(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光導波路ユニットと、光学素子が実装された基板ユニットとを結合させてなる光センサモジュールであって、上記光導波路ユニットが、アンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に形成された光路用の線状のコアと、このコアを被覆するオーバークラッド層と、このオーバークラッド層の片側側縁部を上記コアの軸方向に延長した片側延長部分と、上記コアの光透過面に対して適正位置となる上記片側延長部分に形成された基板ユニット嵌合用溝部と、この溝部内の側壁面に突出形成され上記基板ユニットの嵌合部に当接する突出片とを備え、上記基板ユニットが、基板と、この基板上の所定部分に実装された光学素子と、この光学素子に対して適正位置となる上記基板の部分に形成された、上記溝部に嵌合する嵌合部とを備え、上記光導波路ユニットと上記基板ユニットとの結合が、上記光導波路ユニットのオーバークラッド層の片側延長部分に形成された上記溝部に、上記基板ユニットの上記嵌合部を嵌合させ、その嵌合部に上記溝部内の突出片を当接させた状態でなされ、上記光導波路ユニットのコアの上記光透過面と上記基板ユニットに実装された上記光学素子とが調芯状態で非接触状態になっていることを特徴とする光センサモジュール。
上記基板ユニット嵌合用溝部内の突出片が、その溝部内の互いに対面する両側壁面に複数形成され、一方の側壁面の隣り合う突出片と突出片との間の凹部に、他方の側壁面の突出片が対面した状態で、上記突出片が配設されている請求項1記載の光センサモジュール。
【背景技術】
【0002】
光センサモジュールは、
図9(a),(b)に示すように、アンダークラッド層71,コア72およびオーバークラッド層73をこの順に形成した光導波路ユニットW
0 と、基板81に光学素子82が実装された基板ユニットE
0 とを、個別に作製し、上記光導波路ユニットW
0 のコア72と基板ユニットE
0 の光学素子82とを調芯した状態で、上記光導波路ユニットW
0 の端部に上記基板ユニットE
0 を接着剤等により接着して製造される。なお、
図9(a),(b)において、符号75は基台、符号85は封止樹脂である。
【0003】
ここで、上記光導波路ユニットW
0 のコア72と基板ユニットE
0 の光学素子82との上記調芯は、通常、自動調芯機を用いて行われる(例えば、特許文献1参照)。この自動調芯機では、光導波路ユニットW
0 を固定ステージ(図示せず)に固定し、基板ユニットE
0 を移動可能なステージ(図示せず)に固定した状態で行われる。すなわち、上記光学素子82が発光素子である場合、
図9(a)に示すように、その発光素子から光H
1 を発光させた状態で、コア72の一端面(光入口)72aに対して、基板ユニットE
0 の位置を変化させつつ、コア72の他端面(光出口)72bからオーバークラッド層73の先端部のレンズ部73bを経て出射した光の光量(自動調芯機に備えられている受光素子91が発生する起電圧)をモニタリングし、その光量が最大となった位置を、調芯位置(コア72と光学素子82とが相互に適正になる位置)として決定する。また、上記光学素子82が受光素子である場合、
図9(b)に示すように、コア72の他端面72bから一定量の光(自動調芯機に備えられている発光素子92から発光され、オーバークラッド層73の先端部のレンズ部73bを透過した光)H
2 を入光させ、その光H
2 をコア72の一端面72aからオーバークラッド層73の後端部73aを経て出射させた状態で、コア72の一端面72aに対して、基板ユニットE
0 の位置を変化させつつ、その受光素子で受光する光量(起電圧)をモニタリングし、その光量が最大となった位置を、調芯位置として決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記自動調芯機を用いた調芯では、高精度な調芯が可能であるものの、手間と時間とを要し、量産には適さない。
【0006】
そこで、本出願人は、上記のような機器と手間をかけることなく調芯できる光センサモジュールを提案し既に出願している(特願2009−180723)。この光センサモジュールは、その平面図を
図10(a)に、その右端部を右斜め上から見た斜視図を
図10(b)に示すように、光導波路ユニットW
1 において、オーバークラッド層43の、コア42の存在しない両側部分〔
図10(a)の右端部の上下部分〕を、コア42の軸方向に沿って〔
図10(a)の右方向に〕延長している。そして、その延長部分44に、光導波路ユニットW
1 の厚み方向に延びる、基板ユニット嵌合用の一対の縦溝部44aが、コア42の光透過面(一端面)42aに対して適正な位置に、形成されている。一方、基板ユニットE
1 の左右両側部(横方向の両側部)には、光学素子54に対して適正な位置に、上記縦溝部44aに嵌合する嵌合部51aが形成されている。
【0007】
そして、上記光センサモジュールでは、上記光導波路ユニットW
1 に形成されている上記縦溝部44aに、上記基板ユニットE
1 に形成されている上記嵌合部51aが嵌合された状態で、光導波路ユニットW
1 と上記基板ユニットE
1 とが結合されている。ここで、上記光導波路ユニットW
1 の縦溝部44aは、上記コア42の光透過面42aに対して適正な位置になるよう設計されており、上記基板ユニットE
1 の嵌合部51aは、上記光学素子54に対して適正な位置になるよう設計されていることから、上記縦溝部44aと上記嵌合部51aとの嵌合により、上記コア42と上記光学素子54とが自動的に調芯される。なお、
図10(a),(b)において、符号45は基台、符号45aは基台45に形成された、基板ユニットE
1 を貫通させる貫通孔、符号51は上記嵌合部51aが形成された整形基板、符号55は封止樹脂である。
【0008】
このように、本出願人が先に出願した上記光センサモジュールでは、光導波路ユニットW
1 のコア42と、基板ユニットE
1 の光学素子54とを、調芯作業することなく、自動的に調芯した状態にすることができる。そして、時間を要する調芯作業が不要となるため、光センサモジュールの量産が可能となり、生産性に優れる。
【0009】
ところで、最近、上記光センサモジュールに対し、光導波路ユニットW
1 の幅を狭くすることが要求されてきている。しかしながら、上記光導波路ユニットW
1 の幅を狭くすると、その両側部分に上記延長部分44を形成することができず、上記延長部分44は片側部分だけにしか形成することができない。その場合、上記延長部分44に形成されていた基板ユニット嵌合用の縦溝部44aも片側のみとなるため、その縦溝部44aに基板ユニットE
1 を嵌合しても、その嵌合部51aは片側のみとなり、基板ユニットE
1 の支持が不安定になる。そのため、上記縦溝部44aに基板ユニットE
1 を嵌合しても、適正な調芯状態にすることができないおそれがある。この点で、改善の余地がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、光導波路ユニットの溝部に基板ユニットの嵌合部を嵌合させてなる光センサモジュールにおいて、基板ユニットの嵌合部が片側のみであっても、基板ユニットの支持が安定している光センサモジュールの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の光センサモジュールは、光導波路ユニットと、光学素子が実装された基板ユニットとを結合させてなる光センサモジュールであって、上記光導波路ユニットが、アンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に形成された光路用の線状のコアと、このコアを被覆するオーバークラッド層と、このオーバークラッド層の片側側縁部を上記コアの軸方向に延長した片側延長部分と、上記コアの光透過面に対して適正位置となる上記片側延長部分に形成された基板ユニット嵌合用溝部と、この溝部内の側壁面に突出形成され上記基板ユニットの嵌合部に当接する突出片とを備え、上記基板ユニットが、基板と、この基板上の所定部分に実装された光学素子と、この光学素子に対して適正位置となる上記基板の部分に形成された、上記溝部に嵌合する嵌合部とを備え、上記光導波路ユニットと上記基板ユニットとの結合が、上記光導波路ユニットのオーバークラッド層の片側延長部分に形成された上記溝部に、上記基板ユニットの上記嵌合部を嵌合させ、その嵌合部に上記溝部内の突出片を当接させた状態でなされ
、上記光導波路ユニットのコアの上記光透過面と上記基板ユニットに実装された上記光学素子とが調芯状態で非接触状態になっているという構成をとる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光センサモジュールは、光導波路ユニットにおいて、コアの光透過面と基板ユニット嵌合用溝部とが適正な位置関係になっている。また、基板ユニットにおいて、光学素子と上記溝部に嵌合する嵌合部とが適正な位置関係になっている。そのため、上記光導波路ユニットの溝部に、上記基板ユニットの嵌合部を嵌合させた状態、すなわち、上記光導波路ユニットと上記基板ユニットとが結合した状態では、自動的に調芯された状態になっている。さらに、その状態では、上記基板ユニットの嵌合部に、上記溝部内の突出片が当接しているため、上記基板ユニットの嵌合部が片側のみであっても、その基板ユニットの支持が安定しており、コアと光学素子との適正な調芯状態を維持することができる。
【0013】
特に、上記突出片が、上記基板ユニット嵌合用溝部内の互いに対面する両側壁面に複数形成され、一方の側壁面の隣り合う突出片と突出片との間の凹部に、他方の側壁面の突出片が対面するよう、上記突出片が配設されている場合には、基板ユニットの支持がより安定し、コアと光学素子との調芯状態を高度に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明の光センサモジュールの一実施の形態を示す平面図であり、
図1(b)は、その右端部を右斜め上方から見た斜視図である。この光センサモジュールは、本出願人が先に出願した光センサモジュール〔
図10(a),(b)参照〕の光導波路ユニットW
1 と基板ユニットE
1 とを以下のように形成したものとなっている。すなわち、光導波路ユニットW
2 は、幅が狭く形成され、それに伴って、延長部分4が片側部分のみ形成されている。さらに、その片側の延長部分4に形成されている縦溝部60内の側壁面に、複数の突出片61が延長部分4と一体的に形成されている。この実施の形態では、上記突出片61は、光導波路ユニットW
2 の厚み方向に延びており、横断面が台形状になっている。また、上記突出片61は、上記縦溝部60内の互いに対面する両側壁面のそれぞれに、4本ずつ形成されており、一方の側壁面において隣り合う突出片61と突出片61との間の凹部に、他方の側壁面の突出片61が対面するよう、上記突出片61が配設されている。また、基板ユニットE
2 には、上記縦溝部60に嵌合する嵌合部5aが、片側部分のみ形成されている。
【0017】
そして、上記基板ユニットE
2 が上記光導波路ユニットW
2 に嵌合された状態では、上記基板ユニットE
2 の片側にある嵌合部5aが、上記縦溝部60に嵌合され、上記嵌合部5aの表裏面に、縦溝部60内の突出片61が当接している。これにより、上記基板ユニットE
2 の嵌合部5aが片側のみであっても、基板ユニットE
2 を安定して支持することができる。このように、上記光導波路ユニットW
2 の縦溝部60内に上記突出片61を形成し、その突出片61と上記基板ユニットE
2 の片側にある嵌合部5aとを当接させることにより、上記基板ユニットE
2 の嵌合部5aが片側のみであっても、基板ユニットE
2 を安定して支持できるようにすることが、本発明の大きな特徴である。
【0018】
より詳しく説明すると、この実施の形態の上記光導波路ユニットW
2 が、本出願人が先に出願した光センサモジュールの光導波路ユニットW
1 〔
図10(a),(b)参照〕と異なる点は、先に述べたように、光導波路ユニットW
2 自体の幅が狭く、延長部分4が片側部分のみとなっている点、およびその延長部分4に形成されている縦溝部60内の側壁面に、突出片61が形成されている点である。そして、上記縦溝部60内で対峙する突出片61と突出片61との間の距離Mは、上記基板ユニットE
2 を安定して支持する観点から、その縦溝部60に嵌合される上記基板ユニットE
2 の嵌合部5aの厚みと同等ないしそれよりも僅かに狭く設定される。それ以外は、本出願人が先に出願した光センサモジュールの光導波路ユニットW
1 と同様である。
【0019】
その同様の部分について説明すると、上記光導波路ユニットW
2 は、その平面図を
図2(a)に、その右端部を右斜め上方から見た斜視図を
図2(b)に示すように、基台10の表面に、接着剤により接着されており、上記基台10の表面に接着されたアンダークラッド層1と、このアンダークラッド層1の表面に所定パターンの線状に形成された光路用のコア2と、このコア2を被覆した状態で上記アンダークラッド層1の表面に形成されたオーバークラッド層3とを備えている。光導波路ユニットW
2 の一端部側〔
図2(a)では右側〕では、コア2の存在しないオーバークラッド層3の片側側縁部が、コア2の軸方向に沿って延長されているとともに、上記基台10の表面まで下方に延長されている。そして、その延長部分4に、上記縦溝部60が、その延長部分4を厚み方向に貫通した状態で、コア2の軸方向と直角に形成されている。この縦溝部60は、コア2の光透過面2aに対して適正位置に形成されている。
【0020】
一方、上記基板ユニットE
2 は、上記光導波路ユニットW
2 の縦溝部60に嵌合する嵌合部5aを片側のみとしたこと以外は、本出願人が先に出願した光センサモジュールの基板ユニットE
1 〔
図10(a),(b)参照〕と同様である。すなわち、上記基板ユニットE
2 は、その平面図を
図3(a)に、それを左斜め上方から見た斜視図を
図3(b)に示すように、整形基板5と、この整形基板5の表面に、絶縁層(図示せず)および光学素子実装用パッド(図示せず)を介して実装された光学素子8と、この光学素子8を封止する封止樹脂9とを備えている。そして、上記整形基板5には、上記縦溝部60〔
図2(a),(b)参照〕に嵌合するための嵌合部5aが整形基板5の横方向のうちの片側方向〔
図3(b)の左方向〕に突出した状態で形成されている。この嵌合部5aは、エッチングにより形成され、上記光学素子実装用パッドに対して、適正に位置決めされ整形されている。そのため、上記嵌合部5aは、上記光学素子実装用パッドに実装された光学素子8に対して、適正位置に形成されている。その嵌合部5aの突出長さL
1 は、上記縦溝部60の奥行き深さと略同値に設定されることが好ましい。また、上記絶縁層は、上記整形基板5のうち嵌合部5aを除く表面に形成されている。上記光学素子実装用パッドは、上記絶縁層の表面中央部に形成されている。上記光学素子8は、光学素子実装用パッドに実装されている。上記光学素子8の発光部または受光部は、その光学素子8の表面に形成されている。なお、上記絶縁層の表面には、光学素子実装用パッドに接続する電気回路(図示せず)が形成されている。
【0021】
そして、上記光センサモジュールは、
図1(a),(b)に示すように、上記光導波路ユニットW
2 の片側の延長部分4に形成された上記縦溝部60に、上記基板ユニットE
2 の片側に形成された上記嵌合部5aが嵌合されている状態で、光導波路ユニットW
2 と基板ユニットE
2 とが結合され一体化されている。この状態では、先に述べたように、上記縦溝部60に嵌合されている上記嵌合部5aの表裏面に、縦溝部60内の突出片61が当接しており、それにより、基板ユニットE
2 を安定的に支持している。
【0022】
ここで、先に述べたように、光導波路ユニットW
2 に形成された上記縦溝部60は、コア2の光透過面2aに対して適正位置に形成されている。また、基板ユニットE
2 に形成された嵌合部5aは、光学素子8に対して適正位置に形成されている。そのため、上記縦溝部60と嵌合部5aとの嵌合により、コア2の光透過面2aと光学素子8とは、適正に位置決めされ、自動的に調芯された状態になっている。すなわち、上記嵌合により、上記光学素子8は、上記基台10の表面に平行な方向〔
図1(b)におけるコア2の軸方向(X軸方向)およびそれと直角な方向(Y軸方向)〕が適正に位置決めされている。そのうち、Y軸方向の位置決めは、例えば、上記嵌合部5aの横方向先端縁を上記縦溝部60の奥壁面に当接させたり、上記嵌合部5aのY軸方向の嵌合長さを設定する等して行うことができる。また、上記嵌合状態では、片側に突出した上記嵌合部5aの下端縁が基台10の表面に当接しており、その当接により、上記光学素子8は、基台10の表面に直角な方向〔
図1(b)におけるZ軸方向〕が適正に位置決めされている。
【0023】
なお、この実施の形態では、
図1(a),(b)に示すように、上記基板ユニットE
2 に対応する基台10の部分に、四角形の切欠き部10aが形成され、基板ユニットE
2 の一部分が、上記基台10の裏面から突出している。その基板ユニットE
2 の突出部分は、基台10の裏面側において、例えば、光学素子8に信号の送信等するためのマザーボード(図示せず)等に接続される。
【0024】
上記光センサモジュールは、下記の(1)〜(3)の工程を経て製造される。
(1)上記光導波路ユニットW
2 を作製する工程〔
図4(a)〜(b),
図5(a)〜(d)参照〕。なお、この工程を説明する
図4(a)〜(b),
図5(a)〜(d)は、
図1(a)の縦断面図に相当する図面である。
(2)上記基板ユニットE
2 を作製する工程〔
図6(a)〜(d)参照〕。
(3)上記基板ユニットE
2 を上記光導波路ユニットW
2 に結合する工程。
【0025】
上記(1)の光導波路ユニットW
2 の作製工程について説明する。まず、アンダークラッド層1を形成する際に用いる平板状の基板20〔
図4(a)参照〕を準備する。この基板20の形成材料としては、例えば、ガラス,石英,シリコン,樹脂,金属等があげられる。なかでも、ステンレス製基板が好ましい。ステンレス製基板は、熱に対する伸縮耐性に優れ、上記光導波路装置の製造過程において、様々な寸法が設計値に略維持されるからである。また、基板20の厚みは、例えば、20μm〜1mmの範囲内に設定される。
【0026】
ついで、
図4(a)に示すように、上記基板20の表面の所定領域に、フォトリソグラフィ法により、アンダークラッド層1を形成する。このアンダークラッド層1の形成材料としては、感光性エポキシ樹脂等の感光性樹脂が用いられる。アンダークラッド層1の厚みは、例えば、1〜50μmの範囲内に設定される。
【0027】
つぎに、
図4(b)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により、所定パターンのコア2を形成する。このコア2の形成材料としては、例えば、上記アンダークラッド層1と同様の感光性樹脂があげられ、上記アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3〔
図5(c)参照〕の形成材料よりも屈折率が大きい材料が用いられる。この屈折率の調整は、例えば、上記アンダークラッド層1,コア2,オーバークラッド層3の各形成材料の種類の選択や組成比率を調整して行うことができる。コア2の厚みは、例えば、5〜100μmの範囲内に設定される。コア2の幅は、例えば、5〜100μmの範囲内に設定される。
【0028】
つぎに、成形型30〔
図5(a)参照〕を準備する。この成形型30は、オーバークラッド層3〔
図5(c)参照〕と、基板ユニット嵌合用の縦溝部60〔
図5(c)参照〕を有するオーバークラッド層3の延長部分4とを同時に型成形するためのものである。この成形型30の下面には、
図5(a)に、下から見上げた斜視図を示すように、上記オーバークラッド層3の形状に対応する型面を有する凹部31が形成されている。この凹部31は、上記延長部分4を形成するための部分31aと、レンズ部3b〔
図5(c)参照〕を形成するための部分31bとを有している。そして、上記延長部分形成用の部分31aには、上記基板ユニット嵌合用の縦溝部60を成形するための突条32が形成されている。さらに、その突条32の表面には、縦溝部60内の側壁面に突出片61〔
図2(a),(b)参照〕を形成するための凹溝32aが形成されている。また、上記成形型30の上面には、その使用の際にコア2の光透過面2a〔
図5(b)では右端面〕に位置合わせして成形型30を適正に位置決めするためのアライメントマーク(図示せず)が形成されており、このアライメントマークを基準とする適正な位置に、上記凹部31および突条32が形成されている。
【0029】
このため、上記成形型30のアライメントマークをコア2の光透過面2aに位置合わせして上記成形型30をセットし、その状態で成形すると、コア2の光透過面2aを基準として適正な位置に、オーバークラッド層3と、基板ユニット嵌合用の縦溝部60とを同時に型成形することができる。また、上記成形型30のセットは、その成形型30の下面を基板20の表面に密着させることにより行われ、それにより、上記凹部31および突条32の型面と基板20の表面とアンダークラッド層1の表面とコア2の表面とで囲まれる空間が成形空間33になるようになっている。さらに、上記成形型30には、オーバークラッド層形成用の樹脂を上記成形空間33に注入するための注入孔(図示せず)が、上記凹部31に連通した状態で形成されている。
【0030】
なお、上記オーバークラッド層形成用の樹脂としては、例えば、上記アンダークラッド層1と同様の感光性樹脂があげられる。その場合は、上記成形型30としては、その成形型30を通して、上記成形空間33に満たされた感光性樹脂を、紫外線等の照射線により露光する必要があるため、照射線を透過する材料からなるもの(例えば石英製のもの)が用いられる。なお、オーバークラッド層形成用の樹脂として熱硬化性樹脂を用いてもよく、その場合は、上記成形型30としては、透明性は問われず、例えば、金属製,石英製のものが用いられる。
【0031】
そして、上記成形型30を、
図5(b)に示すように、その成形型30のアライメントマークを上記コア2の光透過面2aに位置合わせし成形型30全体を適正に位置決めした状態で、その成形型30の下面を基板20の表面に密着させる。ついで、上記凹部31および突条32の型面と基板20の表面とアンダークラッド層1の表面とコア2の表面とで囲まれた成形空間33に、オーバークラッド層形成用の樹脂を、上記成形型30に形成された注入孔から注入し、上記成形空間33を上記樹脂で満たす。つぎに、その樹脂が感光性樹脂の場合は、上記成形型30を通して紫外線等の照射線を露光した後に加熱処理を行い、上記樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、加熱処理を行う。これにより、上記オーバークラッド層形成用の樹脂が硬化し、オーバークラッド層3と同時に、基板ユニット嵌合用の縦溝部60(オーバークラッド層3の延長部分4)が形成される。このとき、アンダークラッド層1とオーバークラッド層3とが同じ形成材料の場合は、アンダークラッド層1とオーバークラッド層3とは、その接触部分で同化する。
【0032】
つぎに、脱型し、
図5(c)に示すように、オーバークラッド層3と、その延長部分4と、基板ユニット嵌合用の縦溝部60(突出片61を含む)とを得る。この基板ユニット嵌合用の縦溝部60(突出片61を含む)の部分は、先に述べたように、上記成形型30を用いコア2の光透過面2aを基準として形成したため、コア2の光透過面2aに対して適正な位置に位置決めされている。また、上記オーバークラッド層3のレンズ部3bも、適正な位置に位置決めされている。
【0033】
上記オーバークラッド層3の厚み(アンダークラッド層1の表面からの厚み)は、通常、コア2の厚みを上回り1200μm以下の範囲内に設定される。また、上記基板ユニット嵌合用の縦溝部60(突出片61を含む)の大きさは、先に述べたように、それに嵌合する基板ユニットE
2 の嵌合部5aの大きさに対応して形成される。例えば、上記縦溝部60内で対峙する突出片61と突出片61との間の距離M〔
図1(a)参照〕は、0.025〜0.15mmの範囲内に設定され、上記縦溝部60の奥行き深さ〔
図1(b)のY軸方向の深さ〕は、3〜30mmの範囲内に設定される。また、上記突出片61の突出量(突出高さ)は、例えば、0.2〜1.5mmの範囲内に設定され、上記突出片61の断面台形状の頂面の幅は、例えば、0.5〜5mmの範囲内に設定される。
【0034】
ついで、
図5(d)に示すように、アンダークラッド層1の裏面から基板20を剥離する(図示の矢印参照)。これにより、アンダークラッド層1,コア2,オーバークラッド層3を備え、その延長部分4に上記基板ユニット嵌合用の縦溝部60(突出片61を含む)が形成された光導波路ユニットW
2 を得、上記(1)の光導波路ユニットW
2 の作製工程が完了する。
【0035】
そして、上記光導波路ユニットW
2 を、
図2(a),(b)に示すように、アクリル板等の基台10上に、接着剤により接着する。このとき、アンダークラッド層1と基台10とを接着させる。上記基台10としては、表面に凹凸のないものが用いられ、材質,透明性,厚みは問わないが、例をあげると、上記アクリル板以外に、ポリプロピレン(PP)板,金属板,セラミック板,石英ガラス板,青板ガラス等があげられる。また、上記基台10の厚みは、例えば、100μm〜5mmの範囲内に設定される。
【0036】
つぎに、上記(2)の基板ユニットE
2 の作製工程について説明する。まず、上記整形基板5の基材となる基板5A〔
図6(a)参照〕を準備する。この基板5Aの形成材料としては、例えば、金属,樹脂等があげられる。なかでも、加工容易性および寸法安定性の観点から、ステンレス製基板が好ましい。また、上記基板5Aの厚みは、例えば、0.02〜0.1mmの範囲内に設定される。
【0037】
ついで、
図6(a)に示すように、上記基板5Aの表面の所定領域に、感光性ポリイミド樹脂等の、絶縁層形成用の感光性樹脂が溶媒に溶解しているワニスを塗布した後、必要に応じて、それを加熱処理して乾燥させ、絶縁層形成用の感光性樹脂層を形成する。そして、その感光性樹脂層を、フォトマスクを介して紫外線等の照射線により露光することにより、所定形状の絶縁層6に形成する。絶縁層6の厚みは、例えば、5〜15μmの範囲内に設定される。
【0038】
つぎに、
図6(b)に示すように、上記絶縁層6の表面に、光学素子実装用パッド7およびそれに接続する電気回路(図示せず)を形成する。この実装用パッド(電気回路を含む)7の形成は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、上記絶縁層6の表面に、スパッタリングまたは無電解めっき等により金属層(厚み60〜260nm程度)を形成する。この金属層は、後の電解めっきを行う際のシード層(電解めっき層形成の素地となる層)となる。ついで、上記基板5A,絶縁層6およびシード層からなる積層体の両面に、ドライフィルムレジストを貼着した後、上記シード層が形成されている側のドライフィルムレジストに、フォトリソグラフィ法により上記実装用パッド(電気回路を含む)7のパターンの孔部
を形成し、その孔部の底に上記シード層の表面部分を露呈させる。つぎに、電解めっきにより、上記孔部の底に露呈した上記シード層の表面部分に、電解めっき層(厚み5〜20μm程度)を積層形成する。そして、上記ドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム水溶液等により剥離する。その後、上記電解めっき層が形成されていないシード層部分をソフトエッチングにより除去し、残存した電解めっき層とその下のシード層とからなる積層部分を実装用パッド(電気回路を含む)7に形成する。
【0039】
ついで、
図6(c)に示すように、上記基板5Aを、実装用パッド7に対して適正な位置に嵌合部5aを有する整形基板5に形成する。この整形基板5の形成は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、上記基板5Aの裏面を、ドライフィルムレジストで覆う。そして、実装用パッド7に対して適正な位置に嵌合部5aが形成されるよう、フォトリソグラフィ法により、目的とする形状のドライフィルムレジストの部分を残す。そして、その残ったドライフィルムレジストの部分以外の露呈している基板5A部分を、塩化第2鉄水溶液を用いてエッチングすることにより除去する。これにより、上記基板5Aが、嵌合部5aを有する整形基板5に形成される。つぎに、上記ドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム水溶液等により剥離する。なお、上記整形基板5における嵌合部5aの大きさは、例えば、横の長さ(突出長さ)L
1 が5〜25mmの範囲内、高さL
2 が0.3〜5.0mmの範囲内に設定される。
【0040】
そして、
図6(d)に示すように、実装用パッド7に、光学素子8を実装した後、上記光学素子8およびその周辺部を、透明樹脂によりポッティング封止する。上記光学素子8の実装は、実装機を用いて行われ、その実装機に備わっている位置決めカメラ等の位置決め装置により、実装用パッド7に正確に位置決めされて行われる。これにより、嵌合部5aを有する整形基板5と、絶縁層6と、実装用パッド7と、光学素子8と、封止樹脂9とを備えた基板ユニットE
2 を得、上記(2)の基板ユニットE
2 の作製工程が完了する。この基板ユニットE
2 では、先に述べたように、実装用パッド7を基準として、嵌合部5aが形成されているため、その実装用パッド7に実装された光学素子8と嵌合部5aとは適正な位置関係にある。
【0041】
つぎに、前記(3)の光導波路ユニットW
2 と基板ユニットE
2 との結合工程について説明する。すなわち、基板ユニットE
2 〔
図3(a),(b)参照〕の光学素子8の表面(発光部または受光部)を、光導波路ユニットW
2 〔
図2(a),(b)参照〕のコア2の光透過面2a側に向けた状態で、光導波路ユニットW
2 に形成した基板ユニット嵌合用の縦溝部60に、上記基板ユニットE
2 に形成した嵌合部5aを嵌合させ、上記光導波路ユニットW
2 と基板ユニットE
2 とを一体化する〔
図1(a),(b)参照〕。このとき、嵌合部5aの下端縁を上記基台10の表面に当接させる。なお、上記嵌合は、上記縦溝部60の上から行っても、横から行ってもよい。また、必要に応じて、上記縦溝部60と嵌合部5aとの嵌合部分を接着剤で固定してもよい。このようにして、目的とする光センサモジュールが完成する。
【0042】
ここで、先に述べたように、上記光導波路ユニットW
2 では、コア2の光透過面2aと基板ユニット嵌合用の縦溝部60とが適正な位置関係にある。また、上記光学素子8が実装された基板ユニットE
2 では、光学素子8と嵌合部5aとが適正な位置関係にある。そのため、上記のように、上記縦溝部60に上記嵌合部5aを嵌合し、上記光センサモジュールを作製すると、コア2の光透過面2aと光学素子8とが、自動的に調芯される。その結果、調芯作業が不要となる。
【0043】
図7(a)〜(c)は、本発明の光センサモジュールの他の実施の形態の縦溝部60を模式的に示す平面図である。これらの実施の形態は、光導波路ユニットW
2 に形成する縦溝部60の突出片61の配設が特徴的となっている。すなわち、
図7(a)では、
図2(a)に示す縦溝部60に形成されていた、一方の側壁面の最も奥側の突出片61が形成されておらず、その一方の側壁面の突出片61が3本、他方の側壁面の突出片61が4本となっている。
図7(b),(c)では、縦溝部60内のいずれか一方の側壁面にのみ、突出片61が形成されている〔
図7(b)では3本、
図7(c)では4本〕。
図7(a)〜(c)において、上記以外の部分は、
図1(a),(b)に示す実施の形態と同様である。そして、
図7(a)〜(c)に示す実施の形態でも、
図1(a),(b)に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0044】
なお、上記各実施の形態では、基板ユニット嵌合用の縦溝部60内の突出片61の横断面形状を台形状としたが、他の形状でもよく、例えば、長方形状,半円状,三角形状等でもよい。また、突出片61の数も、適宜設定すればよい。例えば、
図2(a),
図7(a)のように縦溝部60内の互いに対面する両側壁面に突出片61を形成する場合は、一方の側壁面に1本以上、他方の側壁面に2本以上形成すればよい。
図7(b),(c)のように縦溝部60内のいずれか一方の側壁面に突出片61を形成する場合は、1本以上形成すればよい。
【0045】
さらに、上記各実施の形態では、縦溝部60を形成する両側壁面の長さ〔
図1(b)のY軸方向の長さ〕を同じ長さに形成したが、他でもよく、いずれか一方の側壁面が長くてもよい。また、
図1(b)では、縦溝部60に嵌合される基板ユニットE
2 の嵌合部5aの高さL
2 〔
図6(c)参照〕を、縦溝部60と同じ高さに図示したが、上記嵌合により基板ユニットE
2 を支持することができれば、嵌合部5aの高さL
2は、縦溝部60よりも高くても低くてもよい。
【0046】
そして、上記各実施の形態では、縦溝部60と嵌合部5aとの嵌合させた後、その嵌合部分に必要に応じて接着剤で固定したが、その接着剤を使用する場合、上記縦溝部60に嵌合部5aを嵌合させるのに先立って、上記縦溝部60に接着剤を塗布し、その接着剤が固化する前に、上記嵌合を行ってもよい。そのようにすると、接着剤が潤滑剤の作用をするため、上記嵌合が容易となる。さらに、その場合の嵌合方向は、作業性の観点から、横から行うことが好ましい。
【0047】
また、上記各実施の形態では、光導波路ユニットW
2 を基台10の表面に接着剤により接着したが、この基台10は、光導波路ユニットW
2 のアンダークラッド層1の下面全面に対して設けてもよいし、基板ユニットE
2 が嵌合する縦溝部60に対応する部分等に部分的に設けてもよいし、全く設けなくてもよい。なお、基台10を全く設けない場合は、光導波路ユニットW
2 を基台10の表面に、接着剤を用いることなく載置し、基板ユニットE
2 を縦溝部60に嵌合した後、上記基台10を取り除くようにする。
【0048】
そして、上記本発明の光センサモジュールは、例えば、
図8に示すように、2つのL字形の光センサモジュールS
1 ,S
2 に形成し、それらを四角形の枠状にして用いることにより、タッチパネルにおける指等の触れ位置の検知手段として用いることができる。すなわち、一方のL字形の光センサモジュールS
1 は、角部の1箇所に、発光素子8aが実装された基板ユニットE
2 が嵌合され、光Hが出射するコア2の端面2bおよびオーバークラッド層3のレンズ面が、上記枠状の内側に向けられている。他方のL字形の光センサモジュールS
2 は、角部の1箇所に、受光素子8bが実装された基板ユニットE
2 が嵌合され、光Hが入射するオーバークラッド層3のレンズ面およびコア2の端面2bが、上記枠状の内側に向けられている。そして、上記2つのL字形の光センサモジュールを、タッチパネルの四角形のディスプレイDの画面を囲むようにして、その画面周縁部の四角形に沿って設置し、一方のL字形の光センサモジュールS
1 からの出射光Hを他方のL字形の光センサモジュールS
2 で受光できるようする。これにより、上記出射光Hが、ディスプレイDの画面上において、その画面と平行に格子状に走るようにすることができる。このため、指でディスプレイDの画面に触れると、その指が出射光Hの一部を遮断し、その遮断された部分を、受光素子8bで感知することにより、上記指が触れた部分の位置を検知することができる。なお、
図8では、コア2を鎖線で示しており、その鎖線の太さがコア2の太さを示しているとともに、コア2の数を略して図示している。
【0049】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0050】
〔アンダークラッド層,オーバークラッド層(延長部分を含む)の形成材料〕
ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(成分A)35重量部、脂環式エポキシ樹脂である3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P)(成分B)40重量部、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2081)(成分C)25重量部、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50重量%プロピオンカーボネート溶液(成分D)2重量部とを混合することにより、アンダークラッド層およびオーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0051】
〔コアの形成材料〕
上記成分A:70重量部、1,3,3−トリス{4−〔2−(3−オキセタニル)〕ブトキシフェニル}ブタン:30重量部、上記成分D:1重量部を乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0052】
〔光導波路ユニットの作製〕
上記アンダークラッド層,コア,オーバークラッド層の各形成材料を用い、ステンレス製基板に、上記実施の形態と同様にして、光導波路ユニットを作製した。そして、アンダークラッド層の裏面から上記ステンレス製基板を剥離した後、得られた光導波路ユニットを、アクリル板上に、接着剤を用いて接着した。
【0053】
オーバークラッド層の延長部分に形成された縦溝部は、
図2(a)に示すものとした。その延長部分の高さ(厚み)は、1mmとした。また、縦溝部の寸法は、対峙する突出片と突出片との間の距離を0.05mm、縦溝部の奥行き深さを13.47mm、突出片の突出量(突出高さ)を1mm、突出片の断面台形状の頂面の幅を1mmとした。
【0054】
〔基板ユニットの作製〕
上記実施の形態と同様にして、ステンレス製基板〔25mm×30mm×0.05mm(厚み)〕の表面の一部分に、絶縁層,光学素子実装用パッドおよび電気配線を形成し、そのステンレス製基板の片側を、上記縦溝部に嵌合する嵌合部に形成した。この嵌合部の寸法は、高さを1mm、横の長さ(突出長さ)を15mmとした。
【0055】
そして、上記光学素子実装用パッドの表面に、銀ペーストを塗布した後、その上に、ワイヤーボンディングタイプの発光素子(Optowell社製、SM85−1N001)を実装した。その後、上記発光素子およびその周辺部を、透明樹脂(日東電工社製、NT−8038)によりポッティング封止した。このようにして、基板ユニットを作製した。
【0056】
〔光センサモジュールの製造〕
上記光導波路ユニットにおける基板ユニット位置決め用の縦溝部に、接着剤を塗布し、その接着剤が固化する前に、上記基板ユニットの嵌合部を横方向にスライドさせるようにして、上記縦溝部に嵌合させた。そして、その嵌合部の横方向先端縁を上記縦溝部の奥壁面に当接させるとともに、その嵌合部の下端縁をアクリル板の表面に当接させた。その後、上記接着剤を固化した。このようにして、光センサモジュールを製造した。
【0057】
〔光伝播試験〕
上記実施例の光センサモジュールの発光素子に電流を流し、発光素子から光を出射させた。そして、光センサモジュールの他端部から光が出射されることを確認した。
【0058】
この結果から、上記製法では、光導波路ユニットのコアと基板ユニットの発光素子との調芯作業をしなくても、得られた光センサモジュールは、適正に光伝播することがわかる。