【実施例】
【0028】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における試験方法は以下のとおりである。
【0029】
(1)ジエン価の測定
テレビン油脂量5gに所定量の無水マレイン酸のトルエン溶液を加え、加熱還流して反応させる。反応後は、所定量の水で抽出し、フェノールフタレインを指示薬として、1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。別にブランク試験も行い、その数値を控除して真のテレビン油試料のジエン価を求める。
【0030】
(2)分子量、分子量分布
GPCにより、重合体の分子量・分子量分布を測定する。カラムおよび分析条件は、下記のとおりである。
カラム:TSK−Gel G−4000+2000Hs
分析条件:温度 38℃
圧力 5.9MPa
流速 1.0mL/min
溶媒 テトラヒドロフラン
【0031】
(3)色相
JIS K 5600に準拠して、ガードナーナンバーを測定する。
【0032】
(4)耐熱色相
試料10gを入れた内径18mm、長さ180mmの試験管を、180℃に加熱したアルミブロックヒーターに仕込み、72時間後の色相をガードナー法により測定した。
【0033】
(5)エチレン系共重合樹脂との相溶試験
EVA(エバフレックス#210、酢酸ビニル含有量28%、MFR=400)0.5gを、200℃に制御したホットプレートに乗せたガラス板の上で溶融させる。ここに樹脂0.5gを加え、ガラス棒で十分に混合する。ホットプレートからガラス板をはずし、ヘラを使用して溶融混合樹脂をガラス板上に手早く塗布する。室温で10分放置し、透明・白濁を目視で評価し、透明は相溶性良好で、白濁は相溶しないと判断した。
【0034】
(6)スチレン系樹脂との相溶試験
SEBS(クレイトンG1657)0.5gを、250℃に制御したホットプレートに乗せたガラス板の上で溶融させる。ここに樹脂0.5gを加え、ガラス棒で十分に混合する。ホットプレートからガラス板をはずし、ヘラを使用して溶融混合樹脂をガラス板上に手早く塗布する。室温で10分放置し、透明・白濁を目視で評価し、透明は相溶性良好で、白濁は相溶しないと判断した。
【0035】
(7)熱安定性試験
所定配合で得られたホットメルト接着剤50gを100mlのビーカーに入れ、180℃、72時間加熱後、冷却固化した状態で、目視により皮張りおよび炭化物の生成状態を次に示す判断基準で判定する。ここで皮張りとは、加熱処理によりホットメルト接着剤に発生するゲルであり、また炭化物余波、ビーカー下部のホットメルト接着剤に発生する黒色物である。いずれの発生もホットメルト接着剤の吐出ノズルの詰まりを誘発する。
皮張り:◎なし、○わずかにあり、×多い
炭化物:◎なし、○わずかにあり、×多い
【0036】
(8)低温接着性
幅50mm、長さ100mmのKライナーのダンボールBフルート(220g/m
2)を試験片とし、所定配合で得られたホットメルト接着剤を試験片の表面に、フルートに対して並行(幅方向)に塗布し、前記耐熱接着性の条件で試験片材料の裏面でフルートがクロスするように張り合わせる。この試験片を、所定の低温度下において接着試験片の接合部をL字型剥離形式で破壊させたときの該剥離面の破壊状態を次の判定条件により判定する。
評価:◎材料破壊、○大部分材料破壊、△大部分界面破壊、×界面破壊
【0037】
[実施例1]
石油類の熱分解により得られた140〜180℃の沸点範囲を有する次の留分を留分aとした。
α−メチルスチレン 6.4%
シスβ−メチルスチレン 4.4%
ビニルトルエン 53.1%
インデン 0.0%
(重合可能成分 63.9%)
【0038】
留分aを800g、市販のテレビン油(ジエン価32cg/g)を200g、混合キシレンを1000g混合した。このキシレン溶液の合計2000gに、フェノール19gをさらに加えた。
あらかじめ窒素置換した180mL連続重合装置を、5℃に温度制御したバスに浸漬した。先に調製した原料液を液送ポンプにて使用して、180mL/hの速度で、温度制御している連続重合装置に導入した。あらかじめトルエンで希釈した三フッ化ホウ素フェノール錯体(0.238mol/L)を、連続重合反応装置に4.2mL/hで導入した。
なおオーバーフローする反応溶液は、同じ温度に制御した300mLの三口フラスコに導入した。
反応開始から3〜4時間後の反応液を取り出し(180mL)、5gの消石灰で中和した。中和された反応液をろ過し、単蒸留装置に導入して、オイルバス温度150℃でキシレンを留去した。そのまま真空ポンプを接続して、系内の圧力を300Paに制御して、オイルバスを250℃に昇温して、軽質分を留去した。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は800で、Mw/Mn=2.5であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好であった。
得られた樹脂を40重量部、EVA樹脂(エバフレックス#210)40重量部、パラフィンワックス(融点77℃)20重量部を180℃で溶融混合してホットメルト組成物を調製し、熱安定性、低温接着性を試験した。
熱安定性:皮張り(◎)、炭化物(◎)
低温接着性:10℃(◎)、5℃(◎)、0℃(◎)
【0039】
[比較例1]
石油類の熱分解により得られた140〜220℃の沸点範囲を有する次の留分を留分bとした。
α−メチルスチレン 3.5%
シスβ−メチルスチレン 2.4%
ビニルトルエン 28.7%
インデン 12.6%
(重合可能成分 58.9%)
【0040】
留分bを留分aの代わりに用いること以外は、実施例1と同様に行った。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は750で、Mw/Mn=2.3であった。ガードナーナンバーは7であった。
ここで得られた樹脂を40重量部、EVA樹脂(エバフレックス#210)40重量部、パラフィンワックス(融点77℃)20重量部を180℃で溶融混合してホットメルト組成物を調製し、熱安定性、低温接着性を試験した。
熱安定性:皮張り(○)、炭化物(◎)
低温接着性:10℃(◎)、5℃(◎)、0℃(◎)
【0041】
また先の樹脂5g(重量平均分子量750、Mw/Mn=2.3)をシクロヘキサン100gに溶解して、200mLオートクレーブに導入した。珪藻土に担持したニッケル触媒2gを加え、水素圧力7MPa、200℃で3時間水素添加を行った。得られた水素添加溶液をろ過し、3Lのメタノールに徐々に加えて、再沈殿を行った。得られた樹脂を常温で減圧乾燥してガードナーナンバーを測定したところ<1であった。
この水素化樹脂を耐熱色相試験したところ、ガードナーナンバーは6となった。
【0042】
[実施例2]
混合キシレン500g、市販のテレビン油(ジエン価45cg/g)60g、α−メチルスチレン440g、フェノール7.5gを混合した。
あらかじめ窒素置換した180mL連続重合装置を、5℃に温度制御したバスに浸漬した。先に調製した原料液を液送ポンプにて使用して、180mL/hの速度で、温度制御している連続重合装置に導入した。あらかじめトルエンで希釈した三フッ化ホウ素フェノール錯体(0.238mol/L)を、連続重合反応装置に4.2mL/hで導入した。
なおオーバーフローする反応溶液は、同じ温度に制御した300mLの三口フラスコに導入した。
反応開始から3〜4時間後の反応液を取り出し(180mL)、5gの消石灰で中和した。中和された反応液をろ過し、単蒸留装置に導入して、オイルバス温度150℃でキシレンを留去した。そのまま真空ポンプを接続して、系内の圧力を300Paに制御して、オイルバスを250℃に昇温して、軽質分を留去した。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1300で、Mw/Mn=2.2であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好だった。
得られた樹脂を40重量部、EVA樹脂(エバフレックス#210)40重量部、パラフィンワックス(融点77℃)20重量部を180℃で溶融混合してホットメルト組成物を調製し、熱安定性、低温接着性を試験した。
熱安定性:皮張り(◎)、炭化物(◎)
低温接着性:10℃(◎)、5℃(◎)、0℃(◎)
【0043】
[比較例2]
反応温度を0℃とする以外は、実施例2と同様に行った。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1700で、Mw/Mn=2.5であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとは相溶しなかった。
【0044】
[実施例3]
混合キシレン500g、市販のテレビン油(ジエン価45cg/g)60g、α−メチルスチレン440gを混合した。ここにさらにフェノールを6.7g加えた。
あらかじめ窒素置換した180mL連続重合装置を、0℃に温度制御したバスに浸漬した。先に調製した原料液を液送ポンプにて使用して、180mL/hの速度で、温度制御している連続重合装置に導入した。あらかじめトルエンで希釈した三フッ化ホウ素フェノール錯体(0.238mol/L)を、連続重合反応装置に1.4mL/hで導入した。
なおオーバーフローする反応溶液は、同じ温度に制御した300mLの三口フラスコに導入した。
反応開始から3〜4時間後の反応液を取り出し(180mL)、5gの消石灰で中和した。中和された反応液をろ過し、単蒸留装置に導入して、オイルバス温度150℃でキシレンを留去した。そのまま真空ポンプを接続して、系内の圧力を300Paに制御して、オイルバスを250℃に昇温して、軽質分を留去した。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1500で、Mw/Mn=1.8であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好だった。
【0045】
[実施例4]
混合キシレン500g、市販のテレビン油(ジエン価45cg/g)100g、スチレン400gを混合した。ここにさらにフェノールを6.7g加えた。
あらかじめ窒素置換した180mL連続重合装置を、−20℃に温度制御したバスに浸漬した。先に調製した原料液を液送ポンプにて使用して、180mL/hの速度で、温度制御している連続重合装置に導入した。あらかじめトルエンで希釈した三フッ化ホウ素フェノール錯体(0.238mol/L)を、連続重合反応装置に6.8mL/hで導入した。
なおオーバーフローする反応溶液は、同じ温度に制御した300mLの三口フラスコに導入した。
反応開始から3〜4時間後の反応液を取り出し(180mL)、5gの消石灰で中和した。中和された反応液をろ過し、単蒸留装置に導入して、オイルバス温度150℃でキシレンを留去した。そのまま真空ポンプを接続して、系内の圧力を300Paに制御して、オイルバスを250℃に昇温して、軽質分を留去した。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1600で、Mw/Mn=1.7であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好だった。
【0046】
[実施例5]
ビニルトルエンをスチレンの代わりに使用する以外は、実施例4と同様に行った。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1400で、Mw/Mn=1.7であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好だった。
【0047】
[実施例6]
4−イソプロペニルトルエンをα−メチルスチレンの代わりに使用する以外は、実施例3と同様に行った。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は1400で、Mw/Mn=1.7であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVAとの相溶性は良好だった。
【0048】
[実施例7]
混合キシレン375g、市販のテレビン油(ジエン価45cg/g)52.5g、α−メチルスチレン322.5gを混合した。ここにさらにフェノールを7.1g加えた。
あらかじめ窒素置換した180mL連続重合装置を、0℃に温度制御したバスに浸漬した。先に調製した原料液を液送ポンプにて使用して、180mL/hの速度で、温度制御している連続重合装置に導入した。あらかじめトルエンで希釈した三フッ化ホウ素フェノール錯体(0.238mol/L)を、連続重合反応装置に4.2mL/hで導入した。
なおオーバーフローする反応溶液は、同じ温度に制御した300mLの三口フラスコに導入した。
反応開始から3〜4時間後の反応液を取り出し(180mL)、5gの消石灰で中和した。中和された反応液をろ過し、単蒸留装置に導入して、オイルバス温度150℃でキシレンを留去した。そのまま真空ポンプを接続して、系内の圧力を300Paに制御して、オイルバスを250℃に昇温して、軽質分を留去した。
フラスコに残留した樹脂の重量平均分子量は700で、Mw/Mn=1.7であった。ガードナーナンバーは<1であり、耐熱色相も<1であった。EVA、SEBSとの相溶性は良好だった。