【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の
第1の特徴は、一対の入力端から入力される交流電源の電圧を変圧して一対の出力端から出力する交流電圧調整装置であって、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する第1複巻トランスと、一端にて入力端の一方側及び他方側とのいずれかに接続される一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて一端にて入力端の一方側及び他方側とのいずれかに接続されると共に他端にて第1複巻トランスの一次巻線の他端に接続される二次巻線とを有する第2複巻トランスと、第1複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と単巻トランスの複数のタップのいずれか1つとの接続を切り替え可能なタップ切替第1スイッチと、第2複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、他端と単巻トランスの複数のタップのいずれか1つとの接続を切り替え可能なタップ切替第2スイッチとを備えたことにある。
なお、本発明において、複巻トランスについては、降圧トランスであり、以下の全ての複巻トランスについても同様である。
【0007】
第1の特徴においては、交流電圧調整装置の動作は、以下の(1)〜(4)の4つの場合に分けられる。なお、この4つの場合については、便宜上スイッチで接続が切り替えられている
図9〜
図12を参照して説明する。
(1)第2
複巻トランスFT2の一次巻線の一端側と二次巻線の一端側がいずれも入力端の一方側に接続された場合(
図9参照)
タップ切替第1スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧を入力電圧から引いた電圧が、第1複巻トランスFT1の一次巻線に極性に合わせて加えられる。この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧された値の第1の電圧が二次巻線に出力される。一方、タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧を入力電圧から引いた電圧が、第2複巻トランスFT2の一次巻線に極性が反転した状態で加えられる。この電圧に第2複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧された値の電圧が二次巻線に出力される。さらに、第2複巻トランスFT2の二次巻線からの反転した電圧が第1複巻トランスFT1の一次巻線に加えられ、この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせてさらに減圧された値の第2の電圧が、二次巻線側に出力される。さらに、入力電圧に第1の電圧が加えられ、第2の電圧が引かれて、出力電圧として出力端から出力される。
【0008】
以上のように、本発明の上記(1)においては、入力電圧に対して、タップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た電圧が加えられ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た電圧が引かれて出力端から出力される。その結果、(1)の場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、第2
複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された電圧が引かれることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0009】
(2)第2
複巻トランスFT2の一次巻線の一端側が入力端の他方側に、二次巻線の一端側が入力端の一方側に接続された場合(
図10参照)
タップ切替第1スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置からの電圧については、上記(1)の場合と同様である。タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧は、第2複巻トランスFT2の一次巻線に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に第2複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧された値の電圧が、二次巻線側に出力される。第2複巻トランスFT2の二次巻線からの電圧が第1複巻トランスFT1の一次巻線に加えられ、この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧された値の第2の電圧が、二次巻線側に出力される。さらに、入力電圧に第1の電圧と第2の電圧が加えられて、出力電圧として出力端から出力される。
【0010】
以上のように、(2)の場合は、入力電圧に対してタップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た電圧が加えられ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た電圧が加えられて出力端から出力される。その結果、(2)の場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された出力が加えられると共に、第2
複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された出力が加えられることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0011】
(3)第2
複巻トランスFT2の一次巻線の一端側が入力端の一方側に、二次巻線の一端側が入力端の他方側に接続された場合(
図11参照)
タップ切替第1スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧が、第1複巻トランスFT1の一次巻線に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧された第1の電圧が二次巻線に出力される。一方、タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧については、上記
図9の場合と同様である。さらに、入力電圧から第1の電圧と第2の電圧が引かれて、出力電圧として出力端から出力される。このように、(3)においては、入力電圧に対してタップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た電圧が引かれ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た電圧が引かれて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された出力電圧が引かれると共に、第2
複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された出力電圧が引かれることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を供給することができる。
【0012】
(4)第2
複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の一端側がいずれも入力端の他方側に接続された場合(
図12参照)
タップ切替第1スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧は、
図11の場合と同様に処理され、また、タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧は、上記
図10の場合と同様に処理される。さらに、入力電圧から第1の電圧が引かれると共に第2の電圧が加えられて、出力電圧として出力端から出力される。このように、(4)においては、入力電圧に対してタップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た電圧が引かれ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た電圧が加えられて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された出力電圧が引かれると共に、第2
複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された出力電圧が加えられることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を供給することができる。
【0013】
以上のように、
第1の特徴においては、所定の入力電圧に対して、第1タップ切替スイッチの切り替えによって細かく調節されかつ第1複巻トランスで減圧された電圧と、第2タップ切替スイッチの切り替えによって細かく調節されかつ第2
複巻トランスと第1
複巻トランスによって二重に減圧された電圧を、入力電圧に対して加えたり引いたりすることにより、非常に広い範囲で細かく調節した出力電圧を出力させることができ、従来のインバータを用いたものに比べて電圧調整の範囲を広めることができる。また、
第1の特徴においては、トランスを用いていることにより、入力電圧に対する出力電圧の変換効率を、従来のインバータを用いた方式等に比べて大幅に高めることができる。
【0014】
また、
第1の特徴において、タップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチを電気的に切り替え可能なものとし、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチの切り替えの組み合わせと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。
【0015】
第2
複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の一端側が、入力端の一方側と他方側のいずれかに接続された上記(1)〜(4)のいずれかの場合において、出力電圧として目標電圧値が決められることにより、以下の制御が行われる。入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算により求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速に第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、この交流電圧調整装置は、入力電圧の変動に対する出力電圧の変動を最小限に抑える交流安定化電源として機能できる。
【0016】
また、
第1の特徴において、第2複巻トランスの二次巻線の一端側に、一端側と入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を切り替える
複巻トランス第1切替スイッチを設け、第2複巻トランスの一次巻線の一端側に、一端側と前記入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を切り替える
複巻トランス第2切替スイッチを設けることができる。これにより、
図9〜
図12に示すように、
複巻トランス第1切替スイッチSW22と
複巻トランス第2切替スイッチSW21を切り替えることにより、上記(1)〜(4)の4つの場合を簡単に切り替えることができる。その結果、
複巻トランス第1切替スイッチSW22と
複巻トランス第2切替スイッチSW21により第1
複巻トランスFT1と第2
複巻トランスFT2の一次巻線にそれぞれ入力される電圧の極性を切り替えつつ、その大きさをタップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチの切り替え位置で細かい電圧に調節しながら出力させることができる。
【0017】
複巻トランス第1切替スイッチSW22と
複巻トランス第2切替スイッチSW21を設けた場合、さらに、タップ切替第1スイッチ、タップ切替第2スイッチ、複巻トランス第1切替スイッチ及び複巻トランス第2切替スイッチを電気的に切り替え可能なものとし、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ切替第1スイッチ、タップ切替第2スイッチ、複巻トランス第1切替スイッチ及び複巻トランス第2切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替第1スイッチ、タップ切替第2スイッチ、複巻トランス第1切替スイッチ及び複巻トランス第2切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ切替第1スイッチ、タップ切替第2スイッチ、複巻トランス第1切替スイッチ及び複巻トランス第2切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。
【0018】
これにより、
図13に示すように、入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチと
複巻トランス第1切替スイッチ及び
複巻トランス第2切替スイッチの切り替えの組み合わせが演算される。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速にタップ切替第1スイッチ及びタップ切替第2スイッチと
複巻トランス第1切替スイッチ及び
複巻トランス第2切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、交流電圧調整装置を入力電圧の変動に対する出力電圧の変動を最小限に抑える交流安定化電源として有効に活用できる。
【0019】
本発明の
第2の特徴は、一対の入力端から入力される交流電源の電圧を変圧して一対の出力端から出力する交流電圧調整装置であって、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて一端にて入力端の一方と接続された二次巻線とを有し、一次巻線の他端にて入力端の一方側及び他方側とのいずれかに接続される複巻第1トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて一端にて複巻第1トランスの二次巻線の他端に接続されると共に他端にて出力端の一方側に接続された二次巻線とを有し、一次巻線の他端にて入力端の一方側及び他方側とのいずれかに接続される複巻第1トランスとは一次巻線と二次巻線の比率が異なる複巻第2トランスと、複巻第1トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と単巻トランスの複数のタップのいずれか1つとの接続を切り替え可能なタップ第1切替スイッチと、
複巻第2トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と単巻トランスの複数のタップのいずれか1つとの接続を切り替え可能なタップ第2切替スイッチとを備えたことにある。
【0020】
第2の特徴においては、交流電圧調整装置の動作は、以下の(1)〜(4)の4つの場合に分けられる。なお、この4つの場合については、便宜上スイッチで接続が切り替えられている
図14〜
図17を参照して説明する。
(1)
複巻第1トランスFT1と
複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端側がいずれも入力端の一方側に接続された場合(
図14参照)
タップ第1切替スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧を入力電圧から引いた電圧が、複巻第1トランスFT1の一次巻線に極性を合わせて加えられる。この電圧に複巻第1トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の第1の電圧が二次巻線に出力される。一方、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧を入力電圧から引いた値の電圧が、複巻第2トランスFT2の一次巻線に極性を合わせて加えられる。この電圧に複巻第2トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の第2の電圧が二次巻線側に出力される。ここで、複巻第2トランスは複巻第1トランスとは一次巻線と二次巻線の比率が異なるため、複巻第1トランスとは異なった比率の電圧が出力される。さらに、入力電圧に第1の電圧と第2の電圧が加えられて、出力電圧として出力端から出力される。
【0021】
以上のように、本発明の上記(1)においては、入力電圧に対してタップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た電圧が加えられ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た電圧が加えられて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で降圧された電圧が加えられると共に、
複巻第2トランスFT2で複巻第1トランスとは異なった比率で降圧された電圧が加えられることにより、入力電圧に対して非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0022】
(2)
複巻第1トランスFT1の一次巻線の他端側が入力端の一方側に接続され、
複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端側が入力端の他方側に接続された場合(
図15参照)
タップ第1切替スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧が
複巻第1トランスFT1に加えられる場合については、
図14と同様である。一方、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧は、複巻第2トランスFT2の一次巻線に極性が反転した状態で加えられる。この電圧に複巻第2トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の第2の電圧が二次巻線側に出力される。さらに、入力電圧に第1の電圧が加えられると共に第2の電圧が引かれて、出力電圧として出力端から出力される。そのため、(2)においては、入力電圧に対してタップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た電圧が加えられ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た電圧が引かれて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、
複巻第2トランスFT2で複巻第1トランス
FT1とは異なった比率で減圧された電圧が引かれることにより、入力電圧に対して非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0023】
(3)
複巻第1トランスFT1の一次巻線の他端側が入力端の他方側に接続され、
複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端側が入力端の一方側に接続された場合(
図16参照)
タップ第1切替スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧が、複巻第1トランスFT1の一次巻線に極性が反転した状態で加えられる。この電圧に複巻第1トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の第1の電圧が二次巻線に出力される。また、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧については、
図14と同様である。さらに、入力電圧に対して第1の電圧が引かれる共に第2の電圧が加えられて、出力電圧として出力端から出力される。そのため、(3)においては、入力電圧に対してタップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た電圧が引かれ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た電圧が加えられて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で減圧された電圧が引かれると共に、
複巻第2トランスFT2で複巻第1トランスとは異なった比率で減圧された電圧が加えられることにより、入力電圧に対して非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0024】
(4)
複巻第1トランスFT1と
複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端側がいずれも入力端の他方側に接続された場合(
図17参照)
タップ第1切替スイッチTSW1の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧については
図16と同様に処理され、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置での電圧については、
図15の場合と同様に処理される。さらに、入力電圧から第1の電圧と第2の電圧が引かれて、出力電圧として出力端から出力される。そのため、(4)においては、入力電圧に対してタップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た電圧が引かれ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た電圧が引かれて出力端から出力される。その結果、この場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で減圧された電圧が引かれると共に、
複巻第2トランスFT2で複巻第1トランスとは異なった比率で減圧された電圧が引かれることにより、入力電圧に対して非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。
【0025】
以上のように、
第2の特徴においては、所定の入力電圧に対して、タップ第1切替スイッチTSW1の切り替えによって細かく調節されかつ複巻第1トランスFT1で減圧された電圧と、タップ第2切替スイッチTSW2の切り替えによって細かく調節されかつ複巻第1トランスFT1とは巻線比の異なる
複巻第2トランスFT2で減圧された電圧を、入力電圧に対して加えたり引いたりすることにより、非常に広い範囲で細かく調節した出力電圧を出力させることができ、従来のインバータを用いたものに比べて電圧調整の範囲を広めることができる。また、
第2の特徴においては、電圧調整にトランスを用いていることにより、入力電圧に対する出力電圧の変換効率を、従来のインバータを用いた方式等に比べて大幅に高めることができる。
【0026】
また、
第2の特徴において、タップ第1切替スイッチ及びタップ第2切替スイッチを電気的に切り替え可能なものとし、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ第1切替スイッチ及びタップ第2切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ第1切替スイッチ及びタップ第2切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ第1切替スイッチ及びタップ第2切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。
【0027】
複巻第1トランスFT1と
複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端側が、入力端の一方側と他方側のいずれかに接続された上記(1)〜(4)のいずれかの場合において、出力電圧として目標電圧値が決められていると、以下の制御が行われる。入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御装置は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算により求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速にタップ第1及びタップ第2切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、交流電圧調整装置は、入力電圧の変動に対する出力電圧の変動を最小限に抑える交流安定化電源として有効に活用される。
【0028】
また、
第2の特徴において、複巻第1トランスの一次巻線の他端側に、他端側と入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を切り替える第1
複巻トランス切替スイッチを設け、複巻第2トランスの一次巻線の他端側に、他端側と入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を切り替える第2
複巻トランス切替スイッチを設けることができる。これにより、
図14〜
図17に示すように、複巻第1トランスの一次巻線の他端側と入力端の一方側及び他方側のいずれかとの接続を第1
複巻トランス切替スイッチにより簡単に切り替えることができ、複巻第2トランスの一次巻線の他端側と入力端と一方側及び他方側のいずれかとの接続を第2
複巻トランス切替スイッチにより簡単に切り替えることができる。その結果、第1
複巻トランス切替スイッチと第2
複巻トランス切替スイッチにより
複巻第1トランスと
複巻第2トランスの一次巻線にそれぞれ入力される電圧の極性を切り替えつつ、その大きさをタップ第1切替スイッチ及びタップ第2切替スイッチの切り替え位置で細かい電圧に調節しながら出力させることができる。
【0029】
第1及び第2
複巻トランス切替スイッチを設けた場合、さらに、タップ第1切替スイッチ、タップ第2切替スイッチ、第1複巻トランス切替スイッチ及び第2複巻トランス切替スイッチを電気的に切り替え可能なものとし、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ第1切替スイッチ、タップ第2切替スイッチ、第1複巻トランス切替スイッチ及び第2複巻トランス切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ第1切替スイッチ、タップ第2切替スイッチ、第1複巻トランス切替スイッチ及び第2複巻トランス切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ第1切替スイッチ、タップ第2切替スイッチ、第1複巻トランス切替スイッチ及び第2複巻トランス切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。
【0030】
これにより、
図18に示すように、入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ第1及びタップ第2切替スイッチと第1及び第2
複巻トランス切替スイッチの切り替えの組み合わせが演算される。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速にタップ第1及びタップ第2切替スイッチと第1及び第2
複巻トランス切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、この交流電圧調整装置は、入力電圧の変動に対する出力電圧の変動を最小限に抑える交流安定化電源として機能できる。