特許第5694085号(P5694085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694085
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/04 20060101AFI20150312BHJP
   B60K 17/06 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B60K13/04 B
   B60K17/06 D
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-180916(P2011-180916)
(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公開番号】特開2013-43482(P2013-43482A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2013年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100169915
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 政宏
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 孝史
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−149813(JP,A)
【文献】 特開2010−247671(JP,A)
【文献】 特開平08−108866(JP,A)
【文献】 特開2011−116318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
B60K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部位置に変速ユニット及びマフラーが配置されている作業車であって、
前記変速ユニットが、ミッションケースに連結する無段変速装置で構成され、この無段変速装置で変速された駆動力を前記ミッションケースに伝え、このミッションケースから左右の後輪駆動軸により左右の後車輪に伝える伝動系が構成されると共に、
前記無段変速装置が、上部位置を下部位置より機体左右方向の一方に変位させる斜め姿勢に設定して配置され、前記無段変速装置の上部位置に対して機体左右方向の他方の側で、前記後輪駆動軸の上方位置に前記マフラーが配置されている作業車。
【請求項2】
前記無段変速装置は、前記ミッションケースの後端部に連結されているとともに、上部位置を前記ミッションケースの上面より上方に突出させ、かつ、この突出した上部を前記斜め姿勢に設定して配置されている請求項1記載の作業車。
【請求項3】
エンジンの後部に前記ミッションケースが連結し、このミッションケースの後部に前記無段変速装置が連結し、前記ミッションケースの下部から前方に向けて前後向き姿勢となる前輪駆動用のドライブシャフトが配置されると共に、
前記エンジンが、機体左右方向の中央から機体左右方向の前記他方の側に変位して配置され、機体左右方向の中央から機体左右方向の前記一方側に前記ドライブシャフトが配置されている請求項1又は2記載の作業車。
【請求項4】
前記無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから供給される作動油により作動する油圧モータとを備えると共に、この無段変速装置の側面に前記作動油を濾過するオイルフィルタが備えられている請求項1〜3のいずれか一項記載の作業車。
【請求項5】
前記無段変速装置の後方位置に、この無段変速装置を保護するプロテクタが着脱自在に備えられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記無段変速装置が、ベルト巻回半径の調節が可能な駆動側プーリと、従動側プーリと、これらに巻回する無端ベルトとを備えて構成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部位置にミッションケースが配置されている作業車に関し、詳しくは、エンジンの排気音を低減するマフラーの配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された作業車として特許文献1には、走行機体の後部位置にエンジンとミッションケースとを連結した原動部が配置され、この原動部の上方で荷台の下方位置にマフラーを配置した構成が示されている。このマフラーは円筒形状であり円筒形状の軸芯を前後向きに設定した姿勢で配置され、その前端にエンジンの排気ガスが供給され、排気ガスを後端から排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010‐190152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるユーティリティビークルのように走行機体の後部位置にエンジンとミッションケースとを有する原動部が配置され、この原動部の両側部に後車輪が配置される作業車では、後車輪が配置されるスペースを確保するために、原動部を収容するスペースが制限され、制限されたスペースにマフラーを配置することになる。
【0005】
また、作業車に無段変速装置を備える構成では、原動部を収容するスペースが更に狭小化するためマフラーの配置が困難になりやすく改善の余地がある。このような不都合を回避するために原動部が配置される空間の上下方向での寸法を拡大することも考えられるが、このように拡大した場合には、原動部の上部に配置される荷台が高レベル化することや、走行機体の重心の上昇にも繋がり改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、変速ユニットが配置される空間を無駄に拡大することなく、限られた空間にマフラーを配置した作業車を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、走行機体の後部位置に変速ユニット及びマフラーが配置されている作業車であって、前記変速ユニットが、ミッションケースに連結する無段変速装置で構成され、この無段変速装置で変速された駆動力を前記ミッションケースに伝え、このミッションケースから左右の後輪駆動軸により左右の後車輪に伝える伝動系が構成されると共に、前記無段変速装置が、上部位置を下部位置より機体左右方向の一方に変位させる斜め姿勢に設定して配置され、前記無段変速装置の上部位置に対して機体左右方向の他方の側で、前記後輪駆動軸の上方位置に前記マフラーが配置されている点にある。
【0008】
この構成によると、変速ユニットの上部が走行機体の左右方向の一方に変位し、機体左右方向で変速ユニットの他方側の空間が拡大するため、変速ユニットが配置される空間が比較的狭くとも、変速ユニットに妨げられることなくマフラーを配置できる。
従って、変速ユニットが配置される空間を無駄に拡大することなく、限られた空間にマフラーを配置した作業車が構成された。
また、これによると、無段変速装置を、その上部が機体左右方向の一方に変位する斜め姿勢に設定することにより、上下寸法の長い無段変速装置であっても上部の上方への突出量を抑制すると同時に、この無段変速装置の上部の他方側の空間を拡大してマフラーを配置できる。
【0009】
本発明は、前記無段変速装置は、前記ミッションケースの後端部に連結されているとともに、上部位置を前記ミッションケースの上面より上方に突出させ、かつ、この突出した上部を前記斜め姿勢に設定して配置されているものであってもよい。
【0011】
本発明は、エンジンの後部に前記ミッションケースが連結し、このミッションケースの後部に前記無段変速装置が連結し、前記ミッションケースの下部から前方に向けて前後向き姿勢となる前輪駆動用のドライブシャフトが配置されると共に、前記エンジンが、機体左右方向の中央から機体左右方向の前記他方の側に変位して配置され、機体左右方向の中央から機体左右方向の前記一方側に前記ドライブシャフトが配置されても良い。
【0012】
これによると、無段変速装置で変速された駆動力をミッションケースから後車輪に伝えると共に、このミッションケースからドライブシャフトにより前車輪に伝えることが可能になる。また、エンジンが他方側に変位して配置されているので、このエンジンの底部のオイルパン等に干渉しない位置にドライブシャフトを配置でき、エンジンが他方側に配置されるので、このエンジンからの排気ガスをマフラーに送る排気管等を直線的にする等、合理的な配置が実現する。
【0013】
本発明は、前記無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから供給される作動油により作動する油圧モータとを備えると共に、この無段変速装置の側面に前記作動油を濾過するオイルフィルタが備えられても良い。
【0014】
これによると、油圧ポンプから油圧モータに供給する作動油の量の調節で駆動速度を無段階に変速でき、オイルフィルタを無段変速装置の側面に備えているので、このオイルフィルタの交換も容易に行える。
【0015】
本発明は、前記無段変速装置の後方位置に、この無段変速装置を保護するプロテクタが着脱自在に備えられても良い。
【0016】
これによると、無段変速装置の後端が機体フレームの後端から後方に突出する構成であっても、プロテクタが無段変速装置を保護することになり、例えば、走行機体を後進させた場合にも無段変速装置を破損させる等の不都合を招くことがない。また、プロテクタを取り外すことにより、無段変速装置のメンテナンスを容易に行えオイルフィルタ等の交換も容易に行える。
【0017】
本発明は、前記無段変速装置が、ベルト巻回半径の調節が可能な駆動側プーリと、従動側プーリと、これらに巻回する無端ベルトとを備えて構成されても良い。
【0018】
これによると、所謂、ベルトCVTとして無段変速装置が構成されるので高い伝動効率で駆動力を無段階に変速して走行を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】作業車の全体側面図である。
図2】作業車の全体平面図である。
図3】作業車の伝動系を示す平面図である。
図4】機体フレームの斜視図である。
図5】機体フレームの後部の着脱ユニットを示す斜視図である。
図6】駆動部の側面図である。
図7】駆動部の平面図である。
図8】走行機体の後面図である。
図9】駆動部から変速操作構造を分離した状態の斜視図である。
図10】駆動部と変速操作構造との斜視図である。
図11】変速操作構造の斜視図である。
図12】変速操作構造の側面図である。
図13】分離状態の着脱フレームユニットを示す後面図である。
図14】別実施形態(a)の構成を示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1図3に示すように、操向操作自在な左右一対の前車輪1と、左右一対の後車輪2とを走行機体Aに備え、この走行機体Aの前部位置に運転部を構成するキャビンBを備え、走行機体Aの後部に荷台3を備え、この荷台3の下方位置に駆動部Cを備えて作業車が構成されている。
【0021】
この作業車は、駆動部Cからの駆動力を前車輪1と後車輪2とに伝える走行駆動系を有した4輪駆動型であり、農作業や運搬作業等の多目的の作業に使用されるユーティリティビークルとして構成されている。荷台3は、後端側が走行機体Aの後端位置に対して横向き姿勢の軸芯Pを中心にして揺動自在に支持され、ダンプシリンダ4の作動により前端側を上昇させて積載物を後方に排出できるように構成されている。
【0022】
走行機体Aの前部位置には開閉自在にボンネット5を備えており、このボンネット5の左右下部には、前車輪1の上部を覆うフロントフェンダー6が配置されている。前記キャビンBは、キャビン本体7の前部にフロントガラス8を備え、この側部に対して開閉自在に備えられるドアー9を備えている。
【0023】
キャビンBには運転者が着座する運転座席11と、この運転座席11に隣接する位置で横長となる2人掛用の助手座席12とが備えられている。また、運転座席11の前部位置には前車輪1を操向制御するステアリングホイール13と、主変速レバー14と、パーキングレバー15とが備えられ、この下部位置には走行速度を制御する変速操作具としてのアクセルペダル16と、前車輪1及び後車輪2のブレーキ装置(図示せず)を操作するブレーキペダル17とが備えられている。
【0024】
走行機体Aの後端側には、左右の後車輪2の上方を覆うリヤフェンダー18が備えられ、このリヤフェンダー18には、ブレーキランプ19が備えられている。
【0025】
〔機体フレーム〕
走行機体Aの強度メンバーとしての機体フレームFを備えている。この機体フレームFは図4に示すように、前後方向に伸びる左右一対のメインフレーム21と、このメインフレーム21の前部位置においてキャビンBを支持するキャビンフレームユニット22と、メインフレーム21の前端に連結する前部フレームユニット23と、メインフレーム21の後部位置の上方位置でメインフレーム21と平行姿勢となるように走行機体Aの前後方向に伸びる左右一対の上部フレーム24と、駆動部Cを支持する着脱フレームユニットGとを備えて構成されている。
【0026】
メインフレーム21と上部フレーム24とは角パイプ状の鋼材が用いられ、キャビンフレームユニット22と前部フレームユニット23とは、角パイプ材やチャンネル材等の鋼材が用いられている。
【0027】
キャビンフレームユニット22は、キャビンBの前部に配置される横向き姿勢のフレーム体と、運転座席11の下側に配置される横向き姿勢のフレーム体とを含む構造物として構成されている。前部フレームユニット23は、ボンネット5の下側に配置される構造物であり、この前部フレームユニット23の左右位置には、ダブルウイッシュボーン型に構成される上下一対の前部サスペンションアーム25の基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、前部サスペンションアーム25の上方への揺動時に圧縮される前部サスペンションスプリング26を有する前部サスペンションユニット27の下端が前部サスペンションアーム25に支持され、この前部サスペンションユニット27の上端を前部フレームユニット23が支持している。
【0028】
左右のメインフレーム21と、この上部に配置される上部フレーム24とは縦向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る連結フレーム28によって連結されている。また、メインフレーム21の後端側に隣接する位置で上部フレーム24の下側にメインフレーム21と上部フレーム24とに対して分離自在に連結するように着脱フレームユニットGが配置されている。
【0029】
図6に示すように、駆動部Cは、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置V(変速ユニットの一例)とを連結した構成を有しており、図5及び図6に示すように、着脱フレームユニットGは、駆動部Cの下側(上部フレーム24より下側)に配置されるマウントフレーム31と、このマウントフレーム31を左右の上部フレーム24に連結するように左右に2つずつ配置される断面形状コ字状の縦フレーム32と、マウントフレームの31の前端側に形成される横向き姿勢の前部フレーム33とを備えて構成されている。
【0030】
この着脱フレームユニットGは、後述するように後車輪2を支持する機能も有するものであり、他のフレームから分離することにより、この着脱フレームユニットGに駆動部Cと後車輪2とを支持した状態で機体フレームFから取り外せるように構成されている。
【0031】
マウントフレーム31は、鋼板をプレス加工する等の加工によりリブ状部分を形成して強度を高めており、横幅が左右の上部フレーム24の左右間隔より短い寸法に設定されている。マウントフレーム31には、ミッションケースMを支持するように左右一対の後部マウント支持体34を備えている。また、マウントフレーム31の両端部と、上部フレーム24とを縦フレーム32で直線的に連結するため、左右の縦フレーム32は、上端側ほど機体外方に変位する傾斜姿勢で備えられている。
【0032】
つまり、図4図5図8に示す如く、前後方向視において、上部に左右一対の上部フレーム24を備え、下部にマウントフレーム31(下部フレームUFの一例)を備え、両側部に上側ほど外側に変位する傾斜姿勢の縦フレーム32を備えることにより、左右の縦フレーム32の上端同士を結ぶ仮想ラインを上底とし、左右の縦フレーム32の下端同士を結ぶ仮想ラインを下底とした場合に、上底の長さが下底の長さより長い逆台形となるように夫々の位置関係が設定されている。
【0033】
縦フレーム32は、チャンネル状の鋼材が用いられ、上部フレーム24に上端が連結する上部部材32Aと、下端がマウントフレーム31に連結する下部部材32Bとを分離自在に連結した構造を有しており、上部部材32Aの一部と下部部材32Bの一部とを重ね合わせ、この重ね合わせ部分に挿通する連結ボルト32Sにより夫々が分離自在に連結されている。また、前部フレーム33の両端部にブラケット33Aを備え、このブラケット33Aに挿通する挿通ボルト33Sによりメインフレーム21の後端に対して分離自在に連結されている。
【0034】
左右のメインフレーム21の後部近くに横向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る支持フレーム35(下部フレームUFの一例)が配置され、この支持フレーム35の左右端部のフランジ部35Aがメインフレーム21に対してフランジボルト35Sにより分離自在に連結している。また、支持フレーム35にはエンジンEを支持するように左右一対の前部マウント支持体36が形成されている。
【0035】
尚、マウントフレーム31として板材を用いる必要はなく、左右一対の角パイプ材を用いてマウントフレーム31を構成しても良い。また、縦フレーム32は中間部分で分離自在に構成されるものでなくても良く、例えば、縦フレーム32の上端部分が上部フレーム24に対して分離自在に連結される構成でも、縦フレーム32の下端部分がマウントフレーム31に対して分離自在に連結される構成でも良い。
【0036】
上部フレーム24の後端近くに架け渡される形態で、左右の上部フレーム24に両端部が連結する横向き姿勢で鋼材で成る横フレーム37が備えられ、この横フレーム37の中間位置にミッションケースMを吊り下げる形態で支持するための上部マウント支持体38が備えられ、この横フレーム37の両端部にはサスペンション支持部37Aが形成されている。
【0037】
前述したメインフレーム21とマウントフレーム31と前部フレーム33と支持フレーム35とが、機体フレームFの下部位置に配置されるため、これらメインフレーム21とマウントフレーム31と前部フレーム33と支持フレーム35とを併せて下部フレームUFと称している。前述したようにマウントフレーム31と支持フレーム35と縦フレーム32の下部部材32Bとが、他のフレームに対して分離自在であるため、下部フレームUFの一部が分離自在に構成されていることになる。
【0038】
前述した左右の縦フレーム32の下部部材32Bに対して、ダブルウィッシュボーン型に構成される上下一対の後部サスペンションアーム39の基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、後部サスペンションアーム39の上方への揺動時に圧縮される後部サスペンションスプリング40を有する後部サスペンションユニット41の下端が後部サスペンションアーム39に支持され、この後部サスペンションユニット41の上端を横フレーム37のサスペンション支持部37Aが支持している。尚、後部サスペンションユニット41の上端を上部フレーム24に支持して良く、この上部フレーム24に支持ブラケットを備え、この支持ブラケットに後部サスペンションユニット41の上端を支持しても良い。
【0039】
〔駆動部〕
図3図6図7図9図10に示すように、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとを、この順序で連結することでエンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとが一体化された駆動部Cが構成されている。エンジンEの前端位置の下部の左右2箇所が支持フレーム35の左右一対の前部マウント支持体36に対し下部防振マウント45により支持され、ミッションケースMの後端位置の下部の左右2箇所がマウントフレーム31の左右一対の後部マウント支持体34に下部防振マウント45により支持され、ミッションケースMの上面に突設した吊下フレーム47の上端部が、上部マウント支持体38に対して上部防振マウント48により支持されている。
【0040】
これら下部防振マウント45と、上部防振マウント48とはブッシュ型の防振ゴムで構成され、駆動部Cから機体フレームFに伝えられる振動を抑制するように機能する。前述したようにマウントフレーム31の横幅が比較的短いため、ミッションケースMを支持する左右の下部防振マウント45の間隔が短く設計されており、駆動部Cの上端部が横方向に振動しやすい構成となっている。これに対して左右の上部フレーム24に亘って備えられる横フレーム37に対して、上部防振マウント48によりミッションケースMの上部が吊り下げられる形態で支持されているので、駆動部Cの横方向への振動を抑制できるものにしている。
【0041】
ミッションケースMの上方位置の左側にはエンジンEの排気音を低減するように、上面に防熱用のカバー50を有したマフラー51を備えている。
【0042】
ミッションケースMの内部構造は図面に示していないが、このミッションケースMは、無段変速装置Vで変速された駆動力を複数段に変速すると共に、前後進の切換を行うギヤ式の変速装置と、デファレンシャルギヤ(図示せず)とを内蔵している。
【0043】
無段変速装置Vは、図6に示すように、エンジンEからの駆動力により作動するアキシャルプランジャ型の可変容量型の油圧ポンプ53と、この油圧ポンプ53から供給される作動油により回転するアキシャルプランジャ型の油圧モータ54とを備えており、後部側面には、図7及び図10に示すように、作動油を濾過する2つのオイルフィルタ55が着脱自在に備えられている。尚、2つのオイルフィルタ55のうちの一方が作動油を油圧ポンプに吸引するサクション側に配置され、他方が作動油を排出するドレン側に配置されている。
【0044】
この駆動部Cでは、エンジンEが、その出力軸(クランク軸:図示せず)の軸芯を前後向き方向に設定した姿勢で備えられ、この出力軸に連結する伝動軸(図示せず)をミッションケースMに前後方向に貫通させることで、エンジンEの駆動力を無段変速装置Vの油圧ポンプ53に伝え、この無段変速装置Vの油圧モータ54からの駆動力をミッションケースMに伝える伝動系が構成されている。また、ミッションケースMでは駆動力を変速装置で変速し、デファレンシャルギヤから左右の後部出力軸61に伝え、この後部出力軸61から後輪駆動軸62を介して左右の後車輪2に伝えると共に、図3に示すように、下面側に形成した下部出力軸(図示せず)及びドライブシャフト63から前輪デファレンシャルギヤ64に伝え、更に、前輪駆動軸65から左右の前車輪1に伝えるように伝動系が構成されている。
【0045】
特に、ドライブシャフト63と、エンジンEの下部のオイルパンとが接触しないように、ミッションケースMの左右方向での中央位置を基準にして、エンジンEの左右方向での中央位置を左側に偏位させて配置している。尚、ミッションケースMの左右方向での中央位置を基準にして、エンジンEの左右方向での中央位置を右側に偏位させて配置し、ドライブシャフト63をエンジンEの下部の左側に配置しても良い。
【0046】
図6図13に示す如く、無段変速装置Vは、油圧ポンプ53を下側に配置し油圧モータ54を上側に配置する構成から、この無段変速装置Vの上端レベルがミッションケースMの上面より上方に高い位置に設定され、無段変速装置Vの上端がミッションケースMの上面より上方に突出している。この無段変速装置Vの上方への突出量を抑制すると共に、無段変速装置Vの上部の左側部にマフラー51の配置空間を拡大するために、無段変速装置Vを、前後方向視において上端側を右側(外側)に変位させるように、この無段変速装置Vを傾斜姿勢に設定している。尚、無段変速装置Vを、前後方向視において上端側を左側(外側)に変位させるように、この無段変速装置Vを傾斜姿勢に設定すると共に、マフラー51を無段変速装置Vの右側に配置するように構成しても良い。更に、マフラー51を機体フレームFの外側に配置しても良い。
【0047】
その後端部が機体フレームFの後端より少し後方に突出する位置に無段変速装置Vが配置され、図5図7に示すように、この後端部を保護するプロテクタ57が機体フレームFの後端に備えられている。このプロテクタ57は、左右の後部位置の縦フレーム32の下部部材32Bの後面に分離自在に連結するパイプフレーム57Aと、このパイプフレーム57Aに支持される縦壁状の保護プレート57Bとで構成され、パイプフレーム57Aを縦フレーム32から分離することで、機体フレームFからプロテクタ57を分離して、オイルフィルタ55の交換や、無段変速装置Vのメンテナンスを容易にする。
【0048】
図7図9図10に示すように、エンジンEは、上面の右側にエアークリーナ(図示せず)から空気が供給されるインテークマニホールド67を備え、左側にエグゾーストマニホールド68を備えており、このエグゾーストマニホールド68とマフラー51との間に排気管69が配置されている。
【0049】
マフラー51は、円筒状に成形され、後端には排気ガスを左側の下方に送り出すように屈曲した筒状の排気部51Aを備えている。このマフラー51の前端部は前ブラケット58によりミッションケースMの上面に支持され、後端部は後ブラケット59により無段変速装置Vの上面に支持されている。防熱用のカバー50は前端部がビス等によりミッションケースMの上面に支持され、後端部がビス等により無段変速装置Vの上面に支持されている。また、前述した排気部51Aは、荷台3を上昇させた場合に接触しない位置に配置され、この排気部51Aは、近傍に部材が存在しない空間に排気ガスを送り出すように排気方向が設定されている。図面には示していないが、マフラー51の前端部を支持する前ブラケット58と、後端部を支持する後ブラケット59とには、マフラー51に形成されたネジ孔に対してビス等で固定されており、前ブラケット58と後ブラケット59とには、マフラー51をミッションケースMに固定するビスが挿通する長孔が異なる姿勢で形成され、このように長孔の姿勢が設定されることによりマフラー51の寸法誤差や、取付位置の誤差等を吸収して取付を容易にしている。
【0050】
前述したように機体フレームFの後端部は、後面視において逆台形となるように上部フレーム24とマウントフレーム31と左右の縦フレーム32とが配置されている。そして、無段変速装置Vの上部が右方向に変位するように無段変速装置Vを斜め姿勢で配置し、この無段変速装置Vの上部の左側で、逆台形の上部の左側の角部の内部(隅部)において横フレーム37の下側の近傍にマフラー51を配置することで機体フレームFの内部空間を有効に利用できるようにしている。また、平面視では図7に示す如くマフラー51は、横フレーム37の下側に重なり合う位置で、この横フレーム37の近傍に配置され、このマフラー51が後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置されている。前述したようにマフラー51を機体フレームFの内部の右側に配置しても良く、このように配置した場合にもマフラー51が後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置される。
【0051】
特に、マフラー51は、カバー50により上面の殆どの部分が覆われており、このカバー50にはプレス加工により「HOT」(図示せず)の文字等が突出形成されている。また、カバー50では、プレス加工により突出形成される文字等の一部を開放することで上面に雨水等が溜まり難くしており、プレス加工で凹凸が形成することでカバー50の表面積が拡大して放熱効果を高めると同時に強度を高めている。このマフラー51は、排気管69の後端が連結固定しており、ミッションケースM等の近傍の部材が取付られた後においても、排気管69とマフラー51とを一体的に着脱できるように構成されている。
【0052】
〔駆動部の分離〕
前述したように、着脱フレームユニットGと、支持フレーム35とともに駆動部Cを機体フレームFから分離し、上部防振マウント48の部位を分離することにより、駆動部Cを下方に抜き出す形態で取り外せるように構成されている。
【0053】
具体的には、機体フレームFを全体的に持ち上げておき、挿通ボルト33Sを抜き取ることにより前部フレーム33のブラケット33Aをメインフレーム21から分離し、連結ボルト32Sの抜き取りにより左右の縦フレーム32を構成する上部部材32Aから下部部材32Bを分離(着脱フレームユニットGを分離)し、フランジボルト35Sの分離により支持フレーム35の両端のフランジ部35Aをメインフレーム21から分離し、上部防振マウント48の部位を分離し、後部サスペンションユニット41の上端又は後端を分離することになる。
【0054】
この分離を行うことによりエンジンEが下部防振マウント45により支持フレーム35に支持された状態で、かつ、ミッションケースMがマウントフレーム31に下部防振マウント45で支持された状態で、図13に示す如く、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとで成る駆動部Cが一体的に機体フレームFから下方に移動させる形態で取り外せる。また、この駆動部Cには、マフラー51が備えられ、左右の縦フレーム32には後部サスペンションアーム39を介して後車輪2が支持されているので、これらも駆動部Cとともに下方に取り外せるのである。
【0055】
特に、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとは重量物であり、これらを下方に移動させる形態で機体フレームFから取り外せるので、これらを上方に吊り上げる形態で取り外すものと比較すると、吊り上げるための設備を必要とせず、例えば、油圧ジャッキを利用して下方に加工させる形態での取り外しも可能となる。また、この作業車で前部フレーム33がメインフレーム21に連結しない構成を採用しても良く、このような構成を採用することでマウントフレーム31を分離する際の手間が軽減する。
【0056】
〔変速操作構造〕
図6図7図9図11に示すように、エンジンEとミッションケースMの下部位置とが連結され、これらの間の上部位置に隙間Hが形成されている。この隙間Hの状部を跨ぐ位置においてエンジンEの後部の上面と、ミッションケースMの前部で上方に突出する突出部Maとに亘って連結部材71を配置し、この連結部材71の前端をエンジンEにボルト連結し、後端をミッションケースMの突出部Maにボルト連結し、この連結によりエンジンEとミッションケースMとの連結強度の向上が図られている。
【0057】
この連結部材71の上部位置に横向き姿勢の中間軸芯Xと同軸芯上に筒状体72を設け、この筒状体72に対して回転自在に中間作動軸73が内嵌状態で支持されている。中間作動軸73の右側の端部にプレート状の入力アーム74の中間位置が連結し、中間作動軸73の左側の端部にベルクランク状の出力アーム75が連結し、この中間作動軸73の中間部分にニュートラルカム76が連結している。
【0058】
筒状体72の外面にアーム状のステー77が固設され、変速操作具としてのアクセルペダル16に連係する第1操作手段としての操作ワイヤ78のアウタワイヤ78Aの端部がステー77に支持されている。また、操作ワイヤ78のインナワイヤ78Bの端部が入力アーム74の一方の端部に連結し、この入力アーム74の他方の端部には、この入力アーム74の作動力をエンジンEのスロットル機構Etに伝える第3操作手段としての調速ロッド79が連結している。
【0059】
無段変速装置Vの左側面には変速操作部80が配置され、この変速操作部80に水平姿勢で突設された変速操作軸81を揺動操作する変速操作アーム81Aが備えられている。この変速操作アーム81Aは図6に示す中立姿勢で、油圧ポンプ53から油圧モータ54に供給される作動油を遮断して走行を停止させ、変速操作アーム81Aを揺動操作することで油圧ポンプ53から油圧モータ54に供給する作動油を増大させ走行速度の増速を実現する。
【0060】
変速操作アーム81Aに操作ロッド82の一方の端部が連結し、出力アーム75の一方のアームに操作ロッド82の他方の端部が連結している。出力アーム75の他方の端部には変速操作アーム81Aの急激な作動を抑制するオイルダンパ83を接続している。図12に示すように、ニュートラルカム76の外周には凹状のカム面76Aが形成されている。筒状体72に固設したアーム体84の突出端の支承部85に対して中間軸芯Xと平行姿勢の軸芯を中心にして揺動自在に中立復帰アーム86が支承され、この中立復帰アーム86にはニュートラルカム76のカム面76Aに係入可能な遊転ローラで成る当接部材87が支承され、この中立復帰アーム86の揺動端には中立復帰バネ88の付勢力を作用させている。
【0061】
この変速操作構造により、アクセルペダル16が踏み込み操作された場合には、インナワイヤ78Bが引き操作され、入力アーム74と中間作動軸73とが中間軸芯Xを中心にして回転する。この入力アーム74の回転に伴い調速ロッド79が引き操作され、この操作力でスロットル機構Etが増速方向に操作され、エンジン回転数が増大する。また、アクセルペダル16の踏み込み操作に伴う中間作動軸73の回転と一体的に出力アーム75が回転し、この回転に連動する操作ロッド82の押し操作により変速操作アーム81Aが増速の方向に操作され無段変速装置Vの増速が行われる。つまり、アクセルペダル16の踏み込み操作と連係してエンジン回転数を増大させることでエンジンストールを抑制しながら無段変速装置Vの駆動速度の増大で走行速度の増速を図るのである。
【0062】
また、アクセルペダル16の踏み込み操作が解除された場合には、アクセルペダル16からインナワイヤ78Bに作用する張力が大きく低下し、中立復帰アーム86に作用する中立復帰バネ88の付勢力により当接部材87がニュートラルカム76のカム面76Aに圧接して入り込むことにより、中間作動軸73を中立姿勢に戻し変速操作アーム81Aが停止位置まで戻されると共に、スロットル機構Etも減速位置に戻され、走行機体Aは停車する。
【0063】
つまり、この変速操作構造では、アクセルペダル16の踏み込み操作力が伝えられる第1操作手段としての操作ワイヤ78が機体右側に配置され、この操作ワイヤ78の操作力を無段変速装置Vの左側の変速操作部80に伝える第2操作手段としての操作ロッド82が機体左側に配置され、操作ワイヤ78の変速操作力をエンジンEの右側のスロットル機構Etに伝える第3操作手段としての調速ロッド79が機体右側に配置されている。このような配置から、中間作動軸73が中間軸芯Xを中心にして回転する構成を利用して、駆動部Cの両サイドの空間を有効に活用して変速操作を行えるのである。尚、この変速操作構造では、第1操作手段としての操作ワイヤ78等を機体左側に配置し、第2操作手段としての操作ロッド82等を機体右側に配置しても良い。また、スロットル機構Etを操作する操作系は機体左側と右側との何れに配置しても良い。
【0064】
〔実施形態の作用・効果〕
この作業車では、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとの連結により一体化して駆動部Cが構成されると共に、エンジンEとミッションケースMとが左右の下部防振マウント45により下部フレームUFに支持されているので、下部防振マウント45により駆動部Cの重量を受け止めることが可能となる。また、上部フレーム24に両端が支持される横フレーム37の中間部にミッションケースMの上部が上部防振マウント48で支持されているので、左右の下部防振マウント45の横幅方向での間隔が短くても、駆動部Cの上部の振動の抑制が可能となり、制振性に優れた支持を実現する。
【0065】
無段変速装置Vの上部が走行機体Aの左右方向の一方に変位する斜め姿勢で配置されることで、機体左右方向で無段変速装置Vの他方側の空間が拡大するため、この無段変速装置Vが配置される空間が比較的狭くとも、この空間の内部にマフラー51を配置できることになる。また、ミッションケースMの前部位置においてミッションケースMを基準にして一方(左側)に偏位してエンジンEが配置され、このエンジンEの上部の一方(左側)にエグゾーストマニホールド68が形成され、このエンジンEの偏位と同じ方向にマフラー51が配置されているので、エンジン排気を直線的にマフラー51に供給する排気管69を直線的に形成する可能となり排気系の構成の簡素化を実現している。
【0066】
更に、前後方向視において左右一対の上部フレーム24と、斜め姿勢となる左右の縦フレーム32と、下部フレームUFとで逆台形となる空間が機体フレームFの内部に形成され、この逆台形となる機体フレームFの空間の内部で、上部の左右の角部の近傍位置にマフラー51を配置することにより、機体フレームFで保護される状態で、この機体フレームFの角部(隅部)にマフラー51を配置できる。
【0067】
このように前後方向視において機体フレームFが、逆台形に形成されるため、左右の上部フレーム24に連結する横フレーム37に後部サスペンションユニット41の上端を支持することにより、後部サスペンションユニット41の姿勢を後部サスペンションアーム39の揺動方向に平行する姿勢(後部サスペンションアーム39のアーム面に直交する姿勢)に近づけることが可能となり後部サスペンションアーム39の無理のない圧縮を行わせる。
【0068】
駆動部Cと、後車輪2の支持系とが着脱フレームユニットGに支持されているので、この着脱フレームユニットGを機体フレームFから分離することで、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vとマフラー51と後車輪2とを一体的に機体フレームFから下側に抜き出す形態で取り外すことが可能にとなり、例えば、駆動部Cを上方に抜き出す構成と比較して、駆動部Cのメンテナンスが容易となる。
【0069】
つまり、ミッションケースMをマウントフレーム31に対して下部防振マウント45で支持し、マウントフレーム31に連結する縦フレーム32に後部サスペンションアーム39を揺動自在に支持し、この後部サスペンションアーム39に後車輪2を支持している。また、エンジンEを支持フレーム35に対して下部防振マウント45で支持している。このような構成から、縦フレーム32を分離し、支持フレーム35をメインフレーム21から分離することにより、エンジンEとミッションケースMと無段変速装置Vと後部サスペンションアーム39とマフラー51とを一体的に下方に引き出す形態で取り外すことが可能となり、ミッションケースMからの駆動力を後車輪2に伝える駆動系を分離しなくて済むことになり、分離のための操作が単純となる。
【0070】
エンジンEとミッションケースMとが下部で連結され、上部に形成された隙間Hを跨ぐ位置に配置される連結部材71でエンジンEの上部とミッションケースMの上部とを連結することで連結強度を高めている。また、連結部材71に対して横向き姿勢で備えた筒状体72に回転自在に中間作動軸73を支持し、この中間作動軸73の一方(右側)に対してアクセルペダル16の操作力を伝えて中間作動軸73を回転させ、中間作動軸73の他方(左側)から無段変速装置Vの変速操作アーム81Aを操作して変速を行う構成であるので、中間作動軸73においては機械的なガタツキやアソビを招くことがなく、駆動部Cの一方から他方変速操作力を高精度で無段変速装置Vに伝えて変速操作を実現する。
【0071】
特に、変速操作時には、無段変速装置VとエンジンEのスロットル機構Etと同時に操作することでエンジンストールを招くことのない増速を実現しており、アクセルペダル16の操作を解除した場合には、ニュートラルカム76のカム面76Aに対して遊転ローラで成る当接部材87が係入することで中間作動軸73を中立方向に回転させ、無段変速装置Vを中立位置に戻すと同時にスロットル機構Etを低速位置に操作することで走行の停止を実現する。
【0072】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0073】
(a)図14に示すように、ベルト巻回半径の調節が可能な駆動側プーリ101と、従動側プーリ102と、これらに巻回する無端ベルト103とを備えることで、ベルトCVT型の無段変速装置Vを構成する。同図では、従動側プーリ102が上部に配置され、この上部位置が一方の方向に変位するように無段変速装置Vの姿勢が設定され、この上部位置の他方側にマフラー51が配置されることになる。この別実施形態(a)の構成においても、無段変速装置Vを保護するプロテクタ57を着脱自在に備えても良い。
【0074】
このようにベルトが用いられる無段変速装置Vでは、静油圧式の無段変速装置Vと比較するとベルトを介して駆動力を伝える構成であるので、伝動効率を高くできる。また、プロテクタ57を備える構成では無段変速装置Vの後面を保護できる。
【0075】
(b)無段変速装置Vとしては、静油圧式やベルトCVT型の構成以外にトロイダルCVTのように構成はどのようなものであっても良い。
【0076】
(c)変速ユニットがミッションケースMで構成され、このミッションケースMを、前後方向視において斜め姿勢となるように備えても良い。このようにミッションケースMの姿勢を設定したものでも、ミッションケースMの上部の側部に形成される空間にマフラー51を配置できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、走行機体の後部位置に変速ユニットが配置されている作業車に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
2 後車輪
51 マフラー
53 油圧ポンプ
54 油圧モータ
55 オイルフィルタ
57 プロテクタ
62 後輪駆動軸
63 ドライブシャフト
101 駆動側プーリ
102 従動側プーリ
103 無端ベルト
A 走行機体
E エンジン
M ミッションケース
V 変速ユニット・無段変速装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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