(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一反射型液晶セルは、前記第一波の偏光方向に平行な方向に液晶分子が配向されており、前記第二反射型液晶セルは、前記第二波の偏光方向に平行な方向に液晶分子が配向されていることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる
光変調器の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
(光変調器の構成)
図1は、実施の形態にかかる光変調器の構成を示す平面図である。
図1に示すように、実施の形態にかかる光変調器100は、入力部110と、分岐部120と、第一導波路131と、第二導波路132と、干渉部140と、第一出力部151と、第二出力部152と、第一液晶セル161と、第二液晶セル162と、を備えるMZI型変調器である。入力部110には、光変調器100への入力光が入力される。入力部110は、入力光を分岐部120へ出力する。
【0014】
分岐部120、第一導波路131、第二導波路132および干渉部140は、入力光を分岐し、分岐した各光を干渉させる光干渉計を構成している。分岐部120は、入力部110から出力された光を分岐し、分岐した各光をそれぞれ第一導波路131および第二導波路132へ出力する。分岐部120は、たとえば3dBカプラである。
【0015】
第一導波路131および第二導波路132は、MZI型の光干渉計の各アームを構成している。第一導波路131は、分岐部120から出力された光を通過させて干渉部140へ出力する。第二導波路132は、分岐部120から出力された光を通過させて干渉部140へ出力する。
【0016】
干渉部140は、第一導波路131から出力された光と、第二導波路132から出力された光と、を干渉させる。干渉部140は、合波により得られた各光をそれぞれ第一出力部151および第二出力部152へ出力する。第一出力部151および第二出力部152のそれぞれは、干渉部140から出力された光を後段へ出力する。
【0017】
第一液晶セル161(第一液晶セル)および第二液晶セル162(第二液晶セル)のそれぞれは、光干渉計において分岐された各光のうちの一方の光を通過させ、通過させる光を印加信号に応じて遅延させる。ここでは、第一液晶セル161および第二液晶セル162は、互いに積層されて一体的に形成され(詳細は
図8参照)、第一導波路131の光路上に設けられている。ここで、図では第一液晶セル161を入射側に、第二液晶セル162を出射側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0018】
ここで、neは、液晶分子の長軸方向に平行な方向の屈折率、noは、液晶分子の長軸方向に垂直な方向の屈折率、neffは、印加電圧によって制御される液晶セルの実効屈折率で、最大値がneとすると、第一液晶セル161および第二液晶セル162における位相変調量はそれぞれ(no+Δn(V))×dとなる。dは、液晶セルのセル厚である。Δnは電圧の関数で、Δn=neff−noである。セル厚dは、第一液晶セル161および第二液晶セル162の設定した厚さによって異なった値に決まる。
【0019】
第一液晶セル161および第二液晶セル162の応答時間はそれぞれセル厚d
2に比例する。第一液晶セル161は、第二液晶セル162よりもセル厚が厚い。このため、第一液晶セル161は、印加信号に対する応答時間が長くなる。第二液晶セル162は、第一液晶セル161よりも薄いセル厚である。このため、第二液晶セル162は、印加信号に対する応答時間が短くなる。
【0020】
入力部110への入力を1として規格化した場合に、第二出力部152の出力Iの応答特性は、下記(1)式によって示すことができる。下記(1)式において、δφは、第一導波路131と第二導波路132との間の位相差を示している。位相差δφは、δφ=(液晶層を除いた光路の位相差)+(第一液晶セル161の位相量)+(第二液晶セル162の位相量)となる。
【0022】
なお、第一出力部151および第二出力部152の各出力は互いに逆相(相補)の関係にある。このため、第二出力部152の出力が最大のときは第一出力部151の出力は最小となり、第二出力部152の出力が最小のときは第一出力部151の出力は最大となる。また、位相差δφが0のときには、第一出力部151および第二出力部152の各出力の強度は均等に配分される。
【0023】
(光変調装置の構成)
図2は、
図1に示した光変調器を備える光変調装置の構成を示す図である。
図2に示すように、光変調装置200は、光変調器100と、基準信号生成部210と、位相変調信号生成部220と、第一PD(Photo Diode)231と、第二PD232と、増幅器240と、ピーク検出器250と、ロックインアンプ260と、を備えている。基準信号生成部210、位相変調信号生成部220、第一PD231、第二PD232、増幅器240、ピーク検出器250およびロックインアンプ260は、光変調器100の制御系である。
【0024】
基準信号生成部210は、たとえば基準信号h×sin(x)(たとえば100[Hz]〜5[kHz]程度)を生成し、生成した基準信号h×sin(x)をディザ信号として第二液晶セル162に印加する微小変調手段である。ここで、hは微小(位相)振幅である。第二液晶セル162に印加されるディザ信号は、第二液晶セル162を通過する光の位相を微小制御する微小位相変調信号である。また、基準信号生成部210は、基準信号h×sin(x)をロックインアンプ260へ出力する。
【0025】
位相変調信号生成部220は、2つの第一PD231と第二PD232の出力の直流成分の差信号に比例するロックインアンプ260の出力電圧Vに応じた位相変調信号(たとえば100Hz以下。安定状態なら一定値でもよい)を生成し、生成した位相変調信号を第一液晶セル161に印加する位相変調手段である。第一液晶セル161に印加される位相変調信号は、第一液晶セル161を通過する光の位相を変調し光変調器100の動作点を可変し出力動作変動を抑制するための信号である。なお、光変調器100の入力光のビットレートは、基準信号h×sin(x)や位相変調信号と比べて十分に高い周波数であるものとする(たとえば数Gbps〜数十Gbps)。
【0026】
第一PD231は、光変調器100の第一出力部151から出力された光を受光し、受光した光のパワーを示す電気信号を増幅器240へ出力する。第二PD232は、光変調器100の第二出力部152から出力された光を受光し、受光した光のパワーを示す電気信号を増幅器240へ出力する。増幅器240は、第一PD231および第二PD232から出力された各電気信号を増幅し、増幅した各電気信号をピーク検出器250へ出力する。また、増幅器240は、増幅した各電気信号を後段の光信号受信器(不図示)へ出力する。
【0027】
ピーク検出器250は、増幅器240から出力された電気信号(たとえば第一出力部151と第二出力部152の平均値の差信号出力)の微小振幅変調成分(sin(x)成分を含む)を検出する。ピーク検出器250は、検出した振幅変調成分を誤差信号Ieとしてロックインアンプ260へ出力する。ピーク検出器250は、光信号中の微小振幅変調成分に比例する低周波の包絡線(エンベロープ)の基準信号に応答するように構成する。ピーク検出器250が出力する誤差信号Ieは、第二液晶セル162に印加するディザ信号のh×sin(x)(hは微小位相)を用いて下記(2)式によって示すことができる。
【0029】
上記(2)式において、x=ωt=2πftである。fは基準信号生成部210が生成する基準信号h×sin(x)の周波数であり、tは時間である。ロックインアンプ260は、基準信号生成部210から出力された基準信号h×sin(x)と、ピーク検出器250から出力された誤差信号Ieと、の位相差に比例した信号を出力する。ロックインアンプ260の出力電圧Vは位相変調信号生成部220へ出力される。
【0030】
このように、光変調装置200は、第一液晶セル161および第二液晶セル162を通過した光に含まれる、第二液晶セル162に印加した微小位相変調信号(ディザ信号)による変化成分(微小振幅変調成分)を検出し、検出結果(誤差信号Ie)に基づいて第一液晶セル161へ印加する位相変調信号を制御する。
【0031】
(位相変調特性と誤差信号との関係)
図3は、液晶セルにおける位相変調特性と誤差信号との関係を示すグラフである。
図3において、横軸は第一導波路131と第二導波路132との間の位相差δφ[rad]を示している。なお、この図では、第一液晶セル161で制御できる位相変調範囲を約2πとしてその範囲での光変調器100の応答特性の一例を示している。縦軸は、光変調器100の出力(たとえば第二出力部152の出力)を示している。応答特性311は、ディザ信号が変調範囲の丁度半分の位相量を与えたときの光変調器100出力応答特性の一例を示している。
【0032】
位相量θ1は、光変調器100の出力が調整したい動作点である最大値1付近となる第一液晶セル161の最適な位相量を示している(遅延量が最適)。位相量θ2は、最適な位相量θ1よりも小さい第一液晶セル161の位相量を示している(遅延量が小さい)。位相量θ3は、最適な位相量θ1よりも大きい第一液晶セル161の位相量を示している(遅延量が大きい)。
【0033】
基準信号320は、上述した基準信号h×sin(x)を示している。誤差信号331は、第一液晶セル161の位相量が位相量θ1である場合の誤差信号Ieを示している。誤差信号332は、第一液晶セル161の位相量が位相量θ2である場合の誤差信号Ieを示している。誤差信号333は、第一液晶セル161の位相量が位相量θ3である場合の誤差信号Ieを示している。
【0034】
誤差信号331の周波数は、基準信号320の周波数の2倍となる。この場合は、ロックインアンプ260の出力信号Vは0となる。また、誤差信号332は基準信号320に対して逆相となる。また、誤差信号333は、基準信号320に対して同相となる。
【0035】
ロックインアンプ260の出力信号Vは、誤差信号Ieに規格化基準信号sin(x)をかけてxの1周期(0から2π)で積分した値に比例すると考えられる。すなわち、ロックインアンプ260の出力信号Vは、たとえば下記(3)式によって示すことができる。
【0037】
応答特性312は、応答特性311の状態から、印加したディザ信号の位相量が小さくなった瞬間の光変調器100の出力の応答特性を示している。応答特性313は、応答特性311の状態から、ディザ信号の位相量が大きくなった瞬間の光変調器100の出力の応答特性を示している。応答特性312および応答特性313に示すように、ディザ信号の位相量を変化させると、光変調器100の最適動作点θ1に対して、θ2のように第一液晶セルで可変できる位相量が少ない方向にずれているか、または、θ3のように位相量が大きい方にずれているかがわかるため、誤差信号Ieの出力を第一液晶セルの位相量にフィードバックすることで動作点を最適化することが可能となる。
【0038】
(ロックインアンプの出力信号)
図4は、ロックインアンプの出力信号を示すグラフの一例である。
図4において、横軸は第一導波路131と第二導波路132との間の位相差δφ[rad]を示している。たとえば、第一液晶セル161の位相変調によって調節可能な位相量の範囲を2πとし、ディザ信号の微小位相振幅hをπ/10とする。この場合は、上記(3)式に示したロックインアンプ260の出力信号Vは、
図4に示す出力波形410のようになる。
【0039】
波形420は、上記(1)式に示した出力Iを位相差δφで微分した1/2×cosδφを示している。出力波形410と波形420はほぼ重なっていることから、ロックインアンプ260の出力信号Vは、第二液晶セル162に印加するディザ信号の微小位相振幅hが十分に小さい場合は、第一液晶セル161の位相変調特性の微分波形と一致すると考えられる。
【0040】
このため、位相変調信号生成部220は、ロックインアンプ260からの出力信号Vが0に近づくように第一液晶セル161に印加する位相変調信号を制御することで、第一液晶セル161の位相量を最適な位相量(
図3の位相量θ1)に近づけることができる。
【0041】
ここでは、光変調器100の第二出力部152の出力(または第一出力部151と第二出力部152の直流差分)を監視し、監視した出力が最大になるように位相変調信号の制御を行う場合について説明した。これに対して、第一出力部151および第二出力部152からの各出力は逆相の関係にあるため、第一出力部151から出力される光の強度が最小となるように位相変調信号の制御を行ってもよい。これにより、第二出力部152から出力される光の強度を最大にすることができる。
【0042】
(変調信号の波形)
一般に、液晶セルは、DC成分が印加されると残留イオン成分の局在や液晶材料などの分解が発生して劣化する。このため、第一液晶セル161に印加する位相変調信号は交番電界にするとよい。また、残留不純物イオンが液晶層内で形成する空間電荷層の発生を抑えるために、第一液晶セル161に印加する位相変調信号については、不純物イオンに起因する誘電分散特性を考慮するとよい。たとえば、第一液晶セル161に印加する位相変調信号は、kHzオーダ以上(10[kHz]〜20[kHz]程度)の周波数とする。
【0043】
図5は、変調信号の波形の例を示すグラフである。
図5において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。第一液晶セル161に印加する位相変調信号には、たとえば
図5に示す信号500を用いるとよい。信号500は、第一液晶セル161が波形応答しない程度に十分高い周波数のキャリア周波数を持つ信号に、第一液晶セル161における液晶層の動きを制御する制御信号を重畳した振幅変調型の駆動信号である。ここではキャリア波形に正弦波を用いる例を示したが、キャリア波形に矩形波や三角波を用いてもよい。
【0044】
第二液晶セル162に印加するディザ信号は、基準信号h×sin(x)の周波数が数kHz以上の場合は単純な正弦波としてもよい。ただし、基準信号h×sin(x)の周波数が1kHz以下の場合は、ディザ信号は、第一液晶セル161に印加する位相変調信号と同様に、十分高い周波数のキャリア周波数を持つ信号に制御信号を重畳した振幅変調型の駆動信号とすることが望ましい。
【0045】
(液晶セルの動作)
図6は、液晶セルの動作(水平配向セル)を示す図である。第一液晶セル161および第二液晶セル162(
図1参照)のそれぞれには、たとえば、
図6に示す水平配向のネマティック液晶600(NLC:Nematic Liquid Crystal)を用いることができる。
図6において、進行方向601は光の進行方向を示し、偏光方向602は光の偏光方向を示している。
【0046】
ネマティック液晶600は、第一基板611と、第二基板612と、液晶分子群620と、によって構成されている。液晶分子群620は、第一基板611と第二基板612との間に挟まれている。第一基板611および第二基板612のそれぞれは、たとえばガラス基板である。ネマティック液晶600は、入射する光の偏光方向602とダイレクタ(液晶分子群620の平均配向)の方向とが平行になるように設けられる。変調信号が印加される電極は、たとえば、第一基板611の液晶分子群620側の全面と、第二基板612の液晶分子群620側の全面と、に設けられる。
【0047】
ネマティック液晶600は、位相変調信号(またはディザ信号)によって発生させる駆動変調信号の電圧が小さい場合に、
図6に示すように、液晶分子群620が光の進行方向601と垂直な状態に近づいている。また、位相変調信号(またはディザ信号)によって発生させる駆動変調信号の電圧が大きい場合には、液晶分子群620が光の進行方向601と平行な状態に近づく。したがって、駆動信号電圧と位相変調量との関係は、電圧が大きい場合に位相量が小さくなる方向に変化する。
【0048】
図7は、液晶セルの動作(垂直配向セル)を示す図である。第一液晶セル161および第二液晶セル162(
図1参照)のそれぞれには、たとえば、
図7に示す垂直配向のネマティック液晶700を用いることができる。
図7において、進行方向701は光の進行方向を示し、偏光方向702は光の偏光方向を示している。
【0049】
ネマティック液晶700は、第一基板711と、第二基板712と、液晶分子群720と、によって構成されている。液晶分子群720は、第一基板711と第二基板712との間に挟まれている。第一基板711および第二基板712のそれぞれは、たとえばガラス基板である。ネマティック液晶700は、入射する光の偏光方向702とダイレクタ(液晶分子群720の平均配向)の方向とが平行になるように設けられる。
【0050】
ネマティック液晶700は、位相変調信号(またはディザ信号)によって発生させる駆動変調信号の電圧が小さい場合に、
図7に示すように、液晶分子群720が光の進行方向701と平行な状態に近づいている。また、駆動変調信号の電圧が大きい場合に、ネマティック液晶700は、液晶分子群720が光の進行方向701と垂直な状態に近づく。したがって、水平配向セルの場合と異なり、駆動信号電圧と位相変調量との関係は、電圧が大きい場合に位相量が大きくなる方向に変化する。
【0051】
(液晶セルの構成例)
図8は、液晶セルの構成例を示す正面断面図である。
図9は、
図8に示した液晶セルの平面図である。第一液晶セル161および第二液晶セル162は、互いに積層されて一体的に形成されている。たとえば、第一液晶セル161および第二液晶セル162は、
図8および
図9に示す2層液晶セルモジュール800によって実現することができる。
【0052】
2層液晶セルモジュール800は、第一基板811と、第二基板812と、中間基板813と、第一液晶層821と、第二液晶層822と、を備えている。第一液晶層821は、第一基板811および中間基板813によって挟まれており、第一液晶セル161を構成している。第二液晶層822は、中間基板813および第二基板812によって挟まれており、第二液晶セル162を構成している。セル厚d1は、第一液晶層821のセル厚を示している。セル厚d2は、第二液晶層822のセル厚を示している。
【0053】
また、第一液晶層821と第一基板811との間および第一液晶層821と中間基板813との間にはそれぞれ配向膜831および配向膜832が設けられている。また、第二液晶層822と中間基板813との間および第二液晶層822と第二基板812との間にはそれぞれ配向膜833および配向膜834が設けられている。
【0054】
図9に示す電極接続面910は、中間基板813における、変調信号を印加するための電極接続面である。第一液晶セル161および第二液晶セル162を透過型液晶デバイスとする場合について説明したが、第一液晶セル161および第二液晶セル162を、シリコン基板と対向する透明基板の間に液晶を挟みこむ反射型液晶デバイスとしてもよい(たとえば
図16〜
図23参照)。ここで、図では第一液晶セル161を上側に、第二液晶セル162を下側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0055】
(液晶セルのセル厚)
第一液晶セル161の位相変調信号に対する応答時間tは、第一液晶セル161のセル厚d1の2乗に比例する(t∝d1
2)。1.5〜1.6μm帯(CバンドおよびLバンド)の光通信波長において、液晶材料は正常分散を示すので、Δn(=ne−no)は通常0.1程度となる。したがって、たとえば1.6μmの波長で2πの位相変調を行うためには、セル厚d1は下記(4)式を満たす必要がある。
【0057】
屈折率Δnが0.1の液晶材料の場合は、上記(4)式から、セル厚d1は16μm以上であることが望ましい。さらに、液晶セル界面近傍の液晶分子が動き難いことと、低電圧駆動(5V以下)を行うことを考慮すると、第一液晶セル161のセル厚d1は20μm程度であることがより望ましい。
【0058】
一方、第二液晶セル162のディザ信号に対する応答時間tは、第二液晶セル162のセル厚d2の2乗に比例する(t∝d2
2)。第二液晶セル162については、数kHzのディザ信号に追従する程度に応答時間が高速である必要がある。このため、第二液晶セル162のセル厚d2は、第一液晶セル161のセル厚d1の1/4以下(さらに望ましくは1/10以下)にするとよい。たとえば、第一液晶セル161のセル厚d1が16μm程度である場合は、第二液晶セル162のセル厚d2は1μm程度にするとよい。
【0059】
(光変調器の変形例)
図10は、
図1に示した光変調器の変形例1を示す平面図である。
図10において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、光変調器1000は、スプリッタ1010と、ミラー1020と、ミラー1030と、コンバイナ1040と、第一液晶セル161と、第二液晶セル162と、を備えている。スプリッタ1010、ミラー1020、ミラー1030およびコンバイナ1040は、入力光1001を分岐し、分岐した各光を干渉させる光干渉計を構成している。また、図示はしないがスプリッタ1010とミラー1020との間の光路に両側アームの位相差を調整するための位相遅延素子や位相遅延線を挿入してもよい。
【0060】
スプリッタ1010には、光変調器1000への入力光1001が入力される。スプリッタ1010は、入力光1001を分岐し、分岐した各光をミラー1020およびコンバイナ1040へ出射する。ミラー1020は、スプリッタ1010から出射された光を反射させてミラー1030へ出射する。ミラー1030は、ミラー1020から出射された光を反射させてコンバイナ1040へ出力する。
【0061】
コンバイナ1040は、スプリッタ1010から出射された光と、ミラー1030から出射された光と、を干渉させる。コンバイナ1040における干渉によって得られた出力光1002および出力光1003は後段に出力される。たとえば、出力光1002は、
図1に示した第一出力部151からの出力に対応している。また、出力光1003は、
図1に示した第二出力部152からの出力に対応している。
【0062】
第一液晶セル161および第二液晶セル162は、ミラー1020からミラー1030へ出射される光の光路上に設けられている。第一液晶セル161は、ミラー1020から出射された光を通過させて第二液晶セル162へ出射する。第二液晶セル162は、第一液晶セル161から出射された光を通過させてミラー1030へ出射する。ここで、図では第一液晶セル161を入射側に、第二液晶セル162を出射側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0063】
図11は、
図1に示した光変調器の変形例2を示す平面図である。
図11において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示す光変調器1100は、スプリッタ1110と、コンバイナ1120と、第一液晶セル161と、第二液晶セル162と、を備えるファブリペロー型の光干渉計である。ここで、図では第一液晶セル161を左側に、第二液晶セル162を右側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0064】
スプリッタ1110には、光変調器1100への入力光1101が入力される。スプリッタ1110は、入力光1101をコンバイナ1120側へ出射する。スプリッタ1110とコンバイナ1120との間には第一液晶セル161および第二液晶セル162が設けられている。スプリッタ1110からコンバイナ1120側へ出射された光は、第一液晶セル161および第二液晶セル162を通過しながら多重反射する。
【0065】
第一液晶セル161および第二液晶セル162を通過しながら多重反射した光の一部は出力光1102としてコンバイナ1120から出力される。また、多重反射した光の他の一部は出力光1103としてスプリッタ1110から出力される。たとえば、出力光1102は、
図1に示した第一出力部151からの出力に対応している。また、出力光1103は、
図1に示した第二出力部152からの出力に対応している。
【0066】
図12は、
図1に示した光変調器の変形例3を示す平面図である。
図12において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、光変調器1200は、方向性結合器1210と、リング導波路1220と、第一液晶セル161と、第二液晶セル162と、を備えるリング型光干渉計である。
【0067】
方向性結合器1210には、光変調器1200への入力光1201が入力される。方向性結合器1210は、入力光1201と、リング導波路1220から出力された光と、を干渉させる。方向性結合器1210における干渉によって得られた各光は、一方は出力光1202として後段へ出力され、他方はリング導波路1220へ出力される。
【0068】
リング導波路1220は、方向性結合器1210から出力された光を通過させ、方向性結合器1210の入力側へ出力する。第一液晶セル161および第二液晶セル162は、リング導波路1220上に設けられている。第一液晶セル161は、方向性結合器1210の出力側から出力された光を通過させて第二液晶セル162へ出力する。第二液晶セル162は、第一液晶セル161から出力された光を通過させて方向性結合器1210の入力側へ出力する。ここで、図では第一液晶セル161を右側に、第二液晶セル162を左側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0069】
図13は、
図1に示した光変調器の変形例4を示す平面図である。
図13において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、光変調器1300は、方向性結合器1310と、ミラー1320と、ミラー1330と、を備えるリング型光干渉計である。
【0070】
方向性結合器1310には、光変調器1300への入力光1301が入力される。方向性結合器1310は、入力光1301と、ミラー1330から出射された光と、を干渉させる。方向性結合器1310における干渉によって得られた各光は、一方は出力光1302として後段へ出力され、他方はミラー1320へ出射される。
【0071】
ミラー1320は、方向性結合器1310から出射された光を反射させてミラー1330へ出射する。ミラー1320とミラー1330との間には第一液晶セル161および第二液晶セル162が設けられている。第一液晶セル161および第二液晶セル162は、ミラー1320からミラー1330へ出射される光を通過させる。ミラー1330は、ミラー1320から出射された光を反射させて方向性結合器1310へ出射する。ここで、図では第一液晶セル161を左上側に、第二液晶セル162を右下側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよいし、またリング共振器中に分けて配置してもよい。
【0072】
図14は、
図1に示した光変調器の変形例5を示す平面図である。
図14において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、第一液晶セル161および第二液晶セル162は、互いに積層されて一体的に形成されていない構成としてもよい。ここで、図では第一液晶セル161を右側に、第二液晶セル162を左側に構成した例を示したが、順番は入れ替えてもよい。
【0073】
ここでは、第一液晶セル161および第二液晶セル162は、それぞれ第一導波路131上の異なる位置に設けられている。また、
図1においては第一液晶セル161の後段に第二液晶セル162を設ける構成について説明したが、
図14に示すように、第一液晶セル161の前段に第二液晶セル162を設ける構成としてもよい。
【0074】
図15は、
図1に示した光変調器の変形例6を示す平面図である。
図15において、
図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図1においては第一液晶セル161および第二液晶セル162をともに第一導波路131上に設ける構成について説明したが、
図15に示すように、第一液晶セル161を第一導波路131上に設け、第二液晶セル162を第二導波路132上に設ける構成としてもよい。ここで、図では第一液晶セル161を第一導波路131側に、第二液晶セル162を第二導波路132側に構成した例を示したが、それぞれの液晶セルをアームに入れ替えて配置してもよい。
【0075】
また、以上説明した各実施の形態において、入力光の偏光方向が、液晶セルの遅相軸に平行となるように設定するのが好ましい。入力光が一方向に偏光していない場合は、入力光が入力する位置、たとえば入力部に偏光子を挿入することができる。また、偏光子の代わりにPBS(Polarization Beam Splitters:偏波ビームスプリッタ)を配置して、2つの光路に入力光を偏光分離し、干渉計を並列接続することで偏波無依存型の構成とすることもできる。
【0076】
さらに、第一液晶セルと同一構成で、遅相軸を90度変えた第一補正液晶セルと、第二液晶セルと同一構成で遅相軸を90度変えた第二補正液晶セルの4つの液晶セルを積層配置することで、偏波無依存型の構成にすることもできる。
【0077】
図16は、
図1に示した光変調器の変形例7を示す平面図である。
図16に示すように、実施の形態にかかる光変調器1600は、光ファイバまたは導波路と空間光学系とを組み合わせたマイケルソン型の構成としてもよい。
図16に示す光変調器1600は、たとえば、
図1に示したマッハツェンダー型の光変調器100を反射型液晶素子で形成した場合と等価な光回路となる。
【0078】
具体的には、光変調器1600は、入力部1610と、サーキュレータ1620と、光カプラ1630と、第一導波路1641と、第二導波路1642と、レンズ1643と、レンズ1644と、第一出力部1651と、第二出力部1652と、反射部1670と、液晶部1680と、を備えていてもよい。
【0079】
入力部1610には、光変調器1600への入力光が入力される。入力部1610は、入力光をサーキュレータ1620へ出力する。サーキュレータ1620は、入力部1610から出力された光を光カプラ1630へ出力する。また、サーキュレータ1620は、光カプラ1630から出力された光を第一出力部1651へ出力する。
【0080】
光カプラ1630は2×2光カプラである。具体的には、光カプラ1630は、サーキュレータ1620から出力された光を1:1の割合で分波し、分波した各光をそれぞれ第一導波路1641および第二導波路1642へ出力する。また、光カプラ1630は、第一導波路1641および第二導波路1642から出力された各光を合波し、合波により得られた各光をそれぞれサーキュレータ1620および第二出力部1652へ出力する。
【0081】
第一導波路1641は、光カプラ1630から出力された光を通過させてレンズ1643へ出射する。また、第一導波路1641は、反射部1670によって反射してレンズ1643によって集光された光を通過させて光カプラ1630へ出力する。レンズ1643は、第一導波路1641から出射された光をコリメートして反射部1670へ出射するとともに、反射部1670によって反射した光を第一導波路1641の端部へ集光する。反射部1670は、レンズ1643から出射された光をレンズ1643側へ反射させる。
【0082】
第二導波路1642は、光カプラ1630から出力された光を通過させてレンズ1644へ出射する。また、第二導波路1642は、液晶部1680によって反射してレンズ1644によって集光された光を通過させて光カプラ1630へ出力する。レンズ1644は、第二導波路1642から出射された光をコリメートして液晶部1680へ出射するとともに、液晶部1680によって反射した光を第二導波路1642の端部へ集光する。
【0083】
液晶部1680は、第一液晶セル1682および第二液晶セル1681からなる反射型液晶素子である。液晶部1680は、レンズ1644から出射された光を第二液晶セル1681および第一液晶セル1682に通過させてレンズ1644側へ反射させる。第一液晶セル1682および第二液晶セル1681は、たとえば
図1に示した第一液晶セル161および第二液晶セル162に対応する構成である。
【0084】
反射部1670および液晶部1680によって反射した各光は、それぞれ第一導波路1641および第二導波路1642を通過して光カプラ1630によって合波される。そして、光カプラ1630によって合波された各光の位相差に応じた比率の各光がそれぞれサーキュレータ1620および第二出力部1652へ出力される。サーキュレータ1620へ出力された光は第一出力部1651へ出力される。
【0085】
第一出力部1651は、サーキュレータ1620から出力された光を通過させて出力する。第二出力部1652は、光カプラ1630から出力された光を通過させて出力する。
図16に示した光変調器1600は、たとえば
図2に示した光変調装置200に適用することができる。この場合は、第一出力部1651は、第一PD231へ光を出力する。また、第二出力部1652は、第二PD232へ光を出力する。
【0086】
図17は、
図16に示した光変調器の変形例を示す平面図である。
図17において、
図16に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、光変調器1600は、
図16に示したレンズ1643および反射部1670に代えて、光カプラ1710およびループミラー1720を備えていてもよい。
【0087】
第一導波路1641は、光カプラ1630から出力された光を光カプラ1710へ出力する。また、第一導波路1641は、光カプラ1710から出力された光を光カプラ1630へ出力する。光カプラ1710は1×2光カプラである。具体的には、光カプラ1710は、第一導波路1641から出力された光を分波し、分波した光をループミラー1720の各端部へ入力する。また、光カプラ1710は、ループミラー1720の各端部から出力された各光を合波して第一導波路1641へ出力する。
【0088】
ループミラー1720は、第一の端部および第二の端部を有するループ状の光導波路である。ループミラー1720は、第一の端部から入力された光を第二の端部から出力するとともに、第二の端部から入力された光を第一の端部から出力する。
【0089】
このように、光変調器1600においては、空間光学系で形成した反射部1670に代えて、光導波路で形成される光カプラ1710およびループミラー1720を用いてもよい。これにより、空間光学系部分を減らすことができるため、光軸調整の箇所を減らすとともに、振動に強い構造とすることができる。
【0090】
図18は、液晶部の構成例を示す正面断面図である。
図19は、
図18に示した液晶部の平面図である。
図16および
図17に示した第一液晶セル1682および第二液晶セル1681は、互いに積層されて液晶部1680として一体的に形成されている。たとえば液晶部1680は、
図18および
図19に示す反射型の2層液晶セルモジュール1800によって実現することができる。
【0091】
2層液晶セルモジュール1800は、シリコン基板1811と、LCOSガラス基板1812と、第一基板1813と、第二基板1814と、CMOS層1821と、反射層1831と、第一液晶層1841と、第二液晶層1842と、配向膜1851〜1854と、電極接続面1910と、を備えている。
【0092】
第一液晶層1841は、シリコン基板1811およびLCOSガラス基板1812によって挟まれており、
図16,
図17に示した第一液晶セル1682を構成している。第二液晶層1842は、第一基板1813および第二基板1814によって挟まれており、
図16,
図17に示した第二液晶セル1681を構成している。また、LCOSガラス基板1812と第一基板1813は積層されている。
【0093】
また、反射層1831と第一液晶層1841との間およびLCOSガラス基板1812と第一液晶層1841との間にはそれぞれ配向膜1851および配向膜1852が設けられている。また、シリコン基板1811と配向膜1851との間には、CMOS層1821および反射層1831が設けられている。また、第一基板1813と第二液晶層1842との間および第二基板1814と第二液晶層1842との間にはそれぞれ配向膜1853および配向膜1854が設けられている。
【0094】
第二基板1814から入射した光は、第一基板1813およびLCOSガラス基板1812を通過し、反射層1831によって反射する。反射層1831によって反射した光は、LCOSガラス基板1812および第一基板1813を通過し、第二基板1814から出射される。
図19に示す電極接続面1910は、第一基板1813における、変調信号を印加するための電極接続面である。
【0095】
第一液晶層1841および第二液晶層1842は、1次元アレイや2次元アレイの多画素型とすることができる。たとえば、ディザ信号を第二液晶層1842に印加し、位相変調信号を第一液晶層1841に印加する。すなわち、精密な位相調整を必要とする位相変調素子としてLCOS側の第一液晶層1841を用いる。または、逆に、第一液晶層1841を第二液晶層1842より薄くし、ディザ信号を第一液晶層1841に印加し、位相変調信号を第二液晶層1842に印加する構成としてもよい。
【0096】
図20は、
図1に示した光変調器の変形例8を示す平面図である。
図20に示すように、実施の形態にかかる光変調器2000は、主に空間光学系で構成したマイケルソン型の構成としてもよい。
図20に示す光変調器2000は、
図1に示したマッハツェンダー型の光変調器100を反射型液晶素子で形成した場合と等価な光回路となる。
【0097】
具体的には、光変調器2000は、入力部2011と、第一出力部2012と、第二出力部2013と、サーキュレータ2020と、第一コリメータレンズ2030と、ハーフミラー2040と、反射部2050と、液晶部2060と、第二コリメータレンズ2070を備えていてもよい。入力部2011には光変調器2000への入力光が入力される。入力部2011は、入力光をサーキュレータ2020へ出力する。
【0098】
サーキュレータ2020は、入力部2011から出力された光を第一コリメータレンズ2030へ出射する。また、サーキュレータ2020は、第一コリメータレンズ2030により集光された光を第一出力部2012へ出射する。第一コリメータレンズ2030は、サーキュレータ2020から出力された光をコリメートしてハーフミラー2040へ出射する。また、第一コリメータレンズ2030は、ハーフミラー2040から出射された光を集光してサーキュレータ2020へ出力する。
【0099】
ハーフミラー2040は、第一コリメータレンズ2030から出射された光の一部を反射させて反射部2050へ出射するとともに、第一コリメータレンズ2030から出射された光の残りを液晶部2060へ出射する。また、ハーフミラー2040は、反射部2050から出射された光と、液晶部2060から出射された光と、を合波し、合波により得られた各光をそれぞれ第一コリメータレンズ2030および第二コリメータレンズ2070へ出力する。反射部2050は、ハーフミラー2040から出射された光を反射させてハーフミラー2040へ出射する。
【0100】
液晶部2060は、
図16,
図17に示した液晶部1680と同様の構成である。液晶部2060は、第一液晶セル2062および第二液晶セル2061からなる。液晶部2060は、ハーフミラー2040から出射された光を反射させてハーフミラー2040へ出射する。これにより、液晶部2060および反射部2050からの各光がハーフミラー2040において合波され、合波された各光の位相差に応じた比率の各光がそれぞれ第一コリメータレンズ2030および第二コリメータレンズ2070へ出射される。第一コリメータレンズ2030へ出射された光は、サーキュレータ2020を経由して第一出力部2012へ出力される。第二コリメータレンズ2070は、ハーフミラー2040から出射された光を集光して第二出力部2013へ出射する。
【0101】
第一出力部2012は、サーキュレータ2020から出力された光を通過させて出力する。第二出力部2013は、第二コリメータレンズ2070から出射された光を通過させて出力する。
図20に示した光変調器2000は、たとえば
図2に示した光変調装置200に適用することができる。この場合は、第一出力部2012は、第一PD231へ光を出力する。また、第二出力部2013は、第二PD232へ光を出力する。
【0102】
このように、主に空間光学系で構成したマイケルソン型の構成とすることにより、温度依存性の大きな導波路を用いる場合と比べて温度依存性を小さくすることができる。
【0103】
図21は、
図1に示した光変調器の変形例9を示す平面図である。
図21に示すように、実施の形態にかかる光変調器2100は、偏光無依存型のマイケルソン型の構成としてもよい。具体的には、光変調器2100は、入力部2111と、第一出力部2112と、第二出力部2113と、サーキュレータ2120と、ハーフミラー2130と、反射部2140と、PBS2150と、液晶部2160と、液晶部2170を備えている。
【0104】
入力部2111には光変調器2100への入力光が入力される。入力部2111は、入力光をサーキュレータ2120へ出力する。サーキュレータ2120は、入力部2111から出力された光をハーフミラー2130へ出力する。サーキュレータ2120は、ハーフミラー2130から出力された光を第一出力部2112へ出力する。
【0105】
ハーフミラー2130は、サーキュレータ2120から出力された光の一部を反射させて反射部2140へ出力するとともに、サーキュレータ2120から出力された光の残りをPBS2150へ出力する。また、ハーフミラー2130は、反射部2140から出力された光と、PBS2150から出力された光と、を合波し、合波により得られた各光をそれぞれサーキュレータ2120および第二出力部2113へ出力する。
【0106】
反射部2140は、ハーフミラー2130から出力された光を反射させてハーフミラー2130へ出力する。偏光方向2181は、ハーフミラー2130からPBS2150へ出力される光の偏光方向を示している。偏光方向2181に示すように、ハーフミラー2130からPBS2150へ出力される光は各偏光成分(たとえばS偏光とP偏光)を含んでいる。
【0107】
PBS2150は、ハーフミラー2130から出力された光を各偏光成分(たとえばS偏光とP偏光)に分離し、分離した各光をそれぞれ液晶部2160および液晶部2170へ出力する。偏光方向2182は、PBS2150から液晶部2160へ出力される光の偏光方向を示している。偏光方向2182に示すように、PBS2150はP偏光の光を液晶部2160へ出力する。偏光方向2183は、PBS2150から液晶部2170へ出力される光の偏光方向を示している。偏光方向2183に示すように、PBS2150はS偏光の光を液晶部2170へ出力する。また、PBS2150は、液晶部2160および液晶部2170から出力された各光を合波してハーフミラー2130へ出力する。
【0108】
液晶部2160および液晶部2170のそれぞれは、
図16,
図17に示した液晶部1680と同様の構成である。ただし、液晶部2160は、P偏光に平行なダイレクタ方向(液晶分子方向)を有するように、液晶層が配向されている。分子方向2163は、液晶部2160の第二液晶セル2161の液晶分子方向を示しており、分子方向2164は、液晶部2160の第一液晶セル2162の液晶分子方向を示しており、P偏光に平行なダイレクタ方向を有するように配向されている。
【0109】
一方、液晶部2170は、S偏光に平行なダイレクタ方向を有するように、液晶層が配向されている。分子方向2173は、液晶部2170の第二液晶セル2171の液晶分子方向を示しており、分子方向2174は、液晶部2170の第一液晶セル2172の液晶分子方向を示しており、いずれもS偏光に平行なダイレクタ方向を有するように配向されている。
【0110】
液晶部2160は、PBS2150から出力された光を変調して、反射させてPBS2150へ出力する。液晶部2170は、PBS2150から出力された光を変調して、反射させてPBS2150へ出力する。これにより、PBS2150および反射部2140からの各光がハーフミラー2130において合波され、合波された各光の位相差に応じた比率の各光がそれぞれサーキュレータ2120および第二出力部2113へ出力される。サーキュレータ2120へ出力された光は第一出力部2112へ出力される。
【0111】
第一出力部2112は、サーキュレータ2120から出力された光を通過させて出力する。第二出力部2113は、ハーフミラー2130から出力された光を通過させて出力する。
図21に示した光変調器2100は、たとえば
図2に示した光変調装置200に適用することができる。この場合は、第一出力部2112は、第一PD231へ光を出力する。また、第二出力部2113は、第二PD232へ光を出力する。
【0112】
このように、光に含まれるS偏光およびP偏光をPBS2150により分離し、それぞれ専用の液晶位相変調素子(液晶部2160,2170)で変調する。そして、S偏光およびP偏光が合波される。これにより、偏光に依存しない変調が可能となるため、入力部2111への入力光の偏光状態に依存しない偏光無依存型の構成とすることができる。また、光変調器2100の前段において光の偏光分離を行う必要がないため、光を効率よく利用することができる。
【0113】
また、液晶部2160および液晶部2170に対してそれぞれ周波数の異なるディザ信号を印加することで、S偏光およびP偏光に対して個別に位相ずれを検出して位相量制御を行うことも可能である。また、S偏光およびP偏光を独立に位相量制御が可能となるため、特に偏波多重のような偏光を用いるモジュールにおいて有用である。
【0114】
なお、図には明示していないが、
図21に示した構成でハーフミラーを2つの1×2カプラとループミラーとで置き換えた光ファイバまたは導波路型として構成することもできる。特に光ファイバで構成する場合は、光ファイバにPBSと偏光方向をあわせたPMF(Polarization Maintaining Fiber:偏波保持ファイバ)を用いることが望ましい。
【0115】
図22は、
図21に示した光変調器の変形例を示す斜視図である。
図22において、
図21に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図22に示すように実施の形態にかかる光変調器2100は、分光器構成としてもよい。
【0116】
具体的には、光変調器2100は、
図21に示した構成において、液晶部2160および液晶部2170に代えてコリメートレンズ2210、分光器2220、レンズ2230、液晶部2260および液晶部2270を備えている。コリメートレンズ2210は、ハーフミラー2130から出射された光をコリメートして分光器2220へ出射する。また、コリメートレンズ2210は、分光器2220から出射された光を集光してハーフミラー2130へ出射する。
【0117】
分光器2220は、コリメートレンズ2210から出射された光を波長毎に分光し、分光した各光をレンズ2230へ出射する。また、分光器2220は、レンズ2230から出射された波長毎の各光を合波してコリメートレンズ2210へ出射する。レンズ2230は、分光器2220から出射された波長毎の各光を集光してPBS2150へ出射する。また、レンズ2230は、PBS2150から出射された波長毎の各光をコリメートして分光器2220へ出射する。
【0118】
PBS2150は、レンズ2230から出力された波長毎の各光に含まれるP偏光の各光を液晶部2260へ出射する。また、PBS2150は、レンズ2230から出力された波長毎の各光に含まれるS偏光の各光を液晶部2270へ出射する。
【0119】
液晶部2260は、
図21に示した液晶部2160と同様の構成である。液晶部2260は、第一液晶セル2262および第二液晶セル2261からなる。ただし、液晶部2260には、PBS2150から出射される波長毎の各光に対応する複数の反射電極部2263がパターニングされている。反射電極部2263は、波長毎の各光を反射させるとともに、印加される変調信号に応じて各光を個別に変調する。液晶部2260は、PBS2150から出射された波長毎の各光を反射させてPBS2150へ出射する。
【0120】
液晶部2270は、
図21に示した液晶部2170と同様の構成である。液晶部2270は、第一液晶セル2272および第二液晶セル2271からなる。ただし、液晶部2270には、PBS2150から出射される波長毎の各光に対応する複数の反射電極部2273がパターニングされている。反射電極部2273は、波長毎の各光を反射させるとともに、印加される変調信号に応じて各光を個別に変調する。液晶部2270は、PBS2150から出射された波長毎の各光を反射させてPBS2150へ出射する。
【0121】
このように、偏光無依存型構成のマイケルソン型干渉計中に分光器2220を挿入した構成とすることで、波長毎に多画素化したLCOS画素を割り当てることで波長毎の位相制御が可能となる。また、ディザ信号を載せる透過型液晶素子も多画素化することで、波長毎に異なる周波数のディザ信号を印加することも可能であり、特に波長多重化した光学システムおよび通信システムに適合する。ここで、分光部分の構成については、コリメートレンズ2210およびレンズ2230の実効的な焦点距離と分光器2220の平均位置(光軸上の位置)および液晶部2260および液晶部2270の反射ミラーの光路長位置とは等しくなるように構成した4fのテレセントリック光学系にて構成することが望ましい。
【0122】
なお、反射電極部2263および反射電極部2273への集光の調整は、レンズ2230や、レンズ2230から反射電極部2263および反射電極部2273までの光路長の調整により行う。また、液晶部2260の第二液晶セル2261と、液晶部2270の第二液晶セル2271と、の透明電極もパターニングして、波長毎に異なる周波数でディザ用微小変調をかける構成とすることもできる。
【0123】
図23は、
図1に示した光変調器の変形例10を示す平面図である。
図23に示すように、実施の形態にかかる光変調器2300は、位相変調素子を多重反射素子として用いるGT(Gires−Tournois)干渉計としてもよい。具体的には、光変調器2300は、入力部2311と、第一出力部2312と、サーキュレータ2320と、コリメータ2330と、ハーフミラー2340と、液晶部2350と、を備えていてもよい。
【0124】
入力部2311には光変調器2300への入力光が入力される。入力部2311は、入力光をサーキュレータ2320へ出力する。サーキュレータ2320は、入力部2311から出力された光をコリメータ2330へ出射する。また、サーキュレータ2320は、コリメータ2330により集光された光を第一出力部2312へ出射する。
【0125】
コリメータ2330は、サーキュレータ2320から出力された光をコリメートしてハーフミラー2340へ出射する。また、コリメータ2330は、ハーフミラー2340から出射された光を集光してサーキュレータ2320へ出力する。
【0126】
ハーフミラー2340は、コリメータ2330から出射された一部の光を反射し、同時に他の残りの光を液晶部2350へ出射する。また、ハーフミラー2340は、液晶部2350から出射された光の一部を反射させて液晶部2350へ出射するとともに、液晶部2350から出射された光の残りをコリメータ2330へ出射する。
【0127】
液晶部2350は、
図16,
図17に示した液晶部1680と同様の構成である。液晶部2350は、第一液晶セル2352および第二液晶セル2351を備えている。液晶部2350は、ハーフミラー2340から出射された光を反射させてハーフミラー2340へ出射する。これにより、符号2360に示すように、ハーフミラー2340と液晶部2350との間で光が多重反射する。
【0128】
また、液晶部2350からハーフミラー2340への反射光と、ハーフミラー2340からコリメータ2330へ反射する光と、は干渉してコリメータ2330へ出射される。このように、液晶部2350(位相変調素子)を多重反射素子として用いることで、
図11に示した構成と同様に、ファブリペロー型の光干渉計と同様に鋭い共振特性を得ることが可能となる。また、
図23に示した構成によれば、部品点数が少なく簡易な構成とすることができる。また、
図23に示した構成によれば、光路が分岐せず一つであるため、精度の高い光軸合わせが可能になる。
【0129】
以上説明したように、実施の形態にかかる各光変調器によれば、厚い第一液晶セルによって十分な位相量の位相変調を行うとともに、高速に応答する薄い第二液晶セルによって微小位相変調を行うことができる。このため、安定した位相変調を行うことが可能になる。また、位相変調および微小位相変調を一つのモジュールにおいて行うことができるため、空間光学系や導波路光学系を複雑にしなくても安定した位相変調を行うことができる。
【0130】
第一液晶セルおよび第二液晶セルを互いに積層して一体的に形成することで、第一液晶セルおよび第二液晶セルを一連の工程によって積層形成できるため、製造工程を削減することができる。また、たとえば第一液晶セルおよび第二液晶セルをそれぞれ別の部品として構成する場合と比べて、第一液晶セルおよび第二液晶セルを一体の部品とすることで挿入損失を低減することができる。
【0131】
また、第一液晶セルおよび第二液晶セルによって位相変調を行うことによって装置の消費電力を低減することができる。特に、第一液晶セルおよび第二液晶セルにネマティック液晶を用いることで、5V以下での低電圧駆動が可能になるため装置の消費電力を低減することができる。また、光学異方性が大きな液晶層は数十μm以下と薄く形成できるため、第一液晶セルおよび第二液晶セルの液晶層における損失は小さい。
【0132】
また、第一液晶セルおよび第二液晶セルの液晶層をガラスなどの基板で保持することで、空間光学系型の光干渉計の光路上にも第一液晶セルおよび第二液晶セルを容易に挿入することができる。また、導波路型の光干渉計に対しても、導波路上に第一液晶セルおよび第二液晶セルを挿入することで挿入損失を低減することができる。