートをラス網と共にステイブルにより止め、その表面に軽量モルタルを鏝により塗り付ける方法は好適である。
【0032】
尚、軽量モルタルと接着した補強シートの表面に、塗装や仕上げ材等の化粧層を設けることは美観の点から好ましい。又、セメントペーストやモルタル等を塗り付けることにより、軽量モルタル表面と接着した補強シート表面との段差を無くすことは美観の点から好ましい。
【0033】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。
【0034】
図1は本発明になる第1実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図、
図2は本発明になる第2実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図、
図3は本発明になる第3実施形態の軽量モルタル壁構造の概略図である。
【0035】
各図中、1は軽量モルタル壁である。この軽量モルタル壁1には開口部2が設けられている。この開口部2は、適宜な形状のものであり、隅角部2aを有する。尚、軽量モルタル壁1は、上記した軽量モルタル3で構成されている。
【0036】
4は補強シートである。この補強シート4は上記した如きのものである。例えば、ガラス繊維シート中に光硬化型樹脂を含浸せしめて構成されたものである。そして、透光性を有する。大きさは20〜2000cm
2程度のものである。形状は
図1〜
図3に示される通り、隅角部2aの形状に沿った形状部4aを有する。従って、隅角部2aに沿って軽量モルタル表面に補強シート4を簡単に貼着できるようになっている。尚、隅角部2aの形状に沿った形状部4a以外の箇所での形状は適宜なものである。例えば、円弧状であるとか、「状であるとか、矢羽根状であるとか、種々の形状である。
【0037】
補強シート4は、上記した手法で軽量モルタル表面に貼着される。例えば、光硬化型接着剤を軽量モルタル表面に塗布し、そしてこの塗布箇所に補強シート4を貼り、この後で光照射することで、補強シート4が軽量モルタル表面に強く固着された。
【符号の説明】
【0038】
1 軽量モルタル壁
2 開口部
3 軽量モルタル
4 光硬化型樹脂シート(補強シート)