特許第5693905号(P5693905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エム・エー・ティの特許一覧

<>
  • 特許5693905-表面加工装置 図000002
  • 特許5693905-表面加工装置 図000003
  • 特許5693905-表面加工装置 図000004
  • 特許5693905-表面加工装置 図000005
  • 特許5693905-表面加工装置 図000006
  • 特許5693905-表面加工装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693905
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】表面加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20150312BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20150312BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20150312BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20150312BHJP
   B24B 7/22 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01L21/304 621B
   B24B41/06 A
   H01L21/304 622L
   H01L21/304 622Q
   B24B37/04 G
   B24B7/00 A
   B24B7/22 A
   H01L21/304 622R
   H01L21/304 622H
   H01L21/304 631
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-226650(P2010-226650)
(22)【出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2012-80042(P2012-80042A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】500204131
【氏名又は名称】株式会社エム・エー・ティ
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中原 司
(72)【発明者】
【氏名】田中 真紀雄
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−260314(JP,A)
【文献】 国際公開第00/023230(WO,A1)
【文献】 特開昭60−076959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 7/00
B24B 7/22
B24B 41/00−51/00
B24B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスファチャックに保持されたワークを、研削タクト時間の枚葉処理により研削する研削処理手段と、
前記トランスファチャックに保持されたワークを、研磨タクト時間のバッチ処理により研磨する研磨処理手段と、
前記研削処理手段において加工されたワークを、前記トランスファチャックに保持された状態で前記研磨処理手段に搬送する搬送手段と
を備え
前記研磨処理手段におけるバッチ処理は、前記研削タクト時間と前記研磨タクト時間との割合に対応する一括処理枚数で行なうことを特徴とする表面加工装置。
【請求項2】
前記ワーク毎にトランスファチャックに吸着させるロード手段と、
前記ワーク毎にトランスファチャックから取り外すアンロード手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面加工装置。
【請求項3】
前記トランスファチャックのワーク載置面を洗浄するためのチャック洗浄手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面加工装置。
【請求項4】
ワーク識別子と処理履歴を記憶するワーク情報記憶手段を更に備え、
前記研削処理手段及び研磨処理手段に接続された制御部が、
前記研削処理手段及び研磨処理手段から、加工対象のワークのワーク識別子及び処理状況を取得し、
前記ワーク識別子に関連付けて処理状況を前記ワーク情報記憶手段に記録することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の表面加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象のワークを研削、研磨するための表面加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等を製造したり、半導体ウェハ(ワーク)を所定の厚さに削ったりする場合には、研磨装置が用いられる。この装置においては、ダイヤモンド砥石による粗研削、仕上げ研削、鏡面研磨等が行なわれる。最近では、拡径化する半導体ウェハにおいて極薄化が望まれる。この場合、加工前後の着脱時や研削研磨の表面処理中にワークを破損してしまうこともある。更に、研削研磨処理中には、ウェハに大きな力が印加されるため、反りが生じることもある。このため、加工後の平坦精度にバラツキが発生する場合もある。
【0003】
そこで、研削研磨処理時には、ワークを保護粘着テープ等が利用して加工ヘッドに固定して処理を行なう場合もある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載された技術においては、ワークを温水溶解性粘着剤を用いて加工ヘッドに接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−207792号公報(第1頁、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献に記載されている技術においては、各処理において個別に加工ヘッドにワークが載置されていた。このため、加工ヘッドへの取り付けや取り外しに時間がかかり、スループットを向上させることが困難であった。又、研削や研磨のように、複数の加工処理を行なう場合、搬送時にワークが破損する可能性もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、加工対象のワークを効率的に研削、研磨するための表面加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、トランスファチャックに保持されたワークを、研削タクト時間の枚葉処理により研削する研削処理手段と、前記トランスファチャックに保持されたワークを、研磨タクト時間のバッチ処理により研磨する研磨処理手段と、前記研削処理手段において加工されたワークを、前記トランスファチャックに保持された状態で前記研磨処理手段に搬送する搬送手段とを備え、前記研磨処理手段におけるバッチ処理は、前記研削タクト時間と前記研磨タクト時間との割合に対応する一括処理枚数で行なうことを要旨とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の表面加工装置において、前記ワーク毎にトランスファチャックに吸着させるロード手段と、前記ワーク毎にトランスファチャックから取り外すアンロード手段とを更に備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表面加工装置において、前記トランスファチャックのワーク載置面を洗浄するためのチャック洗浄手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の表面加工装置において、ワーク識別子と処理履歴を記憶するワーク情報記憶手段を更に備え、前記研削処理手段及び研磨処理手段に接続された制御部が、前記研削処理手段及び研磨処理手段から、加工対象のワークのワーク識別子及び処理状況を取得し、前記ワーク識別子に関連付けて処理状況を前記ワーク情報記憶手段に記録することを特徴とすることを要旨とする。
【0012】
(作用)
発明によれば、ワークはトランスファチャックに保持された状態で、研削や研磨、搬送が行なわれる。研削加工によりワークの薄片化を行なった場合、ワークに研削ストレスがかかる。ここで、固定されたワークを開放すると、ワークが破損する場合がある。この
ため、トランスファチャックに固定された状態で研磨を行なうことにより、研削ストレスをリリースし、ワークの破損を防止することができる。
【0013】
発明によれば、ワークはトランスファチャックに保持されているので、処理方式が異なる枚葉処理とバッチ処理とを連続して併用することができる。そして、先行の枚葉処理のタクト時間を考慮して後続のバッチ処理を行なうことにより、連続してバッチ処理を行なうことができるので、スループットを向上させることができる。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、連続した工程において、トランスファチャックを再利用することができる。
請求項に記載の発明によれば、トランスファチャックにおけるワークの載置面を清浄にすることにより、異物や汚れ等による加工精度の劣化を抑制することができる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、各ワークの処理履歴を蓄積することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加工対象のワークを効率的に研削、研磨するための表面加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の表面加工装置の説明図であって、(a)トランスファチャックの断面図、(b)の表面加工装置の平面図。
図2】本発明の表面加工装置の制御部の機能ブロックの説明図。
図3】本発明の表面加工装置の処理手順の説明図。
図4】本発明の表面加工装置の使用方法の説明図であって、(a)はワークのトランスファチャックへの載置、(b)はトランスファチャックの研削ユニットへの搬送、(c)は研削ユニットにおける搬送、(d)は研削ユニットにおける研削処理の説明図。
図5】本発明の表面加工装置の使用方法の説明図であって、(a)は研削ユニットから研磨ユニットへの搬送、(b)はトランスファチャックの研磨テーブルへの載置、(c)は研削ユニットから研磨ユニットへの搬送、(d)はトランスファチャックの研磨テーブルへの載置の説明図。
図6】本発明の表面加工装置の使用方法の説明図であって、(a)は研磨ユニットからロードユニットへの搬送、(b)はトランスファチャック及びワークの洗浄、(c)はワークのカセットへの収納の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図6を用いて、本発明の表面加工装置について説明する。本実施形態においては、図1に示すように、半導体ウェハの研削研磨処理を行なう表面加工装置20について説明する。
【0019】
この表面加工装置20では、加工対象の半導体ウェハであるワークWの研削処理及び研磨処理を行なう。このワークWは、図1(a)に示すように、トランスファチャック10に載置される。各トランスファチャック10には、それぞれ識別コードが付与されている。そして、トランスファチャック10は、吸着部101、バッファ部102、吸引弁103、開放弁104を備えている。吸着部101は、ワークWをバキュームチャックするために多孔質体により構成されている。バッファ部102は吸着部101に接続されている圧力バッファである。このバッファ部102には、吸引弁103、開放弁104が接続されている。ワークWは、トランスファチャック10の吸着部101に載置され、吸引弁103からバッファ部102をバキュームする。バッファ部102を減圧状態にして、トランスファチャック10の上面においてワークWを、バキュームチャックにより固定する。なお、ワークWを取り外す場合には、開放弁104により、バッファ部102を大気圧に戻す。
そして、このトランスファチャック10の吸着部101の反対面には、表面加工装置20のハンドリングアーム等に取り付けるロック機構部を備える。
【0020】
図1(b)は、この表面加工装置20の上面図である。この表面加工装置20は、ロードユニット30、研削処理手段としての研削ユニット40、研磨処理手段としての研磨ユニット50、搬送手段としてのチャック搬送ユニット60から構成されている。そして、上述のように、トランスファチャック10において、ワークWのバキュームチャックを行なうために、ロードユニット30、研削ユニット40、研磨ユニット50の各ユニットには、バキュームポンプ(図示せず)が備えられており、各工程におけるワークWの吸着に利用される。なお、トランスファチャック10の移動時には、吸引弁103、開放弁104を閉じて、バキュームチャックによりワークWを吸着部101に固定する。
【0021】
(ロードユニットの構成)
ロードユニット30には、カセット(C1、C2)がセットされる。このカセット(C1、C2)には、ワークWが装填される。そして、このロードユニット30は、ハンドリングロボット31、チャック洗浄器32(チャック洗浄手段)、スピン洗浄器33を備えている。カセットC1には、加工対象のワークWが装填される(INカセット)。一方、カセットC2には、加工処理を終了したワークWが装填される(OUTカセット)。
【0022】
ハンドリングロボット31はワークのロード手段及びアンロード手段として機能する。このハンドリングロボット31は、ロードユニット30に取り付けられた固定部を中心軸として、水平面において回動可能になっている。そして、ハンドリングロボット31は、カセットC1からワークWを取り出し、チャック脱着エリアにおいてトランスファチャック10に取り付けるロード処理を行なう。更に、ハンドリングロボット31は、チャック脱着エリアにおいて、加工処理を終了したワークWをトランスファチャック10から取り外すアンロード処理を行なう。そして、ワークWをスピン洗浄器33において洗浄し、カセットC2に戻す。本実施形態では、このチャック脱着エリアは、チャック洗浄器32とスピン洗浄器33との間に設ける。
【0023】
チャック洗浄器32は、加工処理に用いたトランスファチャック10のワーク載置面を洗浄して乾燥させる。ここで、ワーク載置面の平坦度を上げるための加工を行なうようにしてもよい。一方、スピン洗浄器33は、加工処理を終了したワークWのスピン洗浄を行なう。
【0024】
(研削ユニットの構成)
研削ユニット40は、トランスファチャック10に保持されたワークWの研削処理を実行する。この研削ユニット40は、テーブル41、グラインダ(42、43、44)を備えている。この研削処理は、ワークW毎の枚葉処理により行なわれる。
【0025】
テーブル41は、ワークWが保持されたトランスファチャック10を載置するとともに、各グラインダ(42、43、44)において研削処理を行なう位置まで移動させる。本実施形態では、ワークWを固定したトランスファチャックは、テーブル41の所定位置(図では右下)に載置され、回転テーブルを回転させることにより、各グラインダ(42、43、44)において研削処理を行なう位置に移動させる。
【0026】
グラインダ(42、43、44)は、トランスファチャック10に保持されているワークWの研削を行なう。本実施形態では、3軸のグラインダを用いて、ワークWの研削厚さを調整する。本実施形態では、グラインダ42においてワークWの1軸研削を行ない、グラインダ43において2軸研削を行ない、グラインダ44において3軸研削を行なう。
そして、各グラインダにおいて研削処理を終了した場合、テーブル41を回転させて、トランスファチャック10を元の位置に戻す。
【0027】
(研磨ユニットの構成)
研磨ユニット50は、トランスファチャック10に固定されたワークWの研磨処理を行なう。この研磨処理は一括処理枚数毎のバッチ処理により行なわれる。この一括処理枚数は、研削タクト時間Tgと研磨タクト時間Tpとの割合に対応する枚数を用いる。研磨ユニット50は、ポリッシュテーブル(51、52)、洗浄部53、テーブル洗浄ブラシ(54、55)を備えている。例えば、一括処理枚数nとして「n=Tp/Tg」の場合、研磨処理を終了したときに、次の研磨処理のためのワークWの研削処理が終了していることになる。これにより、効率よく連続した加工処理を行なうことができる。
【0028】
ポリッシュテーブル(51、52)は、トランスファチャック10に固定されたワークWを研磨する。このポリッシュテーブル(51、52)は、所定の一括処理枚数(本実施形態では、3枚)のワークWをバッチ処理により同時に研磨する。本実施形態では、2つのポリッシュテーブル(51、52)を交互に用いて研磨を行なう。すなわち、一方のポリッシュテーブルにおいてワーク枚数が一括処理枚数に達するまでに、他方のポリッシュテーブルの研磨処理を終了することができる。
【0029】
洗浄部53は、ポリッシュヘッドの洗浄を行なう。
テーブル洗浄ブラシ(54、55)は、載置されていたトランスファチャック10が移動された後で、それぞれポリッシュテーブル(51、52)の表面を洗浄する。
【0030】
(チャック搬送ユニットの構成)
チャック搬送ユニット60は、トランスファチャック10を目的位置までの搬送処理を実行する。このチャック搬送ユニット60は、ハンドリングアーム61、搬送ガイド62を備えている。
【0031】
ハンドリングアーム61は、搬送ガイド62の接続部を中心軸にして回動可能になっている。更に、ハンドリングアーム61の先端部には、トランスファチャック10のロック機構部が設けられている。
【0032】
搬送ガイド62は、ハンドリングアーム61を水平移動させる。
この搬送ガイド62によるハンドリングアーム61の水平移動と、ハンドリングアーム61自身の回転とにより、トランスファチャック10を保持したハンドリングアーム61
の先端部は、ロードユニット30、研削ユニット40、研磨ユニット50における配置位置に到達するようになっている。
【0033】
(表面加工装置の制御)
表面加工装置20は、図2に示すように、各ユニットを制御するための制御部21及びプロセスデータ記憶部22、ワーク管理データ記憶部23(ワーク情報記憶手段)を備える。
【0034】
プロセスデータ記憶部22は、ロードユニット30、研削ユニット40、研磨ユニット50、チャック搬送ユニット60の各ユニット制御するための基礎データを記憶している。例えば、研削ユニット40、研磨ユニット50に関しては、それぞれ研削条件や研磨条件(厚みやタクト時間)を記憶している。
【0035】
ワーク管理データ記憶部23は、加工対象の各ワークWの処理状況に関するワーク管理レコードを記憶する。このワーク管理レコードは、加工対象のワークWが登録された場合に記録される。このワーク管理レコードには、各ワークWを識別するためのワーク識別子、ステータス、処理履歴に関するデータが記録される。
【0036】
ワーク識別子データ領域には、加工対象のワークWを特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、INカセットの装填位置情報により、各ワークWを識別する。
【0037】
ステータスデータ領域には、このワークWの現在状態を特定するためのフラグが記録される。本実施形態では、INカセット収納、研削終了、研磨待機中、研磨終了、OUTカセット収納の各状態を示すフラグを用いる。
【0038】
処理履歴データ領域には、このワークWの加工履歴に関するデータが記録される。具体的には、加工に用いたトランスファチャック10の識別コード、利用したグラインダ、利用したポリッシュテーブル、研削時間、研削仕上がり厚み、研磨時間などに関するデータが記録される。
【0039】
制御部21は、プロセス管理手段210、研削制御手段211、研磨制御手段212、搬送制御手段214、ロード制御手段215を備える。
プロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23を用いて、各半導体ウェハのプロセス状況を管理する。
【0040】
研削制御手段211は、研削ユニット40の制御を行なう。
研磨制御手段212は、研磨ユニット50、テーブル洗浄ブラシ(54、55)の制御を行なう。
【0041】
搬送制御手段214は、チャック搬送ユニット60のハンドリングアーム61や搬送ガイド62の制御を行なう。
ロード制御手段215は、ハンドリングロボット31、チャック洗浄器32、スピン洗浄器33の制御を行なう。
【0042】
(表面加工装置20の動作)
次に、図3を用いて、表面加工装置20の動作を説明する。
まず、表面加工装置20は、チャック検出処理を実行する(ステップS1)。具体的には、制御部21の搬送制御手段214は、トランスファチャック10を、ワークWを載置させるためのロード位置に配置する。
【0043】
次に、表面加工装置20は、INカセットからのワーク取り出し処理を実行する(ステップS2)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23において、INカセット収納フラグが記録されているワークWを加工対象として特定する。そして、プロセス管理手段210は、ロード制御手段215に対して、カセットC1から、加工対象として特定したワークWの取り出しを指示する。この場合、ロード制御手段215は、図4(a)に示すように、ハンドリングロボット31を用いて、カセットC1から取り出したワークWを、トランスファチャック10まで搬送し、載置させる。この場合、プロセス管理手段210は、ワークWを載置させたトランスファチャック10の識別コードを特定して、ワーク管理データ記憶部23に記録する。
【0044】
次に、表面加工装置20は、ロード処理を実行する(ステップS3)。具体的には、制御部21のロード制御手段215は、バキュームポンプにより、トランスファチャック10の吸引弁103を介してバッファ部102内を吸引して減圧する。これにより、ワークWは、トランスファチャック10に固定される。そして、ロード制御手段215は、固定を完了したことをプロセス管理手段210に通知する。
【0045】
次に、表面加工装置20は、研削エリアへの搬送処理を実行する(ステップS4)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、搬送制御手段214に対して、トランスファチャック10の搬送を指示する。ここでは、ロードユニット30から研削ユニット40への搬送を指示する。この場合、搬送制御手段214は、チャック搬送ユニット60のハンドリングアーム61、搬送ガイド62を用いて、図4(b)に示すように、トランスファチャック10をロードユニット30から研削ユニット40に搬送し、研削ユニット40のテーブル41に載置する。搬送を完了した場合、搬送制御手段214は、プロセス管理手段210に搬送完了を通知する。
【0046】
次に、表面加工装置20は、研削処理を実行する(ステップS5)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、研削制御手段211は研削開始を指示する。この場合、研削制御手段211は、図4(c)に示すように、ワークWを固定したトランスファチャック10を、グラインダ42の研削位置に移動させて、研削を開始する。そして、研削制御手段211は、図4(d)に示すように、トランスファチャック10に固定されたワークWを、グラインダ(42、43、44)の順番で研削を行なう。ここで、研削制御手段211は、先行のワークWや後続のワークWについて、プロセスデータ記憶部22に記憶された研削条件に達するまで研削を行なう。
【0047】
そして、グラインダ(42、43、44)における研削処理が終了した場合に、テーブル41を回転させて、トランスファチャック10を次のグラインダの位置に移動させる。そして、グラインダ44の研削処理を終了した場合に、このトランスファチャック10について研削を終了する。この場合、研削制御手段211は、このトランスファチャック10に固定されたワークWの研削終了情報をプロセス管理手段210に通知する。この研削終了情報には、研削されたワークWのワーク識別子、利用したグラインダ情報、研削仕上がり厚み、研削時間に関するデータを含める。この場合、プロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23のステータスデータ領域に、研削終了フラグを記録するとともに、履歴情報を記録する。
【0048】
次に、表面加工装置20は、研磨エリアへの搬送処理を実行する(ステップS6)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、搬送制御手段214に対して、トランスファチャック10の搬送を指示する。ここでは、研削ユニット40から研磨ユニット50への搬送を指示する。この場合、搬送制御手段214は、図5(a)に示すように、チャック搬送ユニット60のハンドリングアーム61、搬送ガイド62を用いて、トラン
スファチャック10を研削ユニット40から研磨ユニット50に搬送する。この場合、搬送制御手段214は、研磨制御手段212から、研磨待機中のポリッシュテーブルに関する情報を取得する。そして、搬送制御手段214は、待機中のポリッシュテーブルにトランスファチャック10を載置する。搬送を完了した場合、搬送制御手段214は、プロセス管理手段210に搬送完了を通知する。この搬送完了通知には、ワーク識別子に関するデータを含める。この場合、プロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23に研磨待機中フラグを記録する。
【0049】
次に、表面加工装置20は、研磨処理を実行する(ステップS7)。具体的には、制御部21の研磨制御手段212が、研削ユニット40において研削処理を終了したワークWが固定されたトランスファチャック10を順次、ポリッシュテーブル(51、52)に載置していく。例えば、まず、図5(b)に示すように、ポリッシュテーブル51の空きスペースに順次、トランスファチャック10を載置していく。そして、ポリッシュテーブル51に一括処理枚数のトランスファチャック10が載置された場合、このポリッシュテーブル51における研磨を開始する。ここでは、研磨制御手段212は、ポリッシュテーブルを用いて、プロセスデータ記憶部22に記憶された研磨条件に達するまで研磨を行なう。
【0050】
また、後続のトランスファチャック10については、図5(c)に示すように、順次、ポリッシュテーブル52の空きスペースに載置していく。そして、図5(d)に示すように、ポリッシュテーブル52に一括処理枚数のトランスファチャック10が載置された場合、このポリッシュテーブル52の研磨を開始する。
【0051】
そして、ポリッシュテーブル51の研磨が終了した場合には、載置されていたトランスファチャック10を移動させ、新たにトランスファチャック10を順次、ポリッシュテーブル51に載置していく。本実施形態では、このように、ポリッシュテーブル(51、52)を交互に用いて研磨を行なう。
【0052】
そして、研磨条件に到達した場合には、研磨制御手段212は、ポリッシュテーブルに載置されたトランスファチャック10に固定されたワークWについての研磨終了情報をプロセス管理手段210に通知する。この研磨終了情報には、研磨されたワークWのワーク識別子、利用したポリッシュテーブル情報、研磨時間に関するデータを含める。この場合、プロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23のステータスデータ領域に、研磨終了フラグを記録するとともに、履歴情報を記録する。
【0053】
次に、表面加工装置20は、チャック着脱エリアへの搬送処理を実行する(ステップS8)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、搬送制御手段214に対して、トランスファチャック10の搬送を指示する。ここでは、研磨ユニット50からチャック脱着エリアへの搬送を指示する。この場合、搬送制御手段214は、図6(a)に示すように、チャック搬送ユニット60のハンドリングアーム61、搬送ガイド62を用いて、トランスファチャック10を脱着エリアに搬送する。搬送を完了した場合、搬送制御手段214は、プロセス管理手段210に搬送完了を通知する。
【0054】
次に、表面加工装置20は、アンロード洗浄処理を実行する(ステップS9)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、ロード制御手段215に対して、ワークWの取り外しを指示する。この場合、ロード制御手段215は、トランスファチャック10の開放弁104を開けて、バッファ部102内を大気圧に戻す。これにより、ワークWをトランスファチャック10から取り外すことができる。次に、ロード制御手段215は、ハンドリングロボット31により、トランスファチャック10に載置されていたワークWをアンロードする。そして、ロード制御手段215は、プロセス管理手段210に対し
て、アンロード完了を通知する。
【0055】
次に、表面加工装置20は、チャック洗浄処理を実行する(ステップS10)。具体的には、ロード制御手段215からアンロード完了通知を受けたプロセス管理手段210は、搬送制御手段214に対して、トランスファチャック10のチャック洗浄器32への搬送を指示する。そして、ロード制御手段215は、図6(b)に示すように、チャック洗浄器32において、トランスファチャック10の洗浄や乾燥を行なう。
【0056】
次に、表面加工装置20は、全ワークについての加工処理を終了したかどうかについての判定処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21のプロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23において、INカセット収納フラグが記録されているワークWの有無を判定する。
ここで、INカセット収納フラグが記録されているワークWが残っている場合には、上述の処理を継続する。
【0057】
また、トランスファチャック10から取り外されたワークWについては、表面加工装置20は、ワーク洗浄処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21のロード制御手段215は、チャック着脱エリアにおいて取り外されたワークWを、ハンドリングロボット31により、スピン洗浄器33に移動させる。そして、ロード制御手段215は、スピン洗浄器33を用いて、ワークWの洗浄を行なう。
【0058】
次に、表面加工装置20は、OUTカセットへのワーク収納処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21のロード制御手段215は、図6(c)に示すように、スピン洗浄器33において洗浄を終了したワークWを、カセットC2に戻す。この場合、ロード制御手段215は、ワーク管理データ記憶部23に記憶されたワーク識別子に基づいて、カセットC1に挿入されていた位置と同じ位置に戻す。そして、ロード制御手段215は、このワークWについて、加工終了情報をプロセス管理手段210に通知する。この加工終了情報には、加工を終了したワークWのワーク識別子に関するデータを含める。この場合、プロセス管理手段210は、ワーク管理データ記憶部23のステータスデータ領域に、OUTカセット収納フラグを記録する。
【0059】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、表面加工装置20は、研削ユニット40、研磨ユニット50を備えている。これにより、研削処理と研磨処理とを並行して行なうことができるので、表面加工処理のスループットを向上させることができる。
【0060】
(2) 本実施形態では、ワークWは、トランスファチャック10に固定されて、表面加工装置20の各ユニットにおける加工処理や搬送処理が行なわれる。研削加工により、ワークWの薄片化を行なった場合、研削加工後に固定されたワークWを開放すると、研削ストレスによりワークが破損する場合がある。このため、トランスファチャック10に固定された状態で研磨を行なうことにより、研削ストレスをリリースし、ワークWの破損を防止することができる。
また、ワークWは、バキュームチャックによりトランスファチャック10に吸着される。これにより、簡単にワークWの脱着を行なうことができる。
【0061】
(3) 本実施形態では、研磨ユニット50は、トランスファチャック10に固定されたワークWの研磨処理を行なう。この研磨処理は一括処理枚数毎のバッチ処理により行なわれる。この一括処理枚数は、研削タクト時間と研磨タクト時間との割合に対応する枚数を用いる。研削に要する時間と研磨に要する時間とは異なるが、研削の後工程である研磨をバッチ処理により行なうことにより、スループットを向上させることができる。特に、
研削タクト時間と研磨タクト時間との割合に対応する一括処理枚数によりバッチ処理を行なうため、連続的に処理を行なうことができる。
【0062】
(4) 本実施形態では、ロードユニット30は、チャック洗浄器32を備える。そして、加工処理後に、チャック洗浄器32により、トランスファチャック10の表面洗浄を行なう。そして、この洗浄・乾燥後に、新たなワークWを載置する。これにより、トランスファチャック10におけるワークWの載置面を清浄にすることにより、異物や汚れ等による加工精度(平面度・厚みのバラツキ)の劣化を抑制することができる。
【0063】
(5) ワーク管理データ記憶部23は、加工対象の各ワークWの処理状況に関するワーク管理レコードを記憶する。このワーク管理レコードには、各ワークWを識別するためのワーク識別子、ステータス、処理履歴に関するデータが記録される。これにより、各ワークWの処理履歴を蓄積することができる。
【0064】
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態においては、バキュームチャックにより、ワークWをトランスファチャック10に吸着させた。トランスファチャックへの取り付け方法はこれに限定されるものではない。例えば、取り外し可能な粘着剤等を用いることも可能である。
【0065】
・ 上記実施形態においては、研削ユニット40は、グラインダ(42、43、44)を備えている。また、研磨ユニット50は、ポリッシュテーブル(51、52)を備えている。グラインダやポリッシュテーブルの数は、これらに限定されるものではない。この場合にも、研削処理能力と研磨処理能力との割合で、後工程である研磨処理の一括処理枚数を決定すればよい。
【0066】
・ チャック搬送ユニット60は、ハンドリングアーム61、搬送ガイド62を備えている。トランスファチャック10の搬送方法はこれに限定されるものではなく、例えばアームロボット等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…トランスファチャック、20…表面加工装置、21…制御部、23…ワーク管理データ記憶部、30…ロードユニット、31…ハンドリングロボット、32…チャック洗浄器、33…スピン洗浄器、40…研削ユニット、41…テーブル、42,43,44…グラインダ、50…研磨ユニット、51,52…ポリッシュテーブル、54,55…テーブル洗浄ブラシ、60…チャック搬送ユニット、61…ハンドリングアーム、62…搬送ガイド、W…ワーク、Tg…研削タクト時間、Tp…研磨タクト時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6