特許第5693969号(P5693969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許5693969-航空機客室用クラス仕切り 図000002
  • 特許5693969-航空機客室用クラス仕切り 図000003
  • 特許5693969-航空機客室用クラス仕切り 図000004
  • 特許5693969-航空機客室用クラス仕切り 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693969
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】航空機客室用クラス仕切り
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B64D11/06
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-546805(P2010-546805)
(86)(22)【出願日】2009年1月15日
(65)【公表番号】特表2011-511739(P2011-511739A)
(43)【公表日】2011年4月14日
(86)【国際出願番号】US2009031066
(87)【国際公開番号】WO2009102524
(87)【国際公開日】20090820
【審査請求日】2012年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/027,682
(32)【優先日】2008年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/166,004
(32)【優先日】2008年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン グレン エー
(72)【発明者】
【氏名】ペンリー ランディ
【審査官】 芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第93/001088(WO,A1)
【文献】 米国特許第05577358(US,A)
【文献】 特開平05−278692(JP,A)
【文献】 特表2007−513699(JP,A)
【文献】 特開2000−185694(JP,A)
【文献】 米国特許第06012679(US,A)
【文献】 米国特許第06059364(US,A)
【文献】 米国特許第06305644(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機客室用のクラス仕切りであって、
(a)前記航空機客室の第1クラス領域の最後列シートのすぐ後方に配置されたパーティションであって、前記最後列シートの各々のシートの形状及び大きさに各々が対応する複数の固定及び分離された後向きのパネルを含み、これら複数の後向きのパネルは全体として前記最後列シートの全体の幅及び形状に対応しており、前記航空機客室の床に当該パーティションを支持する脚部を含み、前記最後列シートの背もたれから分離され空間的に離されている、前記パーティションと、
(b)複数のビデオモニター、複数のトレイテーブル、複数のマガジン収納ポケット、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されると共に、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が使用するよう、前記複数の後向きのパネルに配置される1つ以上の乗客用設備と、
を含むこと、
を特徴とするクラス仕切り。
【請求項2】
前記パーティションの上端が、前記最後列シートの背もたれが前記パーティションに支障を与えることなくリクライニングできる程度に、前記最後列のシートから後方に離間されていること、を特徴とする請求項1に記載のクラス仕切り。
【請求項3】
前記パネルが、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致すること、を特徴とする請求項1に記載のクラス仕切り。
【請求項4】
前記パネルがしなやかな形状であると共に、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致すること、を特徴とする請求項1に記載のクラス仕切り。
【請求項5】
前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が収納のために使用可能となるように、前記パネルの下部に開放部をさらに含むこと、を特徴とする請求項1に記載のクラス仕切り。
【請求項6】
航空機客室用のクラス仕切りであって、
(a)前記航空機客室の第1クラス領域の最後列シートのすぐ後方に配置されたパーティションであって、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列シートの幅及び高さに略一致する幅及び高さを有する後向きのパネルを含む、前記パーティションと、
(b)各々が前記パネルに取り付けられて前記パーティションの側壁を形成する一対の端部キャップと、
(c)一方の前記端部キャップから他方の前記端部キャップまで延在する平坦なベース部と、
(d)シート列のシートトラック内に搭載され、前記ベース部にわたって延在して前記パネルを安定させるよう構成した複数の安定化手段と、
(e)複数のビデオモニター、複数のトレイテーブル、複数のマガジン収納ポケット、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されると共に、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列シートで前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が使用するよう、前記後向きのパネルに配置される1つ以上の乗客用設備と、
を含むこと、
を特徴とするクラス仕切り。
【請求項7】
前記複数の安定化手段が後方に延在する脚部を含むこと、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【請求項8】
前記複数の安定化手段が前後に延在する脚部を含むこと、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【請求項9】
前記パーティションの上端が、最後列シートの背もたれが前記パーティションに支障を与えることなくリクライニングできる程度に、前記最後列のシートから後方に離間されていること、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【請求項10】
前記パネルが、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致すること、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【請求項11】
前記パネルがしなやかな形状であると共に、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致すること、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【請求項12】
前記パーティションが、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が収納のために使用可能となるように、前記パネルの下部に開放部をさらに含むこと、を特徴とする請求項6に記載のクラス仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ビジネスクラスのセクションとエコノミークラスのセクションの間、又は商用航空機の主客室の最前列に配置されるクラス仕切り又はパーティションに関する。
本出願は、2008年2月11日に米国特許商標局に出願された米国仮特許出願番号第61/027,682号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多くの航空機は、航空機客室内でクラスのセクションを分けるために壁又はカーテン等の仕切り構造を使用している。この壁又はカーテンは、特にクラスのセクションにおける最前列に座る乗客にとって、審美的に望ましいものではない。現在、航空機はテレビモニター、フードトレイ、又はマガジンポケット等の乗客用設備を後部座席の乗客に提供するために、前の座席の背もたれを使用する。しかし、クラスの最前列シートは仕切り構造があるために乗客用設備を利用できない。よって、最前列には異なるシートを使用して、これらの設備を別の方法で提供する。しかし、かかる座席は乗客には不評であることが多いため、かなりの費用をかけて比較的少数の最前列シートを設計又は製造するよう、シート製造業者に要求することになる。
【0003】
従って、乗客用設備を提供し、別途設計したシートを使用する必要がなく、また見栄えも良いクラス仕切りを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は航空機客室用パーティションを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、隣接する客室同士を分離する航空機客室用パーティションを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、ビジネスクラスシートと相互に関わりあうことなく、最小ピッチのエコノミークラスのシートユニットでHICテストを行うことのできる、航空機客室用パーティションを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、従来の航空機乗客用シートの背もたれの外観を呈する航空機客室用パーティションを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、パーティション後方の最前列に座る乗客用のビデオディスプレイ端末と食事用テーブル等の設備を提供する航空機客室用パーティションを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、パーティション後方の最前列に座る乗客が足を置くスペースを追加するべく、航空機床に最も近い下方部分に開放部を有する航空機客室用パーティションを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、客室内の最前列シートとして標準シートを使用できる航空機客室用パーティションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のクラス仕切りは、航空機客室用のクラス仕切りであって、前記航空機客室の第1クラス領域の最後列シートのすぐ後方に配置されたパーティションであって、前記最後列シートの各々のシートの形状及び大きさに各々が対応する複数の固定及び分離された後向きのパネルを含み、これら複数の後向きのパネルは全体として前記最後列シートの全体の幅及び形状に対応しており、前記航空機客室の床に当該パーティションを支持する脚部を含み、前記最後列シートの背もたれから分離され空間的に離されている、前記パーティションと、複数のビデオモニター、複数のトレイテーブル、複数のマガジン収納ポケット、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されると共に、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が使用するよう、前記複数の後向きのパネルに配置される1つ以上の乗客用設備と、を含む。
【0012】
請求項2に記載のクラス仕切りは、請求項1に記載のクラス仕切りにおいて、前記パーティションの上端が、前記最後列シートの背もたれが前記パーティションに支障を与えることなくリクライニングできる程度に、前記最後列のシートから後方に離間されている。
【0013】
請求項3に記載のクラス仕切りは、請求項1に記載のクラス仕切りにおいて、前記パネルが、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致する。
【0014】
請求項4に記載のクラス仕切りは、請求項1に記載のクラス仕切りにおいて、前記パネルがしなやかな形状であると共に、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致する。
【0015】
請求項5に記載のクラス仕切りは、請求項1に記載のクラス仕切りにおいて、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が収納のために使用可能となるように、前記パネルの下部に開放部をさらに含む。
【0016】
請求項6に記載のクラス仕切りは、航空機客室用のクラス仕切りであって、前記航空機客室の第1クラス領域の最後列シートのすぐ後方に配置されたパーティションであって、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列シートの幅及び高さに略一致する幅及び高さを有する後向きのパネルを含む、前記パーティションと、各々が前記パネルに取り付けられて前記パーティションの側壁を形成する一対の端部キャップと、一方の前記端部キャップから他方の前記端部キャップまで延在する平坦なベース部と、シート列のシートトラック内に搭載され、前記ベース部にわたって延在して前記パネルを安定させるよう構成した複数の安定化手段と、複数のビデオモニター、複数のトレイテーブル、複数のマガジン収納ポケット、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されると共に、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列シートで前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が使用するよう、前記後向きのパネルに配置される1つ以上の乗客用設備とを含む。
【0017】
請求項7に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記複数の安定化手段が後方に延在する脚部を含む。
【0018】
請求項8に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記複数の安定化手段が前後に延在する脚部を含む。
【0019】
請求項9に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記パーティションの上端が、最後列シートの背もたれが前記パーティションに支障を与えることなくリクライニングできる程度に、前記最後列のシートから後方に離間されている。
【0020】
請求項10に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記パネルが、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致する。
請求項11に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記パネルがしなやかな形状であると共に、リクライニングした位置にある前記最後列シートの背もたれの形状に略一致する。
請求項12に記載のクラス仕切りは、請求項6に記載のクラス仕切りにおいて、前記パーティションが、前記航空機客室の第2クラス領域の最前列で前記パーティションのすぐ後方の座席の乗客が収納のために使用可能となるように、前記パネルの下部に開放部をさらに含む。
【0021】
本発明の目的の一部を上記において説明した。本発明のその他の目的及び利点は、以下の図面を参照した発明の説明を読み進めるにつれて明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態によるビジネスクラスシート、パーティション、及びその後方に位置する2つのエコノミークラスシートの概略側面図である。
図2】本発明の一実施形態によるビジネスクラスシート、パーティション、及びエコノミークラスシートの前面斜視図である。
図3】本発明の一実施形態によるビジネスクラスシート、パーティション、及びエコノミークラスシートの拡大部分上面図である。
図4】本発明の代替的な実施形態によるパーティションの前面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで図面を参照するが、図面では同じ要素には同じ参照番号を付して示す。図1では本発明によるパーティションを概して参照番号10で示す。一実施形態では、パーティション10は一列のシート16の下の航空機床14に搭載する基台12を含む。基台12は従来の取付け手順で航空機床14に取り付けることができる。シート16はシート取付台15に取り付けることができる。シート取付台15は航空機床14に配置されるシートトラック内に適合し得る。パーティションパネル18を基台12に取り付けて、第1列のシート16をエコノミーシート28から分離するよう使用する。ビデオディスプレイモニター30やマガジンホルダー34等の乗客用設備をパーティションパネル18に設けることができる。
【0024】
図2では、別の実施形態によるパーティション20を示す。パーティションはパーティションパネル18を含み、さらにこのパネル18を複数の脚部22a、22b、22c、22dが支持する。パーティション20は、個々の前列シート16の形状及びサイズと個々に略一致する分離したパネル18を備え得る。図3に示す別の実施形態によれば、図3で示すように、パーティション40は連続したパネル18で製造され、シート列全体の形状及びサイズと略一致する。パーティション40は、図3に示すパーティション20と同じ特徴を有し得る。
【0025】
パーティションパネル18は概してしなやかな形状に形成されており、シート16の下方部の形状には略一致しているが、図1に示す適切な方法で背もたれ17から離れるようにカーブしているため、前列に座っている乗客に十分なリクライニングスペースを提供する。パーティションパネル18のカーブの角度は、後部座席の乗客の邪魔にならないよう提供されるスペースを最大限に使用できる程度に、背もたれ17のカーブに近似させる。よって背もたれ17は、後部座席、例えばエコノミークラスの乗客用シート28に座る乗客のスペース内に入ってしまう程後方へは移動せずに、リクライニングすることができる。
【0026】
パーティションパネル18は1つ以上のビデオディスプレイモニター30、食事用テーブル32、及びマガジンホルダー34を含み、これらは各々、前列シートの背もたれに搭載される時と特徴が同じであるため、同じように使用することができる。
【0027】
このことにより、客室の前列シートには、食事用テーブル及び/又はビデオディスプレイモニターがアームレストに収納された特別なシートではなく、従来のシートを使用することができる。パーティション10の下方部分の脚部22a、22b、22c、22dの間は開いており、後部座席の乗客のアンダーシート収納及び足を置くスペースができる。
【0028】
パーティション10は乗客用シートフレームと同じ航空機グレードのアルミニウムから製造するか、又はカーボンファイバから製造するか、又はアルミニウム、カーボンファイバ、及びその他の適切な材料の組み合わせから製造することができる。
【0029】
この構成により、客室内に全体として追加的なスペースが形成される。パーティション10により、ビジネスクラスの最後列のシートは、同クラスのその他の列と略同じようにリクライニングすることができると共に、後列の乗客、即ちエコノミークラスの客室の最前列に座る乗客のスペースに食い込むことなくリクライニングすることができる。代替的な実施形態では、パーティション10は客室の区分を分ける仕切りに、若しくはその後方に、又は客室を調理場や化粧室エリアから分ける仕切りに、若しくはその後方に配置し得る。
【0030】
図4では、パーティションの更なる代替的な実施形態を参照番号50で示す。概して、図1から図3に示した実施形態と同じ目的と利点が適用される。パーティション50は航空機床に、従来のシートトラック取付具に搭載する前後に延在する複数の長尺状脚部54、56を有するベース部52を含む。パーティション50への配線もベース52を経由させる。端部キャップ58と60は、後部座席の乗客が足を置けるよう開放された領域62を規定する。パーティション10と同じように、パーティション50は1つ以上のビデオディスプレイモニター66、食事用テーブル68、及びマガジンホルダー70を搭載するパーティションパネル64を含み、これらは各々前列のシートの背もたれに搭載される場合と同じように使用できる。パーティションパネル64の上部72は、後部座席の乗客が手を置く領域としての働きを有すると共に、ビデオディスプレイモニター66からの熱を放散させる通気口74を含む。
【0031】
パーティション10、20、40、及び50の1つの重要な特徴は、その背面が従来の乗客用シートの背面とよく似ているということである。このことにより、本発明には従来の壁及び客室仕切りに対する明確で機能的な利点ばかりでなく、審美的な要素ももたらされる。さらに、パーティションはいかなる数のシートにも適合するよう構成できる。
【0032】
航空機客室の領域を分けるための改善されたパーティションについて説明した。発明の種々の詳細な部分は、発明の範囲を逸脱することなく変更できる。さらに、発明の好適な実施形態及び発明を実施するための最良の形態に関してこれまで説明を行ったが、その説明は単に例示を目的としたものであり、本発明を限定する目的ではない。本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0033】
10、20、40、50 パーティション
12 基台
16 シート
17 背もたれ
18 パーティションパネル
22a〜22d 脚部
30 ビデオディスプレイモニター
32 食事用テーブル
34 マガジンホルダー
図1
図2
図3
図4