(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記膜状基材を部分的に被覆する被覆部材が、前記吹出口部材の吹出口を該回転ドラムの周方向に横切って延びるように配置されていることにより、該吹出口から吹き出される前記複数種類のモノマー蒸気の、該被覆部材による該膜状基材の被覆部分への付着が阻止されるようになっている請求項1に記載の積層構造体の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、
図1には、本発明に従う構造を有する積層構造体の製造装置を用いて製造された積層構造体の一例として、フィルムコンデンサを構成するフィルムコンデンサ素子として使用される積層構造体が、その縦断面形態において示されている。かかる
図1から明らかなように、この積層構造体10は、樹脂フィルム12の一方の面に金属蒸着膜14aが、他方の面に金属蒸着膜14bが、それぞれ積層されてなる、膜状基材としての金属化フィルム15を有している。そして、樹脂フィルム12の一方の面側に積層された金属蒸着膜14aの樹脂フィルム12側とは反対側の面上には、蒸着重合膜16が、積層形成されている。
【0028】
より具体的には、樹脂フィルム12は、ここでは、ポリプロピレン製の二軸延伸フィルムからなり、1〜10μm程度の薄い厚さを有している。この樹脂フィルム12は、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの誘電体を構成するものである。なお、樹脂フィルム12には、従来のフィルムコンデンサの誘電体を構成する樹脂フィルムが、何れも使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート製の二軸延伸フィルムや、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド系樹脂フィルム等の二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム、或いは二軸延伸ポリエチレンナフタレート系樹脂フィルム等の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムや、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等が、樹脂フィルム12として、適宜に用いられ得るのである。また、積層構造体10の用途によっては、一軸延伸樹脂フィルムや無延伸樹脂フィルム等も、樹脂フィルム12として、勿論、使用可能である。
【0029】
金属蒸着膜14a,14bは、ここでは、アルミニウムからなっている。この金属蒸着膜14a,14bは、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの内部電極を構成するものであって、公知の手法に従って、樹脂フィルム12の両面に積層形成される。即ち、金属蒸着膜14a,14bは、フィルムコンデンサの内部電極を形成する公知の金属材料(例えば、アルミニウムや亜鉛等)を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、樹脂フィルム12の両面上に積層形成されるのである。このような金属蒸着膜14a,14bの膜抵抗値は1〜50Ω/cm
2 程度とされ、また、その膜厚は、膜抵抗値等によって適宜に決定される。なお、積層構造体10の用途によっては、金属蒸着膜14a,14bの形成材料として、アルミニウムや亜鉛以外の金属材料も、勿論使用可能である。
【0030】
また、ここでは、樹脂フィルム12の両面における幅方向(
図1の左右方向)の両端部に、金属蒸着膜14a,14bが形成されていない金属非蒸着部分が、樹脂フィルム12の全長に亘って連続して延びるように設けられている。更に、樹脂フィルム12の金属蒸着膜14b形成面の幅方向中央部にも、金属蒸着膜14bが形成されていない金属非蒸着部分が、樹脂フィルム12の全長に亘って連続して延びるように設けられている。そして、そのような樹脂フィルム12の金属非蒸着部分が、それぞれ第一マージン部18とされている。
【0031】
蒸着重合膜16は、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの誘電体を、樹脂フィルム12と共に構成するものであって、公知の真空蒸着重合法によって、金属蒸着膜14a上に積層形成される。この真空蒸着重合法によって形成される蒸着重合膜16は、その厚さが、樹脂フィルム12の厚さよりも十分に薄く、また、樹脂フィルム12と比べて、比誘電率が高い。そのため、積層構造体10の全体の厚さを有利に薄く為し得て、かかる積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの小型・大容量化が図られ得る。
【0032】
なお、蒸着重合膜16の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.001〜10μm程度とされていることが望ましい。何故なら、蒸着重合膜16を0.001μm未満の膜厚で形成することは容易ではない。そのため、蒸着重合膜16の膜厚が、現実的には、0.001μm以上とされるからである。また、蒸着重合膜16の厚さが10μmを超える場合には、誘電体として蒸着重合膜16を有するフィルムコンデンサの小型・大容量化を促進することが困難となるからである。
【0033】
また、蒸着重合膜16は、真空蒸着法によって成膜可能な樹脂膜であれば、その種類が特に限定されるものではない。蒸着重合膜16を構成する樹脂膜としては、ポリユリア樹脂膜や、ポリアミド樹脂膜、ポリイミド樹脂膜、ポリアミドイミド樹脂膜、ポリエステル樹脂膜、ポリアゾメチン樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜等が挙げられる。そして、その中でも、樹脂フィルム12よりも高い誘電率を有する樹脂膜が、好適に採用される。そのような樹脂膜にて蒸着重合膜16を形成することによって、フィルムコンデンサの静電容量を効果的に増大させることが可能となる。
【0034】
蒸着重合膜16は、上記に例示した樹脂膜の中でも、特に、ポリユリア樹脂膜にて構成されていることが、より望ましい。何故なら、ポリユリア樹脂は、樹脂フィルム12よりも高い誘電率が確保されるだけでなく、原料モノマー(ジイソシアネートとジアミン)の重合に際して、加熱処理が不要であり、しかも、水やアルコール等の脱離が全くない重付加重合反応において、形成されるものであるからである。このため、原料モノマーの重合時に加熱処理を実施するための設備が不要となって、低コスト化が実現され得る。また、加熱処理時の熱によって、樹脂フィルム12が変形する、所謂熱負けが惹起されることが有利に回避され得る。更に、重合反応によって脱離した水やアルコール等を、重合反応が進行する真空チャンバ内から除去する必要がない。そのため、脱離された水やアルコール等を除去するための設備も不要となる。これによっても、低コスト化が、有利に実現可能となる。加えて、ポリユリア樹脂膜は、優れた耐熱性を有している。それによって、蒸着重合膜16の高い耐電圧が、より安定的に確保され得ることとなる。
【0035】
樹脂フィルム12の幅方向中央部には、蒸着重合膜16が形成されていない部分が、樹脂フィルム12の全長に亘って連続して延びるように設けられている。そして、そのような樹脂フィルム12における蒸着重合膜16の非形成部分が、金属蒸着膜14aの幅方向中央部位を剥き出しとした第二マージン部20とされている。更に、蒸着重合膜16の幅が、金属蒸着膜14aの幅よりも所定寸法大きくされている。これによって、金属蒸着膜14aの幅方向の両側端面が、蒸着重合膜16の幅方向両端部にて被覆されている。
【0036】
そして、上記の如き構造とされた積層構造体10を用いて、フィルムコンデンサ素子を作製する際には、先ず、積層構造体10の幅方向両端部を、長さ方向にそれぞれ延びる二つ切断面:K
1 ,K
2 に沿って切断する。それによって、樹脂フィルム12の幅方向両側の端部と、金属蒸着膜14bの幅方向両側の端部とを、それぞれ切除する。また、積層構造体10を、その幅方向(
図1の左右方向)の中央において長さ方向(
図1の紙面に垂直な方向)に延びる切断面:K
3 に沿って切断して、二つに分割する。
【0037】
次に、二分割されて、幅方向両端部がそれぞれ切除された二つの積層構造体10,10を、金属蒸着膜14bと蒸着重合膜16とが重なり合うように、積層する。これによって、積層型のフィルムコンデンサ素子を得る。その後、図示されてはいないものの、公知の手法によって、フィルムコンデンサ素子の幅方向の両端面に、メタリコン電極をそれぞれ形成する。このとき、フィルムコンデンサ素子の幅方向一端面(
図1の右側端面)に形成されたメタリコン電極が、金属蒸着膜14aの第二マージン部20側の端面と、第二マージン部20に剥き出し状態とされた金属蒸着膜14aの上面部分とに固着される。一方、フィルムコンデンサ素子の幅方向他端面(
図1の左側端面)に形成されたメタリコン電極は、金属蒸着膜14bの第一マージン部18側とは反対側の端面と、かかる第一マージン部18側とは反対側の端部の下面とに固着される。そして、必要に応じて、各メタリコン電極に外部端子を接続して、フィルムコンデンサ素子を所定のケース内に封止する。これによって、積層型のフィルムコンデンサを得る。なお、このような積層型のフィルムコンデンサ素子及びフィルムコンデンサを得る場合には、上記のように二分割された積層構造体10を三つ以上積層しても良い。
【0038】
また、二分割された積層構造体10を単独で、或いは複数のものを積層した状態で、巻回することにより、巻回型のフィルムコンデンサ素子を得ることもできる。このような巻回型のフィルムコンデンサ素子においても、従来手法によって、幅方向両端面にメタリコン電極が形成され、更に必要に応じて、各メタリコン電極に外部端子が接続されて、所定のケース内に封止されることにより、巻回型のフィルムコンデンサとして完成されるのである。
【0039】
ところで、上記の如き積層構造体10は、例えば、
図2に示される、本発明に従う構造を有する製造装置22を用いて、製造されることとなる。以下、本実施形態の積層構造体の製造装置22について詳述する。
【0040】
図2にから明らかなように、本実施形態の製造装置22は、所定大きさの真空チャンバ24を有している。この真空チャンバ24は、主室26と副室28とを更に有している。主室26は、第一周壁部30にて囲繞されている。副室28は、第一周壁部30の一部と第二周壁部32とにて囲繞されている。そして、それら主室26と副室28とは、第二周壁部32と共に副室28を囲繞する第一周壁部30部分に形成された窓部34を通じて、互いに連通している。
【0041】
主室26内の中心部には、回転ドラムとしてのキャンローラ35が回転可能に設置されている。また、主室26には、二つの隔壁36,36が、第一周壁部30の内面からキャンローラ35に向かって突設されている。そうして、キャンローラ35の周りを取り囲む主室26の内側空間が、それら二つの隔壁36,36によって二つに仕切られている。これによって、主室26内のキャンローラ35の周りに、第一真空室38と第二真空室40とが、画成されている。
【0042】
主室26の第一真空室38及び第二真空室40と副室28とには、排気パイプ42,42,42が、それぞれ接続されている。また、各排気パイプ42,42,42上には、排気手段としての真空ポンプ44,44,44が、各々設けられている。かくして、第一真空室38内と第二真空室40内と副室28内とが、三つの真空ポンプ44,44,44の作動により、それぞれ真空状態とされるようになっている。ここでは、それら三つの真空ポンプ44,44,44の作動が、互いに独立して制御されるようになっている。それによって、第一真空室38内の真空度を、第二真空室40内と副室28内のそれぞれの真空度よりも低く設定することが可能となっている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、排気パイプ42,42,42と真空ポンプ44,44,44とにて、排気手段が構成されている。
【0043】
副室28内には、巻出し機としての巻出しローラ46と、巻取り機としての巻取りローラ48とが、互いに所定距離を隔てた位置に、キャンローラ35の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に設置されている。巻出しローラ46は、前記した樹脂フィルム12の両面に金属蒸着膜14a,14bがそれぞれ積層形成されてなる金属化フィルム15が巻回されたフィルムロール50が取り付けられ、自身の回転に伴って、フィルムロール50を巻出し得るようになっている。巻取りローラ48は、巻出しローラ46によってフィルムロール50から巻き出された金属化フィルム15の先端部分が取り外し可能に取り付けられるようになっている。また、巻取りローラ48は、例えば、図示しない電動モータ等によって回転駆動するようになっている。これにより、フィルムロール50から巻き出された金属化フィルム15が、後述するように、蒸着重合膜16が積層形成されて、積層構造体10とされた後、巻取りローラ48の回転駆動に伴って、巻取りローラ48にて巻き取られるようになっている。
【0044】
主室26内に設置されたキャンローラ35は、鉄等の金属製の円筒体からなっており、主室26内において、第一真空室38と第二真空室40とに跨って配置されている。即ち、キャンローラ35は、その外周面の大部分が第二真空室40内に露呈される一方、その外周面の一部が第一真空室38内に露呈されて、主室26内に配置されているのである。
【0045】
かかるキャンローラ35は、図示しない電動モータ等により、一方向(
図2に矢印:Aにて示される方向)に回転駆動するようになっている。また、ここでは、キャンローラ35の外周面の表面粗さ(Rz)が、好適には0.6〜2.0μm程度の範囲内の値となるように調えてある。これによって、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15において、キャンローラ35の回転に伴う走行時に皺が生ずることが可及的に防止されるようになっている。
【0046】
また、キャンローラ35は、公知の構造により電気的に絶縁状態とされている。キャンローラ35の内部には、冷却機構54が設けられている。この冷却機構54は、例えば、冷却媒体の循環等によってキャンローラ35の外周面を冷却する公知の構造を有している。
【0047】
そして、巻出しローラ46に取り付けられたフィルムロール50から巻き出された金属化フィルム15が、窓部34を通じて、副室28内から主室26(第一真空室38)内に送り出されて、キャンローラ35に巻き掛けられるようになっている。また、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15の先端部が、主室26(第一真空室38)内から、窓部34を通じて、再び副室28内に戻されて、巻取りローラ48に取り付けられるようになっている。
【0048】
これによって、フィルムロール50から巻き出された金属化フィルム15が、キャンローラ35の外周面に接触しつつ、キャンローラ35と巻取りローラ48の回転駆動に伴って、キャンローラ35の回転方向(
図2に矢印:Aにて示される方向)に走行させられるようになっている。また、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15は、冷却機構54にて冷却されたキャンローラ35の外周面との接触によって冷却されるようになっている。なお、ここでは、キャンローラ35の回転駆動による金属化フィルム15の走行速度と、巻取りローラ48の回転駆動による金属化フィルム15の巻取り速度とが同一速度となるように設定されている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、巻出しローラ46と巻取りローラ48とにて、膜状基材供給手段が構成されている。
【0049】
主室26の第一真空室38を形成する第一周壁部30部分には、帯電手段としての帯電用電子ビームガン58と、硬化手段としての硬化用電子ビームガン60とが、それぞれ設置されている。
【0050】
帯電用電子ビームガン58は、第一真空室38に露呈されるキャンローラ35の外周面部分のうち、金属化フィルム15の走行方向の上流側に位置する外周面部分に、電子ビーム照射部を向けた状態で配置されている。これにより、帯電用電子ビームガン58から発射された電子ビームが、フィルムロール50から巻き出されてキャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15に照射されるようになっている。そして、かかる金属化フィルム15が、第二真空室40内に進入する前に負に帯電させられるようになっている。その結果、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15が、キャンローラ35との電位差によって、キャンローラ35の外周面に密接(密着)させられるようになっているのである。
【0051】
一方、硬化用電子ビームガン60は、第一真空室38に露呈されるキャンローラ35の外周面部分のうち、金属化フィルム15の走行方向の下流側に位置する外周面部分に、電子ビーム照射部を向けた状態で配置されている。これにより、硬化用電子ビームガン60から発射された電子ビームが、キャンローラ35の周方向一方向に走行してきた金属化フィルム15(積層構造体10)に対して、巻取りローラ48にて巻き取られる前に照射されるようになっている。そして、後述する蒸着重合操作によって金属化フィルム15上に積層形成された蒸着重合膜16が、電子ビーム照射により速やかに硬化させられるようになっているのである。
【0052】
さらに、主室26と副室28とを連通する窓部34には、除電手段としてのイオンボンバードメント処理装置62が設置されている。このイオンボンバードメント処理装置62は、巻取りローラ48にて巻き取られる前の金属化フィルム15(積層構造体10)が通過可能とされている。そして、公知の構造により、プラズマ化したアルゴンガスを、通過する金属化フィルム15に叩き付け得るようになっている。それによって、帯電用電子ビームガン58にて帯電させられた金属化フィルム15が除電されるようになっているのである。
【0053】
主室26の第二真空室40内には、複数(ここでは5個)の吹出口部材64が、キャンローラ35の周囲に、その周方向に並んで配置されている。この吹出口部材64は、
図3及び
図4に示されるように、全体として、下方(
図3の下方)に向かって開口する片側有底の筒体からなり、下方への開口部が、吹出口66とされている。また、吹出口部材64は、軸直角断面積が下方に向かって漸増する四角錐台形状の上側筒壁部68と、横長の直方体形状を呈する下側筒部70とを一体的に有している。即ち、本実施形態では、吹出口部材の周壁部が、上側筒壁部68と下側筒壁部70とにて構成されている。
【0054】
そして、下側筒部70の幅方向(
図3の紙面に垂直な方向で、
図4の上下方向)に延びる二つの第一側壁部71,71の下端面が、平坦面とされている一方、下側筒部70の長さ方向(
図3と
図4の左右方向)に延びる二つの第二側壁部72,72の下端面が、上方に向かって凸となる円弧状下端面73,73とされている。この第二側壁部72の円弧状下端面73の径は、前記キャンローラ35(
図3に二点鎖線で示す)の外周面の径よりも僅かに大きな寸法とされている。これによって、吹出口部材64の下側筒部70の下端面とキャンローラ35の外周面との間の距離が、下側筒部70の全周に亘って略一定の大きさとされている。即ち、吹出口66とキャンローラ35の外周面との間に形成される隙間75の大きさが、吹出口66の全周に亘って略一定の大きさとされている。
【0055】
なお、ここでは、そのような吹出口66とキャンローラ35の外周面との間の隙間75の大きさ、つまり、下側筒部70の円弧状下端面73,73を含む下端面とキャンローラ35の外周面との間の距離(
図3にDにて示される寸法)が、好ましくは5mm以内とされている。これによって、吹出口66とのキャンローラ35の外周面との間の隙間75が、十分に狭くされている。
【0056】
また、上側筒壁部68の上端側には、吹出口部材64の内側空間を上下に位置する二つの空間に仕切る仕切壁74が設けられている。これによって、吹出口部材64の仕切壁74よりも上側に位置する内側空間部分が、混合室76とされ、仕切壁74よりも下側に位置する内側空間部分が、成膜室78とされている。また、仕切壁74の中心部には、通孔80が、穿設されている。これによって、混合室76と成膜室78とが、通孔80を通じて、相互に連通している。
【0057】
さらに、吹出口部材64の吹出口66には、被覆部材としての防着バー82が配置されている。この防着バー82は、下側筒部70の円弧状下端面73の径と略同一の内径と、二つの第一側壁部71,71の対向面間距離と略同一の弦を有する円弧状の湾曲板材からなっている。そして、そのような防着バー82が、下側筒部70の幅方向中央において、その長さ方向に延びるように配置されて、二つの第一側壁部71,71の互いの対向面の下端部に固定されている。
【0058】
なお、防着バー82は、後述するように、蒸着重合操作によって金属化フィルム15に積層される蒸着重合膜16に対して第二マージン部20を形成するものである。このため、ここでは、防着バー82の幅(
図4にWにて示される寸法)が、第二マージン部20の幅と対応するように、一般的に、1〜20mm程度の大きさとされている。
【0059】
そして、
図2及び
図3に示されるように、上記の構造を有して、主室26の第二真空室40内に、キャンローラ35の周方向に並んで配置された複数の吹出口部材64が、キャンローラ35の外周面上で、吹出口66をキャンローラ35の外周面に向かって開口させ、且つ下側筒部70の円弧状下端面73,73をキャンローラ35の外周面に沿って延出させた状態で、第一周壁部30等に固定されている。これによって、各吹出口部材64に設けられた防着バー82が、吹出口66をキャンローラ35の周方向に横切って延びるように配置されている。
【0060】
一方、真空チャンバ24の外部には、モノマー蒸気供給手段としてのモノマー蒸気供給装置84が、ここでは、複数の吹出口部材64と同数(ここでは、5個)だけ配置されている。それら複数の各モノマー蒸気供給装置84は、何れも互いに同一の構造を有し、第一蒸発源86aと第二蒸発源86bとを備えている。第一蒸発源86aは、蒸着重合膜16を形成する2種類の原料モノマーのうちの一方を液体状態で収容する第一モノマーポット88aと、この第一モノマーポット88a内に収容される原料モノマーを加熱して、蒸発させる第一ヒータ90aとを有している。第二蒸発源86bは、2種類の原料モノマーのうちの他方を液体状態で収容する第二モノマーポット88bと、この第二モノマーポット88b内に収容される原料モノマーを加熱して、蒸発させる第二ヒータ90bとを有している。
【0061】
本実施形態では、蒸着重合膜16がポリユリア樹脂膜にて構成されるため、第一モノマーポット88a内には、ジイソシアネートの所定量が収容され、第二モノマーポット88b内には、ジアミンの所定量が収容されるようになる。また、第一及び第二ヒータ90a,90bは電熱ヒータにて構成されている。なお、蒸着重合膜16が、ポリユリア樹脂膜以外の樹脂膜にて構成される場合には、第一及び第二モノマーポット88a,88b内には、蒸着重合膜16を構成する樹脂膜の種類に応じて、ジイソシアネートやジアミン以外の原料モノマーが、それぞれ収容される。また、第一及び第二ヒータ90a,90bを、電熱ヒータ以外の公知のヒータ、例えば、赤外線式のヒータや電子照射式のヒータにて構成することも、勿論可能である。更に、蒸着重合膜16を構成する樹脂膜が3種類以上の原料モノマーの重合によって形成される場合、或いは蒸着重合膜16がポリユリア樹脂膜にて構成されるものの、ジイソシアネートとジアミンのうちの少なくとも何れか一方が、2種類以上のジイソシアネートやジアミンが原料モノマーとして使用される場合等では、3個以上の蒸発源が用いられることとなる。
【0062】
また、第一蒸発源86aの第一モノマーポット88aには、連通路としての第一モノマー蒸気供給パイプ92aが、その一端部において連通状態で接続されている。一方、第二蒸発源86bの第二モノマーポット88bにも、連通路としての第二モノマー蒸気供給パイプ92bが、その一端部において連通状態で接続されている。そして、
図2乃至
図4から明らかなように、それら第一モノマー蒸気供給パイプ92aと第二モノマー蒸気供給パイプ92bは、それぞれの他端部において、吹出口部材64に対して、その混合室76と連通状態で接続されている。これによって、各モノマー蒸気供給装置84と各吹出口部材64とが、第一及び第二モノマーポット88a,88bの内部空間と混合室76とを互いに連通させた状態で、相互に連結されている。
【0063】
かくして、各モノマー蒸気供給装置84の第一モノマーポット88a内と第二モノマーポット88b内とにそれぞれ収容されたジイソシアネートとジアミンとが、第一及び第二ヒータ90a,90bにて加熱され、蒸発させられて、モノマー蒸気とされた状態で、第一及び第二モノマー蒸気供給パイプ92a,92bを通じて、各吹出口部材64の混合室76内に供給されるようになっている。また、それらジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、混合室76内で均一に混合された後、仕切壁74の通孔80を通じて、成膜室78内に導入されるようになっている。そして、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の混合ガスが、吹出口66から、第二真空室40内に設置されたキャンローラ35の外周面に向かって吹き出されるようになっているのである。
【0064】
複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第一及び第二ヒータ90a,90bは、その加熱温度が、それぞれ独立して調節可能とされている。これによって、各モノマー蒸気供給装置84と連結した各吹出口部材64の吹出口66から吹き出されるモノマー蒸気の蒸気圧が、各吹出口部材64毎(各モノマー蒸気供給装置84毎)に、それぞれ独立して制御され得るようになっている。
【0065】
そして、上記の如き構造とされた製造装置22を用いて、
図1に示されるような積層構造体10を製造する際には、例えば、以下の手順に従って、その操作が進められる。
【0066】
すなわち、先ず、
図2に示されるように、フィルムロール50を巻出しローラ46に外挿して、セットする。次に、フィルムロール50から金属化フィルム15を巻き出して、キャンローラ35に巻き掛けた後、その先端部を巻取りローラ48に取り付ける。このとき、キャンローラ35から送り出された金属化フィルム15が、イオンボンバードメント装置62を通過した後に、巻取りローラ48によって巻き取られるようにする。
【0067】
なお、フィルムロール50を構成する金属化フィルム15としては、好ましくは5μm以下の厚さを有するものが用いられる。即ち、ここで用いられる金属化フィルム15は、樹脂フィルム12と、樹脂フィルム12の両面に積層形成された金属蒸着膜14a,14bのそれぞれの厚さの合計が5μm以下の範囲内の値とされているものであることが望ましい。それによって、最終的に得られる積層構造体10の厚さを十分に薄く、具体的には10μm以下程度の薄い厚さと為し得るからである。
【0068】
一方、そのような金属化フィルム15のキャンローラ35への巻掛け操作と同時に、或いはその操作の前後に、キャンローラ35に内蔵の冷却機構54を作動させて、キャンローラ35の外周面を冷却する。これによって、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15を冷却する。この冷却機構54による金属化フィルム15の冷却温度は、特に限定されるものではなく、金属化フィルム15に対して実施される、後述の蒸着重合操作が安定的に実施可能な温度とされ、一般には、−15〜40℃程度とされる。
【0069】
また、金属化フィルム15のキャンローラ35への巻掛け操作の終了後に、三つの真空ポンプ44,44,44を作動させて、主室26の第一及び第二真空室38,40内と副室28内とを減圧して、真空状態とする。このとき、第二真空室40と副室28内の圧力を10
-4〜100Pa程度とする。また、第一真空室38内の圧力を、第二真空室40と副室28内の圧力よりも低い圧力、例えば10
-4〜10Pa程度とする。
【0070】
次に、キャンローラ35を回転させる電動モータを回転駆動させて、キャンローラ35を
図2の矢印:A方向に回転させる。それと同時に、巻取りローラ48も回転駆動させる。これにより、フィルムロール50から金属化フィルム15を副室28内から主室26内に送り出して、金属化フィルム15を矢印:A方向に走行させる一方、キャンローラ35から送り出された金属化フィルム15の巻取りローラ48による巻取りを可能とする。
【0071】
また、キャンローラ35の回転開始と共に、帯電用電子ビームガン58を作動させて、キャンローラ35に巻き掛けられた金属化フィルム15に電子ビームを照射する。これにより、金属化フィルム15の表面を負に帯電させる。そうして、キャンローラ35の回転に伴って走行する金属化フィルム15をキャンローラ35の外周面に密接(密着)させるのである。
【0072】
なお、ここでは、第一真空室38内の圧力が、第二真空室40内の圧力よりも低い圧力とされているため、金属化フィルム15の表面が、帯電用電子ビームガン58の電子ビーム照射により、より効果的に帯電させられ得るようになる。一方、第二真空室40内の圧力を、第一真空室38内の圧力よりも低い圧力としても良い。その場合には、後述する真空蒸着重合操作の実施に際して、原料モノマーが、第二真空室40内から第一真空室38に侵入することが有効に阻止される。それによって、原料モノマーや蒸着重合膜16の第一真空室38の内壁面への付着が効果的に防止され得る。その結果、第一真空室38の内壁面に付着した原料モノマーや蒸着重合膜16の除去作業から有利に開放され得ることとなる。
【0073】
上記のような金属化フィルム15の帯電操作を行った際には、キャンローラ35が電気的に絶縁状態とされているため、金属化フィルム15に耐電した電荷がキャンローラ35を通じて逃げるようなこともない。また、第一真空室38内が十分に低い真空度とされているため、金属化フィルム15の表面が、電子ビーム照射のより効率的に且つ確実に帯電させられる。しかも、第一真空室38は、各吹出口部材64の吹出口66が配置される第二真空室40に対して、隔壁36にて仕切られている。それ故、後述する蒸着重合操作の実施時に、吹出口66とキャンローラ35の外周面との間の隙間75から不可避的に漏れ出すジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の混合ガスによる第二真空室40の内圧上昇によって、第一真空室38の内圧が上昇することが有利に抑制される。その結果、第一真空室38内の十分に低い真空度が有効に維持されて、第一真空室38内での電子ビーム照射による金属化フィルム15の帯電処理が、より確実且つ安定的に実施される。
【0074】
そして、金属化フィルム15を走行させる一方で、複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第一蒸発源86aの第一モノマーポット88a内のジイソシアネートを第一ヒータ90aにて加熱し、蒸発させて、ジイソシアネート蒸気を発生させる。また、それと同時に、第二蒸発源86bの第二モノマーポット88b内のジアミンを第二ヒータ90bにて加熱し、蒸発させて、ジアミン蒸気を発生させる。
【0075】
このとき、複数のモノマー蒸気供給装置84の各第一モノマーポット88a内に収容されたジイソシアネートの加熱温度が互いに同一の温度となるように、各第一ヒータ90aの加熱温度を調節する。また、複数のモノマー蒸気供給装置84の各第二モノマーポット88b内に収容されたジアミンの加熱温度を互いに同一の温度となるように、各第二ヒータ90bの加熱温度も調節する。それによって、複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第一蒸発源86aで発生するジイソシアネート蒸気の蒸気圧が互いに同一の大きさとなるように制御する。また、複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第二蒸発源86bで発生するジアミン蒸気の蒸気圧が互いに同一の大きさとなるように制御する。更に、そのような制御を行うことによって、複数のモノマー蒸気供給装置84の各第一蒸発源86aでのジイソシアネートの蒸発速度が互いに同一の大きさとなるように調節する。また、複数のモノマー蒸気供給装置84の各第二蒸発源86bでのジアミンの蒸発速度が互いに同一の大きさとなるように調節するのである。
【0076】
そして、それら複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第一及び第二蒸発源86a,86bで発生したジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気を、第一及び第二モノマー蒸気供給パイプ92a,92bを通じて複数の吹出口部材64の混合室76内に送り込んで、均一に混合した後、成膜室78内に送り出す。その後、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の混合ガスを、各成膜室78内から、各吹出口66を通じて、キャンローラ35の外周面上に密接して走行する金属化フィルム15上に吹き出させる。
【0077】
そして、複数の吹出口部材64の各吹出口66から吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、金属化フィルム15上に付着させて、それらを金属化フィルム15上で重合させる。これによって、金属化フィルム15の周上の複数箇所に対して、ポリユリア樹脂膜からなる蒸着重合膜16をそれぞれ同時に積層形成する。そうして、積層構造体10を得る。
【0078】
なお、ここでは、吹出口部材64の幅方向に対向する二つの第二側壁部72,72の対向面間距離(キャンローラ35の外周面の幅方向に対応する方向の寸法)が、樹脂フィルム12における蒸着重合膜16の形成側の面に積層される金属蒸着膜14aの幅よりも所定寸法大きくされている。これによって、蒸気の蒸着重合操作で形成される蒸着重合膜16の幅が、金属蒸着膜14aの幅よりも大きくされて、金属蒸着膜14aの幅方向両端面が、蒸着重合膜16の幅方向両側端部にて被覆されるようになる。
【0079】
また、金属化フィルム15がキャンローラ35の外周面に密接して巻き掛けられた状態下で、吹出口部材64の吹出口66を周方向に横切って延びる防着バー82が、金属化フィルム15の幅方向中央部に対して、隙間75を隔てて対向配置される。つまり、防着バー82が、金属化フィルム15の幅方向中央部から僅かに離間した位置で、かかる幅方向中央部を被覆して、配置される。
【0080】
そのため、各吹出口部材64の吹出口66から吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、金属化フィルム15の幅方向中央部に付着することが、防着バー82に邪魔されて、阻止される。これによって、金属化フィルム15の幅方向中央部上では、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気との重合反応が殆ど惹起されない。その結果、金属化フィルム15の幅方向中央部には、ポリユリア樹脂膜からなる蒸着重合膜16が形成されない。そうして、そのような蒸着重合膜16の非形成部位たる金属化フィルム15の幅方向中央部に、第二マージン部20が形成されるようになる。
【0081】
また、ここでは、前記したように、各吹出口部材64の吹出口66とキャンローラ35の外周面との間の隙間75の大きさ:Dが、吹出口66の全周に亘って5mm以内とされている。そのため、各吹出口66から吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の混合ガスが、隙間75を通じて、各吹出口部材64の成膜室78内から外部(第二真空室40内)に無駄に流出することが可及的に防止される。これによって、キャンローラ35の外周面上の金属化フィルム15以外の部位へのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の付着が、効果的に抑制される。そして、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気が、蒸着重合操作に無駄なく有効に使用される。その結果、蒸着重合膜16の成膜レートが、極めて有利に高められる。
【0082】
ところで、上記のように、金属化フィルム15上でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸着重合は、複数の吹出口部材64の各吹出口66がそれぞれ開口するキャンローラ35の外周面の複数箇所に位置する金属化フィルム15の周上の複数箇所で同時に実施される。即ち、イソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸着重合による蒸着重合膜16の形成操作が、複数の吹出口部材64の各成膜室78内で同時に進められる。そして、それら各成膜室78は、下側筒部70と仕切壁74にて囲繞されて、第二真空室40と区画されている。
【0083】
そのため、ここでは、真空状態とされた第二真空室40内で、各成膜室78の内圧が、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の供給によって、第二真空室40とは独立して可変とされる。そして、それにより、各成膜室78内でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が、第二真空室40内の圧力変動の影響を受けて変化することが、効果的に解消乃至は抑制される。それ故、各成膜室78に連通する第一及び第二蒸発源86a,86bでのジイソシアネートとジアミンの蒸発速度が、第二真空室40内の圧力変動によって変化することも、可及的に回避される。
【0084】
従って、各成膜室78内で金属化フィルム15の周上の複数箇所にそれぞれ形成される蒸着重合膜16の成膜レートや組成が、第二真空室40内の圧力変動に伴って変化することが、効果的に防止されるのである。
【0085】
また、複数の吹出口部材64の各成膜室78は、直接には互いに非連通とされている。そして、それら各成膜室78は、第二真空室40を介して、間接的に連通状態となっているものの、第二真空室40は、真空ポンプの作動によって常に真空状態が維持されるようになっている。これによって、複数の成膜室78の内圧が、互いに干渉することなく、それぞれ独立して可変とされている。そのため、複数の成膜室78のうちの何れかの成膜室78内でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧変化によって、それとは別の成膜室78内でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が影響を受けて変化することはない。
【0086】
それ故、たとえ、複数のモノマー蒸気供給装置84のうちの何れかのものの第一及び第二蒸発源86a,86bにおいてジイソシアネートやジアミンの蒸発速度が変化して、その成膜室78内でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が変動しても、それにより、別のモノマー蒸気供給装置84の成膜室78内でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が直ちに変化して、第一及び第二蒸発源86a,86bでのジイソシアネートとジアミンの蒸発速度が変化することが効果的に回避される。しかも、複数のモノマー蒸気供給装置84のそれそれの第一及び第二ヒータ90a,90bの加熱制御が、各モノマー蒸気供給装置84毎に実施されている。それによって、製造装置22全体でのジイソシアネートやジアミンの蒸発速度が、より緻密に制御される。
【0087】
従って、本実施形態の製造装置22を用いる場合には、モノマー蒸気供給装置が一つだけ設けられた従来の製造装置を用いる場合とは異なって、たとえ複数のモノマー蒸気供給装置84のうちの何れかのもののジイソシアネートやジアミンの蒸発速度が変化しても、製造装置22内で金属化フィルム15に積層形成される蒸着重合膜16の成膜レートや組成が直ちに変化するようなことが、効果的に防止される。
【0088】
そして、上記のような蒸着重合操作によって、金属化フィルム15上に蒸着重合膜16を積層形成してなる積層構造体10を、キャンローラ35の回転に伴って、第二真空室40内から第一真空室38内に再び送り出す。その後、キャンローラ35に巻き掛けられた積層構造体10に対して、硬化用電子ビームガン60にて電子ビームを照射する。
【0089】
これにより、積層構造体10の蒸着重合膜16を構成するポリユリア樹脂を確実に硬化させる。このとき、前記したように、第一真空室38内が、十分に低い真空度に維持されている。そのため、電子ビーム照射による蒸着重合膜16の硬化操作が、より確実に且つ安定的に実施される。また、硬化用電子ビームガン60による電子ビーム照射によって、金属化フィルム15上に付着する未重合のジイソシアネートとジアミンの重合が促進される。その結果、蒸着重合膜16の膜質の改善が図られる。
【0090】
次いで、キャンローラ35から送り出された積層構造体10をイオンボンバードメント処理装置62に通過させる。このイオンボンバードメント処理装置62の通過時に、積層構造体10の除電を行う。その後、積層構造体10を副室28内に送り込んで、巻取りローラ48にて巻き取る。これによって、
図1に示される構造を有する積層構造体10を巻回したフィルムロール94を得るのである。
【0091】
このように、本実施形態の積層構造体10の製造装置22では、第二真空室40内の圧力や、複数のモノマー蒸気供給装置84のうちの何れかのものでのジイソシアネートやジアミンの蒸発速度が多少変化しても、それらの影響によって、金属化フィルム15に積層形成される蒸着重合膜16の成膜レートや組成が直ちに変化することが効果的に防止される。
【0092】
従って、本実施形態の製造装置22を用いれば、一定の組成及び膜厚を有する蒸着重合膜16が金属化フィルム15上に積層形成された積層構造体10を、極めて安定的に製造することができるのである。
【0093】
また、本実施形態の製造装置22を用いることによって、蒸着重合膜16の組成や膜厚のバラツキを効果的に解消できるため、蒸着重合操作の実施中に、蒸着重合膜16の組成や膜厚を調べるための高価な機器類を真空チャンバ24内に設置する必要がない。それ故、それら高価な機器類の設置に要するコストの削減が効果的に図られ得る。また、目的とする積層構造体10の製造後に、機器類に付着したの蒸着重合膜16を除去するために行われる後作業から有利に開放され得る。
【0094】
さらに、本実施形態の製造装置22では、帯電用電子ビームガン58による電子ビーム照射によって、金属化フィルム15がキャンローラ35に密接される。そのため、キャンローラ35の回転に伴う金属化フィルム15の走行時に、金属化フィルム15に皺が寄ることが効果的に回避され得る。
【0095】
また、金属化フィルム15のキャンローラ35への密接により、真空雰囲気下において、金属化フィルム15が、冷却機構54にて冷却されたキャンローラ35により確実に冷却される。それによって、高温のジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の付着による金属化フィルム15の熱負けが有利に防止され得る。しかも、金属化フィルム15に付着したジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の脱離頻度を効果的に低下させることが可能となり、以て、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸着重合が、更に効率的に実施され得る。更に、このジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸着重合は、電子ビーム照射により金属化フィルム15に投入されたエネルギーによっても、効果的に促進され得る。
【0096】
そして、それらの結果として、蒸着重合膜16の成膜レートの向上が有効に図られ得ることとなるのである。この成膜レートの向上効果は、上記のような金属化フィルム15の効率的な冷却効果と、帯電用電子ビームガン58による金属化フィルム15への電子ビーム照射による効果と、前記した吹出口66とキャンローラ35との間の隙間75の狭小化による効果とが相俟って、より一層高められる。具体的には、例えば、650mmの幅の金属化フィルム15上に、蒸着重合膜16を3μmで積層形成する場合には、目的とする積層構造体10が、150m/minの速度で形成可能となる。
【0097】
また、本実施形態の製造装置22では、製造された積層構造体10が、イオンボンバードメント処理装置62にて除電されてから巻き取られて、フィルムロール94が形成される。そのため、後工程でのフィルムロール94からの積層構造体10の巻出しが、よりスムーズに実施され得る。
【0098】
次に、
図5には、本発明に従う積層構造体の製造装置の別の実施形態が示されている。本実施形態の製造装置96は、金属化フィルム15を用いずに、積層構造体10を一挙に製造可能な構造を備えている。そして、この製造装置96を用いて製造される積層構造体10は、
図1を援用して説明すると、樹脂フィルム12に代わる第一蒸着重合膜16を有し、この第一蒸着重合膜16の両面に、金属蒸着膜14a,14bが積層形成され、また、金属蒸着膜14aの第一蒸着重合膜16側とは反対側に第二蒸着重合膜16が更に積層形成されてなるものである。なお、以下に、本実施形態の製造装置96の構造について説明するが、前記第一の実施形態の製造装置22と同様な構造とされた部材及び部位については、
図5に、
図2と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0099】
すなわち、
図5から明らかなように、本実施形態の製造装置96では、真空チャンバ24が、主室26のみを有している。この真空チャンバ24は、1個の排気パイプ42の先端に接続された真空ポンプ44にて、真空状態とされ得るようになっている。
【0100】
真空チャンバ24内には、冷却機構54を内蔵したキャンローラ35が回転可能に設置されている。このキャンローラ35の周囲には、6個の吹出口部材64a,64b,64c,64d,64e,64fが、キャンローラ35の周方向に並んで配置されている。図示されてはいないものの、それら6個の吹出口部材64a,64b,64c,64d,64e,64fは、前記第一の実施形態に係る製造装置22に設けられる吹出口部材64と同様な構造を有し、内部に混合室76と成膜室78とを備えている。但し、3個の吹出口部材64b,64c,64dの各吹出口66には、防着バー82が、何等設けられていない。
【0101】
一方、真空チャンバ24の外部には、4個のモノマー蒸気供給装置84,84,84,84と、金属蒸気供給手段としての第一及び第二の2個の金属蒸気供給装置98a,98bとが、配置されている。4個のモノマー蒸気供給装置84,84,84,84は、前記実施形態の製造装置22に設けられるものと同一の構造を有している。
【0102】
第一金属蒸気供給装置98aと第二金属蒸気供給装置98bは、互いに同一の構造を有し、蒸発源100a,100bを備えている。また、それら各金属蒸気供給装置98a,98bの蒸発源100a,100bは、目的とする積層構造体10の金属蒸着膜14a,14bの形成材料たるアルミニウムからなる蒸着原料を収容する蒸着原料収容部102a,102bと、この蒸発原料収容部102a,102b内の蒸着原料を加熱して、蒸発させるヒータ104a,104bとを有している。なお、蒸発原料の材質は、金属蒸着膜14a,14bの材質によって適宜に変更される。ヒータ104a,104bも、電熱ヒータや赤外線式ヒータや電子照射式ヒータ等が、適宜に用いられる。
【0103】
また、第一及び第二金属蒸気供給装置98a,98bの各蒸発源100a,100bの蒸発原料収容部102a,102bは、連通路としての金属蒸気供給パイプ106a,106bを介して、真空チャンバ24内の2個の吹出口部材64a,64dに対して、それぞれ連通状態で接続されている。第一金属蒸気供給装置98aに接続された吹出口部材64aと第二金属蒸気供給装置98bに接続された吹出口部材64dは、キャンローラ35の周方向の一方側において、2個の吹出口部材64b,64cを間に挟み、キャンローラ35の周方向の他方側にも、2個の吹出口部材64e,64fを間に挟んで配置されている。
【0104】
かくして、第一及び第二金属蒸気供給装置98a,98bの各蒸着原料収容部102a,102b内に収容された蒸着原料が、ヒータ104a,104bにて加熱され、蒸発させられて、金属蒸気とされた状態で、金属蒸気供給パイプ106a、106bを通じて、2個の吹出口部材64a,64d内に供給されるようになっている。また、それら2個の吹出口部材64a,64dに供給された金属蒸気が、それらの吹出口66,66から、キャンローラ35の外周面に向かって吹き出されるようになっているのである。
【0105】
そして、上記の如き構造とされた製造装置96を用いて、、目的とする積層構造体10を製造する際には、例えば、以下の手順に従って、その操作が進められる。
【0106】
すなわち、先ず、キャンローラ35に内蔵の冷却機構54を作動させて、キャンローラ35の外周面を冷却する。また、その一方で、真空ポンプ44を作動させて、第一真空室38内を減圧して、真空状態とする。このとき、冷却機構54による金属化フィルム15の冷却温度は、例えば、前記第一の実施形態に係る製造装置22を用いて積層構造体10を得る際と同様とする。また、第一真空室38内の圧力を10
-4〜100Pa程度とする。
【0107】
次に、キャンローラ35を
図5の矢印:A方向に回転させる。その後、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、4個のモノマー蒸気供給装置84,84,84,84から4個の吹出口部材64b,64c,64e,64fに供給すると共に、それら4個の吹出口部材64b,64c,64e,64fの各吹出口66を通じて、キャンローラ35の外周面上に吹き出させる。また、その一方で、第一及び第二金属蒸気供給装置98a,98bから2個の吹出口部材64a,64dに金属蒸気を供給すると共に、それら2個の吹出口部材64a,64dの各吹出口66を通じて、キャンローラ35の外周面上に金属蒸気を吹き出させる。これにより、キャンローラ35の回転に伴って、その外周面上に、金属蒸着膜14bと第一蒸着重合膜16と金属蒸着膜14aと第二蒸着重合膜16とを、その順番で次々と積層形成する。
【0108】
すなわち、第一金属蒸気供給装置98aに接続された吹出口部材64aの吹出口66から吹き出される金属蒸気を、キャンローラ35の外周面上に付着させる。これにより、キャンローラ35の外周面上に、金属蒸着膜14bを直接に形成する。
【0109】
このとき、吹出口部材64bの吹出口66には、防着バー82が設けられているため、キャンローラ35の外周面の幅方向中央部分には、金属蒸気が付着しない。また、吹出口部材64aの吹出口66は、キャンローラ35の外周面の幅方向に対応した方向の開口寸法が、キャンローラ35の外周面の幅寸法よりも所定寸法だけ小さくされている。そのため、キャンローラ35の外周面の幅方向両側部分にも、金属蒸気が付着しない。これによって、金属蒸着膜14bの幅方向中央部分とその両側部分とに、第一マージン部18が、それぞれ形成される。また、キャンローラ35の外周面の幅方向中央部分と両側部分には、金属蒸着膜14bの形成前に、図示されないオイルマージン形成装置等によって、オイルマージンが形成される。これにより、後述するように、金属蒸着膜14b上に第一蒸着重合膜16を形成する際に、キャンローラ35の外周面の幅方向中央部分と両側部分とに、第一蒸着重合膜16が直接に形成されて、各第一マージン部18が、第一蒸着重合膜16にて埋まってしまうようなことが防止される。
【0110】
次に、2個の吹出口部材64b,64cの各吹出口66から吹き出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気を金属蒸着膜14b上で重合させる。それにより、金属蒸着膜14b上に、樹脂フィルム(12)に代わる第一蒸着重合膜16を積層形成する。即ち、本実施形態では、膜状基材が第一蒸着重合膜16にて構成されている。また、この第一蒸着重合膜16を形成するモノマー蒸気供給装置84と2個の吹出口部材64b,64cとにて、膜状基材供給手段が構成されている。
【0111】
その後、第二金属蒸気供給装置98bに接続された吹出口部材64dの吹出口66から吹き出される金属蒸気を、第一蒸着重合膜16に付着させる。これにより、第一蒸着重合膜16上に、金属蒸着膜14aを積層形成する。
【0112】
次いで、2個の吹出口部材64e,64fの各吹出口66から吹き出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気を金属蒸着膜14a上で重合させる。それにより、金属蒸着膜14a上に、第二蒸着重合膜16を積層形成する。このとき、吹出口部材64e,64fの各吹出口66には、防着バー82が設けられているため、金属蒸着膜14aの幅方向中央部には、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気金属蒸気が付着しない。これによって、金属蒸着膜14aの幅方向中央部に、第二マージン部20が形成される。
【0113】
また、ここでは、それら2個の吹出口部材64e,64fの各吹出口66と、金属蒸気を吹き出す前記吹出口部材64dの吹出口66の、キャンローラ35の外周面の幅方向に対応した方向の開口寸法が、2個の吹出口部材64b,64cの各吹出口66におけるキャンローラ35の外周面の幅方向に対応した方向の開口寸法よりも小さくされている。これによって、第一蒸着重合膜16の幅方向両側にも、第一マージン部18が、それぞれ形成される。
【0114】
かくして、金属蒸着膜14bと第一蒸着重合膜16と金属蒸着膜14aと第二蒸着重合膜16とが、その順番で積層形成されてなる積層構造体10を得る。そして、そのようにして得られた積層構造体10を、例えば、キャンローラ35の周方向に互いに隣り合う2個の吹出口部材64a,64fの間に位置するキャンローラ35の外周面部分から、順次、剥離していくことにより、目的とする積層構造体10が、連続的に得られるようになるのである。
【0115】
このように、本実施形態の製造装置96を用いれば、予め、金属化フィルム15を作製して準備することなく、目的とする積層構造体10を極めて容易に且つ効率的に得ることができる。
【0116】
そして、そのような製造装置96にあっても、真空チャンバ24内に画成された複数の吹出口部材64の吹出口66から吹き出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、それら各吹出口部材64の成膜室78内で重合させて、蒸着重合膜16を形成するようになっている。従って、本実施形態においても、前記第一の実施形態において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が有効に享受され得る。
【0117】
なお、本実施形態の製造装置96にあっては、キャンローラ35の周方向において、吹出口部材64cと、それに隣り合う吹出口部材64dとの間や、吹出口部材64fの吹出口部材64e側とは反対側に、硬化用電子ビームガン(60)が、それぞれ設けられていても良い。そして、それらの硬化用電子ビームガン(60)にて電子ビームを、第一及び第二蒸着膜16,16に照射して、それら第一及び第二蒸着膜16,16を硬化させても良いのである。
【0118】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0119】
例えば、前記第一及び第二の実施形態では、複数のモノマー蒸気供給装置84のそれぞれの第一及び第二蒸発源86a,86bでのジイソシアネートとジアミンの加熱温度が互いに同一の温度となるように制御されていた。しかしながら、それらジイソシアネートとジアミンの加熱温度の目標温度をモノマー蒸気供給装置84毎に変えても良い。その場合には、複数のモノマー蒸気供給装置84のジイソシアネートとジアミンの蒸発速度を、少しずつ異ならせることができる。そうすれば、キャンローラ35が一回転する間に、金属化フィルム15上に積層形成される蒸着重合膜16の厚さを徐々に且つ効率的に厚くすることができる。それによって、真空チャンバ24の耐圧性を然程高めることなしに、膜厚の厚い蒸着重合膜16を有する積層構造体10を、低いコストで、容易に且つ効率的に製造することが可能となる。
【0120】
なお、複数のモノマー蒸気供給装置84のジイソシアネートとジアミンの蒸発速度を互いに同一の大きさとする場合にも、キャンローラ35が一回転する間に、金属化フィルム15上に積層形成される蒸着重合膜16の厚さを徐々に厚くすることができる。
【0121】
複数のモノマー蒸気供給装置84から供給されるモノマー蒸気の種類を、モノマー蒸気供給装置84毎に変えても良い。そうすれば、キャンローラ35が一回転する間に、金属化フィルム15上に、互いに異なる種類の蒸着重合膜16を積層形成することができる。そして、それによって、互いに異なる種類の蒸着重合膜16が積層されてなる積層構造体10を、低いコストで、容易に且つ効率的に製造することが可能となる。
【0122】
吹出口部材64の個数は、前記第一及び第二の実施形態に例示されたものに、何等されるものではない。一つの蒸着重合膜16を形成するのに2個以上の吹出口部材64が設けられておれば良い。
【0123】
前記第一及び第二の実施形態では、モノマー蒸気供給手段としてのモノマー蒸気供給装置84の1個が、1個の吹出口部材64に接続されていた。しかしながら、例えば、1個のモノマー蒸気供給装置84を複数の吹出口部材64に接続することも可能である。従って、モノマー蒸気供給装置84は、少なくとも一つ設けられておれば良いのである。
【0124】
膜状基材としての金属化フィルム15は、蒸着重合膜16の積層形成に先立って、必ずしも帯電させられている必要はない。しかしながら、金属化フィルム15を帯電させる場合には、例示された帯電用電子ビームガン58に代えて、金属化フィルム15に接触して、それを帯電させる接触型の装置、例えば外部電源に接続された導電ローラ等を用いることもできる。また、それらの帯電用の装置を用いる場合には、除電装置が必要となるが、この除電装置も、例示されたイオンボンバードメント処理装置62に代えて、公知の構造のものが適宜に用いられ得る。
【0125】
蒸着重合膜16を硬化させる硬化用電子ビームガン60も、必須のものでなく、必要に応じて用いられるものである。この蒸着重合膜16を硬化させる装置も、硬化用電子ビームガン60に代えて、例えば、赤外線照射装置や紫外線照射装置等が使用可能である。
【0126】
被覆部材としての防着バー82の配設位置も、蒸着重合膜16に対する第二マージン部20の形成箇所に応じて、適宜に変更され得る。防着バー82は、吹出口66を回転ドラムとしてのキャンローラ35の周方向に横切って延びるように配置されておれば良い。そして、設置可能であれば、吹出口部材64以外の部材に固定して、設置しても良い。
【0127】
加えて、前記第一及び第二の実施形態では、本発明を、フィルムコンデンサ素子を構成する積層構造体の製造装置に適用したものの具体例を示したが、本発明は、真空蒸着重合法により成膜される蒸着重合膜が、膜状基材上に少なくとも一つ積層形成されてなる積層構造体の製造装置の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0128】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。