【実施例】
【0061】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0062】
参考例 高感染性HCV(pTPF1/4B)の構築(特許文献1、配列番号57)
【0063】
《参考例1:劇症C型肝炎ウイルス全長遺伝子の単離及び解析》
(A)血清からのRNAの抽出
劇症肝炎患者の急性期に採取した血清250μLより、High Pure Viral Nucleic Acid Kit (Roche diagnostics corporation)を用い、メーカーの推奨する方法に従い、RNAを精製した。
【0064】
(B)cDNAの合成及びPCRによるcDNAの増幅
精製したRNAにXR58Rプライマーを加え、SuperSucript II reverse transcriptase (Invitrogen社)により、メーカーの推奨する方法に従い、42℃、1時間逆転写反応を行わせ、cDNAを得た。得られた反応液にRNaseH(Invitrogen)を加え、37℃、30分反応させ、RNAを分解した。この反応液を、HC-LongA1プライマーと1b9405Rプライマー及びTakara LA Taq DNA polymerase (宝酒造)を用い、94℃、20秒、68℃、9分間からなる30回のサーマルサイクル反応によるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行い、cDNAを増幅した。更に、得られた反応液の一部を、HC85FとHC9302Rプライマーを用いてPCRを行い、HCV cDNAを増幅した。
【0065】
(C)cDNAのクローニング
増幅したDNA断片は、0.7%アガロースゲルを用い電気泳動によって分離し、QIAquick gel purification kit (QIAGEN社)を用い、メーカーの推奨する方法に従って、DNA断片を回収した。回収したDNA断片は、pGEM-T easyベクター(Promega社)と連結反応させ、そのプラスミドによりDH5α株を形質転換した。アンピシリン耐性の形質転換体を選択し、2YT培地を用いて培養した。培養した菌体からWizard Plus SV Miniprep DNA Purification Systemを用いプラスミドを精製した。
【0066】
(D)塩基配列の決定
HCV cDNAの塩基配列は、HCVの遺伝子型1bの塩基配列に基づいて設計したプライマーを用い、決定した。CEQ DTCS Quick Start Kit(ベックマン・コールター)を用い、メーカーの推奨する方法に従い、反応を行い、CEQ2000 XL DNA analysis system (Software version 4.0.0、ベックマン・コールター)により解析した。得られたデータをSequencher (Version 4.1.2、Gene Codes Corporation)により解析した。得られたHCVクローンをpTPF1-0193と命名した。
【0067】
(E)5’非翻訳領域のcDNAの取得と塩基配列の決定
更に、前記の(A)の工程で得られたRNAより、5’RACE法により、5’非翻訳領域の末端のcDNAを取得した。5’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends, Version2.0 (Invitrogen社)のキットを用い、添付の指示書に従って、実施した。
cDNA合成のためのアンチセンスプライマーは、Chiba-asを使用した。SuperScript II Reverse Transcriptase(Invitrogen)でcDNAを合成し、S.N.A.P columnで精製後、cDNAにTdT-tailing反応を行い、dCTPを付加した。キットに添付の5’RACE Abridged Anchorプライマー及びKY78プライマーでTakara LA Taq DNA polymerase(宝酒造)を用いて、1回目のPCRを行った。このPCR産物の一部を鋳型として、キットに添付のUTPプライマーとKM2プライマーで、Takara LA Taq DNA polymerase(宝酒造)を用いて2回目のPCRを行い、PCR産物を得た。このPCR産物をpGEM-T easyベクターにクローニングし、前記(D)の工程に従い、塩基配列を決定した。得られた配列における第1位から第709位までを含むHCV cDNAクローンをpTPF1-0007と命名した。
【0068】
(F)3’非翻訳領域のcDNAの取得と塩基配列の決定
前記の(A)の工程で得られたRNAより、3’RACE法により、3’非翻訳領域の末端のcDNAを取得した。まず、患者のRNAにPoly(A) Tailing Kit(Ambion)を用いて、添付の指示書に従い、Poly(A)を付加した。XR58Rプライマーの代わりにdT-Adpプライマーを、1st PCRのプライマーとして3UTR-1Fプライマー及びAdpプライマーを、2nd PCRのプライマーとしてXR58F及びAdpプライマーを用いた以外は、前記工程(B)〜(D)の操作を繰り返した。得られたHCV cDNAクローンを pTPF1-8994と命名した。
【0069】
得られたHCV株をTPF1株と命名した。TPF1株は、全長9594塩基のHCVであった。得られたTPF1株のポリヌクレオチドは、その342番から9374番の間に、3010個の一つながりのアミノ酸をコードする翻訳領域を有するものであった。
【0070】
《参考例2:サブジェノミックRNAレプリコンの作成》
C型肝炎ウイルスTPF1株の全長のポリヌクレオチドを、pBluescriptIISK(+)のT7 RNAプロモーター配列の下流に挿入した(以下、pTPF1と称する)。
【0071】
次に、pTPF1の構造タンパク質をコードする領域と非構造タンパク質をコードする領域の一部を、ネオマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンリン酸転移酵素、NPT-II)及びEMCV-IRES(脳心筋炎ウイルスの内部リボゾーム結合部位)と入れ替えて、plasmid DNA pRepTPF1を構築した。この構築手順は、既報(Lohmann et al., Science, (1999) 285, p.110-113)に従った。
【0072】
具体的にはまずpTPF1を制限酵素AgeI及びBsrGIで切断し、その切断部位に、pTPF1由来の5’UTRからCore領域におよぶ配列とpcDNA3.1(+)由来のネオマイシン耐性遺伝子とをPCR増幅により増幅し制限酵素AgeIとPmeIで切断した断片、及びEMCV-IRESからNS3領域におよぶ配列をPCR増幅により結合し制限酵素PmeI及びBsrGIで切断した断片を連結挿入した。このplasmid DNA pRepTPF1をXbaIで切断したものを鋳型に、Megascript T7 kit (Ambion)を用いてRNAを合成した。メーカーの推奨する方法にてRNAを精製した。
【0073】
ヒト肝がん細胞(Huh7、JCRB0403)はDulbecco’s modified Eagle medium (D-MEM, IWAKI)に10%ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリンとストレプトマイシンをそれぞれ50 U/mL、50 μg/mLとなるように加えたものを培養液として、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を行った。コンフルエントになる前の細胞をトリプシン、EDTA処理により培養皿から剥離させ、血清添加培地に再懸濁することによりトリプシンを不活化する。PBSで2回洗浄後、1.25% DMSOを添加したCytomix(120mM Potassium chloride、10mM Potassium phosphate、5mM Magnesium chloride、25mM HEPES、0.15mM Calcium chloride、2mMEGTA、pH7.6)に再懸濁し、ギャップ0.4 cmのエレクトロポレーションキュベットに移す。
【0074】
適当量のRNAを細胞に加えた後、5分間氷上で十分冷却する。エレクトロポレーター(Bio-Rad)で、960uF、250Vにてパルスを加える。直ちに8mLの培地に再懸濁し、一部をプレートに播く。一定時間培養した後、培養プレートにG418(ネオマイシン)を1mg/mLの濃度で添加した。その後、4日間隔で培養液を交換しながら培養を継続した。播種時から約20日間培養後の培養プレートから生存細胞のコロニーをクローン化し、培養を継続した。このようなコロニーのクローニングにより、pRepTPF1レプリコンRNAが自律複製している細胞を樹立することができた。レプリコンRNA複製の有無は、細胞性RNAに含まれる複製レプリコンRNAのコピー数を、定量的RT-PCR法にて解析した。
【0075】
マイナス鎖の定量方法
レプリコンRNAの自律複製が起こっていることは、細胞中にHCV RNAの5’UTR領域のマイナス鎖が検出できるか否かで調べた。マイナス鎖の特異的な定量法は特願平08−187097号公報に記載のマイナス鎖RNAの特異的検出法と同様の方法で行った。
pRepTPF-1を鋳型にin vitroで合成したRNAをエレクトロポレーションで導入した細胞から、有意な量のマイナス鎖が検出でき、細胞内においてレプリコンRNAが自律的に複製していることが確認された。
【0076】
《参考例3:適応変異の解析》
参考例2に従って、pRepTPF1を鋳型にin vitroで合成したRNAをHuh7細胞へトランスフェクションすることで樹立したレプリコンRNA複製細胞株から、ISOGEN(日本ジーン)を用いて、メーカーの推奨する条件に従い細胞内RNAを抽出した。
【0077】
この細胞内RNAから参考例1でTPF1より遺伝子を取得したのと同様の手順で、レプリコンRNAのほぼ全領域にわたるDNAを増幅した。具体的には、抽出した細胞内RNAを鋳型としてSuperSucript II reverse transcriptase (Invitrogen)とXR58RプライマーとによりレプリコンRNAに対するcDNAを合成した。
【0078】
このcDNAの一部をPCRにより増幅し、pGEM-T easyベクターにクローニングしたクローンの配列を決定したところ、塩基数5752番目のAがT、6237番目のGがAへの置換が認められた。その結果、アミノ酸番号1804に相当するアミノ酸がQ(グルタミン)からL(ロイシン)、アミノ酸番号1966に相当するアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リジン)へそれぞれ変異した。
【0079】
次に、前記のアミノ酸置換がレプリコンRNAの複製に及ぼす影響について検討した。まず、参考例2において作製したHCV RNAレプリコン pRepTPF1にアミノ酸番号1804(QからLへ)及びアミノ酸番号1906(EからKへ)の適応変異をQuick Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いメーカーの推奨する方法に従い、導入した。このアミノ酸置換を導入したレプリコンRNAをpRep4Bと命名した。
【0080】
変異を引き起こす塩基配列を有しないpRepTPF1及びアミノ酸変異を有するpRep4Bのplasmid DNAをXbaIで切断したものを鋳型に、Megascript T7 kit (Ambion)を用いてRNAを合成した。メーカーの推奨する方法にてRNAを精製した。精製したそれぞれのRNAをHuh7細胞にトランスフェクションし、G418存在下で約20日間培養を行いクリスタルバイオレットで生存細胞を染色した。染色されたコロニー数を計測し、トランスフェクションしたレプリコンRNA量1μg当りのコロニー数を計算した。
【0081】
RepTPF1 RNA 1μgをトランスフェクションした場合には1個のG418耐性コロニーが選択され、Rep4B RNA 1μgをトランスフェクションした場合には10
4個のコロニーが選択された。つまり、レプリコンRNAにおけるアミノ酸変異を引き起こす塩基変異は、Huh7細胞においてレプリコンRNAの複製効率を増大させる適応変異であると考えられた。
【0082】
《参考例4:HCV RNAの複製に対する適応変異の効果》
参考例2において作成した完全長HCV DNA pTPF1を制限酵素SfiIで切断し、その切断部位に、pRep4Bを制限酵素SfiIで切断した断片を連結挿入することで、適応変異が挿入された完全長HCV DNA pTPF1/4Bを作製した。この塩基配列(RNAで 表記)を配列番号57、これがコードするアミノ酸配列を配列番号58に示す。
【0083】
《実施例1:HCV/GBV−Bキメラ遺伝子の構築》
(1)C156キメラ遺伝子(配列番号55)
ヒト肝がん細胞株で増殖が確認されているHCV遺伝子を含む上記pTPF1/4BをAge Iプライマー5’−GGAACCGGTGAGTACACCGGAATTGCCAGG−3’(配列番号101)とSpl Iプライマーの5’−ACCCGTACGCCATGCGCCAGGGCCCTGGCAG−3’(配列番号102)の存在下で、Takara EX Taq DNA polymerase(宝酒造)を用い、94℃、20秒、68℃、30秒間からなる20回のサーマルサイクル反応によるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行うことにより、TPF1ゲノムの5’UTRからコア蛋白の156番目までを増幅した。
【0084】
増幅した断片は、0.7%アガロースゲル電気泳動によって分離し、QIAquick gel purification kit(QIAGEN)を用い、メーカーの推奨する方法にてDNA断片を回収した。回収したTPF1断片は、メーカーの推奨する方法に従いpGEM−T easyベクター(Promega)と連結反応させ、そのプラスミドによりDH5α株を形質転換させた。アンピシリン耐性で、IPTGとX−galを加えた寒天培地上での平板培養で白色コロニーを形成する形質転換体を選び、アンピシリンを100μg/mLとなるよう加えた2YT培地にて培養した。培養した菌体からWizard Plus SV Miniprep DNA Purification Systemを用いplasmidを精製した。
【0085】
精製したプラスミドに組み込まれているTPF1断片の配列は、ベクター及びHCV配列に適合する適宜準備したプライマーを用い、CEQ DTCS Quick Start Kit(ベックマン・コルター)により、メーカーの推奨する方法に従い反応を行い、CEQ2000 XL DNA analysis system(Software version 4.0.0、ベックマン・コールター)により解析した。得られたデータを基に、Sequencher(Version 4.1.2、Gene Codes Corporation)を用い配列データの統合、解析を行いpTPF1−AgeSplの塩基配列を確認した。
【0086】
一方、GBV−Bの外皮蛋白を含む遺伝子については、コア蛋白124番目からp6蛋白までの遺伝子を以下の合成遺伝子を用いて構築した。
GBBC−s1(配列番号1):5’−CGTACGCTTGCTGGAGGATGGAGTCAACTGGGCTACTGGTTGGTTCGGTGTCCACCTTTT−3’
GBBCE1−s2(配列番号2):5’−TGTGGTATGTCTGCTATCTTTGGCCTGTCCCTGTAGTGGGGCGCGGGTCACTGACCCAGA−3’
GBBE1−s3(配列番号3):5’−CACAAATACCACAATCCTGACCAATTGCTGCCAGCGTAATCAGGTTATCTATTGTTCTCC−3’
GBBE1−s4(配列番号4):5’−TTCCACTTGCCTACACGAGCCTGGTTGTGTGATCTGTGCGGACGAGTGCTGGGTTCCCGC−3’
GBBE1−s5(配列番号5):5’−CAATCCGTACATCTCACACCCTTCCAATTGGACTGGCACGGACTCCTTCTTGGCTGACCA−3’
GBBE1−s6(配列番号6):5’−CATTGATTTTGTTATGGGCGCTCTTGTGACCTGTGACGCCCTTGACATTGGTGAGTTGTG−3’
GBBE1−s7(配列番号7):5’−TGGTGCGTGTGTATTAGTCGGTGACTGGCTTGTCAGGCACTGGCTTATTCACATAGACCT−3’
GBBE1−s8(配列番号8):5’−CAATGAAACTGGTACTTGTTACCTGGAAGTGCCCACTGGAATAGATCCTGGGTTCCTAGG−3’
GBBE1−s9(配列番号9):5’−GTTTATCGGGTGGATGGCCGGCAAGGTCGAGGCTGTCATCTTCTTGACCAAACTGGCTTC−3’
GBBE1−s10(配列番号10):5’−ACAAGTACCATACGCTATTGCGACTATGTTTAGCAGTGTACACTACCTGGCGGTTGGCGC−3’
GBBE1−s11(配列番号11):5’−TCTGATCTACTATGCCTCTCGGGGCAAGTGGTATCAGTTGCTCCTAGCGCTTATGCTTTA−3’
GBBE12−s12(配列番号12):5’−CATAGAAGCGACCTCTGGAAACCCCATCAGGGTGCCCACTGGATGCTCAATAGCTGAGTT−3’
GBBE2−s13(配列番号13):5’−TTGCTCGCCTTTGATGATACCATGTCCTTGCCACTCTTATTTGAGTGAGAATGTGTCAGA−3’
GBBE2−s14(配列番号14):5’−AGTCATTTGTTACAGTCCAAAGTGGACCAGGCCTATCACTCTAGAGTATAACAACTCCAT−3’
GBBE2−s15(配列番号15):5’−ATCTTGGTACCCCTATACAATCCCTGGTGCGAGGGGATGTATGGTTAAATTCAAAAATAA−3’
GBBE2−s16(配列番号16):5’−CACATGGGGTTGCTGCCGTATTCGCAATGTGCCATCGTACTGCACTATGGGCACTGATGC−3’
GBBE2−s17(配列番号17):5’−AGTGTGGAACGACACTCGCAACACTTACGAAGCATGCGGTGTAACACCATGGCTAACAAC−3’
GBBE2−s18(配列番号18):5’−CGCATGGCACAACGGCTCAGCCCTGAAATTGGCTATATTACAATACCCTGGGTCTAAAGA−3’
GBBE2−s19(配列番号19):5’−AATGTTTAAACCTCATAATTGGATGTCAGGCCATTTGTATTTTGAGGGATCAGATACCCC−3’
GBBE2−s20(配列番号20):5’−TATAGTTTACTTTTATGACCCTGTGAATTCCACTCTCCTACCACCGGAGAGGTGGGCTAG−3’
GBBE2−s21(配列番号21):5’−GTTGCCCGGTACCCCACCTGTGGTACGTGGTTCTTGGTTACAGGTTCCGCAAGGGTTTTA−3’
GBBE2−s22(配列番号22):5’−CAGTGATGTGAAAGACCTAGCCACAGGATTGATCACCAAAGACAAAGCCTGGAAAAATTA−3’
GBBE2−s23(配列番号23):5’−TCAGGTCTTATATTCCGCCACGGGTGCTTTGTCTCTTACGGGAGTTACCACCAAGGCCGT−3’
GBBE2−s24(配列番号24):5’−GGTGCTAATTCTGTTGGGGTTGTGTGGCAGCAAGTATCTTATTTTAGCCTACCTCTGTTA−3’
GBBE2P6−s25(配列番号25):5’−CTTGTCCCTTTGTTTTGGGCGCGCTTCTGGTTACCCTTTGCGTCCTGTGCTCCCATCCCA−3’
GBBP6−s26(配列番号26):5’−GTCGTATCTCCAAGCTGGCTGGGATGTTTTGTCTAAAGCTCAAGTAGCTCCTTTTGCTTT−3’
GBBP6−s27(配列番号27):5’−GATTTTCTTCATCTGTTGCTATCTCCGCTGCAGGCTACGTTATGCTGCCCTTTTAGGGTT−3’
GBBP6−as1(配列番号28):5’−GCCCGCAGCCATGGGCACAAACCCTAAAAGGGCAGCATAACGTAGCCTG−3’
GBBP6−as2(配列番号29):5’−CAGCGGAGATAGCAACAGATGAAGAAAATCAAAGCAAAAGGAGCTACTTGAGCTTTAGAC−3’
GBBP6−as3(配列番号30):5’−AAAACATCCCAGCCAGCTTGGAGATACGACTGGGATGGGAGCACAGGACGCAAAGGGTAA−3’
GBBE2−as4(配列番号31):5’−CCAGAAGCGCGCCCAAAACAAAGGGACAAGTAACAGAGGTAGGCTAAAATAAGATACTTG−3’
GBBE2−as5(配列番号32):5’−CTGCCACACAACCCCAACAGAATTAGCACCACGGCCTTGGTGGTAACTCCCGTAAGAGAC−3’
GBBE2−as6(配列番号33):5’−AAAGCACCCGTGGCGGAATATAAGACCTGATAATTTTTCCAGGCTTTGTCTTTGGTGATC−3’
GBBE2−as7(配列番号34):5’−AATCCTGTGGCTAGGTCTTTCACATCACTGTAAAACCCTTGCGGAACCTGTAACCAAGAA−3’
GBBE2−as8(配列番号35):5’−CCACGTACCACAGGTGGGGTACCGGGCAACCTAGCCCACCTCTCCGGTGGTAGGAGAGTG−3’
GBBE2−as9(配列番号36):5’−GAATTCACAGGGTCATAAAAGTAAACTATAGGGGTATCTGATCCCTCAAAATACAAATGG−3’
GBBE2−as10(配列番号37):5’−CCTGACATCCAATTATGAGGTTTAAACATTTCTTTAGACCCAGGGTATTGTAATATAGCC−3’
GBBE2−as11(配列番号38):5’−AATTTCAGGGCTGAGCCGTTGTGCCATGCGGTTGTTAGCCATGGTGTTACACCGCATGCT−3’
GBBE2−as12(配列番号39):5’−TCGTAAGTGTTGCGAGTGTCGTTCCACACTGCATCAGTGCCCATAGTGCAGTACGATGGC−3’
GBBE2−as13(配列番号40):5’−ACATTGCGAATACGGCAGCAACCCCATGTGTTATTTTTGAATTTAACCATACATCCCCTC−3’
GBBE2−as14(配列番号41):5’−GCACCAGGGATTGTATAGGGGTACCAAGATATGGAGTTGTTATACTCTAGAGTGATAGGC−3’
GBBE2−as15(配列番号42):5’−CTGGTCCACTTTGGACTGTAACAAATGACTTCTGACACATTCTCACTCAAATAAGAGTGG−3’
GBBE2−as16(配列番号43):5’−CAAGGACATGGTATCATCAAAGGCGAGCAAAACTCAGCTATTGAGCATCCAGTGGGCACC−3’
GBBE21−as17(配列番号44):5’−CTGATGGGGTTTCCAGAGGTCGCTTCTATGTAAAGCATAAGCGCTAGGAGCAACTGATAC−3’
GBBE1−as18(配列番号45):5’−CACTTGCCCCGAGAGGCATAGTAGATCAGAGCGCCAACCGCCAGGTAGTGTACACTGCTA−3’
GBBE1−as19(配列番号46):5’−AACATAGTCGCAATAGCGTATGGTACTTGTGAAGCCAGTTTGGTCAAGAAGATGACAGCC−3’
GBBE1−as20(配列番号47):5’−TCGACCTTGCCGGCCATCCACCCGATAAACCCTAGGAACCCAGGATCTATTCCAGTGGGC−3’
GBBE1−as21(配列番号48):5’−ACTTCCAGGTAACAAGTACCAGTTTCATTGAGGTCTATGTGAATAAGCCAGTGCCTGACA−3’
GBBE1−as22(配列番号49):5’−AGCCAGTCACCGACTAATACACACGCACCACACAACTCACCAATGTCAAGGGCGTCACAG−3’
GBBE1−as23(配列番号50):5’−GTCACAAGAGCGCCCATAACAAAATCAATGTGGTCAGCCAAGAAGGAGTCCGTGCCAGTC−3’
GBBE1−as24(配列番号51):5’−CAATTGGAAGGGTGTGAGATGTACGGATTGGCGGGAACCCAGCACTCGTCCGCACAGATC−3’
GBBE1−as25(配列番号52):5’−ACACAACCAGGCTCGTGTAGGCAAGTGGAAGGAGAACAATAGATAACCTGATTACGCTGG−3’
GBBE1C−as26(配列番号53):5’−CAGCAATTGGTCAGGATTGTGGTATTTGTGTCTGGGTCAGTGACCCGCGCCCCACTACAG−3’
GBBC−as27(配列番号54):5’−GGACAGGCCAAAGATAGCAGACATACCACAAAAAGGTGGACACCGAACCAACCAGTAGCCCA−3’
【0087】
各合成遺伝子の5’末端のリン酸化のため、T4 Polynucleotide Kinase(宝酒造)を用いてリン酸化反応を行った。これらのリン酸化産物を混合し、95℃から室温まで徐冷することで、各合成遺伝子をアニーリングさせ、Takara Ligation Kit(宝酒造)を用いて連結反応を行った。この連結物をKlenow Fragment(宝酒造)を用いて二本鎖DNA末端の平滑化を行った。この二本鎖DNAをpGEM−T easyベクターにクローニングし、塩基配列を決定し、目的のGBV−B遺伝子であることを確認した。
【0088】
また、pTPF1/4BのXba I部位をXho I部位に変換させるため、pTPF1/4Bに塩基数9594番目のTからCへの遺伝子変異をQuick Mutagenesis Kit(Stratagene)を用いメーカーの推奨する方法に従い、変異を導入した。この変異を導入したプラスミドをpTPF1/4B−Xhoと命名した。
【0089】
そして、pTPF1/4BからPCRによりクローニングされ、制限酵素で消化されたAge I−Spl I断片とpTPF1/4Bから制限酵素で消化されたBbvC I−Rsr II断片並びに制限酵素で消化されたGBV−B遺伝子のSpl I−BbvC I断片をpTPF1/4B−XhoのAge I−Rsr IIで消化されたベクターに連結することにより、GBV−B外皮蛋白を有するHCV/GBV−BキメラプラスミドpTPF/GBB−C156E12を構築した。
【0090】
(2)v11キメラ遺伝子(配列番号93)
pTPF1/4Bを前述のAge IプライマーとEcoR V(v11)プライマーの5’−GATATCGTACAGCCCGGATACGTTGCGCAC−3’(配列番号103)の存在下で、Takara EX Taq DNA polymerase(宝酒造)を用い、94℃、20秒、68℃、30秒間からなる20回のサーマルサイクル反応によるPCRを行うことにより、TPF1ゲノムの5’UTRからE1蛋白の11番目までを増幅した。この増幅産物を実施例1でHCV遺伝子断片(pTPF1−AgeSpl)を取得したのと同様の手法を用いpGEM−Teasyベクターと連結反応を行い、常法に従い配列を決定した。その結果、pTPF1−AgeEcoR(v11)の塩基配列を確認した。
【0091】
一方、GBV−Bの外皮蛋白を含む遺伝子については、pTPF/GBB−C156E12をSnaBIプライマー5‘−TACGTAACTGACCCAGACACAAATACCACA−3’(配列番号104)とBbvCIプライマー5‘−CCTCAGCCATGGGCACAAACCCTAAAAGGG−3’(配列番号105)の存在下で,Takara EX Taq DNA polymerase(宝酒造)を用い、94℃、20秒、68℃、90秒間からなる20回のサーマルサイクル反応によるPCRを行うことにより、GBV−B ゲノムのE1蛋白の3番目からp6蛋白までを増幅した。この増幅産物をpGEM−T easyベクターと連結反応を行い、配列を決定した。その結果、pGBV−B SnaBbvの塩基配列を確認した。
【0092】
そして、pTPF1/4BからPCRによりクローニングされ、制限酵素で消化されたAge I−EcoR V(v11)断片と制限酵素で消化されたGBV−B遺伝子のSna BI−BbvC I断片をpTPF1/4B−XhoのAge I−BbvCIで消化されたベクターに連結することにより、GBV−B外皮蛋白を有するHCV/GBV−BキメラプラスミドpTPF/GBB−v11E12を構築した。
【0093】
(3)v27キメラ遺伝子(配列番号95)
上記pTPF1/4Bを前述のAge IプライマーとEcoR V(v27)プライマーの5’−GATATCCGCTGCCTCATACACAATGCTTGA−3’(配列番号106)の存在下で、Takara EX Taq DNA polymerase(宝酒造)を用い、94℃、20秒、68℃、90秒間からなる20回のサーマルサイクル反応によるPCRを行うことにより、TPF1ゲノムの5’UTRからE1蛋白の27番目までを増幅した。この増幅産物を実施例1でHCV遺伝子断片(pTPF1−AgeSpl)を取得したのと同様の手法を用いpGEM−Teasyベクターと連結反応を行い、常法に従い配列を決定した。その結果、pTPF1−AgeEcoR(v27)の塩基配列を確認した。
【0094】
そして、pTPF1/4BからPCRによりクローニングされ、制限酵素で消化されたAge I−EcoR V(v27)断片と上述のpGBV−B SnaBbvを制限酵素Sna BI−BbvC Iで消化した断片をpTPF1/4B−XhoのAge I−BbvCIで消化されたベクターに連結することにより、GBV−B外皮蛋白を有するHCV/GBV−BキメラプラスミドpTPF/GBB−v27E12を構築した。
【0095】
(4)C6キメラ遺伝子(配列番号97)
TPF1の5‘UTRを有するGBV−Bのコア蛋白からE1の125番目までの遺伝子を以下の合成遺伝子を用いて構築した。
GBBC−s28(配列番号59):5‘−ACCGGTGAGTACACCGGAATTGCCAGGACGACCGGGTCCTTTCTTGGATCAACCCGCTCA−3’
GBBC−s29(配列番号60):5‘−ATGCCTGGAGATTTGGGCGTGCCCCCGCGAGACTGCTAGCCGAGTAGTGTTGGGTCGCGA−3’
GBBC−s30(配列番号61):5‘−AAGGCCTTGTGGTACTGCCTGATAGGGTGCTTGCGAGTGCCCCGGGAGGTCTCGTAGACC−3’
GBBC−s31(配列番号62):5‘−GTGCATCATGCCTGTTATTTCTACTCAAACAAGTCCTGTACCTGCGCCCAGAACGCGCAA−3’
GBBC−s32(配列番号63):5‘−GAACAAGCAGACGCAGGCTTCATATCCTGTGTCCATTAAAACATCTGTTGAAAGGGGACA−3’
GBBC−s33(配列番号64):5‘−ACGAGCAAAGCGCAAAGTCCAGCGCGATGCTCGGCCTCGTAATTACAAAATTGCTGGTAT−3’
GBBC−s34(配列番号65):5‘−CCATGATGGCTTGCAGACATTGGCTCAGGCTGCTTTGCCAGCTCATGGTTGGGGACGCCA−3’
GBBC−s35(配列番号66):5‘−AGACCCTCGCCATAAGTCTCGCAATCTTGGAATCCTTCTGGATTACCCTTTGGGGTGGAT−3’
GBBC−s36(配列番号67):5‘−TGGTGATGTTACAACTCACACACCTCTAGTAGGCCCGCTGGTGGCAGGAGCGGTCGTTCG−3’
GBBC−s37(配列番号68):5‘−ACCAGTCTGCCAGATAGTACGCTTGCTGGAGGATGGAGTCAACTGGGCTACTGGTTGGTT−3’
GBBC−s38(配列番号69):5‘−CGGTGTCCACCTTTTTGTGGTATGTCTGCTATCTTTGGCCTGTCCCTGTAGTGGGGCGCG−3’
GBBC−s39(配列番号70):5‘−GGTCACTGACCCAGACACAAATACCACAATCCTGACCAATTGCTGCCAGCGTAATCAGGT−3’
GBBC−s40(配列番号71):5‘−TATCTATTGTTCTCCTTCCACTTGCCTACACGAGCCTGGTTGTGTGATCTGTGCGGACGA−3’
GBBC−s41(配列番号72):5‘−GTGCTGGGTTCCCGCCAATCCGTACATCTCACACCCTTCCAATTGGACTGGCACGGACTC−3’
GBBC−s42(配列番号73):5‘−CTTCTTGGCTGACCACATTGATTTTGTTATGGGCGCTCTTGTGACCTGTGACGCCCTTGA−3’
GBBC−s43(配列番号74):5‘−CATTGGTGAGTTGTGTGGTGCGTGTGTATTAGTCGGTGACTGGCTTGTCAGGCACTGGCT−3’
GBBC−s44(配列番号75):5‘−TATTCACATAGACCTCAATGAAACTGGTACTTGTTACCTGGAAGTGCCCACTGGAATAGA−3’
GBBC−as28(配列番号76):5‘−CCTAGGAACCCAGGATCTATTCCAGTGGGCACTTCCAGGTAACAAGTACCAGTTTCATTG−3’
GBBC−as29(配列番号77):5‘−AGGTCTATGTGAATAAGCCAGTGCCTGACAAGCCAGTCACCGACTAATACACACGCACCA−3’
GBBC−as30(配列番号78):5‘−CACAACTCACCAATGTCAAGGGCGTCACAGGTCACAAGAGCGCCCATAACAAAATCAATG−3’
GBBC−as31(配列番号79):5‘−TGGTCAGCCAAGAAGGAGTCCGTGCCAGTCCAATTGGAAGGGTGTGAGATGTACGGATTG−3’
GBBC−as32(配列番号80):5‘−GCGGGAACCCAGCACTCGTCCGCACAGATCACACAACCAGGCTCGTGTAGGCAAGTGGAA−3’
GBBC−as33(配列番号81):5‘−GGAGAACAATAGATAACCTGATTACGCTGGCAGCAATTGGTCAGGATTGTGGTATTTGTG−3’
GBBC−as34(配列番号82):5‘−TCTGGGTCAGTGACCCGCGCCCCACTACAGGGACAGGCCAAAGATAGCAGACATACCACA−3’
GBBC−as35(配列番号83):5‘−AAAAGGTGGACACCGAACCAACCAGTAGCCCAGTTGACTCCATCCTCCAGCAAGCGTACT−3’
GBBC−as36(配列番号84):5‘−ATCTGGCAGACTGGTCGAACGACCGCTCCTGCCACCAGCGGGCCTACTAGAGGTGTGTGA−3’
GBBC−as37(配列番号85):5‘−GTTGTAACATCACCAATCCACCCCAAAGGGTAATCCAGAAGGATTCCAAGATTGCGAGAC−3’
GBBC−as38(配列番号86):5‘−TTATGGCGAGGGTCTTGGCGTCCCCAACCATGAGCTGGCAAAGCAGCCTGAGCCAATGTC−3’
GBBC−as39(配列番号87):5‘−TGCAAGCCATCATGGATACCAGCAATTTTGTAATTACGAGGCCGAGCATCGCGCTGGACT−3’
GBBC−as40(配列番号88):5‘−TTGCGCTTTGCTCGTTGTCCCCTTTCAACAGATGTTTTAATGGACACAGGATATGAAGCC−3’
GBBC−as41(配列番号89):5‘−TGCGTCTGCTTGTTCTTGCGCGTTCTGGGCGCAGGTACAGGACTTGTTTGAGTAGAAATA−3’
GBBC−as42(配列番号90):5‘−ACAGGCATGATGCACGGTCTACGAGACCTCCCGGGGCACTCGCAAGCACCCTATCAGGCA−3’
GBBC−as43(配列番号91):5‘−GTACCACAAGGCCTTTCGCGACCCAACACTACTCGGCTAGCAGTCTCGCGGGGGCACGCC−3’
GBBC−as44(配列番号92):5‘−CAAATCTCCAGGCATTGAGCGGGTTGATCCAAGAAAGGACCCGGTCGTCCTGGCAATTCC−3’
【0096】
各合成遺伝子の5’末端のリン酸化のため、T4 Polynucleotide Kinase(宝酒造)を用いてリン酸化反応を行った。これらのリン酸化産物を混合し、95℃から室温まで徐冷することで、各合成遺伝子をアニーリングさせ、Takara Ligation Kit(宝酒造)を用いて連結反応を行った。この連結物をKlenow Fragment(宝酒造)を用いて二本鎖DNA末端の平滑化を行った。この二本鎖DNAをpGEM−T easyベクターにクローニングし、塩基配列を決定し、目的遺伝子であるTPF1 5‘UTRを有するGBV−Bのコア蛋白からE1の125番目までの遺伝子であることを確認した。
【0097】
そして、上記で合成されたTPF1 5‘UTRとGBV−Bのコア蛋白からE1の125番目までの遺伝子を制限酵素AgeI−AvrIIで消化された遺伝子断片をHCV/GBV−BキメラプラスミドpTPF/GBB−C156E12を制限酵素AgeI−AvrIIで消化されたベクターに連結することにより、GBV−Bのコア蛋白からp6蛋白までを有するHCV/GBV−BキメラプラスミドpTPF/GBB−C6を構築した。
【0098】
《実施例2:HCV/GBV−Bキメラ遺伝子のHuh7細胞における増殖》
実施例1において構築したpTPF/GBB−C156E12をXhoIで切断し、それを鋳型に、Megascript T7 kit(Ambion)又はAmpliScribe T7−Flash transcription kit(Epicentre)を用いてRNAを合成した。メーカーの推奨する方法にてRNAを精製した。
【0099】
ヒト肝がん細胞(Huh7、JCRB0403)はDulbecco’s modified Eagle medium(D−MEM,IWAKI)に10%ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリンを50U/mL及びストレプトマイシンを50μg/mLとなるように加えたものを培養液として、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を行った。コンフルエントになる前の細胞をトリプシン、EDTA処理により培養皿から剥離させ、血清添加培地に再懸濁することによりトリプシンを不活化した。PBSで2回洗浄後、1.25%DMSOを添加したCytomix(120mM Potassium chloride、10mM Potassium phosphate、5mM Magnesium chloride、25mM HEPES、0.15mM Calcium chloride、2mMEGTA、pH7.6)に再懸濁し、ギャップ0.4cmのエレクトロポレーションキュベットに移す。
【0100】
10μgのRNAを細胞に加えた後、5分間氷上で十分冷却する。エレクトロポレーター(Bio−Rad)で、960μF、250Vにてパルスを加える。トランスフェクションを行った細胞は、直ちに10mLの培地に再懸濁し、12wellプレートに(直径22.1mm)に1mLずつ播き培養を開始した。4時間、24時間、48時間及び72時間に培養上清を回収した。回収した培養上清は、2krpmで10分間遠心し上清を回収した。上清100μLをHCVコア抗原のキット(富士レビオ、ルミパルス)を使用し測定した。
【0101】
図1に示すように、エレクトロポレーターを用いて細胞内にRNAを導入した実験区(エレクトロポレーション有り)におけるコア抗原の測定値は24時間から上昇し、72時間後も増加していた。一方、対照区(エレクトロポレーション無し)は上清中のコア抗原の測定値は検出限界以下であることを確認した。この結果は本願発明のHCV/GBV−Bキメラ遺伝子が細胞中において複製し、コア蛋白質を上清中に分泌していることを示している。HCV/GBV−Bキメラ遺伝子が、in−vitroで複製可能であることを示したものである。
【0102】
《実施例3:HCV/GBV−Bキメラ遺伝子のマーモセット初代肝臓細胞における増殖》
実施例2においてHuh7細胞において複製可能であったHCV/GBV−Bキメラ遺伝子型が、マーモセット初代肝臓細胞において複製可能か評価を試みた。実施例2と同様の方法を用いてpTPF/GBB−C156E12のRNAを合成した。
【0103】
マーモセット初代肝臓細胞(BIOPREDIC INTERNATIONAL)は、メーカーの推奨する方法にて培養を行った。具体的には、凍結マーモセット初代肝細胞を37℃のウォーターバスにおいて溶解し、予め37℃に温めておいたLeibovitz’s L−15 medium(Invitrogen)に1% GlutaMAX−I Supplement(Invitrogen)を加えた培養液30mLに懸濁した。細胞は1krpm(160×g)で1分間遠心により上清を除去し、細胞ペレットをWilliam’s medium E(Invitrogen)に1% Glutamax−I supplement(Invitrogen)、4μg/mL Bovine insulinと10%ウシ胎仔血清(FBS)を加えた培養液で約6×10
5cells/mLになるように再懸濁した。再懸濁を行った細胞は、コラーゲンタイプIコート24wellプレート(直径15.6mm)に0.5mLずつ播き5%二酸化炭素付加、37℃で培養を行った培養を開始した。
【0104】
1日間培養を行ったマーモセット初代肝臓細胞に、精製したTPF/GBB−C156E12及び遺伝子導入試薬HilyMax(DOJINDO)をそれぞれ1wellあたり2μgと4μL添加し、5%二酸化炭素付加、37℃で4時間培養を行った。遺伝子導入方法は、メーカーの推奨する方法にて行った。4時間培養後、PBSで3回洗浄を行い、William’s medium Eに(Invitrogen)に1% Glutamax−I supplement(Invitrogen)、Bovine insulinとHydrocortisone hemisuccinateをそれぞれ4μg/mL、50μMとなるように加えたものを培養液(増殖培地)として、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を開始した。4時間、24時間、48時間、72時間、96時間、144時間、192時間、240時間、288時間及び336時間に培養上清を回収した。回収した培養上清は、2krpmで10分間遠心し上清を回収した。上清100μLをHCVコア抗原のキット(富士レビオ、ルミパルス)を使用し測定した。
【0105】
図2に示すように、コア抗原の測定値は24時間、144時間及び240時間において対照区(エレクトロポレーション無し)に比べ高い値を示した。この結果は本願発明のHCV/GBV−Bキメラ遺伝子が、マーモセット初代肝臓細胞中において持続的に複製し、コア蛋白質を上清中に散発的に分泌していることを示している。HCV/GBV−Bキメラ遺伝子が、マーモセットの生体内(肝臓)において持続的に複製可能であることを示したものである。
【0106】
《実施例4:HCV/GBV−Bキメラウイルスのマーモセット初代肝臓細胞への感染》
実施例1において構築したpTPF/GBB−C156E12、pTPF1/GBB−v11E12、pTPF/GBB−v27E12およびpTPF/GBB−C6をXhoIで切断し、実施例2と同様の方法を用いてRNAを合成した。
【0107】
マーモセット初代肝臓細胞は、実施例3に記載の方法にて培養を行った。再懸濁を行った細胞は、コラーゲンタイプIコート6wellプレート(直径34.6mm)に2mLずつ播き5%二酸化炭素付加、37℃で培養を行った培養を開始した。
【0108】
1日間培養を行ったマーモセット初代肝臓細胞に、精製したTPF/GBBキメラRNA4種と遺伝子導入試薬HilyMaxをそれぞれ1wellあたり5μgと15μL添加し、5%二酸化炭素付加、37℃で4時間培養を行った。遺伝子導入方法は、メーカーの推奨する方法にて行った。4時間培養後、PBSで3回洗浄後増殖培地を添加し、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を開始した。48時間に培養上清を回収し、回収した培養上清は、2krpmで10分間遠心し上清を回収した。回収した培養上清は、感染試験に使用するまで−80℃で保存した。
【0109】
また、被感染細胞としてマーモセット初代肝臓細胞を新規に溶解し、コラーゲンタイプIコート6wellプレートにて培養を行った。1日間培養を行った細胞に、遺伝子導入後48時間に回収した培養上清(5倍希釈)を500μL添加し、5%二酸化炭素付加、37℃で6時間培養を行った。6時間培養後、PBSで3回洗浄後増殖培地を添加し、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を開始した。24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間および216時間に培養上清を回収した。回収した培養上清は、2krpmで10分間遠心し上清を回収した。TPF1/GBBキメラの再感染の有無は、培養上清中に含まれるキメラウイルスのゲノム数を定量的RT−PCRにて測定した。
【0110】
図3に示すように、感染試験に使用した全てのTPF1/GBBキメラウイルスのゲノム数は一旦検出限界近傍にまで減少したが、その後増加に転じた。この結果は、本願発明のHCV/GBV−BキメラRNAをマーモセット初代肝細胞に遺伝子導入することで得られる培養上清中には、naiveな同細胞に対して再感染可能なキメラウイルス粒子が存在していることを示している。HCV/GBV−Bキメラウイルスが、マーモセットの生体内(肝臓)において再感染可能であることを示したものである。