【文献】
山田 雅章 MASAAKI YAMADA,債券ポートフォリオ管理のOR,経営の科学 オペレーションズ・リサーチ Communications of the Operations Research Society of Japan,日本,社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会,1997年 5月 1日,第42巻,p375-278
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
債券については、相対取引によって行なわれる。上述したように、債券については、取引日における終値が発表される。しかしながら、日中の値動きは公表されないため、債券自体の金額を把握できない。このため、債券の執行コストをより的確に評価することは難しく、約定価格の妥当性の検証が困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、債券取引の執行コストを算出して、債券の約定価格の妥当性を評価するための債券執行評価システム、債券執行評価方法、債券執行評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、評価対象債券の取引日時、約定価格、債券残存期間に関する取引情報を記憶する取引データ記憶手段と、時刻毎の債券先物価格が記憶された債券先物価格データ記憶手段と、時刻毎のスワップレートが記憶されたスワップレートデータ記憶手段と、相対取引が行われた債券における執行コストを評価する制御手段とを備えた債券執行評価システムであって、前記制御手段が、評価対象債券の取引日の終値における債券先物価格を前記債券先物価格データ記憶手段から取得し、
集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)と(パーレートの利回り変化値)との乗算値〕の総和を、同じ集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)の二乗〕の総和で除算した相関係数を算出し、前記相関係数に、前記取引日の終値の債券先物価格
の変化値を乗算することにより、
前記評価対象債券の取引日の終値の債券先物モデルの利回り変化値を算出する手段と、前記取引日の終値におけるスワップレートを前記スワップレートデータ記憶手段から取得し、この取引日の終値のスワップレートの利回り変化値を、スワップモデルの利回り変化値として算出する手段と、前記債券先物モデル、前記スワップモデルの利回り変化値のうち、評価対象債券の終値利回り変化に近い方を採用モデルとして決定する手段と、各取引時刻における、採用モデルに対応する債券先物価格又はスワップレートを用いて、取引日の各取引時刻における債券利回り変化を算出する手段と、前記採用モデルにおける終値利回り変化値と、評価対象債券の終値利回り変化値との誤差を各時刻に展開して、各時刻のモデル値を算出する手段と、前記評価対象の債券の取引時点のモデル値を特定し、評価対象債券の約定価格との差分を、この債券の執行コストとして算出して、出力する手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の債券執行評価システムにおいて、前記パーレートの利回り変化値は、評価対象の債券の残存年数に応じた年限を用いることを要旨とする。
【0010】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は
2に記載の債券執行評価システムにおいて、前記制御手段は、前記集計期間を、値動きの変動度に応じて決定する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項
4に記載の発明は、評価対象債券の取引日時、約定価格、債券残存期間に関する取引情報を記憶する取引データ記憶手段と、時刻毎の債券先物価格が記憶された債券先物価格データ記憶手段と、時刻毎のスワップレートが記憶されたスワップレートデータ記憶手段と、制御手段とを備えた債券執行評価システムを用いて、相対取引が行われた債券における執行コストを評価する方法であって、前記制御手段が、評価対象債券の取引日の終値における債券先物価格を前記債券先物価格データ記憶手段から取得し、
集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)と(パーレートの利回り変化値)との乗算値〕の総和を、同じ集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)の二乗〕の総和で除算した相関係数を算出し、前記相関係数に、前記取引日の終値の債券先物価格
の変化値を乗算することにより、
前記評価対象債券の取引日の終値の債券先物モデルの利回り変化値を算出する段階と、前記取引日の終値におけるスワップレートを前記スワップレートデータ記憶手段から取得し、この取引日の終値のスワップレートの利回り変化値を、スワップモデルの利回り変化値として算出する段階と、前記債券先物モデル、前記スワップモデルの利回り変化値のうち、評価対象債券の終値利回り変化に近い方を採用モデルとして決定する段階と、各取引時刻における、採用モデルに対応する債券先物価格又はスワップレートを用いて、取引日の各取引時刻における債券利回り変化を算出する段階と、前記採用モデルにおける終値利回り変化値と、評価対象債券の終値利回り変化値との誤差を各時刻に展開して、各時刻のモデル値を算出する段階と、前記評価対象の債券の取引時点のモデル値を特定し、評価対象債券の約定価格との差分を、この債券の執行コストとして算出して、出力する段階とを実行することを要旨とする。
【0012】
請求項
5に記載の発明は、評価対象債券の取引日時、約定価格、債券残存期間に関する取引情報を記憶する取引データ記憶手段と、時刻毎の債券先物価格が記憶された債券先物価格データ記憶手段と、時刻毎のスワップレートが記憶されたスワップレートデータ記憶手段と、制御手段とを備えた債券執行評価システムを用いて、相対取引が行われた債券における執行コストを評価するプログラムであって、前記制御手段を、評価対象債券の取引日の終値における債券先物価格を前記債券先物価格データ記憶手段から取得し、
集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)と(パーレートの利回り変化値)との乗算値〕の総和を、同じ集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)の二乗〕の総和で除算した相関係数を算出し、前記相関係数に、前記取引日の終値の債券先物価格
の変化値を乗算することにより、
前記評価対象債券の取引日の終値の債券先物モデルの利回り変化値を算出する手段、前記取引日の終値におけるスワップレートを前記スワップレートデータ記憶手段から取得し、この取引日の終値のスワップレートの利回り変化値を、スワップモデルの利回り変化値として算出する手段、前記債券先物モデル、前記スワップモデルの利回
り変化値のうち、評価対象債券の終値利回り変化に近い方を採用モデルとして決定する手段、各取引時刻における、採用モデルに対応する債券先物価格又はスワップレートを用いて、取引日の各取引時刻における債券利回り変化を算出する手段、前記採用モデルにおける終値利回り変化値と、評価対象債券の終値利回り変化値との誤差を各時刻に展開して、各時刻のモデル値を算出する手段、及び前記評価対象の債券の取引時点のモデル値を特定し、評価対象債券の約定価格との差分を、この債券の執行コストとして算出して、出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0013】
(作用)
本発明によれば、制御手段は、評価対象債券の取引日の終値における債券先物価格を前記債券先物価格データ記憶手段から取得し、この取引日の終値の債券先物価格と、債券の利回り変化と債券先物価格の変化との相関係数とを乗算することにより、債券先物モデルの利回り変化値を算出する。制御手段は、前記取引日の終値におけるスワップレートを前記スワップレートデータ記憶手段から取得し、この取引日の終値のスワップレートの利回り変化値を、スワップモデルの利回り変化値として算出する。制御手段は、前記債券先物モデル、前記スワップモデルの利回り変化値のうち、評価対象債券の終値利回り変化に近い方を採用モデルとして決定する。制御手段は、各取引時刻における、採用モデルに対応する債券先物価格又はスワップレートを用いて、取引日の各取引時刻における債券利回り変化を算出する。制御手段は、前記採用モデルにおける終値利回り変化値と、評価対象債券の終値利回り変化値との誤差を各時刻に展開して、各時刻のモデル値を算出する。制御手段は、前記評価対象の債券の取引時点のモデル値を特定し、評価対象債券の約定価格との差分を、この債券の執行コストとして算出して、出力する。このため、債券の指標となるモデル値を、公表された債券の終値利回りと、債券先物価格又はスワップレートの時間変化値とを用いて算出する。従って、取引時点におけるモデル値と約定価格との差から、債券の執行コストをより的確に評価することができる。
【0014】
本発明によれば、制御手段は、前記評価対象債券の取引日の終値の債券先物モデルの利回り変化値を、集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)と(パーレートの利回り変化値)との乗算値〕の総和を、同じ集計期間における〔(債券先物価格の終値変化値)の二乗〕の総和で除算した相関係数を算出し、前記相関係数に債券先物価格の変化値を乗算して算出する。このため、集計期間における債券のパーレート変化と債券先物価格の変化との相関係数を用いる。従って、より正確に国債先物モデルの国債先物価格の変化を算出することができる。
【0015】
本発明によれば、パーレートの利回り変化値は、評価対象の債券の残存年数に応じた年限を用いる。年限毎のパーレートは明確な値として算出できる。このため、このパーレートを用いてモデル値を算出することにより、より正確なモデル値を算出することができる。
【0016】
本発明によれば、制御手段は、前記集計期間を、値動きの変動度に応じて決定する。集計期間をより短くした場合には取引日の直近の値動をより強く反映したモデル値を算出することができ、集計期間をより長くした場合には、平均的な値動きをより強く反映したモデル値を算出することになる。このため、集計期間を値動きの変動度に応じて決定することにより、より適切なモデル値を算出し、債券の執行コストをより的確に反映することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、債券取引の執行コストを算出して、債券の約定価格の妥当性を評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。本実施形態では、債券の相対取引における執行コストを事後的に評価するための債券執行評価システムとして説明する。本実施形態では、ストリップス債を除く残存年数1年以上の日本国債の固定利付債券を評価対象の債券とする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の債券執行評価システム20は、入力部11、出力部12に接続されている。入力部11は、利用者の指示や評価対象の取引情報等を取得するデバイスである。入力部11は、キーボード、ポインティングデバイスや、CD−ROMドライブ等の情報記憶媒体読込装置などにより構成される。出力部12は、債券執行評価システム20において実行された評価結果を出力するデバイスであり、ディスプレイや情報記憶媒体書込装置などにより構成される。本実施形態では、取引情報をファイル形式で取得し、評価結果をファイル形式で出力する。
【0021】
更に、債券執行評価システム20は、ネットワークを介して、価格提供サーバ30及びスワップレート提供サーバ40に接続されている。
価格提供サーバ30は、例えば、日本証券業協会によって公表されている売買参考統計値に関する情報を、他のシステムからの要求に応じて送信して提供する処理を実行する。この処理のために、価格提供サーバ30は、各日の売買参考統計値を記憶している。この売買参考統計値には、市場債券価格、市場債券レート及び国債先物価格等が含まれる。
【0022】
スワップレート提供サーバ40は、スワップ(SWAP)レートに関する情報を他のシステムからの要求に応じて送信して提供する処理を実行する。この処理のために、スワップレート提供サーバ40は、各日の時刻毎(分単位の時刻毎)のスワップレートに関する情報を記憶している。
【0023】
一方、債券執行評価システム20は、制御部21、価格情報記憶部22、取引情報記憶部23を備えている。価格情報記憶部22は、債券先物価格データ記憶手段及びスワップレートデータ記憶手段として機能し、取引情報記憶部23は取引データ記憶手段として機能する。
【0024】
ここで、制御部21は、CPU、RAM、ROM(図示せず)等から構成された制御手段を備えており、後述する各処理(公開情報取得段階、モデル値算出段階、コスト計算段階評価結果出力段階の各処理)を行なう。そして、制御部21は、債券執行評価プログラムの実行により、公開情報取得手段211、モデル値算出手段212、コスト計算手段213、評価結果出力手段214として機能する。
【0025】
公開情報取得手段211は、取引が行なわれた日の公開価格が発表される毎に、価格提供サーバ30やスワップレート提供サーバ40から公開価格を取得して、価格情報記憶部22に記録する。本実施形態では、公開価格として、価格提供サーバ30から市場債券価格、市場債券レート、国債先物価格を、スワップレート提供サーバ40からスワップレートを取得して、記録する。
【0026】
モデル値算出手段212は、国債の取引時点におけるモデル値を算出する処理を実行する。本実施形態では、国債先物モデルとスワップモデルのうちで値動きが近似するモデル
を選択し、選択したモデルを用いてモデル値を、債券毎、取引日毎に算出する。そして、モデル値算出手段212は、この算出処理を行なうためのメモリを備えている。
【0027】
更に、モデル値算出手段212は、各日の基準年限に応じた国債パーレートを記憶している。ここで、国債パーレートとは、国債の基準年限別の平均的な利回りである。本実施形態では、基準年限として、1年、 1.5年、2〜10年、12年、15年、20年、25年、30年を用いる。この国債パーレートは、市場債券価格と債券の属性情報(クーポンレート、残存年数)を変数とする公知の算出式に代入することにより算出されて記憶される。
また、モデル値算出手段212は、国債の残存期間に対応する国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値を算出するための線形補間式を記憶している。この線形補間式は、算出する債券の残存期間、この残存期間以上で最も近い基準年限と、この債券の残存期間以下で最も近い基準年限と、これらにそれぞれ対応する国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値を変数として用いる。
更に、モデル値算出手段212は、国債の残存期間に対応するスワップレート変化値を算出するための線形補間式を記憶している。この線形補間式は、算出するスワップレート変化値の残存期間、この残存期間以上で最も近い基準年限と、この債券の残存期間以下で最も近い基準年限と、これらにそれぞれ対応するスワップレート変化値を変数として用いる。
【0028】
モデル値算出手段212は、国債先物モデルを算出するために用いる集計期間の日数、相関係数算出式に関するデータが記憶されている。
集計期間日数は、評価処理を行なう前に決定されている。この集計期間日数は、入力部11を介して、5日〜20日の間で変更可能である。集計期間日数を少なくして集計期間をより短くした場合には、取引日の直近の値動をより強く反映したモデル値を算出する。また、集計期間日数を多くして集計期間をより長くした場合には、平均的な値動きをより強く反映したモデル値を算出する。
【0029】
相関係数算出式は、債券の利回り変化と債券先物価格の変化との相関を示す相関係数Aを算出する式である。この相関係数Aは、以下の式で算出される。
A=〔Σ(BF×PR)〕/〔Σ(BF)**2〕
ここで、「BF」は債券先物価格の終値変化値であり、「PR」は国債パーレートの利回り変化値である。また、「Σ」は集計期間(集計期間起算日〜取引日)における値を合計することを示し、「**2」は2乗を示す。
【0030】
更に、モデル値算出手段212は、選択したモデルに対して誤差調整を行なうために用いる誤差調整比率を記憶している。この誤差調整比率として、誤差をモデル値に時間按分するための配分率を用いる。本実施形態では、誤差調整比率は、予め定められた時間帯毎に記憶されており、各日の取引開始時刻に近い時間帯では誤差調整比率が低く、取引終了時刻に近い時間帯では誤差調整比率が高くなるように設定されている。また、本実施形態では、近似するモデルを選択する際に用いる取引終了基準時刻(15時00分)においては誤差調整比率が100%になるように設定されている。
【0031】
コスト計算手段213は、前日終値コストと、前日終値コストの要因であるタイミングコスト及び引合コストと、当日終値コストとを算出する処理を実行する。ここで、前日終値コストは、前日終値と約定価格との差によって算出する。タイミングコストは、前日終値と取引時点におけるモデル値との差によって算出する。引合コストは、取引日の前日の終値と、取引日の取引時点におけるモデル値との差によって算出する。当日終値コストは、取引日の終値と約定価格との差によって算出する。
評価結果出力手段214は、評価結果(前日終値コスト、タイミングコスト、引合コス
ト及び当日終値コスト)を出力する処理を実行する。
【0032】
一方、価格情報記憶部22には、市場債券価格、市場債券レート、国債先物価格、スワップレートに関する各公開価格レコードが記憶されている。これら各公開価格レコードは、制御部21の公開情報取得手段211により、定期的に取得して記録される。
【0033】
市場債券価格レコードには、各日における債券価格に関するデータが記録される。本実施形態では、取引終了後に発表される債券(銘柄)毎の債券価格(終値)が記録される。
市場債券レートレコードには、各日における債券レートに関するデータが記録される。本実施形態では、取引終了後に発表される債券毎の債券レート(利回り)が記録される。
【0034】
国債先物価格レコードには、各日の時刻毎(分単位の時刻毎)に関するデータが記録される。本実施形態では、中心限月の国債先物価格が記録される。
スワップレートレコードには、各日の時刻毎(分単位の時刻毎)のスワップレートに関するデータが記録される。
【0035】
取引情報記憶部23には、評価を行なう約定された取引に関する取引レコードが記憶されている。この取引レコードは、入力部11を介して、コスト評価処理を実行する前に記録される。取引レコードには、約定日時、約定価格、債券銘柄、債券残存期間に関するデータが記憶されている。
【0036】
約定日時データ領域には、債券売買についての各取引が約定された年月日(取引日)及び時刻(取引時点)に関するデータが記録される。
約定価格データ領域には、この取引が成立したときの価格(約定価格)に関するデータが記録される。
【0037】
債券銘柄データ領域には、この取引対象の国債を特定するための識別子(銘柄)に関するデータが記録される。
債券残存期間データ領域には、この債券の残存期間(残存年数)に関するデータが記録される。
【0038】
次に、以上のように構成されたシステムを用いて行なうコスト評価処理についての処理手順を、
図2及び
図3に従って説明する。
(コスト評価処理)
コスト評価処理の全体処理について、
図2を用いて説明する。この処理において、債券執行評価システム20は、入力部11を介して、約定された取引に関する情報をファイルから取得し、取引レコードを生成して取引情報記憶部23に記憶する。この取引レコードの一つを評価対象取引レコードとして特定する。そして、債券執行評価システム20は、入力部11を介して、コスト評価の実行指示を受信した場合に、以下のコスト評価処理を実行する。
【0039】
まず、債券執行評価システム20の制御部21は、日次の市場価格の取引日の前日終値の取得処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、取引情報記憶部23に記録された評価対象取引レコードから取引日を取得する。そして、コスト計算手段213は、この取引日における前日の日付が記録された市場債券価格の公開価格レコードを価格情報記憶部22から抽出し、終値を取得する。
【0040】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、約定価格の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、評価対象取引レコードに記録されている約定価格を取引情報記憶部23から抽出する。
【0041】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、前日終値コストの算出処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、ステップS1−2で抽出した約定価格から、ステップS1−1で取得した前日終値を減算することにより、前日終値コストを算出する。
【0042】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、取引時点のモデル値の算出処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、約定日時におけるモデル値(取引時点モデル値)を算出する。この処理の詳細については、
図3を用いて後述する。
【0043】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、タイミングコストの算出処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、取引時点モデル値から、この取引日の前日の終値を減算することにより、タイミングコストを算出する。
【0044】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、引合コストの算出処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、取引時点モデル値を、その評価対象取引レコードの約定価格から減算することにより、引合コストを算出する。
【0045】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、日次の市場価格の取引日の終値取得処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、取引情報記憶部23において、評価対象取引レコードに記録されている取引日を特定する。次に、コスト計算手段213は、特定した取引日の前日の、評価対象取引レコードに記録されている債券銘柄の終値を、価格情報記憶部22から取得する。
【0046】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、当日終値コストの算出処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21のコスト計算手段213は、評価対象取引レコードの約定価格から、取引日の当日の終値を減算することにより、当日終値コストを算出する。
【0047】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、レポート出力処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、制御部21の評価結果出力手段214は、算出した前日終値コスト、タイミングコスト、引合コスト及び当日終値コストを、この評価対象取引レコードの約定日時、約定価格及び債券銘柄に対応付けて表示した評価結果ファイルを生成する。評価結果出力手段214は、この評価結果ファイルを出力部12に表示し、メモリに記憶する。
【0048】
(取引時点のモデル値の算出処理)
次に、上述した取引時点のモデル値の算出処理(ステップS1−4)について、
図3を用いて説明する。本実施形態では、評価対象取引レコードの約定日時(取引時点)におけるモデル値を算出する。
【0049】
この処理において、まず、債券執行評価システム20の制御部21は、国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化の算出処理を実行する(ステップS2−1)。
この処理において、まず、制御部21のモデル値算出手段212は、取引日に対して集計期間日数を遡った集計期間起算日を算出する。そして、モデル値算出手段212は、この集計期間起算日から取引日までの各日における国債先物価格レコードを価格情報記憶部22から抽出する。この場合、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードの債券
銘柄の国債先物価格レコードを抽出する。そして、モデル値算出手段212は、各日の終値の国債先物価格を、その前日の終値の国債先物価格から減算することにより、集計期間(集計期間起算日〜取引日)の国債先物価格変化値を算出する。
【0050】
次に、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードの債券銘柄の基準年限別の国債パーレートを特定する。この場合、集計期間起算日の前日から取引日までの各日における各国債パーレートを抽出する。そして、モデル値算出手段212は、各日の国債パーレートをその前日の国債パーレートから減算することにより、集計期間起算日から取引日までの国債パーレート変化値を、基準年限別に算出する。
【0051】
次に、モデル値算出手段212は、相関係数算出式に、集計期間における、国債先物価格変化値と国債パーレート利回り変化値とを代入することにより、相関係数Aを算出する。この場合、基準年限別の相関係数Aを算出する。
そして、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードの取引日における各時刻について、この評価対象の債券銘柄の国債先物価格レコードを、国債先物価格の変化値として価格情報記憶部22から抽出する。モデル値算出手段212は、相関係数Aに、国債先物価格の変化値を乗算することにより、取引日における各時刻(分単位)の債券の利回り変化値を算出する。この場合、基準年限別の債券の利回り変化値を算出する。そして、モデル値算出手段212は、このうち、取引終了基準時刻(15時00分)における基準年限別の債券の利回り変化値(国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値)を特定する。
【0052】
次に、モデル値算出手段212は、債券の残存年数に応じた債券の利回り変化値(国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値)を線形補間により算出する。具体的には、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードに記録されている債券の残存期間以上で最も近い基準年限と、この債券の残存期間以下で最も近い基準年限とを特定する。モデル値算出手段212は、特定した2つの基準年限及び各基準年限の国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値により生成される線形補間式に、債券の残存期間を代入することにより、残存年限に対応する債券の利回り変化値(国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値)を算出する。
【0053】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、スワップモデルにおける債券の終値利回り変化の算出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、価格情報記憶部22から、取引日の取引終了基準時刻(15時00分)におけるスワップレートを取得する。モデル値算出手段212は、取引日のスワップレートをその前日のスワップレートから減算することにより、スワップレート変化値を算出する。
【0054】
そして、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードに記録されている債券の残存期間に応じた基準年限のスワップレート変化値を算出する。具体的には、モデル値算出手段212は、評価対象取引レコードの債券の残存期間以上で最も近い基準年限と、この債券の残存期間以下で最も近い基準年限とを特定する。モデル値算出手段212は、特定した2つの基準年限及び各基準年限のスワップレート変化値により生成される線形補間式に、債券の残存期間を代入することにより、残存年限に対応するスワップレート変化値を算出する。
【0055】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、債券の終値変化の算出処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、価格情報記憶部22から、評価対象取引レコードの債券銘柄について、取引日及びこの取引日前日の終値利回りを取得する。そして、モデル値算出手段212は、取引日の終値利回りか
ら、この取引日の前日の終値利回りを減算することにより、債券の終値変化値を算出する。
【0056】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、終値変化の比較処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、ステップS2−1において算出した終値利回り変化値(国債先物モデル)から、ステップS2−3において算出した終値変化値を減算することにより、国債先物モデル差分を算出する。また、モデル値算出手段212は、ステップS2−2において算出した終値利回り変化値(スワップモデル)から、ステップS2−3において算出した債券の終値変化値を減算することにより、スワップモデル差分を算出する。そして、モデル値算出手段212は、国債先物モデル差分の絶対値と、スワップモデル差分の絶対値とを比較する。
【0057】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、国債先物モデル及びスワップモデルにおいて、債券の終値変化に近いモデルの特定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、国債先物モデル差分の絶対値とスワップモデル差分の絶対値の大小関係により、終値変化が近いモデルを特定する。
【0058】
ここで、債券の終値変化に近いモデルとして、スワップモデルを特定した場合(ステップS2−5において「スワップモデル」の場合)、債券執行評価システム20の制御部21は、スワップモデルの適用処理を実行する(ステップS2−6)。ここでは、制御部21は、前日終値から、取引時点におけるスワップレートの変化を用いて、取引時点における債券利回り変化の算出処理を実行する。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、取引時点のスワップレートに対する前日終値のスワップレートを算出し、これを取引時点における債券利回り変化値としてメモリに記憶する。
【0059】
一方、債券の終値変化が近いモデルとして国債先物モデルを特定した場合(ステップS2−5において「国債先物モデル」の場合)、債券執行評価システム20の制御部21は、国債先物モデルの適用処理を実行する(ステップS2−7)。ここでは、制御部21は、前日終値から、取引時点における国債先物価格の変化を用いて、取引時点における債券利回り変化の算出処理を実行する。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、取引時点の国債先物価格に対する前日終値の国債先物価格を算出し、相関係数Aを乗じて、これを取引時点における債券利回り変化値としてメモリに記憶する。
【0060】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、誤差の調整処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、取引時点の誤差調整比率を特定する。モデル値算出手段212は、この誤差調整比率と、適用されたモデルの差分(スワップモデル差分又は国債先物モデル差分)とを乗算して、取引時点における誤差調整値を算出する。
【0061】
次に、債券執行評価システム20の制御部21は、モデル値の決定処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21のモデル値算出手段212は、ステップS2−7又はS2−8において算出した取引時点における債券利回り変化値に、誤差調整値を加算して、取引時点におけるモデル値を算出する。
【0062】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、債券執行評価システム20の制御部21は、取引日の終値の国債先物価格を用いて算出した国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化と、取引日の取引終了基準時刻におけるスワップレートを用いて算出したスワップモデルにおける債券の終値利回り変化のうち、債券の終値に近い方を特定する(ステップS2−5)。制御部21は、債券の終値に近いモデル(国債先物モデル又はスワップモデル)の変化値に、誤
差調整値を加算して、約定日時におけるモデル値を算出する(ステップS2−6〜S2−9)。制御部21は、算出したモデル値を約定価格から減算することにより、引合コストを算出し(ステップS1−6)、これらを含むレポート出力処理を実行する(ステップS1−9)。このため、国債の指標となるモデル値を、公表された債券の終値利回りと、債券先物価格又はスワップレートの時間変化値とを用いて算出する。従って、取引時点におけるモデル値と約定価格との差から、債券の執行コストをより的確に評価することができる。
【0063】
(2)本実施形態では、債券執行評価システム20の制御部21は、国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化の算出処理(ステップS2−1)において、相関係数Aに、国債先物価格の変化値を乗算することにより、取引日における各時刻(分単位)の債券の利回り変化値を算出する。制御部21は、この相関係数Aを、相関係数算出式に、取引日の集計期間における、国債先物価格変化値と国債パーレート利回り変化値とを代入することにより算出する。このため、集計期間における債券の国債パーレート変化と債券先物価格の変化との相関係数を用いる。従って、より正確に国債先物モデルの国債先物価格の変化を算出することができる。
【0064】
(3)本実施形態では、債券執行評価システム20の制御部21は、相関係数Aを算出する場合、基準年限毎の国債パーレートを用いる。基準年限毎の国債パーレートは明確な値として算出できる。このため、この国債パーレートを用いてモデル値を算出することにより、より正確なモデル値を算出することができる。
【0065】
(4)本実施形態では、相関係数Aの算出に用いる集計期間日数は、入力部11を介して、5日〜20日の間で変更可能である。このため、債券執行評価システム20の制御部21は、集計期間をより短くした場合には、取引日の直近の値動をより強く反映したモデル値を算出し、集計期間をより長くした場合には、平均的な値動きをより強く反映したモデル値を算出することになる。従って、集計期間を値動きの変動度に応じて決定することにより、より適切なモデル値を算出し、債券の執行コストをより的確に反映することができる。
【0066】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態においては、相関係数Aの算出に用いる集計期間日数は、入力部11を介して変更可能とした。集計期間日数は、このように人手によって変更する場合に限らず、制御部21が、自動的に変更可能としてもよい。具体的には、制御部21は、最大の集計期間日数を用いて各日の国債先物価格変化値及び国債パーレート利回り変化値を算出する。次に、制御部21は、集計期間日数を5日〜20日にそれぞれ変更して、相関係数Aを算出し、これに、取引終了基準時刻における国債先物価格変化値を乗算して、各集計期間(5日〜20日)の国債先物モデルにおける債券の終値利回り変化値を算出する。そして、制御部21は、各集計期間における終値利回り変化値を用いて、それぞれの集計期間における国債先物モデル差分を算出する。制御部21は、算出した国債先物モデル差分が最も小さい集計期間の国債先物モデルを用いて、ステップS2−2以降の処理を実行する。これにより、債券の終値利回りにより近い集計期間日数から算出した国債先物モデルを適用することができる。
【0067】
・ 上記実施形態においては、債券執行評価システム20の制御部21は、上述した相関係数算出式を用いて相関係数Aを算出した。相関係数Aの算出方法は、これに限られず、債券の利回り変化と債券先物価格の変化との相関を示す係数であって、取引日の終値の債券先物価格を用いて債券の利回り変化を算出できる係数を算出する方法であればよい。
【0068】
・ 上記実施形態においては、債券執行評価システム20の制御部21は、前日終値コ
スト、タイミングコスト、引合コスト及び当日終値コストを出力した(ステップS1−9)。制御部21が、出力するコストは、これらのコストに限定されるものではない。例えば、債券執行評価システム20の制御部21は、取引時点の市場価格を取得した場合には、この市場価格を利用したタイミングコスト等を算出して出力してもよい。具体的には、債券執行評価システム20の制御部21は、前日終値コストの算出処理(ステップS1−3)を実行した後、評価対象取引レコードの約定日時におけるその債券の市場価格を、価格情報記憶部22において検索する。該当する市場価格を抽出した場合には、制御部21は、ステップS1−6,S1−7におけるモデル値の代わりに、この市場価格を用いて、タイミングコスト及び引合コスを算出して、ステップS1−8以降の処理を実行する。一方、評価対象取引レコードの約定日時における債券の市場価格を、価格情報記憶部22から抽出しない場合には、制御部21は、上述したステップS1−4以降の処理を実行する。これにより、債券の取引時点における市場価格が判明しているときには、その価格を用いて執行コストを評価することができるとともに、債券の取引時点における市場価格が不明な場合には、モデル値を用いて執行コストを評価することができる。
【0069】
・ 上記実施形態については、1つの評価対象取引レコードについてのコスト評価処理について説明した。これに限らず、複数の評価対象取引レコードについてコスト評価処理を行ってもよい。この場合には、ファイルによって、複数の評価対象取引レコードを一度に取得した後、各評価対象取引レコードについて、上述したステップS1−1〜S1−8の処理を繰り返して実行する。そして、各評価対象取引レコードに関連付けた評価結果(算出した前日終値コスト、タイミングコスト、引合コスト及び当日終値コスト)を、まとめて1つのファイルとして作成して記憶する。この場合、一度に評価した複数の評価対象取引レコードの各コストの統計値(例えば、平均値)を算出して、ファイルに含めてもよい。これにより、複数の評価対象取引レコードについて、まとめた評価結果を出力することができる。
【0070】
・ 上記実施形態においては、評価対象を、ストリップス債を除く残存年数1年以上の日本国債の固定利付債券として説明した。評価対象は、国債に限らず、一般債(国債以外の地方債、社債等の債券)としてもよい。この場合には、国債パーレートの代わりに、評価対象の債券パーレート(その債券の基準年限別の平均的な利回り)を用いて算出する。これにより、一般債についても、同様に引合コストを算出することができる。