【実施例1】
【0013】
図1〜図
2に、本発明の天井クレーンの第1実施例を示す。
この天井クレーン1Aは、ガーダ3と、ガーダ3がガーダ走行部30を介して走行する走行レール2、2と、ガーダ3に沿って横行するトロリ4とを備え、トロリ4に旋回ベアリング41を介して回転体5を配設するとともに、回転体5に旋回ベアリング41の回転中心軸41aが対称の中心となるようにして複数台のホイスト6を配設し、回転体5を旋回ベアリング41の周面に形成した歯車42と噛合する回転体5の旋回駆動機構50のピニオン51を回転駆動することによって旋回させるようにしている。
【0014】
ガーダ3は、所定間隔(スパン)を設けて構造物内に平行に配設される対となる走行レール2、2(本実施例においては、天井部の近傍に敷設するようにしている。)に両端部に配備した駆動機構によって回動し、走行レール2、2を走行する駆動部を備えたガーダ走行部30を備えるとともに、ガーダ3に沿って横行(走行レール2、2と直交する方向)するトロリ4の横行レール31とからなる。
通常、ガーダ3は、トロリ4がスムーズに横行することができるように、I型鋼又はH型鋼(本実施例においては、I型鋼)からなる横行レール31を平行に2本備え、横行レール31間の距離を一定に保つように端部をガーダ走行部30に固定するように構成されている。
【0015】
トロリ4は、
図2に示すように、駆動機構によって回動し、I型鋼からなる横行レール31、31の下側フランジの上面をレール面として走行(横行)する駆動輪43を配備したトロリ本体40と、このトロリ本体40の中央部に旋回ベアリング41を取り付けるための台座を形成するようにしている。
なお、駆動輪43は、1本の横行レール31に対して、対となる駆動輪43が複数走行するように構成されているが、駆動機構によって駆動する駆動輪43は、本実施例においては、1組の駆動輪43のみである。
【0016】
回転体5は、一部を屈曲させた複数本のH型鋼からなる主部材52(本実施例においては、5本。)を、間隔をおいて、H型鋼からなる連結部材53によって連結し、外側の主部材52の端部(本実施例においては、合計4箇所。)にホイスト取付部材を介して、ホイスト6を配設するとともに、中央部に旋回ベアリング41を取り付けるための台座を、主部材52及び連結部材53の上面から上側に向かって形成するようにしている。
この台座はトロリ本体40の下面から下側に向かって形成される台座と対となるもので、回転体5を、横行レール31よりも下側に位置するように構成している。
【0017】
旋回ベアリング41は、トロリ本体40に対して、回転体5を相対的に旋回させるための部材であって、本実施例においては、内輪部をトロリ本体40に、外輪部を回転体5に取り付けるようにしている。
また、旋回ベアリング41の外輪部の外周面には、トロリ本体40に配設する回転体5の旋回駆動機構50の駆動軸に取り付けられたピニオン51と噛合する歯車42を形成し、旋回駆動機構50の回動を、旋回ベアリング41を介して回転体5に伝え、回転体5を旋回させるようにしている。
旋回駆動機構50は、低速回転(例えば、1rpm程度。)が可能な、例えば、インバータ制御することができる減速機等を使用する。
【0018】
回転体5に配設されるホイスト6は、先端にフック等の吊具61を取り付けたワイヤロープを巻回し、吊具61に係止させた吊荷を昇降させるもので、本実施例においては、1〜20m/minの速度でワイヤロープを巻き上げることのできるインバータモータを使用するようにしている。
【0019】
また、
図3に示す天井クレーン1Bは、回転体5の配設位置を変更した変形例で、トロリ本体40の上面に旋回ベアリング41の取り付け用の台座を配設し、この台座に旋回ベアリング41の外輪部を取り付けるとともに、旋回ベアリング41の内輪部に円盤状の回転体5を取り付けるようにしている。
この
参考例においては、ホイスト6を、旋回ベアリング41の回転中心軸41aが対称の中心となるようにして2台配備するようにしている。
この天井クレーン1Bは、ガーダ3と天井面との間に空間があり、ガーダ3の上を作業者が歩行し、ガーダ3、トロリ4及びホイスト6等の点検を行ことができるような、大型の天井クレーンの場合に好適に用いることができる。
【0020】
次に、この天井クレーン1A、1Bを用いて、吊荷を、所定位置から吊り下げて、搬送先に移動させ、着床する際に吊荷の向きを変更させる要領を説明する。
【0021】
まず、ガーダ3を走行レール2、2に、トロリ4をガーダ3の横行レール31、31に沿って移動させて、トロリ4を吊荷の真上に位置させる。
次いで、複数台のホイスト6(本
参考例においては、4台又は2台。)を操作し、吊具61を下降させ、吊荷の角部の4箇所又は2箇所に取り付けた環状フックに係止させた後、所定の高さまで吊荷を上昇させる。
【0022】
所定の高さに吊り下げられた吊荷を、ガーダ3を走行レール2、2に、トロリ4をガーダ3の横行レール31、31に沿って搬送先まで移動させる。
【0023】
そして、搬送先の載置場所において、吊荷を下降させつつ、旋回駆動機構50を操作し、回転体5を回動させることで吊荷の向きを所望の向きまで変更させ、吊荷を搬送先に着床させる。
これによって、工場内に進入できるトラックの向きに制限がある場合において、大型で重量物の吊荷(特に、平面視長方形形状の吊荷)であっても、トラックの荷台にスムーズに載置させることができる。
【実施例2】
【0024】
図4〜
図5に、本発明の天井クレーンの第2実施例を示す。
この天井クレーン1Cは、第1実施例と同様に、ガーダ3と、ガーダ3がガーダ走行部30を介して走行する走行レール2、2と、ガーダ3に沿って横行するトロリ4とを備え、トロリ4に旋回ベアリング41を介して回転体5を配設するとともに、回転体5に旋回ベアリング41の回転中心軸41aが対称の中心となるようにして複数台のホイスト6を配設し、回転体5を旋回ベアリング41の周面に形成した歯車42と噛合する回転体5の旋回駆動機構50のピニオン51を回転駆動することによって旋回させるようにするとともに、複数台のホイスト6に共通の吊具置き台7を吊設するようにしている。
【0025】
このとき、ホイスト6に吊設した吊具置き台7に、耐荷重が複数台のホイスト6の合計定格荷重以上の第1吊具61Aを旋回ベアリング41の回転中心軸41aの位置に配設するとともに、合計した耐荷重がホイスト6の合計定格荷重以上の複数個の同一の耐荷重の第2吊具61Bを旋回ベアリング41の回転中心軸41aが対称の中心となる位置に配設することができる。
【0026】
これにより、1本のワイヤで吊荷を吊り下げるときは第1吊具61Aを、複数本のワイヤで吊荷を吊り下げるときは第2吊具61Bを使用することができ、吊荷に応じた吊具61の使い分けを容易に行うことができる。
【0027】
また、ホイスト6の定格荷重と、第1吊具61A及び第2吊具61Bの耐荷重との関係は、例えば、2台のホイスト6の定格荷重がそれぞれ4tで合計8tの定格荷重の場合、第1吊具61Aを耐荷重8tの吊具を使用し、第2吊具61Bを耐荷重4tの吊具を使用する。
これによって、ホイスト6の合計の定格荷重に対して、無駄のない吊具を使用することができ、吊具の選択において、オーバースペックとなることを防止することができる。
【0028】
吊具置き台7は、複数台のホイスト6、本実施例においては、2台のホイスト6に吊設され、旋回ベアリング41の回転中心軸41aが、吊具置き台7を通過する(実質的には吊具置き台7の重心を通過するようにする。)ように配備され、その回転中心軸41aの位置に第1吊具61Aを、回転中心軸41aが対称の中心となる位置に第2吊具61Bを配設するものであれば、その形状や大きさ等は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、上面にホイスト6が巻き上げるワイヤが係止される対となる滑車70、70が配設されるとともに、下面に第1吊具61A及び第2吊具61Bが配設されるI型鋼又はH型鋼等の鋼材を組み合わせて構成するようにしている。
【0029】
また、本実施例における、横行レール31、31は、ガーダ3の上面に敷設される角材から構成している。
そして、トロリ4に配備される駆動輪43が、横行レール31、31上を転動するようにして移動するように構成しているが、横行レール及び駆動輪の構成は、第1実施例と同様に、I型鋼からなる横行レール31、31の下側フランジの上面をレール面として、駆動輪43がその上を走行するように構成することもできる。
【0030】
なお、本実施例のその他の構成及び作用並びに天井クレーンの操作要領は、上記第1実施例と同様である。
【0031】
以上、本発明の天井クレーンについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。