特許第5694005号(P5694005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694005
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   G01G19/387 C
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-48645(P2011-48645)
(22)【出願日】2011年3月7日
(65)【公開番号】特開2012-185049(P2012-185049A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 忠信
【審査官】 三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−163301(JP,A)
【文献】 特開昭60−179616(JP,A)
【文献】 特開2002−62185(JP,A)
【文献】 特開2007−248199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給装置から供給される被計量物を周囲へ分散させる分散部と、
該分散部における前記被計量物の量を検出する検出部と、
前記分散部の周囲にそれぞれ配設されて該分散部で分散される被計量物をそれぞれ搬送して搬送端から排出する複数の搬送部と、
各搬送部に対応して配置されると共に、前記搬送端から排出される被計量物を保持し、保持した被計量物を下方へ供給する複数の供給部と、
各供給部に対応して配置されると共に、各供給部から供給される被計量物を保持し、該保持した被計量物の重量を計量する複数の計量部と、
前記検出部の検出出力に基づいて、前記分散部における前記被計量物の量が、下限値未満になったときには、前記供給装置による被計量物の供給動作を開始させ、上限値以上になったときには、前記供給装置による被計量物の供給動作を停止させて前記供給装置による被計量物の供給を制御すると共に、前記計量部で計量される被計量物の計量値に基づいて組合せ演算を行う演算制御部と、
を備える組合せ秤であって、
前記各搬送部の各搬送端における被計量物を検出する被計量物センサを設け、
前記演算制御部は、前記搬送部の駆動を制御するものであって、前記被計量物センサの検出出力に基づいて、前記供給装置による被計量物の供給動作の開始を制御するための前記下限値を変更する、または、前記下限値の変更を促す報知を行うものであり、
前記演算制御部は、前記検出部の検出出力に基づいて、前記分散部における前記被計量物の量が、前記下限値未満になって前記供給装置へ被計量物の供給動作を開始させるための開始信号を出力し、所定時間が経過した後、または、前記搬送部を所定回数駆動した後の、前記被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力に基づいて、前記下限値を増加させる、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
前記演算制御部は、前記所定時間が経過した後、または、前記搬送部を所定回数駆動した後の、前記被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力が継続したとき、または、前記非検出状態の検出出力が周期的に生じたときに、前記下限値を、所定範囲内で増加させる、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記分散部は、被計量物を振動によって分散させるメインフィーダを有し、
前記搬送部は、被計量物を振動によって搬送するリニアフィーダを有し、
前記供給部は、保持した被計量物を前記計量部に投入する供給ホッパであり、
前記計量部は、重量センサによって被計量物の重量を計量する計量ホッパであり、
前記演算制御部は、前記メインフィーダおよびリニアフィーダの駆動を制御する、
請求項1または2に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記下限値を変更したときに、その旨を報知する報知手段を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や果物あるいは菓子類などの被計量物を計量する組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤で計量されて所定重量とされた野菜や果物等の被計量物は、例えば包装機によって袋詰めされるのが一般的である。
【0003】
図9は、特許文献1の従来の組合せ秤の概略構成を模式的に示す図である。
【0004】
この組合せ秤は、供給装置30からメインフィーダ(分散フィーダ)31の中央部に被計量物が供給され、メインフィーダ31では振動によって被計量物をその周縁部方向へ送り出し、メインフィーダ31の周辺に放射状に設置された複数のリニアフィーダ32へ搬送する。
【0005】
複数のリニアフィーダ32には振動装置が取り付けられており、各々のリニアフィーダ32を振動させることによって被計量物を搬送して複数の供給ホッパ33に投入する。複数の供給ホッパ33では一時的に被計量物を保持し、排出用のゲート34を開放して、供給ホッパ33の下方に配設された計量ホッパ35に被計量物を投入する。各計量ホッパ35では投入された被計量物の重量が重量センサ36によって計量され、図示しない制御部は、その計量値に基づいて組合せ演算することにより、計量値の合計が組合せ目標重量と一致するか最も近い計量ホッパ35の組合せを求め、この組合せで選択された計量ホッパ35の排出用のゲート37を開放して被計量物を排出し、集合シュート38を介して包装機39へ投入し、包装機39で包装する。
【0006】
かかる従来の組合せ秤には、メインフィーダ31の上方に、被計量物のレベルを検出するレベル検出器を設けると共に、許容上限及び許容下限をそれぞれ設定し、メインフィーダ31上の被計量物が許容下限に達したことが検出されると、供給装置30によるメインフィーダ31への被計量物の供給を開始し、メインフィーダ31上の被計量物が許容上限に達したことが検出されると、供給装置30によるメインフィーダ31への被計量物の供給を停止させるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−113024号公報
【特許文献2】特開昭60−179616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の組合せ秤では、メインフィーダ上の被計量物の量が、許容下限から許容上限の間となるように制御するものであるが、メインフィーダ上に被計量物を供給する供給装置は、例えば、無端のベルトに複数の容器が列状に配設されたベルトコンベアや、振動装置を取り付けたトラフなどであり、前記容器や前記トラフは大型であるので、1回当たり被計量物の供給量は大きく、メインフィーダ上の被計量物の量の或る程度の変動は避けられない。
【0009】
また、例えば、許容下限の設定が適切でなく、低かったような場合には、供給装置からメインフィーダ上への被計量物の供給が遅れ、その結果、メインフィーダから各リニアフィーダに供給される被計量物が不足し、リニアフィーダ上の被計量物が非連続になり、一時的あるいは周期的に被計量物を供給ホッパに供給できない状態になる。このため、供給ホッパから被計量物が投入されない計量ホッパが生じ、組合せ演算に参加できる有効ホッパの数が減り、組合せ精度が低下して歩留まりが悪くなる。また、リニアフィーダを再起動して被計量物を供給ホッパに再投入しなければならなくなり、計量速度が低下する。
【0010】
上記特許文献2では、メインフィーダ上の被計量物の量のみ検出しているので、かかるリニアフィーダ上における被計量物の非連続等に起因する計量速度や歩留まりの低下に、対応するのは困難である。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、被計量物の搬送の非連続等に起因する計量速度の低下及び歩留まりの低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明では、次のように構成している。
【0013】
(1)本発明の組合せ秤は、供給装置から供給される被計量物を周囲へ分散させる分散部と、該分散部における前記被計量物の量を検出する検出部と、前記分散部の周囲にそれぞれ配設されて該分散部で分散される被計量物をそれぞれ搬送して搬送端から排出する複数の搬送部と、各搬送部に対応して配置されると共に、前記搬送端から排出される被計量物を保持し、保持した被計量物を下方へ供給する複数の供給部と、各供給部に対応して配置されると共に、各供給部から供給される被計量物を保持し、該保持した被計量物の重量を計量する複数の計量部と、前記検出部の検出出力に基づいて、前記分散部における前記被計量物の量が、下限値未満になったときには、前記供給装置による被計量物の供給動作を開始させ、上限値以上になったときには、前記供給装置による被計量物の供給動作を停止させて前記供給装置による被計量物の供給を制御すると共に、前記計量部で計量される被計量物の計量値に基づいて組合せ演算を行う演算制御部とを備える組合せ秤であって、
前記各搬送部の各搬送端における被計量物を検出する被計量物センサを設け、
前記演算制御部は、前記搬送部の駆動を制御するものであって、前記被計量物センサの検出出力に基づいて、前記供給装置による被計量物の供給動作の開始を制御するための前記下限値を変更する、または、前記下限値の変更を促す報知を行うものであり、
前記演算制御部は、前記検出部の検出出力に基づいて、前記分散部における前記被計量物の量が、前記下限値未満になって前記供給装置へ被計量物の供給動作を開始させるための開始信号を出力し、所定時間が経過した後、または、前記搬送部を所定回数駆動した後の、前記被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力に基づいて、前記下限値を増加させる
【0014】
報知は、変更を促すメッセージの表示、音声出力、印字出力、あるいは、それらの組合せなどであるのが好ましい。
【0015】
下限値の変更は、当該組合せ秤が自動的に行ってもよいし、前記報知に基づいて、作業者が下限値の変更操作を行うようにしてもよい。
【0016】
本発明の組合せ秤によると、搬送部の駆動を制御する演算制御部には、各搬送部の各搬送端における被計量物を検出する被計量物センサの検出出力が与えられるので、搬送部の駆動によって被計量物が搬送端に搬送されるか否かを把握することができる。
【0017】
例えば、供給装置から分散部への被計量物の供給量が不十分で、分散部から各搬送部に供給される被計量物が不足し、搬送部の被計量物が非連続になり、一時的あるいは周期的に被計量物を搬送端まで搬送できず、したがって、搬送端から供給部へ、更に、供給部から計量部へ被計量物を供給できないような場合には、それを把握することができる。したがって、かかる場合には、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を変更する、例えば、下限値を増加する、あるいは、下限値の増加を促す報知を行うことができる。前記下限値を増加することによって、供給装置から分散部へ供給される被計量物の供給量を増やし、分散部から搬送部へ供給される被計量物を増やして、搬送部における被計量物の不足を解消し、被計量物が供給されない供給部、更に、被計量物が供給されない計量部が生じるのを防ぎ、計量速度及び歩留まりの低下を防止することができる。
【0018】
また、逆に、供給装置から分散部への被計量物の供給量が多過ぎて、分散部から各搬送部に供給される被計量物が過量となり、搬送部から供給部、更に、計量部へ供給される被計量物が過量となって組合せ精度が低下して歩留まりが悪くなるような場合には、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を変更する、例えば、下限値を減少する、あるいは、減少を促す報知を行うことができ、前記下限値を減少することによって、供給装置から分散部への被計量物の供給量を減らして適切な供給量とすることができる。
【0019】
このように本発明の組合せ秤によると、分散部における被計量物の量が、下限値と上限値との間となるように供給装置からの被計量物の供給を制御すると共に、被計量物センサによって検出される搬送部における被計量物の搬送状況に基づいて、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を変更制御するので、分散部から搬送部へ供給される被計量物の供給量が適量となるように、供給装置から分散部へ供給される被計量物の供給量を調整することが可能となる。これによって、搬送部の被計量物が非連続になって、搬送部から被計量物が供給されない供給部、更に、被計量物が供給されない計量部が生じるのを防ぐことができ、計量速度及び歩留まりの低下を防止することができる。
【0021】
所定時間は、分散部における被計量物の量が、下限値未満になって供給装置へ被計量物の供給動作を開始させるための開始信号を出力した後、分散部の周縁部から搬送部に供給される被計量物が、搬送端まで搬送されるのに必要な時間である。
【0022】
所定回数とは、分散部における被計量物の量が、下限値未満になって供給装置へ被計量物の供給動作を開始させるための開始信号を出力した後、分散部の周縁部から搬送部に供給される被計量物が、搬送端まで搬送されるのに必要な搬送部の駆動回数である。
【0023】
所定時間が経過した後、または、搬送部を所定回数駆動した後の被計量物センサは、分散部における被計量物の量が、下限値未満になって供給装置へ被計量物の供給動作を開始させるための開始信号を出力した後に、分散部の周縁部から搬送部に供給されて搬送端まで搬送された被計量物を検出することになる。
【0024】
被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力とは、被計量物センサが搬送端の被計量物を検出していない、すなわち、搬送端に被計量物が存在しないことを示す検出出力をいう。
【0025】
したがって、所定時間が経過した後、または、搬送部を所定回数駆動した後の被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力は、供給装置が分散部への被計量物の供給動作を開始した後、分散部の周縁部から搬送部に供給された被計量物が搬送端まで搬送されておらず、搬送端に被計量物が存在しないことを示す検出出力となる。
【0026】
本発明の組合せ秤によると、分散部における被計量物の量が下限値未満と少なくなって供給装置へ開始信号を出力して被計量物の供給動作を開始させた後、分散部の周縁部から搬送部に供給される被計量物が、搬送端に到達するのに要する所定時間の経過後、または、所定回数の搬送部の駆動の後に、搬送端に被計量物が存在していないことを示す被計量物センサの非検出状態の検出出力に基づいて、分散部から搬送部へ供給される被計量物の量が不足し、搬送端に被計量物が到達していないとして、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を増加させるようにしている。これによって、分散部への被計量物の供給量を増やし、分散部から搬送部へ供給される被計量物の不足を解消することができる。
【0027】
)本発明の組合せ秤の別の好ましい実施態様では、前記演算制御部は、前記所定時間が経過した後、または、前記搬送部を所定回数駆動した後の、前記被計量物センサの被計量物を検出していない非検出状態の検出出力が継続したとき、または、前記非検出状態の検出出力が周期的に生じたときに、前記下限値を、所定範囲内で増加させる。
【0028】
下限値の所定範囲は、次の範囲であるのが好ましい。
【0029】
(組合せ目標重量×被計量物センサの非検出状態までの搬送部の駆動回数)≦下限値<上限値
ここで、被計量物センサの非検出状態までの搬送部の駆動回数とは、所定時間が経過した後、または、前記搬送部を所定回数駆動した後に、被計量物センサの検出出力が、被計量物を検出していない非検出状態となるまでに、搬送部を駆動した回数をいい、上限値とは、供給装置による被計量物の供給動作の停止を制御するための上限値をいう。
【0030】
供給装置から分散部への被計量物の供給量が不十分で、分散部から搬送部へ供給される被計量物の供給量が不足し、搬送部の被計量物が非連続になると、一時的あるいは周期的に被計量物が搬送端まで搬送されなくなるが、この実施態様によると、被計量物センサの非検出状態の検出出力が、継続、あるいは、周期的に生じることによって、それを検出して、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を増加するので、供給装置から分散部へ供給される被計量物の供給量を増やし、搬送部における被計量物の不足を解消することができる。
【0031】
)本発明の組合せ秤の他の実施態様では、前記分散部は、被計量物を振動によって分散させるメインフィーダを有し、前記搬送部は、被計量物を振動によって搬送するリニアフィーダを有し、前記供給部は、保持した被計量物を前記計量部に投入する供給ホッパであり、前記計量部は、重量センサによって被計量物の重量を計量する計量ホッパであり、前記演算制御部は、前記メインフィーダおよびリニアフィーダの駆動を制御するものである。
【0032】
この実施態様によると、メインフィーダから各リニアフィーダに供給される被計量物が不足し、リニアフィーダの被計量物が非連続になって、リニアフィーダから被計量物が供給されない供給ホッパ、更に、被計量物が投入されない計量ホッパが生じるのを防ぐことができ、計量速度及び歩留まりの低下を防止することができる。
【0033】
)本発明の組合せ秤の別の実施態様では、前記下限値を変更したときに、その旨を報知する報知手段を備える。
【0034】
報知手段は、下限値を変更した旨を、表示、音声、印字あるいはそれらの組合せによって報知するのが好ましい。
【0035】
下限値を変更すると、供給装置から分散部へ供給される被計量物の供給量が変化することになるが、この実施態様によると、下限値を変更したことが作業者に報知されるので、作業者は、前記供給量の変化が下限値の変更によるものであることを知ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、被計量物センサによって検出される搬送部における被計量物の搬送状況に基づいて、供給装置から分散部への被計量物の供給開始のための閾値である下限値を変更制御するので、分散部から搬送部へ供給される被計量物の供給量が適量となるように、供給装置から分散部へ供給される被計量物の供給量を調整することが可能となる。これによって、搬送部の被計量物が非連続になって、搬送部から被計量物が供給されない供給部、更に、被計量物が投入されない計量部が生じるのを防ぐことができ、計量速度及び歩留まりの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は本発明の実施形態の組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
図2図2図1の組合せ秤の概略構成を示すブロック図である。
図3図3は組合せ秤の動作を説明するためのフローチャートである。
図4図4図3の供給装置制御の詳細を示すフローチャートである。
図5図5図3のリニアフィーダ制御の詳細を示すフローチャートである。
図6図6図3のリニアフィーダ制御の詳細を示すフローチャートである。
図7図7図3の計量制御の詳細を示すフローチャートである。
図8図8は操作設定表示部の表示画面例を示す図である。
図9図9は従来例の組合せ秤の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施の形態の組合せ秤の概略構成を示す模式図である。この実施形態の組合せ秤は、その装置上部の中央に、供給装置1から供給される被計量物20を振動によって放射状に分散させる円錐形のトップコーン3と、このトップコーン3を振動させるメインフィーダ(分散フィーダ)4が設けられている。
【0040】
被計量物20は、限定されないが、例えば、ピーマン、トマト、ジャガイモ等の野菜類、オレンジ、リンゴ等の果物類、あるいは、ピロー包装された菓子類などの計量に好適であり、特に、組合せ計量を行って数個入りのネット包装品等を製造するのに好適である。
【0041】
供給装置1は、図示しないベルトコンベアから供給されるピーマン等の被計量物20を振動によって搬送してトップコーン3の中央部へ供給する。トップコーン3では、供給装置1からその中央部に供給される被計量物20を振動によってその周縁部方向へ搬送する。トップコーン3の周辺には、トップコーン3から送られてきた被計量物20を複数の各供給ホッパ12に搬送する複数のリニアフィーダパン6と、このリニアフィーダパン6をそれぞれ振動させる複数のリニアフィーダ8とが放射状に設けられている。リニアフィーダパン6の周縁部下方には、供給部としての複数の供給ホッパ12が設けられ、供給ホッパ12の下方には、計量部としての計量ホッパ13が設けられ、両ホッパ12,13は、円周状に配置されている。
【0042】
供給ホッパ12及び計量ホッパ13の下部には、開閉可能な投入用のゲート12a及び排出用のゲート13aがそれぞれ設けられている。
【0043】
供給ホッパ12は、リニアフィーダパン6によって搬送されてその先端である搬送端6aから落下排出される被計量物20を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ13が空になると投入用のゲート12aを開放して被計量物20を落下排出して計量ホッパ13へ投入する。また、各計量ホッパ13には、計量ホッパ13内の被計量物20の重量を計測するロードセル等の重量センサ10が連結され、各重量センサ10による計量値は制御装置9へ出力される。
【0044】
複数のリニアフィーダパン6及び各リニアフィーダパン6をそれぞれ振動させる複数のリニアフィーダ8によって、対応する各供給ホッパ12に被計量物20を搬送する複数の搬送部が構成される。
【0045】
計量ホッパ13は、被計量物20を集合シュート14へ排出可能である。制御装置9による組合せ演算によって複数の計量ホッパ13の中から被計量物20を排出すべき計量ホッパ13の組合せが求められ、包装機15から排出要求信号の入力があると、その組合せに該当する計量ホッパ13から被計量物20が集合シュート14へ排出され、更にその下方の包装機15へと排出される。
【0046】
この実施形態では、供給装置1からトップコーン3に供給される被計量物の量は、トップコーン3及びメインフィーダ4を支持しているトップコーン用重量センサ5によって計量され、その計量値が制御装置9に与えられる。制御装置9では、トップコーン用重量センサ5によって計量されるトップコーン3上の被計量物20の重量に基づいて、トップコーン3上の被計量物20の量を、予め設定した範囲内に保つように供給装置1を制御する。すなわち、制御装置9は、トップコーン用重量センサ5の検出出力に基づいて、トップコーン3上の被計量物20の量が、下限値未満になったときには、供給装置1に供給開始指令を出力して供給動作を開始させ、上限値以上になったときには、供給装置1に供給停止指令を出力して供給動作を停止させる。下限値および上限値は、操作設定表示部11を操作して予め設定される。更に、この実施形態では、下限値が後述のように変更される。
【0047】
操作設定表示部11は、例えばタッチパネル等を用いて構成され、組合せ秤の操作およびその動作パラメータの設定等を行うと共に、運転速度、組合せ計量値等を画面に表示する。
【0048】
制御装置9では、供給装置1の動作制御および組合せ秤の全体の動作制御を行うと共に、組合せ演算を行う。組合せ演算では、計量ホッパ13内の被計量物20の重量が重量センサ10によって計量され、計量値を、計量ホッパ13の被計量物20の重量とする。複数の計量ホッパ13の中から、被計量物20の重量値の合計である組合せ重量が、組合せ目標重量に等しいあるいは許容範囲内の最も近い重量となる組合せが1つ求められる。
【0049】
制御装置9は、上述のように、トップコーン3上の被計量物20が、下限値未満になると、供給装置1に供給開始指令を出力して供給動作を開始させるのであるが、例えば、この下限値の設定が低く、不適切であったり、あるいは、供給装置1からトップコーン3上の被計量物の供給の変動などによって、供給装置1からメインフィーダ4のトップコーン3上へ供給される被計量物20の量が少なくなって、該トップコーン3から各リニアフィーダパン6上へ供給される被計量物20の量が不足するような場合がある。
【0050】
かかる場合には、リニアフィーダパン6上の被計量物20が非連続となり、一時的あるいは周期的に被計量物20を供給ホッパ12に供給できない状態になって、組合せ演算に参加できる計量ホッパ13の数が減り、また、リニアフィーダ8を再起動して被計量物20を供給ホッパ12に再投入しなければならず、計量速度及び歩留まりの低下をもたらす。
【0051】
そこで、この実施形態では、トップコーン3から各リニアフィーダパン6上へ供給される被計量物20の量が不足して供給ホッパ12へ被計量物20が供給できなくなるのを防止するために、供給装置1による被計量物20の供給開始を制御するための閾値である前記下限値を変更するようにしている。
【0052】
すなわち、この実施形態では、複数の各リニアフィーダパン6の先端である搬送端6aにおける被計量物20をそれぞれ検出する複数の被計量物センサ7を設け、制御装置9は、被計量物センサ7の検出出力に基づいて、後述のようにリニアフィーダパン6の搬送端6aにおける被計量物20が検出されないときには、リニアフィーダパン6への被計量物20の供給量が不足し、搬送端6aまで被計量物20が搬送されていないとして、供給装置1からトップコーン3への被計量物20の供給開始のための閾値である下限値を増加させるようにしている。
【0053】
この実施形態では、制御装置9は、トップコーン用重量センサ5の検出出力に基づいて、トップコーン3における被計量物20の量が、前記下限値未満になって供給装置1へ被計量物20の供給動作を開始させるための開始信号を出力し、リニアフィーダ8を駆動時間に亘って所定回数駆動した後の、被計量物センサ7の被計量物20を検出していない非検出状態の検出出力に基づいて、前記下限値を増加させる。
【0054】
所定回数とは、トップコーン3の周縁部にある被計量物20が、リニアフィーダパン6に供給されて搬送端6aまで搬送されるのに必要なリニアフィーダ8の駆動回数である。
【0055】
したがって、トップコーン3における被計量物20の量が、下限値未満になって供給装置1による供給動作を開始させ、リニアフィーダ8を所定回数駆動した後の被計量物センサ7は、供給装置1がトップコーン3への被計量物20の供給動作を開始した後、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6に供給されて搬送端6aまで搬送された被計量物20を検出することになる。
【0056】
この被計量物センサ7の検出出力が、被計量物20を検出していない非検出状態であれば、搬送端6aに被計量物20が存在しないことになり、供給装置1がトップコーン3への被計量物20の供給動作を開始した後、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6に供給された被計量物20が搬送端6aまで搬送されておらず、リニアフィーダパン6上の被計量物20が不足し、非連続の状態であることになる。
【0057】
そこで、この実施形態では、リニアフィーダ8を所定回数駆動した後の被計量物センサ7の検出出力が、非検出状態であるとき、非検出状態を継続するとき、あるいは、非検出状態が周期的に生じるときには、リニアフィーダパン6上の被計量物20が不足し、非連続の状態であって、一時的あるいは周期的に搬送端6aまで被計量物20が搬送されていないとして、供給装置1による被計量物20の供給開始を制御するための閾値である下限値を所定範囲で増加させる。
【0058】
非検出状態を継続するとは、リニアフィーダ8を駆動時間に亘って複数回駆動しても被計量物センサ7の検出出力が非検出状態のままであることをいい、これは、リニアフィーダパン6上の被計量物20が不足して被計量物20が一時的に搬送されていない状態である。
【0059】
非検出状態が周期的に生じるとは、リニアフィーダ8を駆動時間に亘って、例えば、2回駆動する度に、被計量物センサ7の検出出力が非検出状態となるような場合をいい、リニアフィーダパン6上の被計量物20が不足して、リニアフィーダパン6上で被計量物20の前後の間隔があいて周期的に被計量物20が搬送端6aに搬送されていない状態である。
【0060】
増加させる下限値の所定範囲は、次の範囲であるのが好ましい。
【0061】
(組合せ目標重量×被計量物センサ7の非検出状態までのリニアフィーダ8の駆動回数)≦下限値<上限値
ここで、被計量物センサ7の非検出状態までのリニアフィーダ8の駆動回数とは、リニアフィーダ8を所定回数駆動した後に、被計量物センサ7の検出出力が、被計量物20を検出していない非検出状態となるまでに、リニアフィーダ8を駆動した回数をいう。
【0062】
また、上限値とは、供給装置1による被計量物20の供給動作の停止を制御するための上限値をいう。
【0063】
この実施形態では、被計量物20を検出する被計量物センサ7として、例えば、光電センサを用いているが、光電センサに限らず、ロードセル等の重量センサ、リミットスイッチ、カメラで撮像した画像を処理する画像センサなどの他のセンサを用いてもよい。
【0064】
この実施形態では、リニアフィーダ8を所定回数駆動した後の被計量物センサ7の検出出力を用いたけれども、本発明の他の実施形態として、リニアフィーダ8を所定回数駆動するのに要する時間を所定時間とし、所定時間経過後の被計量物センサ7の検出出力を用いるようにしてもよい。
【0065】
図2は、この実施形態における組合せ秤の制御系統の概略構成を示すブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0066】
図2に示すように、制御装置9は、演算制御部としてのCPU部16と、メモリ部17と、A/D変換回路部18と、ゲート駆動回路部19と、振動制御回路部21と、包装機15に接続されたI/O回路部22と、被計量物センサ7の検出出力が与えられるI/O回路部25とを備えている。
【0067】
演算制御部としてのCPU部16は、各部を制御すると共に、組合せ演算を行う。メモリ部17は、組合せ秤の動作プログラム及び設定される動作パラメータ等を記憶しており、CPU部16に対する演算などの作業領域となる。
【0068】
A/D変換回路部18は、トップコーン3上の被計量物20の重量を検出するトップコーン用重量センサ5及び各計量ホッパ13の被計量物20の重量を検出する各重量センサ10からのアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU部16へ出力する。また、CPU部16には、I/O回路部25を介して各リニアフィーダパン6の搬送端6aにおける被計量物20をそれぞれ検出する上述の被計量物センサ7からの検出出力が与えられる。
【0069】
ゲート駆動回路部19は、CPU部16からの制御信号に基づいて、供給ホッパ12の投入用のゲート12a及び計量ホッパ13の排出用のゲート13aの開閉を制御する。振動制御回路部21は、CPU部16からの制御信号に基づいて、供給装置1、メインフィーダ4及び各リニアフィーダ8のそれぞれの振動動作を制御する。また、CPU部16は、操作設定表示部11と相互に通信できるように接続されている。
【0070】
制御装置9は、CPU部16がメモリ部17に記憶されている動作プログラムを実行することにより、供給装置1及び組合せ秤全体の動作を制御する。
【0071】
組合せ秤では、上述のような動作を行うための多数の動作パラメータの設定が必要であり、その設定は操作者が操作設定表示部11を用いて行い、設定された動作パラメータの値はCPU部16へ送られ、メモリ部17に記憶される。動作パラメータには、組合せ演算における目標値である組合せ目標重量及びそれに対する許容範囲、各フィーダ4,8の振動の振幅や駆動時間(1回の振動継続時間)、上述の所定回数等がある。
【0072】
図3は、この実施形態の組合せ秤の全体の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0073】
先ず、制御装置9は、トップコーン用重量センサ5の検出出力に基づいて、供給装置1をON/OFF制御して、トップコーン3上への被計量物20の供給量を制御する供給装置制御を行う(ステップs1)。
【0074】
次に、トップコーン3を振動させるメインフィーダ4の駆動を制御してトップコーン3上の被計量物20を周囲へ分散させてリニアフィーダパン6に被計量物20を供給するメインフィーダ制御を行う(ステップs2)。
【0075】
次に、リニアフィーダパン6を振動させるリニアフィーダ8の駆動を制御して、空の供給ホッパ12に対応するリニアフィーダパン6を振動させてリニアフィーダパン6上の被計量物20を当該空の供給ホッパ12に供給するリニアフィーダ制御を行う(ステップs3)。
【0076】
次に、ステップs4の供給ホッパ制御に移る。この供給ホッパ制御では、空の計量ホッパ13に対応する供給ホッパ12の投入用のゲート12aを開放して、被計量物20を当該空の計量ホッパ13へ投入し、ステップs5へ移る。
【0077】
ステップs5では、計量ホッパ13に被計量物20が投入されると、対応する重量センサ10によって、前記計量ホッパ13に投入された被計量物20の重量を計量し、計量値を制御装置9に取込む計量制御を行う。
【0078】
次に、計量ホッパ13に投入されている被計量物20の重量に基づいて、組合せ演算を行い、被計量物20の重量を種々組合せた合計重量である組合せ重量が、組合せ目標重量に等しいか、あるいは、組合せ目標重量よりも重く、かつ、組合せ目標重量に近い計量ホッパ13の組合せである最適組合せの選択を行う(ステップs6)。
【0079】
その後、包装機15からの排出要求信号の入力があるか否かを判断し(ステップs7)、排出要求信号の入力があると、組合せ演算で選択された最適組合せの計量ホッパ13の排出用のゲート13aを開放して被計量物20を排出する計量ホッパ制御を行い(ステップs8)、ステップs1に戻る。以下、上述と同様の計量サイクルを繰り返すことによって、最適組合せの被計量物20が包装機15へと排出される。
【0080】
図4は、図3のステップs1の供給装置制御の詳細を示すフローチャートである。
【0081】
先ず、トップコーン用重量センサ5によるトップコーン3上の被計量物20の計量値を入力として取り込み(ステップs100)、計量値が下限値未満であるか否かを判断し(ステップs101)、下限値未満であるときには、供給装置1に対する駆動信号をオンして被計量物20の供給開始を指令し(ステップs102)、ステップs103に移る。これによって、供給装置1が被計量物20の供給動作を開始する。
【0082】
次に、1〜nの複数の被計量物センサ7を特定するための番号kを、初期値「1」に設定する(ステップs103)。なお、この番号kは、被計量物センサ7を特定すると共に、対応するリニアフィーダ8、リニアフィーダパン6、供給ホッパ12及び計量ホッパ13を特定する。
【0083】
次に、リニアフィーダパン6(k)の搬送端6aの被計量物20を検出する被計量物センサ7(k)がオンしているか否か、すなわち、被計量物センサ7(k)の検出出力が、リニアフィーダパン6(k)の搬送端6aの被計量物20を検出している検出状態(オン)であるか否かを判断し、(ステップs104)、検出出力がオンであるときには、ステップs106に移る。ステップs104において、被計量物センサ7(k)の検出出力が、リニアフィーダパン6(k)の搬送端6aの被計量物20を検出していない非検出状態(オフ)であるときには、リニアフィーダ8(k)によるリニアフィーダパン6(k)の被計量物20の移送状態をチェックするための移送状態チェックフラグをオンしてステップs106に移る(ステップs105)。
【0084】
ステップs106では、番号kを1つ増加し、番号kがn+1になったか否かを判断し(ステップs107)、n+1になっていないときには、ステップs104に戻って次の被計量物センサ7の検出出力に基づいて同様の処理を行なう。ステップs107において、n+1になったときには、ステップs100に戻る。
【0085】
ステップs101において、計量値が下限値未満でないときには、計量値が上限値以上であるか否かを判断し(ステップs108)、上限値以上であるときには、供給装置1に対する駆動信号をオフして被計量物20の供給停止を指令し(ステップs109)、ステップs100に戻る。これによって、供給装置1が被計量物20の供給動作を停止する。
【0086】
ステップs103において、計量値が上限値以上でないときには、ステップs100に戻る。
【0087】
図5及び図6は、図3のステップs3のリニアフィーダ制御の詳細を示すフローチャートである。
【0088】
先ず、1〜nの複数のリニアフィーダ8を特定するための番号kを、初期値「1」に設定する(ステップs300)。
【0089】
ステップs301では、リニアフィーダ8(k)が駆動中であることを示す駆動中フラグがオンしているか否かを判断し、オンしているときには、駆動時間を計測するタイマを減算し(ステップs302)、タイムアップしたか否かを判断する(ステップs303)。ステップs303において、タイムアップしたときには、駆動中フラグをオフし(ステップs304)、リニアフィーダ8(k)の駆動をオフし(ステップs305)、リニアフィーダ(k)の移送状態チェックフラグがオンしているか否か判断する(ステップs306)。ステップs306において、移送状態チェックフラグがオンしているときには、駆動回数カウンタのカウント値を増やし(ステップs307)、駆動回数カウンタのカウント値が所定回数に達したか否かを判断し(ステップs308)、所定回数に達したときには、図6のステップs309に移る。
【0090】
この所定回数は、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6に供給された被計量物20が、リニアフィーダパン6の搬送端6aまで搬送されるのに要する駆動回数に設定される。例えば、リニアフィーダパン6上の被計量物20としてのピーマンを、リニアフィーダ8を駆動時間に亘って駆動させる度、1個ずつ供給ホッパ12に投入したい場合に、ピーマンがリニアフィーダパン6上で順調に搬送されているときには、該フィーダパン6上には、通常、6個のピーマンが載るとすると、所定回数として6回を設定する。
【0091】
リニアフィーダ8を駆動時間に亘って所定回数である6回駆動することによって、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6に供給された被計量物20であるピーマンが、リニアフィーダパン6上を搬送されて搬送端6aに到達することになる。
【0092】
ステップs303において、タイムアップしていないとき、ステップs306において、リニアフィーダ8(k)の移送状態チェックフラグがオンしていないとき、及び、駆動回数カウンタのカウント値が所定回数に達していないときには、それぞれ図6のステップs318に移る。
【0093】
ステップs301において、リニアフィーダ8(k)が駆動中であることを示す駆動中フラグがオンしていないときには、リニアフィーダ8(k)の駆動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップs314)、駆動フラグがオンしているときには、駆動時間タイマをセットして駆動時間の計測を開始し(ステップs315)、リニアフィーダ8(k)の駆動中フラグをオンし(ステップs316)、リニアフィーダ8(k)の駆動を開始して図6のステップs318に移る(ステップs317)。
【0094】
図6のステップs309では、被計量物センサ7(k)によって被計量物を検出しているか否かを判断する。このステップs309において、被計量物センサ7(k)によって被計量物20を検出していないときには、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6の搬送端6aまで被計量物20が順調に搬送されておらず、リニアフィーダパン6(k)の被計量物が不足して移送が不十分であるとしてリニアフィーダ8(k)の移送不良フラグをオンしてステップs312に移る(ステップs310)。ステップs309において、被計量物センサ7(k)によって被計量物20を検出しているときには、トップコーン3の周縁部からリニアフィーダパン6の搬送端6aまで被計量物20が順調に搬送されているとして、リニアフィーダ8(k)の移送不良フラグをオフしてステップs312に移る。
【0095】
ステップs312では、リニアフィーダ8(k)の移送状態チェックフラグをオフし、駆動回数カウンタをクリアし(ステップs313)、ステップs318に移る。
【0096】
ステップs318では、番号kを1つ増加し、番号kがn+1になったか否かを判断し(ステップs319)、n+1になっていないときには、ステップs301に戻って次のリニアフィーダ8について同様の処理を行なう。
【0097】
ステップs319において、n+1になったときには、移送不良フラグがオンであるリニアフィーダ8が所定数以上であるか否かを判断し(ステップs320)、所定数以上であるときには、供給装置1による被計量物20の供給開始を制御するための閾値である下限値を所定範囲内で増やして終了し(ステップs321)、所定数以上でないときには、終了する。なお、ステップs321において、下限値を増やしたときには、操作設定表示部11でその旨を表示する。
【0098】
このように移送不良フラグがオンであるリニアフィーダ8の数が所定数以上であるか否かを判断することによって、例えば、トップコーン3から各リニアフィーダパン6へ供給される被計量物20の量は適切であるにも拘わらず、たまたま1つのリニアフィーダパン6の搬入路に被計量物20が詰まって搬送されなかったような場合に、下限値を変更しないようにすることができる。
【0099】
この所定数は、例えば、組合せに選ばれた計量ホッパの数の平均値としてもよい。
【0100】
以上のように、トップコーン3からリニアフィーダパン6へ分散供給される被計量物20の供給量が少なく、リニアフィーダパン6上の被計量物20が非連続になるような場合には、供給装置1からトップコーン3への被計量物20の供給開始のための閾値である下限値を増加させる。
【0101】
しかし、この下限値が大きくなりすぎて、供給装置1からトップコーン3への被計量物20の供給量が多過ぎて、トップコーン3から各リニアフィーダパン6に供給される被計量物20が過量となり、リニアフィーダパン6から供給ホッパ12、更に、計量ホッパ13へ投入される被計量物20が過量となって組合せ精度が低下するのを防止するために、この実施形態では、計量制御の処理において、下限値が大きすぎるときには、下限値を減少することによって、供給装置1からトップコーン3への被計量物20の供給量を減らして適切な供給量とするようにしている。
【0102】
図7は、図3のステップs5の計量制御の詳細を示すフローチャートである。
【0103】
先ず、合計重量メモリをクリアし(ステップs500)、加算カウントをクリアし(ステップs501)、1〜nの複数の計量ホッパ13を特定するための番号kを、初期値「1」に設定する(ステップs502)。
【0104】
次に、計量ホッパ13(k)に被計量物が投入されて計量が完了したか否かを判断し(ステップs503)、計量が完了したときには、加算カウントを1つ増やしてステップs506に移る(ステップs505)。ステップs503において、計量ホッパ13(k)に被計量物が投入されて計量が完了していないときには、ステップs506に移る。
【0105】
ステップs506では、番号kを1つ増加し、番号kがn+1になったか否かを判断し(ステップs507)、n+1になっていないときには、ステップs503に戻って次の計量ホッパ13について同様の処理を行なう。
【0106】
ステップs507において、n+1になったときには、合計重量を加算カウント値で除算して平均重量を算出し(ステップs508)、平均重量が予め定めた所定重量以上であるか否かを判断し(ステップs509)、平均重量が所定重量より大きいときには、被計量物20の供給量が多く、過量になっているとして、下限値を減少して終了し(ステップs510)、平均重量が所定重量よりも大きくないときは、終了する。
【0107】
また、この実施形態では、操作設定表示部11には、次のような運転状態を示す画面を表示できるようにしている。
【0108】
すなわち、図8は、操作設定表示部11の表示画面例である。
【0109】
この表示画面は、運転状態の表示を行う自動運転操作設定画面40であり、画面下方の「分散部」表示呼び出しタッチスイッチ41がタッチ操作されて呼び出された表示画面であり、分散部であるトップコーン3上の被計量物の重量レベル等が表示されている。
【0110】
この自動運転操作設定画面40では、画面上方の第1表示エリア40aには、各種メッセージを表示するメッセージ表示エリア42と、年月日と時刻を表示する年月日&時刻表示エリア43と、言語選択タッチスイッチ44とが表示され、この言語選択タッチスイッチ44にタッチすると、選択できる言語のポップアップ画面が現れる(図示せず)。
【0111】
また、自動運転操作設定画面40では、画面下方左側の第2表示エリア40bには、運転のON―OFFを行うための「運転スタート」タッチスイッチ49と、「運転ストップ」タッチスイッチ50とが表示される。図8では、運転状態がONであるので、「運転ストップ」タッチスイッチ50を、「運転スタート」タッチスイッチ49に比べて大きく表示して操作しやすくしている。
【0112】
この第2表示エリア40bの右側の第3表示エリア40cには、「円形表示」呼び出しタッチスイッチ51、上記「分散部」表示呼び出しタッチスイッチ41、「履歴表示」呼び出しタッチスイッチ52、「集計」表示呼び出しタッチスイッチ53、「カメラ」表示呼び出しタッチスイッチ54が表示され、各タッチスイッチ51,41,52,53,54にタッチするとそれぞれの画面が表示される。この第3表示エリア40cには、更に、様々な画面を呼び出すタッチスイッチをグループ毎に切り替える各種表示メニュー切り替えタッチスイッチ55と、各グループにおけるタッチスイッチの表示を切り替える各種表示呼び出しタッチスイッチ56が表示されている。
【0113】
この自動運転操作設定画面40では、画面上方の第1表示エリア40aと、画面下方の第2,第3表示エリア40b,4cとの間の第3表示エリア40dには、運転を行う品種と運転パラメータが記憶されているプログラム番号とが表示されるプログラム番号&品種表示エリア45と、トップコーン3上の被計量物の重量レベルを表示する重量レベル表示エリア46と、組合せ目標重量値と組合せ重量値との偏差の変移を表示する偏差移動平均表示エリア47と、計量速度の変移を表示する計量速度表示エリア48とが表示される。
【0114】
重量レベル表示エリア46には、トップコーン3上の被計量物の重量レベルがグラフ表示されると共に、供給装置1のON−OFF制御のための下限値と上限値とが表示される。
【0115】
偏差移動平均表示エリア47では、組合せ目標重量値と組合せ重量値との偏差の変移を、供給装置1のON−OFFのタイミングと共に表示している。この偏差は、数回分の移動平均処理を行った偏差としている。
【0116】
計量速度表示エリア48では、毎分当たりの包装(パック)数による計量速度の変移を、供給装置1のON−OFFのタイミングと共に表示している。
【0117】
これら重量レベル表示エリア46、偏差移動平均表示エリア47、及び計量速度表示エリア48の表示によって運転状況、例えば、重量レベルが減ると、リニアフィーダパン6上の被計量物20が少なくなって、供給ホッパ12への再投入が多くなり、計量速度が低下し、歩留まり(組合せ精度)が低下するといったことを把握することができる。
【0118】
このような重量レベル、偏差移動平均、及び、計量速度を、運転履歴として格納しておき、例えば、所望の運転速度が得られなかったような場合には、運転履歴を表示して、その原因を把握するのに用いるようにしてもよい。
【0119】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、トップコーン3上の被計量物20の量を、トップコーン用重量センサ5によって検出したけれども、本発明の他の実施形態として、重量センサに代えて、トップコーン3の上方に、例えば超音波式などのレベル検出器を設け、このレベル検出器によって、トップコーン3上の被計量物20の量を検出し、トップコーン3上の被計量物20の量を制御してもよい。
【0120】
上述の実施形態では、下限値の変更は、自動的に行ったけれども、本発明の他の実施形態として、下限値の変更を促すメッセージ等を操作設定表示部11に表示し、作業者が、下限値の変更操作を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 供給装置
3 トップコーン
4 メインフィーダ
5 トップコーン用重量センサ
6 リニアフィーダパン
7 被計量物センサ
8 リニアフィーダ
9 制御装置
10 重量センサ
12 供給ホッパ
13 計量ホッパ
15 包装機
16 CPU部
20 被計量物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9