(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
受け部材、該受け部材との間で所定の空間を画定するキャン、前記空間内に配置された弁軸、該弁軸を回転するロータ、及び該ロータの回転を弁座に対する前記弁軸の進退動に変換する駆動機構を備えた内機部品と、
前記キャンに外嵌されたステータと、
前記受け部材を収容する内挿穴、及び該内挿穴に連通する流入口及び流出口を備えた弁本体とを具備し、
前記弁座は、前記受け部材に設けられ、
前記ステータは、前記内機部品を前記弁本体に押圧して固定するために、前記弁本体にねじ止めされたことを特徴とする電動弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した如くの従来の電動弁においては、要求される気密性を確保するため、キャンの下端部が受け部材に溶接され、その受け部材が弁本体に圧入、かしめ、溶接、ろう付け等で固定されている。そのため、内機部品(キャン、受け部材、キャンの内部に配在されている機構部品等)を弁本体から切り離すことは難しく、故障しても内機部品を交換することは不可能であった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、要求される気密性を確保しながら、内機部品の交換を可能とした電動弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る電動弁は、基本的には、受け部材、該受け部材との間で所定の空間を画定するキャン、前記空間内に配置された弁軸、該弁軸を回転するロータ、及び該ロータの回転を弁座に対する前記弁軸の進退動に変換する駆動機構を備えた内機部品と、前記キャンに外嵌されたステータと、前記受け部材を収容する内挿穴、及び内挿穴に連通する流入口及び流出口を備えた弁本体とを具備し、
前記弁座は、前記受け部材に設けられ、前記ステータは、前記内機部品を前記弁本体に押圧して固定するために、前記弁本体にねじ止めされたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電動弁の他の態様では、受け部材、該受け部材との間で所定の空間を画定するキャン、前記空間内に配置された弁軸、該弁軸を回転するロータ、及び該ロータの回転を弁座に対する前記弁軸の進退動に変換する駆動機構を含む内機部品と、前記キャンに外嵌されたステータと、前記受け部材を収容する内挿穴、及び該内挿穴に連通する流入口及び流出口を備えた弁本体とを具備し、前記弁座は、前記弁本体に嵌挿された弁座部材に設けられ、前記ステータは、前記内機部品を前記弁本体に押圧して固定するために、前記弁本体にねじ止めされたことを特徴としている。
また
、本発明に係る電動弁のさらに他の態様では、受け部材、該受け部材との間で所定の空間を画定するキャン、前記空間内に配置された弁軸、該弁軸を回転するロータ、及び該ロータの回転を弁座に対する前記弁軸の進退動に変換する駆動機構を備えた内機部品と、前記キャンに外嵌されたステータと、前記受け部材を収容する内挿穴、及び該内挿穴に連通する流入口及び流出口を備えた弁本体とを具備し、前記弁座は、前記弁本体に設けられ、前記ステータは、前記内機部品を前記弁本体に押圧して固定するために、前記弁本体にねじ止めされたことを特徴としている。
【0008】
他の好ましい態様では、前記ステータは、前記ねじ止めにより、前記キャンの頂部を前記弁本体の方向に押圧する。
【0009】
他の好ましい態様では、前記キャンは、前記受け部材に固着される。
他の好ましい態様では、前記キャンは、前記受け部材に溶接される。
【0010】
また、上述の弁座が受け部材に設けられた電動弁の構成において、前記ステータは、前記ねじ止めにより、前記キャンの頂部を前記弁本体の方向に押圧し、前記受け部材は、前記キャンに溶接される部分と、前記弁座が形成された部分とが別部品で構成されることを特徴とする。
【0011】
また、上記の基本的な電動弁の構成において、前記キャンは、その下端に前記受け部材に当接する鍔状底部を備え、前記ステータは、その下部に前記鍔状底部と当接とする凸部を備え、前記ステータの前記ねじ止めにより、前記凸部が前記鍔状底部を押圧することを特徴とする。
【0012】
また、前記キャンは、モールド成型時のインサート物として
前記ステータに一体化されることができる。
【0013】
上記の各電動弁において、前記内機部品と前記弁本体との間にシール材が配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電動弁では、ステータを弁本体にねじ止め固定して、内機部品をステータと弁本体とで押圧挟持するようにされるので、前記ねじ止めの部分を弛めれば、弁本体からステータが分離され、これと同時に、内機部品は弁本体とステータによる押圧挟持状態が解かれて弁本体から抜き出し可能となる。また、内機部品と弁本体との間にОリング等のシール部材を配置することにより、要求される気密性を確保することができる。
【0015】
したがって本発明によれば、要求される気密性を確保しながら、内機部品の交換が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る電動弁の第1実施例を示す平面図、
図2は、第1実施例の電動弁の正面図、
図3は、
図1のX−X矢視拡大断面図である。
【0018】
図示第1実施例の電動弁1は、基本的には、受け部材16との間で所定の空間を画定するための、天井部40aを有する下方開口の円筒状のキャン40と、このキャン40の内周に所定の間隙αをあけて配在されたロータ30と、キャン40に外嵌されたステータ50と、弁体24がその下端部に設けられた弁軸25と、キャン40の下端部を受ける受け部材16と、弁座(弁口)23を有する弁座部材17と、流入口11、流出口12、及び弁室14が設けられた直方体状の弁本体10と、ロータ30と弁軸25との間に配在され、ロータ30の回転を利用して弁体24を前記弁座23に接離させる駆動機構としてのねじ送り機構18とを備え、弁座23に対する弁体24のリフト量を制御することにより冷媒等の流体の通過流量を調整するようになっている。
【0019】
そして、本実施例の電動弁1は、前記キャン40、ロータ30、弁軸25、受け部材16、弁座部材17、及びねじ送り機構18等からなる内機部品15がステータ50と弁本体10とで押圧挟持されるように、ステータ50が弁本体10に4本のボルト60で締め付け固定されていることを特徴としている。
【0020】
以下、各部を詳細に説明する。
前記ステータ50は、ヨーク51、ボビン52、コイル53,53、カバー58、及びそれらを囲包むモールドカバー56等からなり、このステータ50とロータ30とでステッピングモータが構成される。
【0021】
前記モールドカバー56は、断面外形が凸字状を呈し、キャン40の天井部40aを含む上部に外嵌される円筒状の天井部56aと、ヨーク51、ボビン52、コイル53,53等のステータ主要部を囲包む円筒状胴部56bと、該円筒状胴部56bの下端部から径方向(前後方向)に延出された比較的に肉厚の延出底部56cとを有している。前記天井部56aは、キャン40の天井部40aに当接してこれを下方に押圧するようにされ、また、延出底部56bは、平面視外形(縦横寸法)が弁本体10の上面部10aと略同じ(寸法の)矩形状とされていて、その四隅付近に、ボルト60を通す通し穴61が形成されている。
【0022】
前記通し穴61を介して4本のボルト60がそれぞれ弁本体10の上部四隅付近に形成された雌ねじ部62にねじ込まれて、延出底部56cが弁本体10の上面部10aに締め付け固定されており、これによって、本実施例の電動弁1が組み立てられている。
【0023】
前記受け部材16は、鍔状部16aと胴部16bとからなる段付き円筒状とされ、その鍔状部16aの上部外周端縁に形成された段丘部(段差部分)にキャン40の下端部が溶接されている(溶接部42)。また、受け部材16の上部に形成された嵌合凹部43にはガイドブッシュ26の大径下部26aが圧入固定され、受け部材16の下部に形成され嵌合凹部44には、鍔状部17aと胴部17bからなる円筒状の弁座部材17の鍔状部17aが圧入等により固定されており、受け部材16と弁座部材17とは不離一体化されている。ここでは、受け部材16はキャン40との溶接性の高い材料で作製され、溶接は行なわれない弁座部材17は、切削性の良い材料で作製されているが、もちろん、受け部材16及び弁座部材17は同一の材料により形成されても良く、さらにはそれらは一体成型されても良い。弁座部材17には、弁座23の上流側に弁室14に開口する横孔17cが形成され、弁座23の下流側に縦孔17dが形成されている。
【0024】
前記弁本体10は、例えばアルミダイカスト製とされ、その上部中央に、前記内機部品15の下部(キャン40の下部、受け部材16、弁座部材17)が挿入係止される段付きの内挿穴13が設けられている。この内挿穴13は、ロータ30の回転軸線Oを中心線として、上から順に、弁本体10の上面部10aに開口する上部大径穴13a、該上部大径穴13aより小径の第1中間穴13b、該第1中間穴13bより小径の第2中間穴13c、及び該第2中間穴13cより小径の下部小径穴13
dからなっている。
【0025】
内挿穴13における第1中間穴13bと受け部材16との間には、受け部材16の鍔状部16aにより上下方向に圧縮されるようにOリング45が介装されている。Oリング45は、その外表面が受け部材16の胴部16bの外周面及び鍔状部16aの下面と第1中間穴13bの内周面及び底面(段丘面)の計4面に強く圧接せしめられており、これによって、内機部品15と弁本体10との間が封止されている。
【0026】
内挿穴13における第2中間穴13cには、受け部材16の胴部16bが嵌挿され、第2中間穴13cにおける受け部材16の下面より下方の空間が弁室14となっている。
【0027】
内挿穴13における下部小径穴13dには、弁座部材17の胴部17bが嵌挿されており、この下部小径穴13dと弁座部材17の胴部17bとの間にはOリング46が介装されている。
【0028】
前記弁本体10の側面(正面)には、前記弁室14に連なる流入口11が開口せしめられ(
図2参照)、その底面には、前記下部小径穴13dに連なる流出口12が開口せしめられている。
【0029】
前記ロータ30と弁軸25との間には、ロータ30の回転を利用して弁体24を弁座23に接離させるねじ送り機構18が設けられている。このねじ送り機構18は、筒状のガイドブッシュ26の外周に形成された固定ねじ部(雄ねじ部)28と、下方開口の筒状の弁軸ホルダ32の内周に形成されて前記固定ねじ部28に螺合せしめられた移動ねじ部(雌ねじ部)38とで構成されている。
【0030】
前記筒状のガイドブッシュ26は、受け部材16にその下端部26aが圧入固定され、その内周には弁軸25(の下部大径部25a)が摺動自在に内挿されている。
【0031】
前記弁軸ホルダ32は、弁軸25及びガイドブッシュ26の外周に配在され、この弁軸ホルダ32とロータ30とは支持リング36を介して結合されるとともに、支持リング36に弁軸ホルダ32の上部突部がかしめ固定され、これにより、ロータ30、支持リング36及び弁軸ホルダ32が一体的に連結されている。
【0032】
前記ガイドブッシュ26には、ストッパ機構の一方を構成する下ストッパ体(固定ストッパ)27が固着され、弁軸ホルダ32にはストッパ機構の他方を構成する上ストッパ体(移動ストッパ)37が固着されている。
【0033】
また、前記ガイドブッシュ26の上部小径部26bが弁軸ホルダ32の上部に内挿されるとともに、弁軸ホルダ32の天井部32a中央に形成された挿通穴に、弁軸25の上部小径部25bが挿通せしめられている。弁軸25の上部小径部25bの上端部には、前記ロータ30及び弁軸ホルダ32の回転上昇に伴って弁軸25を上昇させるためのプッシュナット33が固着(圧入固定)されている。
【0034】
さらに、前記弁軸25は、該弁軸25の上部小径部25bに外挿され、かつ、弁軸ホルダ32の天井部32aと弁軸25における下部大径部25aの上端段丘面との間に縮装された弁締め切り兼緩衝用の圧縮コイルばね34によって、常時下方(閉弁方向)に付勢されている。なお、圧縮コイルばね34は、その上端部がワッシャ等のばね受け部材を介して弁軸ホルダ32の天井部32a下面に係止されている。また、弁軸ホルダ32の天井部32a上には、コイルばねからなる復帰ばね35が配在されている。
【0035】
このような構成とされた電動弁1にあっては、ステータコイル53,53を第1の態様で通電励磁(パルス供給)することにより、受け部材16に固定されたガイドブッシュ26に対し、ロータ30及び弁軸ホルダ32が一方向に回転せしめられ、ねじ送り機構18のねじ送りにより、例えば弁軸ホルダ32が下方に移動して弁体24が弁座23に着座する。
【0036】
この時点では、上ストッパ体37は未だ下ストッパ体27に当接しておらず、弁体24が弁座23に着座したままロータ30及び弁軸ホルダ32はさらに回転下降する。このときは、弁軸25に対して弁軸ホルダ32が下降するため、圧縮コイルばね34が圧縮されることにより弁軸ホルダ32の下降力は吸収される。その後、ロータ30がさらに回転して弁軸ホルダ32が下降すると、上ストッパ体37が下ストッパ体27に衝接し、ステータコイル53,53に対するパルス供給が続行されても弁軸ホルダ32の下降は強制的に停止され、全閉状態(最下降位置)となる。
【0037】
一方、この全閉状態からステータコイル53,53を第2の態様で通電励磁(パルス供給)すると、ガイドブッシュ26に対し、ロータ30及び弁軸ホルダ32が前記と逆方向に回転せしめられ、ねじ送り機構18のねじ送りにより、今度は弁軸ホルダ32が上方に移動する。この場合、弁軸ホルダ32の天井部32a上面と前記プッシュナット33の下端との間に小間隙が形成されているため、前記ロータ30及び弁軸ホルダ32が前記最下降位置から所定量回転せしめられると、前記天井部32a上面がプッシュナット33の下端に接当して、前記弁軸25を押し上げ、これに伴い、弁体24が弁座23から離れて弁口が開き、冷媒が弁口を通過する。
【0038】
したがって、電動弁1にあっては、ロータ30の回転量により弁座(弁口)23の実効開口面積、すなわち冷媒の通過流量を調整することができ、ロータ30の回転量は供給パルス数により制御されるため、冷媒通過流量を高精度に調整することができる。
【0039】
上記構成とされた本実施例の電動弁1を組み立てるにあたっては、例えば、まず、受け部材16に、弁座部材17及びガイドブッシュ26を圧入固定し、これに、上記した如くの態様で、弁軸25、圧縮コイルばね34、弁軸ホルダ32、ロータ30、ストッパ体27、37等を組み付け、しかる後、キャン40の下端部を受け部材16に溶接して、内機部品15を得る。なお、下ストッパ体27は、ガイドブッシュ26を受け部材16に圧入する前に、該ガイドブッシュ26に対して一体成型しておくことも可能である。
【0040】
次に、内機部品15の下端部(弁座部材17の胴部17b)にOリング46を装着するとともに、弁本体10の第1中間穴13bにOリング45を装着し、この状態で、内機部品15を内挿穴13に上から落とし込むように挿入する。これにより、受け部材16の鍔状部16aがOリング45に乗せられる。
【0041】
続いて、ステータ50を内機部品15(のキャン40)に上から落とし込むように外嵌する。これにより、ステータ50のモールドカバー56の天井部56aがキャン40の天井部40aに乗せられる。この時点では、Oリング45に内機部品15及びステータ50が乗っているだけで、Oリング45は十分には圧縮されていない。
【0042】
次に、4本のボルト60をそれぞれモールドカバー56の延出底部56cに形成された通し穴61を介して弁本体10の上部四隅付近に形成された雌ねじ部62にねじ込んで、延出底部56aを弁本体10の上面10aに締め付け固定する。これにより、ステータ50(のモールドカバー56の天井部56a)により内機部品15(のキャン40の天井部(頂部)40a)が下方に押圧されて、受け部材16の鍔状部16aが上部大径穴13aの下端水平部分に載置・押圧されると共に、受け部材16の鍔状部16aによりOリング45が上下方向に圧縮され、内機部品15がステータ50と弁本体10とで押圧挟持されるとともに、ステータ50が弁本体10に組み付けられる。
【0043】
この場合、Oリング45は、上下方向に圧縮されることにより、幅(厚み)方向に膨らもうとするので、その外表面が受け部材16の胴部16bの外周面及び鍔状部16aの下面と第1中間穴13bの内周面及び底面(段丘面)の計4面に強く圧接せしめられる。これにより、内機部品15と弁本体10との間が確実に封止される。
【0044】
このように、本実施例の電動弁1では、ステータ50を弁本体10にボルト60で締め付け固定すると、内機部品15がステータ50と弁本体10とで押圧挟持される。またその際、内機部品15(受け部材16)と弁本体10との間に介装されたOリング45が圧縮されてそれらの間を封止するので、要求される気密性を確保することができ、さらには、弁座部材17と弁本体10の下部小径穴13dの間に介装されたОリング46により、それぞれの間の気密性が確保される。
【0045】
一方、前記ボルト60を弛めれば、弁本体10からステータ50が分離され、これと同時に、内機部品15はそれらによる押圧挟持状態が解かれて弁本体10から抜き出し可能となる。
【0046】
したがって、本実施例の電動弁1では、要求される気密性を確保しながら、内機部品15の交換が可能となる。
【0047】
なお、
図1〜
図3においては、ステータ50の天井部56a(キャン40との対向面)は、ほぼ平面状となっているが、キャン40の天井部40aが同図に示されるようになだらかな曲面を備えている場合には、該曲面と同様又は類似の曲面に形成されても良いことは当然である。
図4は、本発明に係る電動弁の第2実施例を示す平面図、
図5は、第2実施例の電動弁の正面図、
図6は、
図4のY−Y矢視拡大断面図である。
【0048】
図4〜
図6に示される第2実施例の電動弁2は、
図1〜
図3に示される第1実施例の電動弁1と基本構成及び動作は同じであるので、第2実施例の電動弁2については、第1実施例の電動弁1の各部に対応する部分に同一の符号を付してそれらの重複説明を省略し、以下においては、第1実施例の電動弁1との相違点を重点的に説明する。
【0049】
第2実施例の電動弁2においても、4本のボルト60をそれぞれモールドカバー56の延出底部56cに形成された通し穴61を介して弁本体10の上部四隅付近に形成された雌ねじ部62にねじ込んで、ステータ50を弁本体10に締め付け固定することにより、内機部品15をステータ50と弁本体10とで押圧挟持する点は同じである。
【0050】
本実施例の電動弁2では、キャン40の下端部が受け部材16に溶接されておらず、キャン40の下端部に鍔状底部40bが設けられている。また、ステータ50のモールドカバー56には、キャン40の天井部40aを押圧するための天井部56aが設けられておらず、モールドカバー56の底面部中央に、前記キャン40の鍔状底部40bを押圧する断面矩形の円環状凸部56dが下向きに突設されている。
【0051】
さらに、キャン40の下端部が受け部材16に溶接されないことから、第1実施例では別材料で作製されて一体化されていた受け部材16と弁座部材17とが同じ材料(切削性のよいもの)で一体に作製されて弁座部17’付き受け部材16’となっている。この受け部材16’の鍔状部16aの外周端縁近くには、円環状凸部16cが上向き突設され、鍔状部16aの外周端縁部16dには、キャン40における前記鍔状底部40bの一部を含む下端角部が前記円環状凸部16cの外周面に接するように乗せられており、受け部材16’の鍔状部16aは、前記ステータ50のモールドカバー56の円環状凸部56dによりキャン40の鍔状底部40bを介して下方に押圧されている。
【0052】
また、弁本体10に設けられた内挿穴13’は、上から順に、前記キャン40の鍔状底部40bが嵌挿される、第1実施例のものより大径の上部大径穴13a、前記受け部材16’の鍔状部16aが嵌挿係止される第1中間穴13b、該第1中間穴13bより小径の第2中間穴13c、及び該第2中間穴13cより小径の下部小径穴13dからなっており、第2中間穴13cと下部小径穴13dとは第1実施例のものと同径である。
【0053】
内挿穴13’における上部大径穴13aの底面とキャン40の鍔状底部40bとの間には、前記鍔状底部40bにより上下方向に圧縮されるようにOリング47が介装されている。Oリング47は、その外表面がキャン40の鍔状底部40b、上部大径穴13aの内周面と底面、受け部材16’の鍔状部16aの外周面の計4面に強く圧接せしめられており、これによって、内機部品15と弁本体10との間が封止されている。
【0054】
内挿穴13’における第2中間穴13cには、受け部材16’の鍔状部16aより下側の胴部16bが嵌挿され、下部小径穴13dには、受け部材16’と一体に作製された弁座部17’の胴部17bが嵌挿されている。
【0055】
上記構成とされた本実施例の電動弁2を組み立てるにあたっては、例えば、まず、弁座部17’付き受け部材16’に、ガイドブッシュ26を圧入固定し、これに、上記した如くの態様で、弁軸25、圧縮コイルばね34、弁軸ホルダ32、ロータ30、ストッパ体27、37等を組み付け、キャン40を除いた内機部品15’を得る。
【0056】
次に、キャン40を除いた内機部品15’の下端部(弁座部17’の胴部17b)にOリング46を装着した状態で、内機部品15’を内挿穴13に上から落とし込むように挿入する。これにより、受け部材16’の鍔状部16aが第1中間穴13bに嵌挿されてその底面(段丘面)に係止される。
【0057】
続いて、内挿穴13’における上部大径穴13aの内周面と底面と受け部材16’の鍔状部16aの外周面との間に形成される円環状空間にOリング47を装着する。
【0058】
しかる後、キャン40を内機部品15’の上から落とし込むようにして内挿穴13’の上部大径穴13aに挿入する。これにより、キャン40の鍔状底部40bがOリング47に乗せられる。
【0059】
続いて、ステータ50を内機部品15(のキャン40)に上から落とし込むように外嵌する。これにより、ステータ50のモールドカバー56の円環状凸部56dがキャン40の鍔状底部40bに乗せられる。この時点では、Oリング47にキャン40及びステータ50が乗っているだけで、Oリング45は十分には圧縮されていない。
【0060】
次に、4本のボルト60をそれぞれモールドカバー56の延出底部56cに形成された通し穴61を介して弁本体10の上部四隅付近に形成された雌ねじ部62にねじ込んで、延出底部56aを弁本体10の上面10aに締め付け固定する。これにより、ステータ50のモールドカバー56の円環状凸部56dによりキャン40の鍔状底部40bが下方に押圧されて、Oリング47が上下方向に圧縮されるとともに、受け部材16’の鍔状部16aが前記円環状凸部56dによりキャン40の鍔状底部40bを介して第1中間穴13bの底面(段丘面)に押し付けられ、内機部品15がステータ50と弁本体10とで押圧挟持されるとともに、ステータ50が弁本体10に組み付けられる。
【0061】
この場合、Oリング47は、上下方向に圧縮されることにより、幅(厚み)方向に膨らもうとするので、その外表面がキャン40の鍔状底部40b、上部大径穴13aの内周面と底面、受け部材16’の鍔状部16aの外周面の計4面に強く圧接せしめられる。これにより、内機部品15と弁本体10との間が確実に封止される。
【0062】
このように、本実施例の電動弁2でも、第1実施例と同様にステータ50を弁本体10にボルト60で締め付け固定すると、キャン40を含む内機部品15がステータ50と弁本体10とで押圧挟持されるとともに、内機部品15(キャン40の鍔状底部40b及び受け部材16’の鍔状部16a)と弁本体10との間に介装されたOリング47が圧縮されてそれらの間を封止するので、要求される気密性を確保することができる。また第1実施例と同様に、弁座部17’と弁本体10の下部小径穴13dとの間に介装されたОリング46により、それぞれの間の気密性が確保される。
【0063】
一方、前記ボルト60を弛めれば、弁本体10からステータ50が分離され、これと同時に、内機部品15はそれらによる押圧挟持状態が解かれて弁本体10から抜き出し可能となる。
【0064】
したがって、本実施例の電動弁2においても、要求される気密性を確保しながら、内機部品15の交換が可能となり、加えて、本実施例の電動弁2では、キャン40が受け部材16’に溶接されていないので、キャン40とキャン40を除く内機部品15’を別々に(順次)抜き出すことができ、これにより、保守点検の便宜が図られるとともに、内機部品15を構成する部品のうちの一部だけを交換することも可能となる。
【0065】
なお、上記第2実施例の電動弁2においては、ステータ50のモールド成型時(モールドカバー56作製時)に鍔状底部40b付きのキャン40をインサート物としてステータ50に一体化するようにしてもよい。
【0066】
また、前記キャン40の下端部を第1実施例と同様に受け部材16’に溶接するようにしてもよい。
【0067】
さて、第1及び第2の実施例に関する説明においては、ステータ50に設けられた通し穴61にボルト60を挿通し、これを弁本体10に形成された雌ねじ部62に螺合させることにより、ステータ50を弁本体10に固定するものとしたが、本発明はこれのみに限定されることはなく、弁本体10に予めスタッドボルトを植立しておき、該スタッドボルトをステータ50の通し穴61に挿通し、その後、該スタッドボルトにナットを螺合させることにより、ステータ50を弁本体10に固定するようにしても良い。
【0068】
あるいはまた、弁本体10の雌ねじ部62が設けられた部分を、該弁本体10から張り出すように構成すると共に、該雌ねじ部62をボルトが挿通可能な孔とし、該孔及び通し穴61にボルトを通してこれにナットを螺合させることにより、ステータ50を弁本体10に固定しても良い。
【0069】
さらに、符号11は流体の流入口、符号12は流体の流出口であるものとしたが、符号12を流入口、符号11を流出口としても良いことは当然である。
【0070】
さらにまた、内機部品と弁本体との間には、Оリング(第1実施例においてはОリング45、46、第2実施例においてはОリング47、46)が配置されるものとしたが、弾性を有するシール部材であれば、Оリング以外のシール材を配置しても良い。
【0071】
さらにまた、第1の実施例においては、キャン40は、受け部材16に対して溶接されるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されることはなく、例えば第2の実施例に関して説明したように、キャンの下端に鍔状底部を形成し、該鍔状底部にて受け部材、16を押圧するようにして、キャンと受け部材との固着(溶接)を省略しても良いことは当然である。
【0072】
さらにまた、第1実施例においては、受け部材16に弁座23を備えた弁座部材17が固定され、また第2実施例においては、受け部材16’には弁座23が一体的に設けられるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されることはなく、弁座は弁本体10側に設けられても良い。すなわち弁座は弁本体10に直接形成されても良く、あるいは弁本体10とは別体で形成され、この別体構成品が弁本体10にかしめ、溶接等により固着されても良い。