特許第5694057号(P5694057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694057
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20150312BHJP
【FI】
   H01R12/72
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-122134(P2011-122134)
(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公開番号】特開2012-252780(P2012-252780A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 嘉友
(72)【発明者】
【氏名】寺島 利浩
(72)【発明者】
【氏名】松本光大
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−026975(JP,U)
【文献】 特開平08−250167(JP,A)
【文献】 特開2009−117218(JP,A)
【文献】 特開平04−174979(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0075008(US,A1)
【文献】 米国特許第06652294(US,B1)
【文献】 特開2007−141532(JP,A)
【文献】 実開平1−160679(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の実装面上に配置され、前記実装面と平行な所定の嵌合方向に沿って相手側コネクタのプラグが嵌合される電気コネクタであって、
前記プラグが嵌合される嵌合空間を形成するハウジングと、
前記ハウジングに保持される線状又は軸状の第1コンタクトと、
前記ハウジングに保持される第2コンタクトと、
を備え、
前記第1コンタクトは、前記ハウジングに固定される第1ハウジング側固定部と、前記嵌合空間に配置され前記相手側コネクタに電気的に接続可能な第1接続部と、当該第1接続部に対して前記嵌合方向側に配置され前記回路基板に実装可能な第1基板側実装部と、を含み、
前記第2コンタクトは、前記ハウジングに固定される第2ハウジング側固定部と、前記実装面と直交する高さ方向に関して、前記第1接続部に対して前記実装面側に配置され、前記相手側コネクタに電気的に接続可能な第2接続部と、当該第2接続部に対して前記嵌合方向と反対側に配置され前記回路基板に実装可能な第2基板側実装部と、を含み、
前記第2コンタクトは、平板状に形成され且つ前記実装面に対して垂直に起立した姿勢に配置されて前記嵌合方向に沿って延びており、
前記嵌合方向の上流側から下流側に沿って、前記第2基板側実装部、前記第2接続部、および、前記第2ハウジング側固定部の順に配置され、
前記第2コンタクトは、前記第2基板側実装部に隣接し前記ハウジングのうち前記実装面と対向する外側面を受ける係止部をさらに含み、
前記第2接続部は、前記嵌合方向とは反対方向側の先端部において、前記相手側コネクタのコンタクトが前記ハウジング内に進入することを案内するための先細り形状部を有していることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタであって、
前記第1コンタクトは、断面が一様な形状の線材の一部を分離したものを用いて形成されていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気コネクタであって、
前記第1コンタクトは、前記第1接続部と前記第1基板側実装部との間に配置される第1中間部を有し、
前記第1中間部は、一部が屈曲した形状を有し、前記第1接続部側から前記第1基板側実装部側に向かって前記高さ方向の位置が変化しており、前記嵌合方向と直交する前記ハウジングの幅方向から見て、当該第1中間部の少なくとも一部の位置が、前記ハウジングの位置と重なっていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気コネクタであって、
前記第2コンタクトは、金属材料をプレス加工することにより形成されていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気コネクタであって、
前記ハウジングは、前記嵌合方向とは反対側の端部に解放され前記第2コンタクトの一部が前記嵌合方向に沿って挿通されるスリットと、当該スリットに対して前記嵌合方向側に配置され、前記第2ハウジング側固定部を固定する第2コンタクト用固定部と、を有することを特徴とする、電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、回路基板の電気回路と電線とを接続する、ボード・トゥ・ワイヤタイプの電気コネクタが知られている。特許文献1には、電線に接続された雌コネクタと、この雌コネクタ対して着脱可能に構成され、回路基板に固定された雄コネクタとが開示されている。この雄コネクタは、ハウジングと、針状の雄端子金具とを含んでいる。ハウジングは、横向き(回路基板の表面と平行な方向)に開口した箱型形状を有している。ハウジングのうち、開口が形成されている部分と反対側の壁(上下に延びる縦壁)には、多数の孔が形成されている。これらの孔は、ハウジングにおいて上下2段に形成されており、ハウジングの幅方向(回路基板の表面と平行な方向)に複数並んでいる。各孔に、針状の雄端子金具が挿通されている。
【0003】
各雄端子金具の一端側は、ハウジング内に配置されており、ハウジングに挿入される雌コネクタの雌端子金具に接触するように構成されている。各雄端子金具の他端側は、ハウジングの外側に配置されており、回路基板の表面に固定される固定部を構成している。このような構成により、雄端子金具は、ハウジング内において上下2段に配置されており、ハウジングの外側では、各雄端子金具が横一列に並んで回路基板に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−197035号公報([0011]段落、図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、全ての雄端子金具は、ハウジングから同じ方向に突出している。よって、ハウジングは、ハウジングの1辺側でのみ、雄端子金具を介して回路基板に固定されている。このような固定構造においては、雄コネクタに雌コネクタを挿入する際や、雄コネクタから雌コネクタを引き抜く際、雄コネクタの各部に力が作用する。この力は、各雄端子金具のうちの回路基板との固定部、及び回路基板で受けられ、これにより、ハウジングの変位が抑制される。
【0006】
しかしながら、ハウジングが、雄端子金具を用いて、ハウジングの1面側でのみ回路基板に固定される構成では、ハウジングの変位を抑制するのに十分ではない。具体的には、雄コネクタと雌コネクタとを着脱させるとき等に作用する力によって、雄端子金具のうちの回路基板側の固定部を支点として雄端子金具が変形し、雄端子金具に連結されたハウジングが変位するおそれがある。
【0007】
よって、ハウジングに大きな力が作用したときでもハウジングが回路基板に対して変位することを抑制するためには、ハウジングに、雄端子金具が回路基板に固定されているのと反対側の位置に補強金具を固定する必要がある。補強金具は、回路基板に固定される。補強金具を設けると、各端子金具と補強金具との協働によって、ハウジングを強固に回路基板に固定できる。しかしながら、この場合、補強金具が必要であり、部品コストの増加や、端子金具とは別に補強金具をハウジングに組み付ける工程の増加を招く。このため、部品コストの増大、及び組み立て効率の低下に伴う組立コストの増大を通じて、コネクタの製造コストが増大してしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ハウジングが回路基板に対して変位することを確実に抑制でき、且つ製造コストの安価な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電気コネクタの端子(コンタクト)は、上記した針状のものに限らず、金属板をプレス加工した板金のものも存在する。しかしながら、板金のコンタクトは剛性が高いため、容易に変形できない。このため、ハウジングに対する板金のコンタクトの取り付け位置が正規の位置からずれている場合に、ハウジングに相手側コネクタを挿入しようとすると、相手側コネクタと接触した板金のコンタクトは、撓むことができず、その結果、電気コネクタに相手側コネクタを接続できないおそれがある。このため、板金のコンタクトを用いる場合は、コンタクトを、ハウジングに対して精度よく位置決めした状態でハウジングに組み付ける必要がある。したがって、コンタクトをハウジングに組み付けるのに時間がかかるので、電気コネクタの製造効率が悪い。その結果、電気コネクタの製造コストが高くなってしまう。特に、ハウジングの上段側に配置される板金のコンタクトは、上下に長い形状である結果、ハウジングとの間の位置ずれが大きくなりやすく、この位置ずれに起因する相手側コネクタとの接触不良が生じ易くなってしまう。その上、電気コネクタの端子を全て板金部材とすると、製造コストが高くついてしまう。本願発明者は、鋭意研究の結果、上記の知見を得て、本願発明を想到するに至った。
【0010】
上記目的を達成するための第1発明に係る電気コネクタは、回路基板の実装面上に配置され、前記実装面と平行な所定の嵌合方向に沿って相手側コネクタのプラグが嵌合される電気コネクタであって、前記プラグが嵌合される嵌合空間を形成するハウジングと、前記ハウジングに保持される線状又は軸状の第1コンタクトと、前記ハウジングに保持される第2コンタクトと、を備えている。そして、前記第1コンタクトは、前記ハウジングに固定される第1ハウジング側固定部と、前記嵌合空間に配置され前記相手側コネクタに電気的に接続可能な第1接続部と、当該第1接続部に対して前記嵌合方向側に配置され前記回路基板に実装可能な第1基板側実装部と、を含んでいる。さらに、前記第2コンタクトは、前記ハウジングに固定される第2ハウジング側固定部と、前記実装面と直交する高さ方向に関して、前記第1接続部に対して前記実装面側に配置され、前記相手側コネクタに電気的に接続可能な第2接続部と、当該第2接続部に対して前記嵌合方向と反対側に配置され前記回路基板に実装可能な第2基板側実装部と、を含み、前記第2コンタクトは、平板状に形成され且つ前記実装面に対して垂直に起立した姿勢に配置されて前記嵌合方向に沿って延びており、前記嵌合方向の上流側から下流側に沿って、前記第2基板側実装部、前記第2接続部、および、前記第2ハウジング側固定部の順に配置され、前記第2コンタクトは、前記第2基板側実装部に隣接し前記ハウジングのうち前記実装面と対向する外側面を受ける係止部をさらに含み、前記第2接続部は、前記嵌合方向とは反対方向側の先端部において、前記相手側コネクタのコンタクトが前記ハウジング内に進入することを案内するための先細り形状部を有している。
【0011】
この発明によると、嵌合空間内において、第2コンタクトと比べて回路基板からの距離が長い上段側に配置された第1コンタクトは、線状又は軸状に形成されている結果、撓み易い。このため、第1コンタクトは、プラグとの接触に際して、プラグとの接触によって撓むことで、プラグに対して位置合わせすることができる。このため、第1コンタクトを、プラグの導電部材に対して、確実に接触させて電気的な接続を達成できる。その結果、電気コネクタの製造時において、第1コンタクトをハウジングに組み付ける際に、第1コンタクトをハウジングに対して厳密に位置合わせする作業が必要ない。よって、ハウジングへの第1コンタクトの取り付け作業の速度(効率)を高くできる。これにより、単位時間当たりの電気コネクタの組み立て個数を多くできるので、電気コネクタの製造コストを低減できる。また、線状の第1コンタクトは、高価なプレス成形でなくても線材等によって安価に製造できるので、製造コストをさらに削減できる。また、第1基板側実装部と第2基板側実装部とを、嵌合空間に対して嵌合方向の両側に配置している。これにより、回路基板は、第1及び第2コンタクトを介してハウジングを嵌合方向の両側から支持できる。よって、電気コネクタと回路基板との結合強度を高くできる。例えば、嵌合方向と平行な力が、ハウジングを回路基板に対して倒すような力としてハウジングに作用することがある。このとき、ハウジングが回路基板上で倒れることを、第1及び第2基板側実装部の協働によって、より確実に抑制できる。しかも、ハウジングの上記の倒れを防ぐための部材(補強金具等)を別途設ける必要がなく、部品点数の低減を通じて製造コストを更に低減できる。したがって、本発明によると、ハウジングが回路基板に対して変位することを確実に抑制でき、且つ製造コストの安価な電気コネクタを提供することができる。
【0012】
第2発明に係る電気コネクタは、第1発明の電気コネクタにおいて、前記第1コンタクトは、断面が一様な形状の線材の一部を分離したものを用いて形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、第1コンタクトは線材を基に形成されているので、製造コストを安価にできる。また、線材であれば細くできるので、嵌合方向と平行な方向に関して第1コンタクトをより短くできる。これにより、第1コンタクトとハウジングとが全体として嵌合方向と平行な方向に占める長さを短くできる。よって、電気コネクタの小型化を達成できる。
【0014】
第3発明に係る電気コネクタは、第1発明又は第2発明の電気コネクタであって、前記第1コンタクトは、前記第1接続部と前記第1基板側実装部との間に配置される第1中間部を有し、前記第1中間部は、一部が屈曲した形状を有し、前記第1接続部側から前記第1基板側実装部側に向かって前記高さ方向の位置が変化しており、前記嵌合方向と直交する前記ハウジングの幅方向から見て、当該第1中間部の少なくとも一部の位置が、前記ハウジングの位置と重なっていることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、第2基板側実装部と第1基板側実装部とは、嵌合方向に離隔して配置されている。これにより、第2基板側実装部は、第1基板側実装部の配置の邪魔にならずに済む。よって、第1基板側実装部を、ハウジングのより近傍に配置できる。よって、第1中間部も、ハウジングの近傍に配置できる。ハウジングの近傍に第1中間部及び第1基板側実装部を配置することで、第1及び第2基板側実装部の協働による電気コネクタの倒れ防止効果を高めつつ、嵌合方向と平行な方向に関して、電気コネクタを小型化できるという、異なる効果を相乗して発揮できる。
【0016】
第4発明に係る電気コネクタは、第1乃至第3発明のいずれかの電気コネクタにおいて、前記第2コンタクトは、金属材料をプレス加工することにより形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明によると、プレス加工によって形成された第2コンタクトは、断面2次モーメントを大きくできるので、第1コンタクトと比べて剛性が高く、回路基板との結合強度を高くできる。また、第2コンタクトは、回路基板からの高さが低いので、小型である。このため、ハウジングに対する第2コンタクトの位置が正規の位置から少々ずれていても、ハウジングへの相手側コネクタのプラグの挿入を、第2コンタクトが邪魔することを抑制できる。よって、電気コネクタの組み立ての際に、第2コンタクトをハウジングに対して厳密に位置決めする手間(時間)が不要であり、コンタクトを高速でハウジングに組み付けることができる。その結果、電気コネクタの製造効率を高めて電気コネクタの製造コストをより低減できる。
【0018】
第5発明に係る電気コネクタは、第1乃至第4発明のいずれかの電気コネクタにおいて、前記ハウジングは、前記嵌合方向とは反対側の端部に解放され前記第2コンタクトの一部が前記嵌合方向に沿って挿通されるスリットと、当該スリットに対して前記嵌合方向側に配置され、前記第2ハウジング側固定部を固定する第2コンタクト用固定部と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明によると、スリットに第2コンタクトを挿通することで、第2コンタクトをハウジングの第2コンタクト用固定部に向けて案内できる。これにより、第2コンタクトの第2ハウジング側固定部は、ハウジングに対する正確な位置決め作業を省略されつつ、ハウジングに正確な位置で固定される。その結果、線状の第1コンタクトと比べてハウジングへの固定速度を高め難い板状の第2コンタクトについても、高速でハウジングに固定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、ハウジングが回路基板に対して変位することを確実に抑制でき、且つ製造コストの安価な電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係る電気的接続装置を示す斜視図である。
図2】(a)は、電気コネクタの平面図であり、(b)は、電気コネクタの底面図である。
図3】電気コネクタを嵌合方向の上流側から見た正面図及び回路基板の断面図である。
図4図3のIV−IV線に沿う電気コネクタの断面図、相手側コネクタの側面図、及び回路基板の断面図であり、電気コネクタを幅方向から見た状態を示している。
図5】電気コネクタと相手側コネクタとが結合された状態を示す断面図である。
図6】(a)は、相手側コネクタのうち、一部を省略して示す正面図であり、相手側コネクタを引抜方向の上流側から見た状態を示しており、(b)は、相手側コネクタの底面図であり、高さ方向から見た状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、電線と回路基板とを電気的に接続する、ボード・トゥ・ワイヤタイプの電気コネクタとして、種々の用途に広く適用することができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気的接続装置1を示す斜視図である。電気的接続装置1は、回路基板2と、第1及び第2被覆電線3,4と、を電気的に接続するために設けられている。回路基板2は、例えば、液晶表示装置に備えられる回路基板である。回路基板2は、平板状に形成されており、一側面としての実装面2aに、複数の導電部2b及び複数の導電部2cが形成されている。各導電部2b,2cは、金属材料によって形成されており、図示しない半導体等に電気的に接続されている。
【0024】
電気的接続装置1は、電気コネクタ9と、この電気コネクタ9に接続される相手側コネクタ29とを備えている。
【0025】
電気コネクタ9は、回路基板2の実装面2a上に実装されており、回路基板2の複数の導電部2b及び複数の導電部2cに電気的に接続されている。相手側コネクタ29は、複数の第1被覆電線3の電線及び複数の第2被覆電線4の電線に電気的に接続されており、且つ、電気コネクタ9に対して着脱可能に構成されている。
【0026】
相手側コネクタ29を電気コネクタ9に接続する際には、相手側コネクタ29を、電気コネクタ9に対して、実装面2aと平行な所定の嵌合方向D1に向かい合わせる。そして、相手側コネクタ29を、嵌合方向D1に沿って電気コネクタ9側に変位させる。これにより、相手側コネクタ29の後述するプラグ39は、電気コネクタ9に嵌合し、これらのコネクタ9,29間で電気的な接続、及び機械的な接続が達成される。
【0027】
一方、相手側コネクタ29を電気コネクタ9から取り外す際には、相手側コネクタ29を、電気コネクタ9に対して、嵌合方向D1とは反対の方向である引抜方向D2に沿って変位させる。これにより、相手側コネクタ29は、電気コネクタ9から取り外され、これらのコネクタ9,29間での電気的な接続、及び機械的な接続が解除される。
【0028】
次に、電気コネクタ9の詳細を説明する。尚、以下では、電気コネクタ9が実装面2aに実装された状態を基準として説明する。電気コネクタ9は、多極(本実施形態では、2×10=20極)のコネクタであり、ハウジング10と、複数の第1コンタクト11と、複数の第2コンタクト12と、を含んでいる。ハウジング10は、複数の第1コンタクト11及び複数の第2コンタクト12を保持する保持部材として設けられている。また、ハウジング10は、相手側コネクタ29の後述するプラグ39が嵌合される嵌合空間13を形成するように構成されている。
【0029】
ハウジング10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されており、実装面2a上に配置されている。ハウジング10は、引抜方向D2に向けて解放された箱型形状に形成されており、幅方向X1、奥行き方向Y1、及び高さ方向Z1に延びている。尚、奥行き方向Y1は、嵌合方向D1及び引抜方向D2と平行な方向であり、高さ方向Z1は、奥行き方向Y1に直交し且つ実装面2aに直交する方向であり、幅方向X1は、奥行き方向Y1及び高さ方向Z1の双方と直交する方向である。ハウジング10は、奥行き方向Y1及び高さ方向Z1と比べて幅方向X1に長く延びた偏平な形状に形成されている。
【0030】
図2(a)は、電気コネクタ9の平面図であり、図2(b)は、電気コネクタ9の底面図である。また、図3は、電気コネクタ9を嵌合方向D1の上流側から見た正面図及び回路基板2の断面図である。図2(b)及び図3に示すように、ハウジング10は、下壁14と、上壁15と、左右一対の側壁16,17と、奥壁18と、中壁19と、を含んでいる。
【0031】
下壁14は、幅方向X1に細長く延び、且つ奥行き方向Y1に延びる矩形状に形成されており、実装面2a上に配置されている。上壁15は、図2(a)及び図3に示すように、幅方向X1に細長く延び、且つ奥行き方向Y1に延びる矩形状に形成されており、下壁14とは高さ方向Z1に離隔して平行に配置されている。一対の側壁16,17は、高さ方向Z1に延びており、幅方向X1における上壁15及び下壁14の端部同士を接続している。
【0032】
図4は、図3のIV−IV線に沿う電気コネクタ9の断面図、及び相手側コネクタ29の一部側面図及び回路基板2の断面図であり、電気コネクタ9を幅方向X1から見た状態を示している。図3及び図4に示すように、奥壁18は、幅方向X1及び高さ方向Z1に延びている。この奥壁18は、下壁14、上壁15、及び側壁16,17のそれぞれと、奥行き方向Y1の一端(嵌合方向D1側の端部)で接続されている。これにより、奥壁18は、ハウジング10内に形成された空間としての嵌合空間13を、奥行き方向Y1の一端側から覆っている。奥壁18の外側面のうち、高さ方向Z1の中間部は、引抜方向D2側に向けて窪んだ形状とされている。
【0033】
上記の構成により、ハウジング10は、下壁14、上壁15、側壁16,17、及び奥壁18で囲まれた嵌合空間13を形成している。嵌合空間13は、幅方向X1に細長いブロック状の空間であり、嵌合方向D1に沿って変位される相手側コネクタ29のプラグ39と嵌合する嵌合空間として構成されている。ハウジング10のうち、奥壁18が設けられているのと反対側の端部には、相手側コネクタ29に向けて解放された開口部10aが形成されており、嵌合空間13内に配置された中壁19が露呈している。
【0034】
中壁19は、嵌合空間13へ向けての、相手側コネクタ29のプラグ39の挿入動作を案内する案内部材として設けられている。中壁19は、下壁14及び上壁15と略平行に配置された板状部分であり、幅方向X1に細長く延びている。幅方向X1における中壁19の両端は、側壁16,17と離隔して配置されている。また、高さ方向Z1において、中壁19は、嵌合空間13の略中央に配置されている。
【0035】
また、図2(b)及び図4に示すように、ハウジング10には、一対の保護壁20,21が形成されている。一対の保護壁20,21は、第1コンタクト11のうち、ハウジング10から突出する部分を保護するために設けられている。一対の保護壁20,21は、一対の側壁16,17から嵌合方向D1側に向けて突出しており、高さ方向Z1の長さが側壁16,17と略同じの矩形の板状に形成されている。
【0036】
第1コンタクト11は、回路基板2の導電部2bに導通可能に実装(固定)され、且つ、相手側コネクタ29の後述する第1相手側コンタクト31に接触可能な導電部材として設けられている。また、第1コンタクト11は、嵌合方向D1側(奥行き方向Y1の一端側)からハウジング10を回路基板2に実装するための第1実装部材として設けられている。第1コンタクト11は、実装面2aと平行な幅方向X1に沿って等間隔に複数(本実施形態において、10個)並んで設けられており、各第1コンタクト11がそれぞれハウジング10に保持されている。
【0037】
各第1コンタクト11の形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第1コンタクト11のうちの1つの第1コンタクト11について説明し、他の第1コンタクト11の構成についての説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、第1コンタクト11は、ハウジング10の奥壁18に対して引抜方向D2側に変位されることにより、ハウジング10に組み付けられるように構成されている。すなわち、第1コンタクト11は、ハウジング10に対して、嵌合方向D1の下流側から上流側に向けて変位されることにより、ハウジング10に組み付けられるように構成されている。
【0039】
第1コンタクト11は、線状又は軸状に形成されている。より具体的には、第1コンタクト11は、金属材料等で構成された、断面が一様な形状の線材の一部を分離したものを用いて形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第1コンタクト11の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。また、上記の線材の断面形状は、例えば、丸形状、矩形形状等の多角形形状であり、本実施形態では、矩形状に形成されている。また、第1コンタクト11の材料には曲げ加工が施されており、第1コンタクト11は、一部が屈曲(湾曲)した形状を有している。
【0040】
第1コンタクト11は、幅方向X1から見たときに滑らかに屈曲したクランク状に形成されている。より具体的には、第1コンタクト11は、嵌合方向D1の上流側から順に、嵌合方向D1に真っ直ぐ延びる部分、高さ方向Z1の位置が変化する部分、及び嵌合方向D1に真っ直ぐ延びる部分を有している。第1コンタクト11は、一端部11aと、第1接続部11bと、第1ハウジング側固定部11cと、第1中間部11dと、第1基板側実装部11eと、他端部11fと、を含んでいる。
【0041】
第1コンタクト11の一端部11aは、第1コンタクト11をハウジング10の奥壁18に挿入する際の挿入動作を容易にするために設けられている。一端部11aは、引抜方向D2に沿って進むに従い先細りにされた先鋭部分である。一端部11aは、嵌合空間13内に配置されており、ハウジング10の開口部10aの近傍に配置されている。
【0042】
第1接続部11bは、相手側コネクタ29の第1相手側コンタクト31に接触可能に(電気的に接続可能に)構成されている。第1接続部11bは、一端部11aから嵌合方向D1に沿って直線状に延びている。この第1接続部11bは、嵌合空間13内において、一端部11aとともに、ハウジング10の中壁19と上壁15との間に配置されている。第1接続部11bは、細長く延びており、第1ハウジング側固定部11cを支点にして撓み変位し易くされている。
【0043】
第1ハウジング側固定部11cは、ハウジング10に固定される固定部として設けられている。第1ハウジング側固定部11cは、第1接続部11bから嵌合方向D1に沿って直線状に延びている。この第1ハウジング側固定部11cは、奥壁18を嵌合方向D1に貫通して形成された筒状の第1固定部18aに圧入固定されている。上記の構成により、第1コンタクト11は、ハウジング10に固定されている。第1固定部18aのうち、嵌合方向D1の下流側の縁部には、面取り部が設けられている。これにより、第1固定部18aへの第1コンタクト11の挿入(一端部11aの挿入)がし易くされている。
【0044】
第1中間部11dは、高さ方向Z1の位置の異なる第1ハウジング側固定部11c(第1接続部11b)と、第1基板側実装部11eとを接続するために設けられている。第1中間部11dは、第1接続部11bと第1基板側実装部11eとの間に配置されており、且つ、ハウジング10の外部に配置されている。第1中間部11dの一端部11gは、第1ハウジング側固定部11cに接続されており、第1基板側実装部11e側に向けて屈曲(湾曲)している。第1中間部11dの途中部11hは、直線状に延びており、幅方向X1から見て、第1ハウジング側固定部11cに対して、斜めに傾斜している。また、第1中間部11dの他端部11jは、途中部11hから嵌合方向D1と平行な方向に向けて屈曲(湾曲)している。
【0045】
上記の構成により、第1中間部11dは、一部が屈曲した形状を有しており、且つ、第1接続部11b側から第1基板側実装部11eに向かって高さ方向Z1の位置が変化する構成を有している。また、第1中間部11dは、嵌合方向D1と平行な方向に関する少なくとも一部(本実施の形態では、一端部11g及び途中部11h)の位置が、ハウジング10の保護壁20,21の位置と重なっている(図4では、保護壁21は図示せず)。すなわち、嵌合方向D1と直交する幅方向X1から見て、第1中間部11dの少なくとも一部(本実施の形態では、一端部11g及び途中部11h)の位置が、ハウジング10の保護壁20,21の位置と重なっている。
【0046】
第1中間部11dの一端部11gは、ハウジング10に固定された第1ハウジング側固定部11cのすぐ近傍で且つ屈曲した形状であり、嵌合空間13の外側に配置されているため、異物と接触したときに高い応力が生じるおそれがある。このように、異物との接触によって高い応力が生じるおそれのある第1中間部11dの一端部11gを保護壁20,21で保護することにより、第1コンタクト11を確実に保護することができる。
【0047】
第1基板側実装部11eは、回路基板2に実装される実装部として設けられている。第1基板側実装部11eは、第1中間部11dの他端部11jから嵌合方向D1に沿って直線状に延びており、第1接続部11bに対して嵌合方向D1側(嵌合方向D1の下流側)に配置されている。この第1基板側実装部11eは、回路基板2の導電部2bに半田(図示せず)等を用いて固定されている。上記の構成により、第1コンタクト11は、回路基板2に固定されている。第1コンタクト11の他端部11fは、嵌合方向D1に沿って進むに従い先細りにされた先鋭形状に形成されている。
【0048】
図3及び図4を参照して、第2コンタクト12は、回路基板2の導電部2cに導通可能に実装(固定)され、且つ、相手側コネクタ29の後述する第2相手側コンタクト32に接触可能な導電部材として設けられている。
【0049】
また、第2コンタクト12は、嵌合方向D1と反対側(奥行き方向Y1の他端側)からハウジング10を回路基板2に実装するための第2実装部材として設けられている。第2コンタクト12は、実装面2aと平行な幅方向X1に沿って等間隔に複数(本実施形態において、10個)並んで設けられており、各第2コンタクト12がそれぞれハウジング10に保持されている。すなわち、複数の第2コンタクト12は、複数の第1コンタクト11が並んで配置されている方向と平行な方向に配置されている。
【0050】
これら複数の第2コンタクト12は、それぞれ、複数の第1コンタクト11とは幅方向X1に関する位置が揃えられている。尚、幅方向X1に関して第1コンタクト11と第2コンタクト12とが交互に配置されることにより、幅方向X1に関する第1コンタクト11の位置と第2コンタクト12の位置がずらされていてもよい。
【0051】
各第2コンタクト12の形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第2コンタクト12のうちの1つの第2コンタクト12について説明し、他の第2コンタクト12の構成についての説明を省略する。
【0052】
第2コンタクト12は、金属材料をプレス加工することにより形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第2コンタクト12の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。第2コンタクト12は、板状に形成されており、厚み(板厚)は、略一様である。
【0053】
第2コンタクト12は、ハウジング10に対して嵌合方向D1に沿って変位されることでハウジング10に組み付けられるように構成されている。この第2コンタクト12は、幅方向X1から見たときに第1コンタクト11と回路基板2とによって囲まれるように配置されている。第2コンタクト12は、嵌合方向D1の途中部が第2コンタクト12の他の部分と比べて高さ方向Z1に高くされた形状を有しており、回路基板2の実装面2aに対して垂直に起立した姿勢でハウジング10に保持されている。第2コンタクト12は、嵌合方向D1に沿って配置された第1部分12aと、第2部分12bと、第2ハウジング側固定部12cと、を含んでいる。
【0054】
第2コンタクト12の第1部分12aは、嵌合方向D1に沿って延びる、高さ方向Z1の高さが略一定の部材であり、回路基板2に実装される実装部として設けられている。第1部分12aは、一部がハウジング10の開口部10aから引抜方向D2に突出しており、残りの一部は、ハウジング10の下壁14に形成されたスリット14aに嵌合方向D1に沿って挿入されて配置されている。
【0055】
スリット14aは、下壁14の内側面を嵌合方向D1に沿って切り欠くようにして形成されており、スリット14aのうち、開口部10aの周辺部分は、下壁14を高さ方向Z1に貫通している。下壁14のうち、嵌合方向D1とは反対側の端部としての開口部10aに、スリット14aが解放されている。第1部分12aのうち、回路基板2の実装面2aに対向している部分は、嵌合方向D1と平行に形成されており、第2基板側実装部12dを構成している。
【0056】
第2基板側実装部12dは、後述する第2接続部12gに対して嵌合方向D1と反対側(引抜方向D2側)に配置されている。第2基板側実装部12dは、図示しない半田等を用いて実装面2aの導電部2cに固定されている。第2基板側実装部12dは、第1コンタクト11の一端部11aと高さ方向Z1に並んでいる。また、第1部分12aのうち、嵌合方向D1側の下流側の端部には、第2コンタクト12がハウジング10に対して浮き上がることを防止するための係止部12eが形成されている。係止部12eは、下壁14の外側面に対向しており、この外側面に係合している。
【0057】
第2部分12bは、幅方向X1から見て略矩形状に形成されており、スリット14aに嵌合する嵌合部12fと、第2接続部12gと、を含んでいる。嵌合部12fは、スリット14aに嵌合していることにより、下壁14に幅方向X1の両側から挟まれている。嵌合部12fのうち、開口部10a側の一端部は、第1部分12aに連続している。上記の構成により、第2コンタクト12のうち、第1部分12aの一部と、第2部分12bの嵌合部12fとが、嵌合方向D1に沿ってスリット14aに挿通されている。第2部分12bと奥壁18との間には、微小な隙間C1が形成されている。これにより、第2部分12bと奥壁18との接触に起因する第2コンタクト12の位置ずれ(正規の位置からのずれ)が、抑制されている。
【0058】
第2接続部12gは、相手側コネクタ29の後述する第2相手側コンタクト32と電気的に接続するために設けられている。第2接続部12gは、嵌合部12gから中壁19側に向けて高さ方向Z1に突出しており、嵌合方向D1に延びている。第2接続部12gのうち、開口部10a側の一端部は、引抜方向D2に沿って先細りとなる形状に形成されており、第2相手側コンタクト32を第2接続部12gに嵌合する際のガイドとしての機能を有している。高さ方向Z1に関して、第2接続部12gは、第1コンタクト11の第1接続部11bに対して回路基板2の実装面2a側に配置されている。第2接続部12gは、第1接続部11bと高さ方向Z1に並んでいる。
【0059】
第2ハウジング側固定部12cは、ハウジング10に固定される固定部として設けられている。第2ハウジング側固定部12cは、第2部分12bの嵌合部12fから嵌合方向D1に沿って略真っ直ぐに延びており、幅方向X1から見たときに矩形状に形成されている。この第2ハウジング側固定部12cは、奥壁18を嵌合方向D1に貫通して形成された筒状の第2固定部(第2コンタクト用固定部)18cに圧入されている。第2ハウジング側固定部12cの一部に形成された突起部が、第2固定部18cの内周面に強固に結合している。
【0060】
第2固定部18cは、スリット14aに対して嵌合方向D1の下流側に配置されている。上記の構成により、第2コンタクト12は、ハウジング10に固定されている。高さ方向Z1に関して、第2ハウジング側固定部12cは、第1ハウジング側固定部11cと実装面2aとの間に配置されており、第1ハウジング側固定部11cと並んでいる。
【0061】
次に、相手側コネクタ29について説明する。尚、相手側コネクタ29については、電気コネクタ9に接続されているときの状態を基準として説明する。したがって、幅方向X1、奥行き方向Y1、及び高さ方向Z1は、それぞれ、相手側コネクタ29の奥行き方向、高さ方向及び幅方向でもある。
【0062】
図5は、電気コネクタ9と相手側コネクタ29とが結合された状態を示す断面図である。図6(a)は、相手側コネクタ29のうち、一部を省略して示す正面図であり、相手側コネクタ29を引抜方向D2の上流側から見た状態を示している。図6(b)は、相手側コネクタ29の底面図であり、高さ方向Z1から見た状態を示している。図5及び図6(a)に示すように、相手側コネクタ29は、相手側ハウジング30と、複数の第1相手側コンタクト31と、複数の第2相手側コンタクト32と、ロック板33と、を含んでいる。
【0063】
相手側ハウジング30は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されている。相手側ハウジング30は、第1収容体34と、第2収容体35と、第1収容体34及び第2収容体35間に配置された嵌合凹部36と、を含んでいる。高さ方向Z1に沿って、第1収容体34、嵌合凹部36、及び第2収容体35の順に並んで配置されている。
【0064】
第1収容体34は、複数の第1相手側コンタクト31を収容するための収容部材として設けられている。第1収容体34は、幅方向X1に細長く延びる偏平な板状に形成されている。第1収容体34には、複数の第1収容室37が形成されている。第1収容室37は、電気コネクタ9の第1コンタクト11の数と同じ数設けられている。第1収容室37は、幅方向X1に沿って、第1コンタクト11の配置ピッチと同じ配置ピッチで配置されている。各第1収容室37は、それぞれ、第1収容体34を奥行き方向Y1に貫通している。
【0065】
各第1収容室37の形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第1収容室37のうちの1つの第1収容室37について説明し、他の第1収容室37の構成についての説明を省略する。また、第1収容室37に収容されている第1相手側コンタクト31の形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第1相手側コンタクト31のうちの1つの第1相手側コンタクト31について説明し、他の第1相手側コンタクト31の構成についての説明を省略する。
【0066】
第1収容室37は、嵌合方向D1に沿って延びる筒状の部分として設けられている。第1収容室37内には、第1相手側コンタクト31が収容されている。また、第1収容室37には、第1コンタクト用挿通孔37a、第1突出用孔37b、及び第1抜け止め部37cが形成されている。
【0067】
第1コンタクト用挿通孔37aは、電気コネクタ9の第1コンタクト11を第1収容室37内に導入するために設けられている。第1コンタクト用挿通孔37aは、第1収容室37のうちの嵌合方向D1側の端部(先端部)に形成されており、第1収容室37の内部と外部との間を連通している。第1コンタクト用挿通孔37aのうち、嵌合方向D1側の周縁部には、面取りが形成されており、第1コンタクト11を第1コンタクト用挿通孔37aに導入し易くされている。
【0068】
第1突出用孔37bは、第1相手側コンタクト31の後述する第1抜け止め突起31dを第1収容室37から突出させるために設けられている。第1突出用孔37bは、第1コンタクト用挿通孔37aに対して引抜方向D2側に離隔して配置されており、高さ方向Z1の一方(図5において、下向き方向)に解放されている。
【0069】
第1抜け止め部37cは、第1相手側コンタクト31が第1収容室37から抜けることを防止するための小片部分であり、第1突出用孔37bに隣接して配置されている。本実施形態では、第1抜け止め部37cは、嵌合凹部36に配置されている。
【0070】
嵌合凹部36は、第1収容体34と第2収容体35との間に形成されており、電気コネクタ9の中壁19と嵌合するように構成されている。嵌合凹部36は、幅方向X1に細長く延びる空間を形成している。相手側コネクタ29を電気コネクタ9に結合させる際、嵌合凹部36と中壁19とが嵌合するように構成されている。これにより、嵌合凹部36は、相手側ハウジング30を電気コネクタ9のハウジング10に嵌合する際の案内部として機能する。
【0071】
第2収容体35は、複数の第2相手側コンタクト32を収容するための収容部材として設けられている。第2収容体35は、幅方向X1に細長く延びる偏平な板状に形成されている。第2収容体35には、複数の第2収容室38が形成されている。第2収容室38は、電気コネクタ9の第2コンタクト12の数と同じ数設けられている。第2収容室38は、幅方向X1に沿って、第2コンタクト12の配置ピッチと同じ配置ピッチで配置されている。各第2収容室38は、それぞれ、第2収容体35を奥行き方向Y1に貫通している。
【0072】
各第2収容室38の形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第2収容室38のうちの1つの第2収容室38について説明し、他の第2収容室38の構成についての説明を省略する。また、第2収容室38に収容されている第2相手側コンタクトの形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される第2相手側コンタクト32のうちの1つの第2相手側コンタクト32について説明し、他の第2相手側コンタクト32の構成についての説明を省略する。
【0073】
第2収容室38は、嵌合方向D1に沿って延びる筒状の部分として設けられている。第2収容室38内には、第2相手側コンタクト32が収容されている。また、第2収容室38には、第2コンタクト挿通用スリット38a、及び第2抜け止め部38bが形成されている。
【0074】
図5及び図6(b)に示すように、第2コンタクト挿通用スリット38aは、電気コネクタ9の第2コンタクト12を、第2収容室38内に導入するために設けられている。第2コンタクト挿通用スリット38aは、第2収容室38のうちの嵌合方向D1の先端から基端側に向けて(引抜方向D2に沿って)延びている。第2コンタクト挿通用スリット38aは、第2収容室38を、高さ方向Z1の一方側(図5において、下側)に解放しており、第2収容室38の内部と外部との間を連通している。第2コンタクト挿通用スリット38aに対して引抜方向D2側の位置に、第2抜け止め部38bが配置されている。
【0075】
第2抜け止め部38bは、第2相手側コンタクト32が第2収容室38から抜けることを防止するために設けられた小片部分であり、第2コンタクト挿通用スリット38aに隣接して配置されている。
【0076】
図5及び図6(a)を参照して、前述したように、第1相手側コンタクト31は、第1収容室37に配置されている。第1相手側コンタクト31は、第1被覆電線3の電線と第1コンタクト11とを電気的に接続するために設けられている。第1被覆電線3は、銅線等の電線を絶縁材料からなる被覆で覆った構成を有しており、且つ被覆の一端から電線が露出した構成を有している。第1相手側コンタクト31は、第1コンタクト11と同様の材料を用いて形成された導電部材である。
【0077】
第1相手側コンタクト31は、第1相手側接続部31aと、第1圧接部31bと、第2圧接部31cと、第1抜け止め突起31dと、を含んでいる。第1相手側接続部31aは、第1コンタクト11に接触することにより当該第1コンタクト11と電気的に接続するために設けられている。
【0078】
第1相手側接続部31aは、第1収容室37において、嵌合方向D1側寄りに配置されている。第1相手側接続部31aは、嵌合方向D1に沿って延び、且つ幅方向X1に向かい合う一対の弾性片部を有している(図5では、一対の弾性片部のうちの一方の弾性片部のみを図示)。第1相手側接続部31aの一対の弾性片部は、これら一対の弾性片部間に挿入された第1コンタクト11を弾性的に押圧(接触)するように構成されている。第1相手側接続部31aの基端部(引抜方向D2側の端部)は、第1圧接部31bに支持されている。
【0079】
第1圧接部31bは、第1被覆電線3の電線の一端部に結合するために設けられている。第1圧接部31bは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。これにより、一対の片部が第1被覆電線3の電線を挟んでおり、第1圧接部31bによる電線の固定が達成されている。第1圧接部31bに対して引抜方向D2側に、第2圧接部31cが配置されている。
【0080】
第2圧接部31cは、第1被覆電線3の被覆の一端部に結合するために設けられている。第2圧接部31cは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。これにより、一対の片部が第1被覆電線3の被覆を挟んでおり、第2圧接部31cによる第1被覆電線3の固定が達成されている。
【0081】
第1抜け止め突起31dは、第1相手側接続部31aと第1圧接部31bとの間に配置されている。第1抜け止め突起31dは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。第1抜け止め突起31dは、第1収容室37の第1突出用孔37bから突出しており、第1抜け止め部37cに係合している。このため、相手側ハウジング30に対して第1相手側コンタクト31に引抜方向D2を向く力が作用した時、第1抜け止め突起31dが第1抜け止め部37cに受けられ、第1相手側コンタクト31の変位が規制される。
【0082】
前述したように、第2相手側コンタクト32は、第2収容室38内に配置されている。第2相手側コンタクト32は、第1相手側コンタクト31と同様の形状に構成されている。これにより、同じ部品を第1相手側コンタクト31又は第2相手側コンタクト32として用いることができ、上記部品の汎用性の向上を通じて電気的接続装置1の製造コストを低減できる。
【0083】
第2相手側コンタクト32は、第2相手側接続部32aと、第3圧接部32bと、第4圧接部32cと、第2抜け止め突起32dと、を含んでいる。第2相手側接続部32aは、第2コンタクト12に接触することにより当該第2コンタクト12と電気的に接続するために設けられている。第2相手側接続部32aは、第2収容室38において、嵌合方向D1側寄りに配置されている。第2相手側接続部32aは、嵌合方向D1に沿って延び、且つ幅方向X1に向かい合う一対の弾性片部を有している(図5では、一対の弾性片部のうちの一方の弾性片部のみを図示)。第2相手側接続部32aの一対の弾性片部間は、これら一対の弾性片部間に挿入された第2コンタクト12を弾性的に押圧(接触)するように構成されている。第2相手側接続部32aの基端部(引抜方向D2側の端部)は、第3圧接部32bに支持されている。
【0084】
第3圧接部32bは、第2被覆電線4の電線の一端部に結合するために設けられている。第2被覆電線4は、銅線等の電線を絶縁材料からなる被覆で覆った構成を有しており、且つ被覆の一端から電線が露出した構成を有している。第3圧接部32bは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。これにより、一対の片部が第2被覆電線4の電線を挟んでおり、第3圧接部32bによる電線の固定が達成されている。第3圧接部32bに対して引抜方向D2側に、第4圧接部32cが配置されている。
【0085】
第4圧接部32cは、第2被覆電線4の被覆の一端部に結合するために設けられている。第4圧接部32cは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。これにより、一対の片部が第2被覆電線4の被覆を挟んでおり、第4圧接部32cによる第2被覆電線4の固定が達成されている。
【0086】
第2抜け止め突起32dは、第2相手側接続部32aと第3圧接部32bとの間に配置されている。第2抜け止め突起32dは、幅方向X1に並ぶ一対の片部を有しており(図5では、一対の片部のうちの一方の片部のみを図示)、これら一対の片部が折り曲げ加工されている。第2抜け止め突起32dは、第2収容室38の第2コンタクト挿通用スリット38aから突出しており、第2抜け止め部38bに係合している。このため、第2相手側コンタクト32に、相手側ハウジング30に対して引抜方向D2を向く力が作用したとき、第2抜け止め突起32dが第2抜け止め部38bに受けられ、第2相手側コンタクト32の変位が規制される。
【0087】
相手側コネクタ29は、プラグ39を含んでいる。プラグ39は、第1収容室37のうちの嵌合方向D1寄りの一部と、第1相手側コンタクト31の第1相手側接続部31aと、嵌合凹部36のうちの嵌合方向D1寄りの一部と、第2収容室38のうちの嵌合方向D1寄りの一部と、第2相手側コンタクト32の第2相手側接続部32aと、を含んでいる。プラグ39は、相手側コネクタ29のうち、電気コネクタ9の嵌合空間13に嵌合される嵌合要素として設けられている。
【0088】
図1及び図5を参照して、電気的接続装置1は、相手側コネクタ29を電気コネクタ9に取り外し可能にロックするためのロック機構40を含んでいる。ロック機構40は、相手側ハウジング30に設けられたロック板33と、ハウジング10に設けられたロック用突起22と、を含んでいる。
【0089】
ロック板33は、相手側ハウジング30に一体成形され、且つ相手側ハウジング30に対して揺動変位可能な可動部材として設けられている。ロック板33は、相手側ハウジング30の第1収容体34の一側面に配置された支柱41に接続されている。ロック板33は、幅方向X1に幅広に延び、且つ支柱41から嵌合方向D1に延びる矩形の板状に形成されている。ロック板33のうち、嵌合方向D1側の先端には、ロック爪部42が設けられている。ロック爪部42は、ロック板33から高さ方向Z1に沿ってハウジング10側に突出する小片部である。
【0090】
ロック用突起22は、ロック爪部42と係合することにより、引抜方向D2側への相手側ハウジング30の変位を規制するように構成されている。ロック用突起22は、ハウジング10の上壁15の外側面において、引抜方向D2側の端部に配置されている。ロック用突起22は、1又は複数(本実施形態では、4個)設けられており、幅方向X1に沿って延びている。ロック用突起22の表面は、嵌合方向D1に沿って進むに従い上壁15から離れるように傾斜した部分を有している。ロック爪部42は、この面を乗り越えることが可能に構成されている。
【0091】
また、電気的接続装置1は、ハウジング10に対する相手側ハウジング30の変位動作を案内するための機構をさらに備えている。具体的には、相手側ハウジング30のうち、第1収容体34の一側面に一対の案内凸部43,44が設けられ、且つ、ハウジング10の上壁15の内側面に一対の案内凹部23,24が設けられている。案内凸部43,44は、嵌合方向D1に沿って直線状に延びる凸条部分であり、ロック板33を幅方向X1に挟むように一対設けられている。案内凹部23,24は、嵌合方向D1に沿って直線状に延びる凹状部分であり、対応する案内凸部43,44に嵌合可能である。
【0092】
次に、電気的接続装置1における電気コネクタ9と相手側コネクタ29との間の着脱動作について説明する。図1に示すように、回路基板2に実装された電気コネクタ9に相手側コネクタ29を結合するときは、まず、相手側コネクタ29を電気コネクタ9と向かい合わせる。次に、相手側コネクタ29を、嵌合方向D1に沿って電気コネクタ9側に変位させる。これにより、相手側ハウジング30の一対の案内凸部43,44は、一対の案内凹部23,24に嵌合され、且つ、図5に示すように、相手側ハウジング30のプラグ39の嵌合凹部36は、ハウジング10の中壁19と嵌合する。更に、プラグ39の第1収容体34及び第2収容体35は、嵌合空間13に嵌合される。
【0093】
これにより、第1コンタクト11の第1接続部11bは、第1コンタクト用挿通孔37aを通って第1収容室37に入り、第1相手側コンタクト31の第1相手側接続部31aに挟まれつつ接触する。また、第2コンタクト12の第2接続部12gは、第2コンタクト挿通用スリット38aを通って第2収容室38に入り、第2相手側コンタクト32の第2相手側接続部32aに挟まれつつ接触する。
【0094】
このとき、ロック板33は、相手側ハウジング30に対して支柱41を支点として揺動し、ロック爪部42は、ロック用突起22を乗り越える。その後、ロック爪部42は、ロック用突起22に対して嵌合方向D1側において、ロック用突起22に係合し、相手側ハウジング30の抜け止めが達成される。
【0095】
一方、電気コネクタ9から相手側コネクタ29を取り外すときは、ロック板33を指等で押圧する。これにより、ロック板33は、支柱41を支点にして揺動し、ロック爪部42が持ち上がる。これにより、ロック爪部42とロック用突起22との係合が解除される。この状態で、相手側ハウジング30をハウジング10に対して引抜方向D2に引く。これにより、プラグ39がハウジング10から引抜方向D2側に引き抜かれる。
【0096】
この際、第1相手側コンタクト31は、第1コンタクト用挿通孔37aから引き抜かれ、第2相手側コンタクト32は、第2コンタクト挿通用スリット38aから引き抜かれる。これにより、第1相手側コンタクト31及び第2相手側コンタクト32は、それぞれ、第1コンタクト11及び第2コンタクト12との接触を解除される。また、このとき、相手側ハウジングの嵌合凹部36と中壁19との嵌合が解除される。以上のようにして、相手側コネクタ29が電気コネクタ9から引き抜かれることにより、図1に示すように、これらのコネクタ9,29の結合が解除される。
【0097】
再び図5を参照して、相手側コネクタ29を電気コネクタ9に結合する際には、相手側コネクタ29から電気コネクタ9に、嵌合方向D1に沿う力が作用する。この力は、電気コネクタ9の複数の第1コンタクト11に伝わり、これらの第1コンタクト11の第1基板側実装部11eで受けられる。
【0098】
一方、相手側コネクタ29を電気コネクタ9から引き抜く際には、相手側コネクタ29から電気コネクタ9に、引抜方向D2に沿う力が作用する。この力は、第2コンタクト12に伝わり、この第2コンタクト12の第2基板側実装部12dで受けられる。すなわち、電気コネクタ9に、嵌合方向D1の力が作用したときと、引抜方向D2の力が作用したときのいずれの場合も、ハウジング10に保持されたコンタクト11,12によってハウジング10を確実に支持することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の電気コネクタ9によると、嵌合空間13内において、第2コンタクト12と比べて回路基板2からの距離が長い上段側に配置された第1コンタクト11は、線状又は軸状に形成されている結果、撓み易い。このため、第1コンタクト11は、プラグ39との接触に際して、プラグ39との接触によって撓むことでプラグ39に対して位置合わせすることができる。このため、第1コンタクト11を、プラグ39の第1コンタクト11に対して、確実に接触させて電気的に接続できる。その結果、電気コネクタ9の製造時において、第1コンタクト11をハウジング10に組み付ける際に、第1コンタクト11をハウジング10に対して厳密に位置合わせする作業が必要ない。よって、ハウジング10への第1コンタクト11の取り付け作業の速度(効率)を高くできる。これにより、単位時間当たりの電気コネクタ9の組み立て個数を多くできるので、電気コネクタ9の製造コストを低減できる。
【0100】
また、線状の第1コンタクト11は、高価なプレス成形でなくても線材等によって安価に製造できるので、製造コストをさらに削減できる。また、第1コンタクト11の第1基板側実装部11eと第2コンタクト12の第2基板側実装部12dとを、嵌合空間13に対して嵌合方向D1の上流側と下流側の両側に配置している。これにより、回路基板2は、第1コンタクト11及び第2コンタクト12を介してハウジング10を嵌合方向D1の両側から支持できる。よって、電気コネクタ9と回路基板2との結合強度を高くできる。例えば、嵌合方向D1と平行な力が、ハウジング10を回路基板2に対して倒すような力としてハウジング10に作用することがある。このとき、ハウジング10が回路基板2上で倒れることを、第1コンタクト11及び第2コンタクト12の協働によって、より確実に抑制できる。
【0101】
しかも、ハウジング10の上記の倒れを防ぐための部材(補強金具等)を別途設ける必要がなく、部品点数の低減を通じて電気コネクタ9の製造コストを更に低減できる。したがって、ハウジング10が回路基板に対して変位することを確実に抑制でき、且つ製造コストの安価な電気コネクタ9を提供することができる。
【0102】
また、電気コネクタ9において、第1コンタクト11は、線材を基に形成されているので、製造コストを安価にできる。また、線材であれば細くできるので、嵌合方向D1と平行な方向に関して、第1コンタクト11をより短くできる。これにより、第1コンタクト11とハウジング10とが全体として嵌合方向D1に占める長さを短くできる。よって、電気コネクタ9の小型化を達成できる。
【0103】
さらに、電気コネクタ9において、第2コンタクト12の第2基板側実装部12dと、第1コンタクト11の第1基板側実装部11eとは、嵌合方向D1に離隔して配置されている。これにより、第2基板側実装部12dは、第1基板側実装部11eの配置の邪魔にならずに済む。よって、第1基板側実装部11eを、ハウジング10のより近傍に配置できる。よって、第1中間部11dも、ハウジング10の近傍に配置できる。ハウジング10の近傍に第1中間部11d及び第1基板側実装部11eを配置することで、第1及び第2基板側実装部11e,12dの協働による電気コネクタ9の倒れ防止効果を高めつつ、嵌合方向D1に関して電気コネクタ9を小型化できるという、異なる効果を相乗して発揮できる。
【0104】
また、電気コネクタ9において、第2コンタクト12は、金属材料をプレス加工することにより形成されている。このように、プレス加工によって形成された第2コンタクト12は、断面2次モーメントを大きくできるので、第1コンタクト11と比べて剛性が高く、回路基板2との結合強度を高くできる。また、第2コンタクト12は、回路基板2からの高さが低いので、小型である。このため、ハウジング10に対する第2コンタクト12の位置が正規の位置から少々ずれていても、ハウジング10へのプラグ39の挿入を第2コンタクト12が邪魔することを抑制できる。よって、電気コネクタ9の組み立ての際に、第2コンタクト12をハウジング10に対して厳密に位置決めする手間(時間)が不要であり、第2コンタクト12を高速でハウジングに組み付けることができる。その結果、電気コネクタ9の製造効率を高めて電気コネクタ9の製造コストをより低減できる。
【0105】
また、電気コネクタ9によると、ハウジング10のスリット14aに第2コンタクト12を嵌合方向D1に沿って挿通することで、第2コンタクト12をハウジング10の第2固定部18cに向けて案内できる。これにより、第2コンタクト12の第2ハウジング側固定部12cは、ハウジング10に対する正確な位置決め作業を省略されつつ、ハウジング10に正確な位置で固定される。その結果、線状の第1コンタクト11と比べてハウジング10への固定速度を高め難い板状の第2コンタクト12についても、高速でハウジングに固定することができる。
【0106】
また、電気コネクタ9によると、第1コンタクト11及び第2コンタクト12は、ハウジング10に対して、奥行き方向Y1の両側(引抜方向D2側及び嵌合方向D1側)から、ハウジング10に組み付けられるように構成されている。このため、一般的に小さな形状(例えば、幅方向X1の長さが20mm程度)のハウジング10に対して、第1コンタクト11を組み付ける装置、及び第2コンタクト12を組み付ける装置を、互いに干渉することなく配置できる。これにより、奥行き方向Y1の両側からハウジング10に第1コンタクト11及び第2コンタクト12を同時に組み付けることができ、その結果、電気コネクタ9の組み立て速度をより高くできる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0108】
(1)前述の実施形態では、第1コンタクト及び第2コンタクトをそれぞれ複数設ける構成を説明したけれども、これに限定されない。第1コンタクト及び第2コンタクトは、それぞれ1つのみ設けられていてもよい。
【0109】
(2)また、前述の実施形態では、嵌合方向と直交する幅方向から見て、第1ハウジングの第1中間部の少なくとも一部の位置が、ハウジングの位置と重なっている形態を例にとって説明したけれども、これに限定されない。第1コンタクトの第1ハウジング側固定部から直線状に延びた部分を設けることにより、上記幅方向から見て、第1ハウジングの第1中間部の位置が、ハウジングの位置に対して嵌合方向の下流側でもよい。
【0110】
(3)前述の実施形態では、第2コンタクトが、金属材料をプレス加工することにより形成されている形態を例にとって説明したけれども、これに限定されない。例えば、第2コンタクトは、第1コンタクト同様に、線材の一部を分離したもの用いて形成されていてもよい。
【0111】
(4)前述の実施形態では、第1コンタクトの第1中間部は、ハウジングの奥壁の外側に配置される形態を例に説明したけれども、これに限定されない。例えば、ハウジングの後壁の外側面に、ハウジングの第1固定部に連続する溝を形成し、この溝に第1中間部の一部を収容してもよい。これにより、ハウジングの奥壁に、第1中間部の少なくとも一部を収容できるので、電気コネクタが嵌合方向と平行な方向に占める長さをより短くできる。
【0112】
(5)前述の実施形態では、第1コンタクト及び第2コンタクトが回路基板の実装面上に配置される、表面実装(SMT、Surface Mount Technology)タイプの電気コネクタの形態を例に説明したけれども、これに限定されない。本発明は、第1コンタクト及び第2コンタクトが回路基板のスルーホールにはめ込まれるDIP(Dual Inline Package)コネクタ等の、挿入実装タイプの電気コネクタに適用することもできる。
【0113】
(6)前述の実施形態では、電気的接続装置が回路基板と電線とを電気的に接続するボード・トゥ・ワイヤタイプの接続装置である形態を例に説明したけれども、これに限定されない。本発明は、回路基板同士を電気的に接続するボード・トゥ・ボードタイプの電気的接続装置に適用することもできる。
【0114】
(7)前述の実施形態では、コンタクトが高さ方向に2段に配列された電気コネクタの形態を例に説明したけれども、これに限定されない。本発明は、コンタクトが高さ方向に3段以上に配列された電気コネクタに適用することができる。この場合、少なくとも、一番下の段のコンタクトは、本発明の第2コンタクトとして構成され、ハウジングに対して嵌合方向の上流側で回路基板に実装される。さらに、一番上の段のコンタクトは、本発明の第1コンタクトとして構成され、ハウジングに対して嵌合方向の下流側で回路基板に実装される。
【0115】
(8)ハウジング、第1コンタクト、第2コンタクト、及びプラグのそれぞれの形状については、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、回路基板の実装面上に配置され、実装面と平行な所定の嵌合方向に沿って相手側コネクタのプラグが嵌合される電気コネクタとして、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
2 回路基板
2a 実装面
9 電気コネクタ
10 ハウジング
11 第1コンタクト
11b 第1接続部
11c 第1ハウジング側固定部
11d 第1中間部
11e 第1基板側実装部
12 第2コンタクト
12c 第2ハウジング側固定部
12d 第2基板側実装部
12g 第2接続部
13 嵌合空間
14a スリット
18c 第2固定部(第2コンタクト用固定部)
29 相手側コネクタ
39 プラグ
D1 嵌合方向
Z1 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6