(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のリブ間の距離は、前記各リード板の幅よりも広く設けられ、且つ、前記第一側面の前記長手方向において、当該第一側面の長さよりも前記回路基板及び前記2本のリード板の合計長さが長い
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【背景技術】
【0002】
近年、繰り返し充電して使用が可能な二次電池を外装ケースに収納してなる電池パックが広く普及している。電池パックはノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC)や携帯電話、PDA、その他各種電子機器の主電源またはバックアップ電源等として広く用いられている。
従来の電池パック1xの構成例を
図6(a)に示す。電池パック1xは、扁平直方体状のリチウムイオン二次電池等からなる素電池30及び保護回路基板4等を、枠状の外装ケース(上部ケース700及び下部ケース800)に収納する。そして外装ケースの外周を図示しない外装ラベルで被覆して構成される。
【0003】
保護回路基板4は、リード板5X、5Y、5Zを介し、素電池2の正負極それぞれの電極端子に接続される(5Zは不図示のNi−Alクラッド板を介して接続)。保護回路基板4とリード板5X、5Y、5Zは、素電池2の側面に沿って配したホルダー30に固定される。さらにリード板5X、5Yの間には、不図示の安全素子(例えばPCT素子)等が電気接続される。保護回路基板4の上面には、給電対象機器との接続に供される外部接続端子(コネクター)41が実装される。コネクター41は、下部ケース800に配された窓部801を通して外部露出される。
【0004】
ここで
図6(b)は保護回路基板4付近の断面図、
図6(c)は前記保護回路基板4と反対側の底面部付近の断面図を示す。これらの図に示すように、上部ケース700と下部ケース800は、それぞれ互いに嵌合される溶着溝703と溶着リブ802を有し、溶着リブ802が溶着溝703に嵌合された状態で、超音波溶着により互いに溶着される。
このような構成の電池パック1xは、内部へのモールディング樹脂の注入が不要であり、一定の軽量化・薄型化の効果を期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電池パックにおいては以下のような課題が存在する。
第一に、コネクターと保護回路基板とが製造誤差等により位置ずれを生じ、電池パックの製造不良を生じる問題がある。すなわち電池パック1xでは、コネクター41は基板本体40上にはんだ付け等で実装されるが、その際の実装位置に誤差が生じ、コネクター41が外装ケースの窓部(
図6(a)では下部ケース800の窓部801)を挿通できない場合がある。また、仮にコネクター41が前記窓部801を挿通できたとしても、電池パック1xを給電対象機器に装着する際、窓部801の内部でコネクター41が位置ずれを生じているため、やはり正しい位置で電池パック1xを装着できないおそれがある。
【0007】
このようなコネクター41の位置ずれによる製造不良や装着不良の問題は、たとえば特許文献1記載のように、コネクターの位置を中心として素電池側に外装ケース(カバーフレーム)を配設するタイプの電池パックにおいて、特に顕著化するおそれがあり、解決が望まれる。
第二に、電池パックについては小型化・軽量化や、生産コストの低減も望まれており、これらの要求を満足する必要がある。
図6に示した電池パック1xでは、上部ケース700及び下部ケース800を超音波溶着する際に使用する溶着リブ802と溶着溝703を形成する必要があるため、電池パック1xのx、y方向寸法が増大して外形寸法が大きくなり、電池パックの小型化・軽量化に改善の余地がある。また、超音波溶着を実施する必要があり、その分生産コストが上昇するため、製造工程の歩留まりにおいても課題が残っている。
【0008】
本発明は以上の各課題に鑑みてなされたものであって、第一の目的として、電池パックのコネクターの位置ずれによる製造不良の問題を防止し、良好に電池パックを製造できるともに、給電対象機器にも正確に装着することが可能な電池パックを提供する。
第二の目的として、生産コストの低減を図りつつ、良好に小型化、軽量化を期待できる電池パックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、扁平直方体の外観形状を有する素電池と、前記素電池の外周における第一側面をその長手方向に沿って覆うように配され、前記素電池と反対側に外部接続端子が設けられた回路基板と、前記第一側面及びこれに連続する側面に沿って配され、前記回路基板に対して前記素電池の正極端子及び負極端子を電気接続する、2本の帯状のリード板と、前記各リード板及び前記回路基板と、前記素電池の少なくとも前記第一側面との間に配されたホルダーと、前記素電池の前記外周に沿って配され、前記外部接続端子を窓部に挿通して外部露出させつつ回路基板を覆い、前記素電池との間で前記ホルダーを固定する枠状の外装ケースと、前記回路基板、前記ホルダー並びに前記外装ケースが組みつけられた前記素電池に対し、その外周を覆うように配された外装ラベルと、を備え、前記ホルダーは、前記各リード板をその各両サイドから前記第一側面の長手方向に沿って案内する一対のリブを1対以上有し、前記各一対のリブと前記リード板の間に間隙が存在することで、前記各リード板及び前記回路基板が移動可能に配され、且つ、前記窓部に挿通された前記外部接続端子が、当該窓部の内部において移動可能に配されている構成とした。
【0010】
ここで、前記一対のリブ間の距離は、前記各リード板の幅よりも広く設けられ、且つ、前記第一側面の前記長手方向において、当該第一側面の長さよりも前記回路基板及び前記2本のリード板の合計長さが長い構成とすることもできる。
また、前記第一側面の前記長手方向において、前記外
装ケースの前記窓部の開口サイズが、当該窓部より露出する前記外部接続端子の外径よりも大きい構成とすることもできる。
【0011】
また、前記素電池はその前記外周において、前記第一側面の長手方向一端側に隣接する第二側面、他端側に隣接する第三側面をそれぞれ有し、前記外装ケースは第一フレーム及び第二フレームの組み合わせで構成され、前記第一フレーム及び前記第二フレームは、それぞれ当該両フレーム間で互いに係合可能な係合部を有し、前記第二側面上及び前記第三側面上において前記各係合部で互いに係合することにより、前記枠状をなす構成とすることもできる。
【0012】
また、前記素電池は、前記第一側面に平行な第四側面を有し、前記第一フレームは、前記第一側面上に対応する本体部と、前記第二側面上及び前記第三側面上にそれぞれ対応する2本の第一腕部を有し、前記第二フレームは、前記第四側面上に対応する本体部と、前記第二側面上及び前記第三側面上にそれぞれ対応する2本の第二腕部を有し、前記各第一腕部及び前記各第二腕部に前記係合部が配設されている構成とすることもできる。
【0013】
また、前記両フレーム間で互いに係合可能な係合部は、一方が突出部を有し、他方が前記突出部と嵌合可能な凹部を有する構成であり
、係合状態の前記各係合部が前記外装ラベルで被覆されている構成とすることもできる。
また、前記ホルダーと前記第一フレームは、互いの係合により固定可能な固定部を有し、前記ホルダーの少なくとも前記一対のリブ及び前記第一フレームとが当接し、且つ、前記各固定部による固定によって、前記第一フレームと前記ホルダーとが固定される構成とすることもできる。
【0014】
また、前記素電池はその前記外周において、前記第一側面の長手方向一端側に隣接する第二側面、他端側に隣接する第三側面をそれぞれ有し、前記第二側面には外部に突出する電極端子が設けられ、前記ホルダーは、前記第一側面に対応する本体部と、当該本体部より直角に延長され、前記第二側面に対応する延長部とを有し、前記延長部には、前記電極端子を露出させる露出孔と、
固定リブが設けられ、前記第二フレームには前記
固定リブを受け入れ可能な受け入れ部が設けられ、前記
固定リブが前記受け入れ部に挿入されることで、前記ホルダーと前記第二フレームとが固定される構成とすることもできる。
【0015】
ここで前記素電池はリチウムイオン電池とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成を有する、本発明の請求項1記載の電池パックでは、前記ホルダーが、前記各リード板をその各両サイドから前記第一側面の長手方向に沿って案内する一対のリブを1対以上有している。ここで、前記一対のリブと前記リード板の間には間隙が存在し、当該間隙において前記各リード板及び前記回路基板が移動可能に配される。このため製造誤差により外部接続端子が回路基板の本体と位置ずれを生じていても、前記移動可能範囲内で回路基板を移動させることで第一フレームの露出窓に外部接続端子を適切に挿通でき、電池パックを良好に製造できる。
【0017】
また、完成後の電池パックにおいても、前記窓部に挿通された前記外部接続端子が、当該窓部の内部で移動可能に配されているため、当該電池パックを携帯電話機等の給電対象機器に装着する際、外部接続端子が位置ずれを生じていても正しい位置に当該端子を移動させて装着できる。このように本発明によれば、製造時の歩留まりを改善し、良好に電池パックを製造できるほか、電池パックの給電対象機器への装着性の向上を図ることも可能である。
【0018】
このように本発明によれば、外部接続端子と外装ケースの窓部との位置合わせを適切に行えるため、例えばコの字型の2つのフレームを扁平直方体状の素電池に対し、その側面方向から互いに組み合わせる、いわゆるダブルフレーム構造(後述する
図2を参照)の外装ケースを適用する場合にも、良好な歩留まりで電池パックを製造することが可能となる。このようなダブルフレーム構造の外装ケースを良好に構成することで外装ケース構成時の超音波溶着を不要にでき、生産コストの低減を図り、軽量化・薄型化及び小型化を図った電池パックを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の各実施の形態を説明する。なお、当然ながら本発明は以下の各構成に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
<実施の形態1>
<電池パック1の構成>
図1は本発明の実施の形態1に係る電池パック1の外観図である。
【0021】
図1に示すようにパック電池1は、X方向を長手方向、Y方向を幅方向、Z方向を厚み方向とする、扁平な直方体状の外観形状を有し、XY平面に沿って2つの主面を有している。パック電池1の紙面手前側側面(第一フレーム7の上面部7a)には、窓部701を通してコネクター41が露出している。パック電池1の外周には、前記2つの主面を含む周囲にわたり外装ラベル9が貼着されている。当該電池パック1は、給電対象機器として携帯電話機を想定している。
【0022】
電池サイズ例としては、X方向長約47mm、Y方向長約38mm、Z方向厚み約5mmとしているが、これはもちろん例示にすぎず、これ以外のサイズ設定も可能である。
<電池パック1の内部構成>
図2は、外装ラベル9を省略した電池パック1の組図である。
図3は、ホルダー3、保護回路基板4、第一フレーム7等の配置を示す組立図である。
図4は第一フレーム7を省略した電池パック1の保護回路基板4周辺の図であり、
図5は素電池2の内部構造を省略した電池パック1の断面図である。
【0023】
まず
図2に示すように、パック電池1は、素電池2を主な構成要素とし、素電池2に対してホルダー3、保護回路基板4、PTC素子6等が配され、これらが枠状の外装ケース(第一フレーム7、第二フレーム8)に収納されて構成される。
素電池2は、直方体状の扁平な角型の有底外装缶20の内部に、正負両極板をセパレータを介して積層した電極体(不図示)と、これに含浸させる電解液が収納され、外装缶20の開口部に封口板2b(素電池2の第二側面)を嵌合した状態で、封口板2bの周縁を外装缶20の開口部とレーザー溶接し、内部封止されてなる。
【0024】
封口板2bの中央部には、前記負極板と電気接続された負極端子21(
図3、5参照)が配される。一方、前記負極板は外装缶20の内部底面と電気接続され、外装缶20の底面2c(素電池2の第三側面)が正極端子となっている。封口板2bには、さらに不図示のガス排出弁が配設される。
素電池2としては、一例として充電容量に優れる角型リチウムイオン二次電池を利用している。素電池2はこの種類に限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等、その他の二次電池を使用できる。
【0025】
なお、「直方体」とは、数学的に厳密ではなく、多少の曲面を有するものも含むものとする。
保護回路基板4は、ガラスやエポキシ樹脂等を含むコンポジット材料からなる短冊状の基板本体40に対し、各種電気素子とコネクター41が実装されて構成される。そして、素電池2の長手方向に沿った第一側面2aの上面に対して基板本体40の主面が平行になるように、第一側面2a近傍に配置される。保護回路基板4の上面には、コネクター41及びテストポイント用端子42が所定位置に配置され、コネクター41は第一フレーム7の窓部(端子窓)701を介して外部に露出される。
【0026】
図4(a)に示すように、コネクター41は、ここでは3つの開口部402の内部に金属端子401が配設されてなり、当該コネクター41に接続される外部給電機器に対して電力供給を行う端子として構成されている。
保護回路基板4の下面には、素電池2の長手(X)方向に沿った両端部において、図示しない導電ランドが形成され、
図3に示すように前記各導電ランドに対し、リード板5a、6aがそれぞれシリーズスポット溶接で電気接続されている。
【0027】
PTC素子6は、PTC素子本体6bに対し、リード板6a、6cが電気接続されてなり、パック電池1の充放電時において、万一、素電池2が過度に温度上昇した際に通電を遮断する。電池パック1において、PTC素子6はリード板6aにおいて保護回路基板4と電気接続され、リード板6cにおいて素電池2の負極端子21と電気接続される。
なお、電池パック1に配設する安全素子はPTC素子6のみに限定されず、これ以外の安全素子を用いてもよい。例えばNTC(Negative Temperature Coefficient)素子や温度ヒューズ素子などの感熱素子、さらには他の電池制御に用いられる種々の電気素子が挙げられる。
【0028】
リード板5a、6a、6cは、いずれもニッケル板(NiP)等の導電性材料で構成される。
一方、リード板5bは、通電性及び溶接特性に優れる板状の金属材料(Ni−Alクラッド材)からなる。ここではAl面が素電池2側に接続され、Ni面がリード板5aと接続される。
【0029】
ホルダー3はPC等の樹脂材料からなる絶縁部材であり、
図3に示すように、素電池2の第一側面2aを覆う長尺状の本体部3aと、本体部3aから延長されて第二側面(封口板2b)を覆う延長部3bを有し、全体としてL字型の外観形状を有する。本体部3aの表面には平面部36、33、31c、と、外方に突出する一対のリブが、リード板5a、6a、6cの案内リブとして複数対にわたり形成されている(31aと31b、32aと32b、34aと34b)。なお、
図3中のリブ35a、35bは、31aと31b、32aと32bと共に各頂部において保護回路基板4を支持する載置用リブである。平面部36はリブ35a、35bに支持された保護回路基板4の背面側と対向するように配される。
【0030】
ここでリブ31aと31b、32aと32b、34aと34bは、本発明の主たる特徴の一つであり、ホルダー3上においてリード板5a、6a、6cをスライド自在に案内するために設けられる。以下、この特徴を
図4等を用いて説明する。
図4(a)は第一フレーム7を省略した、ホルダー3の本体部3a周辺の電池パック1の上面図を示し、
図4(b)はリブ34a、34bとリード板6c周辺の拡大図、
図4(c)はリブ31a、31bとリード板5a周辺の拡大図を示す。
【0031】
リード板5a、6a、6cは、ホルダー3及び第一フレーム7のいずれにも固定されていない。リード板5a、6a、6cの各両サイドは一対のリブ31aと31b、32aと32b、34aと34bのいずれかによってX方向に案内され、当該各一対のリブ31aと31b、32aと32b、34aと34bの間における平面部31c、32c、33に沿って配されている。
【0032】
ここでZ方向に沿った一対のリブの間距離W
1、リード板5a、6cの幅W
2の間には、
図4(b)、(c)に示すように、W
1>W
2の関係が成立する。また、リード板6aと一対のリブ32a、32bの間にもW
1>W
2の関係が成立している。このようにリード板5a、6a、6cの幅W
2は、一対のリブ(31aと31b、32aと32b、34aと34b)の間距離W
2よりも狭いため、リード板5a、6a、6cはW
1−W
2の範囲内でZ方向にスライド自在である。
【0033】
さらに、
図4(a)に示すように、第一側面2a上において連続的に接続されたリード板5a、保護回路基板4、リード板6a、PTC素子6b、リード板6cの合計のX方向長L
2と、第二側面2aのX方向長L
1との間には、L
2>L
1の関係が成立している。
ここでリード板5aは、リード板(Ni−Alクラッド材)5bを介して素電池2の底面部2cと電気接続され、リード板6cは素電池2の負極端子21と電気接続されているので、これらの各接続部分を支点とし、リード板5a、6a、6cが素電池2の第一側面2a付近で適度に撓み(フレキシブル)性を発揮する。これにより、少なくとも第一フレーム7を素電池2側に装着する前の段階では、保護回路基板4はX方向及びZ方向の双方に一定範囲内(X方向にL
2−L
1の範囲内、Z方向にW
1−W
2の範囲内)でスライド自在である。従って電池パック1の製造工程において、たとえ製造時において、基板本体40に対するコネクター41の実装位置にずれが生じても、上記リード板5a、6a、6cの撓み性を利用して、コネクター41を第一フレーム7の窓部701の位置まで誘導し、適切に挿通させることができる。これは、保護回路基板をホルダーに固定する従来構成では得られない効果である。なお、この効果を良好に得るための目安として、本実施の形態のサイズの電池パック1では、L
2をL
1に対して約1mm程度大きく設定すればよい。
【0034】
ホルダー3の延長部3bには、素電池2の負極端子21と挿入可能な形状を持つ露出窓3cと、Y方向末端に第二フレーム8のリブ挿入孔(受け入れ部)83に挿通される固定リブ37が形成される(
図5参照)。露出窓3cは負極端子21と嵌合し、固定リブ37が第二フレーム8側に固定されることで、パック電池1内部におけるホルダー3の位置決めが良好になされる。
【0035】
再び
図2、3に戻って、外装ケースは、PC等のエンジニアリングプラスチックで射出成形された樹脂製品からなり、第一フレーム7、第二フレーム8の組み合わせで構成される。
図2、
図3に示すように、第一フレーム7は、X方向を長手とする長尺状の本体部7aと、本体部7aのX方向両端からY方向に延長された2本の第一腕部7b、7cで構成され、全体としてコの字状の外観形状を有する。
【0036】
本体部7aは保護回路基板4及びリード板5a、PTC素子6を覆うように設けられ、上面にコネクター41を外部露出させるための窓部701が設けられている。ここで
図5の断面図に示すように、窓部701は、少なくともX方向サイズがコネクター41のX方向サイズよりも若干大きく(約1mm程度)形成され、コネクター41と窓部701との間に間隙S
1、S
2が存在するため、窓部701の内部においてコネクター41がX方向にスライド自在に配される。これにより、製造誤差でコネクター41の実装位置が基板本体40に対して位置ずれを生じている場合でも、電池パック1の給電対象機器側の接続位置に対してコネクター41を正しい位置に誘導でき、良好に電池パック1を給電対象機器に装着できる。なお、コネクター41をZ方向にもスライド自在にしたい場合は、窓部701のZ方向サイズについても同方向におけるコネクター41のサイズより大きく調節すればよい。
【0037】
本体部7aにおける窓部701の横には、2個の丸窓702が設けられるが、これは保護回路基板4のテストポイント端子42、42を露出させるためのものであり、電池パック1の完成時には水没判定ラベル7eで覆われる。さらに、本体部7aのホルダー3の側面に対応する部分には、ホルダー3側の4つの固定ツメ3dとそれぞれ係合する固定孔7dが設けられている。なお、本体部7aの内部には、
図5の断面図(素電池2の内部構造は省略している)に示すように、突起部72、73が設けられ、それぞれホルダー3のリブ31a、31b、32a、32bと当接し、ホルダー3を固定している。
【0038】
第一腕部7b、7cは、第二フレーム8の第二腕部8b、8cとともに、それぞれ素電池2の第二側面(封口板2b)、第三側面(底面部2c)を被覆するように配される。各第二腕部8b、8cのY方向下流側端部には、第二フレーム8との係合に用いるための係合部(係合ツメ70、71)が設けられる。
一方の第二フレーム8は、
図2に示すように、第一フレーム7と共通構造を有する。すなわちX方向を長手とする長尺状の本体部8aと、本体部のX方向両端から逆Y方向に延長された2本の第二腕部8b、8cで構成され、第一フレーム7と同様にコの字状の外観形状を有している。第二腕部8b、8cの先端には第一フレーム7の係合ツメ70、71と係合可能な係合部(係合孔80、81)が設けられる。
【0039】
なお、第一フレーム7と第二フレーム8において互いに係合可能な係合部の構成は、上記係合ツメ(突出部)と係合孔(突出部と嵌合可能な凹部)の関係に限定されない。従って、互いに係合ツメ同士を係合させるようにしてもよいし、ダボとダボ孔の組み合わせとしてもよい。また、第一フレーム7の係合部を凹部(係合孔80、81と同様の構成)とし、第二フレーム8の係合部を突出部(係合ツメ70、71と同様の構成)としてもよい。
【0040】
ここで
図5の断面図に示すように、第二腕部8bにはリブ挿入孔83が設けられ、ホルダー3の延長部3bに設けられた固定リブ37が挿通されるようになっている。
なお、本体部7aの内部には、素電池2の第四側面2dと当接して当該素電池2を支持する位置決めリブ82が複数にわたり形成される。
第一フレーム7及び第二フレーム8は、ホルダー3、保護回路基板4及びPCT素子6が組みつけられた素電池2に対し、それぞれY方向に沿った方向で組み合わされる。このとき、第一腕部7b、7cの係合ツメ部70、71が、第二腕部8b、8cの係合孔80、81にそれぞれ係合する。これにより、いわゆるダブルフレーム構造の枠状の外装ケースが形成される。
【0041】
このとき、第一フレーム7はコネクター41付近を位置合わせの中心として素電池2側に装着する必要があり、そのためコネクター41と窓部701の位置合わせは重要である。ここで本発明では、前述のようにコネクター41が窓部701に対して適切に挿通されるため、第一フレーム7を良好に素電池2側に装着でき、第一フレーム7を第二フレーム8と係合させて外装ケースを構成できる。
【0042】
外装ラベル9は、主として電池パック1における素電池2の2つの主面と、第二側面2b、第三側面2c、及び、第一フレーム7、第二フレーム8の各第一腕部7b、7c、第二腕部8b、8cを被覆し、外部との絶縁を図る被覆材であり、PET等の樹脂フィルムで構成される。特に外装ラベル9は、係合された第一フレーム7の係合部70、71と第二フレーム8の係合部80、81を外部より被覆し、これらの係合状態が外れないように保持する役目もなす。
【0043】
以上の構成を有する電池パック1は、第一フレーム7及び第二フレーム8の組み合わせからなる、いわゆるダブルフレーム構造の枠状の外装ケースを有しており、従来タイプに比べて良好な薄型化・軽量化、小型化が図られている。また、第一フレーム7と第二フレーム8の係合には係合部(70、71、80、81)を用いているため、超音波溶着が不要であり、外装ケース内部へのモールディング樹脂の注入やコネクター41のシーリングも不要であるため、生産コストの適切な低減も期待できる。
【0044】
<電池パック1の製造方法>
次に、電池パック1の製造方法について例示する。
(素電池加工準備)
先ず、
図2、3に示すように、扁平直方体の外観形状を有する素電池2を準備する。素電池2は、例えばリチウムイオン電池とし、有底筒状の外装缶20の内部に正負極板およびセパレータと、電解液等を収納し、負極板を集電体を介して封口板2bの負極端子21と電気接続する。一方、正極板は集電体を介して外装缶20の内部底面と電気接続し、第三側面(底面部)2cを正極端子とする。その後、外装缶20の開口部を前記封口板2bでレーザー封口する。素電池2の第三側面(底面部)2cに対し、リード板(Ni−Alクラッド材)5bをAl面が当接するように配し、レーザー溶接で強固に溶接する。
【0045】
(保護回路基板組み立て準備)
次に保護回路基板4に対し、リード板5a、PCT素子6のリード板6aをそれぞれシリーズスポット溶接にて電気接続する。
(電池組立加工)
素電池2の第一側面2a、第二側面2bに対してホルダー3を装着する。延長部3bの露出孔3cに第二側面2bの負極端子21を露出するように配置する。
【0046】
ホルダー3の上面に、前記組立した保護回路基板4及びPTC素子6を載置する。リード板5a、6cを直角に折り曲げ、第二側面2b、第三側面2cに沿わせる。このとき、第一側面2aの長さL
1に対して保護回路基板4及びリード板5a、6c、PCT素子本体6bのX方向合計長さL
2がL
2>L
1(但し約1mm程度)となるように調節する。
リード板5aを、リード板5bのNi面にシリーズスポット溶接で電気接続する。一方、第二側面2bの負極端子21に対し、リード板6cをシリーズスポット溶接にて電気接続する。
【0047】
このシリーズスポット溶接によるリード板5a、6cの電気接続により、ホルダー3はリード板5a、6cに挟まれた状態で係合され、素電池2側に対して固定される。
(外装ケース組立加工)
次に、素電池2に対し、その第四側面2dの側から逆Y方向に沿って第二フレーム8を装着する。一方、保護回路基板4の上面側からY方向に沿って、第一フレーム7を装着する。このとき第一フレーム7の4つの固定孔7dをそれぞれホルダー3の固定ツメ3dにはめ込み、互いに係合させることで第一フレーム7に対してホルダー3を固定する。
【0048】
次に第一フレーム7の窓部701に保護回路基板4のコネクター41を挿通して外部露出させ。ここで本発明では、リード板5a、6cがホルダー3に固定されておらず、コネクター41がXZ各方向に対して一定範囲(L
2−L
1、W
1−W
2の各範囲)でスライド自在であるため、たとえコネクター41が基板本体40に対してずれた位置に実装されていたとしても、コネクター41を案内して窓部701に適切に挿通させることができる。
【0049】
その後は第一フレーム7の各第一腕部7b、7cにおける係合ツメ70、71を第二フレーム8の各第二腕部8b、8cにおける係合孔80、81にそれぞれ係合させ、枠状の外装ケースを構成する。
(ラベル貼付加工)
次に、素電池2の外周に対して外装ラベル9を貼着する。このとき、第一フレーム7の係合ツメ70、71、第二フレーム8の係合孔80、81による係合部分についても外装ラベル9で確実に被覆する。
【0050】
一方、第一フレーム7の本体部7aの丸窓702に対し、水没判定ラベル7eを貼着する。
以上で電池パック1が完成する。
<その他の事項>
上記実施の形態では、電池パック1に含まれる素電池10の数を一つとしたが、二つ以上の素電池が含まれる構成とすることもできる。
【0051】
さらに、外装ラベルに関しては、必ずしも一枚で構成する必要はなく、2枚以上のラベルを組み合わせて構成することもできる。