(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の基板の間に液晶層を有する表示部と、前記一対の基板の周縁部に設けられた額縁部とを有し、前記額縁部は、液晶注入のための注入口および前記注入口と前記表示部との間の注入口部を有する液晶表示装置の製造方法であって、
前記注入口部に、間隙を有すると共に前記一対の基板の両方に接している堰構造を形成する工程と、
前記注入口から前記堰構造までの部分に封止材を設ける工程と
を含み、
前記堰構造は、前記一対の基板の少なくとも一方に、前記封止材の進入方向に対して交差する方向に前記注入口の全幅に亘って延在する壁と、前記壁の上に、前記壁に接して設けられた複数の束柱と、前記複数の束柱の間に配置される前記間隙とを有し、前記間隙の出口に傾斜部を有し、前記傾斜部は、前記壁の前記表示部側の面と前記壁の上端部との間にある傾斜面であるように形成される液晶表示装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(壁の上に複数の束柱を有する堰構造の例)
2.変形例1(間隙の出口に傾斜部を有する突起を設けた例)
3.変形例2(壁の下に複数の束柱を設けた例)
4.変形例3(上壁と下壁の間に複数の束柱を有する堰構造の例)
5.変形例4(間隙を封止材の進入方向に対して斜めに設けた例)
6.変形例5(間隙を蛇行形状とした例)
7.変形例6(堰構造を二重に配置した例)
8.変形例7(複数の束柱を表示部のスペーサ層と同じ層により構成した例)
9.変形例8(複数の束柱をオーバーコート層と同じ層により構成した例)
10.変形例9(壁を表示部のスペーサ層と同じ層により構成し、複数の束柱を平坦化層としての有機絶縁層と同じ層により構成した例)
11.変形例10(堰構造の周囲の有機絶縁層を除去して凹部を構成した例)
12.変形例11(有機絶縁層の下に下地層を設けることにより、有機絶縁層の表面に複数の束柱となる凹凸を設けた例)
13.変形例12(金属配線層、カラーフィルタ、遮光膜などの既存の層を利用してギャップを調整する例)
14.変形例13(半透過型の表示部のギャップ調整層を用いて上壁を構成する例)
15.第2の実施の形態(堰構造が、封止材の進入方向に対して垂直ではない方向に設けられた複数の壁を有する例)
16.変形例14(注入口を表示部の一辺の中間位置に設け、堰構造を表示部の外形線に沿って直線状に設ける例)
17.変形例15(注入口を表示部の一角に設け、堰構造を表示部の外形線に沿ってL字状に設ける例)
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る液晶表示装置の全体構成を表したものである。この液晶表示装置1は、携帯電話またはスマートフォンなどに用いられるものであり、表示部2と、その周囲の額縁部3とを有している。表示部2は、ガラス等よりなる一対の基板(第1基板10および第2基板20)の間に液晶層30(
図1には図示せず、
図3参照。)を有し、液晶表示素子よりなる複数の画素(図示せず)が行列状に配置されている。額縁部3は、第1基板10および第2基板20の周縁部の領域であり、その内部構造は黒色の遮光膜22(
図1には図示せず、
図3参照。)により遮蔽されている。
【0013】
第1基板10の一辺には、第2基板20からはみ出した露出領域4が設けられている。この露出領域4には、第1基板10上の信号線駆動回路および走査線駆動回路(いずれも図示せず)の配線が延長されることにより、外部接続端子5が設けられている。
【0014】
図2は、
図1に示した液晶表示装置1の点線6で囲まれた部分を拡大して表したものである。
図3は、
図2のIII−III線における断面構成を表したものである。額縁部3には、例えば熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂により、表示部2を囲む封止枠3Aが設けられている。封止枠3Aには、液晶注入のための注入口3Bが設けられている。注入口3Bと表示部2との間の部分は、液晶や封止材の進入経路としての注入口部3Cとなっている。注入口部3Cには、堰構造40と、封止材50とが設けられている。堰構造40は、液晶の通過口としての間隙41を有すると共に、第1基板10および第2基板20の両方に接している。封止材50は、注入口3Bから堰構造40までの部分に設けられている。これにより、この液晶表示装置1では、封止材50の注入速度や注入量のばらつきを低減することが可能となっている。
【0015】
堰構造40は、例えば
図4に示したように、壁42と、複数の束柱43とを有している。壁42は、第1基板10に、封止材50の進入方向A1に対して交差する(例えば、垂直な)方向に延在している。複数の束柱43は、壁42の上面と第2基板20との間に設けられている。液晶は、複数の束柱43の間の間隙41を通って表示部2に導入されるようになっている。間隙41の高さや幅を調整することにより、封止材50の注入速度や注入量が制御される。堰構造40の構成材料は絶縁材料あるいは金属など特に限定されない。
【0016】
封止材50は、注入口部3Cを閉塞し、液晶を表示部2内に密閉するものであり、例えば紫外線硬化樹脂により構成されている。封止材50は、水分などの浸入を抑えるため、注入口3Bからの距離が例えば50μm程度の位置まで、注入口部3Cに埋め込まれている。封止材50は、例えば
図5に示したように、複数の束柱43の間の間隙41の出口41Aにおいて、界面の力により止まっている。この界面の力は、液晶材料、封止材50の材料、堰構造40の材料に依存する。そのため、材料選定にて、界面の力を強くすることでも封止材50の制御は可能となる。
【0017】
表示部2の第1基板10には、例えば、絶縁層11,金属配線層12,平坦化層としての有機絶縁層13,共通電極14,層間絶縁膜15,画素電極16,配向膜17が、第1基板10側からこの順に設けられている。すなわち、この表示部2は、いわゆるFFS(Fringe Field Switching)構成を有している。なお、絶縁層11は、液晶モードにかかわらず、ゲート線と信号線との間に設けられているものである。
【0018】
表示部2の第2基板20には、例えば、カラーフィルタ21,ブラックマトリクスとしての遮光膜22,平坦化層としてのオーバーコート層23,スペーサ層24および配向膜25が、第2基板20の側からこの順に設けられている。第1基板10と第2基板20の間には、液晶層30が設けられている。なお、第1基板10および第2基板の外側には、偏光板など(図示せず)が貼り合わせられている。第1基板10の背面側には光源および導光板などのバックライトユニット(図示せず)等が配置されている。
【0019】
この液晶表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0020】
まず、ガラス等よりなる第1基板10を用意し、この第1基板10に、TFT等よりなる駆動回路(図示せず)を形成すると共に、金属配線層12を形成する。続いて、駆動回路や金属配線層12を有機絶縁層13で被覆し、表示部2の表面を平坦化する。そののち、有機絶縁層13上に、共通電極14,層間絶縁膜15および画素電極16を順に形成する。
【0021】
また、ガラス等よりなる第2基板20を用意し、この第2基板20にカラーフィルタ21および遮光膜22を形成する。次いで、カラーフィルタ21および遮光膜22をオーバーコート層23で被覆し、各色のカラーフィルタ21の厚みの違いに起因する表面の凹凸を平坦化する。続いて、表示部2内にスペーサ層24を形成する。
【0022】
そののち、例えば第1基板10の額縁部3に、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂により封止枠3Aを形成する。封止枠3Aは、表示部2を囲む矩形枠状に形成すると共に、第1基板10の一辺に開口する注入口3Bを空け、注入口3Bと表示部2との間に注入口部3Cを設ける。続いて、注入口部3Cに、例えば、壁42および複数の束柱43よりなる堰構造40を形成する。堰構造40を形成する際には、堰構造40の全部を、第1基板10または第2基板20のいずれか一方に設けることも可能であるし、堰構造40を複数の層の積層構造とすると共に、これら複数の層を第1基板10と第2基板20との両方に振り分けて設けることも可能である。後者については、変形例7〜13において詳述する。
【0023】
続いて、第1基板10の表示部2に配向膜17を形成し、第2基板20の表示部2に配向膜25を形成する。そののち、第1基板10と第2基板20とを封止枠3Aを挟んで対向配置し、封止枠3Aを構成する樹脂を硬化させることにより第1基板10と第2基板との貼り合わせを行う。
【0024】
続いて、第1基板10と第2基板20の間の内部空間に液晶を注入する。液晶は、堰構造40の複数の束柱43の間の間隙41を通って表示部2に導入される。
【0025】
そののち、封止枠3Aの内部を減圧した状態で、注入口3Bの周辺に封止材50を塗布し、封止材50を注入口部3Cに引き込む。封止材50は、例えば
図5に示したように、複数の束柱43の間の間隙41の出口41Aにおいて、上述した界面の力により止まる。これにより、封止材50は、注入口3Bから堰構造40までの部分に充填され、表示部2への染み出しが抑えられる。
【0026】
ここでは、堰構造40が、第1基板10および第2基板20の両方に接しているので、封止材50を注入する際に、間隙41の大きさがその都度変動してしまうことがない。よって、封止材50の注入速度,注入時間,注入量のばらつきが小さくなる。また、液晶の注入不良なども抑えられる。以上により、
図1ないし
図5に示した液晶表示装置1が完成する。
【0027】
これに対して従来では、
図6に示したように、注入口103B近傍に障壁140を設けるようにしていたので、封止材を注入する際に、液晶や封止材が通過可能な間隙141の大きさがその都度変動しやすくなっていた。そのため、封止材の注入速度のばらつきが大きくなり、封止材の注入量が多すぎたり不足したりするという問題が生じていた。また、液晶の注入不良も発生しやすくなっていた。なお、
図6では、
図3と同一の構成要素には100番台の同一の符号を付している。
【0028】
この液晶表示装置1では、バックライトユニット(図示せず)から表示部2に光が入射すると、その入射光は、偏光板(図示せず)を通過した後、第1基板10および第2基板20間に印加された映像電圧に基づいて、画素毎に変調されつつ液晶層30を透過する。液晶層30を透過した光は、カラーフィルタ21を有する第2基板20を通過することにより、カラーの表示光として偏光板(図示せず)の外側へ取り出される。
【0029】
ここでは、堰構造40が、第1基板10および第2基板20の両方に接しているので、封止材50の表示部2への染み出しや、液晶の注入不足などが抑えられている。よって、それらに起因する表示不良が抑制される。
【0030】
このように本実施の形態では、注入口部3Cに、間隙41を有すると共に第1基板10および第2基板20の両方に接している堰構造40を設けるようにしたので、封止材50の注入速度,注入時間,注入量のばらつきを小さくすると共に、液晶の注入不良なども抑えることが可能となる。
【0031】
(変形例1)
図7(A)は、変形例1に係る液晶表示装置1Aの堰構造40の構成を表したものである。この液晶表示装置1Aは、間隙41の出口41Aに、傾斜部44を有する突起45を設けたものである。このことを除いては、この液晶表示装置1Aは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0032】
傾斜部44は、間隙41の出口41Aにおいて封止材50を確実に止めるためのものである。第1の実施の形態で
図5を参照して説明したように、封止材50は、複数の束柱43の間の間隙41の出口41Aにおいて、界面の力により止まっている。この界面の力は、液晶材料、封止材50の材料、堰構造40の材料に依存する。そのため、例えば
図7(B)に示したように、間隙41の出口41Aが平坦面である場合には、封止材50が間隙41の出口41Aの周囲に滑っていってしまう可能性がある。従って、間隙41の出口41Aに傾斜部44を設けることにより、封止材50を傾斜部44で確実に止めることが可能となる。
【0033】
なお、傾斜部44の構成としては、
図7(A)に示したように、間隙41の出口41Aに傾斜部44を有する突起45を付加することも可能であるが、堰構造40の製造工程において、壁42または束柱43のエッチングの際に自然に形成される傾斜面により傾斜部44を構成することも可能である(
図3参照。)。
【0034】
(変形例2)
図8は、変形例2に係る液晶表示装置1Bの堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、壁42の下に複数の束柱43を設けたことを除いては、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0035】
(変形例3)
図9は、変形例3に係る液晶表示装置1Cの堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、上壁42Aと下壁42Bの間に複数の束柱43を設けたものである。このことを除いては、この液晶表示装置1Cは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0036】
図10(A)は、注入口部3Bに
図9に示した堰構造40を設けた場合(実施例)と設けなかった場合(比較例)とについて、封止材50の引き込みばらつきの違いを調べた結果を表すものである。また、
図10(B)は、
図10(A)の横軸(引き込み位置)と注入口部3B内の位置との対応関係を表したものである。ここに引き込み位置とは、堰構造40の位置P40をゼロ(0)とした場合の相対位置をいう。
【0037】
図10(A)および
図10(B)に示したように、注入口部3Bに堰構造40を設けた場合には、封止材50が堰構造40の位置で止まっているのに対して、堰構造を設けなかった場合には、封止材50の引き込みばらつきが大きくなっており、十分に引き込まれていないものや、表示部まで染み出しているものがあった。すなわち、注入口部3Cに、間隙41を有すると共に第1基板10および第2基板20の両方に接している堰構造40を設けるようにすれば、封止材50の注入速度や注入量のばらつきを低減することが可能となることが分かった。
【0038】
(変形例4)
図11は、変形例4に係る液晶表示装置1Dの堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、間隙41を封止材50の進入方向A1に対して斜めに設けるようにしたものである。これにより、この液晶表示装置1Dでは、
図12に示したように間隙41を封止材50の進入方向に平行にした場合に比べて経路を長くして、封止材50を止める効果を大きくすることが可能となる。このことを除いては、この液晶表示装置1Dは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0039】
(変形例5)
図13は、変形例5に係る液晶表示装置1Eの堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、間隙41を屈曲させて蛇行形状としたものである。これにより、この液晶表示装置1Eでは、狭い幅で長い経路を設けることが可能となり、封止材50を止める効果が大きくなる。このことを除いては、この液晶表示装置1Eは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0040】
(変形例6)
図14は、変形例6に係る液晶表示装置1Fの堰構造40の注入口部3C近傍の平面構成を表したものである。
図15は、
図14のXV−XV線における断面構成を表している。本変形例は、二つの堰構造40A,40Bを、注入口3Bからの距離が異なる二つの位置に設けるようにしたものである。このように注入口部3Cに堰構造40A,40Bを二重に配置することにより、外側の堰構造40Aを通過してしまった封止材50を、予備としての内側の堰構造40Bで止めることが可能となり、封止材50の表示部2への染み出しを確実に抑えることが可能となる。このことを除いては、この液晶表示装置1Fは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0041】
(変形例7〜13)
以下の変形例7〜13はいずれも、堰構造40を、表示部2を構成する他の層と同じ層により構成したものである。このようにすることにより、工程を増やすことなく堰構造40を形成することが可能となる。
【0042】
(変形例7)
図16は、変形例7に係る液晶表示装置1Gの堰構造40の断面構成を表したものである。本変形例は、複数の束柱43を表示部2のスペーサ層24と同じ層により構成したことを除いては、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0043】
(変形例8)
図17は、変形例8に係る液晶表示装置1Hの堰構造40の断面構成を表したものである。この液晶表示装置1Hは、複数の束柱43をオーバーコート層23と同じ層により構成したことを除いては、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0044】
(変形例9)
図18は、変形例9に係る液晶表示装置1Iの堰構造40の断面構成を表し、
図19は、
図18に示した堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、壁42を表示部2のスペーサ層24と同じ層により構成し、複数の束柱43を有機絶縁層13と同じ層により構成したものである。このことを除いては、この液晶表示装置1Iは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0045】
スペーサ層24は一般的にネガレジストにより構成されているので、高さの細かい調節が難しい。また、表示部2のスペーサ層24の高さは光学特性によって決められる。一方、有機絶縁層13はポジレジストにより構成されている。ポジレジストは露光によって厚さは数百nm単位で、幅は数μm単位で制御可能であり、更に有機絶縁層13と複数の束柱43とを同じ工程で形成することが可能であるので、工程の追加や生産性の低下は少ない。また、露光量を変えて高さを変えるハーフトーンマスクを用い、有機絶縁層13と複数の束柱43とを同じ工程、同じフォトマスクで形成し、工程負荷を更に小さくすることも可能である。
【0046】
(変形例10)
図20は、変形例10に係る液晶表示装置1Jの堰構造40の断面構成を表し、
図21は、
図20に示した堰構造40の構成を表したものである。この液晶表示装置1Jは、変形例9において堰構造40の周囲の有機絶縁層13を除去して凹部46としたものである。このことを除いては、この液晶表示装置1Fは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有している。
【0047】
堰構造40は、変形例3と同様に、上壁42Aと下壁42Bの間に複数の束柱43を有している。上壁42Aは、変形例9と同様に、表示部2のスペーサ層24と同じ層により構成されている。下壁42Bおよび複数の束柱43は、有機絶縁層13と同じ層により構成されている。
【0048】
下壁42Bの周囲には、上述したように有機絶縁層13が除去されることにより、凹部46が構成されている。これにより、この液晶表示装置1Jでは、堰構造40を通過してしまった封止材50を、凹部46に貯留することが可能となる。つまり、凹部46を封止材50の液溜まりとして用いることにより、封止材50の表示部2への染み出しを確実に抑えることが可能となる。
【0049】
図22ないし
図24は、
図20に示した液晶表示装置1Jの製造方法の主要部を工程順に表したものである。まず、
図22(A)に示したように、ガラス等よりなる第1基板10を用意し、この第1基板10に、TFT等よりなる駆動回路(図示せず)を形成すると共に、金属配線層12を形成する。
【0050】
続いて、同じく
図22(A)に示したように、第1基板10の全面に有機絶縁層13を形成し、表示部2におけるコンタクトホールの形成予定位置と、注入口部3Cにおける凹部46の形成予定位置とに開口61Aを有するマスク61を用いて第1回目の露光を行う。
【0051】
引き続き、
図22(B)に示したように、表示部2の形成予定領域と、注入口部3Cにおける間隙41の形成予定位置とに開口62Aを有するマスク62を用いて第2回目の露光を行う。このとき、表示部2の形成予定領域と、間隙41の形成予定位置とは、同じ露光量が照射される。これにより、
図22(C)および
図23に示したように、表示部2には、有機絶縁層13およびコンタクトホール13Aを形成する。また、注入口部3Cには、有機絶縁層13と同じ層により複数の束柱43を形成すると共に、複数の束柱43の間に間隙41(
図21参照。)を形成する。更に、複数の束柱43の周囲の有機絶縁層13を除去して、下壁42Bおよび凹部46を形成する。
【0052】
そののち、
図24(A)に示したように、有機絶縁層13上に、共通電極14,層間絶縁膜15および画素電極16を順に形成する。
【0053】
また、
図24(B)に示したように、ガラス等よりなる第2基板20を用意し、この第2基板20にカラーフィルタ21および遮光膜22を形成する。次いで、カラーフィルタ21および遮光膜22をオーバーコート層23で被覆し、表面を平坦化する。そののち、表示部2内にスペーサ層24を形成すると共に、スペーサ層24と同じ層により上壁42Aを形成する。
【0054】
続いて、第1基板10の表示部2に配向膜17(
図24(A)には図示せず、
図3参照。)を形成し、第1基板10の額縁部3に、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂により封止枠3Aを形成する。封止枠3Aは、表示部2を囲む矩形枠状に形成すると共に、第1基板10の一辺に開口する注入口3Bを空け、注入口3Bと表示部2との間に注入口部3Cを設ける。また、第2基板20の表示部2に配向膜25(
図24(B)には図示せず、
図3参照。)を形成する。
【0055】
そののち、第1基板10と第2基板20とを封止枠3Aを挟んで対向配置し、封止枠3Aを構成する樹脂を硬化させることにより、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる。これにより、スペーサ層24と同じ層よりなる上壁42Aと、有機絶縁層13と同じ層よりなる下壁42Bおよび複数の束柱43とを有する堰構造40が形成される。
【0056】
続いて、第1基板10と第2基板20との間の内部空間に液晶を注入する。液晶は、堰構造40の複数の束柱43の間の間隙41を通って表示部2に導入される。
【0057】
そののち、封止枠3Aの内部を減圧した状態で、注入口3Bの周辺に封止材50を塗布し、封止材50を注入口部3Cに引き込み、注入口3Bから堰構造40までの部分に充填する。以上により、
図20に示した液晶表示装置1Jが完成する。
【0058】
(変形例11)
図25は、変形例11に係る液晶表示装置1Kの一部を拡大して表し、
図26は、
図25のXXVI−XXVI線における断面構成を表したものである。また、
図27は、
図26に示した堰構造40の構成を表したものである。本変形例は、下壁42Bの有機絶縁層13の下に下地層47を設けることにより、有機絶縁層13の表面に複数の束柱43となる凹凸を設けるようにして、複数の束柱43のパターニング工程を省略可能としたものである。このことを除いては、この液晶表示装置1Kは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0059】
下地層47は、例えば、絶縁層11または金属配線層12と同じ層により構成することが好ましい。このようにすれば、フォトマスクや工程を増やすことなく複数の束柱43を形成することが可能となり、生産性の向上に寄与する。特に金属配線層12は厚みが大きいので、金属配線層12と同じ層により下地層47を構成することで、より高い効果を得ることが可能となる。
【0060】
(変形例12)
図28(A)は、変形例12に係る液晶表示装置1Lの堰構造40の断面構成を表したものである。この液晶表示装置1Lでは、金属配線層12、カラーフィルタ21、遮光膜22などの既存の層を利用してセルギャップGを調整するようにしたことにより、変形例7〜13の中でも工程を増やすことなく堰構造40を形成するという効果を最も高めることが可能となっている。このことを除いては、この液晶表示装置1Lは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0061】
表示部2は、第1基板10の有機絶縁層13上にITO等の画素電極16が設けられ、第2基板20のオーバーコート層23上にITO等の共通電極14が設けられていることを除いては、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0062】
注入口部3Cには、例えば、変形例6に類似して、三つの堰構造40A,40B,40Cが、注入口3Bからの距離が異なる三つの位置に設けられている。これら堰構造40A,40B,40Cは同一の構成を有しているので、以下の説明では堰構造40と総称する。
【0063】
堰構造40は、例えば、上壁42Aを表示部2の遮光膜22,カラーフィルタ21,オーバーコート層23およびスペーサ層24と同じ層の積層構造により構成し、下壁42Bおよび複数の束柱43を有機絶縁層13と同じ層により構成したものである。すなわち、間隙41は有機絶縁層13の側に設けられている。下壁42Bの周囲には、変形例10と同様に、有機絶縁層13が除去されることにより凹部46が構成されている。
【0064】
スペーサ層24は一般的にネガレジストにより構成されているので、高さ調節が難しい。また、表示部2のスペーサ層24の高さは光学特性によって決められる。一方、有機絶縁層13はポジレジストにより構成されている。ポジレジストは露光によって厚さは数百nm単位で、幅は数μm単位で制御可能であり、更に有機絶縁層13と複数の束柱43とを同じ工程で形成することが可能であるので、工程の追加や生産性の低下は少ない。また、露光量を変えて高さを変えるハーフトーンマスクを用い、有機絶縁層13と複数の束柱43とを同じ工程、同じフォトマスクで形成し、工程負荷を更に小さくすることも可能である。
【0065】
また、本変形例では、表示部2においてはスペーサ層24に重ねて遮光膜22を配置し、注入口部3Cにおいては上壁42Aに重ねてカラーフィルタ21を配置することが好ましい。更に、表示部2においてスペーサ層24の下に金属配線層12が設けられている場合には、注入口部3Cにおいては下壁42Bの有機絶縁層13の下にも金属配線層12を設けることが好ましい。このようにして堰構造40を表示部2と同じ積層構造とすることにより、間隙41の制御を容易に行うことが可能となる。
【0066】
間隙41の調整を確実に行うには、表示部2における遮光膜22,カラーフィルタ21,オーバーコート層23およびスペーサ層24の合計厚みと、上壁42Aの高さとを同じにする必要があるが、実際には別途膜厚調整が必要となるので生産負荷やばらつきの要因となる。例えば、
図8に示したように壁42の下に複数の束柱43を設けた変形例2において、壁42の高さが低いと、
図6に示した従来構成に近くなる。そこで、本変形例では、上壁42Aを表示部2の遮光膜22,カラーフィルタ21,オーバーコート層23およびスペーサ層24と同じ層の積層構造とすることにより、間隙41の調整を最も容易に行うことが可能となり、生産上の負荷を低減することも可能となっている。また、表示部2の共通電極14および画素電極16の厚みは合計しても数百nmであるのに対して、カラーフィルタ21,遮光膜22(樹脂を用いた場合)およびオーバーコート層23の厚みは数μmオーダーと厚いので、上壁42Aを表示部2の遮光膜22,カラーフィルタ21,オーバーコート層23およびスペーサ層24と同じ層により構成することで、上壁42Aの高さを確保し、高性能の堰構造40を得ることが可能となる。
【0067】
特に、一般には額縁部3にはカラーフィルタ21は配置しないが、表示部2のスペーサ層24の下にはカラーフィルタ21が配置されている。よって、上壁42Aがスペーサ層24と同じ層により構成されている場合には、
図28(B)に示したように、上壁42Aに重ねて、赤色フィルタ21R,緑色フィルタ21Gおよび青色フィルタ21Bが表示部2内と同様に面内方向に並べて配列されていることが好ましい。
【0068】
このことを除いては、この液晶表示装置1Lは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0069】
(変形例13)
図29は、変形例13に係る液晶表示装置1Mの堰構造40の断面構成を表したものである。この液晶表示装置1Mでは、変形例3と同様に、堰構造40は、上壁42Aと下壁42Bとの間に複数の束柱43を有している。なお、液晶表示装置1MはECB(Electrically Controlled Birefringence)モードの半透過型液晶表示装置であり、第1基板10の有機絶縁層13上に画素電極(図示せず)を有し、第2基板20のオーバーコート層23上に共通電極(図示せず)を有している。また、半透過型における透過部と反射部とのセルギャップGの差を調整するために、反射部にギャップ調整層26が設けられている。液晶表示装置1Mは垂直配向モードでもよい。
【0070】
上壁42Aは、半透過型の表示部2のギャップ調整層26と同じ層により構成されている。複数の束柱43は、スペーサ層24と同じ層により構成されている。下壁42Bは、有機絶縁層13と同じ層により構成されている。半透過型の反射部には、膜厚調整可能な層(堰構造40に転用可能な層)として、透過型にもあるスペーサ層24および有機絶縁層13に加えて、更にギャップ調整層26が設けられている。よって、容易に工程を増やさず堰構造40を形成することが可能となる。
【0071】
間隙41は狭いほど効果があり、例えば0.5μm〜1μm程度であることが望ましい。一方、反射部のギャップGrは光学特性に依存し、通常は0.5μm〜1μmより大きい。よって、下壁42Bは表示部2の有機絶縁層13や画素電極(図示せず)等の積層構造よりも高く、間隙41は反射部のギャップGrよりも狭くなっている。
【0072】
この液晶表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0073】
図30および
図31は、
図29に示した液晶表示装置1Mの製造方法の主要部を工程順に表したものである。この製造方法は、表示部2の反射部のギャップGrの大きさと、堰構造40の間隙41の大きさとの差を、有機絶縁層13の厚みを変えることによって調整するようにしたものである。なお、変形例10と製造工程が重複する部分については、
図22および
図24を参照して説明する。
【0074】
まず、
図30(A)に示したように、変形例10と同様にして、
図22(A)に示した工程により、ガラス等よりなる第1基板10を用意し、この第1基板10に、TFT等よりなる駆動回路(図示せず)を形成すると共に、金属配線層12を形成する。
【0075】
続いて、同じく
図30(A)に示したように、変形例10と同様にして、
図22(A)に示した工程により、第1基板10に有機絶縁層13を形成し、表示部2におけるコンタクトホールの形成予定位置と、注入口部3Cにおける凹部46の形成予定位置とに開口61Aを有するマスク61を用いて第1回目の露光を行う。
【0076】
引き続き、
図30(B)に示したように、表示部2の形成予定領域と、下壁42Bの形成予定領域の一部とに開口63Aを有するマスク63を用いて第2回目の露光を行う。これにより、
図30(C)に示したように、表示部2に有機絶縁層13およびコンタクトホール13Aを形成すると共に、有機絶縁層13と同じ層により下壁42Bを形成する。同時に、下壁42Bの上面の一部に凹部42Cを設ける。
【0077】
そののち、有機絶縁層13上に、透過部はITOなどの透明電極により画素電極(図示せず)を形成し、反射部はアルミニウム(Al)または銀(Ag)などの光を反射する電極を用いて画素電極(図示せず)を形成する。続いて、画素電極の上に配向膜(図示せず)を形成する。
【0078】
また、
図31(A)に示したように、ガラス等よりなる第2基板20を用意し、この第2基板20にカラーフィルタ21および遮光膜22を形成する。次いで、カラーフィルタ21および遮光膜22をオーバーコート層23で被覆し、表面を平坦化する。続いて、オーバーコート層23の上に共通電極(図示せず)を形成する。
【0079】
そののち、同じく
図31(A)に示したように、表示部2の反射部にギャップ調整層26を形成すると共に、ギャップ調整層26と同じ層により上壁42Aを形成する。
【0080】
続いて、
図31(B)に示したように、表示部2内にスペーサ層24を形成すると共に、スペーサ層24と同じ層により複数の束柱43を形成する。スペーサ層24と、複数の束柱43とは同じ高さで形成する。そののち、配向膜(図示せず)を形成する。
【0081】
第1基板10および第2基板20を形成したのち、例えば第1基板10の額縁部3に、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂により封止枠3Aを形成する。封止枠3Aは、表示部2を囲む矩形枠状に形成すると共に、第1基板10の一辺に開口する注入口3Bを空け、注入口3Bと表示部2との間に注入口部3Cを設ける。
【0082】
そののち、第1基板10と第2基板20とを封止枠3Aを挟んで対向配置し、封止枠3Aを構成する樹脂を硬化させることにより第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる。これにより、ギャップ調整層26と同じ層よりなる上壁42A,有機絶縁層13と同じ層よりなる下壁42B,およびスペーサ層24と同じ層よりなる複数の束柱43を有する堰構造40が形成される。複数の束柱43の先端部は、
図32に示したように、下壁42Bの凹部42Cに収容される。これにより、間隙41の大きさを、表示部2の反射部のギャップGr(スペーサ層24の高さ、すなわち複数の束柱43の高さ)よりも小さくすることが可能となる。
【0083】
このように間隙41の大きさを有機絶縁層13のパターニングによって調節することには、以下のような利点がある。スペーサ層24は一般的にネガレジストにより構成されているので、スペーサ層24と同じ層よりなる複数の束柱43の高さ調節は難しい。また、表示部2のスペーサ層24の高さは表示部2のセルギャップGの設計や光学特性に依存する。一方、有機絶縁層13はポジレジストにより構成されている。ポジレジストは露光によって厚さは数百nm単位で、幅は数μm単位で制御可能である。従って、有機絶縁層13のマスクを変更するのみで間隙41の大きさを調整することが可能となる。また、反射部のギャップGrは狭くする必要があるので、生産性への影響は軽微である。
【0084】
図32とは反対に、間隙41の大きさを、表示部2の反射部のギャップGr(スペーサ層24の高さ、すなわち複数の束柱43の高さ)よりも大きくしたい場合には、
図33に示したように、有機絶縁層13と同じ層よりなる下壁42Bに、複数の束柱43の先端部を載せる台座部42Dを設ける。そのためには、
図30(B)に示した第2回目の露光の際に、下壁42Bの台座部42D以外の部分を、表示部2の形成予定領域と同じ露光量となるように露光する。
【0085】
このようにして第1基板10と第2基板20とを貼り合わせたのち、第1基板10と第2基板20との間の内部空間に液晶を注入する。液晶は、堰構造40の複数の束柱43の間の間隙41を通って表示部2に導入される。
【0086】
そののち、封止枠3Aの内部を減圧した状態で、注入口3Bの周辺に封止材50を塗布し、封止材50を注入口部3Cに引き込み、注入口3Bから堰構造40までの部分に充填する。以上により、
図29に示した液晶表示装置1Mが完成する。
【0087】
(第2の実施の形態)
図34は、本開示の第2の実施の形態に係る液晶表示装置1Nの一部を拡大して表し、
図35は、
図34のXXXV−XXXV線における断面構成を表したものである。
図36は、
図35に示した堰構造の構成を表したものである。この液晶表示装置1Nでは、第1の実施の形態と同様に、注入口部3Bに、堰構造40と、封止材50とが設けられている。堰構造40は、第1の実施の形態と同様に、液晶の通過口としての間隙41を有すると共に、第1基板10および第2基板20の両方に接している。具体的には、堰構造40は、第1基板10と第2基板20との間に、封止材50の進入方向A1に対して垂直ではない(例えば、平行な)方向に設けられた複数の壁48を有している。これにより、この液晶表示装置1Nでは、第1の実施の形態と同様に、封止材50の注入速度や注入量のばらつきを低減することが可能となっている。
【0088】
壁48は、例えば、封止材50の進入方向A1に対して平行な方向に設けられていると共に、互いに間隙41をあけて並べて配置されている。液晶は、複数の壁48の間の間隙41を通って表示部2に導入されるようになっている。間隙41の幅を調整することにより、第1の実施の形態の壁42と同様に封止材50の注入速度や注入量が制御される。なお、壁48の間隙41は、変形例4と同様に封止材50の進入方向A1に対して斜めに設けたり、変形例5と同様に、蛇行形状としたりすることも可能である。壁48は、例えば、スペーサ層24またはオーバーコート層23と同じ層により構成することが可能である。
【0089】
このことを除いては、この液晶表示装置1Nは、第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0090】
(変形例14)
図37は、変形例14に係る液晶表示装置1Oの堰構造40の平面構成を表したものである。堰構造40は、封止材50の注入経路を制御して、封止材50の表示部2への影響を抑えるためのものであるので、本変形例のように、注入口3Bを表示部2の一辺の中間位置に設け、堰構造40を表示部2の外形線に沿って直線状に設けるようにすることも可能である。このことを除いては、本変形例は第1または第2の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有し、第1または第2の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0091】
(変形例15)
図38は、変形例15に係る液晶表示装置1Pの堰構造40の平面構成を表したものである。本変形例は、注入口3Bを表示部2の一角に設け、堰構造40を表示部2の外形線に沿ってL字状に設けるようにしたことを除いては変形例14と同様である。
【0092】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記第1の実施の形態では、壁42または上壁42Aおよび下壁42Bが、封止材50の進入方向A1に対して垂直な方向に延在している場合について説明した。しかしながら、壁42または上壁42Aおよび下壁42Bは、封止材50の進入方向A1に対してほぼ垂直、または交差する(斜めの)方向に設けられていることも可能である。
【0093】
また、上記第2の実施の形態では、壁48が、封止材50の進入方向A1に対して平行な方向に設けられている場合について説明したが、壁48は、封止材50の進入方向A1に対してほぼ平行、または交差する(斜めの)方向に設けられていてもよい。
【0094】
更に、上記実施の形態では、表示部2がFFSの構成を有する場合について説明したが、TN(Twisted Nematic)またはVA(Vertically Aligned)など他の構成を有していてもよい。
【0095】
加えて、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、第1基板10および第2基板20は、ガラスのほか、シリコン(Si)基板、プラスチック基板、または表面が絶縁性に保たれた他の材料基板でもよい。
【0096】
更にまた、例えば、上記実施の形態において液晶表示装置の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0097】
加えてまた、本開示の表示装置は、携帯電話,スマートフォン,デジタルカメラ,ポータブルDVDブルーレイビューア,ポータブルゲーム機などのモバイル機器やAV機器のモニタ、その他、カーナビゲーション装置,フォトフレーム,小型のノート型パーソナルコンピュータなどに適用可能である。中でも、携帯電話またはスマートフォンなどに適用すれば、狭額縁化という観点で有利である。
【0098】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
一対の基板の間に液晶層を有する表示部と、前記一対の基板の周縁部に設けられた額縁部とを有し、
前記額縁部は、液晶注入のための注入口および前記注入口と前記表示部との間の注入口部を有し、
前記注入口部は、
間隙を有すると共に前記一対の基板の両方に接している堰構造と、
前記注入口から前記堰構造までの部分に設けられた封止材と
を備えた液晶表示装置。
(2)
前記堰構造は、
前記一対の基板の少なくとも一方に、前記封止材の進入方向に対して交差する方向に延在する壁と、
前記壁の上に設けられた複数の束柱と
を有する前記(1)記載の液晶表示装置。
(3)
前記間隙の出口に傾斜部を有する
前記(2)記載の液晶表示装置。
(4)
前記堰構造は、前記注入口からの距離が異なる二つ以上の位置に設けられている
前記(2)または(3)記載の液晶表示装置。
(5)
前記堰構造は、前記一対の基板の間に、前記封止材の進入方向に対して垂直ではない方向に設けられた複数の壁を有する
前記(1)記載の液晶表示装置。
(6)
前記堰構造は、前記表示部を構成する他の層と同じ層により構成されている
前記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(7)
一対の基板の間に液晶層を有する表示部と、前記一対の基板の周縁部に設けられた額縁部とを有し、前記額縁部は、液晶注入のための注入口および前記注入口と前記表示部との間の注入口部を有する液晶表示装置の製造方法であって、
前記注入口部に、間隙を有すると共に前記一対の基板の両方に接している堰構造を形成する工程と、
前記注入口から前記堰構造までの部分に封止材を設ける工程と
を含む液晶表示装置の製造方法。
(8)
前記堰構造を、前記表示部を構成する他の層と同時に形成する
前記(7)記載の液晶表示装置の製造方法。
(9)
前記堰構造を複数の層の積層構造として形成すると共に、前記複数の層を、前記一対の基板の両方に振り分けて設ける
前記(8)記載の液晶表示装置の製造方法。
(10)
前記堰構造の全部を、前記一対の基板のいずれか一方に設ける
前記(8)記載の液晶表示装置の製造方法。