特許第5694166号(P5694166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694166水素添加糖に基づくミネラルウールのためのサイジング組成物および得られる絶縁製品
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  • 特許5694166-水素添加糖に基づくミネラルウールのためのサイジング組成物および得られる絶縁製品 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694166
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】水素添加糖に基づくミネラルウールのためのサイジング組成物および得られる絶縁製品
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/03 20060101AFI20150312BHJP
   D06M 13/192 20060101ALI20150312BHJP
   D06M 13/123 20060101ALI20150312BHJP
   C03C 25/10 20060101ALI20150312BHJP
   D06M 101/00 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   D06M15/03
   D06M13/192
   D06M13/123
   C03C25/02 N
   D06M101:00
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-526545(P2011-526545)
(86)(22)【出願日】2009年9月11日
(65)【公表番号】特表2012-502199(P2012-502199A)
(43)【公表日】2012年1月26日
(86)【国際出願番号】FR2009051711
(87)【国際公開番号】WO2010029266
(87)【国際公開日】20100318
【審査請求日】2012年8月30日
(31)【優先権主張番号】0856109
(32)【優先日】2008年9月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501085706
【氏名又は名称】サン−ゴバン・イソベール
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ジャフレノー、ボリ
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−184285(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0252855(US,A1)
【文献】 特表2007−538167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M13/00〜15/715
D04H 1/00〜18/04
C03C25/10〜25/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウールに基づく絶縁製品のためのサイジング組成物であって、
グリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトールおよびデンプン加水分解物の水素添加による生成物より構成される群から選ばれる少なくとも1種の水素添加糖と、
非ポリマーの有機ポリカルボン酸またはこれらの酸の塩、酸無水物およびポリアルデヒドから選択される少なくとも1種の多官能架橋剤とを含み、
前記水素添加糖は、水素添加糖と多官能架橋剤とから構成されている混合物の重量の少なくとも30%であることを特徴とするサイジング組成物。
【請求項2】
前記水素添加糖はデンプン加水分解物の水素添加による生成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水素添加糖は5000未満で、180よりも大きい数平均モル質量を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水素添加糖の(乾燥ベースで)5重量%を超えない割合で還元糖を含んでもよいことを特徴とする請求項1ないし3のうちの1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機ポリカルボン酸は少なくとも2つのカルボキシル官能基と最大で15のカルボキシル官能基を有することを特徴とする請求項1ないし4のうちの1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機ポリカルボン酸は5000以下の数平均モル質量を示すことを特徴とする請求項1ないし5のうちの1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記非ポリマーの有機ポリカルボン酸は飽和または不飽和で直鎖または分枝の脂環式非ポリマーの有機ポリカルボン酸、環状酸および芳香族酸から選択されることを特徴とする請求項1ないし6のうちの1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機ポリカルボン酸はジカルボン酸、トリカルボン酸ならびにテトラカルボン酸から選択されることを特徴とする請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸無水物は無水マレイン酸、無水コハク酸または無水フタル酸であることを特徴とする請求項1ないし8のうちの1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリアルデヒドは非ポリマーのジアルデヒドであることを特徴とする請求項1ないし8のうちの1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリアルデヒドのアルデヒド官能基が尿素または環状尿素により保護されていることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記水素添加糖は、水素添加糖と多官能架橋剤とから構成されている混合物の重量の30から80%であることを特徴とする請求項1ないし11のうちの1項に記載の組成物。
【請求項13】
ルイス酸およびルイス塩基、リン含有化合物ならびにフッ素およびホウ素を有する化合物から選択される触媒をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし12のうちの1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記触媒は水素添加糖と多官能架橋剤との重量の20%までであることを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
水素添加糖と多官能架橋剤との100重量部に基づいて計算した以下の割合で以下の添加物:
0から2重量部のシラン、
0から20重量部のオイル、
0から5重量部の疎水性物質、
0から20重量部のポリオールであって水素添加糖以外のもの、
0から30重量部、
0から30重量部の「増量剤」であってリグニン誘導体、たとえ、および動物性または植物性タンパク質から選択されるものをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし14のうちの1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記水素添加糖の(乾燥ベースで)1重量%を超えない割合で還元糖を含んでもよいことを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項17】
前記水素添加糖の(乾燥ベースで)0.5重量%を超えない割合で還元糖を含んでもよいことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、トラウマチン酸、ショウノウ酸、フタル酸およびその誘導体であって、随意に、少なくとも1個のホウ素原子または塩素原子を有し、テトラヒドロフタル酸およびその誘導体は、随意に、少なくとも1個の塩素元素を有し、イソフタル酸、テレフタル酸、メサコン酸またはシトラコン酸であり、トリカルボン酸は、クエン酸、トリカルバリル酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、アコニット酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸またはトリメシン酸であり、ならびにテトラカルボン酸は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸およびピロメリト酸から選択されることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項19】
前記非ポリマーのジアルデヒドは、グリオキサール、グルタルアルデヒド、1,6−ヘキサンジアールまたは1,4−テレフタルアルデヒドであることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
前記触媒は水素添加糖と多官能架橋剤との重量の10%までであることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
前記触媒は水素添加糖と多官能架橋剤との重量の少なくとも1%であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
オイルの割合は4から15重量部であることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
尿素の割合は0から20重量部であることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1ないし23のうちの1項に記載したサイジング組成物でサイジング処理したミネラルウールに基づく防音製品および/または断熱製品。
【請求項25】
ミネラルウールは、グラスウールまたはロックウールである請求項24に記載の製品。
【請求項26】
請求項1ないし23のうちの1項に記載のサイジング組成物でサイジング処理したミネラルファイバーのベール。
【請求項27】
ミネラルウールは、グラスウールまたはロックウールである請求項26に記載のベール。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明はミネラルウール、特にグラスウールまたはロックウールに基づく、およびホルムアルデヒドフリーの有機バインダーに基づく断熱製品および/または防音製品の分野に関する。
【0002】
本発明はより詳しくは、熱的に架橋できて上記有機バインダーを形成するサイジング組成物であって、少なくとも1種の水素添加糖と少なくとも1種の多官能架橋剤とを含むもの、およびそれから生じる絶縁製品に関する。
【0003】
ミネラルウールに基づく絶縁製品の製造は一般的にウール自体の製造段階を含み、これは種々のプロセスにより、たとえば内部遠心分離または外部遠心分離により繊維化する既知の技術に従って行うことが可能である。
【0004】
内部遠心分離は多数の小さなオリフィスを有する遠心機の中に溶融した鉱物材料(ガラスまたは岩石)を導入することにあり、材料は遠心力の作用下でデバイスの周壁に向かって噴射してそこからフィラメントの形態で出る。遠心機を出たら、フィラメントを高温および高速を有するガス流により収容部材に向かって引き出して運び、ファイバー(またはミネラルウール)のウェブを形成する。
【0005】
外部遠心分離に関しては、ローターとして知られる回転部材の外周面において溶融材料を注ぐことにあり、ここから溶融物を遠心力の作用下で排出する。ガス流による引き出し手段および収容部材での収集手段も備えている。
【0006】
ファイバー同士の集合を提供し、ウェブが結束性を有することを可能にするために、遠心機の出口と収容部材との間の経路で、熱硬化性樹脂を含むサイジング組成物をファイバーに噴射する。サイジング剤でコーティングされたファイバーのウェブを一般的に100℃より高い温度での加熱処理にさらして樹脂の重縮合をもたらし、よって特有の性質、特に寸法安定性、引っ張り強さ、加圧後の厚さ回復および均一色を有する断熱製品および/または防音製品を得る。
【0007】
ミネラルウール上に噴射されるサイジング組成物は一般的に、熱硬化性樹脂および添加物たとえば樹脂の架橋用の触媒、接着促進シラン、ダスト防止鉱油等を含む水溶液の形態で提供される。サイジング組成物は一般的にファイバーに噴霧することにより塗布される。
【0008】
サイジング組成物の性質は樹脂の特性に大いに依存する。塗布の観点から、サイジング組成物が良好な噴霧性を示し、ファイバーの表面に堆積することができてこれらを効果的に結合することが必要である。
【0009】
樹脂はサイジング組成物を作るのに用いられる前に一定期間安定でなければならず、この組成物は一般的に樹脂と上記添加物とを混合することにより使用時に調製される。
【0010】
規制レベルで、樹脂は無公害であると見なされることが必要であり、すなわちヒトの健康または環境に有害でありうる化合物をできるだけほとんど含まず、サイジング処理段階中またはその後に生じることができるだけほとんどないことが必要である。
【0011】
最も一般的に用いられる熱硬化性樹脂はレゾールの群に属するフェノール樹脂である。上記した熱的条件下でのその良好な架橋能力に加えて、これらの樹脂は水に溶解し、ミネラルファイバー、特にグラスファイバーに良好な親和性を有し、比較的安価である。
【0012】
これらレゾールは、フェノールとホルムアルデヒド間の反応を促進し、樹脂中の残留フェノールのレベルを下げるように、塩基触媒下、1よりも大きいホルムアルデヒド/フェノールのモル比でフェノールとホルムアルデヒドの縮合により得られる。フェノールとホルムアルデヒドとの間の縮合反応をモノマーの縮合の程度を制限しながら行って、希釈性を低下させる、長い、比較的水不溶性の鎖の形成を回避する。その結果、樹脂はある割合の未反応モノマー、特にホルムアルデヒドを含み、その存在は既知の有害性のため望ましくない。
【0013】
この理由のため、レゾールベースの樹脂を一般的に尿素で処理する。これは不揮発の尿素−ホルムアルデヒド縮合物の形態でトラップすることによって遊離ホルムアルデヒドと反応する。樹脂中の尿素の存在はさらに、その低コストの結果としてある種の経済上の利点をもたらす。というのも、樹脂の操作性に影響を与えることなく、特に最終製品の機械的性質に悪影響を与えることなく比較的大量の尿素を導入することができ、これは樹脂の総コストを著しく下げるからである。
【0014】
それにもかかわらず、樹脂の架橋を得るためにウェブがさらされる温度条件下では、尿素−ホルムアルデヒド縮合物は安定でないことが認められている;これらはホルムアルデヒドと尿素(さらにこれは少なくとも部分的に分解されてアンモニアを与える)の復元を伴って分解し、これらは工場の雰囲気中に放出される。
【0015】
より制限的になっている環境保護に関する規制は、望まない放出のレベル、特にホルムアルデヒドのものをさらに下げることができる解決策を探すことを絶縁製品の製造者に強制しつつある。
【0016】
サイジング組成物中のレゾールを置き換える解決策が知られており、カルボン酸ポリマー、特にアクリル酸ポリマーの使用に基づいている。
【0017】
US 5 340 868 において、サイズ組成物はポリカルボン酸ポリマー、β−ヒドロキシアミドおよび少なくとも3官能性のカルボン酸モノマーを含む。
【0018】
ポリカルボン酸ポリマー、ポリオールおよび触媒を含むサイジング組成物が提供されており、この触媒はリン含有触媒(US 5 318 990,US 5 661 213,US 6 331 350,US 2003/0008978)、フルオロボラート(US 5 977 232)、またはシアナミド、ジシアナミドもしくはシアノグアニジン(US 5 932 689)である。
【0019】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンおよびポリカルボン酸ポリマー(US 6 071 994,US 6 099 773,US 6 146 746)をコポリマーとの組み合わせで(US 6 299 936)含むサイジング組成物が記載されている。
【0020】
US 2002/0091185 において、ポリカルボン酸ポリマーとポリオールは、OH基の当量数のCOOH基の当量数に対する比が0.6/1から0.8/1まで変化するような量で用いられている。
【0021】
US 2002/0188055 において、サイジング組成物はポリカルボン酸ポリマー、ポリオール、およびカチオン性、両性または非イオン性界面活性剤を含んでいる。
【0022】
US 2004/0002567 において、サイジング組成物はポリカルボン酸ポリマー、ポリオール、およびシランタイプの結合剤を含有している。
【0023】
US 2005/0215153 において、カルボン酸ポリマーおよびポリオールを含むプレバインダーから、ならびにコバインダーとしてデキストリンから作られるサイジング組成物が記載されている。
【0024】
WO 2006/120523 において、(a)ポリ(ビニルアルコール)、(b)非ポリマーのポリ酸またはその塩、酸無水物から選択される多官能架橋剤および(c)任意に触媒を含み、(a):(b)の重量比が95:5から35:65まで変化し、pHが少なくとも1.25であるサイジング組成物が記載されている。
【0025】
加えて、WO 2008/053332 は(a)糖ポリマーおよび(b)モノマーのポリ酸またはその塩、およびその無水物から選択される多官能架橋剤の付加物であって、(a):(b)重量比が95:5から35:65まで変化するような条件下で得られる付加物を含むサイジング組成物を開示している。
【0026】
ここまで述べたサイジング組成物により示される不利点の中でも、高コスト、高粘度、低いpHに言及することができ、これは酸腐食、および高い架橋温度の問題を引き起こす。
【0027】
本発明の目的は、ホルムアルデヒドを含まないミネラルウールに基づく絶縁製品のためのサイジング組成物を提供することであり、従ってレゾールに基づくサイジング組成物に対しての代替物を利用可能にすることができる。
【0028】
他の目的は、再生可能資源、特に植物源に由来する天然化合物から調製されるサイジング組成物を提供することである。
【0029】
他の目的は、色が白である絶縁製品を製造することができるサイジング組成物を提供することである。
【0030】
これらの目的を達成するため、本発明はミネラルウール、特にグラスウールまたはロックウールに基づく絶縁製品のためのサイジング組成物を提供し、これは以下を含む:
少なくとも1種の水素添加糖、および
少なくとも1種の多官能架橋剤。
【0031】
「水素添加糖」とは、どのような方法であれ、直鎖、環式または分枝の単糖類、オリゴ糖類および多糖類から選択される糖の還元から生じるすべての生成物、およびこれら生成物、特にデンプン加水分解物の混合物を意味するとここでは理解される。
【0032】
本発明によるデンプン加水分解物はそれ自体既知である方法で、たとえば酵素加水分解および/または酸加水分解により得られる。でんぷんの加水分解の程度は一般的に、以下の関係式で定義されるデキストロース当量(DE)により特徴付けられる:
【数1】
【0033】
デンプン加水分解物のDEは、用いた加水分解法(たとえば酵素タイプ)および加水分解の程度によって変化する:異なる重合度を有する生成物の分布は幅広い範囲内で変化しうる。
【0034】
好ましいデンプン加水分解物は5〜99の、有利には10〜80の間のDEを有する。
【0035】
高い水素圧および高温の条件下、元素の周期表のIB、IIB、IVB、VI、VIIおよびVIII族から選択される触媒、好ましくはニッケル、白金、パラジウム、コバルト、モリブデン、およびこれらの混合物から成る群から選択される触媒の存在下で行われる既知の方法により糖に水素添加をすることができる。好ましい触媒はラネーニッケルである。水素添加は糖または糖の混合物(デンプン加水分解物)を対応するポリオールに変える。
【0036】
好ましくはないけれども、水素添加を水素添加触媒の不存在下、水素ガス以外の水素供給源、たとえば水素化ホウ素ナトリウムのような水素化ホウ素アルカリ金属の存在下で行ってもよい。
【0037】
水素添加糖の例として、グリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトールおよびデンプン加水分解物の水素添加からの生成物、特に Roquette により Polysorb(登録商標)の名で販売されているものを挙げることができる。好ましくは、デンプン加水分解物の水素添加からの生成物を用いる。
【0038】
本発明に従う水素添加糖は、100000未満、好ましくは50000未満、有利には5000未満であってさらに良好には180よりも大きい数平均モル質量を有する。
【0039】
本発明に従う水素添加糖は還元糖を(乾燥ベースで)5重量%を超えない、好ましくは1重量%を超えない、さらに良好には0.5重量%を超えない低い割合で含んでいてもよい。
【0040】
多官能架橋剤は、水素添加糖のヒドロキシル基と熱の影響下で反応して酸結合を形成することができ、これは最終的なバインダーにおいて得られるポリマーネットワークをもたらす。上記ポリマーネットワークは、ミネラルウールにおけるファイバーの接触点において結合をもたらすことを可能にする。
【0041】
多官能架橋剤は、有機ポリカルボン酸またはこれらの酸の塩、酸無水物およびポリアルデヒドから選択される。
【0042】
「有機ポリカルボン酸」とは、少なくとも2つのカルボキシル官能基、好ましくは最大で300のカルボキシル官能基、有利には最大で70のカルボキシル官能基、さらに良好には最大で15のカルボキシル官能基を有する有機酸を意味すると理解される。
【0043】
有機ポリカルボン酸は、非ポリマーまたはポリマーの酸であってよく、50000以下の、好ましくは10000以下の、有利には5000以下の数平均モル質量を示す。
【0044】
非ポリマーの有機ポリカルボン酸は飽和または不飽和であって直鎖または分枝の脂環式酸、環状酸または芳香族酸である。
【0045】
非ポリマーの有機ポリカルボン酸は、ジカルボン酸、たとえばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、トラウマチン酸、ショウノウ酸、フタル酸およびその誘導体、特に少なくとも1つのホウ素または塩素原子を含むもの、テトラヒドロフタル酸およびその誘導体、特に少なくとも1つの塩素原子を含むもの、たとえばクロレンド酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メサコン酸およびシトラコン酸、トリカルボン酸、たとえばクエン酸、トリカルバリル酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、アコニット酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸およびトリメシン酸;またはテトラカルボン酸、たとえば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸およびピロメリト酸であってよい。
【0046】
ポリマーの有機ポリカルボン酸の例として、不飽和カルボン酸のホモポリマー、たとえば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ケイ皮酸、2−メチルマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α,β−メチレングルタル酸および不飽和ジカルボン酸モノエステル、たとえばC−C10アルキルマレアートおよびフマラート、ならびに上記不飽和カルボン酸および少なくとも1種のビニルモノマー、たとえば不飽和スチレンもしくはアルキル基、ヒドロキシル基もしくはスルホニル基により置換されたスチレン、(メタ)アクリロニトリル、不飽和(メタ)アクリルアミドもしくはC−C10アルキル基により置換された(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリラート、特にメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラートおよびイソブチル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、ブタンジエンおよびビニルエステル、特にビニルアセタートのコポリマーを挙げることができる。
【0047】
好ましくは、サイジング組成物は1000以下、好ましくは750以下および有利には500以下の数平均モル質量を有する少なくとも1種の非ポリマー有機ポリカルボン酸を、任意には少なくとも1種のポリマー有機酸との混合物として含む。
【0048】
多官能架橋剤は酸無水物、特に無水マレイン酸、無水コハク酸または無水フタル酸でありうる。しかしながら、酸無水物のサイジング組成物への添加はpHにおいて大きな欠点をもたらし、これは製造のためのラインの装置の腐食および水素添加糖の加水分解の問題を引き起こす。塩基を導入するとサイジング組成物のpHをこれらの問題を防ぐのに十分な値にさせることが可能になる。塩基の補助的な添加に関するコストは酸無水物の使用が好ましくないことを意味する。
【0049】
多官能架橋剤はポリアルデヒドであってもよい。
【0050】
「ポリアルデヒド」とは、少なくとも2つのアルデヒド官能基を有するアルデヒドを意味すると理解される。
【0051】
好ましくは、ポリアルデヒドは非ポリマーのジアルデヒド、たとえばグリオキサール、グルタルアルデヒド、1,6−ヘキサンジアールまたは1,4−テレフタルアルデヒドである。
【0052】
ポリアルデヒドは水素添加糖のヒドロキシル基に関して非常に高い反応性を有するだけでなく一般にヒドロキシル基に高い反応性を有し、これは不利点、特に熱架橋処理前のサイジング組成物の安定性の低下および/またはプレゲル化を示しうる。これらの不利点を防止するために、ポリアルデヒドのアルデヒド官能基を有利には保護して、ミネラルウールがオーブンに入る前に、サイジング組成物に存在する成分との反応を防ぐ。アルデヒド官能基を保護することができる試薬の例として、尿素および環状尿素を挙げることができる。
【0053】
サイジング組成物において、水素添加糖は、水素添加糖と多官能架橋剤から構成されている混合物の重量の10から90%まで、好ましくは20%よりも大きい、特には20から85%まで、有利には少なくとも30%であってさらに良好には30から80%までに相当する。
【0054】
サイジング組成物は酸または塩基の触媒をさらに含んでいてもよく、これは特に架橋が始まる温度を調節する役割を有する。
【0055】
触媒を、ルイス塩基およびルイス酸、たとえば粘土、コロイドシリカもしくは非コロイドシリカ、有機アミン、第四級アミン、金属酸化物、金属硫酸塩、金属塩化物、尿素硫酸塩、尿素塩化物およびケイ酸塩に基づく触媒から選択することができる。
【0056】
触媒はリン含有化合物、たとえば次亜リン酸アルカリ金属、亜リン酸アルカリ金属、ポリリン酸アルカリ金属、リン酸水素アルカリ金属、リン酸またはアルキルリン酸であってもよい。好ましくは、アルカリ金属はナトリウムまたはカリウムである。
【0057】
触媒はフッ素およびホウ素を含む化合物、たとえばテトラフルオロホウ酸またはこの酸の塩、特にテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、たとえばテトラフルオロホウ酸ナトリウムまたはテトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸アルカリ土類金属、たとえばテトラフルオロホウ酸カルシウムまたはテトラフルオロホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸亜鉛およびテトラフルオロホウ酸アンモニウムであってもよい。
【0058】
好ましくは、触媒は次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムおよびこれらの化合物の混合物である。
【0059】
サイジング組成物中に導入する触媒量は、水素添加糖と多官能架橋剤との重量の20%まで、好ましくは10%までに相当することができ、有利には少なくとも1%である。
【0060】
本発明に従うサイジング組成物は水素添加糖と多官能架橋剤との100重量部に基づいて計算した以下の割合で以下の添加物をさらに含んでいてもよい:
0から2重量部までのシラン、特にアミノシラン、
0から20重量部、好ましくは4から15重量部までのオイル、
0から5重量部までの疎水性物質、特にシリコーン、
0から20重量部までのポリオールであって水素添加糖以外のもの、
0から30重量部まで、好ましくは0から20重量部までの尿素、
0から30重量部までの「増量剤」であってリグニン誘導体、たとえばアンモニウムリグノスルファート(ALS)またはナトリウムリグノスルファート、および動物性または植物性タンパク質から選択されるもの。
【0061】
添加物の役割は既知であり、簡潔に再び述べる:シランはファイバーとバインダー間を結合するための試薬であって、またエージング防止剤としても働く;オイルはダスト防止試薬および疎水性試薬である;
尿素は可塑剤として働き、加えてサイジング組成物のゲル化時間を調節することを可能にしてプレゲル化の問題を防止する;「増量剤」は、サイジング組成物に溶解性または分散性の有機充填剤であって、これは特に後者のコストを低減することを可能にする。
【0062】
添加物として加えられるポリオールは水素添加糖とは必然的に異なる;特に非糖類単位を含むポリマーの形態で与えられるポリオール、たとえばビニルアルコールポリマーおよびコポリマーは除外される。
【0063】
サイジング組成物は上記成分の単純な混合により調製される。
【0064】
得られるサイジング組成物は1〜4までのオーダーの酸性pHを示し、これは好ましくは少なくとも2に等しい値、有利には少なくとも3に等しい値に維持されて、ミネラルウールに基づく絶縁製品の製造用のラインの腐食問題を制限する。サイジング組成物に塩基、特に窒素含有塩基たとえばトリエタノールアミン、または水酸化アンモニウムもしくは水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを加えることによりpHを調節することができる。
【0065】
多官能架橋剤が非ポリマーのポリ酸である場合には、サイジング組成物を熱処理にさらして、水素添加糖の一部を上記ポリ酸と反応させることが有利であろう。この熱処理によって、サイジング組成物中の低いモル質量を有する遊離ポリ酸の含量を低減し、これはオーブン中でのサイジング組成物の硬化中に発生するガスの放出を制限する効果を有する。熱処理を40から130℃までの範囲で変動しうる温度において行う。
【0066】
サイジング組成物をミネラルファイバー、特にグラスファイバーまたはロックファイバーに塗布することを意図している。
【0067】
従来、サイジング組成物はミネラルファイバー上に遠心機の出口において、これらがファイバーのウェブの形態で収容部材に集められ続いてサイズ剤の架橋および融解しないバインダーの形成を可能にする温度で処理される前に噴射される。本発明によるサイズ剤の架橋は従来のホルムアルデヒド−フェノール樹脂のそれに匹敵する温度で、110℃以上、好ましくは130℃以上、有利には140℃以上の温度で起こる。
【0068】
これらサイジング処理されたファイバーから得られる防音製品および/または断熱製品も本発明の対象を構成する。
【0069】
これらの製品は一般的に、ミネラルウール、グラスウールまたはロックウールのマットまたはフェルトの形態で提供され、または特に上記マットもしくはフェルトの表面コーティングを形成することが意図されるミネラルファイバー、グラスファイバーまたはロックファイバーのベールの形態でも提供される。これらの製品は特に有利には白色を示す。
【0070】
さらに、絶縁製品は微生物、特にカビの成長に対して大きな抵抗性を示し、これは水素添加糖の非発酵性の性質に起因する。
【0071】
以下の例は本発明を説明することを可能にするが、これを限定しない。
【0072】
これらの例において、以下を測定する:
サイジング組成物について
動的機械分析(DMA)法による架橋開始温度(TC)と架橋率(R)。これはポリマー材料の粘弾性挙動を特性評価することを可能にする。手法は以下の通りである:ワットマン紙をサイジング組成物(約40%の有機固形物の含量)で含浸した後、2つのつかみ具間で水平に固定する。加えた歪みの関数として応力を測定するデバイスを備えた振動部品をサンプルの上面に配置する。このデバイスは弾性率E’を算出することを可能にする。4℃/分の速度で20から250℃まで変化する温度にサンプルを加熱する。温度(℃)の関数としての弾性率E’(MPa)における変化曲線を測定に基づいてプロットする。曲線の全体的な外観を図1に示す。架橋開始温度(TC)に相当する値を、℃で、および架橋率に相当する勾配を、MPa/℃で、曲線上において決定する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】温度(℃)の関数としての弾性率E’(MPa)における変化曲線を測定に基づいてプロットしたグラフ。
【0074】
絶縁製品について
絶縁製品からの打抜きにより切り抜いたサンプルについてASTM C 686−71T規格に従った引っ張り強さ。サンプルは長さ122mm、幅46mm、切り抜き外側縁の曲率半径38mm、および切り抜き内側縁の曲率半径12.5mmを有するトーラス形状を有する。
【0075】
サンプルを試験機の2つのシリンダー状マンドレルであって、その一方が可動で定速で動くものの間に配置する。サンプルの破断荷重(グラム−力)を測定して、破断荷重のサンプルの重量に対する比により定義される引っ張り強さTSを算出する。
【0076】
製造後(初期引っ張り強さ)およびオートクレーブ中105℃の温度で100%相対湿度下15分間の加速エージング後(TS15)に引っ張り強さを測定した。
【0077】
絶縁製品の初期厚さ、ならびに5/1に等しい圧縮度(名目厚さの圧縮下の厚さに対する比として定義される)での24時間および12日間に亘る圧縮後の厚さ。%で表す厚さ測定は製品の良好な寸法挙動を評価することを可能にする。
【0078】
EN 1609規格の条件下での吸水率。mの絶縁製品あたりに吸収されたkgの水として表される。吸水率が1kg/m未満である絶縁製品は低い短期吸水率(24時間)を有すると見なされ、ACERMI認証に従って「WS」カテゴリーに属する。
【0079】
EN 13162規格に従う熱伝導率λ。W/(m×°K)で表す。
【0080】
例1から4
重量部で表される、表1に示す成分を含むサイジング組成物を調製する。
【0081】
水素添加糖は、12重量%のマルチトールおよび12重量%のソルビトールを含むデンプン加水分解物(固形物含有量:70%)の水素添加生成物である。
【0082】
容器中に、水素添加糖、クエン酸および次亜リン酸ナトリウム(触媒)を連続的に導入して、成分が十分に溶解しきるまで激しく撹拌することにより、サイジング組成物を調製する。
【0083】
以下の表1に現れるサイジング組成物の特性を、WO 01/96254 A1 の例2、試験1に従って調製したホルムアルデヒド−フェノール樹脂と尿素とを含む従来のサイジング組成物(参照)と比較して評価する。
【表1】
【0084】
例1から4までのサイジング組成物は、架橋開始時間(TC)および粘度に関しては参照のものと同様の特性を有する。架橋率(R)は参照のものよりも低いままである。
【0085】
例1から4までの組成物、およびホルムアルデヒド−フェノール樹脂(参照)の組成物を用いてグラスウールに基づく絶縁製品を形成した。
【0086】
遠心ディスクと称され、溶融した組成物を収容するためのチャンバを形成するバスケットと複数のオリフィスがあけてある周辺バンドとを有する工具を用いて溶融したガラス組成物をファイバーに変える内部遠心分離技術によりグラスウールを製造する:ディスクはその垂直に配置された対称軸の周りを回転し、組成物をオリフィスから遠心力の影響下で吐出して、オリフィスから出る材料を、引き出しガス流の助けにより引き出してファイバーにする。
【0087】
従来は、サイジング剤噴霧リングを繊維化ディスクの真下に配置して形成されたばかりのグラスウール上にサイジング組成物を均一に分散させる。
【0088】
こうしてサイジング処理されたミネラルウールを、ミネラルウールをコンベヤーの表面においてフェルトまたはウェブの形態で保持する内部抽出ボックスを備えたベルトコンベヤー上で集める。続いてコンベヤーは290℃に保たれたオーブンを通して移動し、ここでサイジング財の成分が重合してバインダーを形成する。得られた絶縁製品は17.5kg/mの密度、製造直後で約82mmの厚さ、および約5%の強熱減量を示す。
【0089】
絶縁製品の性質を以下の表2に示す。
【表2】
【0090】
例1から4までのサイジング組成物を用いて製造した絶縁製品は、12日間の圧縮後の厚さ回復および熱伝導率λに関して参照製品と同様の特性を示す。
【0091】
例1および2のサイジング組成物で処理された絶縁製品は参照と比較して、エージング
後に良好な引っ張り強さ(それぞれ9.8%および15.7%に等しい損失)を示す。
以下に、本願発明の実施態様を付記する。
1.ミネラルウール、特にロックウールまたはグラスウールに基づく絶縁製品のためのサイジング組成物であって、
少なくとも1種の水素添加糖と、
少なくとも1種の多官能架橋剤とを含むことを特徴とするサイジング組成物。
2.前記水素添加糖は、直鎖、環式または分枝の単糖類、オリゴ糖類および多糖類から選択されることを特徴とする1に記載の組成物。
3.前記水素添加糖はグリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトールおよびデンプン加水分解物の水素添加による生成物であることを特徴とする1または2に記載の組成物。
4.前記水素添加糖はデンプン加水分解物の水素添加による生成物であることを特徴とする3に記載の組成物。
5.前記水素添加糖は100000未満、好ましくは50000未満、有利には5000未満で、さらに良好には180よりも大きい数平均モル質量を示すことを特徴とする1ないし4のうちの1項に記載の組成物。
6.前記水素添加糖は、(乾燥ベースで)5重量%を超えない、好ましくは1重量%を超えない、さらに良好には0.5重量%を超えない割合で還元糖を含むことを特徴とする1ないし5のうちの1項に記載の組成物。
7.前記多官能架橋剤は有機ポリカルボン酸またはこれらの酸の塩、酸無水物およびポリアルデヒドから選択される1ないし6のうちの1項に記載の組成物。
8.前記有機ポリカルボン酸は少なくとも2つのカルボキシル官能基、好ましくは最大で300のカルボキシル官能基、有利には最大で70のカルボキシル官能基、さらに良好には最大で15のカルボキシル官能基を有することを特徴とする7に記載の組成物。
9.前記有機ポリカルボン酸は50000以下の、好ましくは10000以下の、有利には5000以下の数平均モル質量を示すことを特徴とする8に記載の組成物。
10.前記有機ポリカルボン酸は飽和または不飽和で直鎖または分枝の脂環式非ポリマーの有機ポリカルボン酸、環状酸および芳香族酸から選択されることを特徴とする7ないし9のうちの1項に記載の組成物。
11.前記有機ポリカルボン酸はジカルボン酸、特にシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、トラウマチン酸、ショウノウ酸、フタル酸およびその誘導体、特に少なくとも1個のホウ素原子または塩素原子を有するもの、テトラヒドロフタル酸およびその誘導体、特に少なくとも1個の塩素元素を有するもの、イソフタル酸、テレフタル酸、メサコン酸およびシトラコン酸、トリカルボン酸、特にクエン酸、トリカルバリル酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、アコニット酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸およびトリメシン酸、ならびにテトラカルボン酸、特に1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸およびピロメリト酸から選択されることを特徴とする10に記載の組成物。
12.前記有機ポリカルボン酸はポリマー有機ポリカルボン酸、特に不飽和カルボン酸のホモポリマーおよび少なくとも1種の不飽和カルボン酸と少なくとも1種のビニルモノマーとのコポリマーから選択されることを特徴とする7ないし9のうちの1項に記載の組成物。
13.前記不飽和カルボン酸は(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ケイ皮酸、2−メチルマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α,β−メチレングルタル酸および不飽和ジカルボン酸モノマーであり、前記ビニルモノマーは非置換のスチレンまたはアルキル基、ヒドロキシル基もしくはスルホニル基によりもしくはハロゲン原子により置換されたスチレン、(メタ)アクリロニトリル、非置換の(メタ)アクリルアミドまたはC−C10アルキル基により置換された(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、ブタジエンおよびビニルエステルであることを特徴とする12に記載の組成物。
14.前記酸無水物は無水マレイン酸、無水コハク酸または無水フタル酸であることを特徴とする7に記載の組成物。
15.前記ポリアルデヒドは非ポリマーのジアルデヒド、特にグリオキサール、グルタルアルデヒド、1,6−ヘキサンジアールまたは1,4−テレフタルアルデヒドであることを特徴とする7に記載の組成物。
16.前記ポリアルデヒドのアルデヒド官能基が尿素または環状尿素により保護されていることを特徴とする15に記載の組成物。
17.前記水素添加糖は、水素添加糖と多官能架橋剤とから構成されている混合物の重量の10から90%まで、好ましくは少なくとも20%、特に20から85%まで、有利には少なくとも30%、特に30から80%までに相当することを特徴とする1ないし16のうちの1項に記載の組成物。
18.ルイス酸およびルイス塩基、リン含有化合物ならびにフッ素およびホウ素を有する化合物から選択される触媒をさらに含むことを特徴とする1ないし17のうちの1項に記載の組成物。
19.前記触媒は水素添加糖と多官能架橋剤との重量の20%まで、好ましくは10%まで、有利には少なくとも1%に相当することを特徴とする18に記載の組成物。
20.水素添加糖と多官能架橋剤との100重量部に基づいて計算した以下の割合で以下の添加物:
0から2重量部のシラン、特にアミノシラン、
0から20重量部、好ましくは4から15重量部のオイル、
0から5重量部の疎水性物質、特にシリコーン、
0から20重量部のポリオールであって水素添加糖以外のもの、
0から30重量部、好ましくは0から20重量部の尿素、
0から30重量部の「増量剤」であってリグニン誘導体、たとえばアンモニウムリグノスルファート(ALS)またはナトリウムリグノスルファート、および動物性または植物性タンパク質から選択されるものをさらに含むことを特徴とする1ないし18のうちの1項に記載の組成物。
21.1ないし20のうちの1項に記載したサイジング組成物を用いてサイジング処理したミネラルウール、特にグラスウールまたはロックウールに基づく防音製品および/または断熱製品。
22.1ないし20のうちの1項に記載のサイジング組成物を用いてサイジング処理したミネラルファイバー、特にグラスファイバーまたはロックファイバーのベール。
図1