特許第5694138号(P5694138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694138
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】車輪位置判定装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B60C23/04 M
   B60C23/04 N
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-285430(P2011-285430)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133034(P2013-133034A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 道哉
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−160105(JP,A)
【文献】 特開2007−182219(JP,A)
【文献】 特開2006−170991(JP,A)
【文献】 特開2008−273477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置において、
前記車輪に設けられ、地磁気を検出可能な磁気センサであって、車輪の回転に伴い、磁界の周期的な変化を示す検出信号を生成する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪が車両の前後の車輪の何れであるのかを判定する車輪位置判定部と、
を備え
前記磁気センサは、前記車輪の回転軸線と直交する平面内において互いに異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置された第1及び第2の磁気検出部を有し、
前記車輪位置判定部は、前記第1の磁気検出部によって検出される磁界強度と前記第2の磁気検出部によって検出される磁界強度との組み合わせによって得られた磁界強度値の変化パターンに基づき前記車輪位置判定を行い、
前記第1の磁気検出部によって検出される磁界強度をZ、前記第2の磁気検出部によって検出される磁界強度をXとしたとき、前記車輪位置判定部は、√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターンに基づき前記車輪位置判定を行う、車輪位置判定装置。
【請求項2】
前記第1の磁気検出部は前記車輪の径方向に沿った磁界成分を検出するように配置され、前記第2の磁気検出部は前記車輪の周方向に沿った磁界成分を検出するように配置される、請求項1に記載の車輪位置判定装置。
【請求項3】
車両に設けられた車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置において、
前記車輪に設けられ、地磁気を検出可能な磁気センサであって、車輪の回転に伴い、磁界の周期的な変化を示す検出信号を生成する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪が車両の前後の車輪の何れであるのかを判定する車輪位置判定部と、
を備え、
前記磁気センサは、前記車輪の回転軸線と直交する平面内に規定される方向に沿った磁界成分を検出するように配置される第1の磁気センサであり、
前記車輪位置判定装置はさらに、前記車輪の回転軸線の方向に沿った磁界成分を検出するように配置される第2の磁気センサを備え、
前記車輪位置判定部は、前記第1の磁気センサの検出信号の極性と前記第2の磁気センサの検出信号の極性との組み合わせに基づき、車輪が車両の左右の車輪の何れであるのかを判定する、車輪位置判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置に関し、特にタイヤ状態監視装置に用いる上で好適な車輪位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。このタイヤ状態監視装置は、車両の車輪にそれぞれ装着される複数のタイヤセンサユニットと、車両の車体に搭載される受信機ユニットとを備えている。各タイヤセンサユニットは、対応するタイヤの状態、即ちタイヤ内の圧力や温度を検出し、検出されたタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号を無線送信する。一方、受信機ユニットは、各タイヤセンサユニットからのデータ信号を受信アンテナを通じて受信して、タイヤ状態に関する情報を、車室内に設けられた表示器に必要に応じて表示させる。
【0003】
上記のようなタイヤ状態監視装置では、受信されたデータ信号が複数の車輪のうちのどの車輪に設けられたタイヤセンサユニットから発信されたものであるのかを、言い換えれば、受信されたデータ信号に関連する車輪の位置を、受信機ユニットにおいて把握できるようにするのが望ましい。そこで、例えば特許文献1〜3には、各タイヤセンサユニットに設けられた第1及び第2の加速度センサの検出信号を用いて、少なくとも発信元のタイヤセンサユニットが設けられた車輪が左右の車輪の何れであるのかを、受信機ユニットにおいて把握できるようにした技術が提案されている。
【0004】
これらの特許文献1〜3に記載された技術では、各タイヤセンサユニットにおいて、第1及び第2の加速度センサは、車輪の回転軸線と直交する平面内において互いに90度異なる方向の加速度成分を検出するように配置されている。車両の走行時、すなわち車輪の回転時、第1及び第2の加速度センサの加速度の検出方向は、重力加速度の方向に対して変化する。そのため、車両の走行時、第1及び第2の加速度センサの検出信号は、車輪が1回転する期間を1周期として周期的に変化する。しかも、第1及び第2の加速度センサの検出信号の位相は互いに90度ずれたものとなるとともに、車輪が時計回り方向に回転するときと反時計回り方向に回転するときとでは、両加速度センサの検出信号の位相のずれ方が異なったものとなる。例えば、車輪が時計回り方向に回転するときに第1の加速度センサの検出信号の位相が第2の加速度センサの検出信号の位相に対して90度進んでいるとすると、車輪が反時計回り方向に回転するときには第1の加速度センサの検出信号の位相が第2の加速度センサの検出信号の位相に対して90度遅れる。従って、第1及び第2の加速度センサの検出信号の位相のずれ方に基づき、車輪の回転方向を判定することができる。
【0005】
ここで、例えば車両の前進走行時には、左車輪は車両の左側面から見て反時計回り方向に回転するが、右車輪は車両の右側面から見て時計回り方向に回転する。つまり、車両の走行時には左車輪と右車輪とは互いに逆方向に回転すると言える。従って、第1及び第2の加速度センサの検出信号の位相のずれ方に基づき、車輪の回転方向のみならず、車輪が左車輪であるのか右車輪であるのかを判定することができる。
【0006】
具体的には、各センサユニットは、第1及び第2の加速度センサの検出信号の位相のずれ方に基づき車輪の回転方向を判定すると共に、判定された車輪回転方向を示すデータ信号を無線送信する。そして、受信機ユニットは、車輪回転方向を示すデータ信号を受信すると、同データ信号と車両の進行方向(前進又は後進)を示す情報とに基づき、発信元のタイヤセンサユニットが設けられた車輪が左右の車輪の何れであるのかを判定することができる。
【0007】
また、特許文献4,5には、2つの加速度センサではなく、2つの磁気センサを用いて車輪回転方向及び車輪位置を判定する技術が記載されている。これらの特許文献4,5に記載された技術では、各車輪に設置された2つの磁気センサによって地磁気や車両の環境磁界を検出するようにしている。2つの磁気センサは、車輪の回転に伴い磁界の周期的な変化を示す検出信号をそれぞれ生成するが、それら検出信号の位相が互いにずれるように配置されている。そして、これら特許文献4,5においても、前述した特許文献1〜3に記載された技術と同様にして、2つの磁気センサの検出信号の位相のずれ方に基づき車輪回転方向及び車輪位置を判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−312342号公報
【特許文献2】特開2006−205906号公報
【特許文献3】米国特許第7010968号明細書
【特許文献4】特開2007−182219号公報
【特許文献5】特開2009−173268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜5に記載された技術はいずれも、2つのセンサの検出信号の位相のずれ方に基づき車輪の左右位置判定を行うものであって、これら特許文献1〜5に記載された技術では車輪の前後位置判定を行うことはできない。
【0010】
本発明の目的は、磁気センサを用いて車輪の前後位置判定を的確に行うことのできる車輪位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両に設けられた車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置において、前記車輪に設けられ、地磁気を検出可能な磁気センサであって、車輪の回転に伴い、磁界の周期的な変化を示す検出信号を生成する磁気センサと、前記磁気センサの検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪が車両の前後の車輪の何れであるのかを判定する車輪位置判定部と、を備え、前記磁気センサは、前記車輪の回転軸線と直交する平面内において互いに異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置された第1及び第2の磁気検出部を有し、前記車輪位置判定部は、前記第1の磁気検出部によって検出される磁界強度と前記第2の磁気検出部によって検出される磁界強度との組み合わせによって得られた磁界強度値の変化パターンに基づき前記車輪位置判定を行い、前記第1の磁気検出部によって検出される磁界強度をZ、前記第2の磁気検出部によって検出される磁界強度をXとしたとき、前記車輪位置判定部は、√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターンに基づき前記車輪位置判定を行う、車輪位置判定装置を提供する。
【0012】
車輪に設けられた磁気センサは、地磁気、すなわち地球が生じる磁界を検出するが、磁気センサによって検出される磁界は車輪の周囲に存在する車体の金属部材の影響を受けたものである。そして、車体において、前側ホイールハウスと後側ホイールハウスとでは、金属部材の配置態様が異なる、言い換えれば金属部材が磁界に与える影響が異なる。そのため、車輪の回転時、前側の車輪に設けられた磁気センサの検出信号と後側の車輪に設けられた磁気センサの検出信号とでは、同検出信号によって示される磁界の変化パターンが異なったものとなる。従って、車輪に設けられた磁気センサの検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪が車両の前後の車輪の何れであるのかを的確に判定することができる。
【0014】
本願発明者は、シミュレーション等を通じて実験を行った結果、上記のように配置された第1及び第2の磁気検出部によってそれぞれ検出される磁界強度の組み合わせによって得られた磁界強度値の変化パターンは、単一の磁気検出部によって検出される磁界強度の変化パターンよりも、車輪の周囲に存在する金属部材の影響をより顕著に表すことを見出した。従って、上記の態様によれば、車輪が前後の車輪の何れであるのかを一層的確に判定することができる。
【0015】
なお、上記の態様において、前記第1の磁気検出部は前記車輪の径方向に沿った磁界成分を検出するように配置され、前記第2の磁気検出部は前記車輪の周方向に沿った磁界成分を検出するように配置されるのが好ましい。
【0017】
本発明は、車両に設けられた車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置において、前記車輪に設けられ、地磁気を検出可能な磁気センサであって、車輪の回転に伴い、磁界の周期的な変化を示す検出信号を生成する磁気センサと、前記磁気センサの検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪が車両の前後の車輪の何れであるのかを判定する車輪位置判定部と、を備え、前記磁気センサは、前記車輪の回転軸線と直交する平面内に規定される方向に沿った磁界成分を検出するように配置される第1の磁気センサである。そして、前記車輪位置判定装置はさらに、前記車輪の回転軸線の方向に沿った磁界成分を検出するように配置される第2の磁気センサを備える。この場合、前記車輪位置判定部は、前記第1の磁気センサの検出信号の極性と前記第2の磁気センサの検出信号の極性との組み合わせに基づき、車輪が車両の左右の車輪の何れであるのかを判定する。
【0018】
磁気センサの検出信号の極性は、車両の向きが反転するのに応じて反転したり、左右の車輪で互いに反転したりする。従って、第1及び第2の磁気センサの両検出信号の極性の組み合わせに基づき、車輪が左右の車輪の何れであるのかを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
図2図1のタイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
図3図2のタイヤセンサユニットに設けられる磁気センサを示す概略図。
図4】磁気センサの構成を示す回路図。
図5】(a)は矢印A1の方向に走行中の車両の概略的な右側面図、(b)は図5(a)の車両の概略的な平面図。
図6】(a)は図5(a)とは反対方向に走行中の車両の概略的な左側面図、(b)は図6(a)の車両の概略的な平面図。
図7】(a)及び(b)はZ軸検出部の検出信号の変化パターンを例示するグラフ、(c)及び(d)はY軸検出部の検出信号の変化パターンを例示するグラフ。
図8】√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターンを例示するグラフ。
図9】左右車輪判定ロジックを説明するためのテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の車輪位置判定装置をタイヤ状態監視装置に具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、タイヤ状態監視装置を搭載した車両1が示されている。タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。前記各車輪2は、ホイール部5と同ホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。なお、前側左車輪2を符号“FL”で示し、前側右車輪2を符号“FR”で示し、後側左車輪2を符号“RL”で示し、後側右車輪2を符号“RR”で示す。
【0021】
車輪側ユニットとしての前記各タイヤセンサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各タイヤセンサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号(以下、データ信号と称する)を無線送信する。
【0022】
図2に示すように、前記各タイヤセンサユニット3は、圧力センサ11、温度センサ12、磁気センサ13、車輪位置判定部としてのセンサユニットコントローラ14、及び、送信部としてのRF送信回路16を備えている。圧力センサ11及び温度センサ12は、タイヤ6の状態を検出するタイヤ状態検出部を構成する。各タイヤセンサユニット3は、例えば内蔵された電池(図示せず)からの供給電力によって動作する。
【0023】
前記圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(内部空気圧)を検出して、検出信号をセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(内部空気温度)を検出して、検出信号をセンサユニットコントローラ14に出力する。磁気センサ13は地磁気を検出可能なセンサであって、磁界(詳しくは磁界の強度及び向き)を検出して、検出信号をセンサユニットコントローラ14に出力する。センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報である。センサユニットコントローラ14は、タイヤ状態データ及びIDコード等を含むデータを、RF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からのデータを変調して変調信号を生成し、変調信号を送信アンテナ19から無線送信する。
【0024】
各タイヤセンサユニット3は、例えば、データ信号の送信動作を所定時間間隔で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、タイヤセンサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0025】
前記タイヤセンサユニット3に備えられた磁気センサ13としては、例えばホール素子、MR素子、MI素子、フラックスゲートセンサ等、地磁気を検出可能な任意のタイプの磁気センサを用いることができ、本実施形態ではフラックスゲートセンサが用いられる。図3に示すように、磁気センサ13は3軸タイプの磁気センサ、すなわち3つの検出軸に沿った方向の磁界成分をそれぞれ検出可能な磁気センサであって、第1の磁気検出部としてのZ軸検出部20、第2の磁気検出部としてのX軸検出部21、及び第3の磁気検出部としてのY軸検出部22とを有している。また本実施形態において、Z軸検出部20及びX軸検出部21は第1の磁気センサに相当し、Y軸検出部22は第2の磁気センサに相当する。
【0026】
前記Z軸検出部20及び前記X軸検出部21は、車輪2の回転軸線と直交する平面内において互いに90°異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置される。具体的には、Z軸検出部20は車輪2の径方向に沿った磁界成分を検出するように配置され、X軸検出部21は車輪2の周方向に沿った磁界成分を検出するように配置される。言い換えれば、Z軸検出部20は磁界の検出方向が車輪2の径方向と一致するように同車輪2に対して配置され、X軸検出部21は磁界の検出方向が車輪2の周方向と一致するように同車輪2に対して配置される。前記Y軸検出部22は、車輪2の回転軸線の方向に沿った磁界成分を検出するように配置される。言い換えれば、Y軸検出部22は、磁界の検出方向が車輪2の回転軸線の方向と一致するように同車輪2に対して配置される。
【0027】
図4に示すように、前記Z軸検出部20、X軸検出部21及びY軸検出部22の各々は、磁性体よりなるコア23と、コア23に巻回された励磁コイル24及び検出コイル25とを有している。励磁コイル24に三角波状若しくは矩形波状の励磁信号が供給された状態でY軸検出部22が磁界中に置かれると、検出コイル25には磁界の強度及び向きに応じた検出信号が誘起される。この検出信号を取り出すことで、磁界の強度及び向きを把握することができる。
【0028】
図1に示すように、前記受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの供給電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体の任意の箇所に配置された受信アンテナ32を備えており、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて前記データ信号を受信して、その受信した信号を処理する。
【0029】
受信機ユニット4は、受信機ユニットコントローラ33、及びRF受信回路35を備えている。受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。受信部としてのRF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて受信された変調信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのデータ信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6の内部空気圧及び内部温度を把握する。
【0030】
受信機ユニットコントローラ33はまた、前記内部空気圧及び内部温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。受信機ユニットコントローラ33はさらに、内部空気圧や内部温度の異常を警報器(報知器)37にて報知させる。警報器37としては、例えば、異常を光の点灯や点滅によって報知する装置や、異常を音によって報知する装置が適用される。なお、このような異常を報知器としての表示器38によって報知させるようにしてもよい。
【0031】
さて、各車輪2に設けられたタイヤセンサユニット3の磁気センサ13は、地磁気、すなわち地球が生じる磁界を検出するが、各磁気センサ13によって検出される磁界は対応する車輪2の周囲に存在する車体の金属部材の影響を受けたものである。そして車体において、前側ホイールハウスと後側ホイールハウスとでは、金属部材の配置態様が異なっている。例えば、図5(a)及び図6(a)に示す車両1の例において、前側ホイールハウス7では金属部材7aが同ホイールハウス7の一部のみに亘って配置されているが、後側ホイールハウス8では金属部材8aが同ホイールハウス8の全体に亘って配置されている。そのため、前側ホイールハウス7の金属部材7aが磁界に与える影響と、後側ホイールハウス8の金属部材8aが磁界に与える影響とは異なっている。よって、車輪2の回転時、前側の車輪2に設けられた磁気センサ13の検出信号と後側の車輪2に設けられた磁気センサ13の検出信号とでは、それら検出信号によって示される磁界の変化パターンが異なったものとなる。従って、本実施形態では、各タイヤセンサユニット3のセンサユニットコントローラ14は、磁気センサ13の検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、自身が設けられた車輪2が車両1の前後の車輪2の何れであるのかを判定するようにしている。以下に、前後車輪判定手法について説明する。
【0032】
さて、図5(a)及び図5(b)は、車両1が矢印A1の方向(右側に向かう方向)に前進走行している状態を示している。図6(a)及び図6(b)は、車両1が矢印A2の方向(左側に向かう方向)、すなわち図5(a)及び図5(b)とは反対方向に前進走行している状態を示している。本実施形態では、図5(a)及び図5(b)に示す車両1の進行方向を東向き(又は西向き)とし、図6(a)及び図6(b)に示す車両1の進行方向をその反対方向である西向き(又は東向き)としている。
【0033】
なおこれらの図において、一点鎖線の円内には、各車輪2に対する磁気センサ13の配置が示されている。また図5(a)及び図6(a)において、“A”,“B”,“C”,“D”はそれぞれ、タイヤセンサユニット3の角度位置を示している。角度位置Aは各タイヤセンサユニット3が対応するホイールハウス7,8に差し掛かったときの角度位置を示し、角度位置Bは各タイヤセンサユニット3が最上位置に配置されたときの角度位置を示す。角度位置Cは各タイヤセンサユニット3が対応するホイールハウス7,8を抜け出るときの角度位置を示し、角度位置Dは各タイヤセンサユニット3が最下位置に配置されたときの角度位置を示す。図5(a)〜図6(b)では、各タイヤセンサユニット3は角度位置Aに配置されている。
【0034】
車両1が図5(a)及び図5(b)に示す矢印A1の方向に走行しているとき、後側の左右の車輪RL,RRに設けられた磁気センサ13のZ軸検出部20は、図7(a)に実線で例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。一方、前側の左右の車輪FL,FRに設けられた磁気センサ13のZ軸検出部20は、図7(a)に一点鎖線で例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。この変化パターンの相違は、前述したとおり、前側ホイールハウス7と後側ホイールハウス8とで金属部材7a,8aの配置態様が異なっていることによって生じるものである。前側の左右の車輪FL,FRに関連する検出信号におけるプラス側ピークとマイナス側ピークとの間の期間T1は、後側の左右の車輪RL,RRに関連する検出信号におけるプラス側ピークとマイナス側ピークとの間の期間T2よりも短い。なお特に図示しないが、X軸検出部21の磁界検出方向はZ軸検出部20の磁界検出方向に対し90°傾いているので、X軸検出部21の検出信号は、Z軸検出部20の検出信号に対し位相が90°ずれた信号となる。そして、これらZ軸検出部20の検出信号とX軸検出部21の検出信号とを組み合わせると、図8に例示するような磁界強度値の変化パターンが得られる。
【0035】
具体的には、図8に例示する変化パターンは、Z軸検出部20によって検出される磁界強度とX軸検出部21によって検出される磁界強度との二乗和平方根の変化パターンである。すなわち、Z軸検出部20によって検出される磁界強度をZ、X軸検出部21によって検出される磁界強度をXとすると、図8に例示する変化パターンは√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターンである。なお、図8に実線で例示する変化パターンは、後側の左右の車輪RL,RRに関連するものであり、図8に一点鎖線で例示する変化パターンは、前側の左右の車輪FL,FRに関連するものである。
【0036】
一方、車両1が図6(a)及び図6(b)に示す矢印A2の方向に走行しているとき、後側の左右の車輪RL,RRに設けられた磁気センサ13のZ軸検出部20は、図7(b)に実線で例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。また、前側の左右の車輪FL,FRに設けられた磁気センサ13のZ軸検出部20は、図7(b)に一点鎖線で例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。すなわち、各車輪2において、Z軸検出部20の検出信号の極性は、車両1の向きが反転するのに応じて反転する。これは、車両1の向きが反転すると、それに伴いZ軸検出部20の磁界検出方向も反転するからである。なおX軸検出部21の検出信号の極性についても同様に、車両1の向きが反転するのに応じて反転する。そして、これらZ軸検出部20の検出信号とX軸検出部21の検出信号との組み合わせ(二乗和平方根)によって得られる磁界強度値の変化パターンは、図8に例示したものと同様となる。
【0037】
図8に実線及び一点鎖線でそれぞれ例示する2つの変化パターンは互いに異なっている。従って、センサユニットコントローラ14は、この2つの変化パターンの相違に基づき、車輪2が車両1の前後の車輪2の何れであるのかを判定することができる。なお、この図8に例示するような変化パターンに関するデータは、シミュレーション等の実験を通じて予めセンサユニットコントローラ14の記憶部14aに記憶されている。
【0038】
また本実施形態では、各タイヤセンサユニット3のセンサユニットコントローラ14は、磁気センサ13の検出信号に基づき、自身が設けられた車輪2が車両1の左右の車輪2の何れであるのかを判定するようにしている。以下に、左右車輪判定手法について説明する。
【0039】
車両1が図5(a)及び図5(b)に示す矢印A1の方向に走行しているとき、前後の左車輪FL,RLに設けられた磁気センサ13のY軸検出部22は、図7(c)に例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。一方、前後の右車輪FR,RRに設けられた磁気センサ13のY軸検出部22は、図7(d)に例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。
【0040】
また、車両1が図6(a)及び図6(b)に示す矢印A2の方向に走行しているとき、前後の左車輪FL,RLに設けられた磁気センサ13のY軸検出部22は、図7(d)に例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。一方、前後の右車輪FR,RRに設けられた磁気センサ13のY軸検出部22は、図7(c)に例示するような磁界強度の変化パターンを有する検出信号を生成する。
【0041】
すなわち、Y軸検出部22の検出信号の極性は、左右の車輪2で互いに反転する。これは、Y軸検出部22の磁界検出方向が左右の車輪2で互いに逆向きになるからである。しかも、各車輪2において、Y軸検出部22の検出信号の極性は、車両1の向きが反転するのに応じて反転する。これは、車両1の向きが反転すると、それに伴いY軸検出部22の磁界検出方向も反転するからである。
【0042】
そして、本実施形態では、センサユニットコントローラ14は、Z軸検出部20の検出信号の極性とY軸検出部22の検出信号の極性との組み合わせに基づき、車輪2が車両1の左右の車輪2の何れであるのかを判定するようにしている。具体的には、図7(c)及び図7(d)に例示するように、Y軸検出部22の検出信号は、ホイールハウス7,8の金属部材7a,8aの影響によって、タイヤセンサユニット3が所定の角度位置(図の例では角度位置B)に配置されたときにプラス側若しくはマイナス側のピークに達する。そして、センサユニットコントローラ14は、Y軸検出部22の検出信号がピークに達するタイミングにおいて、Z軸検出部20の検出信号の極性とY軸検出部22の検出信号の極性との組み合わせに基づき、例えば図9に例示するようなテーブルに従って、車輪2が左右の車輪2の何れであるのかを判定する。この図9に例示するようなテーブルは、シミュレーション等の実験を通じて予めセンサユニットコントローラ14の記憶部14aに記憶されている。
【0043】
図9並びに図5(b)及び図6(b)を参照してより具体的に説明すると、Z軸検出部20の検出信号の極性がプラスで且つY軸検出部22の検出信号の極性がプラスの場合には、センサユニットコントローラ14は車輪2が左車輪であると判定する。Z軸検出部20の検出信号の極性がプラスで且つY軸検出部22の検出信号の極性がマイナスの場合には、センサユニットコントローラ14は車輪2が右車輪であると判定する。また、Z軸検出部20の検出信号の極性がマイナスで且つY軸検出部22の検出信号の極性がプラスの場合には、センサユニットコントローラ14は車輪2が右車輪であると判定する。Z軸検出部20の検出信号の極性がマイナスで且つY軸検出部22の検出信号の極性がマイナスの場合には、センサユニットコントローラ14は車輪2が左車輪であると判定する。
【0044】
次に、本実施形態の作用について図5図9を参照しながら説明する。
さて車両1の走行時、各車輪2において、タイヤセンサユニット3のセンサユニットコントローラ14は、磁気センサ13の検出信号に基づき、自身が設けられた車輪2の位置を判定する。すなわち、センサユニットコントローラ14は、磁気センサ13のZ軸及びX軸検出部20,21の両検出信号に基づき、√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターン(図8参照)を求めるとともに、この変化パターンに基づき、自身が設けられた車輪2が前後の車輪2の何れであるのかを判定する。また、センサユニットコントローラ14は、Y軸検出部22の検出信号がプラス側若しくはマイナス側のピークに達するタイミングにおいて、Z軸検出部20の検出信号の極性とY軸検出部22の検出信号の極性との組み合わせに基づき、自身が設けられた車輪2が左右の車輪2の何れであるのかを判定する(図7及び図9参照)。そして、センサユニットコントローラ14は、車輪位置判定結果及び自身のIDコードを含むデータ信号を、RF送信回路16に無線送信させる。
【0045】
一方、受信機ユニットコントローラ33は、各タイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号をRF受信回路35を通じて受信すると、同データ信号中の車輪位置判定結果に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3が設けられた車輪2の位置を認識する。
【0046】
なおY軸検出部22は、車輪2の回転軸線の方向に沿った磁界成分を検出するように配置されているので、車両1の向きが東向き又は西向きの場合、つまり車輪2の回転軸線の方向が南北方向と一致している場合、Y軸検出部22によって検出される磁界強度は最大となる。そして、車輪2の回転軸線の方向が南北方向から外れるに従って、Y軸検出部22によって検出される磁界強度は低下する。一方、Z軸検出部20及びX軸検出部21それぞれの磁界検出方向は車輪2の回転と共に連続的に変化するため、Z軸検出部20及びX軸検出部21それぞれの検出信号は車両1の向きに関係なく認識可能である。そこで車輪位置判定は、Y軸検出部22の検出信号が認識可能なレベルになった場合に行うようにすればよい。なお、車両1の進行方向が長時間の間一定の方向に維持されるという可能性は少ないので、車輪位置判定を実行不可能な期間が、不都合を生じるほど長時間に亘って継続される可能性は少ない。
【0047】
以上詳述した本実施形態は、下記の利点を有する。
(1)本実施形態では、各タイヤセンサユニット3は地磁気を検出可能な磁気センサ13を備えており、同磁気センサ13は、車輪2の回転に伴い、磁界の周期的な変化を示す検出信号を生成する。そして、タイヤセンサユニット3のセンサユニットコントローラ14は、磁気センサ13の検出信号によって示される磁界の変化パターンに基づき、車輪2が前後の車輪2の何れであるのかを判定する。よって、磁気センサ13を用いて車輪2の前後位置判定を容易且つ的確に行うことができる。
【0048】
(2)前記磁気センサ13は、車輪2の回転軸線と直交する平面内において互いに異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置されたZ軸及びX軸検出部(第1及び第2の磁気検出部)20,21を有する。そして、センサユニットコントローラ14は、Z軸検出部20によって検出される磁界強度とX軸検出部21によって検出される磁界強度との組み合わせ(二乗和平方根)によって得られた磁界強度値の変化パターン(図8参照)に基づき、車輪2の前後位置判定を行っている。
【0049】
本願発明者は、シミュレーション等を通じて実験を行った結果、Z軸及びX軸検出部20,21によってそれぞれ検出される磁界強度の組み合わせ(二乗和平方根)によって得られた磁界強度値の変化パターンは、単一の磁気検出部によって検出される磁界強度の変化パターンよりも、車輪2の周囲に存在する金属部材の影響をより顕著に表すことを見出した。従って、本実施形態によれば、車輪2が前後の車輪2の何れであるのかを一層的確に判定することができる。
【0050】
(3)磁気センサ13は、車輪2の回転軸線と直交する平面内に規定される方向に沿った磁界成分を検出するように配置されるZ軸検出部(第1の磁気センサ)20と、車輪2の回転軸線の方向に沿った磁界成分を検出するように配置されるY軸検出部(第2の磁気センサ)22とを有している。そして、センサユニットコントローラ14は、Z軸検出部20の検出信号の極性とY軸検出部22の検出信号の極性との組み合わせに基づき、車輪2が左右の車輪2の何れであるのかを判定する。
【0051】
磁気センサ13の各検出部20〜22の検出信号の極性は、車両1の向きが反転するのに応じて反転したり、左右の車輪2で互いに反転したりする。従って、Z軸及びY軸検出部20,22の両検出信号の極性の組み合わせに基づき、車輪2が左右の車輪2の何れであるのかを的確に判定することができる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更することも可能である。
・車輪2の前後位置判定は、車輪2の回転軸線と直交する平面内において互いに異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置された2つの磁気検出部の検出信号に基づき行うことができ、2つの磁気検出部の磁界検出方向は互いに90°以外の角度ずれていてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、Z軸検出部20によって検出される磁界強度とX軸検出部21によって検出される磁界強度との組み合わせによって得られた磁界強度値の変化パターンとして、√(Z+X)で表される磁界強度値の変化パターンを求め、この変化パターンに基づき、車輪2の前後位置判定を行っている。しかし、√(Z+X)に代えて、例えば、√(a・Z+b・X)や(a・Z+b・X等で表される磁界強度値の変化パターンを求め、この変化パターンに基づき、車輪2の前後位置判定を行ってもよい。なお、“a”、“b”は任意の係数であり、“n”は任意の自然数である。要するに、車輪2の回転軸線と直交する平面内において互いに異なる方向に沿った磁界成分を検出するように配置された2つの磁気検出部によってそれぞれ検出される磁界強度の組み合わせによって得られた磁界強度値の変化パターンに基づき、車輪2の前後位置判定を行うことができる。
【0054】
・車輪2の前後位置判定は、Z軸検出部20の検出信号の変化パターンにのみ基づき行ってもよい。例えば、Z軸検出部20の検出信号におけるプラス側ピークとマイナス側ピークとの間の期間T1,T2(図7(a)参照)に基づき、車輪2の前後位置判定を行ってもよい。或いは、Z軸検出部20に代えて、X軸検出部21の検出信号の変化パターンに基づき車輪2の前後位置判定を行ってもよい。要するに、車輪2の回転軸線と直交する平面内に規定される任意の方向に沿った磁界成分を検出するように配置される少なくとも1つの磁気検出部の検出信号に基づき、車輪2の前後位置判定を行うようにすればよい。さらには、条件によっては、Y軸検出部22、或いは車輪2の回転軸線に対して任意の角度をなす磁気検出部、の検出信号の変化パターンに基づき車輪2の前後位置判定を行うことも可能である。
【0055】
・車輪2の左右位置判定は、「背景技術」の欄に開示した特許文献4,5と同様に、2つの磁気検出部の検出信号の位相のずれ方に基づき行うようにしてもよい。
・車輪位置判定をタイヤセンサユニット3で行うことに代えて、受信機ユニット4で行うようにしてもよい。この場合、タイヤセンサユニット3は磁気センサ13の検出信号を含むデータ信号を送信し、受信機ユニット4はタイヤセンサユニット3から受信したデータ信号中の検出信号に基づき車輪位置判定を行う。すなわち、受信機ユニット4が車輪位置判定部として機能する。
【0056】
・前述した車輪位置判定は、車両1の走行時に常時行われてもよいし(例えば、タイヤ状態データが送信される度)、所定の走行条件(例えば、車両1がほぼ一定の中速度で前方へ直進走行しているという条件)が満たされた場合にのみ行われてもよい。所定の走行条件が満たされた場合のみ車輪位置判定が行われる例では、タイヤセンサユニット3のIDコードと同タイヤセンサユニット3が設けられた車輪2の位置を示す情報とが互いに関連付けられた状態で、受信機ユニットコントローラ33の記憶部に記憶される。そして、所定の走行条件が満たされていない状態では、受信機ユニットコントローラ33は、タイヤセンサユニット3からデータ信号を受信したとき、この記憶部に記憶された情報に基づき発信元のタイヤセンサユニット3が設けられた車輪2の位置を判定する。
【0057】
・本発明は、タイヤ状態監視装置への適用に限定されるものではなく、車輪2の位置判定を行う各種の装置に適用することができる。
以下に、上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
【0058】
[A] 前記車輪に設けられる車輪側ユニットを備え、同車輪側ユニットが前記磁気センサ及び前記車輪位置判定部を有する、請求項1〜の何れか一項に記載の車輪位置判定装置。
【0059】
[B] 前記車両の車体に設置される受信機ユニットをさらに備え、
前記車輪側ユニットは前記車両の複数の車輪にそれぞれ設けられるとともに、車輪位置判定結果を示すデータ信号を無線送信する送信部を有し、
前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニットから送信される前記データ信号を受信して、受信されたデータ信号に基づき、発信元の車輪側ユニットが設けられた車輪の位置を認識する、上記[A]に記載の車輪位置判定装置。
【0060】
[C] 前記車両の複数の車輪にそれぞれ設けられる複数の車輪側ユニットと、前記車両の車体に設置される受信機ユニットと、を備え、
前記各車輪側ユニットは前記磁気センサを有するとともに、同磁気センサの検出信号を含むデータ信号を無線送信する送信部を有し、
前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニットから送信される前記データ信号を受信する受信部を有するとともに、前記車輪位置判定部を有する、請求項1〜の何れか一項に記載の車輪位置判定装置。
【0061】
[D] 前記車輪側ユニットは、前記車輪におけるタイヤの状態を検出するとともに検出したタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号を無線送信するタイヤセンサユニットである、上記[A]〜[C]の何れか一項に記載の車輪位置判定装置。
【符号の説明】
【0062】
1…車両、2…車輪、13…磁気センサ、14…センサユニットコントローラ(車輪位置判定部)、20…Z軸検出部(第1の磁気検出部、第1の磁気センサ)、21…X軸検出部(第2の磁気検出部、第1の磁気センサ)、22…Y軸検出部(第2の磁気センサ)、33…受信機ユニットコントローラ(車輪位置判定部)。
図1
図2
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図7
図8
図9