(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
図2は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の上面図である。
図1、
図2において、本実施の形態1に係る加熱調理器は、天面が開口された箱状の本体1の上面に、耐熱性のガラスと金属の枠体とで構成するトッププレート2が取り付けられるように構成されている。このトッププレート2には、鍋やフライパンなどの被加熱物が載置される。
【0012】
本体1内には、トッププレート2に載置された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱コイル3R、3Lが設けられている。
また、トッププレート2の表面には、本体1内の誘導加熱コイル3R、3Lが配設される位置に、被加熱物を加熱可能な加熱領域を示す目的で円形の表示(加熱口4R、4L)がされている。トッププレート2の右側には加熱口4Rが形成され、左側には加熱口4Lが形成される。
【0013】
尚、本実施の形態では加熱口4が2つの場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、トッププレート2の中央後方にさらに加熱口を設ける構成としても良いし、加熱口4が1つであっても良い。
また、複数の加熱口のうち任意の加熱口について、輻射によって加熱する輻射型熱源を用いる電気ヒーター(例えば、ニクロム線やハロゲンヒーター、ラジェンドヒーター等)を用いるようにしても良い。
【0014】
次に、トッププレート2の上面手前側には、加熱調理に関する操作を入力する操作部5が設けられている。
操作部5は、例えば、メンブレンシートを用いた接点ボタンにより構成され、使用者により、メンブレンシートを介して位置する接点ボタンが押下されることにより、加熱制御に関する入力操作を検知する。
尚、操作部5は、メンブレンシートを用いた接点ボタンに限らず、例えば、透明性の導電性フィルムなどの電極で構成したタッチスイッチにより構成し、使用者の指などが電極の配置位置に接触する際における静電容量の変化により入力操作を検知するようにしても良い。操作部5の詳細は後述する。
【0015】
また、トッププレート2の上面手前側には、表示部6が設けられている。
この表示部6は、例えば、液晶(LCD)や各種発光素子(LEDなど)、有機電界発光(Electro Luminescence:EL)素子などにより構成することができる。
表示部6は、トッププレート2の左右方向の中央部に配置された中央表示部60と、加熱口4Rの手前側に配置された火力表示部61Rおよび右表示部62Rと、加熱口4Lの手前側に配置された火力表示部61Lおよび左表示部62Lとを備える。
【0016】
中央表示部60は、加熱調理に関する設定情報や、調理モードの選択表示、自動調理の進行状況、警告表示などが表示される。
火力表示部61R、61Lは、対応する誘導加熱コイル3の投入火力などを表示する。
右表示部62R、左表示部62Lは、例えばタイマー調理における時間表示や揚げ物調理モードにおける温度表示など、対応する誘導加熱コイル3に係る加熱調理に関する情報を表示する。
【0017】
また、トッププレート2の後方には、本体1内部と連通し、本体1内部に外気を取り込むための吸気口20R、20Lが設けられている。また、トッププレート2の後方中央には、本体1内部と連通し、本体1内部に取り込んだ空気を吹き出し排出するための排気口21が設けられている。
また、吸気口20R、20Lおよび排気口21の上部には、通気性を有するカバー22を設けて、本体1内部への埃や異物侵入を防止している。
【0018】
本体1の中央下部には、魚等の調理を行うためのグリル庫30が設けられている。
また、グリル庫30内には、庫内に載置された被調理物を加熱するための熱源となるグリルヒーター31(図示せず)が備えられている。このグリルヒーター31は、例えば、シーズヒーター等からなり、グリル庫30内の上部および下部に配置される。
【0019】
また、グリル庫30の前面にはグリル扉32が設けられ、グリル扉32にはグリル庫30の内部を視認できるよう視認窓33が設けられている。また、グリル扉32の最前面には使い勝手の良いようにグリル把持部34が設けられている。また、グリル庫30の内部において加熱時に排出される煙等の排気風は、本体1の奥部に設けた排気口21より排気される。
【0020】
尚、ここでは本体1の中央にグリル庫30を設ける場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、グリル庫30を本体1の左側下部に設けても良い。また、「誘導加熱コイル3R」、「誘導加熱コイル3L」、および「グリルヒーター31」は、本発明における「加熱手段」に相当する。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態1に係る操作部を示す図である。
図3に示すように、操作部5は、加熱調理器の主電源をオン・オフ操作する主電源スイッチ50と、誘導加熱コイル3Rの加熱調理に関する操作を行う右IH操作部5Rと、誘導加熱コイル3Lの加熱調理に関する操作を行う左IH操作部5Lと、グリル庫30の加熱調理に関する操作を行うグリル操作部5Gとにより構成されている。
【0022】
また、右IH操作部5R、左IH操作部5L、グリル操作部5Gは、それぞれ、操作対象となる加熱口4、グリル庫30に対応する位置に配置されている。
すなわち、トッププレート2の上面前部において、本体1の左右中心線を挟んで、右側には右IH操作部5Rが配置され、中央部にはグリル操作部5Gが配置され、左側には左IH操作部5Lが配置されている。
【0023】
右IH操作部5Rは、誘導加熱コイル3Rによる加熱調理の開始・停止操作をする切入スイッチ51Rと、誘導加熱コイル3Rによる加熱調理の火力の強弱を設定する火力設定スイッチ52Rと、所望の時間経過後に加熱調理を停止させるタイマー調理モードの設定・実行をする切タイマースイッチ53とを備えている。
【0024】
左IH操作部5Lは、誘導加熱コイル3Lによる加熱調理の開始・停止操作をする切入スイッチ51Lと、誘導加熱コイル3Lによる加熱調理の火力の強弱を設定する火力設定スイッチ52Lと、被加熱物を所望の温度に加熱する調理モードである揚げ物調理の設定・実行をする揚げ物スイッチ54とを備えている。
【0025】
グリル操作部5Gは、グリルヒーター31による加熱調理の開始・停止操作をする切入スイッチ51Gと、グリルヒーター31による加熱調理に関する設定を入力する手動調理スイッチ55および自動調理スイッチ56とを備えている。
また、手動調理スイッチ55は、使用者の任意の操作によりグリルヒーター31の火力を調節する焼き加減スイッチと、所望の時間経過後にグリル庫の加熱調理を停止させる切りタイマースイッチを備えている。
また、自動調理スイッチ56は、予め設定された所定の加熱調理を実行させる姿焼きスイッチおよび切身ひものスイッチを備えている。
【0026】
尚、「切入スイッチ51R、51L、51G」、「火力設定スイッチ52R、52L」、「切タイマースイッチ53」、「揚げ物スイッチ54」、「手動調理スイッチ55」、および「自動調理スイッチ56」は、本発明における「操作スイッチ」に相当する。
以下、これらのスイッチを「操作スイッチ」ともいう。
【0027】
図4は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器のブロック構成図である。
図4に示すように、本体1の内部には、制御部100、インバーター回路110R、110L、グリルヒーター駆動回路111、表示部駆動回路112、スピーカー113、および電源部200を備えている。
【0028】
制御部100は、操作部5からの操作信号や図示しない各種センサーからの検知信号が入力され、予め設定されたプログラム等に従って各構成部を制御するものである。
この制御部100には、定電圧回路(図示せず)を介して直流電源が供給される。
電源部200は、制御部100からの制御に応じて、商用電源からの電力をインバーター回路110R、110L、グリルヒーター駆動回路111、および図示しない定電圧回路等に供給する。
【0029】
インバーター回路110Rは、制御部100からの加熱指令に応じて、電源部200から供給される電力を変換し、誘導加熱コイル3Rと共振コンデンサCを接続した回路に、高周波電流を供給する。
インバーター回路110Lは、制御部100からの加熱指令に応じて、電源部200から供給される電力を変換し、誘導加熱コイル3Lと共振コンデンサCを接続した回路に、高周波電流を供給する。
なお、電源部200から各インバーター回路110への電力供給は、制御部100からの制御により、各インバーター回路110それぞれにオン・オフ制御がなされる。
【0030】
誘導加熱コイル3R、3Lは、渦巻状に巻かれたコイルにより構成され、各インバーター回路110から高周波電流が供給されることにより、トッププレート2に載置された被加熱物を誘導加熱する。
グリルヒーター駆動回路111は、制御部100からの加熱指令に応じて、グリル庫30内のグリルヒーター31を駆動する。
表示部駆動回路112は、制御部100からの指示に従い、例えば、LCDにより構成された表示部6を駆動する。
【0031】
また、制御部100には、記憶部101と、経過時間を計時する計時部102とを有する。
この記憶部101には、音声や表示によるガイド機能のためのガイド情報が記憶されている。このガイド情報は、機器の動作状態を報知するための音声情報や表示情報がある。例えば、加熱経過時間、火力情報、および火力の情報などが記憶されている。
また、この他に、ガイド情報の一形態として、使用者の操作に応じて機器の使用方法や手順等の操作方法を誘導する誘導音声が記憶されている。
そして、制御部100は、加熱調理器の状態や使用者の操作により、記憶部101からガイド情報を読み出し、表示部6やスピーカー113より各種報知制御を行う。
【0032】
このガイド情報の報知制御において、誘導音声は、使用者のダイヤルやボタンの操作に応じて、ブザーや操作内容や操作結果を報知し、その後有効な操作が無い状態で所定時間経過した場合、つまり、所定時間以内に有効な操作が行われない場合に、次に行うの操作方法(操作手順)を音声により報知するように制御されるものである。
つまり、操作から所定時間経過したことを「使用者が操作に迷っている」とし、次の操作方法(ガイド音声)を報知するものであり、所定時間以内に有効な操作が行われた場合は、次の操作方法の音声報知は、キャンセルされる。
尚、詳細はフローチャート(
図5)を用いて後述する、
【0033】
次に、スピーカー113は、制御部100からの指示に従い、ガイド情報の音声や誘導音声(ガイド音声)を出力する。
本実施の形態では、ガイド情報をスピーカー113からの音声により報知する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ガイド情報や誘導情報を表示部6に表示させるようにしても良い。
尚、「スピーカー113」は、本発明における「報知手段」に相当する。
【0034】
次に、本実施の形態1における加熱調理器の動作を説明する。
まず、加熱調理器における加熱調理の手順の概要について説明する。
例えば、加熱口4Rに鍋などの被加熱物を載置して加熱する場合を考える。
【0035】
(1)使用者は主電源スイッチ50をオンにする。これにより制御部100等に電力が供給される。
(2)使用者は、切入スイッチ51R、51L、51Gのうち、加熱調理を開始させる加熱手段に対応する切入スイッチ51を押下する。ここでは、加熱口4Rに対応する右IH操作部5Rの切入スイッチ51Rを押下する。これにより、電源部200からインバーター回路110Rに電力が供給され、誘導加熱コイル3Rが駆動可能な状態(加熱準備状態)となる。また、このとき、例えば火力表示部61Rを青色表示させて、加熱準備状態である旨の表示をする。
(3)使用者は、加熱調理を開始させる加熱手段に対応する火力設定スイッチ52、または自動調理スイッチ56を押下する。ここでは、右IH操作部5Rの火力設定スイッチ52Rを押下する。これにより、制御部100は、インバーター回路110Rを駆動して誘導加熱コイル3Rによる誘導加熱を開始させる。
【0036】
以降、使用者は、火力設定スイッチ52Rや切タイマースイッチ53を操作して所望の加熱調理を行う。
そして、加熱調理を終了させる場合には、使用者は切入スイッチ51Rを押下する。これにより、制御部100は、インバーター回路110Rの駆動を停止させ、電源部200からインバーター回路110Rへの電力供給を停止させる。
【0037】
次に、
図5を参照して、以上のように加熱調理器の電源をオンしてから、IH加熱動作に移行するまでの操作手順における、誘導音声(ガイド音声)の報知制御について説明する。
図5は、電源オンからIH加熱スタートに至るまでの誘導音声の報知制御に関するフローチャートである。尚、各制御の「ステップ」は、「S」と表現する。
【0038】
(S10)
まず、使用者が主電源スイッチ50をオンにする。これにより、制御部100等に電力が供給される。この時、制御部100は、計時部102により、主電源スイッチ50がオンされた後の経過時間の計測を開始する。
(S11)
次に、使用者が主電源スイッチ50をオンした後、IH切入スイッチ51R、51Lを押した際に、主電源スイッチ50をオンしてからIH切入スイッチ51R、51Lを押すまで経過した時間が、所定時間以内か否かを判断する。
尚、本実施の形態において、主電源スイッチ50をオンした後、10秒以内にIH切入スイッチ51R、51Lが押されたか否かを判断する。
【0039】
(S12)
そして、S11にて、主電源スイッチ50をオンしてからIH切入スイッチ51R、51Lを操作されるまで経過した時間が、所定時間以内であると判断されると、IH待機状態へと移行し(S12)、その後S15へと移行する。
このIH待機状態とは、火力ボタン又は揚げ物ボタンなど、加熱制御を開始するための操作を待っている状態である。
【0040】
(S13)
S11にて、主電源スイッチ50をオンしてから、IH切入スイッチ51R、51Lを所定時間以上(例えば、10秒以上)操作しないと、S13にて第1の誘導音声の出力処理を行った後、S14へと移行する。つまり、S13おいて、電源ONから所定の時間以上、IH切入スイッチの操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
尚、第1の誘導音声は、例えば「使用する加熱部のIH切入スイッチを操作してください。」などのように、IH切入スイッチ51R、51Lの操作を促す内容の音声報知を行う。
【0041】
(S14)
S13にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第1の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内にIH切入スイッチ51R、51Lが操作されると、S12へとステップが移行する。
IH切入スイッチ51R、51Lが所定時間以内に操作されない場合、S13へとステップが移行し、再度、第1の誘導音声の出力処理を行う。
【0042】
(S15)(S16)
前ステップで計時部102のリセットを行い、IH切入スイッチの操作後から経過時間の測定を開始する。そして、使用者が、所定時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作すると、S16へとステップが移行し、IH加熱をスタートする。
使用者が、所定時間以内に火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作しないと、S17へとステップが移行する。
【0043】
(S17)
S15にて、IH切入スイッチ51R、51Lを操作してから、所定の時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作しないと、S17にて第2の誘導音声の出力処理を行った後、S18へと移行する。
つまり、S17おいて、IH切入スイッチの操作から所定時間以上、火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
尚、第2の誘導音声は、例えば「火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作してください。」などのように、IH加熱を始めるための操作を促す内容の音声報知を行う。
【0044】
(S18)
S17にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第2の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン又は揚げ物ボタンが操作されると、S16へとステップが移行する。
火力ボタン又は揚げ物ボタンが、所定時間以内に操作されない場合、S17へとステップが移行し、再度、第2の誘導音声の出力処理を行う。
尚、本実施の形態において、第2の誘導音声処理の後、10秒以内に火力ボタン又は揚げ物ボタンが押されたか否かを判断する。
【0045】
以上のように、ある操作から次の操作に至るまでの時間が、所定時間以上かかる場合、次の操作の方法や手順や次に操作すべき操作部を誘導する音声報知を行うように構成することで、使用者にとって使いやすい加熱調理器を提供することができる。
特に、本実施の形態は、ある操作から次の操作に至るまでの時間を計測し、所定時間以上次の操作まで時間がかかった場合に、その都度、誘導音声を報知するように自動的に切り替わるので、詳細な音声報知を行う音声モードの変更など、使用者に対して更なる操作を要求しない加熱調理器を構成することができる。
【0046】
尚、本実施の形態において、S14及びS18で、所定時間以内に次の操作が行われない場合、繰り返し誘導音声を出力するが、1回目の誘導音声と2回目以降の誘導音声を異なる報知形態や報知内容にしても良い。
例えば、2回目以降の誘導音声はゆっくりとしたスピードで報知したり、音声レベルを大きくしたり、1回目の誘導音声より詳しい内容の報知を行っても良い。
このように、2回目以降の誘導音声の形態を異ならせることにより、より詳しく操作手順を使用者に知らせることができる。また、同じ形態の音声報知を繰り返さないため、使用者にとって、しつこい音声報知を避けることができる。
【0047】
さらに、1回目の誘導音声の報知は、通常通り音声で行い、2回目以降は音声で行わずに表示部に操作を誘導する内容を表示しても良い。
このように報知することで、使用者にとって、しつこい音声報知を避けることができると共に、誘導音声を聞き逃しても、表示部を確認することで、次の操作手順を認識することが可能となる。
尚、表示部による報知は、1回目の報知から行っても良い。
【0048】
さらに、繰り返し行う誘導音声の報知の回数や、繰り返すか否かを判断するある操作から次の操作に至るまでの時間(一定時間)は、設定可能である。このように、回数や時間を設定可能にすることで、各使用者の好みに応じた設定が可能な加熱調理器を提供することが可能である。
尚、これらの設定内容は、電源をOFFにしても記憶されるものであり、加熱調理器を起動するたびに設定する必要がない。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、ヒーターなどの加熱部に対する調理メニューを選択する操作スイッチが多い形態(例えば、グリルヒーター31による調理)に関するものである。尚、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
このようなグリルヒーター31の調理メニュースイッチとして、手動調理ボタン55(手動焼スイッチ)や自動調理ボタン56(姿焼きスイッチ56a、切身・ひものスイッチ56b)等、調理対象物を適切に調理するための制御を実行する調理ボタンを複数個有している。
【0050】
図6を参照して、以上のように加熱調理器の電源をオンしてから、グリル加熱動作に移行するまでの操作手順における、誘導音声(ガイド音声)の報知制御について説明する。
図6は、電源オンからグリル加熱スタートに至るまでの誘導音声の報知制御に関するフローチャートである。尚、各制御の「ステップ」は、「S」と表現する。
【0051】
(S20)
まず、使用者が主電源スイッチ50をオンにする。これにより、制御部100等に電力が供給される。この時、制御部100は、計時部102により、主電源スイッチ50がオンされた後の経過時間の計測を開始する。
(S21)
次に、使用者が主電源スイッチ50をオンした後、グリル切入スイッチ51Gを押した際に、主電源スイッチ50をオンしてからグリル切入スイッチ51Gを押すまで経過した時間が、所定時間以内(10秒以内)か否かを判断する。
【0052】
(S22)
そして、S21にて、主電源スイッチ50をオンしてからグリル切入スイッチ51Gを操作されるまで経過した時間が、所定時間以内であると判断されると、グリル待機状態へと移行し(S22)、その後S25へと移行する。
このグリル待機状態とは、自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55など、グリル加熱制御開始の操作を待っている状態である。
【0053】
(S23)
S21にて、主電源スイッチ50をオンしてから、グリル切入スイッチ51Gを所定時間以上(例えば、10秒以上)操作しないと、S23にて第1の誘導音声の出力処理を行った後、S24へと移行する。つまり、S23おいて、電源ONから所定時間以上、グリル切入スイッチの操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
尚、第1の誘導音声は、例えば「使用する加熱部の切入スイッチを操作してください。」などのように、各種切入スイッチの操作を促す内容の音声報知を行う。
【0054】
(S24)
S23にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第1の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内にグリル切入スイッチ51Gが操作されると、S22へとステップが移行する。
グリル切入スイッチ51Gが所定時間以内に操作されない場合、S23へとステップが移行し、再度、第1の誘導音声の出力処理を行う。
【0055】
(S25)(S26)
次に、計時部102のリセットを行い、グリル切入スイッチの操作後から経過時間の測定を開始する。そして、使用者が、所定時間以内(例えば、15秒以内)に自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55を操作すると、S26へとステップが移行し、グリル加熱をスタートする。
使用者が、所定時間以内に自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55を操作しないと、S27へとステップが移行する。
【0056】
(S27)
S25にて、グリル切入スイッチ51Gを操作してから、所定時間以内(例えば、15秒以内)に手動調理ボタン55又は自動調理ボタン56を操作しないと、S27にて第2の誘導音声の出力処理を行った後、S28へと移行する。
つまり、S27おいて、グリル切入スイッチの操作から所定時間以上、自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55を操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
尚、第2の誘導音声は、例えば「自動調理ボタン又は手動調理ボタンを操作してください。」等のように、グリル加熱の操作を始めるための操作を促す内容の音声報知を行う。
【0057】
(S28)
S27にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第2の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内(例えば、15秒以内)に自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55が操作されると、S26へとステップが移行する。
自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55が、所定時間以内に操作されない場合、S27へとステップが移行し、再度、第2の誘導音声の出力処理を行う。
尚、本実施の形態において、第2の誘導音声処理の後、15秒以内に自動調理ボタン56又は手動調理ボタン55が押されたか否かを判断する。
【0058】
以上のように、ある操作から次の操作に至るまでの時間が、所定時間以上かかる場合、次の操作の方法や手順や次に操作すべき操作部を誘導する音声報知を行うように構成することで、使用者にとって使いやすい加熱調理器を提供することができる。
特に、本実施の形態は、ある操作から次の操作に至るまでの時間を計測し、所定時間以上次の操作まで時間がかかる場合に、その都度、誘導音声を報知するように自動的に切り替わるので、詳細な音声報知を行う音声モードの変更など、使用者に対して更なる操作を要求しない加熱調理器を構成することができる。
【0059】
また、S25、S28において、誘導音声を出力するか否かを判断するための時間である所定時間が、実施の形態1で説明したようなIH加熱を行う場合より長く設定されている。
これは、グリル加熱の場合、調理を開始するための操作ボタン(手動調理ボタン55や自動調理ボタン56(姿焼きスイッチ56a、切身・ひものスイッチ56b))が、IH加熱の場合の調理を開始するための操作ボタン(火力ボタン52L、52R又は揚げ物ボタン54)より多いためである。
【0060】
つまり、使用者がグリル加熱の場合、調理メニューを選ぶのに時間がかかることから、誘導音声を出力するか否かを判断するための時間を長めに設定し、誘導音声の出力タイミングを適正にして、使用者が誘導音声を認識しやすく構成されている。
尚、本実施の形態において、操作ボタンの個数によって、誘導音声を出力するか否かを判断する為の時間の長短を設定しているが、操作の難易度によって時間を設定してよい。
例えば、製品の出荷時に操作の難易度によって時間の長短を予め設定しておいたり、また、使用者のボタン操作を行うタイミングを計測し、操作を迷っていると思われるステップのみ、時間の長短を調整しても良い。
【0061】
また、本実施の形態において、S24及びS28で、所定時間以内に次の操作が行われない場合、繰り返し誘導音声を出力するが、1回目の誘導音声と2回目以降の誘導音声を異なる形態にしても良い。
例えば、2回目以降の誘導音声はゆっくりとしたスピードで報知したり、音声レベルを大きくしたり、1回目の誘導音声より詳しい内容の報知を行っても良い。
このように、2回目以降の誘導音声の形態を異ならせることにより、より詳しく操作手順を使用者に知らせることができる。また、同じ形態の音声報知を繰り返さないため、使用者にとって、しつこい音声報知を避けることができる。
【0062】
さらに、1回目の誘導音声の報知は、通常通り音声で行い、2回目以降は音声で行わずに表示部に操作を誘導する内容を表示しても良い。
このように報知することで、使用者にとって、しつこい音声報知を避けることができると共に、誘導音声を聞き逃しても、表示部を確認することで、次の操作手順を認識することが可能となる。
尚、表示部による報知は、1回目の報知から行っても良い。
【0063】
(実施の形態3)
次に、
図5及び
図8を参照して、実施の形態3について説明する。
図8は、誘導音声と連動表示する右IHの操作部の平面図である。尚、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態3は、各操作部又は各操作部の近傍に設けられた発光部50B,51B,52Bが、誘導音声と連動して発光することにより、操作手順を使用者に対して、より詳しく報知可能に構成したものである。
この発光部は、操作方法(操作手順)の順番を示す手順番号を有し、発光部が光ることで、使用者が手順番号を認識することが可能に構成されている。また、発光部の光源は、LED等を用い、制御部100により点灯・消灯が制御されている。
尚、誘導音声の制御については、実施の形態1と同様である。
【0064】
(S10)
まず、使用者が主電源スイッチ50をオンにする。これにより、制御部100等に電力が供給される。この時、主電源スイッチ50に設けられた発光部50Aが発光し、主電源が入っていることをわかりやすく表示する(
図8 表示状態B)。
(S11)
次に、使用者が主電源スイッチ50をオンした後、IH切入スイッチ51Rを押した際に、主電源スイッチ50をオンしてからIH切入スイッチ51Rを押すまで経過した時間が、所定時間以内か否かを判断する。
尚、本実施の形態において、主電源スイッチ50をオンした後、10秒以内にIH切入スイッチ51Rが押されたか否かを判断する。
【0065】
(S12)
そして、S11にて、主電源スイッチ50をオンしてからIH切入スイッチ51Rを操作されるまで経過した時間が、所定時間以内であると判断されると、IH待機状態へと移行し(S12)、その後S15へと移行する。
この時使用者は、主電源を入れた後、所定時間内に次の操作を行っているので、誘導音声やこの誘導音声に連動する誘導表示は行われない(表示状態C−2)。
【0066】
(S13)
S11にて、主電源スイッチ50をオンしてから、IH切入スイッチ51Rを所定時間以上(例えば、10秒以上)操作しないと、S13にて第1の誘導音声の出力処理を行った後、S14へと移行する。つまり、S13おいて、電源ONから所定時間以上、IH切入スイッチの操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
【0067】
この時、誘導音声と共に、主電源スイッチ50やIH切入スイッチ51Rの近傍に設けられている手順番号が示された発光部50B,51Bが点灯することにより、次に行う操作を誘導する誘導表示を行う。
このステップの場合、「手順番号1」が示されている発光部50Bが点灯して操作が完了したスイッチであることを示すと共に、次に行う操作を誘導する「手順番号2」が示されている発光部51Bが点滅することにより、次に操作するスイッチが、IH入切スイッチ51Rであることを誘導表示する(
図8 表示状態C−1)。
【0068】
尚、第1の誘導音声は、例えば「使用する加熱部のIH切入スイッチを操作してください。」などのように、IH切入スイッチ51R、51Lの操作を促す内容の音声報知を行う。
また、発光部51Bが点滅することにより誘導表示を行っているが、誘導表示する発光部の形態が、他の誘導音声と連動して発光していない発光部に対して、目立つようになればよいことから、例えば、発光する色を変えて表示しても良い。
【0069】
(S14)
S13にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第1の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内にIH切入スイッチ51R、51Lが操作されると、S12へとステップが移行する。
IH切入スイッチ51R、51Lが所定時間以内に操作されない場合、S13へとステップが移行し、再度、第1の誘導音声の出力処理を行う。
【0070】
(S15)(S16)
前ステップで計時部102のリセットを行い、IH切入スイッチの操作後から経過時間の測定を開始する。そして、使用者が、所定時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン52Rを操作すると、S16へとステップが移行し、IH加熱をスタートする。
使用者が、所定時間以内に火力ボタン52Rを操作しないと、S17へとステップが移行する。
【0071】
(S17)
S15にて、IH切入スイッチ51Rを操作してから、所定の時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン又は揚げ物ボタンを操作しないと、S17にて第2の誘導音声の出力処理を行った後、S18へと移行する。
つまり、S17おいて、IH切入スイッチ51Rの操作から所定時間以上、火力ボタン52Rの操作が無い場合、使用者が次の操作に迷っているものとして、報知手段により、次の操作を誘導する音声報知を行う。
【0072】
この時、誘導音声と共に、主電源スイッチ50やIH切入スイッチ51Rや火力ボタン52Rの近傍に設けられている手順番号が示された発光部50B,51Bが,52Bが点灯・点滅することにより、次に行う操作を誘導する誘導表示を行う。
このステップの場合、「手順番号1」が示されている発行部50Bと、「手順番号2」が示されている発光部51Bが点灯して、主電源スイッチ50とIH入切スイッチ51Rの操作が完了していることを示すと共に、次に行う操作を誘導する「手順番号3」が示されている発光部52Bが点滅することにより、次に操作するスイッチが、火力ボタン52Rであることを誘導表示する(
図8 表示状態D)。
【0073】
尚、発光部52Bが点滅して誘導表示を行っているが、誘導表示する発光部の形態が目立つようになればよいことから、例えば、発光する色を変えて表示しても良い。
また、IH入切スイッチ51Rを操作後、火力ボタン52Rを操作するまで、所定時間以上経過した場合、誘導音声を報知しているが、誘導表示は、IH入切スイッチ51Rを操作後、すぐに誘導表示のための発光部の点灯(点滅)を行っても良い。
この場合、誘導音声による報知より先行して誘導表示が行われることから、使用者によっては誘導音声による報知前に、次の操作を把握することが可能となり、より操作性を向上させることができると共に、過度の誘導音声報知を防止することができる。
【0074】
(S18)
S17にて音声報知処理を行うと共に、計時部102のリセットを行い、第2の音声報知処理から経過時間の測定を開始する。そして、所定時間以内(例えば、10秒以内)に火力ボタン又は揚げ物ボタンが操作されると、S16へとステップが移行する。
火力ボタン又は揚げ物ボタンが、所定時間以内に操作されない場合、S17へとステップが移行し、再度、第2の誘導音声の出力処理を行う。
尚、本実施の形態において、第2の誘導音声処理の後、10秒以内に火力ボタン52Rが押されたか否かを判断する。
【0075】
以上のように、誘導音声による操作手順の報知と誘導表示による操作手順を組み合わせて行うことにより、より確実に使用者に対して操作手順を認識させることが可能となる。
特に、使用者が、誘導音声を聞き逃した場合であっても、誘導表示を確認することで、次の操作を把握することができる。また、聴力が弱い使用者であっても、誘導表示を確認することで、操作手順を正しく認識し易く構成されている。
【0076】
尚、誘導表示は、各種スイッチ(ボタン)の近傍に設けられた発光部が光ることにより行われているが、スイッチ(ボタン)そのものが発光するように構成しても良い。また、本実施の形態は、右IHの操作を用いて説明したが、左IHやグリルに対しても、同様に用いることができる。
また、主電源スイッチ50にも発光部50Bを設けて手順番号1が示されるように構成されているが、各種操作スイッチのみに発光部を設けて手順番号を示すように構成しても良い。