特許第5694073号(P5694073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ガスターの特許一覧

<>
  • 特許5694073-熱源装置 図000002
  • 特許5694073-熱源装置 図000003
  • 特許5694073-熱源装置 図000004
  • 特許5694073-熱源装置 図000005
  • 特許5694073-熱源装置 図000006
  • 特許5694073-熱源装置 図000007
  • 特許5694073-熱源装置 図000008
  • 特許5694073-熱源装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694073
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/42 20060101AFI20150312BHJP
   F24J 2/40 20060101ALI20150312BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   F24J2/42 A
   F24J2/42 J
   F24J2/40 Z
   F24H1/00 621D
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-144418(P2011-144418)
(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2013-29208(P2013-29208A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2011-139601(P2011-139601)
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃太郎
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−44952(JP,A)
【文献】 特開2009−275971(JP,A)
【文献】 特開平8−219556(JP,A)
【文献】 特開2003−314833(JP,A)
【文献】 特開昭60−191147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/42
F24J 2/40
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の受光面を備えて太陽光の熱を集熱する集熱器を有し、該集熱器は液体導入口と液体導出口と前記受光面の下側に設けられた内部液体通路とを有して、前記液体導入口から導入される液体を前記内部液体通路に通して前記液体導出口から導出する構成と成しており、前記集熱器で集熱された液体の温度を検出する集熱器内液温検出手段と、前記集熱器の外部に設けられて該集熱器内の液体を循環させる液体循環通路と、該液体循環通路に介設された液体循環ポンプと、前記液体循環通路と熱的に接続された貯湯槽と、該貯湯槽内の湯水の温度を検出する貯湯槽内湯水温検出手段と、該貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度よりも前記集熱器内液温検出手段の検出温度が予め定められたポンプ駆動設定温度以上高いときに前記液体循環ポンプを駆動させて前記液体循環通路内の液体を循環させ、前記貯湯槽内の湯水と前記液体循環通路内の液体とを熱交換することにより前記貯湯槽内の湯水を加熱する集熱運転を行い、前記貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度と前記集熱器内液温検出手段の検出温度との差が予め定められたポンプ停止設定温度以下になったときに前記液体循環ポンプを停止して集熱運転を停止する集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段とを有しており、前記集熱運転の停止から予め定められた設定経過時間が経過した以降に前記集熱運転が開始されたときには前記液体循環ポンプのオンオフ回数を検出するポンプオンオフ回数検出手段と、該ポンプオンオフ回数検出手段により検出した検出回数が予め定められた設定回数以上となったときには前記液体循環ポンプを予め定められた設定待機時間が経過するまで一時停止して前記集熱器内の水蒸気を前記内部液体通路における前記液体導出口寄りに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出する蒸気抜き動作を予め定められた設定回数以上行う蒸気抜き制御手段を有することを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
集熱器の内部液体通路は、該集熱器の一端側から他端側に向けて伸設されて互いに間隔を介して複数並設された並設通路と、該複数の並設通路の共通の一端側に連通させて該並設通路の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導入用通路と、前記複数の並設通路の共通の他端側に連通させて該並設通路の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導出用通路とを有して、前記液体導入用通路の片端部は前記集熱器の液体導入口に接続され、前記液体導出用通路の片端部は前記集熱器の液体導出口に接続されており、前記液体導入口から導入される液体を前記液体導入用通路に導入して該液体導入用通路から前記並設通路のそれぞれに導入し、該並設通路のそれぞれを通過した液体を前記液体導出用通路を介して前記液体導出口から導出する構成と成しており、蒸気抜き制御手段は蒸気抜き動作時に液体循環ポンプを設定待機時間停止することによって前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の前記並設通路の他端側と液体導出用通路とに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出することを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
集熱器は複数配設され、隣り合う集熱器の液体導入用通路同士が液体導入用の接続路を介して接続され、隣り合う集熱器の液体導出用通路同士が液体導出用の接続路を介して接続されて集熱器ユニットが形成され、該集熱器ユニットの集熱器のうち一つの集熱器の液体導入口が液体循環通路の往路に接続されて別の一つの集熱器の液体導出口が液体循環通路の戻り路に接続されており、前記液体循環通路の往路に接続された集熱器の液体導入口から導入される液体を複数配設された前記集熱器のそれぞれの前記液体導入用通路に前記接続路を介して通して前記液体導入用通路に接続されている複数の並設通路のそれぞれに導入し、該複数の並設通路のそれぞれを通った液体を該複数の並設通路に接続されている液体導出用通路に通し前記液体循環通路の戻り路に接続された液体導出口から導出する構成と成していることを特徴とする請求項2記載の熱源装置。
【請求項4】
集熱器内液温検出手段は、集熱器内の液体導出口寄りで該液体導出口とは間隔を介した位置に設けられており、蒸気抜き制御手段は蒸気抜き動作を設定回数以上行う代わりに、前記集熱器内液温検出手段の検出温度を取り込んでその検出温度が予め定められた水蒸気有り判断設定温度より低くなったときに蒸気抜き動作を停止することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の熱を集める集熱器を備えた太陽熱利用の熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、図7に示すように、住宅の屋根の上に太陽光の熱を集熱する集熱器(コレクター)1を配置することが行われるようになり(例えば、特許文献1、参照)、集熱器1と貯湯槽2とを液体循環通路3を介して熱的に接続し、集熱器1で集めた熱を貯湯槽2に蓄える構成を備えた熱源装置が用いられるようになった。
【0003】
図3には、太陽熱を利用して貯湯槽を加熱する構成を備えた熱源装置の一例が、模式的なシステム構成図により示されている。この熱源装置は、貯湯槽2を備えたタンクユニット50を有し、貯湯槽2には、その側面に、該貯湯槽2内の湯水の温度を検出する貯湯槽内湯水温検出手段4が設けられている。タンクユニット50の外側(例えば屋根上)に、太陽光の受光面を備えた集熱器1(1a,1b)が設けられ、集熱器1は、該集熱器1の外部に設けられた液体循環通路(熱媒循環通路)3を介して前記貯湯槽2と熱的に接続されている。なお、集熱器1は、一般に、図7に示したように、太陽光の受光面を屋根と同じ傾斜(例えば0〜30°の角度)として配設されている。液体循環通路3には、シスターン37と液−液熱交換器28と液体循環ポンプ5とが介設されており、シスターン37には、該シスターン37内の液体(熱媒)の液位を検出するための電極38が設けられ、大気開放通路39に接続されている。
【0004】
液体循環ポンプ5の駆動によって、集熱器1内の不凍液などの液体(熱媒)が、図の矢印A方向に循環し、液体循環ポンプ5の吐出口側から集熱器1側に向けて液体を通す往路3aと、集熱器1から導出される液体を液体循環ポンプ5に戻す戻り路3bとを通して循環する。また、これらの往路3aと戻り路3bとをバイパスするバイパス路3cが、三方弁により形成された切り替え弁20を介して接続されており、切り替え弁20の切り替えによって、液体循環通路3内の液体を、貯湯槽2と集熱器1の両方を通して循環させる経路と、貯湯槽2とバイパス通路3cとを通して循環させる経路とのいずれかに選択的に切り替えられる。戻り路3bには、バイパス路3cの接続部よりも下流側に、熱媒戻り温度センサ21が設けられている。
【0005】
集熱器1は液体導入口6と液体導出口7と前記受光面の下側に設けられた内部液体通路8(図6参照)とを有して、液体導入口7から導入される液体を内部液体通路8に通して液体導出口7から導出する構成と成している。集熱器1b内には、集熱器1で集熱された液体の温度を検出する集熱器内液温検出手段9が設けられている。
【0006】
図6(a)には、集熱器1の内部液体通路8の構成例が示されている。この例では、集熱器1は複数(ここでは集熱器1aと集熱器1bとの2つ)配列されており、各集熱器1の内部液体通路8は、集熱器1の一端側から他端側に向けて伸設されて互いに間隔を介して複数並設された並設通路10と、該複数の並設通路10の共通の一端側に連通させて該並設通路の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導入用通路11と、前記複数の並設通路10の共通の他端側に連通させて該並設通路10の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導出用通路12とを有している。
【0007】
また、隣り合う集熱器1の液体導入用通路11同士が液体導入用の接続路13を介して接続され、隣り合う集熱器1の液体導出用通路12同士が液体導出用の接続路14を介して接続されて集熱器ユニット15が形成されている。集熱器ユニット15の集熱器1のうち、一つの(ここでは右側の)集熱器1aの液体導入口6が液体循環通路3の往路3aに接続されて、別の一つの(ここでは左側の)集熱器1bの液体導出口7が液体循環通路3の戻り路3bに接続されている。
【0008】
前記の如く、液体循環ポンプ5の駆動により液体循環通路3の液体を循環させると、液体循環通路3の往路3aに接続された集熱器1aの液体導入口6から液体が導入される。そして、この液体が、図6(b)の矢印に示すように、複数配設された集熱器1(1a,1b)のそれぞれの液体導入用通路11に通され(集熱器1bの液体導入用通路11には接続路13を介して通され)、液体導入用通路11に接続されているそれぞれの並設通路10に導入される。そして、この並設通路10のそれぞれを通った液体が、該並設通路10に接続されている液体導出用通路12に通され、液体循環通路3の戻り路3bに接続された、集熱器1bの液体導出口7から導出される構成と成している。なお、図6(a)では、液体が導入されている領域をグレーゾーンにより示しており、図6(b)では、このグレーゾーンの図示を省略している。
【0009】
また、図3に示す熱源装置には、その制御装置(図示せず)内に集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段が設けられている。この集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段は、例えば前記貯湯槽内湯水温検出手段4のうち最下部に設けられた貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度よりも前記集熱器内液温検出手段9の検出温度が予め定められたポンプ駆動設定温度(例えば7℃)以上高いときに、前記液体循環ポンプ5を駆動させて、前記液体循環通路3内の液体を図の矢印Aに示すように循環させ、貯湯槽2内の湯水と液体循環通路3内の液体とを熱交換することにより、貯湯槽2内の湯水を加熱する集熱運転を行う。
【0010】
また、この集熱運転によって、貯湯槽2内の湯水が加熱されることによって、貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度と集熱器内液温検出手段9の検出温度との差が予め定められたポンプ停止設定温度(例えば4℃)以下になったときに、液体循環ポンプ5を停止して集熱運転を停止する。この集熱運転制御によって、例えば日中は集熱運転が行われ、日没後、集熱運転が停止される。
【0011】
なお、貯湯槽2には、その上部に貯湯槽2の湯を外部に給湯する給湯路16が接続され、貯湯槽2の下部には貯湯槽2への給水路17が接続されており、給水路17と給湯路13とは、バイパス通路18および混合弁19を介して接続されている。バイパス通路18には逆止弁35が介設され、給水路17には、手動で操作される給水元30、水フィルタ31、減圧弁32、入水温度センサ33、逆止弁34が介設され、給水路17から分岐した排水通路40には排水電磁弁36が設けられている。
【0012】
混合弁19の下流側の給湯路16には流量センサ22、湯水温検出センサ23,24が介設され、補助熱源装置25が熱的に接続されており、同図には図示されていないが、補助熱源装置25には、給湯路16を通して補助熱源装置25に導入される湯水を例えばバーナにより加熱する給湯熱交換器や、バーナへの燃料(ガスや石油の)供給通路、バーナへの給排気を行う燃焼ファン等が適宜設けられる。なお、補助加熱手段25は、電気式温水器としてもよいし、省略してもよい。ただし、補助熱源装置25を設けることにより、例えば貯湯槽2内の湯水温が給湯の設定温度よりも低い場合に、その湯水を給湯路16を通して補助熱源装置25に導入し、その湯水を設定温度に高めることができる。
【0013】
また、補助熱源装置25には、浴槽26に接続された湯水循環通路27が設けられており、図示されていない湯水循環ポンプの駆動によって湯水循環通路27を通して浴槽湯水を循環させることができる。湯水循環通路27は、液−液熱交換器28を介して前記液体循環通路3に熱的に接続されており、湯水循環通路27を循環させる湯水温よりも高温の液体を湯水循環通路3を通して循環させることによって、湯水循環通路27を循環させる湯水と湯水循環通路3を循環させる液体とを、液−液熱交換器28を介して熱交換し、浴槽湯水の追い焚きを行うことができる。湯水循環通路27には、湯水循環通路27を循環する湯水の温度を検出する湯水温検出センサ48,29が介設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−205062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、図3に示したような熱源装置において、前記集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段は、貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度が例えば90℃といったポンプ停止設定温度以上になったときには、液体循環ポンプ5を停止して液体循環通路3の液体の循環を停止するようにしているが、図7に示したように、液体循環ポンプ5と集熱器1との高低差によって集熱器1の配設領域は負圧となることから、集熱器1内の液体は沸騰しやすく、例えば日中の太陽光を集熱器1が受光しているときに液体循環ポンプ5を停止すると、集熱器1内の液体は沸騰して集熱器1の内部液体通路8内に水蒸気が生じ、図8(a)の白抜き領域に示されるように、集熱器1の内部液体通路8内が水蒸気でほぼ満たされることになる。
【0016】
この後、貯湯槽2内の湯が使用されて貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度が前記ポンプ停止設定温度(例えば90℃)より低下すると、集熱器内液温検出手段9の検出温度が貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度よりも前記ポンプ駆動設定温度(例えば7℃)以上高くなって液体循環ポンプ5の駆動が再開されるが、このとき、図8(b)に示すように、集熱器1内に導入された液体の例えば液体導出口7側に一番近い並設通路10にある液体が液体導出口7側に流れると、その新たに送り込まれる液体によって集熱器1bの温度が下がり、この温度低下によって集熱器1b内の水蒸気はやがてなくなるが、液体導出口7から遠い側の通路、つまり、この図では、集熱器1aの並設通路10および液体導出用通路12内の水蒸気と接続路14内の水蒸気が、集熱器1bの液体導出用通路12を流れる液体によって水封(液封)された状態となる。そうすると、この水蒸気が外部に導出されないまま残ってしまうことになり、この水蒸気で満たされている通路では集熱ができないため、集熱器1の集熱効率が低下してしまうといった問題があった。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、集熱器による集熱運転停止前に集熱器内に水蒸気が溜まった場合に、運転再開時に水蒸気が集熱器内に留まることによる集熱器の集熱効率低下を防ぐことができて、太陽熱利用を効率的に行える熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、太陽光の受光面を備えて太陽光の熱を集熱する集熱器を有し、該集熱器は液体導入口と液体導出口と前記受光面の下側に設けられた内部液体通路とを有して、前記液体導入口から導入される液体を前記内部液体通路に通して前記液体導出口から導出する構成と成しており、前記集熱器で集熱された液体の温度を検出する集熱器内液温検出手段と、前記集熱器の外部に設けられて該集熱器内の液体を循環させる液体循環通路と、該液体循環通路に介設された液体循環ポンプと、前記液体循環通路と熱的に接続された貯湯槽と、該貯湯槽内の湯水の温度を検出する貯湯槽内湯水温検出手段と、該貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度よりも前記集熱器内液温検出手段の検出温度が予め定められたポンプ駆動設定温度以上高いときに前記液体循環ポンプを駆動させて前記液体循環通路内の液体を循環させ、前記貯湯槽内の湯水と前記液体循環通路内の液体とを熱交換することにより前記貯湯槽内の湯水を加熱する集熱運転を行い、前記貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度と前記集熱器内液温検出手段の検出温度との差が予め定められたポンプ停止設定温度以下になったときに前記液体循環ポンプを停止して集熱運転を停止する集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段とを有しており、前記集熱運転の停止から予め定められた設定経過時間が経過した以降に前記集熱運転が開始されたときには前記液体循環ポンプのオンオフ回数を検出するポンプオンオフ回数検出手段と、該ポンプオンオフ回数検出手段により検出した検出回数が予め定められた設定回数以上となったときには前記液体循環ポンプを予め定められた設定待機時間が経過するまで一時停止して前記集熱器内の水蒸気を前記内部液体通路における前記液体導出口寄りに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出する蒸気抜き動作を予め定められた設定回数以上行う蒸気抜き制御手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0019】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記集熱器の内部液体通路は、該集熱器の一端側から他端側に向けて伸設されて互いに間隔を介して複数並設された並設通路と、該複数の並設通路の共通の一端側に連通させて該並設通路の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導入用通路と、前記複数の並設通路の共通の他端側に連通させて該並設通路の伸設方向と交わる方向に伸設された液体導出用通路とを有して、前記液体導入用通路の片端部は前記集熱器の液体導入口に接続され、前記液体導出用通路の片端部は前記集熱器の液体導出口に接続されており、前記液体導入口から導入される液体を前記液体導入用通路に導入して該液体導入用通路から前記並設通路のそれぞれに導入し、該並設通路のそれぞれを通過した液体を前記液体導出用通路を介して前記液体導出口から導出する構成と成しており、蒸気抜き制御手段は蒸気抜き動作時に液体循環ポンプを設定待機時間停止することによって前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の前記並設通路の他端側と液体導出用通路とに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出することを特徴とする。
【0020】
さらに、第3の発明は、前記第2の発明の構成に加え、前記集熱器は複数配設され、隣り合う集熱器の液体導入用通路同士が液体導入用の接続路を介して接続され、隣り合う集熱器の液体導出用通路同士が液体導出用の接続路を介して接続されて集熱器ユニットが形成され、該集熱器ユニットの集熱器のうち一つの集熱器の液体導入口が液体循環通路の往路に接続されて別の一つの集熱器の液体導出口が液体循環通路の戻り路に接続されており、前記液体循環通路の往路に接続された集熱器の液体導入口から導入される液体を複数配設された前記集熱器のそれぞれの前記液体導入用通路に前記接続路を介して通して前記液体導入用通路に接続されている複数の並設通路のそれぞれに導入し、該複数の並設通路のそれぞれを通った液体を該複数の並設通路に接続されている液体導出用通路に通し前記液体循環通路の戻り路に接続された液体導出口から導出する構成と成していることを特徴とする。
【0021】
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記集熱器内液温検出手段は、集熱器内の液体導出口寄りで該液体導出口とは間隔を介した位置に設けられており、蒸気抜き制御手段は蒸気抜き動作を設定回数以上行う代わりに、前記集熱器内液温検出手段の検出温度を取り込んでその検出温度が予め定められた水蒸気有り判断設定温度より低くなったときに蒸気抜き動作を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のように、太陽光の熱を集熱する集熱器を備えた熱源装置においては、集熱器に接続されている液体循環通路内の液体を循環させて行われる集熱器による集熱運転の停止から、予め定められた設定経過時間が経過した以降に集熱運転が開始されたときに、集熱器内の通路が水蒸気で満たされていることがあるが、本発明によれば、このとき、液体循環ポンプのオンオフ回数を検出し、その検出回数が予め定められた設定回数以上となったときには、蒸気抜き制御手段が蒸気抜き動作を予め定められた設定回数以上行う。この蒸気抜き動作は、前記液体循環ポンプを予め定められた設定待機時間が経過するまで一時停止して前記集熱器内の水蒸気を前記内部液体通路における前記液体導出口寄りに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出するものであり、この動作によって集熱器内から水蒸気が外部に導出されるので、前記のように、集熱器内の内部液体通路が水蒸気で満たされても、水蒸気が外部に導出されないまま残ってしまうことによる集熱器の集熱効率低下を防ぐことができる。
【0023】
また、集熱器の内部液体通路を、複数の並設通路と、液体導入用通路と、液体導出用通路とを有するものとし、液体導入用通路の片端部を前記集熱器の液体導入口に接続し、液体導出用通路の片端部を前記集熱器の液体導出口に接続し、蒸気抜き制御手段が蒸気抜き動作時に液体循環ポンプを設定待機時間停止することによって前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の前記並設通路の他端側と液体導出用通路とに集め、前記設定待機時間が経過した後に前記液体循環ポンプを再駆動することにより前記集熱器内の水蒸気を該集熱器の液体導出口側から外部に導出することにより、効率的に蒸気抜き動作を行うことができる。
【0024】
さらに、集熱器を複数配設し、隣り合う集熱器の液体導入用通路同士を液体導入用の接続路を介して接続し、隣り合う集熱器の液体導出用通路同士を液体導出用の接続路を介して接続して集熱器ユニットを形成することにより、熱源装置による集熱能力を高めることができる。そして、集熱器ユニットの集熱器のうち一つの集熱器の液体導入口を液体循環通路の往路に接続し、別の一つの集熱器の液体導出口を液体循環通路の戻り路に接続し、液体を複数配設された集熱器のそれぞれの液体導入用通路に前記接続路を介して通して複数の並設通路のそれぞれに導入し、該複数の並設通路のそれぞれを通った液体を液体導出用通路に通し、液体循環通路の戻り路に接続された液体導出口から導出することによって、集熱器内に液体を効率的に通すことができる。
【0025】
さらに、集熱器内液温検出手段を、集熱器内の液体導出口寄りで該液体導出口とは間隔を介した位置に設けると、その検出温度は、水蒸気があるときには非常に高く(例えば180℃以上に)なるので、蒸気抜き制御手段が蒸気抜き動作を設定回数以上行う代わりに、前記集熱器内液温検出手段の検出温度が予め定められた水蒸気有り判断設定温度より低くなったときに蒸気抜き動作を停止することによっても、前記と同様に、水蒸気が外部に導出されないまま残ってしまうことによる集熱器の集熱効率低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る熱源装置の一実施例の制御構成を示すブロック図である。
図2】実施例の熱源装置における集熱器の蒸気抜き動作例を説明するための模式的な説明図である。
図3】熱源装置のシステム構成図例を示す説明図である。
図4】集熱運転時の液体循環通路内の液体流量の時間的変化例を、集熱器内に水蒸気が残留していない状態(a)と残留している状態(b)について模式的に示すグラフである。
図5】熱源装置のその他の実施例についての説明図である。
図6】熱源装置に設けられている集熱器内の内部液体通路の形態例を示す説明図である。
図7】集熱器を備えた熱源装置のシステム構成の主要部を示す模式図である。
図8】従来の太陽熱利用の熱源装置における問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一構成要素には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0028】
本実施例の熱源装置は、図3に示したシステム構成を有しており、本実施例が従来例と異なる特徴的なことは、図1に示す特徴的な制御構成を設けたことである。同図に示すように、本実施例は、制御装置41内に、集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段42、時計機構43、ポンプオンオフ回数検出手段44、蒸気抜き制御手段45を設けて構成されており、制御装置41は、集熱器内液温検出手段9、貯湯槽内湯水温検出手段4a、液体循環ポンプ5に接続されている。
【0029】
集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段42は、集熱器内液温検出手段9の検出温度と貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度との差に応じて、従来例と同様に、液体循環ポンプ5の駆動制御を行い、それにより、集熱運転の開始、停止、再開を制御する。
【0030】
ポンプオンオフ回数検出手段44は、集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段42の制御信号と時計機構43により検出される時間信号とを取り込み、集熱運転の停止(液体循環ポンプ5の停止)から予め定められた設定経過時間(例えば30分)が経過した以降に集熱運転が開始されたとき(液体循環ポンプ5の駆動再開時)には、液体循環ポンプ5のオンオフ回数を検出し、検出回数を蒸気抜き制御手段45に加える。
【0031】
例えば、図4(a)に示すように、日中、集熱器1による太陽光の集熱が行われて、集熱器1内を通る液体の温度が高くなり、液体循環ポンプ5の駆動が開始されると、一般には(前記集熱運転停止の条件とならないときには)、日没まで液体循環ポンプ5の駆動が行われて集熱運転が継続して行われる(液体循環ポンプ5のオン状態が継続され、液体循環通路3内の液体流量は安定した一定の流量となる)。
【0032】
それに対し、図4(b)に示すように、貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度が前記ポンプ停止設定温度(例えば90℃)以上になって液体循環ポンプ5が停止した後、貯湯槽内湯水温検出手段4aの検出温度が前記ポンプ停止設定温度より低下し、集熱運転が再開された際には、この液体循環ポンプ5の停止から再開までの間が前記設定経過時間以上の場合には、集熱器1内に水蒸気が残留しているために、液体循環ポンプ5のオンオフが頻繁に繰り返し行われ、図4(c)に示すように、例えば10分間に液体循環ポンプ5がオンオフを10回以上繰り返し、液体循環通路3内の液体流量が安定しない状態となる。
【0033】
そこで、このように、集熱運転の停止から前記設定経過時間が経過した以降に集熱運転が開始されたときに、液体循環ポンプ5のオンオフが繰り返し行われるときには、集熱器1内に水蒸気が残留していると考えられるため、蒸気抜き制御手段45は、ポンプオンオフ回数検出手段44により検出した検出回数が予め定められた設定回数(例えば10回)以上となったときに、以下のような蒸気抜き動作を行う。
【0034】
つまり、液体循環ポンプ5を予め定められた設定待機時間(例えば10分間)が経過するまで一時停止して、集熱器1(1a,1b)内の水蒸気を、図2(a)に示すように、集熱器1(1a,1b)の並設通路10の他端側と液体導出用通路12とに集める。なお、図2では、内部液体通路8において、液体で満たされている領域をグレーゾーンにより示し、水蒸気で満たされている領域を白抜きにより示し、水蒸気の流れる方向を矢印により示している。
【0035】
そして、前記設定待機時間が経過した後に液体循環ポンプ5を再駆動する動作を繰り返すことにより、図2(b)に示すように、水蒸気を、集熱器1(1a,1b)の並設通路10のさらに他端側と液体導出用通路12とに集め、集熱器1(1a,1b)内の水蒸気を集熱器1bの液体導出口7側から外部に導出する蒸気抜き動作を、予め定められた設定回数以上行う。例えば現在用いられている集熱器1の高さH(例えば図2、参照)は、一般的には約80cm〜約2mであり、この場合、設定回数は4回〜5回に定められる。
【0036】
なお、前記蒸気抜き動作開始の判断のための液体循環ポンプ5のオンオフ回数は適宜設定されるものである。また、前記設定待機時間や蒸気抜き動の繰り返しの設定回数も、集熱器1の大きさや配設数、内部液体通路8の管路径や長さ等に応じて適宜設定されるものであり、例えば蒸気抜き動作の繰り返し設定回数は、集熱器1の高さHに対応させて、高さHが高くなるにつれて設定回数が多くなるように可変設定することが好ましく、例えば5mの高さの集熱器1の場合には、14〜18回(4回×3.6〜5回×3.6)とするとよい。集熱器1内の水蒸気が適切に外部に導出されるような時間や回数が、集熱器1の大きさや配設数等に応じて予め実験等により求めて決定され、設定される。
【0037】
本実施例は、以上のように構成されており、集熱器1による集熱運転停止後、集熱運転再開時に集熱器1内に水蒸気が溜まっていたとしても、その水蒸気を集熱器1の外部に適切に導出してから集熱運転を再開することができるので、集熱器1の集熱効率低下を防ぐことができ、太陽熱利用を効率的に行うことができる。
【0038】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、集熱器1を2つ接続した集熱器ユニット15を設けたが、集熱器ユニット15を構成する集熱器1の個数は3つ以上でもよいし、その配設態様も並設とは限らず、適宜設定されるものである。
【0039】
また、前記実施例では、蒸気抜き制御手段45は、蒸気抜き動作を予め定められた設定回数行うようにしたが、蒸気抜き制御手段45は、蒸気抜き動作を設定回数以上行う代わりに、例えば図5(a)に示すように、集熱器内液温検出手段9を集熱器1内の液体導出口7寄りで該液体導出口7とは間隔を介した位置(蒸気抜き動作を行わずに集熱運転を再開すると、水蒸気が抜けにくい位置)に設け、この集熱器内液温検出手段9の検出温度を取り込んで、その検出温度が予め定められた水蒸気有り判断設定温度(例えば100℃)より低くなったときに蒸気抜き動作を停止するようにしてもよい。
【0040】
なお、集熱器1を複数設ける場合には、それぞれの集熱器1毎に、図5(b)に示すような位置に集熱器内液温検出手段9を設けると、それぞれの集熱器1に水蒸気が溜まった状態であるか否かを的確に判断でき、全ての集熱器内液温検出手段9の検出温度を取り込んで、その検出温度が前記水蒸気有り判断設定温度より低くなったときに蒸気抜き動作を停止することによって、集熱器ユニット15の全ての集熱器1の水蒸気を的確に抜くことができるため、好ましい。
【0041】
さらに、集熱器1は必ずしも複数設けるとは限らず、1つの集熱器1を有する熱源装置としてもよい。この場合、例えば集熱器1の液体導入用通路11の片端部を集熱器1の液体導入口6に接続し、液体導出用通路12の片端部を集熱器1の液体導出口7に接続し、液体導入口6から導入される液体を液体導入用通路11に導入して該液体導入用通路11から複数の並設通路10のそれぞれに導入し、複数の並設通路10のそれぞれを通過した液体を液体導出用通路13を介して液体導出口7から導出する構成とすればよい。
【0042】
なお、この場合にも、集熱器1に、図5(a)に示したような位置に集熱器内液温検出手段9を設けることにより、集熱器内液温検出手段9の検出温度に基づき、集熱器1に水蒸気が溜まった状態であるか否かを的確に判断でき、集熱器内液温検出手段9の検出温度が前記水蒸気有り判断設定温度より低くなったときに蒸気抜き動作を停止するように構成することもできる。
【0043】
さらに、集熱器1に形成する内部液体通路8は、必ずしも複数の並設通路10と、その一端側に連通して設けられる液体導入用通路11と、前記複数の並設通路10の他端側に連通して設けられる液体導出用通路12とを有するとは限らず、内部液体通路8の形成態様は適宜設定されるものである。
【0044】
さらに、集熱器内液温検出手段9は、前記実施例では、集熱器1内に設けたが、集熱器1に接続されている液体循環通路3の戻り路3bの入口側(集熱器1の近傍の例えば図3の破線Bで示す位置)に設けてもよい。
【0045】
さらに、本発明の熱源装置は、必ずしも図3に示したシステム構成を有しているとは限らず、集熱器1と貯湯槽2とを液体循環通路3を介して熱的に接続して貯湯槽2内の湯水を集熱器1による太陽熱利用によって加熱する構成と、図1に示したような制御構成を有して、集熱器1内の水蒸気を導出する構成を有していれば、その他のシステム構成の詳細は適宜設定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の熱源装置は、集熱器の集熱効率低下を防ぐことができて、太陽熱利用を効率的に行えるので、例えば家庭用の熱源装置として利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1,1a,1b 集熱器
2 貯湯槽
3 液体循環通路
4,4a 貯湯槽内湯水温検出手段
5 液体循環ポンプ
6 液体導入口
7 液体導出口
8 内部液体通路
9 集熱器内液温検出手段
10 並設通路
11 液体導入用通路
12 液体導出用通路
13,14 接続路
15 集熱器ユニット
41 制御装置
42 集熱利用貯湯槽湯水加熱制御手段
43 時計機構
44 ポンプオンオフ回数検出手段
45 蒸気抜き制御手段
図1
図3
図4
図7
図2
図5
図6
図8