(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
付箋基材シートと前記付箋基材シートの一方面に位置された粘着剤層と前記付箋基材シートと重ね合わされて前記粘着剤層を剥離可能に被覆する剥離シートとが積層され一体のシート状とされ、
前記付箋基材シートに切り込み線で囲まれる付箋部を有し、
その付箋部の一方端側が前記粘着剤層による粘着部とされ、他方端側が前記粘着剤層が設けられていないか又は糊殺しされて非粘着部とされている、付箋シートであって、
前記付箋部は非粘着部にかかる部分の一部に切り込み線が切り込まれていない0.1〜1.0mmのアンカット部を有し、
前記切り込み線は、前記アンカット部から粘着部と非粘着部との境界までの長さの長い20〜50mmの第1切り込み部と、それよりも長さの短い5〜25mmの第2切り込み部とを有していることを特徴とする付箋シート。
切り込み線で囲まれる付箋部の平面視形状が、角丸四角形又は四角形であり、非粘着部にかかる部分に前記角丸四角形又は四角形の二つの角部が位置し、かつその二つの角部が前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とにそれぞれ位置している請求項1〜3の何れか1項に記載の付箋シート。
切り込み線で囲まれる付箋部の平面視形状が、角丸四角形又は四角形であり、非粘着部にかかる部分に前記角丸四角形又は四角形の二つの角部が位置し、かつその二つの角部がともに前記第1切り込み部に位置している請求項3記載の付箋シート。
複数の付箋部を有し、各付箋部が離間しているとともに、各付箋部の粘着部側と非粘着部側との位置関係と、第1切り込み部と第2切り込み部の位置関係が、平面視で紙面に対してすべて同じ方向となるように揃って並んでいる請求項1〜7の何れか1項に記載の付箋シート。
複数の付箋部を有し、各付箋部の粘着部側と非粘着部側との位置関係が平面視で紙面に対してすべて同じ方向となっており、かつ、隣接する付箋部同士で第1切り込み部の一部、第2切り込み部の一部が共有されるようにして、揃って並んでいる請求項1〜7の何れか1項に記載の付箋シート。
【背景技術】
【0002】
雑誌、商品カタログ、通信販売用カタログ等の冊子においては、文章の読み途中を把握するため、或いは商品カタログ等の掲載商品の購入候補に目印を付けるべく付箋が用いられる。
【0003】
かかる付箋としては、一端に粘着剤が設けられた矩形紙片を複数枚重畳させて一体の付箋体されており、使用時に一枚一枚引き剥がして使用するものがよく知られる。
【0004】
しかし、この種の付箋体は、付箋体と冊子とが別体であるため、冊子の読んでいる際に手元に付箋体がない場合があり利便性に劣るところがあった。
【0005】
そこで、かかる利便性を改善すべく、一方面に粘着剤層を有する付箋基材と当該粘着剤層を被覆する剥離シートとが積層一体化されているとともに、前記付箋基材にハーフスリット等の切り込み線で囲まれる領域を複数設け、その領域の一部に非粘着部を設けることとして、付箋を平面的に複数配列した形態としたものが考え出されている(下記、特許文献1)。
【0006】
この付箋シートは、シート状であるため、冊子の頁間に挟んでおいたり、より好ましくは冊子の任意の一頁としたりすることで、冊子と一体化して常に冊子とともにすることができる。
【0007】
また、シート状であることから各付箋に模様や情報を設ける際には、シートの一方面に一回の印刷を行なうことで対応でき、さらに、一方面への切り込み線の形成のみで複数の付箋を形成することができるため、製造性の観点でも上記付箋体のものより優れるところがある。
【0008】
しかし、従来のこの種の付箋シートでは、付箋が剥離シートからめくれ難いように切り込み線の一部にいわゆるアンカット部をもうけていた。このため、剥離シートから付箋を剥離する操作がし難く、剥離操作時に特に上記アンカット部に不要な力が加わって、付箋自体が破れて損傷することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の主たる課題は、付箋シートにおいて、付箋の意図しない剥離シートからの剥離を防止しつつ意図した剥離操作をし易くするとともに、剥離操作時における付箋の損傷を防止することにあり、特に、冊子の任意の頁として当該冊子と一体化したものとしたときにおける、付箋の剥離シートからの意図しない剥離を防止しつつ付箋の剥離の剥離操作をし易くするとともに、剥離操作時における付箋の損傷を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した本発明とその効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
付箋基材シートと前記付箋基材シートの一方面に位置された粘着剤層と前記付箋基材シートと重ね合わされて前記粘着剤層を剥離可能に被覆する剥離シートとが積層され一体のシート状とされ、
前記付箋基材シートに切り込み線で囲まれる付箋部を有し、
その付箋部の一方端側が前記粘着剤層による粘着部とされ、他方端側が前記粘着剤層が設けられていないか又は糊殺しされて非粘着部とされている、付箋シートであって、
前記付箋部は非粘着部にかかる部分の一部に切り込み線が切り込まれていない
0.1〜1.0mmのアンカット部を有し、
前記切り込み線は、前記アンカット部から粘着部と非粘着部との境界までの長さの長い
20〜50mmの第1切り込み部と、それよりも長さの短い
5〜25mmの第2切り込み部とを有していることを特徴とする付箋シート。
【0012】
<請求項2記載の発明>
付箋基材シートと前記付箋基材
シートの一方面に位置された粘着剤層と前記付箋基材シートと重ね合わされて前記粘着剤層を被覆する剥離シートとが積層され一体のシート状とされ、前記付箋基材
シートに切り込み線で囲まれる付箋部を有し、
その付箋部の一方端側が前記粘着剤層による粘着部とされ、他方端側が前記粘着剤層が
設けられていないか又は糊殺しされて非粘着部とされている、付箋シートであって、
前記付箋部は非粘着部にかかる部分の3箇所以上に、切り込み線が切り込まれていない
0.1〜1.0mmのアンカット部を有し、
それらのアンカット部のうち非粘着部との境界から遠い位置側から3つのアンカット部の間にある二つの切り込み線の長さが異なっていて、前記切り込み線が、その長さの長い
20〜50mmの第1切り込み部と、それよりも長さの短い
5〜25mmの第2切り込み部とを有していることを特徴とする付箋シート。
【0013】
<請求項3記載の発明>
付箋基材シートと前記付箋基材
シートの一方面に位置された粘着剤層と前記付箋基材シートと
重ね合わされて前記粘着剤層を被覆する剥離シートとが積層され一体のシート状とされ、
前記付箋基材に切り込み線で囲まれる付箋部を有し、
その付箋部の一方端側が前記粘着剤層による粘着部とされ、他方端側が前記粘着剤層が設けられていないか又は糊殺しされて非粘着部とされている、付箋シートであって、
前記付箋部は非粘着部にかかる部分の2箇所に、切り込み線が切り込まれていない
0.1〜1.0mmのアンカット部を有し、
前記切り込み線は、各アンカット部間に位置する第1切り込み部と各アンカット部から粘着部と非粘着部との境界までの第2切り込み部及び第3切り込み部とを有し、
前記第2切り込み部の長さが第3切り込み部よりも長く、かつ、第1切り込み部と第2切り込み部とが同じ長さか又は第1切り込み部が第2切り込み部よりも長い、ことを特徴とする付箋シート。
【0014】
<請求項4記載の発明>
切り込み線で囲まれる付箋部の平面視形状が、角丸四角形又は四角形であり、非粘着部にかかる部分に前記角丸四角形又は四角形の二つの角部が位置し、かつその二つの角部が前記第1切り込み部と前記第2切り込み部とにそれぞれ位置している請求項1〜3の何れか1項に記載の付箋シート。
【0015】
<請求項5記載の発明>
切り込み線で囲まれる付箋部の平面視形状が、角丸四角形又は四角形であり、非粘着部にかかる部分に前記角丸四角形又は四角形の二つの角部が位置し、かつその二つの角部がともに前記第1切り込み部に位置している請求項3記載の付箋シート。
【0016】
<請求項6記載の発明>
第1切り込み部と第2切り込み部との長さの比が、70:30〜57:43である請求項1〜5の何れか1項に記載の付箋シート。
【0017】
<請求項7記載の発明>
付箋部の非粘着部にかかる部分のJIS P 8143に基づく剛度が100〜600cm
3/100である請求項1〜6の何れか1項に記載の付箋シート。
【0018】
<請求項8記載の発明>
複数の付箋部を有し、各付箋部が離間しているとともに、各付箋部の粘着部側と非粘着部側との位置関係と、第1切り込み部と第2切り込み部の位置関係が、平面視で紙面に対してすべて同じ方向となるように揃って並んでいる請求項1〜7の何れか1項に記載の付箋シート。
【0019】
<請求項9記載の発明>
複数の付箋部を有し、各付箋部の粘着部側と非粘着部側との位置関係が平面視で紙面に対してすべて同じ方向となっており、かつ、隣接する付箋部同士で第1切り込み部の一部、第2切り込み部の一部が共有されるようにして、揃って並んでいる請求項1〜7の何れか1項に記載の付箋シート。
【0020】
<請求項10記載の発明>
請求項1〜9記載の何れか1項に記載の付箋シートが添付されている付箋シートを添付されていることを特徴とする付箋シートが添付された冊子。
【0021】
<請求項11記載の発明>
請求項9記載に記載の付箋シートが添付されている付箋シートを添付されている冊子であって、
各付箋部の非粘着部側が冊子の上下方向の何れかの側に位置しかつ第2切り込み部がある側が冊子の綴じ込み側に位置するようにして、付箋シートが冊子に綴じ込まれていることを特徴とする付箋シートが添付された冊子。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次いで、本発明の実施の形態を
図1〜8を参照しながら以下に詳述する。
〔付箋シートの第1の実施形態〕
本発明の付箋シートX1の第1の実施の形態を
図1〜3を参照しながら説明する。本発明の付箋シートX1は、
図1及び
図2から理解されるように、付箋基材シート1とこの付箋基材シート1の一方面に形成された粘着剤層2と剥離シート3とがこの順に積層されて一体のシート状とされている。
【0024】
前記剥離シート3は前記粘着剤層2に対面する側の面が適宜離型処理されるなどしており、前記付箋基材シート1と粘着剤層2とが一体的に剥離シート3から剥離可能となっている。
【0025】
他方、この付箋シートX1は、前記付箋基材シート1に切り込まれた切り込み線10で囲まれる付箋部1Tが設けられており、この付箋部1Tは、一方端側が前記粘着剤層2による粘着部1Aとされているとともに、他方端側が前記粘着剤層2が設けられていないか又は糊殺し処理されて非粘着部1Eとされている。糊殺し処理は特に限定されない。粘着剤層2の粘着力が発現しないようにする既知の種々の処理を採用できる。なお、粘着部は、付箋として冊子に貼付するための実質的な部分を意味し、粘着部の範囲内に一部粘着剤層のない抜き部分が存在する場合にはこの抜き部分をも含められる。
【0026】
前記切り込み線10の深さは、付箋基材シート1より剥離シート3側に位置する粘着剤層2にまで至っているのが望ましい。この切り込み線10によって、当該線に沿って、切り込み線10で囲まれる付箋部1Tが粘着剤層2とともに、付箋基材シート1のその他の部分から切断されるとともに、剥離シート3から剥離されて付箋シートX1から別体とされる。
【0027】
ここで、前記付箋部1Tは、非粘着部1Eにかかる部分の一部に切り込み線10が切り込まれていないアンカット部11が形成されている。すなわち、付箋部1Tとその他の部分との境界に、切り込み線10が形成されていないアンカット部11が形成されている。
【0028】
本発明の付箋シートX1では、特に非粘着部1Eのアンカット部11により、付箋部1Tが非粘着部1Eから意図せず、剥離シート3から剥離することが防止される。ここで、本形態においては、アンカット部11が付箋部1Tの非粘着部1Eかかる部分の一カ所に形成されているとともに、そのアンカット部11を境界として付箋部1Tの粘着部1Aまでに至る各切り込み線10の長さが異ならしめられており、その長さが第1切り込み部10L(以下、長切り込み部10Lという。第2の実施の形態においても同様)と、その長さが短い第2切り込み部10S(以下、短切り込み部10Sという。第2の実施の形態においても同様)とを有している。
【0029】
このように長切り込み部10Lと短切り込み部10Sとを形成すると、
図3に示すように、付箋シートX1を特に付箋部1Tにかかる部分を撓ませるなどした際に、付箋部1Tの非粘着部1Eの長切り込み部側近傍が短切り込み部側近傍よりも剥離シート3から広く浮くようになり、当該浮いた部分を摘みやすく、また引っ張りやすくなる。すなわち、アンカット部11を境界として粘着部1Aにかかる部分までに至る各切り込み線の長さが等しい場合と比較して剥離操作がし易くなる。
【0030】
また、付箋部1Tを付箋基材シート1の他の部分から完全に別体とすべく、アンカット部11を切断する分離操作を行なう際には、その浮いた広い部分を摘んで引っ張るとアンカット部11に加わる力が剥離方向により強く加わり、アンカット部11が切断されやすく分離操作の際に、付箋部1Tがアンカット部11を起点として破損するおそれが格段に小さくなる。
【0031】
また、切り込み線10は付箋部1Tを囲む線として視認できるため、剥離操作を行なう者は、長切り込み部10Lと短切り込み部10Sとの長さの差を瞬時に視認することができ、直感的に摘みやすい長切り込み部10Lの近傍を摘みやすい。このことからも本発明の付箋シートX1では、付箋部1Tの剥離操作がし易い。
【0032】
ここで、粘着部1Aと非粘着部1Eの面積の比率は20:80〜70:30とするのが望ましい。非粘着部1Eにかかる部分のアンカット部11の切断が容易にされ、アンカット部11を起点とする付箋部の破れが生じ難くなる。
【0033】
また、アンカット部11の具体的な長さは、0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.6mm、アンカット部11の長さL1と長切り込み部との長さL2の比が0.7:99.3〜3:97とするのが望ましい。非粘着部にかかる部分のアンカット部の切断が容易にされ、アンカット部を起点とする付箋部の破れが生じ難くなる。
【0034】
さらに、付箋の一般的な大きさ、剥離操作時の摘みやすさ、長切り込み部近傍の浮かせやすさ等を考慮すると、長切り込み部の長さL2の具体的な長さは20〜50mm、より好ましくは24〜46mm、短切り込み部の長さL3の具体的な長さは5〜25mm、より好ましくは6〜21mmとするのが望ましい。
【0035】
また、長切り込み部の長さL2と短切り込み部の長さL3との長さの比率は、90:10〜55:45、好ましくは70:30〜60:40とするのが望ましい。上記長切り込み部10Lと短切り込み部10Sを設けた効果が顕著なものとなる。
【0036】
さらに、本発明においては、より好ましくは、付箋部1Tの少なくとも非粘着部1Eにかかる部分の平面視形状について、上記長切り込み部10Lにかかる部分に角部がある形状とするのが望ましい。このように角部があると、当該角部を起点として付箋部1Tの長切り込み部10Lの近傍が剥離シート3から浮きやすくなり、長切り込み部近傍を摘みやすくなる。
【0037】
特には、付箋シートX1は、切り込み線10で囲まれる付箋部1Tの平面視形状が、角丸四角形又は四角形であり、非粘着部1Eにかかる部分に前記角丸四角形又は四角形の二つの角部13,13が位置し、かつその二つの角部13,13が前記長切り込み部10Lと前記短切り込み部10Sとにそれぞれ位置しているものとするのが望ましい(
図1では代表的に付箋部1Tの平面視形状が角丸四角形の形態を示す。)。かかる付箋シートX1では、角部13を起点として長切り込み部10Lの近傍を浮かせやすく、剥離操作がしやすいものとなるとともに、非粘着部1Eにかかるアンカット部11が切り込み線10の直線部分に位置することになるため、付箋部1Tのアンカット部11を起点とする破損も効果的に防止される。さらに、切り込み線10の形成も容易なものとなる。
【0038】
なお、本発明にかかる付箋シートX1における付箋部1Tの平面視形状は、上記形態に限られるわけではなく、図示はしないが、楕円、真円、粘着側端及び/又は非粘着側端が円弧である形状とすることもでき、さらに本発明の効果を妨げない範囲で適宜の形状とすることができる。
【0039】
他方、本発明の付箋基材シート1の素材としては、特に限定されることなく、この種の付箋シートに用いられる適宜のシートの素材とすることができる。具体例としては、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙、樹脂製フィルムシート、各種紙とフィルムとの積層シート等を使用することができる。
【0040】
また、付箋基材シート1の粘着剤層2が位置する面と反対面には、付箋部1Tの視認性、装飾性を向上させるべく、また付箋部1Tの機能を視覚的に理解されやすくすべく、種々の模様な情報を印刷によって設けることができる。この場合には、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の既知の印刷技術により模様、情報を印刷することができる。
【0041】
他方、本発明にかかる粘着剤層2は、既知の粘着剤を用いて形成される。粘着剤の具体例としては、ホットメルト粘着剤、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。なお、これらの粘着剤のなかで最も好ましいのは乾燥性に優れるとともに、乾燥後に紙面の凹凸が発現しがたく印刷適性に優れる付箋シートとすることができるホットメルト粘着剤である。
【0042】
また、前記粘着剤層2は、前記付箋基材シート1に対して、付箋部1Tの形状及びその位置に対応すべく既知の粘着剤をパターン塗工、印刷することで設けることができる。なお、付箋部1Tにかからない部分における粘着剤層2の配置態様については本発明では限定されないが、付箋部T1の非粘着部1Eの浮きをより好ましく行なうためには、付箋基材シート1と剥離シート3との積層一体性が良好であるのが望ましいことから、付箋部1Tにかからない部分においても適宜粘着剤層2が設けられているのが望ましい。特に、特に非粘着部の外方周縁部分が浮かないようにすべく、少なくとも当該外方周縁部分に粘着剤層2が位置されて、当該外方周縁部分と剥離シート3との一体性が高められているのが望ましい。但し、切り込み線を介して機能する非粘着部の浮きを良好とすべく、当該外方周縁部に粘着剤層を位置させる場合には、切り込み線から外方周縁部の粘着剤層まで0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上の間隔があるのが望ましい。図示例では、非粘着部1Eとその付箋部外方の所定範囲を除く部分の全体に粘着剤層2が形成されており、当該付箋部1Tの粘着部1Aと付箋部1T以外の粘着剤層2とが一体的となっている。
【0043】
付箋部1Tにかからない部分における粘着剤層2の配置態様については本発明では限定されないが、付箋部T1の非粘着部1Eの浮きをより好ましく行なうためには、非粘着部1E以外の部分における付箋基材シート1と剥離シート3との積層一体性が良好であるのが望ましいことから、付箋部1Tにかからない部分においても適宜粘着剤層2が設けられているのが望ましい。なお、図示例では、非粘着部1E以外の部分の全体に粘着剤層2が形成されており、当該付箋部1Tの粘着剤部1Aと付箋部1T以外の粘着剤層とが一体的となっている。
【0044】
ここで、粘着剤層2は、付箋部1Tを付箋として冊子などの対象物に貼付する際の粘着力、剥離強度を適宜の値に調整すべく、粘着剤を平面視で網目状、格子状、点在状に配してもよいし、粘着剤を塗工して層を形成した後に、これに重ねて平面視で網目状、格子状、点在状に糊殺し層を設けたものであってもよい。粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、10〜50μm、好ましくは20〜30μm程度である。10μm以下だと粘着力が不足し、付箋の機能を果たさなくなるおそれがあり、50μm以上になると粘着剤層2を形成するのが困難となることがある。
【0045】
他方、本発明にかかる剥離シート3は、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙等の剥離基材シートの少なくとも粘着剤層2に対面する一方面が離型処理された剥離紙を用いることができる。離型処理は離型処理剤の塗工・印刷によって行なうことができる(
図2において離型処理剤の層は3Aで示す)。
【0046】
離型処理剤の具体例としては、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の離型処理剤を用いることができる。剥離性の調整のために、離型処理剤は、平面視で網目状、格子状、点在状に配してもよい。離型処理剤によって形成される層の厚さは、特に限定はされないが、通常0.1〜10μmである。
【0047】
また、剥離シート3は、剥離紙のほか素材そのものが粘着剤に対して剥離可能な樹脂製フィルムや樹脂製フィルムと紙との積層シート、紙に樹脂層を設けたラミネート紙などを用いることもできる。
【0048】
なお、本発明の付箋シートX1の層構造の形成に関しては、付箋基材シート1の一方面に粘着剤層2を付箋部1Tの粘着部に対応するように部分的に形成し、これに対して上記剥離紙3など予め一方面が前記粘着剤層2に離型性を示す面を有する剥離シート3を重ね合わせて積層一体化して形成することができる。
【0049】
他方、本発明においては、付箋基材シート1への粘着剤層2の浸透、剥離基材シート1への強接着剤層3Bの浸透を防止して、粘着剤、強接着剤、離型処理剤の使用量を低下させてコストを低減させるべく付箋基材シート1の粘着剤層面側、剥離基材シート3Aの強接着剤層面側、離型処理剤層面側に、適宜目止め剤を塗工・印刷して目止め層(図示はしない)を形成してもよい。目止め剤としては、例えば、コート紙等の塗工紙に使用される無機顔料や有機顔料とこれらを接着するための水溶性高分子やラテックスと必要に応じて加えられる滑剤等の助剤とを含む塗工液、酸化重合タイプのオフセット印刷インキに各種油脂類を加えたもの、熱乾燥タイプの印刷インキに各種油脂類を加えたもの、UV硬化型インキ等を使用することができる。
【0050】
他方、本発明の付箋シートX1では、粘着剤層2と剥離シート3との剥離強度は、JIS Z 0237の10にある180度引き剥し粘着力の測定において4〜30N/25mm、好ましくは6〜20N/25mmとするのが望ましい。付箋部の剥離がしやすくなる。なお、上記剥離強度は、付箋部1Tにあるアンカット部を考慮しない数値である。
【0051】
他方、本発明の付箋シートX1では、付箋部1Tの非粘着部1Eにかかる部分のJIS P 8143に基づく剛度(クラーク剛度、縦方向)が100〜600cm
3/100であるのが望ましい。
【0052】
なお、ここでの付箋部1の非粘着部1Eの剛度とは、非粘着部1Eを粘着剤層2を形成しない態様とする場合には付箋基材シート1のそのものの剛度、非粘着部1Eを粘着剤層2の糊殺し処理により形成する場合には付箋基材シート1の一方面に粘着剤層2と糊殺し層を設けたシートの剛度である。かかる剛度であると、付箋シートX1の付箋部形成面側が凸となるように撓ませる操作をすると、付箋部1Tの非粘着部10が剥離シートから剥離して浮きやすくなり、もって非粘着部1Eの長切り込み部10Lの近傍が摘みやすくなり、付箋部1Tのその他の部分からの切り取り操作がし易くなる。また、付箋部1Tの非粘着部1Eの剛度が、この範囲外であると、付箋シートX1の撓みに追従して非粘着部1Eが変形し、非粘着部1Eの剥離シートからの浮きが生じないことがある。
【0053】
なお、図示例の付箋部1Tにおいては、粘着部1Aにかかる切り込み線10の部分にもアンカット部12を形成しているが、このアンカット部12は設けなくてもよい。また、その数を2以上としてもよい。また、粘着部にかかる切り込み線10については、ミシン目線などにより形成してもよい。但し、スリット線のほうが付箋部1Tの分離操作がしやすく望ましい。
【0054】
〔付箋シートの第2の実施形態〕
次いで、本発明の付箋シートX1の第2の実施の形態を
図4〜5を参照しながら説明する。この形態は、前記付箋部1Tは非粘着部1Eにかかる部分の3箇所以上(図示例では3カ所)に、切り込み線10が切り込まれていないアンカット部11を有する形態である。この形態においては、それらのアンカット部11のうち非粘着部1Eとの境界から遠い位置にある3つのアンカット部11の間の切り込み線の長さが異なっていて、前記切り込み線が、その長さの長い第1切り込み部10L(第1の実施の形態における長切り込み部10Lに相当)と、それよりも長さの短い第2切り込み部10S(第1の実施の形態における短切り込み部10Sに相当)とを有している。
【0055】
その他の構成・効果・作用については、上記第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。本形態は、粘着部に対して、非粘着部の面積が広い場合に、非粘着部の意図しないめくれや剥離をより効果的に防止することができる。
【0056】
〔付箋シートの第3の実施形態〕
次いで、本発明の付箋シートX1の第2の実施の形態を
図6及び
図7を参照しながら説明する。この形態は、前記付箋部1Tは非粘着部1Eにかかる部分の2箇所に、切り込み線10が切り込まれていないアンカット部11A,11Bを有しており、各アンカット部11A,11Bから粘着部1Aにかかる部分までの距離が異なっている。
【0057】
そして、非粘着部にかかる切り込み線部10は、各アンカット部間と各アンカット部から粘着部と非粘着部との境界までの間の3つの切り込み部を有し、各アンカット部間に位置する第1切り込み部10L(第1の実施の形態における長切り込み部10Lに相当し、以下の形態では、長切り込み部10Lとして扱う)とされ、各アンカット部から粘着部と非粘着部までの境界までがそれぞれ第2切り込み部10S(第1の実施の形態における短切り込み部10Sに相当し、以下の形態では短切り込み部として扱う)及び第3切り込み部10Tとされている。
【0058】
そして、本形態においては、各切り込み部の関係が、前記第2切り込み部10Sの長さL3が第3切り込み部10Kの長さL4よりも長く、かつ、第1切り込み部10Lの長さL2と第2切り込及び部10Sの長さL3とが同じ長さか又は第1切り込み部10Lの長さL2が第2切り込み部10Sの長さL3よりも長い。なお、図示例においては、好ましい形態であり、第1切り込み部10Lの長さL2が第2切り込み部10Sの長さL3よりも長くなっている。
【0059】
他方、本形態においては、上述の四角形、角丸四角形とする形態の場合、
図6に示すように、第1の実施の形態と同様に、二つの角部13,13が第1切り込み部10Lと第2切り込み部10Sとにそれぞれ位置しているものとすることができる他、
図7に示すように、第1切り込み部10Lに二つの角部13,13が位置しているものとしてもよいし、さらに図示はしないが、楕円、粘着側端及び/又は非粘着側端が円弧である形状とする場合において、楕円、円弧の頂点を有するようにすることができる。
【0060】
この第1切り込み部10Lに二つの角部13,13等が位置されている態様は、非粘着部の面積が狭く、非粘着部の意図しないめくれや剥離のおそれが小さい場合において、剥離操作を良好なものとすることができる。
【0061】
その他の構成・効果・作用については、上記第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。本形態は、粘着部に対して、非粘着部の面積が広い場合に、非粘着部の意図しないめくれや剥離をより効果的に防止することができる。
【0062】
〔複数の付箋部を有する付箋シートの形態〕
他方、本発明の付箋シートX1では、複数の付箋部1T,1T…を有するものとすることができる。この場合、
図8に示されるように、各付箋部1T,1T…が離間しているとともに、各付箋部1T,1T…の粘着部1A,1A…と非粘着部1E,1E…との位置関係と、長切り込み部10L,10L…と短切り込み部10S,10S…の位置関係が、平面視で紙面に対してすべて同じ方向となるようにすることができる。
【0063】
より具体例をもって説明すると、付箋シートX1の付箋基材シート1面に模様や情報が印刷されて紙面の上下方向が理解される場合、複数の付箋部1T,1T…のすべてについて、それらの非粘着部1E,1E…が紙面の上方又は下方に位置し、複数の付箋部1T,1T…のすべてについて、短切り込み部10S,10S…が紙面の左右方向の何れかに位置するような形態とすることができる。
【0064】
このようにすると、付箋部1T,1T…が整然と並んでいることから視認性に優れるとともに、各付箋部1T,1T…の剥離操作がすべて同じ方向に引っ張る操作となるため剥離操作を理解するさいに煩雑さがなく、また、一つの付箋部1Tの剥離操作をした際に、他の付箋部1T,1T…が意図せず剥離するなどの悪影響がない。
【0065】
また、複数の付箋部1T,1T…を有するものとする場合には、上記各付箋部が互いに離間している形態の他、
図9に示すように、各付箋部1T,1T…の粘着部1A,1A…と非粘着部1E,1E…との位置関係が平面視で紙面に対してすべて同じ方向となっているとともに、隣接する付箋部同士で長切り込み部10L,10Lの一部、短切り込み部10S,10…の一部が共有されるように配列することができる。この形態では、付箋基材シート1の紙面を有効に利用することができる。
【0066】
また、ある付箋部1Tについて長切り込み部側から剥離操作をする際に、隣接する付箋部では紙面の同方向側に短切り込み部が位置されるため、複数の付箋部1T,1T…が一度に剥離シート3から剥離するおそれが小さくなる。
【0067】
〔付箋シートを添付した冊子の形態〕
他方、本発明にかかる付箋シートX1は、一枚のシート状をなすことから、冊子に添付するにあたって、冊子の頁間に挿入させて添付することができる。
【0068】
特に冊子との一体性を高めるべく、付箋シートX1の端縁部を冊子の他の頁と一体に綴じ込むことで、冊子の任意の頁として構成することができる。
【0069】
ここで、このような任意の頁とする場合においては、上記の
図8の形態の付箋シートでは、各付箋部1T,1T…の非粘着部1E,1E…が冊子の上下方向の何れかの側に位置しかつ短切り込み部10S,10Sがある側が冊子の綴じ込み側に位置するようにして、付箋シートX1を冊子に綴じ込むようにするのが望ましい(
図8において冊子に綴じ込む場合の綴じ込み側は二点鎖線矢印でしめしている)。通常、冊子では綴じ込まれていない自由端側を強く撓ませることができるので、かかる綴じ込み側と短切り込み部10Sとの位置関係とすると付箋部1Tの長切り込み部10Lの近傍が浮きやすく、剥離操作がし易くなる。
【0070】
〔付箋の使用方法〕
ここで、本発明にかかる付箋シートX1の特に付箋部1Tを付箋として使用する態様について説明しておくと、本発明にかかる付箋シートX1では、まず上記説明のとおり付箋部1Tを長切り込み部10Lの近傍を剥離シート3から浮かせるようにして剥離操作を行ない、その浮いた部分を摘んで引っ張り、アンカット部11を切断して、付箋基材シート1の他の部分から付箋部1Tを分離別体化して、一つの付箋とする。そして、その付箋の粘着部1Aを冊子の任意の頁に対して、非粘着部1Eが冊子の任意の頁の外方に露出するようにして接着させる。
【0071】
冊子を読む者は冊子を閉じたのちにも当該任意の頁の外方に露出する非粘着部1Eを目印として、当該頁を再度素早く開くことができるようになる。