(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の一つまたはそれ以上の具体的な実施形態を以下に述べる。これらの実施形態を簡潔に説明するため、明細書では任意の実際の具体化におけるすべての特徴を記載しているわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の具体化の開発に
おいて、システム関連および事業関連の制約の順守など、実施毎に変動し得る開発者の具体的な目標を達成するために、多数の実施に特化した決断を下さねばならなかったことを理解しておくべきである。さらに、開発努力は複雑かつ時間を要するものであったが、本開示の恩恵を得る当業者にとっては設計、作製、製造上のルーチン作業でありえたであろうということも理解しておくべきである。
【0008】
本開示は、特定の臨床状態の診断、モニタリング、および治療のためのシステムおよび方法を提供する。プロセッサベースシステムは、患者に関するデータを解析することによって、患者の生理学的状態を特徴付け、定量化することができる。一実施形態では、データベースは、傾向および変動の複合的な関係パターンの検索および/または解析に好ましいフォーマットに変換される。そのようなフォーマットの一つは、時系列マトリックスの異常成分の画像または動画を生成するように自己をフォーマットすることができ、さらにはオペレータが解釈可能なデータに処理することのできる時系列マトリックスである。
【0009】
一実施形態では、プロセッサによって構成される時系列マトリックスは、各々が個々の患者の異なる化学的、電気的、機械的、および/または状態関連のパラメトリック値および/またはノンパラメトリック値を有する複数の(たとえば、数百または数千の)時系列を含むことができる。一実施形態では、患者から得られるデータは、各々が単独の時間軸に沿って並べられる包括的な時系列セットに体系化される。個々の時系列は、1次元が時間である2次元であるが、2次元目には他に制限はないため、マトリックスは一体化される時間的次元に加えて数千の他の次元を有することができる。たとえば、次元は、値の導関数および周波数測定値または算出値、複数の値間の算出または測定された値、複数の値間の時間関係を含むことができる。さらに数例挙げると、定義は、瞬時規模値、移動ウィンドウ導出平均規模値、任意の測定値または算出値の瞬時勾配、ならびに加速度値または領域関連値、ピーク値または最低値、差異値、回復値、閾値違反、閾値近似値、統計パラメータまたは値、微分値、傾向値、周波数領域導出値のうちのいずれかの勾配の移動ウィンドウ平均によってさらに定義することができる。
【0010】
一実施形態は、スケジュールで定期的に、連続的に、起動により、あるいは手動で自動化可能である、病院の広範囲のおよび/または中央集中医療記録の直接検索によって、患者データの完全なマトリックスの視覚化を提供する。直接検索により、複合的な不全カスケード画像または検索されたその他のパターンに関わる時間と関係に関する情報に迅速にアクセスすることができ、それには画像を提示する患者の識別情報の出力も含まれる。出力は、看護士ステーションや別の場所に配置されるディスプレイを備えることができ、患者、看護士、または医師に装着されるページャまたは電話を通じて患者への直接通知を含むことができる(検討用の画像を表示することも可能である)。したがって、検出は病院、病院システム、地域、または世界全体にとって中心的な位置の中央集中データベース保管庫で実行することができ、病院、介護者、または患者自身に直接通知されることが前提となっている。
【0011】
一実施形態では、手動検索および/または自動検索プロセスの準備のために、医療従事者または研究者には、状態、パターン、またはその他の発生の名称が入力される単独の検索ボックスが与えられる。次に、医療従事者または研究者は、患者安全プロセッサに検索を実行するように命じることができる。検索結果は、迅速な走査を可能とするページディスプレイ上に提示される。「hit」毎に、「hit」に時間的関連するデータとhitを構成する発生に関連するデータの画面にナビゲートされるリンクが提示される。これには、時系列ディスプレイ、発生ストリームディスプレイ、患者データ、発生および/または構成発生の定義に関するデータを含むことができる。状態、パターン、またはその他の発生の視点を絞るために利用可能な検索の特徴を、以下に数例述べる。プロセッサは、これらの特徴を用いて検索をナビゲートするようにプログラムすることができる。これにつ
いて、以下の開示でより詳細に説明する。
【0012】
時間的関連性−特定された発生内の関係を把握することで、生体内の発生の進展全体に基づき一連の時間帯を表示するための情報を提供する。患者安全プロセッサ検索の一実施形態は、これらの対象期間の間での迅速な切換を提供して、進展パターンのマクロ的およびミクロ的な視点の両方を提供する。
【0013】
データ関連性−患者安全プロセッサ検索システムの一実施形態は、特定された発生の定義を使用して、発生に関連するデータのチャネルを表示することができる。これらのデータチャネルは、関連の発生が出現するチャネルと、予測される発生が出現しないチャネルとを含む。関連のデータセットは時間的関連性と密接に関係するため、時間的に関連する計画対象期間と連携される。
【0014】
統計的関連性−一実施形態では、たとえば、ローカルソースおよび任意で中央集中画像データから得られる統計情報を用いて、発生の統計的関連性を提供することができる。データがリアルタイムデータであれば、予想される進展経路のみでなく、問題の発生をさらに識別するために実行可能である代替のデータチャネルも提示される。
【0015】
メタ関連性−統計情報と起こり得るパターン/画像すべてのメタシステムとを組み合わせ、患者安全プロセッサは、データの代替解釈、候補発生、ならびに医療従事者または研究者が特定のデータポイント(検査の結果など)を要調査対象として示す、あるいは欠落データに関する「最適な推定」を提示する「仮説的シナリオ」を示すことができる。
【0016】
医療従事者または研究者は、計画対象期間、患者集団、地理的位置、または発生カテゴリなどの検索におけるフィルタを含むことができる。フィルタリングを助けるために発生トポロジを作成することができる。これらのフィルタは予め定義されて代表的なフォーカス領域を提供することができる、あるいは医療従事者によって定義することができる。高度なブール組み合わせ、ならびにより単純な機構を提供することができる。
【0017】
検索結果は、特定レベルの粒状度(たとえば、患者、患者滞在、地理的位置など)によって集約することができる。データが集約されれば、「hit」が選択されたら、医療は集合体から単独の発生を選択することができる、あるいは(たとえば、患者滞在中の)複数の発生表示を見ることを選択することができる。
【0018】
さらに、集合体を選択して、その中で検索することができる。このように、医療従事者は、特定の発生または発生群が表示のために選択されるまで検索を反復的に絞ることができる。
【0019】
医療従事者は、発生または発生群の表示から検索結果へと戻って進むことができる。検索または単純な時間/データ選択がマトリックスへの入力を提供することができる。マトリックスが入力されると、プロセッサディスプレイは(所望により)特定の発生に中心を合わせることができる。この発生に関してプロセッサ内で維持される関係は、広範囲なナビゲーションを提供することができる。医療従事者は、発生の構成エレメントに至るまでナビゲートするように選択することができる。各レベルで、ディスプレイは所望の関係性に構成することができる。それにより、医療従事者には、画像の特定側面にほぼ「拡大表示」する代替的な機構が与えられる。また、医療従事者は、現行の発生が1構成部分を成す発生までナビゲートすることによって「縮小表示」を選択することもできる。一例では、重炭酸塩の低下事象が検出されると、発生はそれが一部を成す敗血症カスケード全体のビューへの手動または自動的なナビゲーションで縮小表示することができる。高位のビューは高レベルの画像を進展することができる。横移動は、単純なパニング(たとえば、時
間的な前方/後方へのスライド)によっても、次の同様の発生または現行の発生内の画像進展の次のステージまでナビゲートすることによっても実行することができる。ナビゲーションはメタデータを通じて行うこともできる。これにより、医療従事者は同様の画像から実際に特定されている画像にナビゲートすることができる。これらの画像は比較のため重畳される。たとえば、医療従事者は、現行の画像の進展経路にあることが統計上既知である画像を見るように要求することができる。予測される(しかし、まだ実現されていない)進展経路へのナビゲーションによって、医療従事者は動揺の進展を予想し、治療への予想反応を見ることができる。
【0020】
さらに、発生または発生群の表示内で、医療従事者または研究者には、表示内のエレメントに基づき検索する機会が提示される。たとえば、画像が特定の事象を含む場合、医療従事者は時間フレームまたはその他の検索対象期間(たとえば、特定の医師に関連する)内の事象のその他の発生を検索することができる。
【0021】
スピンオフ検索は、検索を構成したエレメントから一つまたはそれ以上の方法で変更することができる。たとえば、医療従事者は閾値違反を選択し、検索を指示することができるが、僅かに高いまたは低い閾値を許容する。もしくは、別の例として、バイナリを選択することができるが、発生間の時間の要件は緩和させることができる。
【0022】
事実上、検索は、任意のエレメントまたはメタエレメントを患者安全プロセッサ検索の開始点とする患者安全プロセッサシステムを通過する。この状況で、医療従事者または研究者は、当該状態の性質および進展に関する洞察に迅速にしたがい、患者安全プロセッサに、フォーカスデータ内の関係に関連する点で、ほぼ直近のデータ集合体、利用可能な研究本体全体における全体的な統計的関係、および現行の医療従事者の洞察を提供させることができる。プロセッサは、絞られてゆく特徴のうち一つまたはそれ以上(またはその他のタイプ)を使用して自動的に検索するようにプログラミングすることができる。たとえば、プロセッサは、所与の患者の換気の上昇傾向が検出されると、検出された上昇に時間上関係するその他の傾向、違反、事象、または画像を検索し、画像(カスケードなど)または事象(薬物注入または重炭酸塩の低下など)が存在するかどうか、および換気の上昇と組み合わせて新たな画像がどこに検出されるのかを判定することができる。
【0023】
マトリックスの個々の時系列は、たとえば、患者の体重または患者の左心室の駆出分画(あるいは過渡的であってもよい)、IV麻酔薬の単回注入(あるいは断続的であってもよい)、睡眠時無呼吸クラスタ内でのピーク(回復値)SPO
2バイナリの時系列と同様、マトリックスの全長を延長することができる。一実施形態では、個々の時系列は未処理時系列を事象の時系列に変換する処理(たとえば、オブジェクト化プロセスによるオブジェクト)によって互いにリンクされるが、別の方法を採用することもできる。事象処理および/またはオブジェクト化によるリンクは、患者関連データの時系列の包括的(おそらく全方向性)オブジェクト化マトリックスを生成して、広範な架橋性を有する中央の共通時間軸に沿って延在する。時系列でない系列(たとえば、単独の時刻で検出されるパラメータの一連の周波数)もオブジェクト化することができるが、この場合、この系列のタイプは、その系列の発生の時刻(または時間ウィンドウ)でマトリックスの時間軸に垂直に延在する。時系列でない系列は、系列全体で同じ時間の標示を有し、時系列と同様、その他の任意の時系列またはマトリックス内のその他の系列とリンクさせることができる。
【0024】
一実施形態では、事象、関係事象、および総合事象は、生理学的不全および治療の画像を構成するように定義される。画像解析により生理学的不全および治療のモードを特定することで、治療介入が早期に認識され、検査および治療のプロトコル化が向上する。処理ネットワークは、生理学的不全および治療の画像の広範囲なアーカイブを開発して画像認識プロトコルに国際的経験を必要な処理で組み込むことで、リアルタイム生理学的画像認
識を強化および促進し、遠隔の、および/または医療サービスの乏しいコミュニティ内の病院を含め、検査および治療のコスト効率を向上させる。
【0025】
一実施形態は、(1)医療記録を、画像化に適した特定構造の少なくとも一つの時系列マトリックス(たとえば、その構造は、2次元またはそれ以上の空間構造、および/または2次元またはそれ以上の時間構造、および/または2次元またはそれ以上の周波数構造、および/または画像化に適したその他の構造であってもよい)に変換するステップと、(2)生理学的発生、生理学的不全、および/または治療(たとえば、敗血症カスケードパターン、敗血症ショックパターン、薬物反応パターンを含むことができる)を示す少なくとも一つの画像を検出するためにマトリックスを画像化するステップと、(3)たとえば、画像および/または画像の原因を示す表示(警告であってもよい)の出力を含むことのできる、画像検出に基づく操作を行うステップと、を有する生理学的発生、生理学的不全および/または治療を検索し検出するリアルタイム処理方法を含む。
【0026】
一実施形態では、時系列マトリックスが処理される(この処理は、事象の時系列マトリックスを生成する時系列マトリックスの構成の一環として提供することができる)。一実施形態では、これらの事象はオブジェクト(時系列オブジェクト化プロセスによる関連的階層を有するオブジェクトなど)であることによって、オブジェクト化時系列マトリックスを提供する。事象の未処理時系列マトリックスおよび/または時系列マトリックス、および/またはオブジェクト化時系列マトリックスは、特定のデフォルトのデジタル空間および/または時間および/または周波数および/または統計構造などの特定構造を取り、その後、既知のデジタル画像認識方法によってデジタル画像化され特徴付けられて、一つのパターンおよび/または複数のパターンを検出する。これらの画像パターンは、ユーザの選択、デジタル画像認識方法、統計処理、ニューラルネット処理、またはたとえば本発明者の米国特許出願第11/351,449号に記載され、および/または挙げられるその他の方法によってマトリックスの構造に沿って定義することができる。上記出願の開示は、本明細書で完全に開示されたものと同様に参照によって本明細書に組み込む。
【0027】
一実施形態は、(1)医療記録を、画像化に適した特定構造の少なくとも一つの時系列マトリックスに変換し、そのマトリックスを、オブジェクト化時系列マトリックスなどの事象の時系列マトリックス(たとえば、オブジェクト化時系列マトリックスの構造は、2次元またはそれ以上の空間構造、および/または2次元またはそれ以上の時間構造、および/または2次元またはそれ以上の周波数構造、および/または画像化に適したその他の構造であってもよい)に処理するステップと、(2)事象の時系列マトリックスを画像化して、生理学的発生、生理学的不全、および/または治療(たとえば、敗血症カスケードパターン、敗血症ショックパターン、薬物反応パターンを含むことができる)を示す少なくとも一つの画像を検出するステップと、(3)たとえば、画像および/または画像の原因を示す表示(警告であってもよい)の出力を含むことのできる、画像検出に基づく操作を行うステップと、を有する生理学的発生、生理学的不全および/または治療を検出するリアルタイム処理方法を含む。ステップ1、2、および3は、時系列とマトリックスが同時に構築されオブジェクト化されるように、あるいは時系列がオブジェクト化され、および/または画像化され、次にマトリックスが構築され、その後オブジェクト化され、および/または画像化されるように組み合わせることができる。未処理時系列マトリックスのデフォルト構造は、デフォルト構造に沿って未処理形式で検出された画像と共に直接表示させることができる(医師または看護士によってオーバーリードされる場合もある)。もしくは、あるいは組み合わせて、別のデフォルト構造が、処理された(たとえば、オブジェクト化された)形式で提示されたマトリックスと共にユーザに対して表示させることができ、検出された画像はアイコン、動画、またはその他の視覚画像として強調、表示、あるいは置換される。別の実施形態では、検出された画像は単純化するように再処理され、これらの再処理画像はより広く複雑な画像を検出するためにデジタル画像化することがで
きる。このように、画像自体(マトリックス内のオブジェクトと同様)、より大きく複雑で引き伸ばされた画像のデジタル画像認識の複雑性を低減する継承階層を有することができる。
【0028】
一実施形態は、(1)医療記録を、少なくとも一つの時系列マトリックスなどの検索用の所定フォーマットに変換するステップと、(2)時系列マトリックスに沿ってオブジェクト(関係事象であってもよい)などの事象を定義するステップと、(3)事象の組み合わせを含むパターンを定義するステップと、(4)処理検索エンジンを使用して、事象および/またはパターンを検索し、少なくとも一つの複合的なパターンまたは画像(たとえば、敗血症カスケードパターン、敗血症ショックパターン、薬物反応パターンを含むことができる)を検出するステップと、および(4)たとえば、画像および/または画像の原因を示す表示(警告であってもよい)の出力を含むことのできる、画像検出に基づく操作を行うステップと、を有するリアルタイム処理方法を含む。
【0029】
実施形態では、時系列マトリックスのオブジェクト化を採用する事象識別および処理を現時点で企図しているが、時系列に沿った、および波形検索エンジン(画像化プロセッサなど)によって特定される時系列マトリックスに沿った動揺、傾向、変動、または閾値違反などの事象または発生を定義するために組み込むことのできる代替的な処理方法が多数ある。たとえば、時系列マトリックス、または「事象、傾向、または動揺処理された、あるいはフォーマットされた(たとえば、オブジェクト化された)時系列マトリックスは、空間構造などの特定構造を取り、その後、画像化され、画像認識方法によって画像特徴付けられてパターンを検出することができる。これらの画像パターンは、統計処理、ニューラルネット処理、またはその他の方法によってマトリックスの構造に沿って定義することができる。また、事象、オブジェクト、および/または画像は広範な種類の検索エンジンを用いて処理され、より大きなコンピュータ検索エンジンに組み込むことができる。
【0030】
事象は、広範囲な方法、たとえば、オブジェクト化、確率的発見、ニューラルネット処理、ピーク値およびトラフ値の検出、適合性、オブジェクト化、特定のルールセット、または時間領域および/または周波数領域における信号処理および/または特徴付け方法を単独またはそれらの組み合わせで、および/またはその他の方法によって定義することができる。
【0031】
一実施形態によると、「オブジェクト化時系列マトリックス」と称されるマッチングレイヤ処理アーキテクチャを用いて、生理系などの複合的なレイヤ非線形システムを特徴付け、定量化する処理方法およびシステムが提供される。オブジェクト化時系列マトリックスは広範囲の信号処理環境に適用可能であるが、一例では、マトリックスが患者の電子医療記録(EMR)のほぼすべての側面を編成し、制御し、特徴付け、定量化するために適用され、リアルタイム患者安全プロセッサとして採用される。ここでは、マトリックスは、衛生および疾患の広域的および地域的な状態を示す進展中のプロセスの複雑性を体系化するリアルタイムプログラム画像を提供することのできる一実施形態を生み出すように、プログラムにより結合されたERMから得られる数百または数千の並列な、場合によっては垂直な系列(並列時間および垂直系列のセグメント)を含んでいる。
【0032】
一実施形態では、上記マトリックスは数百または数千の個々の時系列を含んでおり、各時系列は個々の患者の様々な化学的、電気的、機械的、および/または状態関連のパラメトリック値および/またはノンパラメトリック値を含む。一実施形態では、患者から得られるすべてのデータは包括的な時系列セットに体系化され、各時系列は単独の時間軸に沿って並べられる。個々の時系列は2次元であり、一方の次元は時間であるが、他方の次元には制限がないので、マトリックスは、統一している時間的次元に加えてその他の数千もの次元を有することができる。たとえば次元は、値の導関数および周波数測定値または算
出値、複数値間の算出または測定上の関係、複数値間の時間関係を含むことができる。さらに数例では、次元は、瞬時規模値、移動ウィンドウ由来の平均規模値、測定値または算出値のいずれかの瞬時勾配、および測定値、加速度値または領域関連値、ピーク値または最低値、差異値、回復値のいずれかの勾配の移動ウィンドウ平均によってさらに定義することができる。マトリックスの個々の時系列は、たとえば、患者の体重または患者の左心室の駆出分画(あるいは過渡的であってもよい)、IV麻酔薬の単回注入(あるいは持続注入であってもよい)、睡眠時無呼吸クラスタ内でのピーク(回復値)SPO
2バイナリの時系列と同様、マトリックスの全長を延長することができる。一実施形態では、オブジェクト化によって互いにリンクされるが、別の方法を採用することもできる。オブジェクト化によるリンクは、患者関連データの時系列の包括的(おそらく全方向性)マトリックスを生成して、広範な架橋性を有する中央の共通時間軸に沿って延在する。時系列でない系列(たとえば、単独の時刻で検出されるパラメータの一連の周波数)もオブジェクト化することができるが、この場合、この系列のタイプは、その系列の発生の時刻(または時間ウィンドウ)でマトリックスの時間軸に垂直に延在する。時系列でない系列は、系列全体で同時間の標示を有し、時系列と同様、その他の任意の時系列またはマトリックス内のその他の系列とリンクさせることができる。
【0033】
さらに、本明細書では、患者関連の信号のオブジェクト化時系列マトリックスが提供される。複合的な患者から得られる包括的なマトリックスは、様々なオブジェクト化リンクを有する数百または数千もの並列なオブジェクト化時系列で見た場合、比較的不明瞭に見えるであろう。本明細書では、生理学的不全の動画とするために患者信号のオブジェクト化マトリックスを画像化する処理システムおよび方法が提供される。一実施形態によると、非線形システムの体系化および解析のための時系列マトリックスの構成は、(1)非線形システムに関連する大きな時系列データセットを生成することと、(2)データセットを並列時系列に変換することと、(3)時系列に沿った時系列間の発生を特定することと、(4)発生をリアルタイムの階層型データマトリックスに統合することと、(5)データマトリックスを使用して特定の非線形プロセスを解析することと、によって達成される。
【0034】
一実施形態によると、非線形システムの体系化および解析のための時系列オブジェクト化マトリックスの構成は、(1)非線形システムに関連する大きな時系列データセットを生成することと、(2)データセットを並列時系列に変換することと、(3)時系列をオブジェクト化することと、(4)オブジェクト化時系列に沿ってオブジェクトに沿ったオブジェクト間の発生を特定することと、(5)発生を、リンクされたオブジェクトのリアルタイムの階層型データマトリックスを含む画像に統合することと、(6)当該画像をその他の画像および/またはその他の値または結果と比較して、画像の有意性を判定することと、によって達成される。
【0035】
患者関連の信号の時系列マトリックスを構成し使用して生理学的不全を検出する際に適用される1セットのステップは、(1)電子医療記録のデータセットを時系列セットに変換することと、(2)その系列セットの少なくとも一部をリンクすることと、(3)系列セットに沿って系列セット間で制御可能マイクロドメインを定義することと、(4)発生に関してこれらのマイクロドメインを解析することと、たとえば、マイクロドメインは特定の主要なまたは関係勾配、振幅、極性、状態、加速度、周波数、パターン、値、またはその他の特徴を有する主要なまたは関係動揺とすることができる、(5)発生を統合して、統合された発生の少なくともプログラム画像を生成することと、(6)その画像と疾患を示す記憶された画像とを比較することと、(7)検出画像に基づく操作を行うことと、(8)検出画像に基づき表示を出力することと、を含む。
【0036】
一実施形態では、所与の患者に関連するすべてのデータは時系列に変換され、時間上は
並列ではあるが、評価される時間帯を必ずしもすべて網羅しているわけではない。オブジェクト化時系列マトリックスは、継承ベースの階層を複雑性順で定義するように新しい発生を各々追加することによって構成される。オブジェクト化マトリックスは、電子医療記録を、生理学的状態のリアルタイム動画を得ることのできる高度に体系化されたデータ構造に転換するように順次構築され、それにより早期発見と治療介入が可能になる。
【0037】
一実施形態によると、オブジェクト化時系列マトリックスを含む患者安全プロセッサは、(1)患者の生理学的状態および/または治療に関連するデータを少なくとも含む、患者の広範な時系列データセットを生成することと、(2)少なくともモニタリングされたデータセットと検査のデータセットとを含むデータセットを並列時系列に変換することと、(3)時系列をオブジェクト化することと、(4)オブジェクト化時系列をマイクロドメインに変換することと、(5)マイクロドメインに沿ったマイクロドメイン間の発生を特定することと、(6)体系化された発生の動画生成のために発生をリアルタイムの階層型患者安全データマトリックスに統合することと、(7)動画、特定の病態生理学的プロセス、または動画によって定義されるその他の有害プロセスを認識し、解釈することと、によって提供される。
【0038】
一実施形態によると、オブジェクト化時系列マトリックスを含む患者安全プロセッサは、(1)患者の生理学的状態および/または治療に関連するデータを少なくとも含む、患者の広範な時系列データセットを生成することと(2)少なくともモニタリングされたデータセットと検査のデータセットとを含むデータセットを並列時系列に変換することと、(3)並列時系列をオブジェクト化することと、(4)オブジェクト化時系列をオブジェクト化時系列マトリックスに配置することと、(5)オブジェクト化時系列をマイクロドメインに変換し、マイクロドメインに沿ったマイクロドメイン間の発生を特定し、オブジェクト化時系列を順次かつ反復的に増やすように、特定された発生の各ストリームをオブジェクト化時系列マトリックスに戻し、体系化された発生の動画の識別のため、完成したオブジェクト化時系列マトリックスを解析し、動画、特定の病態生理学的プロセス、または動画によって定義されるその他の有害プロセスを認識し、解釈することと、によって提供される。
【0039】
一実施形態によると、時系列マトリックスを含む患者安全プロセッサ(患者安全プロセッサ)は、(1)患者の生理学的状態および/または治療に関連するデータを少なくとも含む、患者の広範な時系列データセットを生成することと、(2)少なくともモニタリングされたデータセットと検査のデータセットとを含むデータセットを並列時系列に変換することと、(3)たとえば、敗血症カスケード、肺塞栓症カスケード、代謝カスケード、および微小循環系カスケードなどの不全カスケードを示す複数の時系列に沿った関係パターンを特定することと、(4)炎症発生、代謝的発生、容積発生、血行動態発生、治療発生、血液学的発生、呼吸発生などの発生、および敗血症カスケード、肺塞栓症カスケード、代謝カスケードなどの少なくとも一つの不全カスケードを関係付けてまたは集合的に示す発生のタイミングを特定することと、(5)カスケードの表示、カスケードに沿った発生のタイミングとタイプ、およびカスケード長を特定し出力することと、によって提供される。
【0040】
一実施形態によると、オブジェクト化時系列マトリックスを含む患者安全プロセッサは、(1)患者の生理学的状態および/または治療に関連するデータを少なくとも含む、患者の広範な時系列データセットを生成することと、(2)少なくともモニタリングされたデータセットと検査のデータセットとを含むデータセットを並列時系列に変換することと、(3)並列時系列をオブジェクト化することと、(4)オブジェクト化時系列をオブジェクト化時系列マトリックスに配置し、炎症発生、代謝的発生、容積発生、血行動態発生、治療発生、血液学的発生、呼吸発生などの発生、および敗血症カスケード、肺塞栓症カ
スケード、代謝カスケードなどの少なくとも一つの不全カスケードを関係付けてまたは集合的に示す発生のタイミングを特定することと、(5)カスケードの表示、カスケードに沿った発生のタイミングとタイプ、およびカスケード長を特定し出力することと、によって提供される。
【0041】
一実施形態によると、患者安全プロセッサは、(1)患者の生理学的状態および/または治療に関連するデータを少なくとも含む、患者の広範な時系列データセットを生成することと、(2)少なくともモニタリングされたデータセットと検査のデータセットとを含むデータセットを並列時系列に変換することと、(3)炎症発生、代謝的発生、容量発生、血行動態発生、治療発生、血液学的発生、呼吸発生などの発生、敗血症性ショックまたは敗血症発症前のショック不全カスケードを関係付けてまたは集合的に示す発生のタイミングを特定することと、(4)敗血症性ショックまたは敗血症発症前のショック不全カスケードの表示を特定し出力することと、(5)カスケードに沿った炎症発生、血行動態発生、および呼吸発生の関係タイミングを特定し出力することと、(6)カスケード長を特定し出力することと、(7)カスケードが進展し、カスケードの重症度の時系列を出力する際にカスケードを定量化することと、によって敗血症性ショックまたは敗血症発症前のショック状態の早期検出のための時系列マトリックスを生成することができる。
【0042】
一実施形態によると、大量の時系列データセットから患者の生理学的不全および治療の包括的状態を示す動画の認識および解釈に至るまでのプロセスは、データのグローバルドメイン、および複雑性が、研究者および/または研究者によって指示されるソフトウェアエージェントにとって特定の特性およびマイクロドメインに沿ったマイクロドメイン間の関係(発生)を定義し特徴付けるのに十分なほど管理可能である個々のマイクロドメインセットからの分離を含み、それらのマイクロドメインは臨床状態と関連付けられると認知されており、臨床状態と関連付けられると判定することができる(および/または有意に確認される)。その後、患者安全マトリックスは発生を組み合わせることによって構築される。この様々なマイクロドメインからマトリックスを構成するプロセスは、継承ベースの階層を有する関係時間画像に配列されている発生を含んでいる広範なマトリックスを構成するように何度も反復される。動画は、マトリックスからのこれらの画像の時間的集合体である。動画は、分離された有害な発生から単純な生理学的不全、および最後には破滅的な病態生理学的カスケードに及ぶ。患者安全プロセッサの広範囲「動画」出力は、進展に合わせて検出画像を組み合わせた包括的なフローである。
【0043】
本技術の一実施形態は、マイクロドメインの反復的なレイヤ使用を通じて非線形関係信号(生理学的信号など)の複合的な環境を特徴付け、調査し、解析するシステムおよび方法を提供し、それにより、マイクロドメインが生理学的およびシステム的関係を熟知した研究者によってモデル化されて、オブジェクト化マトリックスに追加される検出画像を提供できるような機構を提供する。一実施形態は、1セットの生理学的信号内に存在するマイクロドメイン間で利用可能な範囲および変数の両方が、特定され、モデル化され、解析され、特徴付けられ、統計的に調査され得る機構を提供する。本実施形態では、プロセスは、以下の四つの基本的ステップにしたがう。(1)候補マイクロドメインのタイプおよび範囲を確定する、(2)候補マイクロドメイン内の各種関係、サブエレメント、値、変数、特性をすべてまたは一部を算出し、特徴付ける、(3)新たに把握された関係、サブエレメント、値、変数、および特性を前提として、候補マイクロドメインの範囲を刷新する、(4)候補マイクロドメインが、検討されるマイクロドメインタイプの真の発生として規定されるべき基準を満たすかどうかを判定する。
【0044】
マイクロドメインがオブジェクトストリーム内でオブジェクトとして確定されると、マイクロドメイン自体が範囲を確定するために統合されるのに利用可能となる。すなわち、マイクロドメインの範囲は、時系列、その他のマイクロドメインの集合、またはその二つ
の組み合わせに沿った1セットの期間(および/またはポイント)として定義することができる。一実施形態では、この4ステップのプロセスは解析のレベル全体の尺度を整合させ、それにより患者安全プロセッサは、未処理プレオブジェクト化時系列から始まり、上っていく、プレオブジェクト化およびオブジェクト化データの各レベルで同一の解析手法を利用することができる。
【0045】
もしくは、オブジェクト化時系列マトリックスからのデータは動画などの画像に変換することができる。一実施形態では、電子医療記録および患者モニタからのデータは、患者の状態の動画を含むことができるグラフ表示を生成するために使用される。一実施形態では、このような動画や動画表示は、「生理学的状態の動画」(MPPC)と称される場合がある。本明細書で提供されるのは、臨床データのリアルタイムMPPCを生成する処理システムおよび方法である。データおよび/または画像は、動揺、統合および連鎖動揺、動揺関係、動揺への生理学的反応、動揺に関連する治療、治療に対する生理学的反応、生理学的不全、検査ミス、治療ミス、およびMPPCを生成する通信障害を検出するために解析することもできる。また、MPPCは、臨床状態に関連して適用される治療のグラフ表示も含むことができる。
【0046】
患者の状態の画像または動画(すなわち、画像は患者のモニタリングが進行するにつれ、経時的に多くのデータを含む)MPPCが生成されると、この画像はさらに処理されて、患者の診断および/または治療を助けるためにオペレータが解釈可能な指標を作成する。たとえば、その画像は、臨床で診断が確認された患者からの類似画像のデータベースと直接比較することができる。生成された画像と最も類似するデータベース画像または複数の画像の複合は、患者の正しい診断を指摘することができる。たとえば、生成された画像が、特に時間の経過と共に進展する場合、たとえば、「敗血症性ショックカスケード」、「炎症性障害」、「肺血栓性塞栓症カスケード」、「出血性不全カスケード」などを示すデータベース画像と最大の類似性を有する場合、プロセッサは上記診断を示す医療提供者に対してテキストまたはその他の指標を生成することができる。さらに、プロセッサは、診断の確認のために追加試験を命じるべきであると指摘することができる。また、プロセッサは、診断に鑑み特定の治療を指摘する、および/または命令することもできる。一実施形態では、画像は二つまたはそれ以上の臨床状態を表す場合がある。プロセッサは、それらの状態から一つまたはそれ以上を除外可能な試験を指摘することができる。また、時間の経過と共に、一方の状態がプロセッサによって可能性ありと判定され、追加の時系列データが他方の状態を除外することもある。
【0047】
これらのデータベース画像は、後ろ向き臨床データから形成することができる。一実施形態では、画像は、画像登録などの任意の適切な技術によって類似性に関して解析することができる。実施形態では、相互相関、相互情報、誤差自乗和、および比率画像均一性を含む画像類似性測定によって突き合わせを実行することができる。一実施形態では、画像を構成する個々の時系列オブジェクトは、特定の診断または臨床状態と関連付けられるその他の時系列オブジェクト群との類似性に関して1群として処理することができる。生理学的状態の動画(MPPC)は、たとえば、異常なおよび/または動揺コンポーネント、特に、生理系およびそのシステムに関連する外力の「生理学的不全の動画」(MPPF)を含む。ここでは、医療信号のリアルタイムMPPCを生成しそれらの画像を処理して、動揺、統合および連鎖動揺、動揺関係、動揺に対する生理学的反応、動揺に関連付けられる治療、治療に対する生理学的反応、生理学的不全、検査ミス、治療ミス、および生理学的不全と不全に関連して適用される治療の動画を生成し認識するための通信障害を適時に検出する処理システムが提供される。
【0048】
さらに、生理学的および/または臨床状態の画像の自動的生成および/または解析と、生理系や医療システムなどの複合的な動的システムの画像コンポーネントの特徴付けおよ
び統合のためのプロセッサおよび処理方法も提供される。処理システムは、医療信号のリアルタイムMPPCを生成し、それらの画像を処理して、動揺、治療への生理学的反応、生理学的不全、検査ミス、治療ミス、および生理学的不全と不全に対応付けて適用される治療との動画を生成し認識するための通信障害に関連付けられる動揺、統合および連鎖動揺、動揺関係、動揺への生理学的反応、治療を適時に検出することができる。一実施形態によると、まず、プロセッサは、不全に関して動的システムを幅広くモニタリングするために適用される、複数のセンサおよび検査ソースの各々から並列時系列を付与する。一例では、患者データの時系列オブジェクト化指示をプログラムされたプロセッサは、並列時系列に沿ってパターンを検出し、これらのパターンを個別のオブジェクトの時系列に変換し、これらのオブジェクトを、個別の関係オブジェクト(たとえば、関係オブジェクト対から得られるバイナリオブジェクトまたは関係バイナリ)に体系化する。次に、プロセッサは関係バイナリを体系化して、生理系および提供される治療の一体化されたプログラム画像を付与する。その後、プロセッサは、画像コンポーネント内のオブジェクトを自動的に認識し、画像解析を実行することができる。
【0049】
一実施形態は、時系列オブジェクト、関係バイナリ、動画、患者安全性画像、および/または患者安全視覚化を生成するようにプログラムされる単独のプロセッサまたはプロセッサの組み合わせを有する患者安全プロセッサを含むことができる。患者安全プロセッサは、患者の生理系および治療の画像を出力する。一実施形態では、プロセッサは、時系列オブジェクト化、関係バイナリ化処理、および画像処理の処理機能を含む。別の実施形態では、患者安全プロセッサは、複数の処理機構(たとえば、時系列オブジェクト化、関係バイナリ化処理、および画像処理)を単独のマトリックス構成プロセッサに組み合わせることができる。
【0050】
一実施形態によると、プロセッサによって検出された動揺は、動画を生成するのに使用可能な画像コンポーネントに変換される。一実施形態では、MPPCは「生理学的不全の動画」(MPPF)を表し、その際、不全画像は、さらなる不全画像コンポーネントが追加される毎に漸次より完全なものとなり、プロセッサによって認識可能となる。一実施形態は、疾患、傷害、および/または薬物反応、提供される治療、および治療に関わる費用の動的リアルタイム画像の構成を含むことができる。その画像は最初、たとえば、一つまたはそれ以上の内因性または外因性由来の毒性、酸性、および/または免疫性材料の循環によって引き起こされる可能性のある一つまたはそれ以上の微細な動揺を含む最初の画像コンポーネントと関連付けられる。毒素、炎症および/または血栓形成媒介物質などの最初のこれらの動揺は、細胞透過性、イオン流出、または水素イオン上昇などにごく微細な変化を誘発する、および/または引き起こし、画像コンポーネントを生成することのできる各種微細な生理学的動揺および反応を誘発することができる。各種媒介物質、イオン、生物学的プロファイルの測定値、ならびに標準的な血液検査、およびバイタルサインモニタの出力は、これらの初期生理学的動揺および反応の関数として変動し始める場合がある。画像コンポーネント群を拡大するのはこれらの変動であって、そこからより大きな画像が得られる。このプロセスの初期では、透過性、細胞損傷、媒介物質生成、および生理学的動揺の変更は、隔離して検討した場合、各々微細であることが多い。しかしながら、それらをまとめると、重大な臨床状態の発生期および進展期の初期発現を表す場合がある。
【0051】
一実施形態によると、各動揺はプログラムにより体系化されて、MPPCの画像コンポーネントを形成する。これらの検出された画像コンポーネントの多くは良性プロセスに関係するため、隔離させることができ、画像は自消させることができる、あるいは治療介入またはMPPCを含む臨床状態に関連付けられる画像へと進展させることができない。しかし、上述したように、その他は、初期の動画の第1の画像コンポーネントを表すことができる。ここで提供されるのは、これらの生理学的不全がショック(たとえば、血液量減少性、閉塞性、敗血性、毒性、心源性、低酸素性、および/または過炭酸性ショック)へ
と進展する前にその不全を適時に検出するため、展開する動画の初期画像コンポーネントを検出するシステムおよび方法である。一実施形態では、患者の予後を向上させ、臨床治療介入が依然として有効である間に目標指向型治療を適用するため、ショックが進展する前に動画の初期画像コンポーネントを検出することが有益である。
【0052】
一実施形態によると、患者安全プロセッサは、治療の動的で、動画に反応するプロトコル化のために使用されるプログラムMPPCを構成する。この動画は心拍数などの単独のまたは数個のパラメータを含む事象のみでなく、たとえば、心拍数の勾配およびパターン、収縮期血圧変動の勾配およびパターン、呼吸数の勾配およびパターン、SPO
2の勾配およびパターン、換気−オキシメトリ指数の勾配およびパターン、薬物および輸液注入速度の勾配およびパターン、血圧の勾配およびパターン、好中球数の勾配およびパターン、炎症および/または血栓マーカの勾配およびパターン、および様々なその他の血液、尿、および/または呼気試験を含むその他のパラメータ事象も備えた包括的なものである。これらの全ソースからの信号は時系列に変換することができ、たとえば、個別のプログラムオブジェクト(事象)を生成するためにオブジェクト化プロセッサによってオブジェクト可能である生理学的信号、治療信号、検査信号、または履歴信号であってもよい。一実施形態によると、プロセッサは少なくとも一つの医療信号のパターンまたは値を含む第1の個別の事象と、少なくとも一つの医療信号の第2のパターンまたは値を含む第2の個別の事象とを検出し、次に、少なくとも第1の事象と第2の事象を統合して第1の関係オブジェクトを生成し、さらに、少なくとも一つの医療信号のパターンまたは値を含む第3の事象と、少なくとも一つの医療信号の第2のパターンまたは値を含む第4の事象を検出し、次に、少なくとも第3の事象と第4の事象を統合して第2の関係オブジェクトを生成する。その後、第1の関係オブジェクトおよび第2の関係オブジェクトは統合されて第1の画像コンポーネントを生成する。追加画像がそれにしたがって構築された後、画像コンポーネントは発生時刻に応じて統合されて動画および治療を導き出す。
【0053】
一例では、敗血症不全カスケードの標準的な動画の脈拍関連コンポーネントは、通常は炎症マーカの活発な上昇の後に続く、心拍数の初期上昇、脈拍振幅の上昇、および脈拍上昇運動(指先で測定)の勾配上昇などの発生を含むであろう。(たとえば、ヘパリン関連の後腹膜出血による)の標準的動画とは対照的に、潜在出血性不全カスケードは、心拍数の初期上昇、脈拍振幅の低下、脈拍上昇運動(指先で測定)の勾配低下、呼吸関連脈圧変動の上昇、およびヘモグロビンの低下などの発生を含むであろう。一実施形態によると、潜在出血性不全カスケードの画像に沿ったこれらの発生はすべて、多波形パルスオキシメータから引き出すことができる。
【0054】
一実施形態によると、検出された変動を個別のアルファ事象およびベータ事象に分割する関係バイナリ化プロセッサが設けられ、両事象は関係バイナリ化プロセッサによって組み合わされて、関係バイナリと呼ばれる関係事象を構成する。これらの関係バイナリは、タイミング、周波数、および/または空間関係にしたがい統合されて、画像を構成する。次に、これらの画像は、MPPC(そこから自覚的画像または電子表示を所望に応じて引き出すことができる)を構成して漸次作成するために、タイミング、周波数および/または空間関係に応じて統合される。これらのMPPは破滅的な連鎖不全の動画であることが多いため、患者を適時に救助できる、より信頼性の高い検出を可能にする。
【0055】
信号は、患者モニタによって提供され、電子医療記録に記録されるような化学的または生理学的測定値であってもよい、および/または、具体的には敗血症の存在の可能性を指摘するようにプロセッサによって自動的に、または医師によって手動で要求されるバイオマーカであってもよい(たとえば、米国特許出願第10/704899号および第11/647,689号に提示される)。このようなマーカの存在および/または濃度は、バイオマーカの関連性を極めて容易に特定可能にするその他のパラメータに対して時間的に位
置調整されて、MPPCのコンテキスト内で提示することができる。一実施形態によると、炎症マーカの時間的かつ関係パターンと、同時期に測定された、あるいは関連付けられた生理学的パラメータの時間的かつ関係パターンとが統合されて、進展する患者の状態に関する漸次拡大するMPPCを生成する。
【0056】
したがって、各種プレショック状態の検出と不全の早期検出を達成するため、一実施形態は初期の変動を検出し、それらを統合してプレショックおよびショック状態の動的に拡大中の不全カスケードのMPPCを提供する。これにより、展開中の画像を良性の特徴を有するより小さく拡大的でない画像コンポーネントから分離し、さらには微細な孤立した画像をショック状態の一つへの移行可能性を先導する拡大中のMPPCを生成するように進展する画像から分離することができる。画像群ならびに完全なMPPCおよび治療は、病院、病棟、または所与の医療従事下での患者治療を査定する目的で解析することができる。
【0057】
自消する非連鎖不全を示す多数の画像の発生は、不安定な患者集団または不十分な治療提供を指し示す場合がある。もしくは、多数の連鎖不全は傷害のリスクを示す。MPPCおよび画像は、それが患者集団によるものか、あるいは治療の質によるものであるかを判定するために使用可能である。
【0058】
一実施形態は、特定の基本的動揺、または治療、または不全カスケードの初期で生じる治療の欠如の判定と共に不全カスケードを検出する。特定の基本的不全は、複合的な不全に進展する前、特にプレショックまたはショック状態に進展する前に検出される。さらに、プロセッサは、カスケードが拡大する際の関係動揺および治療から得られる画像を作成する。一実施形態によると、各時系列は予想される事象と予測外の事象を分離するように処理される。次に、予測外のおよび/または異常な事象は統合されて、関係事象、画像、最後にはカスケード(存在する場合)ならびにカスケードに関連付けされて提供される治療の動画を含むMPPCを反復的に生成する。このMPPCはさらに、不全動画ならびに進展中のMPPCの画像の考えられ得る発生原因を検出することによって、不全カスケードの性質および原因を検出可能とするように処理される。
【0059】
上述したように、一実施形態によると、分析プロセスの基本コンポーネントが複数の事象を含む基本関係変数を含む分析が提供される。企図される実施形態では、二つの事象(関係対)を含む基本関係変数は関係バイナリと呼ばれる。一実施形態では、最初に関係バイナリは、関係バイナリおよび/またはユーザが所望のオブジェクトバイナリを構成する事象のメニューから(またはドラッグアンドドロップインタフェースにより)ユーザによって選択される。次に、バイナリは、検出用の画像の定義を作成するためにドラッグアンドドロップによって使用される。これは、特注の管理を提供するため、たとえば、国内または地域の専門家集団、あるいは病院内の特定の部門、あるいは個々の医師によって実行することができる。また、結果にしたがい包括的に解析され分類された多数の履歴データセットの調査を通じて)プロセッサによって自動的に実行することもできる。オブジェクト化時系列マトリックスおよび/またはMPPCは、検討および自動または手動調節のために各種双方向的、階層的、および関係フォーマットで出力することができる。MPPCは、生理学的不全、所与の動揺に対して予測される治療の不在を示す治療発生不全、所与の動揺に対して予測される検査の不在を示す検査発生不全、動揺の予測される矯正の欠如、または所与の治療および/または投与量に対する新たな複合化する可能性のある動揺の発生を示す治療反応不全、などの幅広い不全を検出することができる。
【0060】
プロセッサは電子医療記録の複合的なデータを、動揺、治療、生理学的反応、診断検査、回復、診断、欠落データ、患者位置、および/またはその他のデータセットの単独の動画へと結合する。動画は、複合的なシステムと関連付けられる1セットの時系列の関係変
動に関して生成され、システム不全および/またはシステムに加えられる力の不全のリアルタイム動画を生成する。一実施形態によると、患者安全プロセッサは、たとえば、検出された所与のタイプの画像から引き出される統一された時間線を自動的に出力する。別の実施形態によると、プロセッサは、不全カスケードの検出後、医師が検討する画像図の出力表示上で進展中のMPPCをリアルタイムで提示し強調することができる。既に完成された動画の部分は前後に視聴され、単独の概略的スナップショットで見ることができる。
【0061】
たとえば、敗血症性ショック、肺塞栓症、鬱血性心不全、睡眠時無呼吸時の麻酔薬による呼吸停止、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、抗凝血による出血、気管支痙攣による呼吸器不全、および成人急性呼吸窮迫症候群など、これらの臨床状態に特定はされないが多くの生理学的不全が、一つまたは二つの非特定の動揺から始まる。生理学的不全は、単独の時点で基本的な生理学的動揺から始まることが多く、一般的には関係に拡大する。実際のところ、この最初の動揺は、カスケードがある点を通過して進展していくと、完全に隠れてしまうことが多い。このような場合、単独の動揺の検査およびモニタリングは診断に有効ではない。多くの連鎖的に発生する臨床状態では、カスケードの最初の動揺は、最初の動揺がもはや存在せずにカスケードがさらに進展した後、後ろ向きにのみ検知される場合が多い。このことは、進展しつつあるカスケードのリアルタイム画像化の最初のポイントの検出を最適化し、最初の動揺を判定する画像を調査する基盤を提供する。
【0062】
単独の時系列のパターンは単独の値または範囲よりも動的プロセスの大きな画像を提供するが、このようなパターンはいまだプロセスのほんの小さな画像の断片である。閾値の判定、およびさらには動揺の各種パターンの検出すら、不完全な解析を含み、必然的に許容しがたい速度で破滅的な不全へと進行させる。測定または試験が独立型試験として決定的に思われる状況でさえ、単独の値(または複数の値の平均)に基づく動作または結論は妥当な確率で不正確である。たとえば、単独の測定スポットSPO
2バイナリ94を考えてみよう。この値は、SPO
2が上昇している、低下している、あるいは循環している、のいずれかであることを知らないとほぼ無意味である。しかし、患者の複合的な生理系のこの微小画像断片は、治療を判定するために病院で日々使用されている。さらに、SPO
2のパターンが既知であっても(たとえば、SPO
2が少なくとも12時間、約94で安定していた)、これは不完全な画像であり、ほぼ役に立たない、実際には誤解を招く恐れのある情報である。測定されるSPO
2パターンの関連時間間隔中の毎分換気の関係パターンを知らなければ、医療従事者は患者が敗血症性ショックまたは心不全で死にかけているという錯覚を持たせられるかもしれない。さらに、白血球数、体温、脈拍、血圧、微生物学的値、および薬物投与の関連パターンなどの画像の追加関係エレメントなしで、SPO
2と関連する毎分換気との両パターンのプログラム画像に基づく警告や解釈的出力は不完全であり、医療従事者にとっては作りごとすぎる。別の例として、脈拍または呼吸数の持続的上昇パターンの検出を検討してみよう。上記パターンは各々現在の生理学的状態の僅かな断片を示すのみであり、各パターンは良性であるかもしれない、あるいは進展中の不全カスケードと対応付けられることの多いより大きな不全の動的プロセスの初期画像コンポーネントであるかもしれない。脈拍または呼吸数の良性上昇と病理学的上昇との差異はこの小さな画像のみでは判定できず、上昇の開始時に知ることすらできない場合が多い。したがって、脈拍上昇または呼吸数上昇に基づくブランチを有するツリー図プロトコルは、プロトコルが誤った道筋をたどる高い危険をはらんだ、高レベルのプログラム上の複雑度を追加する。生理系の不完全な解析により、医療従事者はしばしば不要な大量の調査、検査、解析、および評価を生み出し、それに応じて治療全体のコストを増大させる。さらに、これらの治療および評価の誤った道筋は、実際の動作不全モードの判定から医療従事者の注意をそらさせてしまう。
【0063】
ショックに先立ち、患者の生理系は疾患と治療の両方によって動揺させられる。動揺を矯正するために提供される所与の治療は動揺を低減する、動揺に何の影響も及ぼさない、
動揺を悪化させる、別の動揺を引き起こす、および/または別の動揺をさらに悪くまたは良くする可能性がある。治療がどんな効果を及ぼすかを判定し、治療効果の判定が正確であるように確保するため、大量の関係データを適時に矯正し、同じく重要なことに、一実施形態によって提供されるようにそれらを体系化し解析する必要がある。
【0064】
もう一つの課題は、現行の病院システム内で医療従事者は、統合を有効に完了させることができる前に多量の考古学的作業(採掘、隔離、特定など)にあたらざるを得ないことである。このため、医療従事者による情報の統合は、即時検索、フィルタリング、再解析などを可能にするように実行されないことが多い。この摩擦と医療従事者の標準的な作業負荷とが組み合わされることにより、調査可能な高レベルなシナリオの数と範囲が限定される。または、医療従事者は、利用可能な体系化データと時間の不足のために、完全なセットの統合情報なしに決定を下し、さらに悪いことにはそのことを認識しない場合がある。
【0065】
これらの理由のため、従来の電子医療記録を埋め込んだプロトコルをもってしても、患者は個々の状態の複雑性や看護者が直面する環境の複雑性に基づき、広範な不全モード全体にわたる一連の不全の影響下に居続ける。実際に、不全はしばしば重複するため、一つのプロトコルがある不全のリスクを低減しつつ、別のリスクを増大させることがある。たとえば、あるプロトコル下で低酸素症治療のために与えられる酸素が、SPO
2を安定させ、切迫したショックの初期兆候を医療従事者の目から隠してしまうことによって、肺血栓の検出を遅らせる場合がある。
【0066】
混同を招き重複する発生が非常に多く存在するため、時系列オブジェクト化プロセッサ、関係バイナリ化プロセッサ、および画像化プロセッサは、解析と改善を複数回反復する。一実施形態では、この解析は、各プロセッサが順に(時系列、関係バイナリ、および画像化)メモリおよび/または患者安全性画像データベース内の暫定解析結果を記憶する特定セットの時系列入力で動作するフェーズ1の実行から始まる。これが完了すると、患者安全プロセッサは、好ましくは同じ順序で、各プロセッサに元の時系列データならびに先のフェーズからの全解析を提供するフェーズ2を実行することができる。この第2のフェーズは、第1のフェーズ解析の観点での解析を改善することができる。このプロセスは、解析の完璧な改善に必要なだけの多くのフェーズを含むことができる。
【0067】
一実施形態では、各フェーズは同じ定義セット(事象定義セット、バイナリ定義セット、画像定義セット)を使用するが、どの特性評価、ルール、および制約がフェーズ毎に利用可能であるかを決定する。時系列の順序は、制約の利用可能性を最大限にするように決定される。ルールおよび/または制約は現行のフェーズでは実施することができず、その後は無視されて、緩和されたセットのルールの実行と、より多くのオブジェクトの特定が可能になる。その後の各フェーズでは、すべてのルールおよび制約が適用され、すべての特性が算出され、評価され、割り当てられるまで、追加のルールおよび制約は実施可能となり適用される。
【0068】
一例として、オキシメータがオキシメトリおよび運動アーティファクトに関する時系列を供給する場合、多フェーズ解析では、運動アーティファクトが特定の密度、パターン、周波数、規模を提示すると判定される、および/または、覚醒またはその他の事象または画像との関係を有する(たとえば、ほぼ同時に発生する)ということがない限り、ルールは運動アーティファクトの存在に関する事象を拒否することができる。覚醒(画像)の定義は、オキシメトリ関係バイナリおよび脈拍事象の観点で作成される。オキシメトリ事象の定義はそれが一つのエレメントとなるより高位のオブジェクトの存在に左右されるため、患者安全プロセッサは、単フェーズの手法では不十分であり、2フェーズでの手法を設定することを認識する。第1のフェーズでは、時系列オブジェクト化プロセッサはアーテ
ィファクト制約なしでオキシメトリ事象を作成し、関係バイナリ化プロセッサおよび画像プロセッサは拡大されたセットのオキシメトリ事象で実行する。フェーズ2では、フェーズ1の結果がプロセッサにとって利用可能であり、時系列オブジェクト化プロセッサは完全なルールを評価することができる。
【0069】
プロセッサが、特定の密度、パターン、周波数、および/または規模の運動アーティファクトが、オキシメトリ事象が作成される時点で存在すると判定する場合、プロセッサは所与の時間ウィンドウにフェーズ1解析について問い合わせて、覚醒が存在するかどうかを判定する。覚醒が存在する場合、運動アーティファクトは事象を拒否するとして除外することができ、解析を以前のように継続することができる。覚醒が存在しない場合、オキシメトリ事象を拒否することができ、解析が継続するため、事象の存在に依存していた高位オブジェクトはすべて作成に失敗する。一例では、マイクロ覚醒(画像)は、新たな運動開始が、運動が密で脱飽和事象の終盤近くでない時点で生じるときに発生すると定義することができ、脱飽和からの回復と一時的に関連付けられる。また、マイクロ覚醒の画像は、パルス波形の上昇部分の勾配の正の揺動、心拍数の正の揺動を含むことができ、パルス振幅の正の揺動、たとえば、事象、バイナリおよび/または画像を含めることができる。
【0070】
別の実施形態では、各フェーズは、フェーズの入力によって制約を受ける特定群の定義セット(事象定義セット、バイナリ定義セット、および画像定義セット)を有する。解析の多フェーズ手法では、事象、関係バイナリ、および画像の定義は、関連時系列(たとえば、アーティファクト表示ストリーム)、導出/変換時系列(たとえば、二つまたはそれ以上の時系列からの計算から導き出される時系列)および/または先のフェーズからの高位エレメントの観点で定義することができる。別の実施形態では、後処理フェーズは、結果として生じる解析を改良するように設計される。本実施形態では、ルールは特定の基準を満たしていれば、エレメントを変更する解析後に適用される。患者安全プロセッサには、追加、変更、または削除されるべきエレメントを特定するための後解析ルールセットが提供される。上記の例を使用すると、時系列オブジェクト化プロセッサによって使用される事象定義セットは、運動アーティファクトを参照する制約を含まない。むしろ、後解析ルールセットは、運動アーティファクトが同時に発見され、事象が覚醒の一部ではない場合、すべての事象を除外するルールを含む。後処理の実行は、このルールを満たす全事象を探し、それらを除外のためにマークする。すべての後処理基準が評価された後、患者安全プロセッサは解析変更のプロセスを開始する。本実施形態ならびにその他の実施形態では、各オブジェクトは事象レベルにまで依存するすべてのオブジェクトを判定する機能を提供する。一実施形態では、この機能は再帰データベース手順によって達成される。すべての従属エレメントが特定されると、各々は取られる措置に関して評価される。たとえば、事象が除外されると関係バイナリ化は除外されるが、循環関係バイナリ化は単独の事象で除外されてもされなくてもよい。
【0071】
別の実施形態では、オブジェクト化時系列マトリックスの構成は、二つの入力−1セットの未処理時系列と発生定義セット−とを消費する単独のマトリックス構成プロセッサによって達成される。本実施形態では、定義のサブエレメントを含む発生定義は、構成のための明示的な依存性要件を含む。依存性は、必要な未処理時系列、必要な発生ストリーム、および/または特定された時系列および/または発生ストリーム内の特定のサブエレメントの観点で定義される。各発生定義は、マトリックスに追加することのできる可能な発生ストリームを含む。マトリックス構成プロセッサは、各発生定義を反復的かつ連続的に調べて、特定された発生に関する依存性が解析のために利用可能であるかどうかを判定する。すべての依存性が利用可能であれば、マトリックス構成プロセッサは所与の発生定義に関連付けられるすべての発生を特定し、分類し、完全に構成するために必要な解析を実行する。結果として生じる発生は、もしあるとすれば、発生ストリームに統合されてマト
リックスに追加される。
【0072】
たとえば、酸素上昇事象は、未処理オキシメトリ時系列の存在のみへの依存性を有する発生として定義することができる。この場合、マトリックス構成プロセッサは自由に酸素上昇発生ストリームを構成し、未処理オキシメトリ時系列がマトリックスに追加されるとすぐに酸素上昇発生ストリームをマトリックスに配置する。酸素上昇発生ストリームがマトリックスに配置されると、酸素上昇発生(たとえば酸素揺動発生)に依存する発生定義はすべて構成のために利用可能となる。本実施形態に追加の柔軟性を提供するため、構成は上述の4段階:(1)タイプと範囲の確定、(2)特性、関係、およびサブエレメントの作成、(3)範囲の改良、(4)発生の対象化、に分割することができる。
【0073】
第1段階中に候補発生が作成される。一例示的実施形態では、候補発生はストリームに統合されて、マトリックス内に配置される。所与の発生定義に関して構成の段階4が完了するまで、発生は分類されたとは(たとえば、真)特徴付けられない。構成は上述の段階間および段階内で中断させることができる。段階1の達成に必要な依存性は利用可能であるが、段階2のための依存性が利用不能である場合、マトリックス構成プロセッサは構成の段階1まで進むが、後の処理のための以後の段階を残している。一実施形態では、候補発生は、他の発生定義の構成の段階1内で使用することができる。本実施形態では、マトリックス構成プロセッサはすべての発生を四つの可能な状態:候補、対象、除外対象、および要調査対象のうちの一つとして特定する。候補発生は、構成の段階1を完了したが、段階4を完了していない発生である。対象の発生とは、構成の段階4で規定された要件をすべて満たした発生である。除外対象の発生とは構成の段階1を通過したが、段階4を明らかに失敗した、あるいは必須のサブエレメントまたは範囲オブジェクトの一つが、範囲要件および/または条件を満たさないように対象から除外あるいは変更されていると判定された発生である。最後に、要調査対象の発生とは、段階1を通過したが、従属サブエレメントまたは範囲オブジェクトの一つまたはそれ以上が、さらなる解析で範囲要件および/または条件が満たされないと判明するように対象から除外あるいは変更されていると判定された発生である。候補発生が範囲を確定する他の発生によって使用された場合の柔軟な解析実行が可能になる。候補発生が対象から除外されると判明した場合、マトリックス構成プロセッサは、候補発生に従属するすべての発生を要調査対象として特徴付ける。要調査対象の発生は後に、関連の候補発生の対象からの除外(または親が従属する特性の変更)が実際に親の発生を対象から除外するかどうかを判定するように解析することができる。本実施形態はいくつかの利点を有し、たとえば、発生、発生特性、関係、およびサブエレメントに関する完全な依存性のセットの維持が、患者安全コンソール内の追加情報を提供する。たとえば、患者安全コンソールが指数(たとえば、不安定性指数)を表示する場合、依存性ツリーが利用可能なため、ユーザはどのエレメントが指数の評価に進むのか、およびどの特性、関係、およびサブエレメントから導き出されたのかを調査することができる。また、結果として生じるMPPC内の関係をさらに理解するため、研究者および/または患者安全プロセッサは解析の漸進的状態を存続させ解析することができる。除外対象の発生は、特に発生定義の構成中に研究目的で評価することができる。除外対象の発生は、研究者または患者安全プロセッサ内の自動プロセスが発生定義内の変更の結果を評価することができるように「ニアミス」と特定することができる。中間状態の存続を伴う解析手法の独立的および反復的性質は、自らをマトリックスの並列な同時および/または分散処理に導く。すなわち、マトリックスは、単独のマシン内の複数のプロセッサ上で、あるいは任意数の独立マシンによって複数の実行スレッド内で構成することができる。
【0074】
上述したように、一実施形態によると、対バイナリ化プロセッサは関係バイナリを生成する。このような関係バイナリはアルファ発生オブジェクトとベータ発生オブジェクトとを含んでいる。このプロセスの初期ステップは、ユーザまたはプロセッサによる関係バイナリの定義を含む。関係バイナリを定義するため、まず(ユーザによって、または適合的
に)アルファ発生を定義することができる。アルファ発生はそのチャネルおよびチャネルに沿ったオブジェクトの両方の観点で定義される事象である。企図される実施形態では、各チャネルに沿ったオブジェクトは、特徴(勾配、振幅、または上記親出願に記載されるようなオブジェクトを定義するその他の特徴など)によって定義される。さらに、ベータ発生は、たとえば、そのチャネルおよび特徴の観点での事象として定義される。アルファおよびベータ発生は、たとえば、事象、その他の関係バイナリ、画像、反復画像またはパターン画像であってもよい。
【0075】
患者安全プロセッサ内の事象の定義は、時系列モードおよびタイプに依存する。患者安全プロセッサは数値および非数値の二つの時系列モードをサポートする。各モードに対していくつかの時系列タイプがある。数値モードの場合、患者安全プロセッサは、時系列内に記憶させることのできるデータポイントのタイプを指定するいくつかのタイプをサポートする。数値タイプは、たとえば整数、浮動小数点、2倍精度、小数、正の整数を含む。非数値タイプはたとえば、ブール、ドメイン、およびフリーフォームストリングを含む。数値時系列では、指向性事象は、たとえば規模、期間、および勾配を含むセグメントの特徴の観点で定義することができる。閾値違反も事象として特定することができる。非数値タイプでは、事象状態一致事象または状態遷移事象のいずれかとして定義することができる。指向性事象は、たとえば画像化手法や極性定義手法によって最良適合または最小自乗線形回帰手法の観点で定義することもできる。
【0076】
状態一致事象では、1セットの値は(個々の値の特定によって、あるいは正規表現のようなパターン一致機構によって)定義することができ、任意で最小または最大期間を選択することができる。時系列内の「ポイント」が特定最小期間(もしあれば)以上かつ特定最大期間(もしあれば)以下の間にターゲットセットに一致する場合、その事象が発生したと言うことができる。
【0077】
状態遷移事象は、(個々の値の特定によって、あるいは正規表現のようなパターン一致機構によって)2セットの値を選択することによって定義することができる。その事象は、第1の「ポイント」が定義される第1のセットに属し、次のポイントが定義される第2のセットに属する場合に発生したと言うことができる。患者安全プロセッサでは、単項「not」演算子が状態遷移の二つの重要な特殊ケースを処理することができる。研究者は具体的に第1のセットを定義し、その後、第1のセット「ではない」として第2のセットを定義することができる。このように、事象は、ある「ポイント」が第1のセットに属し、次のポイントが第1のセットに属していないときに作成することができる。これは、出状態事象と呼ばれる特定タイプの状態遷移である。同様に、第2のセットが具体的に定義され、第1のセットが第2のセット「ではない」として定義することができる。このように、事象は、ある「ポイント」が第2のセットに属しておらず、次のポイントが第2のセットに属しているときに作成することができる。これは、入状態事象と呼ばれる特定タイプの状態遷移である。
【0078】
もしくは、状態遷移事象は、状態フロー図または状態機械定義および遷移の開始状態と終了状態を規定することによって定義することができる。この種の事象では、遷移状態は、状態遷移事象の一部ならびにそれらが発生する順序として維持される。事象は、定義のために使用される特徴の一部または全部を用いて絶対的または相対的な手法ではなく統計的手法で個々に定義することができる。たとえば、指向性事象は、選択された時間ウィンドウ内の先の(または後の)傾向からの偏差として定義することができる。比較セットは事象が存在する可能性のあるストリームであってもよいし、あるいは、指定されたストリーム群(たとえば、「正常」と指定された群)、ランダムに選択された群、または利用可能な特定タイプのストリームのセット全体であってもよい。この偏差は既に解析済みのセットのみを検討し、固定時刻または移動時刻(リアルタイム解析またはシミュレートされ
るリアルタイム解析のように)の前のみを区分する、あるいは利用可能なセットと時間をすべて使用することができる。別の実施形態では、偏差の検索は、プロセッサまたは専門家によって選択される決定的オブジェクトまたは決定的オブジェクトセットを参照して適用することができる。
【0079】
アルファ発生もベータ発生もいずれも、その特徴と相関する候補発生の特徴との関係(すなわち、ベータに対するアルファまたはアルファに対するベータ)の観点でも定義することができる。一実施形態では、ユーザは、(ドラッグアンドドロップデザイナを用いる場合のように)、チャネルまたはストリーム(時系列タイプを定義する)を選択し、特定された範囲の基準を満たす発生を選択し、先行するアルファ発生の少なくとも一部に対するベータ発生の時間関係(たとえば時間間隔)を特定することによって、および/または一方の発生と他方の発生との空間関係および/または周波数関係を特定することによって、関係オブジェクトを定義することができる。最も基本的な関係バイナリでは、事象バイナリであるアルファ事象およびベータ発生は、たとえば米国特許出願第11/280,559号および米国特許第7,081,095号の時系列オブジェクト化プロセッサのような時系列オブジェクト化プロセッサによって特定される事象であり、上記文書の開示は本明細書で完全に開示されるのと同様、あらゆる目的のため参照により全文を組み込む。次に、関係バイナリ化プロセッサは発生時間および/またはユーザまたはプロセッサによって設定される統合のための特定の基準にしたがい関係バイナリを統合して画像を導き出し、画像は発生時間にしたがい統合されて、数百もの並列時系列にわたる事象およびパターンから得られるMPPCおよび治療を導き出す。ある意味、関係バイナリおよび事象は個別の「画素」となり、そこから患者の生理系のMPPCが患者安全プロセッサによって構成される。
【0080】
一実施形態によると、さらに患者安全プロセッサは、事象および関係バイナリを、動画ではなく統一されたオブジェクト時間線としても構成することのできる、より大きな統合因子分解可能オブジェクトに体系化するようにプログラムすることができる。各総合因子分解可能オブジェクトは、事象および関係バイナリオブジェクトの特定の集合体を含むことができる。いくつかの総合因子分解可能オブジェクトでは、個々の関係バイナリ化および事象オブジェクトは特定のシーケンスまたはシーケンスの範囲(重複していてもよい)で発生し、オブジェクトは互いに関して特定の時間関係(または時間関係の範囲)を有する。一つの特定タイプのオブジェクト時間線は、単純にグループ化されたセットとして規定することができる。別の例では、関係バイナリは、事象および関係バイナリオブジェクトが検出された特定のシーケンスで要求されることによってオブジェクト時間線を定義する。
【0081】
一実施形態によると、特定されたタイプのオブジェクトは、患者の生理系および治療の単純な要約となり得る「統一患者時間線」を提供するように組み合わせることもできる。MPPCおよび治療は、より包括的なレベルで情報を提供する。両方とも、さらに単純化された要約、またはドリルダウンを明らかにする画像詳細を提供するように構成することができる。統一患者時間線は、たとえば、複数の並列時系列から単独の時系列または時間線に導かれた、少なくとも一つの因子分解可能総合オブジェクトの、しばしば特定のタイプまたは複数のタイプの関係バイナリ化オブジェクトの事例を表すことができる。一事例では、統一患者時間線および/またはMPPCおよび治療は、生涯にわたる時間線および/または動画となるように構成することができ、好ましくは、入院中、あるいは在宅モニタに接続されたとき、あるいは血液検査が行われたときなど、信号が利用可能であるときはいつでもそれを記録することができる。動画または時間線の開始は、(アーカイブされた患者データから得ることのできる)データの最も古い日付の時間によって定義することができ、統一患者時間線は患者が亡くなるまで終了せず、時間線(または動画)のセグメントは、入院セグメントなどの患者の位置、または周術期セグメントなどの患者を治療す
るために取られる措置、または死亡直前あるいは睡眠中のセグメントなどの変更された患者の状態に関連する事象によって、検討のために分離させることができる。一実施形態によると、複数の並列患者関連時系列のバイナリオブジェクトおよび事象の時間とシーケンスの関係を指定するオブジェクト用語を提供することによって、大きな複数のデータセットを単独時系列の因子分解可能オブジェクトに変換することができ、簡潔な用語の適用を通じて解釈可能に容易に出力させることができる。
【0082】
一実施形態では、医師は、試験結果またはその他のデータポイントを誤りまたは異常と標示することができる。この場合、プロセッサは解析を、作業解析(試験結果またはその他のデータポイントを除去または変更する)と背景解析(元データを維持する)の二つに分割する。プロセッサは、最初の試験結果が実質上継続されて、「いわゆる」異常試験から予想されたであろう状態が生じるかどうかを判定するシナリオを実行することができる。背景解析は作業解析に影響を及ぼさないが、事象の相関関係が十分に示唆的なパターン内で発見されたかどうかという通知を生成することができ、最初の試験結果は誤っていない可能性があり、実際には、現在の作業状態(たとえば、試験結果が除外された状態)に適合しない状態を説明するものであろうという考察を正当とする。背景解析は、時間に応じて(たとえば、後続の事象との相関関係が一定時間見出されない後)、あるいはユーザまたはシステムオペレータに応じて(たとえば、リソース要件を低減するため)削除することができる。
【0083】
別の例では、プロセッサは、明らかに進展中の画像を確認または除外するために、検査バイナリをより頻繁に生成するようにプログラムすることができる。このようにプロセッサは、様々な従来の閾値違反などによる不全カスケードの検出待ちに関わる遅延が除外されるように、追加検査でできるだけ遠い将来に目を向けて、特定の不全の動画をできるだけ早期に確認するように試みている。
【0084】
一例では、将来の画像が完全であるよう確保する一環として、選択された事象、バイナリ、および/または画像が存在する場合、画像への特別の薬物の追加(アルファ事象)が、その薬物に関連する合併症をモニタリングする検査を自動的に要求する(ベータ事象)ように、検査バイナリが指定される。一例では、医師がヘパリンを要求すれば、検査バイナリが生成されて画像に追加され、それに48時間毎の血小板数に対して自動オーダを含むことができる。一実施形態によると、時系列オブジェクト化プロセッサは、少なくとも一つの低下事象(たとえば、負の勾配および/または低下の規模および/または閾値の低下によって定義される)を検知するために血小板数の時系列をオブジェクト化しており、低下事象が検知されると、一つの分岐バイナリが生成され、低下を示すマーカが血小板数時系列に沿った画像に追加され、プロセッサは画像中のこれらの分岐バイナリの存在を確認するためにより頻繁に血小板検査バイナリを生成することができる。複数の分岐バイナリが検出されると、プロセッサはアルファ事象が血小板数の低下である、異なるタイプの検査バイナリを生成することができる。これにより、たとえば、アルファ事象がヘパリン治療と血小板数減少とを含むバイナリであり、ベータ事象がたとえば、血小板因子IV検定および/または別の検定である検査バイナリのカスケードが起動する。このように、画像化プロセッサを使用して、血小板数における絶対的または相対的な閾値の低下に関連する遅延は必須ではなく、むしろ血小板数の勾配、先のヘパリン治療の有無、患者の出血または血栓症リスクはすべて画像に含まれて、追加検査の自動測定を開始させる。また、進行しつつあるカスケードの画像は追加検査バイナリを誘発することができる(肝機能検査の場合、ヘパリン誘発血小板減少と一致する場合に要求され得る薬物、アルガトロバンの安全性判定のために必要とされる)。ここでは、プロセッサが、後述のTTPおよび/または潜在性出血を示すカスケードを含むことがある血小板数減少の原因に関して動画の画像を調査するため、MPPCFの一部としてこれらのバイナリおよび画像を有する利点は明白である。
【0085】
一実施形態は、並列生理学的時系列をプログラムにより画像化して、データが解析レイヤを下っていく間、データの関係ピラミッドに、最高レベルの解析および抽象化でのデータを表すピラミッドの頂点を与える。最も下のレイヤは未処理データストリームである。医療従事者は、たとえば以下のようにしてピラミッドを調査することができる。(1)ドリルダウン−医療従事者はデータの詳細と解析の理論(すなわち、存在する状態と、解析が解決に到達するためのルールの両方)へとナビゲートすることができる、および(2)アスペクト−特定のエレメント/状態を強調し、その他のエレメント/状態を強調しない(および/または除去する)システムの表示ポート。上記の2例は、医療従事者が関係ピラミッドを垂直に(解析レベルを経るドリルダウン)および水平に(フィルタ/アスペクトを通じて)ナビゲートできるように一緒に使用することができる。
【0086】
一実施形態では、関係ピラミッドは、エラー、異常、またはそれ以外に不正確とみなされ得る特定の試験結果または事象の拒否に基づき仮説シナリオを検討する医療従事者および/または研究者によって扱うことができる。別のピラミッドは全体を、または微分画像として記憶することができる。別のピラミッドは、変更されたデータの結果を把握するために作業ピラミッドと比較することができる。
【0087】
一実施形態では、プロセッサは、特定状態−先駆現象を特定することができない動揺の存在など−下での代替ピラミッドを自動的に検討する。動揺または分岐の突然の出現は、起こり得る先駆現象の範囲を検討することによって、異常な状態:不正確な診断、モニタリング機器の故障、標識化ミス、患者の処方薬の飲み忘れなどを示唆するものかもしれない。一態様によると、炎症媒介物質などの血液検査の値および/またはパターンは、生理学的動揺の画像、あるいは脈拍数、呼吸数、および/または換気オキシメトリ指数などの少なくとも一つの生理学的パラメータのパターンまたは値と比較される。自明な関係の検出後、プロセッサは十分な数の連続血液検査を自動的に要求して、パラメータのパターンが血液検査のパターンに収束することを確認することによって、生理学的パラメータと媒介物質とが敗血症の不全などの一般的な生理学的不全に基づく関連性を有するという証拠まで補強する強力な裏付け証拠を提供することができる。一実施形態はその解析を拡大して、マーカまたは指標と生理学的パラメータおよび治療の画像とを包括的に比較できるように、特記された炎症媒介物質を不全の動画に組み込む。一実施形態は、複合的なシステムに関連付けられる1セットの時系列の関係変動の動画を生成してシステムおよび/またはシステムに適用される力の不全のリアルタイム動画を生成し、EMRの複合的なデータを動揺、治療、生理学的反応、診断検査、回復、診断、欠落データ、患者位置、および/またはその他のデータセットの単独の動画に集約し、治療、および/または検査、警告、通知、診断、および/または動画に基づく要求をさらに提供する。
【0088】
一実施形態は、複数の関連する複合的かつ動的なプロセスのプログラムによる特徴付けのためのシステムおよび方法を提供し、該システムおよび方法は、各プロセスから得られる複数の並列時系列に沿ったパターンを個別のオブジェクトに変換し、これらの個別のオブジェクトを関係オブジェクトに体系化し、関係オブジェクトを複合的かつ動的なプロセスの統一プログラム画像になるように体系化し、専門家システムを適用して複合的なプロセスの少なくとも一つの不全を示唆する画像または画像の一部または動画を自動的に認識し、および/または関係オブジェクトの時系列マトリックスによって定義される体系化解析構造を生成することによって生理系の特徴付けと対象からの除外を行う関係オブジェクト画像生成処理システムを提供する。
【0089】
起こり得る不全モードの数はいかなる病院環境でも非常に多いため、合理的に考えて特定不全モードの発生は、病院内の所与の状況セット下にある可能性が高い。疾患群の組み合わせを前提とする一般的な不全モードを示す不全モード図を
図1に示す。起こり得る不
全の数は病院環境での所与の患者にとって非常に多く(数百)、看護士や医師はしばしば、不全を適時に検出しつつ同フロアでこのような多くの患者をモニタリングすることを期待され、その際、治療中に患者に起こり得る単独の不全から数千もの不全まで適時に検出することを期待される。このため、プロセッサベースの不全画像化および検知が望ましい。
【0090】
図1は、病棟の患者の一例を示す複合度
図200である。
図200は、ここで提供されるような動画にモデル化できる複合度のレベルを例証しており、この複合度レベル内での動揺の性質と起源を判定する。
図200は、専門委員会によって構成された後、事象、関係バイナリ、および画像コンポーネントを含む、本明細書で提供される動画の各種コンポーネントの構成を簡易化するために一実施形態によって使用される不全モード図の1種である。不全画像コンポーネント
図200は、糖尿病202、鬱血性心不全204、動脈細動206、脳卒中208、睡眠時無呼吸210、および敗血症212などの単独の患者に現れる多数の重複する疾患を含む。疾患は、換気量上昇216、心拍数上昇218、肺水腫214、および酸素飽和度低下(低酸素血)222などの生理学的不全を含むことができる。さらに、治療は、部分トロンボプラスチン時間(PTT)の高閾値違反やグルコース(低血糖症)234の低閾値違反などの薬物治療ミスに関連する可能性がある。さらに、患者への治療(たとえば、インシュリン224、利尿薬226、ACE阻害薬228、ベータブロッカ230および/またはヘパリン232)が、追加生理学的不全(たとえば、血小板数減少(血小板減少症)236、心臓ブロック発生238、血清カリウム減少(低カリウム血症)240、血清ナトリウム減少(低ナトリウム血症)242、血圧低下(低血圧症)244)を招く場合がある。一実施形態では、単独の患者が初期は高血糖(高血糖症)215でその後に低血糖症234が続く場合がある。図示されるように、進展する複数の疾患、患者症状、および複数の治療の相関関係が、治療遅延248または錯乱220を引き起こすことがある。
【0091】
図2は、一実施形態に係る複合的な患者生理学的状態をモデル化する解析フローの全体図である。幅広いソースがモデル化への入力を提供することができる。たとえば、患者モニタ256、患者記録272、患者履歴データ260、検査結果264、および治療データ268は、解析ストリームへ未処理データの入力を提供することができる。これらの入力は1セットの並列時系列276に変換される。この複数の並列時系列に沿ったパターンおよび閾値違反は、各チャネル内のオブジェクトストリーム280を形成する個別のオブジェクトに特定され、合体され、合成され、体系化される。これらの個別のオブジェクトは、既知の関係パターンを関係バイナリ284の事例に特定するために解析される。一実施形態では、次に専門家システムが、これらの関係バイナリを、患者および/または患者集団の複合的かつ動的な状態の統一プログラム画像を全体として構成する1セットの不全画像288へと体系化し合成することによって解析をさらに改良する。
【0092】
図2は未処理データから画像統合体への解析フロー240を示し、
図3Aおよび
図3Bは例示的実施形態内のデータ記憶、データフロー、プロセッサ、および出力機構のいくつかを示す。
図3Aは一実施形態の別のデータフローを示す。データ管理システム300は、モニタ302と、たとえば、時系列オブジェクト化プロセッサ336、関係バイナリ化プロセッサ348、および不全画像化プロセッサ360を含むことのできる患者安全プロセッサ304とを含む。もしくは、時系列オブジェクト化、関係バイナリ化処理、および/または不全画像処理の処理ステップを実行するための指示を出すプロセッサ336、348、および360を、システム300の一部であるプロセッサ304と通信する一つまたはそれ以上の追加処理コンポーネント上に配置することができる。プロセッサ304は、医療従事者用インタフェースを提供する装置306に解析出力を提供するように構成される。データフローは広範なソース(302、304、308、310、312、314)からの入力を含む。図示されるように、入力は、検査命令316、コンソールまたは装
置306上に表示可能な医療提供者への指標、および治療命令315など、患者へのさらなる措置を命じることができるプロセッサ304に送信することができる。したがって、医療従事者は装置306を使用して、入院プロセス全体を制御およびモニタリングすることができる。一例示的実施形態では、プロセッサ304は装置306を駆動するために使用することができる。プロセッサ304はビューイングコンソールの状態にかかわらず全患者の全リアルタイムデータを常に処理し、後述されるように、プロセッサ304から得られる画像の解析に基づき検査命令316および/または治療命令315を自動的に送信するように構成することができる。
【0093】
データ管理システム300は、汎用または用途特定コンピュータなどの一つまたはそれ以上のプロセッサベースのコンポーネントを含むことができる。プロセッサベースコンポーネントに加えて、データ管理システム300は、磁気および光学大量記憶装置および/またはRAMチップなどの内部メモリなどの各種メモリおよび/または記憶コンポーネントを含むことができる。メモリおよび/または記憶コンポーネントは、プロセッサ304またはデータ管理システム300の関連コンポーネントによって実行される本明細書に記載の技術を実行するためのプログラムおよびルーチンを記憶するために使用される。もしくは、プログラムおよびルーチンは、データ管理システム300から離れるが、コンピュータ上に存在するネットワークおよび/または通信インタフェースによってアクセス可能なコンピュータアクセス可能な記憶媒体および/またはメモリに記憶することもできる。
【0094】
データ管理システム300は、各種入力/出力(I/O)インタフェースならびに各種ネットワークまたは通信インタフェースも含むことができる。各種IOインタフェースにより、構成情報を見て入力する、および/またはシステム300を作動させるために使用可能なディスプレイ、キーボード、マウス、およびプリンタなどのユーザインタフェース装置との通信が可能になる。各種ネットワークおよび通信インタフェースは、ローカル及び広域イントラネットおよび記憶ネットワークならびにインターネットの両方への接続を可能にする。各種I/Oおよび通信インタフェースは、適宜または所望に応じて、有線、回線、または適切な無線インタフェースを利用することができる。
【0095】
一実施形態では、装置306は、画像が有意な起こり得る不全および/またはカスケードプロセス、または患者のリスククラスが閾値を超えるポイントを示すとき、プロセッサ304によって継続的ビューイング(通知を伴う)のためにオンにされる。リスククラスはたとえば、算出された不安定指数または検出された不安定指数パターン、および/または検出された不全の関数として導き出すことができる。不安定指数はたとえば、一致画像との相関関係を有する信頼度メトリクスであってもよい。たとえば、MPPCが重大な状態と関連しているという高い可能性を示す場合、不安定指数は高くなるであろう。不安定指数は、数値指数、色またはグラフィックインジケータ、および/または音声またはテキストメッセージとすることができる。
【0096】
一実施形態によると、装置306は、一つまたはそれ以上の作業診断、鑑別診断、および検査パラメータ、モニタリングされたパラメータ、および主観的パラメータ(たとえば、鎮静スケール、錯乱スケール、または疼痛スケール)などの患者から得られるパラメータといった項目を表示する双方向画面を含む。一実施形態では、本明細書における「パラメータ」という用語は、絶対的または相対的なデータポイントまたはセット、パターン、または偏差、このようなデータポイントまたはセットの範囲、このようなデータのパターン、単独のデータセットに沿った関係および/または複数のデータセット間の関係、および/またはデータのパターンを指すことができる。データは客観的データタイプであっても主観的データタイプであってもよく、直接的および/または間接的に得られる、あるいは履歴を出所とすることができる。また、不全画像化プロセッサ360(
図3B)からの各種出力を表示することができる。一実施形態によると、プロセッサ304は、装置30
6上、あるいはレポート(電子または書面)を通じて、あるいは外部システムへのインタフェースを提供することのできる電子表示内での表示用にデータを提供することができる。
【0097】
データ管理システム300は、検査データ310、履歴データ(たとえば、診断)312、および治療データ(たとえば、薬物)314を含む医療記録データベース308をさらに備える。医療記録データベース308はプロセッサ304およびモニタ302に接続され、これらのシステムは医療記録データベース308に記憶されるデータにアクセスできるようになる。プロセッサ304は、リアルタイムデータを含みすべての病院ソースからの入力を受け取る中央集中患者医療記録へのコンポーネントまたはデジタルリンクを含むことができる。このように、病院が利用可能な患者関連のほぼすべてのコンポーネントを有するデータベースがリアルタイムでプロセッサ304によって直接アクセス可能となることで、埋め込まれた関係プロセッサは関係バイナリを提供し、各種ソースからのデータを含む不全画像コンポーネントを構成および検出することができる。
【0098】
一実施形態によると、プロセッサ304は医療記録データベース308と包括的に連動するように構成される。後述するように、プロセッサ304は、関係プロセッサから得られる生理学的不全画像コンポーネント、薬物不全画像コンポーネント、検査ミス画像コンポーネント、総合不全画像コンポーネントの形式的および自動的な同時連動を提供し、それらをビューイングのための時間線上に配置するようにプログラムすることができる。
【0099】
プロセッサ304は、全不全画像コンポーネントの即時レビューを提供し、特定の不全画像コンポーネントに基づく措置を講じるように構成することができる。プロセッサ304は、第1の分岐バイナリの最も早い開始時点から進展中の不全画像コンポーネントを常にモニタリングするように構成することができるため、医療従事者よりも迅速かつ確実に対応することが可能である。したがって、プロセッサ304は、遅きに失するまで医療従事者によって検出されなかったと思われる、単独の分岐バイナリを起源とする不全画像コンポーネントカスケードを検出することができる。さらに、プロセッサ304は、何の措置も講じられなかった、あるいは措置が進展中の分岐バイナリまたは不全画像コンポーネントを矯正しなかった分岐または空バイナリに警告を発するようにプログラムすることができる。たとえば、プロセッサ304が看護士によって血液培養の入手が更新されたシナリオでは、もし所定の時間経過後に、その結果がプロセッサ304に利用可能とならない場合、検査ミス画像コンポーネントを示す空バイナリを生成することができる。一方、培養が陽性である場合、生理学的不全画像コンポーネントを示す分岐バイナリの存在を検出することができる。検査ミス画像コンポーネントが検出されると、プロセッサ304はその自明な遅延について検査施設に通知する。通知はアルファ事象であり、その通知に対する受領反応は真のベータ事象である。したがって、検査施設がその受領を示さないと、収束バイナリがシーケンスを終結させるまで、同じように看護士の通知を開始させる分岐バイナリが発生させられる。一方、生理学的不全画像コンポーネントが検出される(培養が陽性である)場合、プロセッサ304は同じバイナリ生成方法で再度看護士に通知する。
【0100】
陽性血液培養が培養検査バイナリのベータ事象である一方、最初の検査分岐バイナリが、全血球数の取得、包括的な代謝プロファイル、血圧および脈拍測定の周波数増加、換気指数オキシメトリ、および検出された特定の分岐バイナリ(この場合、血液培養陽性)に応答してプロセッサ304にプログラムされるその他の検査をプロセッサに確保させる、もう一つの検査バイナリ群がアルファ事象である。これらの新たな検査バイナリは、予測外のベータ事象(たとえば、低血圧症、高脈拍、またはオキシメトリ指数に対する高換気)などを生成することができ、それによってこれらのベータ事象は新たなセットの生理学的分離バイナリを定義する。この新たなセットの分岐バイナリ(統合状態で)は、初期敗血症性ショックを示唆する総合不全画像コンポーネントの所定基準を満たすのに十分であ
り、診断の考慮事項には、この種の総合不全画像コンポーネントの検出事象において適時かつ適切なモニタリング、適時かつ適切な患者配置、適時かつ適切な診断検査、および適時かつ適切な治療介入を保証するためにプロセッサにプログラムされている複数の新たなバイナリに対するアルファ事象も現在含まれている。また、総合不全画像コンポーネントを含んだ生理学的分離バイナリのベータ事象は現在、新たな生理学的バイナリにとってのアルファ事象となっており、新たなバイナリの各々のベータ事象は、これらの各値が所定の期間内で正常範囲に回帰することを含む(これにより、総合不全画像コンポーネントができれば適時に矯正されるように確保する)。また、陽性血液培養も治療バイナリにとってのアルファ事象であるため、プロセッサ304は、陽性血液培養に応答して所定の時間間隔内に正確な抗生物質が投与されることを期待するであろう。これが行われない場合、治療ミスを示す分岐バイナリが特定されて、前述のバイナリ構成方法によって確実な看護士への通知を発することができる。
【0101】
一実施形態によると、有意な生理学的分離バイナリの検出に応答して、装置306は、収束で終了しなければならない1セットの通知バイナリを構成することによって通知不全を回避するようにプログラムすることができる。さらに、装置306は、収束で終了しなければならない1セットの治療バイナリを構成することによって適時対処不全を回避するようにプログラムすることができる。さらに、装置306は、収束で終了しなければならない1セットの検査バイナリを構成することによって試験不全を回避するようにプログラムすることができる。さらに、装置306は、最初に発見された分岐バイナリに関連付けられる生理学的分離バイナリを特定することによって関連の生理学的不全画像コンポーネントを検出するようにプログラムすることができる。
【0102】
一実施形態によると、プロセッサ304は、対応付けられる、接続される、および/または埋め込まれる事象システムを含む。この事象サブシステムでは、ユーザは、具体的な発生が特定されたときに開始される動作または記録されるデータを指定することができる。この事象システムは、たとえば、通知システム、ワークフローシステム、非同期通信システム、報告システム、決定支援システム、計器盤、データウェアハウジングおよび/またはデータマイニングシステムを含むその他の内部または外部システムとのインタフェースを取ることができる。
【0103】
一実施形態によると、関係プロセッサは自己調節的であり、微細な不全画像コンポーネントの発生にも迅速に対応する自動展開解析を提供する。処理システムの解析動作は、検出された不全画像コンポーネントの規模と数に直接応答した多次元の増減が可能である。これに関連して、生理学的不全画像コンポーネントの発生後、プロセッサ304は不全画像コンポーネントが単独の生理学的分岐バイナリしか含まない場合でも、通知、検査、治療、および生理学的バイナリのカスケードを生成することができる。生理学的バイナリのベータ事象は、通知、検査、治療、および生理学的バイナリの新たな生成毎のアルファ事象を含むことができる。これらの新たなバイナリは各々ベータ事象も含み、各ベータ事象はその他のバイナリの形成を含むことができ、ベータ事象は同じまたは別のタイプの別のバイナリのアルファを含む。それにより、バイナリの自発的に成長するカスケードは、適時通知、適時検査、および生理学的安定性への適時復帰の確保に向けて展開する。
【0104】
これらのタイプの分岐バイナリの急速に展開するカスケードは、患者の患者不安定性の進展と、医療システムの不十分なパフォーマンスとを表す。分岐バイナリのタイプおよびシーケンスの時間パターンの解析(オブジェクト化パターン認識または統計的解析による)によると、体調不良の判定または医療従事者の応答性不良がカスケードを展開させている。健康が回復し、医療従事者が適時に対応するにつれ、バイナリカスケードは自動的に縮小することができ、各種不全画像コンポーネントはもはや検出されなくなる。したがって、関係バイナリ化オブジェクトプロセッサの出力は、単独の患者、または所与のフロア
の患者、または病院全体の患者の健康を追跡するために容易に使用し、さらに解析することのできる自己調整処理システムを提供する。さらに、オブジェクトバイナリプロセッサの出力は、所与の患者、または所与のフロア、または病院全体に提供される医療の質を表す自己調整処理システムを提供する。
【0105】
プロセッサ304は、医療データ以外の複合的な動的データセットに適用することができ、そこでは自己調整関係解析および制御が有効であろう。プロセッサ304は、たとえば、最初のスパーク(第1の分岐バイナリ)から広範囲のシステム不全に至るまでの不全画像コンポーネントプロセスを特定するため、アーカイブされたデータセットの処理に関連付けて、データマイニングのユーティリティを有する。アーカイブされたデータセットの処理は、各種不全から得られるバイナリカスケードの自動調整を検討し、病院、ならびに食物などの工業的処理、化学的または医薬品処理における複合的なプロセスのための動的不全画像コンポーネント図の構成を簡易化する機会を提供する。プロセッサは、ユーザが各アルファ事象を選択し、プロセッサが選択された事象オブジェクトとの特定された時間、周波数、または空間関係を有する事象および関係バイナリを検出、提供、および/または取得することができるようにプログラムすることができる。もしくは、プロセッサ304は、健康な個人の出力を処理することによって学習データを有する独自セットの収束オブジェクトバイナリを構成するようにプログラムすることができる。次に、プロセッサは、(学習データセットによって定義された)予想されるベータ事象の欠如を特定することによって患者に適用される分岐バイナリを検出するために使用することができる。カスケーディング(不全画像コンポーネントの分岐の検出に基づくさらなる処理の開始)に対する感度は、ベータ事象の真度に対する感度を修正する、あるいはオブジェクト化プロセス中のオブジェクトの勾配または規模などの基準を修正することによって調節することができる。このことは、バイナリの指定の感度を分岐として定義する際に高い柔軟性を提供し、よって、カスケードの開始、展開、および消滅への感度を高度に制御する。カスケードは、モジュールまたは分岐または不全画像コンポーネント特有である。カスケードのモジュール群はメニューから選択可能であり、その後群内の各モジュールは所望に応じて修正される。
【0106】
図3Bに示されるように、プロセッサ304は、任意数の処理機能を含むことができる。図示されるように、プロセッサ304は、事象エディタ331(事象定義332を作成する)、収束エディタ343(バイナリ定義セット344を作成する)、および不全画像コンポーネント355(不全コンポーネント356を作成する)を含むことができる。事象定義332、バイナリ定義344、および不全コンポーネント356は、時系列オブジェクト化プロセッサ336、関係バイナリ化プロセッサ348、および不全画像化プロセッサ360への入力のために使用することができる。時系列オブジェクト化プロセッサ336は、事象定義セット332によってルールとパラメータが提供されて、電子医療記録320の並列時系列(324、328)に変換するようにプログラムされる。次に、関係バイナリ化プロセッサ348は、バイナリ定義セットによってルールとパラメータが提供されて、オブジェクトストリーム340を処理して、関係バイナリ352のストリームおよびカスケードを生成する。さらに、不全画像化プロセッサ360は、不全画像コンポーネント定義セット356によってルールとパラメータが提供されて、関係バイナリを合成し、場合によってはオブジェクトストリームから隔離されたオブジェクトを一つまたはそれ以上の画像364に合成する。これら三つのプロセッサ(336、348、および360)の出力、ならびにそれらのプロセッサが適用される元の時系列はMPPCデータベース368に記憶される。一例では、プロセッサ304は、一つまたはそれ以上の事象、バイナリ、画像コンポーネントの検出、または特定のMPPCの検出に応じて、プロセッサが措置を講じる、たとえば検出のアウトバウンド通知、検査または治療の命令、または治療および/または検査装置に検査および/または治療を変更、中止、または開始させる直接制御信号を提供することができるようにプログラムすることができる。
【0107】
一実施形態によると、関係バイナリ化プロセッサ348および時系列オブジェクト化プロセッサ336は、解析を修正するために互いの出力に適合させることができる。たとえば、時系列オブジェクト化プロセッサ336による事象、揺動、不完全な揺動、またはその他のオブジェクトまたはパターンの検出は、分岐の検出に応答してカスケードを調節させる。代替的にあるいは組み合わせにより、時系列オブジェクト化プロセッサ336内の事象オブジェクトとして波形セグメントを指定するための基準(たとえば、血清ナトリウムの低下事象オブジェクトを特定するための勾配基準)も、特定のアルファ事象の存在に基づき調節することができる。一例では、脳血管梗塞(CVA)の診断を含むアルファ事象が検出されると、時系列オブジェクト化プロセッサ336に対して、血清ナトリウムの低下事象オブジェクトを指定するための絶対勾配(負の勾配を除く)を減少させることができる、それは好ましくは、このような患者のベータのうちの一つである。ベータ事象の指定のために絶対勾配を自動的に減少させることによって、脳血管梗塞のアルファ診断は診断プロセスの感度を調節し、様々な生理学的脆弱性の発生および検出後の自動かつ動的な調整を可能にしている。本例では、血清ナトリウムにおける低下事象オブジェクトの検出感度の向上(CVA診断を含むアルファと組み合わせて)は分岐バイナリを含み、血清ナトリウムの厳密なモニタリング、および/または追加的な検査施設の研究の評価、および/または遊離水送達の低減に関する診断カスケードを開始させることができる。これは、CVAによる抗利尿ホルモンの不適切な増加可能性の関数である、CVA患者の直面する固有の脆弱性にとって望ましい。
【0108】
バイナリ定義セット344内の関係バイナリ化定義は個別に定義し、大人数の履歴データの処理によって改良させることができるため、専門家意見の一致関数として単純に提案され保持されるよりも、相関関係を正しく確認することができる。一実施形態では、最終的には治療介入なしで消滅に至る、専門家によって提供される分岐基準を起源とするカスケードは、分岐ベータの検出感度を変更する、あるいは分岐バイナリにつながるカスケードを変更するように自動的に修正することができる。別の例では、適時措置にもかかわらず、生理学的分岐の進展なしに自己展開し拡大し続ける、専門家によって提供される分岐基準を起源とするカスケードは、分岐ベータの検出感度を変更する、あるいは分岐バイナリにつながるカスケードを変更するように自動的に修正することができる。システムはアーカイブされた訓練データセットに適用させることができたため、感度および特異性はさらに補強させることができ、結果が既知であるのでカスケードの規模と方向は、カスケードの所望の規模と方向と比較し、それに応じて調節することができる。適用されたアーカイブデータセットでは、事象基準、分岐基準、またはカスケード生成における自己適合性調節は、カスケードが早すぎる自己消滅および過剰伝播なしに進行するまで適用することができる。さらに、システムは、欠落データに関する仮説に適用されて、それらが不完全な(空)バイナリに行かに影響を及ぼすかについて判定することができる。
【0109】
一実施形態によると、時系列オブジェクト化プロセッサ336、関係バイナリ化プロセッサ348、および不全画像化プロセッサ360を含むプロセッサは、解析結果をMPPCデータベース368に出力することができる。MPPCデータベース368は、解析が実行される時系列328ならびに事象ストリーム340を含む解析結果、関係対352、統一不全364および統合体、これらのエレメントの関係および代替画像を備える。一実施形態では、メタデータルールセット(主要および代替のおよび/または一時的にオーバライドまたは変更されたエレメント)は患者安全性画像データベース368にXML(事象定義セット332、バイナリ定義セット344、不全画像コンポーネント定義セット356)として保持される。
【0110】
一実施形態によると、プロセッサは、(個別のおよび/または簡潔な)連続時系列コンポーネントを、並列時系列に沿って、および並列時系列にわたってその他の連続時系列コ
ンポーネントにリンクさせて、生理学的不全および/または患者治療の包括的な関係画像を提供するようにプログラムされる。これらのコンポーネントは、極性反転または変曲点、状態変化を定義する方法によって、(たとえば、特定フォーマットに表現する時系列に次いで)パターンコンポーネントを検出する画像化方法によって、および/または別の定義方法によって、および/または関係画像化および解析のために事象、画像コンポーネント、および/または発生をプログラムにより「パッケージング」することによって、提供することができる。一実施形態によると、「時系列オブジェクト化」はこの目的のために採用される。時系列オブジェクト化は時系列オブジェクト化プロセッサ336によって表現することができ、その一実施形態を以下に述べる。一実施形態では、時系列オブジェクト化は、データの時系列のほぼ全体が関連的階層の複雑性順でオブジェクトの時系列に変換されるように、1セットの時系列を連続する個別のエレメントまたはオブジェクトに変換するプロセスである。別の実施形態では、これらのオブジェクトは、時系列が得られる、あるいは適合的に習得されるシステム内の現象の理解に基づく1セットのルールを用いて、時系列内のポイント値(たとえば、閾値違反および/または状態一致)および/またはこれらのポイント間の関係(たとえば、極性反転、変曲点、状態遷移)に基づき時系列内の境界を定義することによって作成される。作成される個別のオブジェクトは、時間位置と、定義される境界内の統合データから得られる1セットの特性とを提供する発生を表し、特徴付ける。これらのオブジェクトは、位置と得られる特性によって区別されるため、個々のオブジェクトを対象化することができ、オブジェクトのストリームをそれに対して検索することができる。さらに、個別のオブジェクトへの変換は、エレメント間の関係の特定、対象化、および検索する能力を提供する。関係はエレメントの統合体および/または階層に変換することができ、その中で特性は統合体/階層のコンポーネントから統合体/階層自体に、および/または階層/統合体から参加コンポーネントに導き出すことができる。
【0111】
時系列オブジェクト化プロセッサ336は、たとえば、米国特許出願第11/280,559号および第11/351,449号で与えられるような指示を含むことができる。これらの開示は本明細書で完全に開示されるのと同様、あらゆる目的のため参照により全文を組み込む。したがって、このようなプロセッサは、入院プロセス中に得られたパラメータのほぼすべてを含む時系列マトリックスを構成することによって機能し、その後、マトリックス内の各時系列をオブジェクト化し、オブジェクト化時系列マトリックスを生成する。マトリックスを含む時系列は、たとえば、客観的に測定された値、薬物投与量、注入速度、および主観的臨床スコアを含むことができる。時系列のうち少なくともいくつかはステップ関数として提供することができる。たとえば、体重、血清ナトリウム値、SPO
2、換気量または速度、心拍数、脈拍振幅、脈勾配、薬物注入量、鎮静スコア、疼痛スコア、昏迷スコア、作業診断、不安定性スコア、疾患重症度スコアの時系列はすべて含めることができる。
【0112】
オブジェクト化プロセッサは、プログラム上および/または時間ベースのいずれでもよい広範な方法、またはその他のオブジェクト定義方法によってオブジェクトを定義することができる。一実施形態では、時系列オブジェクト化プロセッサは線形および/または反復的ダイポール勾配手法を、呼吸または酸素飽和事象などの波形事象の認識に適用する。たとえば、気道虚脱および気道回復と関連付けられる事象は通常急峻で、単極性である。このため、線形法は、これらの非線形波形の認識および特徴付けには十分である。しかしながら、反復的ダイポール勾配手法は特に用途が広く、特定範囲の非線形またはより複雑な波形の自動識別を選択するオプションを取るような状況でも使用することができる。反復的ダイポール勾配法を用いて、ユーザは、特定の波形領域全体にポインタをスライドすることによって波形に沿って基準ケースから特定の継続的ポイントセットを選択することができる。もしくは、ユーザは、スケールグリッド上に所望のターゲット波形を描くことができる。さらに、ユーザは範囲限界を入力する、あるいは描くことによって、マイクロ
プロセッサに対するオブジェクトまたはオブジェクトセットを規定して波形の残りに沿って、あるいは他の波形に沿って認識することができる。もしくは、プロセッサは、経験的に判定可能な予め選択された基準に基づき、1セットのオブジェクトを自動的に選択することができる。反復的ダイポールプロセス出力は形状依存とすることができるが(周波数および振幅を含む)、必ずしもポイント依存とは限らないため、波形パターン検索を実行する多用途かつ自由裁量的なエンジンとして機能するのに大いに適する。実施形態によると、波形は、波形を検索するブール演算子として機能するオブジェクトを選択し適用することによって検索可能である。ユーザは、これらのオブジェクトが同じ順序であるべきかどうかを規定することができる。波形に沿って認識されたオブジェクトシーケンスは、選択された範囲との一致度を選択するためにスコア化することができる。所望により、(波形挙動の調査解析のためなど)オブジェクト内、あるいは複数の同時処理された軌跡の一つまたはそれ以上内で発生する異常は、解析のために特定し、スコア化することができる。
【0113】
(たとえば、オブジェクトストリーム340から生成された)時系列マトリックスのオブジェクト化プロセスおよびさらなる処理の後、画像は、出力表示または患者安全コンソール306上で、あるいは患者安全報告380(電子または書面のいずれか)を通じて、あるいは外部システムへのインタフェースを提供することのできるインタフェース376(たとえば、欧州データフォーマット(EDF))である電子表示内で、検出されたMPPCを提示し強調する患者安全視覚化プロセッサ372に転送される。一実施形態では、データ、解析、およびメタデータの統合は、患者安全視覚化プロセッサ372にとってのデータソースを提供する。一実施形態では、患者安全視覚化プロセス372は、特定の信号の1列の時間線、および/または信号カテゴリおよび/または信号のグループ化によって定義される包括的なグループ化で、患者の状態を視覚化する。一実施形態では、1列の全体的状態は、安定から不全に移行する様々な色(たとえば、持続的安定[濃い青]、安定[淡い青]、収束[緑]、動揺[黄]、分岐[オレンジ]、空[黒]、不全[赤]、連鎖不全[明るい赤])を有するスペクトルとして、色で表示される。別の実施形態では、各時間線に沿った色付き矢印、アイコン、点滅する、あるいは強調されたテキスト、および/またはその他の視覚表示がこれらの状態を表す。
【0114】
一実施形態では、患者安全視覚化プロセッサ372は、時間の経過に伴う状態の進展を示すため、左から右に移動する1セットの画素ストリームとして患者の状態を表す。プロセッサは、患者安全性画像データベース368内で時間的に前後し、解析レベルを下っていくナビゲーションを提供する。本実施形態では、解析レベルは、たとえば以下のように設定することができる。
【0115】
時系列−時系列の形状での未解析データストリーム
事象および動揺−事象定義セット332にしたがい、明確に定義された動揺を表すかどうかに関して、各自のチャネル内で特徴付けられた事象、状態一致、状態遷移、および閾値違反
全身性反応−バイナリ定義セット344にしたがい、事象、状態一致、状態遷移、閾値違反、動揺、および予想エレメント間の関係を表す収束、分岐、および空バイナリ
不全−単独の患者内で特定された不全画像
システム不全−単独の患者内で特定された不全画像を表す特定のカテゴリ(呼吸系など)内での不全画像
不全パターン−患者集団または特定の病院などの特定の地域内の不全の傾向および不全画像
一実施形態では、患者安全視覚化プロセッサ372は、データおよび解析ストリームを表す水平に配向された一連の画素から成る画像をコンピュータモニタ(患者安全コンソール306)上に構成する。これらの画素ストリームは、特定の時刻を表すx軸上の位置で
垂直に積み上げることができる。プロセッサはパンスルータイムを提供するため画素ストリームの水平移動を提供する。
【0116】
各画素ストリームは1セットの画素から成り、特定された時刻でのデータの状態および/または解析を示す。画素は状態(たとえば、色で表される)と粒状度(画素が表す時間長[たとえば1分])とを有する。ビューのサイズと選択される時間帯とが画素の粒状度を決定する。企図される実施形態では、画素は、画素ストリーム内の単独画素によって表される時間帯内で発見される最高レベルの不安定性によって表示される。さらに、各画素はあるレベルの抽象化を有し、それが患者安全性画像データベース368からのどのオブジェクトがその状態に寄与するかを判定する。寄与するオブジェクトを解析レベル別に以下に示す。
【0117】
時系列−チャネル内のデータポイント(たとえば、酸素飽和値)
事象および動揺−事象および閾値違反
全身性反応−関係バイナリ
不全−不全画像
不全パターン−不全傾向および相関関係。
【0118】
一実施形態では、画素ストリーム群は垂直に積み上げられて患者安全視覚化を生成する。患者安全視覚化は、様々な患者の画素ストリーム、または単独の患者内のデータおよび解析ストリームで構成することができる。患者安全性画像は、医療従事者が問題領域または特定の性質を有する領域を迅速に特定できるように解析をフィルタリングする能力を提供する。新たに発生する不全カスケードまたはその他のパターン不全を強調するソーティングを提供することができる。一実施形態では、患者安全性画像は、時間別に相関された同時刻に患者安全コンソール384上に表示された様々なレベルの解析で構成することができる。解析レベルを混合した視覚化を使用することによって、医療従事者は下位データ(たとえば、オキシメトリ内の不完全な回復)と高位解析(たとえば、麻酔誘導換気不安定の特定)との間の関係を迅速に理解することができる。
【0119】
一実施形態では、患者安全コンソール384は、不全カスケードの視覚表示を提供するため、ユーザが不全状態を不全に関連付けられる最も早い事象へ遡らせる機能を提供する。もしくは、個々の事象および閾値違反を、それらが関与する高位オブジェクトを特定するために選択することができる。すなわち、進展中の患者不安定性内での関係を把握するため、低レベルの事象を前方に追跡することができる。この追跡は、いろんな方法で実現することができる。たとえば、プロセッサ304は、関係バイナリ化のアルファ事象が先行する関係バイナリのベータ事象であることが多いという事実を利用することができる。この関係バイナリの連鎖は強力な解析ツールを提供する。患者安全視覚化プロセッサは、起源、進展、および回復を示すこれらのバイナリチェーンを隔離する機能を提供する。
【0120】
もしくは、または組み合わせて、プロセッサ304は確率モーメントの傾向を利用することができる。一実施形態では、バイナリチェーンの性格および確率モーメントの認識可能な傾向の存在によってフィルタリングすることができる。一実施形態では、構成によって選択されると、患者安全視覚化プロセッサは、視覚化内の任意のポイントでメタデータモデルへナビゲートする機能を提供する。事象、収束、および画像図またはその他の発生定義視覚化は、事象定義セット332、バイナリ定義セット344、および画像定義セット356内のこれらの図中の特定されたエレメントを用いて構成されたオブジェクトからアクセス可能である。メタデータモデルへのナビゲーションにより、専門の医療従事者および研究者は解析への理解を深める、および/または解析を変更することができる。
【0121】
患者安全コンソール384は、忙しい医療従事者の差し迫った需要を満たす複合的なデ
ータセットと解析を提示する。一実施形態では、最高レベルでの解析は、患者安全全体の進展を単純に表示する、患者毎の単独の画素ストリームまたは画素ストリーム群に折り畳むことができる。その画素ストリーム内で、およびその画素ストリームから、医療従事者は、たとえば、複数レベルの解析、バイナリチェーン、確率モーメントの傾向、およびメタデータモデルなどの最も複雑な表示へと下っていくことができる。もしくは、このドリルダウンは、マウスオーバやタッチスクリーンなどによって行うことができる、あるいはプロセッサが特定の不都合なパターンや閾値を検出したときに自動的に出現することができる。
【0122】
一実施形態では、オブジェクトストリーム視覚化は、患者内の動揺の関係と開始のカスケードに焦点を当てる。これは上述の画素ストリームに対する代替的および相補的ビューであり、様々なレベルの解析でシステム内の個別のエレメントに、より広範囲で焦点を当てる。これらの二つの視覚化は並列に使用することができる、および/または両者間のナビゲーションを提供することができる。企図される実施形態では、オブジェクトストリーム視覚化は時系列に沿ったアイコンとして事象および閾値違反を表し、アイコンは事象または閾値違反が発生した最初の時点に配置される。アイコンは自身の性格を色、サイズ、および装飾によって示す。基本アイコンは、(
図15Aに示されるように)上下を指す矢印である。上向き矢印が事象を始動させた正の運動を示す一方、下向き矢印は負の運動を示す。ブール変更は偽から真に移動する際に上向き矢印として、真から偽に移動する際に下向き矢印として示され、状態一致は一致中に上向き矢印として示され、状態遷移は示された状態から移動する際に上向き矢印として示され、閾値違反は「より大きい」という観点で定義される場合に上向き矢印として、「より小さい」という観点で定義される場合に下向き矢印として示される。矢印の厚さおよび/または色は、運動の範囲を示すために使用することができる。
【0123】
矢印上の装飾は、事象の性質に関する視覚的合図を提供するために提示することができる。矢印の頭の下にある線は、発生した事象が閾値違反であることを示す。矢印周囲の丸(
図15Aの979を参照)は、事象がプロセッサ304によって命令された動作または試験の結果であることを示すために使用することができる。装飾および/または一致色および/または点滅は、
図18に示される低血小板数と薬物クロピドグレル間の起こり得る関係の警告のように、プロセッサによる関係の警告を示すために使用することができる。
【0124】
一実施形態では、患者安全視覚化プロセッサは、特定された期間および/または特定された画像のために自動視覚ナビゲーションを提供する。この自動視覚ナビゲーションは、選択期間の解析駆動型の映像再生として動作する。医療従事者が「再生」を選択すると、患者安全視覚化プロセッサは特定された状態の進展を視覚的に表示していく。医療従事者は、「再生」、「一時停止」、「早送り」、「巻き戻し」、「スキップ送り」、「スキップ戻し」などのナビゲーション運動を選択することができる。企図される実施形態では、再生モード中、患者安全視覚化プロセッサは、表示されている状態の重症度に応じて自動視覚化を様々な速度で移動する。表示されている時系列に動揺がほとんどない(あるいは、特定された不全カスケードに関する動揺がほとんどない)場合、プロセッサは極めて迅速に移動する(すなわち左から右)。プロセッサによって選択されるような問題領域が視界に入ると、患者安全視覚化プロセッサは左から右への運動を減速する。さらに、患者安全視覚化プロセッサは、不全の進展および/またはカスケードならびにその他のエレメントとの関係を表示し、明確化し、および明示するエレメントを強調する。患者安全視覚化プロセッサは、現行のビューおよび現行のビュー内のエレメントを説明する追加のテキストおよび/または視覚化エレメントを提示する半透明ポップアップパネルをさらに表示する。いかなるポイントにおいても、医療従事者は自動視覚ナビゲーションを「一時停止」して、表示されたデータを検討する、および/または表示されてきた内容を掘り下げることができる。
【0125】
相補的実施形態では、医療従事者は、検討する時間帯を要約ビューから選択し、関係する時間帯のセクションを指摘することができる。患者安全視覚化プロセッサは、選択された関連の領域に対しては減速し、強調されたセクションに対してはテキストおよび対象化の表示を適宜増加させる。一実施形態では、患者安全視覚化プロセッサは表示するオブジェクトストリームを選択し、映像ナビゲーションにおいて重要となるストリームを含める、あるいは除外することができる。医療従事者は、映像ナビゲーションで常に利用可能となるように、追加ストリームを含める、あるいはストリームを「ピン」するように選択することができる。欠落ストリームも指摘される。さらに、患者安全視覚化プロセッサは、自動視覚ナビゲーションに必要な時間を医療従事者に指摘することができる(たとえば、「標準視覚ナビゲーションは2分37秒かかる」)。
【0126】
患者安全視覚化プロセッサは、映像および音声の供給が利用可能な場合に時系列データと共に時系列データに対応し、時系列データと同期化される音声および映像エレメントを含む。企図される実施形態では、医療従事者は音声および/または映像コメントをデータストリームに含めて、患者安全視覚化プロセッサ内で表示されるエレメントに関して伝達し協力することができる。患者安全視覚化プロセッサは、自動視覚ナビゲーション内のこれらのエレメントのうちすべての、または特定されたサブセット(たとえば、「I医師Xからのコメントを含める」)を含めるように命令することができる、あるいは医療従事者が必要に応じて呼び出すことができるように単にそれらの存在を示すことを命令することができる。
【0127】
一実施形態では、患者安全視覚化プロセッサは、患者安全性画像データベースまたは患者安全視覚化プロセッサへのアクセス(たとえば、eメールへの添付または映像使用可能電話からのアクセス)ができない医療従事者と自動視覚ナビゲーションセッションを共有できるように、自動視覚ナビゲーションセッションを、標準的映像機器、ストリーミング技術、または標準的メディアプレーヤを用いて見ることのできる非双方向的映像フォーマットで「記録」することができる。
【0128】
図4は、プロセッサ304の一実施形態内の時系列マトリックスのUML静止図である。図示される実施形態では、プロセッサ304内の最も基本的な時間関係エレメントはポイント412である。ポイント412は、時間内の特定の事例での信号値である。ポイントは期間を有していないが、時間で位置確認できる(インタフェース時間位置確認406)。ポイントは、時系列404の1タイプであるポイントストリーム410内の順序コレクションに統合することができる。ポイントストリーム410は信号と称されることが多い。ポイントストリーム410は、数値と非数値の二つのモード408を有する。数値ストリームは、たとえば整数、浮動小数点、2倍精度、小数、正の整数であるポイント値を含む。非数値ポイントストリームモードは、たとえばブール、ドメイン、およびフリーフォームストリングであるポイント値を含む。ポイントストリーム410は連続的であっても非連続的であってもよい。連続ポイントストリームは単独のサンプルレートを有し、そこに含まれるポイントは時間的に等間隔で離れている。非連続ポイントストリームは、ストリーム内のポイント間に任意の距離を有し、ストリーム内の各ポイントと共に時間を含むことができる。ポイントストリーム410あるタイプの時系列404を表し、発生ストリーム414は別のタイプの時系列を表す。発生418は、時間内での発生を表すオブジェクトである。発生418(
図5に示される)は、たとえば事象、関係バイナリ、画像、反復発生またはパターン発生であってもよい。発生は時間で位置確認できるが(インタフェース時間位置確認406を実行する)、時間をまたがるため、開始時間と終了時間を有する(時間範囲420インタフェースで実行する)。発生418は、発生ストリーム414と呼ばれる時間順に並ぶストリームに統合することができる。発生ストリームは常に発生が存在する範囲において全ポイントを「真」の値、発生が存在しない範囲において全ポ
イントを「偽」の値とするポイントを作成することによってブールポイントストリーム410に変換することができる。
【0129】
柔軟な時系列404を有することは、時系列オブジェクト化マトリックスの構成をサポートする。たとえば、モニタリング機器からの未処理信号は数値ポイントストリーム410内に含める一方、画像などの複雑なマイクロドメインは発生ストリーム414に記憶することができる。これらのストリームのいずれも時系列404として同様に処理することができる。時系列マトリックス400は、供給および導出された時系列404の単なる統合体である。ストリーム内の全エレメントが時間で位置確認できるという事実から、時間関係を特定し、発生418の範囲に統合することを可能にする並行度が得られる。
【0130】
各時系列404は単独のタイプ(時系列タイプ402)を有する。信号の場合、これは信号タイプ(たとえば、オキシメトリ、EKG)として定義することができる。マトリックス400は同じタイプの時系列を多数備えることができる。発生ストリームの場合、時系列タイプは定義に関連付けられる発生定義(たとえば、オキシメトリ低下事象、麻酔誘導不安定の画像)によって定義される。時系列は、時系列セグメント416と呼ばれるサブスパンに分割することができる。時系列404自体と関連する全時系列セグメント416とはいずれも時間範囲420である(たとえば、開始時間と終了時間を有する)。
【0131】
図5は、一実施形態により、マトリックス構成プロセスから結果として生じ得る発生のモデルを示すUML静止図である。時系列マトリックス400が、時系列404−ポイントストリーム410および発生ストリーム414の2タイプから構成されることを
図4から想起されたい。
図5は、これらの二つのうちの後者−発生448の基本エレメントに焦点を当てる。
図4の発生418と
図5の発生448は同じクラスの二つのビューであることに注目されたい。発生クラス448は抽象クラスである(すなわち、そこから他のクラスが導き出され、事例生成されたときにサブクラス化しなければならない概念クラスのことである)。発生448オブジェクトは時間内の発生を表す。
図5は、プロセッサ304がマトリックス生成プロセス中に特定および作成することのできる発生448のいくつかのサブクラスを示す。これらのサブクラスのうち最も単純なのが事象474である。事象474は単独のポイントストリーム内の発生であり、事象474は指向性事象480、閾値違反484、状態一致事象482、および状態遷移事象478の4タイプにサブクラス化される。指向性事象480は、ポイントストリーム408内の特定された単極パターンを表す。閾値違反484は、関連ポイントストリーム内の規定、算出、または導出された限界の違反の存在を表し、状態一致事象482は、ポイントストリーム内の値がセット内の少なくとも一つのエレメントに合致した、あるいはセット定義機構によって定義されるドメインに属した時間を表す。状態遷移事象478は、セット定義機構によって定義される値またはドメインのいずれかに一致することによって、第1のセットに一致するポイントと、第2のセットに一致するその後のポイントで定義されるようにある状態から別の状態への変化を表す。もしくは、状態遷移事象478は、状態フロー図または状態機械定義、および遷移の開始状態と終了状態を規定することによって定義することができる。
【0132】
プロセッサ304は、隔離事象を関係バイナリと無関係に特定される事象、すなわち、いかなる関係バイナリにも属さない事象として定義する。実施形態の一例では、ある事象範囲を単独の定義内で定義することができる。範囲ベースの定義により、ユーザは事象定義内の一つのパラメータを除くすべてを定義することができる。その最後のパラメータの場合、ユーザは単独の値または表現ではなく、最終パラメータが属する1セットの値範囲を定義することができる。提供される範囲毎に、事象のタイプが規定される。このように、1セットの関連事象を定義することができる。
【0133】
プロセッサ304は、事象オブジェクトの特定、作成、および改良の多段的手法を採用
する。最初の基準セットは、単独のポイントストリーム内の特定の開始時間および終了時間を有する事象候補として確定される、時系列セグメントの時間位置を確定するために使用される。この時系列セグメントが確定されると、それはマイクロドメインとなり、そこでさらなる特性およびエレメントを導き出すことができる。たとえば、データの単極傾向に固有の数値時系列に基づき確定された事象(たとえば、指向性事象480)内で、プロセッサ304は傾向のより小さな変化を探すことによってその傾向をさらに改良する。プロセッサ304は、傾向変曲点486内の変更ポイントを呼び出す。変曲点が判定されると、事象は事象セグメント488と呼ばれるさらに小さなセグメントに分割される。一実施形態では、変曲点486は以下の三つの方法で得られる。
1.候補事象内の各ポイントで、先行ダイポールと後続ダイポール間の勾配差が測定される。この差の絶対値が特定閾値を満たす場合、調査されるポイントは変曲点486として指定される。
2.候補事象を通過しながら、プロセッサ304は最初の勾配を候補事象内の第1のダイポールの勾配として確定する。次に、プロセッサ304は、候補事象内の漸増するダイポール(第1の、第2の、第3の、など)を用いて一連の評価事象セグメントを作成する。これらの評価セグメント毎に、勾配が算出される。最初の勾配と評価セグメント勾配間の差の絶対値が特定閾値を満たす場合、プロセッサ304は、変曲点が評価セグメント内で発生したと判定する。次に、評価セグメントが各ポイントで(第2のポイントで開始)調査されて、ポイント前のセグメントの勾配とポイント後のセグメントの勾配との差の絶対値を算出する。この差が変曲点486の存在を確定するために使用される閾値の50%を超える場合、調査されているポイントは変曲点486として判定され、候補事象の開始からこのポイントまでのセグメントが作成される。この変曲点が確定されると、ポイント後の第1のダイポールが評価対象の最初の勾配となり、候補事象の終了に至るまでプロセスが再開される。変曲点が発見された場合、最後のセグメントは事象セグメントとして追加される。
3.最後に、各ダイポールの勾配は時系列に配置することができ、調査される時系列は状態遷移事象478を探す。状態遷移が発生する各ポイントは変曲点として確定され、介入するダイポールは事象セグメントとして統合される。たとえば、オキシメトリ内で、研究者は二つの勾配範囲−緩慢な低下と急速な低下を確定することができる。プロセッサ304は、先行ダイポールおよび後続ダイポールが二つの異なる範囲に属するポイントを探しながらダイポールストリームを進む。これが生じると、プロセッサ304はそのポイントを変曲点として指定し(「緩慢な低下から急速な低下」への変化として指定される)、作成される事象セグメントは「緩慢な低下」および「急速な低下」と特徴付けられる。
【0134】
事象内のサブオブジェクト(たとえば、変曲点と事象セグメントの作成は、幅広いエレメントを提供し、それに対して事象の定義を改良することができる。たとえば、研究者は、「緩慢な低下」セグメントとその後に続く「急速な低下」セグメントとを含まなければならない事象タイプ476を作成するように決定することができる。研究者は、最後の事象から候補事象の「緩慢な低下」部分を除去する、あるいは候補事象を二つの別々の事象に分割するように選択することができる。もしくは、研究者は、(たとえば、容認または拒否のために使用される)基準の一部としてこれらのエレメントおよびその特性を使用するように決定しないかもしれないが、それらを使用して事象を特徴付ける(たとえば、上述の属性を割り当てる)ことができる。
【0135】
各事象474に関して、作成されたマイクロドメインのタイプを特定する事象タイプ476がある。事象タイプは、事象を特定、構成、および対象化するために使用される定義と関連付けられる。たとえば、研究者は、オキシメトリポイントストリーム内の陽性指向性事象480を定義する事象タイプ476としてオキシメトリ上昇事象を作成することができる。(
図8Aに示される)事象の定義は、プロセッサ304がオキシメトリ上昇事象を検索、構成、および対象化するために使用するパラメータを提供する。事象タイプ47
6は、その後でその他のより複雑な発生(たとえば、画像)と関連付けることのできる特定パターンを規定する方法を研究者に提供する。このように、事象タイプ476は、特定パターンへの参照を単純化する抽象化を提供する。タイプという用語はこのように、特定定義への参照としてUML図全体で使用される。したがって、タイプはパターン(またはその他のオブジェクト)の事例とパターン(またはその他のオブジェクト)の定義との間のリンクを提供する。
【0136】
発生448の別のサブクラスは、本実施形態では、関係バイナリ化462である。関係バイナリ化は二つのサブクラス:発生バイナリ466と事象バイナリ468に分かれる。関係バイナリ化は
図6により完全に示されている。バイナリタイプ464は、独自に関連付けられるバイナリ定義(
図8Bを参照)で定義される際に見られる特定のバイナリパターンを表す。発生448の別のサブクラスは、本実施形態では、画像452である。画像452は、一つまたはそれ以上の発生448の集合を表す。画像タイプ454は、独自に関連付けられる画像定義(
図8Cを参照)で定義される際に見られる特定の発生パターンを表す。
【0137】
マトリックス構成中、プロセッサ304はデフォルトで、反復オブジェクトを統合し解析する。プロセッサ304は発生の特定後、関連するストリーム内の近似するその他の発生に関してオブジェクトストリームを検討する。デフォルトで、プロセッサ304は反復発生432(たとえば、同じ発生モード(たとえば、関係バイナリ)と発生タイプ(たとえば、酸素揺動)の発生)を探す。各発生タイプ定義は、最小再発数ならびに再発閾値時間帯を規定し、それによりプロセッサ304は、同一タイプの発生を反復発生オブジェクトに統合するか否かを判定することができる。一実施形態では、再発閾値は統合プロセスの状態に応じて、固定時間帯または一連の時間帯のいずれかとして規定することができる。たとえば、定義は、最初の再発閾値(第1の発生と第2の発生との間で許容される最大時間帯)と後続の再発閾値(任意のその後の二つの発生間で許容される最大時間帯)とを含むことができる。一実施形態では、この閾値は関数であってもよい(たとえば、時間が、既に統合されている発生の数によって段階的に増加させられる)。
【0138】
プロセッサ304が反復発生432を特定し、このオブジェクト内に発生を統合すれば、プロセッサ304は統合されている特定タイプの発生の特性すべてに対してポイントストリーム442を作成し、それは特性チャネル442と呼ばれる。
図27は、反復発生432内の特性チャネル442の役割を示す図である。たとえば、プロセッサ304が酸素低下事象である特定の発生1280を検索しているときを考えてみよう。プロセッサ304が9個の低下事象を反復発生1284に統合した場合、特性チャネル1286(
図5の442)は統合内の低下事象の勾配で作成される。
図27では、発生1280に添付された円(1281、1282、および1283)は発生の特性を表す。この場合、特性チャネル1286(
図5の442)は10ポイント(Az〜Izで示される)を有し、各ポイントは反復発生1284(
図5の432
図5)内の一つの低下事象の規模を表す。別の例では、酸素揺動の最下点が特性チャネル442を構成する。
【0139】
これらの特性チャネル442は反復発生432に添付されて、反復発生432のオブジェクトを通じてアクセスされることができる。さらに、これらの特性チャネルは時系列オブジェクト化プロセッサ、関係バイナリ化プロセッサ、および画像化プロセッサを通じて解析され、特性チャネル内および特性チャネル間の発生、および/または特性チャネル内の発生とシステム内のその他のポイントストリームまたは発生ストリームとの間の発生を作成することができる。たとえば、
図27では、特性チャネル1286のポイント(低下事象の反復発生1284内の低下事象の規模を表す(「Z」1283として指定される特性))は特性チャネルに統合されると、勾配を有するダイポールを作成する。このポイントストリーム内で、我々は、これらのポイントが単方向セグメントに分割され得るのが分
かる。第1のセグメント(Az、Bz、Cz)は、反復発生1284内の低下事象の規模が増加傾向にあることを示す正の勾配を有する。これらの三つのポイントは、発生Q1296として示される事象に統合することができる。この発生は、この発生チャネルの事象定義に係る(添付の円L、M、およびNとして示される)を有する。第2のセグメント(Cz、Dz)は事象(たとえば期間のため)事象として対象化されない。第3のセグメント(Dz、Ez、Fz)は基準を満たし、発生R1298として示される第2の事象を形成する。第4のセグメント(Fz、Gz)は事象基準を満たさない。第5のセグメント(Gz、Hz、Iz)は基準を満たし、発生S1300として示される第3の事象を形成する。反復発生1284の特性チャネル1286のコンテキストで特定されるこれらの事象は自己の権利で発生であるため、発生チャネル1288に統合される。さらに、図示される例では、反復する発生は反復発生に統合することができる。よって、発生Q、R、およびS(1296、1298、および1300)は反復発生に統合することができ、事象の特性は発生チャネル1291に統合可能な事象(ポイントQM、RM、SMから構成される事象K1302)を発見するために解析することのできる特性チャネル1290を形成することができる。すなわち、プロセスは反復して適用することができる。
【0140】
反復発生432の一つのタイプが循環している。循環は、動揺事象で構成される関係バイナリ化462の反復発生4332があり、その後で事象がシステムを正常に戻す特定のタイプの反復発生である。特定方向に移動する特性を有する反復発生432は傾向再発と呼ばれる。傾向再発は特定のタイプの反復発生432である。反復発生432は、二つ以上の特性において傾向を有していてもよい。反復発生内の発生間の関係は追加特性を供給し、追加特性はポイントストリームに配置され解析される。たとえば、発生間の時間が追跡される。一例として、反復発生432に統合される9個の低下事象を考えてみよう。この場合、8ポイントの特性チャネル442が、統合体内の発生間の時間帯で作成される。
【0141】
プロセッサ304は、反復発生毎に定義を作成しないかもしれない。定義は発生タイプ定義内で供給される最小再発数および再発閾値から構成することができる。プロセッサ304により反復発生定義を作成して、追加基準を特定プロセスに追加する、および/または算出特性および/または属性を反復発生432に追加することができる。こうして具体的な定義が作成される場合、研究者は、ユーザ−が定義した定義がデフォルト定義に置き換えられるか、あるいはデフォルト定義に加えて特定されるべきかを指示しなければならない。このように、研究者は、単独の発生タイプ444(たとえば、酸素低下事象)に関して任意数の特定タイプの反復発生432を特定することができる。
【0142】
研究者は、いかなる発生タイプ444の反復も抑制して、プロセッサ304に特定された発生タイプ444に対する反復発生432を無視させるように選択することもできる。反復発生432はそれ自体発生であるため、反復される場合がある。再発反復発生(それ自体は単に反復発生432の反復発生432である)は、中に含まれる反復発生432の特性に関する特性チャネルを作成する。たとえば、反復発生中の発生の数は特性チャネル442に統合される。反復発生432と同様、再発反復発生は定義を必要としないが、研究者は、追加基準を追加する、および/または算出特性および/または属性を規定するために定義を提供することができる。反復発生432および再発反復発生は、画像452のエレメントであってもよい。具体的には、プロセッサ304は、逸脱画像と呼ばれる特定タイプの画像を認識する。逸脱画像では、反復発生432は、確定された周期的現象からの逸脱を表す特定の画像または画像セットによって追従される。麻酔誘導換気不安定はこのような逸脱画像の一つである。この場合、酸素脱飽和事象の生理学的反応が、収束酸素揺動バイナリの反復発生432を引き起こした。この反復発生432が麻酔治療事象によって追従される場合、酸素揺動分岐バイナリプロセッサ304は麻酔誘導換気不安定の逸脱画像を特定する。一実施形態では、逸脱画像は、逸脱のポイント−反復発生が終了した時間を含む追加の基本特性を含む。
【0143】
反復発生432は画像452を含む発生タイプに対して特定されるため、発生の多くの反復パターンがこの機構で対処することができる。たとえば、AおよびBが画像である場合、パターンABABABが、ABとして定義される画像の反復発生として特定することができる。単純な反復よりも複雑であるパターンは、パターン発生446でプロセッサ304で対処される。パターン発生446は、その他の発生の観点でパターンを定義する。研究者はまず、パターン内で少なくとも1回使用される発生タイプのセットを定義し、各々を簡略記号で定義する。たとえば、研究者は三つの画像を選択し、それらに簡略記号A、B、およびCを割り当てることができる。簡略記号は、発生タイプへの参照として使用される発生の英数字表示である。発生タイプのセットが選択され、簡略記号が割り当てられれば、研究者は括弧記号で分割される簡略記号を使用してパターンを定義することができる。たとえば、研究者は、[A][B][A][C][A][B][A]としてパターンを定義することができる。一実施形態では、パターン発生446は1セットのパターンを有することができ、そのうちの任意のパターンが、一致すれば、パターン発生を作成させ、パターン発生446が反復発生432のサブクラスとして定義されるため、反復発生432が特性チャネル442を有するのと同じように特性チャネル442を有する。しかし、パターン発生446のメンバーはタイプが異なるため、特性チャネルはパターン発生内でマッチする特性に関してのみ作成される。たとえば、上記の例(パターン[A][B][A][C][A][B][A])では、A、B、およびCに存在する特性について7ポイントを含む特性チャネル442となる。AおよびBのみに存在する特性については、6ポイントを有する特性チャネルとなり、パターン発生446は発生自体であるため、プロセッサ304は上述したように反復パターン発生を自動的に特定する。
【0144】
プロセッサ304が発生448(または候補発生)を特定すると、発生内の全エレメントの統合体がマイクロドメインとなる。マイクロドメイン内の関係、特性、およびエレメントは、発生の特定のコンテキスト内に存在するために意味を有する。プロセッサ304は、この事実を活用し、研究者が特性の新たな意味と、特定の発生タイプ444のマイクロドメイン内のエレメント間の関係とを反映する特性を規定することのできる機構を提供する。発生448が特定されると、発生はプロセッサ304が特定し、算出し、および/または割り当てる1セットの特性456または値を有する。基本特性468、算出特性470、および属性472の3タイプの特性456がある。基本特性468は、発生モードと関連ポイントストリームまたは発生ストリームの性質とに応じてプロセッサ304によって定義される。たとえば、すべての発生は、たとえば、開始時間、終了時間、および期間の基本特性を有する。別の例として、数値ポイントストリーム上の事象474であるすべての発生はたとえば、規模と勾配を有する。別の例として、反復発生432はたとえば、メンバー数と平均分離期間とを有する。
【0145】
算出特性470および属性472は、表現ベースの定義を有する特性456である。プロセッサ304はこの機構を利用して、プロセッサ304−特定の発生オブジェクトおよびエレメント(一例として、変曲点486)を改善する。研究者は、これらの特性を定義して、発生定義とともにこれらの定義を記憶させることができる(
図7Aを参照)。これらの表現の結果は発生448に添付され、マトリックス内で利用可能である。
【0146】
図6は、具体的には解析から生じる関係バイナリをモデル化するプロセッサ304のクラスのサブセットのUML静止図であり、一実施形態によると、関係バイナリ500の三つのサブクラス;収束バイナリ506、分岐バイナリ508、および空バイナリ504がある(しかし、その他の関係バイナリを設けることもできる)。これらの三つのサブクラスは、異なるバイナリ定義を有する三つの異なるタイプのバイナリではなく、単独のバイナリ定義から作成されたバイナリが取り得る三つの形式(バイナリモード)を表す。
【0147】
要約すると、三つのモードは以下のように説明される。
1.収束バイナリ−アルファおよびベータ発生が予測通りに特定されたモード
2.分岐バイナリ−アルファ発生が特定されたがベータエレメントが予測されたように発見されなかったモード
3.空バイナリ−アルファ発生が特定されたが、ベータエレメントが規定された時系列(または時系列セット)が欠落している、破損している、あるいはそれ以外の形で利用不能であるモード。
【0148】
三つのモードについて以下より詳細に説明する。収束バイナリ506は、プロセッサ304が、アルファ発生に対して予測される関係を有するとして定義されたベータ発生を特定した関係バイナリを表す。収束バイナリ506は、予測される状態として規定された状態に応じて、ベータとして真発生512または欠落発生514のいずれかを有することができる。真発生512が関係バイナリ定義(
図8Bを参照)で指定された場合、関連する収束バイナリ506はベータとして真発生512を有することができる。欠落発生514が指定された場合、関連する収束バイナリ506はベータとして欠落発生514を有することができる。したがって、クラス構造はゼロまたは一つの発生512とゼロまたは一つの欠落発生514を可能にする。目下企図される実施形態では、収束バイナリ506は二つのベータ発生(欠落または真)を含むことはできない。
【0149】
分岐バイナリ508は、バイナリ定義で記載されるような予測される関係と矛盾する関係で特定された一対の発生を表す。したがって、分岐バイナリ508は、予測される状態として指定された状態に応じてベータとして真発生512または欠落発生514のいずれかを有することができる。真発生512がバイナリ定義で指定された場合、関連する分岐バイナリ508はベータとして欠落発生514を有することができる。欠落発生514が指定された場合、対応する分岐バイナリ508はベータとして真発生512を有することができる。したがって、クラス構造はゼロまたは一つの発生512とゼロまたは一つの欠落発生514を可能にする。一実施形態によると、分岐バイナリ508は二つのベータ発生を含むことはできない。
【0150】
空バイナリ504は、アルファ発生が特定されたが、予測されるベータ事象を導き出すデータストリームがプロセッサ304に利用可能でない状態の存在を表す。欠落発生514は、バイナリ定義において予測されると記載される発生を検索したマトリックス内の領域を表す1セットの時系列セグメント518に関連付けられる。空発生が付属されたはずの少なくとも一つの時系列またはその時系列の関連セクションが利用不能である、あるいは破損しているため、空発生510は時系列セグメント518に関連付けられない。プロセッサ304は新たな時系列として空バイナリ504を収束バイナリ506または分岐バイナリ508に変換する、あるいは時系列セグメントが利用可能になり、解析が実行される。発生512は、第1の関係バイナリ500のベータ発生と第2の関係バイナリ500のアルファ発生であってもよい。
【0151】
一実施形態では、発生ストリームは分岐バイナリストリームおよび収束バイナリストリームとして記憶される。もしくは、あるいは組み合わせて、上記すべてのストリーム、特定のストリームの一部、または分岐の重大度(たとえば)に関してフィルタリングされたストリーム群が、周期的ビューイングのために統合され表現される。たとえば、発生する画像の分岐バイナリの時間関係が容易に認識され、具体的に示される。
【0152】
この構造をより明確にするため、一実施形態に係る解析を構成する際の、プロセッサ304の一実施形態の一例における動作順序を説明することが有効であろう。
1.プロセッサ304は、依存性が利用可能であると示された関係バイナリを選択し、次に、
2.関係バイナリ定義と関連付けられた時系列が、特定された発生512と候補アルファ発生(指定されたバイナリ定義で定義される)を一致させるように反復される。単独の発生512は任意数のアルファ発生定義と一致することができ、各々のアルファ発生定義が候補アルファ発生とみなされる。
a.各候補アルファ発生に関して、特定された検索領域が予測されるベータ発生に関して調査される。
i.予測されるベータ発生が利用不能である、あるいは破損している時系列のいずれか
1.空バイナリ504が(関連する空発生510と共に)作成される。
b.予測されるベータが位置確認され、特定された状態が得られる場合、
i.収束発生506が作成される。
c.予測されるベータが位置確認されず、特定された状態が得られない場合、
i.分岐バイナリ508が作成される。
【0153】
オブジェクトバイナリを含むアルファ事象とベータ事象との間の実際の関係は、必ずしも因果関係によって定義されず(確実に既知でなくてもよい)、発生の時間、空間、および/または周波数関係などのパターン関係によって、あるいは単に関係対の事前の指定によって定義される。たとえば、所与の関係バイナリを含むアルファ発生とベータ発生間の実際の関係は、たとえば因果関係、モニタリングをしなかったことから生じる二つの結果、同じ生理学的現象を測定する二つのモニタリング技術間の関係、予測される代償反応、または病理学的反応とすることができる。全体的な関連がバイナリ内で捕捉されると、バイナリ内の発生間の関係が調査されて、関係がより高位の関係(因果関係や代償反応など)の判定要件を満たすかどうかが判定される。
図6の焦点は関係バイナリ500であるが、画像502の構造も示される。プロセッサ304は、動的バイナリ500を統合することによって画像を作成する。
【0154】
具体的には、画像の検索は、発生バイナリの連続的検索に還元することができる。画像は、1セットの発生と画像内の発生の関係とによって定義される。シーケンス化と非シーケンス化の2セットの発生が定義される。シーケンス化発生は、画像内の少なくとも一つのその他の発生との時間関係で定義される。非シーケンス化発生は、画像全体の範囲に対する時間関係でのみ定義される(定義の完全な説明については
図8Cを参照)。
【0155】
画像の検索プロセスは、構成するすべての発生タイプが既に構成のために処理されており、結果として生じる発生ストリームがマトリックス内に配置されていることを確保することから始まる。このポイントで、検索領域全体(単独の患者滞在、たとえば)が、領域内の構成発生の数を回収するために検討される。所要の発生がターゲット領域内でゼロ回の場合、特定の画像タイプの検索を放棄することができる(別の実施形態では、プロセッサ304は、調査または解析用の「ニアミス」画像を記憶するようにできるだけ多くの画像を構成し続ける)。次に、最初に、シーケンス化セットの発生が処理される。シーケンス化発生は、画像内の少なくとも一つのその他の発生タイプに対して特定された時間関係を有するため、容易に動的バイナリ500に統合することができる。たとえば、三つの発生タイプがA、B、およびCとして指定され、AはBに先行するとして定義され、BはC
に先行するとして定義される場合、プロセッサ304はこの三つの発生タイプのセットを検索対象の二つの動的バイナリに統合する。第1の動的バイナリは、Aをアルファ発生として、Bを予測されるベータ発生として選択することによって作成される。この動的バイナリはターゲット領域内で検索され、結果として生じる動的発生ストリームはマトリックス内に再生される。[A→B]動的バイナリが処理されると、アルファとして動的[A→B]バイナリを、ベータとしてC発生タイプを有するバイナリとして第2の動的バイナリを作成することができる([[A→B]→C]と記載)。(たとえば、作成されたマイクロドメイン内の特定の関連特性とは対照的に)構成要素のシーケンス化発生間で時間関係のみが規定される場合、バイナリの動的統合の順序はシーケンスにしたがう必要がない。
すなわち、プロセッサ304はパフォーマンスまたはその他の理由により、最初にBとCを統合し[B→C]、次にAを統合する[A→[B→C]]ように選択することができる。バイナリ発生の検索プロセスは単独の発生の検索(時間関係のみが規定される)と等価であるため、結果は同じである。このように、任意数のシーケンス化発生タイプを処理してターゲット時間領域内の存在を発見することができる。
【0156】
非シーケンス化発生タイプは、非構造化の性質のために幾分異なって検索される。まず、第1の特定された非シーケンス化発生タイプすべての発生数がセットにされ、ターゲット領域内の数として最小から最大までソートされる。一実施形態の一例では、プロセッサ304は最小数の発生から開始して、パフォーマンスを最大化するため次第に大きな数の発生へと進む非シーケンス化セットの内の各発生タイプの場合、動的バイナリは、まずシーケンス化発生タイプのすべてを統合することによって作成される、結果として生じる発生(上記の例では[A→[B→C]]、次にその他の非シーケンス化発生タイプすべてで作成される。上記の例を続けると、二つの非シーケンス化発生タイプが特定されたDおよびEである場合、以下の動的バイナリのセット[D→[A→[B→C]]]、[D→E]および[E→[A→[B→C]]])、[E→D]が作成され処理される。場合によっては、逆動的バイナリ([D→E]と[E→D]の両方)は必要ではない。
【0157】
画像は、特定の発生が、その画像の残りと近接して発見されてはならないように規定することもできる。この場合、プロセッサ304は、作成された動的バイナリ内の非存在確認関係を利用する。動的バイナリの複数の発生が画像識別プロセス中に発見されると、プロセッサ304は、いずれの発生を画像に含めるかを選択する(一実施形態では、選定された構成発生が調査または解析のために記憶される)。その選択は、画像内の時間関係を最小化するように研究者の仕様によって指示されてもよいし、画像434の全体範囲を最大化するように指示されてもよい。依存性は因数であってもよい。たとえば、より近接した発生が選択されて画像完成に必要な動的バイナリを無効にする場合、プロセッサ304は、さほど近接していないが、別の発生が維持されるように選択することができる。この決定は、マイクロドメインの性質と、その生理学的力に対する関係とに応じて研究者によって行うことができる。
【0158】
動的バイナリタイプから作成される発生ストリームは、ターゲット画像が発見される場合にマトリックス内に維持される。ターゲット画像が発見されない場合、プロセッサ304は、所与の画像マイクロドメインのコンテキスト内でのみ関連するため動的バイナリ発生ストリームを除去するように構成することができ、作成される動的バイナリがすべて必須の時間関係に一致する発生を生成する場合に、画像識別が完了する。これが行われると、構成発生はマイクロドメインに統合されて、画像の範囲を確定する。このポイントで、さらなる構成段階が進んで、特性、関係、およびサブエレメントを生成し、範囲を改良し、最終的には画像を視覚化して真の画像か、あるいは除外対象候補であるかを判定することができる。
【0159】
図7Aは、発生を特定、構成、および対象化するためにプロセッサ304によって使用される発生定義セット530をモデル化する、プロセッサ304内のクラスのサブセットを示すUML静止図である。発生定義セット530は発生定義544の統合体である。一例示的実施形態では、プロセッサ304は発生定義セットを1セットの未処理ポイントストリームに適用してオブジェクト化時系列マトリックスを作成する。発生定義544は、マトリックス内の発生を特定し、構成し、および対象化するために使用されるメタデータである。作成されると、発生は発生タイプ542を通じて、発生を作成した特定の発生定義にリンクされる。あらゆる発生定義は、サブエレメント:特性定義540、類義語538、対象化ルール546、および依存性548、の四つのサブエレメントの統合体を備える。特性定義540は、マイクロドメイン範囲が確定されると、マイクロドメインの性質
を改良し、定量化し、強調し、さらに表現する機能を提供する。特性には基本特性、算出特性、および属性(
図5に示される)の三つのタイプがある。基本特性はプロセッサ304によって定義され、発生定義セット内に明瞭な定義を有していても有していなくてもよい。算出特性および属性は、特定の発生タイプと関連付けられる発生定義セット内に定義を有する。
【0160】
一実施形態では、研究者は発生タイプ間の継承関係を特定することができる。この機構では、親の発生タイプに関連付けられる特性のすべてが子のタイプで定義される。このように、「Is−A」関係を確立することができる。算出特性定義は、名称と式で定義される特性定義540のタイプである。式は、任意数のその他の特性456(基本特性、算出特性、または属性)への参照を含むことができる。この仕組みは、単に発生定義544のコンテキスト内で特定の基本特性の名称を変更するために使用することができる。たとえば、酸素揺動バイナリと呼ばれるバイナリタイプが低下事象(アルファ)および上昇事象(ベータ)として定義される場合、酸素揺動バイナリは、「=アルファ規模/ベータ規模」として定義される規模率と呼ばれる算出特性を含むことができる。プロセッサ304は、有効性に関して提示された式を確認する。算出特性は式内で1セットの関数にアクセスする。利用可能な関数はたとえば、数学的関数(絶対値や平方根など)、集合関数(平均、計数、和など)および関係変換関数(相関関数、時間帯関数など)を含む。
【0161】
一実施形態では、クロスチャネル式を支援するため、プロセッサ304はこれらの式に含めることのできる関数および値を提供する。相対関数は、ターゲットエレメントに対する率を導き出す機能を提供する。さらに、プロセッサ304により、関連する時系列の範囲に対する評価が可能になる。この値は正規化と呼ばれ、特定の関数を有する。プロセッサ304および研究者は、属性定義を使用する属性と呼ばれる追加特性を生成することができ、属性は真である状態に基づき割り当てられる特性であり、属性定義は条件式、属性名、および値式の三つの部分を有する。条件式が真であると発見される場合、値式が評価され、その結果が属性名で与えられた名称と共に特性に割り当てられる。値式は算出特性式と同じフォーマットである。条件式は算出特性式のフォーマットを使用するが少なくとも一つのブール演算子(たとえば、アルファ、規模>4)または特性も必要とする。
【0162】
別の実施形態では、算出特性と属性は埋め込まれたプログラム言語(たとえば、スクリプト言語)で定義する、あるいは割り当てることができる。一実施形態では、式を支援するため、プロセッサ304は発生定義544内の類義語538を定義する機構を提供する。エレメントと特性はいずれも類義語として定義することができる。たとえば、酸素揺動バイナリは、「=ベータ」と定義される回復と呼ばれる類義語を含むことができ、もう一つの類義語は脱飽和と呼ばれ、「=アルファ」と定義することができる。類義語は、式、状態、および検索基準内で使用される単なるシンボル的な置換である。プロセッサ304は、評価前にすべての式を前処理して類義語を置換する。たとえば、現在、規模率は「=回復規模/脱飽和規模」と定義することができる。一実施形態では、各発生は対象化の段階を経て、特定されたタイプの発生としてその真相を判定しなければならない。この対象化プロセスは、発生定義に付属する対象化ルール546を使用する。一実施形態では、以後の対象化の段階は、候補発生内の特性に適用されるルールセットを通じて達成される。別の実施形態では、候補は一連の保存および除外試験を通過する。保存および除外試験は無条件と指定することができる(たとえば、この状態が取得される場合、さらなる評価を行わずに候補を除外する)、あるいは1セットのオーバライドに統合することができる。第2のケースでは、ルールがフォーマット:「XでありYでないなら保存する」および/または「MでありNでないなら除外する」で作成される。ただし、X、Y、M、およびNは発生候補の特性に対する任意のブール式を表すことができる。
【0163】
この企図される実施形態では、プロセッサ304は発生定義544、特性定義540、
および対象化ルール548のすべての依存性548を保持する(または得ることができる)。この依存性は基本特性レベルにまで作用する。次に、プロセッサ304はこれらの依存性を前提として、特定の基本特性、算出特性および/または属性が未評価のまま残されているか、あるいは評価が遅延されているかを判定することができる。たとえば、属性が研究者によって作成されるが(直接的または間接的に)使用されない場合、プロセッサ304は属性を未評価のまま残しておく。将来のいずれかの時点で、たとえば、患者安全視覚化プロセッサによる表示中、この属性が要求されると、プロセッサ304は評価を実行する。また、依存性の管理は、プロセッサ304が実行および/または保存中に評価結果を記憶するキャッシュ戦略を可能にするが、従属する特性のいずれかが変更された場合には再評価の必要性を正確に認識することができる。さらに、発生の事例内で、依存性が十分に理解されるのみでなく、依存性内の各エレメントの値が既知である。この事実を前提として、研究者または医療従事者は発生事例を下っていき、選択された発生のメタデータとデータ依存性の両方を把握することができる。たとえば、酸素クラスタ内(たとえば、酸素揺動バイナリの反復発生として定義される)で、ケースワーカは特定された特性の値(たとえば、不安定指数)のみでなく、特性を作成した計算の構造、および最終値内に関与する特性の特定の発生および値も見ることができる。
【0164】
最後に、発生定義は1セットの順序付けされた構成フェーズ532と関連付けられる。発生定義544内のエレメントは、サブエレメントを特定し、作成し、または評価するのに適切であるときをプロセッサ304に示す特定の構成フェーズに関連付けることができる。たとえば、構成する発生タイプが構成フェーズ「範囲」で標示される場合、標示された発生タイプは発生を候補発生として確定するために必要である。それらが以後のフェーズで標示される場合、構成する発生は範囲決定後、範囲を改良するために追加され、特定の範囲で標示された発生は特定されたフェーズの実行中まで評価されない。対象化ルールは条件構成フェーズで自動的に検討される。
【0165】
発生定義544は、プロセッサ304が検索可能なパターンのタイプを表す1セットの定義クラスに下位分類される。具体的には、発生定義544は、事象定義552、関係バイナリ定義554、画像定義556、および反復発生定義536に下位分類される。反復発生定義はさらにパターン発生定義に下位分類される。関係バイナリ定義は事象バイナリ定義および発生バイナリ定義に下位分類される(詳細については
図8Bを参照)。事象定義もさらに下位分類される(
図8Aを参照)。
【0166】
図7Bは、プロセッサ304内の発生タイプ568の1モデルを示す。主要な発生タイプは、事象タイプ571、バイナリタイプ572、画像タイプ573、反復発生タイプ569、およびパターン発生タイプの五つである。マトリックス内の発生に関係する際の、タイプのより詳細な説明については
図5および
図6を参照されたい。発生定義セット内の発生定義に関連するタイプのより詳細な説明に関しては、
図7A、8A、8B、および8Cを参照されたい。
図8Aは、事象定義に関連する際の発生定義セットのサブセットを示す。一実施形態では、本明細書に記載されるクラスは、時系列オブジェクト化プロセッサによって使用されて事象ストリームを作成する事象定義セットを表す。
【0167】
事象定義584は発生定義582のサブクラスであり、各事象定義は独自の事象タイプ586と関連付けられる。事象サブクラスは、
図5と関連するテキストでより詳細に記載される。これらの事象サブクラスの各々の定義は、指向性事象定義588、閾値違反定義590、状態遷移定義592、および状態一致定義594に各々含まれ、状態遷移定義592および状態一致定義は状態セットを使用するため、パラメータ、リスト、式、または状態の別個の統合体を定義するためのその他の機構を提供する状態定義596を備え、事象は単独の時系列内で起きる発生であるため、事象定義584は単独の時系列タイプ580に関連付けられる。
【0168】
図8Bは、バイナリ定義に関係する際の発生定義セットのサブセットを示す。一実施形態では、本明細書に記載されるクラスは、収束解析を作成するため関係プロセッサによって使用されるバイナリ定義セットを表す。関係バイナリ定義612は、関係バイナリを特定するために使用されるパラメータを表す。一例示的実施形態では、関係バイナリ定義612は、バイナリタイプ614、検索定義620、アルファの定義、および予測されるベータ、の四つのキーエレメントから成る
関係バイナリには事象バイナリと発生バイナリの二つのサブクラスがある。事象バイナリ定義616は、アルファおよびベータが事象であることが必要なために事象定義622を使用し、発生バイナリはアルファおよびベータとして発生定義624を使用することができ、事象は発生のサブクラスであるため、事象と発生との間の関係バイナリは発生バイナリとなる。検索定義620は、ベータ事象または発生を検索するためにプロセッサ304に相対的な時系列セグメントを告げるパラメータ、式、およびその他の記載を含む。検索モード626は、予測、非存在確認、および再発確認を含む様々なタイプの検索を示す。検索定義620は少なくとも一つの検索モード626を有していなければならないが、組み合わせて使用されるとより多くのモードを有することができる(たとえば、非存在の再発確認)。各関係バイナリに関して、関係は、たとえば因果関係や従属などのより具体的な特定の関係タイプ610を選択する(あるいは、1セットの関係のうちの一つに一致する)ようにさらに定義することができる。関係バイナリ定義は、特定の関係タイプの表示のルールを任意で含むことができる。別の実施形態では、関係タイプの選択は属性機構を通じて実行される。
【0169】
この構造は、
図9にモデル化されるユーザインタフェースのコンテキスト内で最も適切に理解することができる。
図9は1セットの事象バイナリを示す。接続関係(たとえば、764)を有する事象の各対(たとえば、744、748)は単独の事象バイナリ定義616を表す。二つの事象間の接続線は検索モード626を表す(
図8B)。検索モードはたとえば、予測716、類似バイナリ720、非存在確認728、および再発確認732を含む。検索モード626は、候補アルファ事象が特定されるときに発生し得る検索のタイプと周波数とを判定する。たとえば、再発確認732タイプは、特定された周波数の予測発生を検索するように関係バイナリ化プロセッサに命令してインターバル毎に生成バイナリを生成するため、単独の候補アルファ発生に対して複数の関係バイナリを生成することができる。企図される実施形態では、いくつかのバイナリ検索モードは組み合わせて(たとえば、再発確認732と非存在確認728)使用することができる。
【0170】
一対の時間オフセット(たとえば、768)を含むボックスは検索定義620を表す。この定義は、ターゲットベータ時系列内でベータ発生を検索すべきアルファ発生の終了ポイントからの開始および終了時間オフセットを含む。最後に、アイコンはアルファおよびベータ事象タイプを表す。これらのタイプは、関係バイナリ化プロセッサがパターンの存在に関して特定された時系列セグメントを検索することのできるパラメータを提供する独自の定義を参照する。さらに、基準は、空間要件によってのみ対となるアルファおよびベータの候補統合体によって確定されたマイクロドメインに基づくバイナリ定義自体の中に含まれる。これらの基準は研究者によって確定され、あるいは(上述した誘導画像発見により)プロセッサ304によって自動的に決定され、候補バイナリの特性(上述の基本特性、算出特性、および属性など)すべてを利用して、規定されたバイナリタイプの真の表示としてそのバイナリを容認あるいは拒否することができる。
【0171】
図8Cは、画像定義に関係する際の発生定義セットのサブセットを示す。一実施形態では、本明細書に記載されるクラスは、画像解析を作成するために画像プロセッサによって使用される画像定義セットを表す。画像定義642はエレメント定義セットとその関係とを表し、それにより画像プロセッサはエレメントのパターンが特定された画像の基準を満
たすかどうかを判定することができる。この
図8Cの構造は、
図10のユーザインタフェースのコンテキスト内で最も適切に理解することができる。各図は単独の画像定義642を表す。エレメントの特定のシーケンスが画像を特定するのに必要とされる場合、シーケンスはコネクタおよび時間オフセット(たとえば、812、824、816、828、および820)で規定される。各アイコンは、単独の発生定義646を特定するために使用可能な発生タイプを表す。画像エレメントは、発見される特定の事例のモードを示す事例モード(644および648)を含むことができる。たとえば、発生がバイナリである場合、モードは、そのバイナリが収束、分岐または空バイナリであるかどうかを示す。
図10では、モードは発生タイプ名の最後の注記に明記される。アイコンはいかなる発生タイプ−事象タイプ、バイナリタイプ、画像タイプ、反復発生タイプ、またはパターン発生タイプも表すことができ、発生タイプが列挙され815、選択、ドラッグアンドドロップのために利用可能である。関係、バイナリエディタの場合のように、シーケンス化エレメント間の関係および/または検索モードを確定するため、関係も利用可能である833。
【0172】
図9は、一実施形態では、関係バイナリ化プロセッサによって使用されて収束解析を作成する、バイナリ定義セットの作成および修正機能を提供する収束エディタの一実施形態を示す。バイナリ定義セットは、
図8Bに示されるオブジェクト事例の視覚表示である収束モデルとして表すことができる。ユーザインタフェースは設計面764とエレメントツールボックス700とを有し、バイナリ図と呼ばれる収束モデルのサブセットのドラッグアンドドロップ作成および操作を可能とする。バイナリ図すべての統合体が単独の名称で作成されて、収束モデル全体を構成し、一実施形態では、たとえば関係データベース、XMLファイル、モデル、またはDSLアーティファクト(テキストまたは視覚化)内のバイナリ定義セットとして持続させることができる。収束モデルをバイナリ図に分解することで、モデルに複数のビューを提供できる。これらのビューは相互に排他的ではなく(すなわち、同一のバイナリ定義が複数の図で表すことができる)、したがって、様々なレベルの複雑性と参照ポイントでモデルにビューを提供する。
【0173】
図9は、収束エディタ内のエレメントと、
図8Bのエレメントとの関係とを説明する参照例を提供する。収束エレメントツールボックス700は、設計面に、ひいてはバイナリ図に追加することのできる視覚エレメントを提示する。アイコンは、追加することのできる発生タイプを表す。ツールボックス700の関係セクション768は、二つの事象を接続して関係バイナリを作成するために使用される1セットの線を提示する。選択された線は、検索モード626を判定する。検索モードは、予測716、類似バイナリ720、非存在確認728、および再発確認732を含む。ラインに付属する視覚アイコンは、そのモードをユーザに合図する。検索モード626は、候補アルファ発生が特定されたときに発生し得る検索のタイプと周波数とを判定する。たとえば、再発確認732タイプは、特定された周波数でベータ発生を検索するように関係バイナリ化プロセッサに命令して、インターバル毎にバイナリを生成するため、単独の候補アルファ発生に対して複数のバイナリを生成することができる。いくつかの検索モードを組み合わせて使用することができる(たとえば、再発確認732および非存在確認724)。
【0174】
設計面764に追加される関係は各々、関係バイナリ定義612に関して検索定義620を表す少なくとも一つの時間間隔(たとえば、768)を設けなければならない。各関係は指向性を有することができる。線はベータ事象定義622かベータ発生定義624のいずれかのベータ定義を表す矢印先端を端部に有する。矢印のない端部は、アルファ事象定義622かアルファ発生定義624のいずれかのアルファ定義を表す。
図9内では、定義されるバイナリはすべて事象バイナリである。
【0175】
接続関係を有する各対の事象は単独の事象バイナリ定義616を表す。上記の図では、以下の七つのバイナリが示される。
1.鼻吸気圧低下と酸素低下間の類似バイナリ(736、772、740)
2.酸素低下と酸素上昇間の予測バイナリ(740、773、748)
3.酸素フロア違反閾値違反と酸素上昇間の予測バイナリ(744、768、748)
4.酸素上昇と酸素低下間の予測バイナリ(748、770、740)
5.酸素上昇と鼻圧上昇間の類似バイナリ(748、774、752)
6.酸素低下と脈拍上昇間の非存在確認バイナリ(740、771、756)
7.酸素低下と脈拍低下間の非存在確認バイナリ(740、769、760)
本図は、これらの事象の各々の関係をすべて表していない。睡眠時無呼吸に焦点を当てた収束モデル全体のサブセットビューの一例である。モデル全体からは除外せずに、この図から関係とエレメントを除外することができる(すなわち、エディタは(他の図すべてを含む)モデルではなく図からエレメントを除外する「除外」と図およびモデルからエレメントを除外する「削除」とを区別している)。事象および関係全部を含む図を構成することができるが、非常に大きく、読み取れないほど複雑になる可能性が高い。
【0176】
エディタは、持続前に、またはユーザの要求に応じて有効性に関して図をチェックする。たとえば、ベータ発生のない関係は図を無効化する。無効な図は収束モデルを無効化することができる。収束モデルはバイナリ定義セットに持続させることができないと企図される。エディタにより、図の構成中に柔軟性を提供する無効状態が可能になる。さらに、ターゲットバイナリ定義セットがエディタにとって利用可能な画像定義セットと関連付けられる場合、エディタは図への変更によって関連のモデルとの矛盾を警告することができる。エディタ設定に応じて、これらの変更は許可されない、あるいは変更を画像に伝播させることができる。各図エレメントは、エレメントタイプに関連付けられる特性エディタと後述の発生特性サブシステムとを通じてより詳細に処理することができる。特性エディタは、エディタが完全なバイナリ定義セットを構成するのに十分であるように、関連の定義オブジェクトの編集可能な全特性へのアクセスを提供する。エディタはテキスト、注記、線、およびその他の視覚エレメントを図に追加して、人の可読性を高め、ユーザ間での通信を行う。これらの追加視覚エレメントはバイナリ定義セットに影響を及ぼさない。
【0177】
図10は、収束解析を作成するためバイナリ定義セットと協調して画像プロセッサによって使用される、画像定義セットの作成および集成機能を提供する画像エディタの一実施形態を示す。画像定義セットは、
図8に示されるオブジェクト事例の視覚表示である画像図として表すことができる。ユーザインタフェースは設計面832とエレメントツールボックス780とを含み、画像図と呼ばれる画像のサブセットのドラッグアンドドロップ作成および操作を可能とする。すべての画像図の統合体は単独の名称で作成されて画像モデル全体を構成し、たとえば関係データベース、XMLファイル、モデル、またはDSLアーティファクト(テキストまたは視覚化)内で画像定義セットとして持続させることができる。収束モデルの場合と同様、画像図は、様々なレベルの複雑性と参照ポイントでの視認性を提供するモデルのビューである。
【0178】
図10は、画像エディタ内のエレメントと、
図8Cのエレメントとの関係とを説明する参照例を提供する。左の図は、設計面832、ひいては画像図に追加可能な視覚エレメントを表す発生タイプ選択ボックス815である。設計面は二つのセクション−シーケンス化および非シーケンス化に分割される。一方または他方に一つのエレメントしかない場合、1セクションのみが示され(
図10のように、シーケンス化発生タイプのみが規定される)、シーケンス化セクションへとドロップされる発生タイプは時間上の関係を有するため、それらの間で関係を規定する必要がある(たとえば、824)。関係選択ボックス833は、二つの発生タイプを接続するために使用可能な1セットの線を提示する。設計面に追加される各関係には、シーケンス化事例モード644に関連付けられる検索定義642を表す時間間隔(たとえば、828)を提供しなければならない。関係は各々、シーケンスでの順位を示す指向性を有する。
【0179】
ゼロまたはそれ以上のシーケンスを示すことができるが、エレメントがシーケンス化セクションに置かれる場合、エレメントはシーケンスの一部でなければならない。非シーケンス化セクションに置かれるエレメントは関係を持つことができない。存在のみが重複する影響範囲(後述)内で規定される。画像図は、図自体がエンティティ−画像定義650−を表し、単に他のエンティティの集合ではない(たとえば、バイナリエディタの場合はバイナリ)という点でバイナリ図と異なる。エレメントの除外は、画像が特定されるときの定義を変更する。画像図に追加されるすべてのエレメントは、特定目的の「および」関係を表す(すなわち、すべてのエレメントおよびシーケンスが、特定される画像のために存在しなければならない)。一実施形態では、「または」シナリオを作成するため、複数の画像図が「または」組み合わせを表す変形で作成される。画像は任意の組み合わせと数の発生タイプを含むことができる。エディタは、持続前に、あるいはユーザの要求に応じて有効性に関して図をチェックすることができる。エディタは、図の構成中の柔軟性を提供するため無効状態を可能にする。各図エレメントは、エレメントタイプに関連付けられる特性エディタを通じてより詳細に処理することができる。特性エディタは、エディタが完全な画像定義セットを十分構成できるように、関連の定義オブジェクトの編集可能な特性すべてへのアクセスを提供する。
【0180】
発生の空間構造(時間)は好ましくは、候補画像を作成するように満たされる。候補画像が確定されると、プロセッサ304はこのオブジェクトセットをマイクロドメインとして使用して、発生特性サブシステム(後述)を使用するすべての特性を確定することができる。次いで、マイクロドメイン内で得られる特性は、画像の定義を改良する、より具体的には画像を特徴付ける、あるいは候補画像を真(すなわち対象化)画像として許容または拒否する決定に使用することができる。画像エディタは、画像の算出特性および属性(後で定義)をさらに定義するため、発生特性サブシステムに入力するのに使用することができる。エディタは、テキスト、注記、線、およびその他の視覚エレメントを図に追加して、人の可読性を高め、ユーザ間での通信を行う。これらの追加視覚エレメントは画像定義セットに影響を及ぼさない。
【0181】
図11は、以下のバイナリ定義が特定されるヘパリン治療を参照するバイナリ図の追加例を提供する。
1.ヘパリン治療850と治療範囲858までのPTT上昇間の再発確認バイナリ854。
2.ヘパリン治療850と脈拍上昇862間の非存在確認バイナリ866。
3.ヘパリン治療850と血圧低下870間の非存在確認バイナリ882。
4.ヘパリン治療850とヘモグロビン低下874間の非存在確認バイナリ886
5.ヘパリン治療850と血小板数減少878間の非存在確認バイナリ890。
6.その他の例
図12は、以下のバイナリ定義が規定されるインシュリン治療を参照するバイナリ図の追加例を提供する。
1.インシュリン治療920と治療範囲までの血糖値低下924間の予測バイナリ922。
2.インシュリン治療920と血糖値違反930間の非存在確認バイナリ926。
3.インシュリン治療920と錯乱928間の非存在確認バイナリ926。
【0182】
図13は、以下のバイナリ定義が特定される麻酔治療を参照するバイナリ図の追加例を提供する。
1.麻酔治療940と治療範囲までの疼痛スコア低下(948)間の再発確認バイナリ944
2.麻酔治療940とSPO
2循環956間の非存在確認バイナリ952。
3.麻酔治療940と血圧低下961間の非存在確認バイナリ960。
4.麻酔治療940と呼吸数低下964間の非存在確認バイナリ962。
5.麻酔治療940と錯乱967間の非存在確認バイナリ966。
【0183】
図14は、三つの非シーケンス化バイナリ(969、970、および971)が起こり得るヘパリン関連出血を特定するのに十分定義される画像エディタの追加例を示す。
図15Aは、患者の生理系および治療の画像フレーム973を示し、画像プロセッサによって生成されるような一実施形態に係る例示画像を実際に示す。図示される画像は、安定を示唆する画像から敗血症性ショックのカスケードを示唆する画像への動的進展を示す。画像ディスプレイオブジェクト化事象は、各々上昇事象または低下事象を示す上向き矢印または下向き矢印として基準を満たす。軽度な時系列変動(オブジェクト化プロセッサ事象による基準を満たすことができない、信号ノイズに典型的に検出される軽度な上昇または低下など)は、各時間線上に並列時間線に沿って白丸で表される(このような変動の視覚化は所望に応じて切り換えることができる)。検出された事象はその他の事象と組み合わされて、統合バイナリと、患者の生理系の動的状態および各画像の時間間隔中に生理系に与えられた治療の動的状態を定義する個々の事象とを含む関係パターンの画像を生成する。完成画像内では、小さな画像が統合されて、大きな不全画像(この場合、敗血症性ショック)を生成する。
【0184】
図15AはMPPCの後期の「微速度撮影」フレームであり、多くの初期のフレームを提示しているため、プロセッサ304が示唆するように敗血症性ショックの信頼度は高かった。この図は、左側に標示される各時間線974上の上向き矢印または下向き矢印で上昇事象または低下事象を示すものとして容易に理解される。時間線974は右側に指定されるカテゴリ975にグループ化される。画像の時間間隔内に検出される第1の事象は動揺事象−好中球時間線上の上向き矢印で示される好中球数976の上昇事象である。この動揺事象は関係プロセッサによって第2の動揺事象−同じく上向き矢印で示される呼吸数上昇977−と結合されて、第1の関係バイナリ化978(図では976と977を接続する矢印で結合)を生成する。(呼吸(1回換気量または換気数)を使用することができるが、呼吸振幅(1回換気量または換気振幅)も代わりに使用することができる、あるいは両者の数学的組み合わせを使用して、1回換気曲線(一例では、勾配と振幅、ピーク対ピーク下の面積、および/または最低対最低上の面積)の時系列および/または導関数を生成することができる。これらすべての時系列はリスク患者にとってのマトリックスに組み込むことができる、あるいは時系列は一つまたは二つを含むが、パターンまたは画像の検出時またはリスク因子の特定時に遡って、および見越して導関数を含むように拡張することができる。一実施形態では、呼吸時系列は鼻カニューレを使用してモニタリングされるが、別の方法では、気道または胸部に配置された音声センサを用いてモニタリングされる。各サイクル中の1回換気音の速度、1回換気音の振幅、および1回換気音の長さはどれも、1回換気振幅の表示を提供するために使用することができる。次の呼吸前に1回換気音(特に吸気)が早期に終了することは、1回換気振幅が高くないことを示唆する。1回換気音の期間と1回換気音の振幅は、単方向での鼻サーミスタ温度の期間および振幅と同様に使用することができる。画像中の後続の動揺は時間線と矢印によって指定される。周囲に円のある矢印は、特定画像の検出に応答してプロセッサ304によって自動的に命令される検査で判定された動揺を表す。一例では、初期画像は好中球数上昇、脈拍上昇、および呼吸数上昇を示すが体温は正常であるために画像の炎症部分が幾分不明瞭であった。その炎症部をより明確に定義するように、炎症媒介物質または指標の上昇事象979がプロセッサ304によって命令された。この曖昧な画像は治療を決定するのにより明確に定義する必要があるため、画像の完璧化を目指して炎症媒介物質/指標の検査がプロセッサにより自動的に命令されている。
【0185】
こうした基本的表示により、
図15の画像は自己説明的となり、
図15Aは、炎症動揺
、その後の血行動態動揺、その直後の呼吸動揺、次いで進展中のリンクされたカスケード980中の腎動揺を含む後期MPPCのクリアな画像フレーム(微速度撮影スナップショット)を表す。好中球数976の初期動揺である、最初に検出された動揺事象がカスケードの後方では完全に欠落しているため、不全プロセス後期のフレームはカスケード980開始を観察するのに十分なスケールで最適に観察されることに注意されたい。また、画像が示すように、体温時間線981に沿った事象が完全に欠落していることにも注意されたい。患者安全プロセッサがなければ、熱がなければ、熱を敗血症の初期検出の信頼できる指標として考えがちな医療従事者は容易に騙されてしまう可能性がある。しかしながら、プロセッサ304は、不完全な画像が提出されていることと、炎症媒介物質979の検査を命令することによってプロセッサ304は画像の完全化を図っていることとを認識するようにプログラムされていることに注意されたい。この検査は体温上昇の「代理画像」としての役割を果たすことによって、実際には炎症の初期コンポーネントを呈示する全体画像を確立する。
【0186】
時間線上の投与量によって指定されている抗生物質バンコマイシン982、および同様に指定されているレポフロキサシン983の二つの薬物治療が、画面上で明白である。また、生理食塩水984の形状のIV液体の上昇も示されている。画像が敗血症の高い可能性を長期間示した後になってようやく、これらの治療はすべて施されている(患者安全プロセッサによってリアルタイムで検出可能なこの遅延は、不十分で無効な治療を示唆しているが、無視されていた、あるいはその他の形で患者安全プロセッサに十分反応していなかった。プロセッサは、提供される治療の質の表示を提供するようにプログラムすることができ、遅延が特定の位置または医療従事者にリンクされるように、医療従事者または病棟を含む時間線を提供することができる)。
【0187】
進行性カスケード980の画像が示すように、画像の薬物治療コンポーネント982、983はカスケード980に沿って非常に遅く出現するために遅すぎる。カスケード980の画像の終わり近くの部分は、アニオン差985の上昇を含む非常に不吉なベータも含む。この新たな画像の追加は、敗血症性ショックの段階を強力に示唆するカスケード980の完成画像を提供する。その他の画像ビューはたとえば、時間線の特定の拡張部分、時間線部分に沿った画像(またはその他の発生)の特定の拡張部分、時間線の特定のグループ化、グループからグループへの動揺の進展の概要(この例は
図19に示される)であってもよい。
【0188】
図15Bは、画像の一部が炎症986、全身性炎症反応症候群987、推定重度敗血症988、および推定重度敗血症性ショック989のシーケンス化状態に分割されている
図15Aの画像フレームを示す。
【0189】
図15Cは、
図15Aのプロセスのリアルタイム画像化からの初期画像フレームを示す。この画像で明らかな好中球数990の上昇である第1の「スパーク」は、後から考えると、敗血症性ショックの開始の到来を告げているという事実にもかかわらず、全く不特定であり、この動画が
図15Dに示されるポイントに達するまでには完全に消えている。この好中球数上昇の重要性を判定するために、集中検査、より頻繁なCBC検査、および/またはより頻繁なバイタルサイン測定をプロセッサによって示唆または命令させて、より具体的な画像へと迅速に進展するように画像を拡張させることができる。
【0190】
図15Dは、
図15のプロセスのリアルタイム画像化による画像フレームを示す。このフレームは、初期の免疫不全992と結び付けられる、炎症、血行動態、および呼吸亢進991の画像を例証するものである。
【0191】
図15Eは、
図15Aのプロセスのリアルタイム画像化による画像フレームを示す。こ
のフレームは、免疫不全992を伴う炎症、血行動態、および呼吸亢進991の画像であるが、ここでは、呼吸ガス交換低下993および血小板数減少994を示す画像も例証するものである。
【0192】
図15Fは、代謝不全995、腎不全996、血行動態不全997、および呼吸不全998も含むように、
図15Eのフレームからの不全カスケード画像から展開した図面を例証する、
図15Aの画像フレームを示す。今日のEMRおよびモニタリングシステムでモニタリングされる多くの患者にとっては、この時点で救済が開始される。画像のこの後半フレームで輸液蘇生法999が導入されるということは、輸液が画像の進展にほとんど影響を及ぼさない可能性を意味する。
【0193】
図16は、鬱血性心不全の不全カスケードの微速度撮影画像フレームを示す。プロセッサによって検出された第1の動揺事象が、
図15Aのような炎症ではなく血行動態(脈拍数上昇事象100)であることに注目されたい。その後、次に検出される動揺事象は呼吸数上昇102であり、脈拍上昇100と結合されて第1の関係バイナリ104を生成する。ここでも、呼吸数上昇102を伴う第2の関係バイナリ108を招く換気指数オキシメトリ値低下106があることに注意されたい。呼吸数上昇102は第1の関係バイナリ104のベータ事象であり、第2の関係バイナリ108のアルファ事象である。これら二つの関係バイナリが結合されて画像110を形成し、その後に続き、発生期の鬱血性心不全カスケード112の画像の開始へと戻ることがある。フロセミド114およびメトプロロール116を含む治療は、発生期のカスケード112の画像の開始にかなり接近して開始されるが、その後の進行性カスケード118の画像発生を回避するには有効ではない。この進行性カスケード118の画像は、コンポーネントとMPPCの長との両方によって制約される。患者安全プロセッサはこの画像の検出後、たとえば自動的に要求する心臓酵素(図示せず)、および病院の安全委員会がこの状況でこの種の検査の積極性を望めばその他の試験によって、カスケード進展の基本的原因を検索することができる。カスケード118は心房細動120の進展と、その後の悪化とを含むことに注意されたい。
【0194】
図17は睡眠時無呼吸の画像フレームを示す。第1の動揺事象は、脈拍チャネル122、呼吸チャネル124、SPO
2126、および脈拍上昇運動チャネル128内での事象の反復発生を含む群で発生していることに注意されたい。これらは、3mgIVの麻酔薬投与130の開始後に発生している。その後、特別な種の反復発生である循環132を示す統合画像は、反復して第2の画像133および第3の画像134を生成する。循環134を示す第3の画像のSPO
2サイクル135の部分は、回復不全136がより重篤化している。CPAP治療137が適時に与えられ、麻酔薬は追加されない。この場合、生命を脅かす麻酔誘導持続性低換気を示す、増幅するカスケード、漸次低下する呼吸数、または低下するSPO
2の画像がないことに注意されたい。朝の報告中または教育回診などでの後の検討で、このフレームを含むMPPC全体を、進展の微妙な差異の視覚化を向上させるために高速フレーム画像に沿って移動することによって検討することができる。医師または看護士グループは下っていき、(たとえば、SPO
2反復発生シンボル137を右クリックすることによって)実際の時系列を見ることができる。治療がこの場合に適時な治療であったか否かの決定を査定することができる。一例では、セッション中の医師は、動画の初期部分で定義される画像などの画像が存在する場合、より早期の自動RT部門への通知ならびに看護士への通知を勧告するようにプロセッサ304を調節することを患者安全委員会に申し入れることができる。このように、患者安全プロセッサは治療および検査を、治療または検査のための十分な画像サポートを提供する最も初期のフレームへと左方に移動させることを目標にした、病院システムの継続的な質向上措置にとって欠かせない部分となる。この目的は、カスケードが発展する前に初期動揺源を早期に治療することに向けた継続的試み置である。一態様によると、プロセッサ304は継続的質向上プロセスに統合され、病院質向上委員会の会合、病院全体の主要ソース、ならびに集中的解析、
および質向上を中心とする変更を迅速に制度化する機構にとって欠かすことのできない構成要素である。
【0195】
図18は、敗血症性ショックの画像を模す、稀な血栓症および炎症状態である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の高信頼度を指し示す画像フレームを示す。TTPは自己抗体によるADAMTS酵素の抑制によって引き起こされる場合があるが、この疾患は、非常に一般的な薬物クロピドグレルが稀にきっかけとなることがある。TTPは薬物投与開始から2週間内に発生することが多く、検知されない場合に合併症を招く恐れがある。
【0196】
不運なことに、TTPは、血小板減少症も引き起こす非常に一般的な障害である敗血症(
図15)の全身性反応特徴の多くを共有する。敗血症は今もなお一般的な症状であるため、TTPが存在するときに敗血症と誤診される可能性は高い。さらに、ほとんどの病態生理学的不全と同様、いずれのプロセスも、全身性エリテマトーデスおよび膵臓炎などのその他の関連症状と共に単独の患者において共存する。TTPと敗血症との不全動画が類似しているという事実にもかかわらず、TTPは抗生物質治療に反応しないため、TTPでの敗血症の誤診は重大な結果を招き得る。
【0197】
TTPは、赤血球に損傷を及ぼし、広範な微小血管血栓性錯乱、腎不全、および細血管異常性貧血を誘発するフォンウィルブランド因子の多量体の堆積と関連し、細血管異常性貧血は末梢血塗末標本内で検出され得る(診断が疑わしい場合、その試験が命じられる)センチネル分裂赤血球に関連する。血小板減少症、腎不全、および血尿は、このプロセスでは敗血症の場合よりも早く出現する場合があるが、これらの早期発見は単に「画像の手がかり」にすぎなく、二つの動画を区別するものではない。手がかりに基づき一般的な状態の代わりに稀な状態と診断する決定は人間の危険な癖で落とし穴であり、患者の合併症を招く場合がある。もしくは、「一般的な状態が通常起こる」という医学生の使い古された言い習わし通りに、手がかりにかかわらず一般的な状態と診断する決定も同様に危険である。事実、このような言い習わしや単純化されすぎた思考のために患者が死ななければならないとしたら悲劇である。しかしながら、無意識のうちの気まぐれな略式判定で、計り知れないまでの複雑性の解析にしばしば取り組むことが、多くの人々の性質である。これに同じく複雑な疾患と治療とが組み合わされることが、デジタルMPPCおよび治療の生成によって提供される包括的なリアルタイムの生理学および治療が重要である最も大事な理由の一つである。
【0198】
TTPを表すMPPCはプロセッサによって生成することができ、プロセッサは、敗血症および/またはTTPの可能性、および急性血管新生などのその他の可能性の低い状態と一致する画像を示す。プロセッサは、「生死に関わる急性または亜急性血栓および炎症の促進と一致する画像」などの画像の非特定の特徴を出力し、このような画像を生成し得るプロセスの鑑別診断を提示することができる。
【0199】
また、たとえば、閾値フレームの検出後、できる限り迅速に画像を拡張し画像のギャップを埋めるために末梢血塗末標本、血液培養、尿培養、痰培養、胸部X線、ANA(抗核抗体)、膵臓酵素、腎臓堆積物、およびANCA(抗好中球細胞質抗体)研究を自動的に命令する。試験がカスケードに沿って命令される位置によって定義されるように、これらの試験を命令するコスト効率バランスを最終的に決定するのは病院の専門家である。所望により、胸部X線報告は、時系列(たとえば、ステップ関数)として出現するセクションを含むことができる。解釈(および、最後の試験、および最後に目を通すX線技師によって選択される最後の数との比較)に際して、X線技師は肺浸潤、肺水腫などの示度を入力し、プロセッサ304の最後の試験からの変化から生じ得る値1〜5を指摘することができる。このように、胸部X線およびその他の解釈された検査の研究結果は、画像化プロセスに提出され組み込まれる動的時系列のソースとなる。これは、実際のMPPCに対する
X線技師間および各種検査様式間の主観的定量化を比較することによって、自分自身、他人、またはMPPCに対する再現可能または比較可能な主観的定量化を生成していないX線技師を特定する客観的ツールも提供する。一例では、X線技師が急性重度CHFおよび急性重度肺水腫と一致するMPPCを有する患者を常に肺水腫レベル1または2と分類する場合、あるいはX線技師の定量化が常に臨床経過をたどらない、または予測しない場合、指示を出すことができる、もしくは、特定のX線技師からの入力がプロセッサ304に沿って画像をさらに定義する際に有益ではないことをプロセッサ304に認識させることができる。
【0200】
ある画像は、炎症−血行動態呼吸−亢進1116、血小板数の初期減少1104、換気オキシメトリ指数(VIO)低下144、ヘモグロビンの閾値低下1144、錯乱スコアの閾値上昇1148、および/または尿内赤血球の閾値上昇1150、および/またはクレアチニンの閾値上昇1152などを含む不全カスケード1108を定義する画像を含む。これらの画像を一緒に組み合わせると、TTPおよび/または敗血症および/またはその他のあまり一般的でないプロセスの可能性を示唆するMPPCが生成される。たとえば、患者が輸血を受けたばかりであるとすると、輸血反応の可能性を示唆するものであろう。
【0201】
プロセッサ304が画像の重大性、画像によって示唆されるような鑑別診断、および存在する不全カスケードの概略的なタイプおよび/または生理学的説明を医療従事者に示すことほど、プロセッサ304が診断を下すことは重要ではない。おそらくプロセッサ304によるこの種の画像の検出通知は、担当医への即時通知とICUへの移送を必要とする。処置を講じるのに十分な信頼度レベルでTTPを示唆する画像の存在を定義するのに十分なベータコンポーネントを定義する結果が入手不能であることから、画像は不十分なバイナリしか有していない場合、完全な画像を得ようとする部分画像の検出時に入手不能試験が命令される。
図18では、TTPの完全なMPPCの存在可能性を示唆する画像が検出されると、TTP画像を完全化しようとする分裂赤血球試験1161が開始されることに注意されたい。閾値ステップ関数の検出および/または分裂赤血球上昇が残り画像と結び付くと、TTPの存在可能性に関する警告が起動される。
図18は、プロセッサ304による血漿交換治療1162の命令に基づく処置の実行が物理的に遅すぎるため、不十分な治療を示す。この遅延は結果と同様に自動的に検出され、プロセッサは病院の質向上部門に対して変動に関する自動報告を提供するように構成することができる。
【0202】
この場合、救出の失敗は、プロセッサ304の命令にしたがう際の人的遅延により、先手を取って回避されていない。命令実行の遅延はプロセッサ304によって判定され、プロセッサ304は遅延増加時に警告を発するようにプログラムすることができる。この遅延を回避するため、プロセッサ304は、
図18に示されるような様々な進展中の画像の検出に応答した処置が講じられていない場合に別のステーションに通知するようにプログラムすることができる。これらは、所望により、たとえば病院質向上委員会または個々の医師または看護士によってプロセッサ304が時間の経過と共に向上するように決定され、医療従事者の努力を補うように調節することができる。画像が敗血症と一致し、(幾分抗生物質の適用範囲は制限されるが)医療従事者が経験的に敗血症の治療を決定したため、患者は敗血症の可能性をカバーするために早期にレポフロキサシンを投与される。しかしながら、カスケードは抗生物質治療にもかかわらず進展する。カスケードは一つの画像であり、投薬量、タイミング、および治療のタイプに対する、MPPC内でのカスケード、その成長、および特徴とタイミングの関係はMPPCの一部を成し、これらの関係は、治療が有効かどうかを判定するために自動的にリアルタイムでプロセッサによって査定される。病院安全委員会または感染疾患委員会は、培養結果を知る前に様々な範囲の画像に基づき抗生物質を提案するようにプロセッサ304をプログラムし直すか否かを判定することができる。
【0203】
図19は、
図15Aの微速度撮影MPPCから得られる場合の動揺の開始と進展を示す全体画像を示し、各グループ内の動揺は、グループ毎の単独の平滑化時系列に沿って統合指数に組み込まれる。これは、典型的な敗血症の進展であり、最初は炎症グループ160が進展に関与し、その後他のグループが各々関与していることに注意されたい。また、治療162の遅いタイミングが、より複合的な画像から得られるこの概略的ビューでは特に明らかであることにも注意されたい。
【0204】
もしくは、あるいは指数と組み合わせて、所望により、プロセッサは各グループに統合される動揺の重大度と数の表示を提供するようにプログラムすることができる。これらは、拡大または色付き矢印やその他のアイコン、および/または時間不安定性スコアなどによって示すことができる。このような多くのオプションは、ユーザが複数グループにわたるカスケード進展のシーケンスおよびパターンを視覚化する際の自らの好みを定義できるように含むことができる。
【0205】
画像プロセッサによって生成される画像を解析するために、一連の専門家およびパターン認識のシステムを適用することができる。たとえば、画像識別プロセッサである。一実施形態では、画像識別プロセッサは、ユーザがたとえばドラッグアンドドロップインタフェースを用いて検出対象画像を選択できる画像エディタと協働する。一実施形態では、ドラッグアンドドロップインタフェースがたとえば、時系列タイプを自己裁量で選択し、その後、発生が各時系列タイプに基づき順番に選択され、相対的な位置および順序の発生の範囲が選択される。本例では、画像エディタにより、選択される画像のコンポーネントの所望範囲(および画像自体の範囲)のカスタマイゼーションと、所与の画像の検出に対する画像識別プロセッサの反応が可能になる。画像エディタは、診断案、警告、さらなる検査の命令、または治療の制限または終了などの特定の出力を生成するため、発生のタイミングおよび順序の範囲を選択することができる。画像識別プロセッサは、医師が所与の画像と共に敗血症性ショックなどの診断を入力するように適応性にすることもできる。さらに、医師は、所与の画像または画像セットを画像エディタに捕捉した後、適合性画像プロセッサがより迅速に学習することができるように、敗血症性ショックの存在を示したと思われる画像内の発生について範囲を選択することができる。
【0206】
図15、16、17、18、および20は、進捗状態へと進んだ後のMPPCの2次元「微速度撮影」スナップショットビューを示す。このビューは、画像定義セットの作成および編集のための代替ユーザインタフェースも提供する。研究者は画像エディタを使用して、
図15、16、17、および18に示される例のような画像モデルを作成し処理することができる。
【0207】
一実施形態では、研究者は画像を定義するため上から下に作業する。研究者は、画像を「ペイント」したいと思う1セットのチャネルを選択することから開始する。
図20は、麻酔誘導換気不安定の画像を「ペイント」するために使用されている画像エディタを示し、チャネル(100、102、104、106、108)はソーティング、カテゴライジング、または画像エディタ内の位置の単純なドラッグアンドドロップ選択によって任意数の方法で並べることができ、チャネルは画像を拡張するために複製することができる(たとえば、100、102、104、106)ので、複数の関係を定義する複合的な定義のため重複しない形で関係を定義することができる。画像エディタは、エディタ内の縦方向位置とは関係なく、チャネル内の定義されたエレメント内またはエレメント間での関係を維持する。次に、研究者はチャネルを選択し、画像エディタは所与のチャネルへ適用する利用可能な1セットの発生を提示する。研究者はこれらのエレメントのいずれかを選択し、チャネル上におろすことができる。さらに、研究者は(たとえば、右クリックメニューエディタを用いて)チャネル内の任意のポイントで新たなエレメントを作成することがで
きる。エディタ内の位置は、選択されたおよび/または作成されたエレメント間の時間上の相対位置を表す。複数のチャネルにまたがる発生がある位置におろされた場合、画像エディタは追加される追加チャネルを決定する。対応事象の位置は、検索ウィンドウ定義の中間ポイントとして決定される。ウィンドウ全体は、対応事象、この場合、IV麻酔薬での治療事象114に対する検索ウィンドウの範囲を示す1セットの括弧部116として示される。検索ウィンドウは関係バイナリ化のベータチャネル内にのみ示され、事象自体は検索ウィンドウの中間ポイント内に示される。事象がベータ事象とアルファ事象の両方である場合、事象の周囲に表示される検索ウィンドウはベータ事象として関与しているときの事象に特定される。検索ウィンドウはエディタ内に抑制させることができる、および/または単独の事象は任意数のバイナリのベータであるかもしれないという事実により、現在選択される関係バイナリ内にのみ示すことができる。個々の事象はチャネル上におろすことができる、あるいはチャネル上に作成することができる。新たな事象タイプは画像エディタ内に定義することができる。事象は、たとえば新たな事象バイナリタイプを定義するため、ドラッグアンドドロップ選択またはアルファおよびベータクリック選択と接続することができる。
【0208】
画像エディタは画像定義セットを作成し、修正する。さらに、画像エディタは、バイナリおよび事象定義セットを作成および修正するために収束エディタと事象エディタの両方と協力して作業する。一実施形態では(
図20に示される)、画像の定義は、上部パネル118に画像エディタを示し、代替タイプの画像図を示す下部パネル120に画像定義エディタを示して分割画像ビューで達成される。これらの二つのモデルは、一方の変更が直ちに他方の変更に反映されて完全に同期化される。
【0209】
一実施形態では、研究者は1セットの時系列から不全を定義するため下から上へ作業する。研究者は、特定の状態をシミュレートするためにプロセッサによって生成される1セットの時系列、または患者内で全く同様がないことをシミュレートする1セットの時系列と共に、既知の不全と診断された患者からの実際の1セットの時系列を用いて開始することができる。この時系列セットは、(たとえば実際の時系列セットで)不変であると指定することができる、あるいは定義されているパターンのサンプルを提供するように編集することができる。研究者は時系列の一部を選択することができ、画像エディタはそれを解析して候補事象定義を提供する。もしくは、研究者はパラメータを選択して事象を定義することができ、表示される時系列は、研究者に視覚的指針を与える、時系列の上に重ねられる定義の結果を示す。研究者が事象の定義を完了すれば、画像エディタはその定義を同一チャネル内の他の定義と比較する。類似パターンが発見されると、研究者は警告を受け、新たな事象タイプを作成する、あるいは既に選択された事象タイプのうちの一つを選択することを許可される。事象が関係事象である場合、研究者はそこから関係パラメータを定義し試験することができる対応事象を選択することができる、あるいは研究者は単に関数を定義することができる(たとえば、>2×相対規模)。事象が完全に定義されたら、研究者は、その事象を画像内の別の事象に、あるいは(たとえば、欠落している、または空の事象を指摘するため)画像内の検索ウィンドウに関連付けることを選択することができる。研究者は、関係バイナリのベータとしてプロセッサ命令事象を示すことができる。次に、事象および関係バイナリの群またはその他の任意の発生を、画像を定義するために選択することができ、画像定義セット内で既に定義されている画像は、研究者が作業している、あるいは研究者が単に定義の変更のために選択することができる画像に含まれるように強調される。発生特性サブシステムへのアクセスが利用可能であり、含まれる式エディタは、現在の画像または選択されたその他の発生に関する直近の結果を示す。これにより、画像エディタは、たとえば範囲定義や対象化ルールを含む画像の全側面で作業することができる。
【0210】
一実施形態では、画像エディタに、特定の既知画像の有無の表示を有する大きな時系列
セットのコレクションを供給することができる。画像エディタはそれらのセットを改良する1セットの候補定義セットを作成し、サンプルセットと合致する正確な特異性と感度とを生成する。最良適合定義セットが作成されると、第2の大きな時系列セットのコレクションに、特定の既知画像の有無の表示が提供される。画像エディタは最初に候補定義セットを使用して感度と特異性を判定し、次に、可能であればサンプルデータの第1および第2のコレクションの両方により適するように定義セットを改良する。このプロセスは、最良適合定義セットが作成される、あるいはプロセスが漸近的ではないとみなされ放棄されるまで反復して実行することができる。
【0211】
一実施形態では、画像は画像エディタによってMPPCとして「再生」あるいは実行されてさらに時間特定マーカを提供することができる。画像のデフォルトの実行は、特定されるすべての事象を、画像定義によって定義される各自の検索ウィンドウ内のデフォルト位置(たとえば、中間ポイント)に置くことによって「再生」される。このサンプル結果は
図15Bに表示される。画像が再生されると、
図15Bに示されるように垂直マーカが時間線内に配置されて、進展中の画像の進行性状態を示す。このように、画像定義には明細が提供され、それによって画像状態が患者安全モニタ内で特定および表示される。
図15C、15D、15E、および15Fは、時間の経過に伴い患者安全モニタ内で進展する画像の四つのビューを示す。患者安全プロセッサは、画像の現在の状態に最も一致する疾患、障害、またはカスケードのうち一つまたはそれ以上を特定し、それを(所望により鑑別診断と共に)モニタの下部に表示する。
【0212】
代替的および/または相補的実施形態では、画像エディタは、画像の実行を複数の中間および/または最終状態に分割する機能を提供する。画像定義内の異なる各ブランチは、画像内の状態、または異なるが関連する画像として定義することができる。関連画像のツリーは、画像定義内の不全の別の進展を提示するように構成することができる。
【0213】
図22は、
図1の不全モード図で点線で示される患者の複数の時間線を含む微速度撮影動画からのフレームを示す。この画像では、脳卒中患者が抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)に関連付けられる状態を進展させており、これはさらに血清ナトリウム低下と錯乱を誘発する。錯乱スコア上昇の検出後、プロセッサ304は錯乱の経路を調べ(
図1の数例を参照)、(本明細書には示されないが、(たとえば、敗血症による)全身性炎症に加えて)低SPO
2、低または高呼吸数、高換気オキシメトリ指数、または進行中の炎症は発見しない。また、プロセッサ304は、錯乱の原因として膀胱の腔内炎症などの局所的炎症もチェックすることができる。代謝的発生の検索は、低ナトリウム血症を検出して陽性である。当然のことながら、これが原因であると意味するものではないが(プロセッサ304は、脳卒中がいまだに直接的原因であるかもしれないと警告する)、プロセッサ304は、脳卒中が原因であるというよくある過ちを犯し、そこで止まることはできない。
【0214】
図22に提示されるケースは、本発明者の1人による診察の際に評価された最近のケースに類似する。この種の問題がどのように病院で毎日発生しているかを示し、特に、長らく満たされない需要を証明するため、このケースの歴史について以下より詳細に説明する。
【0215】
患者は急性脳卒中を起こしたが、回復途上にあり敏感であった。その後、患者は緩やかに錯乱し始め、敏感でなくなってきた。脳卒中が重度であったため、このケースを担当する看護士と医師は、患者の錯乱と鈍麻は脳腫脹によるものだと考え、状況コードを調節するため家族を呼んだ。このため、家族は本発明者の1人に相談した。患者のSPO
2および換気量は正常であり、敗血症の兆候は見つからなかった。最近の電解質は正常であったため、担当医は錯乱の代謝的原因が妥当な選択肢であるとは考えなかった。すなわち、彼
らは(
図1の不全モード
図200に示される)病態生理学的不全経路を誤診し、病態生理学的経路は
図1の不全モード
図200に示される脳卒中208と錯乱220間の接続線170をたどっていると考えたのである。しかしながら、錯乱の開始に先立ち、患者は飲食していたという事実にもかかわらず0.5NSを投与されていた。反復血清ナトリウムがナトリウムの低下を確認し、追加検査で抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が確認された。患者のナトリウムを正確に修正した結果、患者は迅速に回復し錯乱と鈍麻から解放された。これは隔離における単純なケースと考えられるかもしれないが、多くの複合的な患者を管理する上で、前日まで患者がいかに機敏で活動的であったかを思い起こそうとしながらも誤った判断を行うのがいかに容易であるかを示すものである。微妙な症状は医療従事者にこっそりと忍び寄り、生命を脅かす不全の検出を遅らせる。
【0216】
脳卒中が(血清ナトリウムの低下を招いた)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を招いたため、不全の実際のモードは、この場合に入院患者によって疑われるモードとは大きく異なる。実際の不全は、脳卒中208から低ナトリウム血症242までの経路171をたどった後、低ナトリウム血症242から錯乱220までの経路172をたどった。この場合、患者は誤診から生き延びたが、この不全の検出および治療の遅延のために、病院で数日無駄な時間を過ごすこととなった。
【0217】
図22を参照し、この画像は脳卒中180、糖尿病181、心房細動182、鬱血性心不全183の履歴、および睡眠時無呼吸184のための時間線を含む
図1の不全モード図を有する患者から得られたことに注意されたい。これらは、脳卒中208、糖尿病202、心房細動206、鬱血性心不全204、および睡眠時無呼吸210間で起こり得る関係を示す
図1の不全モード図に対応する。
図20では、患者安全プロセッサは脳卒中の時間線180のためルーチンの錯乱スコア192を命令していることに注意されたい。脳卒中時間線180で患者に錯乱上昇185または低張食塩水投与の存在186が検出されると、電解質およびグルコース187の測定が自動的に開始され、血清ナトリウム低下188の検出後、プロセッサは尿容量オスモル濃度189を命令し、高確率の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群190を示して、溶液治療191の調節を勧告する。
【0218】
ここでの問題は単純ではあるが、不全の初期兆候は、最初に治療介入すれば入院延長が回避されたであろう時点ではまだ微妙であったが、後の不全経路が混乱し、不正確な診断を告げられたためにさらなる遅延を招いた。この場合、看護士および医師は多忙であった、あるいは経験不足であった、あるいは単に脳卒中患者における抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の発生に付随し得る精神機能の微妙な低下に不慣れであったのかもしれない。微妙な調査結果が見過ごされた理由は無数にある。医療チームを弁護すると、
図1の不全モード図に示されるように、これは僅か一つの不全であり、このように複合的な患者にとっては起こり得る不全が非常に多数あり、すべての看護士と医師はこうした数多くの患者の治療にあたっていることに注意されたい。さらに、この場合、血清ナトリウムはほぼ正常で、低ナトリウムが最終的に検出されたとき、多くの医師は、このレベルがこれらの症状を引き起こす、あるいは治療介入を保証するほど低いとは考えなかっただろう。しかしながら、ナトリウムは正常高値から正常をちょうど下回るまで低下していた。脳水腫患者では血清ナトリウム低下の規模が絶対値よりも大きくなる場合があり、共存する障害、疾患、および薬物に応じて患者と患者、および同一患者内での脆弱性の変動は、精神機能の変化はなく血清ナトリウム値が非常に低い患者を観察する医療従事者にとっては容易に把握されない概念である。このことは、不全と治療の動画を生成し認識する重要性を例証するものである。患者安全プロセッサは、時間の経過に伴う不全および治療画像全体を確認しているため、閾値違反を確認する必要はなく、この画像が血清ナトリウム低下、さらには閾値を下回らない低下に対する脆弱性を示すことを認識するようにプログラムされる。患者安全プロセッサは画像と一致する、起こり得る生理学的不全すべてを継続的に警戒し考慮するという利点を提供する。
【0219】
本実施形態の一態様によると、
図1に示されるような不全モード図は、画像エディタを使用し画像および画像範囲を構成するために、疾患、治療、および動揺間の連続的に生じるバイナリ関係を適用することによって画像を構成するのに使用することができる。一実施形態によると、不全モード図デザイナは、たとえば各病院部門または病院専門家グループによって使用されて、患者集団に関係する不全モード図を生成するために得られる。一実施形態では、不全モード図デザイナのうち、ドラッグアンドドロップはたとえば、診断、治療、疾患の合併症、治療の合併症、治療動作、モニタの出力、およびモニタの誤出力および/または不全を入力するおよび/または選択するために設けられる。不全モード図は、ドラッグアンドドロップエディタ用のアイコンを含むことができる。不全モード図は、読者が任意の領域に迅速に拡大表示し、診断、合併症、薬物、治療などを探査し視覚化することができる双方向的プログラム環境で構築することができる。このように、薬物の双方向効果を、様々な疾患状態および各種不全で起こり得る好影響または悪影響に関して即時に視覚化することができる。この不全モード図はプロセッサ304のプログラミングを支援するために使用することができ、プロセッサ304は不全モード図に沿って強調の形で出力を提供して、検出された起こり得る不全を表示することができる。これに関連して、
図1および
図22はプロセッサ304の二つの例示的出力を示すが、不全モード検出用にプログラムプロセッサ304に配備可能なエディタの例示的ビューでもある。
【0220】
図21は、患者安全プロセッサによる画像および特定された状態に関連するその他の発生の認識のためにMPPCの範囲内での作業を構成する画像エディタの画像フレームを示す。この場合、図示される画像は推定重度敗血症に一致し、その症状を示唆する。画像では、炎症/血行動態/呼吸促進192に引き続き、アニオン差上昇194に伴うVIO低下193と代謝不全が生じていることに注意されたい。さらに、炎症/血行動態/呼吸促進192が体温上昇(空バイナリ193が特定される)と関連付けられなければ、画像の炎症コンポーネントの存在を確認するために炎症マーカ195が命令される。バイナリの典型的なシーケンスが示されるが、括弧196が示すように、これらの事象は任意の順序で発生することができる。プロセッサ304は、順序が示される順序であればより高い信頼度を提供し、順序が示される順序と異なればより低い信頼度を提供することができる。上述したように、画像は、事前の血行動態不安定性を有する患者が敗血症となるように重複させることができ、このため、この場合は順序が中心とはみなされない。しかしながら、画像によっては、事象の順序がより大きな特異性を提供することがある(その場合、それに応じて括弧が調節される)。最初に、画像エディタは、より自由に設定され、その後で病院の経験および質向上部門が指示するように調節することができる。
【0221】
患者安全プロセッサは、解析中にこれらの定義によって絶対的に制約を受けるのではなく、実際のデータと複数の画像および画像状態とを比較して最良適合一致を発見する。患者安全プロセッサは、信頼度によってランク付けされた起こり得るすべての画像および画像状態を示す。たとえば、患者安全プロセッサは、MPPCが高い信頼度で全身性炎症反応症候群と、中程度の信頼度で初期敗血症性ショックと一致することと、TTP(およびその他の可能な選択肢)または重複する不全モードは画像上は関係が薄く除外されたままであることを示すことができる。これらの関係の薄い選択肢または重複を除外する集中検査を命令することが望ましいかどうかを医師に尋ねることができる、および/またはプロセッサは、(たとえば、上述のドラッグアンドドロップエディタを用いて定義される)特定範囲の画像に基づきこの検査を自動的に追加するようにプログラムすることができる。
【0222】
患者安全プロセッサ内の不全の特定は不全モードまたは不全状態の単独の選択ではなく、提示されるデータ内での適合に関して1セットの画像をランク付けすることである。複数の画像の特定は単に選択肢の選択ではない。実際には、複数の不全が存在し、相互作用していることがある。いくつかの画像の初期状態は、その他の画像や画像の組み合わせの
初期状態と極めて類似している、あるいは実際には正確に同一である場合がある。患者安全プロセッサは、医療従事者が、明細に関する信頼度に沿って将来起こり得る状態−選択肢および候補の重複−の観点で患者(および患者環境)の現状を理解することができる解析および視覚化を提供する。さらに、患者安全モニタにより、医療従事者は信頼度、特に二つの画像および/または画像状態間の比較信頼度に関して患者安全プロセッサに問い合わせることができる。たとえば、敗血症に関する信頼度は
図15Bに示されるフレームでは低いが、
図15Cに示されるフレームで中程度であり、以後の全フレームでは高い。これらの信頼度は所望の措置と共に、専門グループや病院安全委員会によって予めプロセッサ304にプログラムすることができる、および/または個々の医師によってカスタマイズし「調整」することができる、および/または入力された新たな診断と現在の画像とを比較し、その状態の表示としてその画像を記録することによってプロセッサにより適合的に適用することができる。適合モードでは、プロセッサは、「この画像は新たに入力された診断で定義される不全プロセスを示唆するか?もしそうであれば、この特定の不全プロセスの一部であった第1の事象、バイナリ、または画像を後ろ向きに明示せよ」と要請するようにプログラムすることができる。
【0223】
一実施形態では、患者安全プロセッサは、不全および反応画像の作成のために病態生理学的エンジン(当該技術において既知な人間シミュレータなど)によって指導することができる。特定された事象定義セットおよびバイナリ定義セットを前提として、患者安全プロセッサは、病態生理学的エンジンの入力から得られる動画を提供し、これらの画像が将来検出されるときに認識されるように画像の性質に関して教示される。一実施形態では、医療従事者に高度な教育ツールを提供するため、人間シミュレータがプロセッサ304に接続される。研究者は、各種状態を有する正常で動揺のない患者が提示されるように選択することができる。患者の動画が表示されると、研究者は動揺を病態生理学的エンジンに導入することができ、その結果、患者安全プロセッサから新たな動画が得られる。たとえば、研究者は収束にしたがい提示された関係を選択し、それらを分岐に切り換えることができる。また、ランダム分岐をシステムに構成することができる。単独または1セットの反応システムに関する分岐は、全身性反応の分析をモデル化するように特定することができる。分岐は広範囲に、あるいは全身性反応が低下している、あるいは遅延していることを示す特定の時間フレームで構成することができる。このように、動揺と全身性反応の不全の両方を選択的に導入して画像を作成することができる。これらの画像は存続させて、画像エディタまたはその他のツール内でさらに編集することができる。研究者は、いくつかの異なる変化を選択し、それらを不全および/または不全状態として保存することができる。これらの不全および/または不全状態は画像定義セット内に存続させて、画像プロセッサによって使用することができる。さらに、結果として生じる画像と実際の患者データとを比較して、画像、バイナリ、および事象定義セットを改良することができる。
【0224】
もしくは、あるいは組み合わせて、一実施形態によると、MPPCは、医療従事者がデジタル動画または人体模型の出力から得られる復活動画のいずれかとしてプロセッサ304のMPPCの復活を観察することができるように、プロセッサ304からプロセッサ駆動人間シミュレータへ搬送することができる。
【0225】
病態生理学的エンジンとプロセッサ304とを組み合わせる実施形態の利用の一つは治療プロトコルのモデル化である。エンジンは治療に応答して予測される、または予測外のパラメータ(分岐)を出力することができ、プロセッサ304の画像出力はプロトコルモデリングに関して観察する、および/または記録することができる。さらに、分岐を導入する機能を使用して、処理されたプロトコルまたはその他のプロトコルを、全身性反応の全身性反応不全をカバーする妥当な重複について確認することができる。
【0226】
従来の診断プロセスの課題の一つは、努力を持ってしても、複合的なプロセスの原因検
出までの時間が医療従事者の経験の直接関数であることである。本発明者の1人である専門の臨床医はおそらく数百人もの敗血症性ショック患者を扱った経験があり、このため、診断で患者チャートを検討する際に
図15に具体化される複合的なカスケードを視覚化することを学んだ。しかしながら、これは容易な作業ではなく、多大な経験を要する。しかも、この間、この医師によって判断されたTTPの症例数は少なかった。したがって、最も経験を積んだ医師でさえ、一般的でない疾患カスケードを扱う経験は限られる。この課題を解決するため、
図23に示されるように、各病院12の患者安全プロセッサ国際ネットワーク10が自身のプロセッサ14に接続され、各プロセッサ14が中央MPPCアーカイブ16に接続される。各プロセッサ14からのMPPCは、各病院からのMPPCアーカイブ16にアップロードされる。中央MPPCアーカイブは、中央MPPCアーカイブ16からのMPPCを処理し、MPPC認識を向上させ、新たな画像および不全モードの認識と治療プロトコルを開発する役割を果たす国際プロセッサ18に接続される。病院のプロセッサ14からのMPPCは、陽性肺血管造影を含む肺塞栓症を示唆するMPPCなどの客観的に既知な症例と関連付けられるように分類され適用されて、肺塞栓症に関するMPPCの範囲および特異性をさらに構成するため客観的に定義されたMPPCデータベースを構成する。もしくは、SLE誘発肺胞出血を示唆するMPPCなどの客観的な最終診断(これが最終診断であるというコンセンサス集団の意見を伴う)と関連付けられるように分類されたMPPCは、客観的に定義されたMPPCデータベース症例データベースに追加されて、SLE誘発肺胞出血に関するMPPCの範囲および特異性を構成する。このように、疾患の広範囲な管理から得られる、MPPCおよびMPPCのコンポーネントである画像から、大規模なデータベースを得ることができる。リアルタイムMPPC検出に基づく国際的検査および治療プロトコルが開発されて、ベッド数の少ない地方の病院、スタッフの不足する都会の病院、および医師と看護士の経験が非常に足りない環境などでさえ、破滅的な事象を最小基準で検出することができる。新たなプロトコルが導き出され、改善の可能性を示すその他のプロトコル、あるいはプロトコル以外の新たなまたは追加の治療への応答として生じるMPPCの解析の際に自由裁量で使用するため、これらの病院にアップロードすることができる。その手法は、たとえば試験的プロトコルであってもよいプロトコルに新たな薬物を導入した後の薬物反応および薬効のサーベイランスを向上させる可能性がある。新たな試験の開発をサポートするためにMPPCの欠落部分を特定することができ、それによりギャップが満たされる、あるいはおそらく不全の原因を定義するのに必要な試験の数が低減される。様々な検査および治療プロトコル間のコスト比較を実行することができる。
【0227】
MPPCの帯域は、MPPCを含む、試験の数、履歴データ、および治療などによって定義される。信頼性の低い動揺の画像がMPPCに沿って特定されたとき、患者安全プロセッサは別の原因を調査するため迅速に帯域を広げるようにプログラムされる。これが重要なのは、未検出不全モードの期間が長いほど、合併症がカスケードの展開と共に進展し、救出がより高額かつ困難になるため、コストと死亡率が上昇するからである。
【0228】
絞られた帯域(単位時間当たり回数の少ないテストおよび/または単純なテスト)は一方では、(より長い期間の不全を許容するコストを考慮しない場合)広い帯域よりも安価である。「有効帯域」は、画像を能動的に定義する因子を特徴付けることに実際に寄与する帯域のコンポーネントを含み、それはMPPCのコンポーネントである。不十分な検査および治療は帯域と医療費を増大させるが、有効帯域を増加させることはない。プロセッサ304の目標は、帯域を法外に広げることなく、できるだけ迅速に有効帯域を広げることである。理想的なシステムは2、3のモニタと試験でモニタリングするが、これらをセンチネルとして使用し、特定された発生が特定される、あるいは不全カスケードが開始される場合に自動的にモニタおよび試験の数を増加させる。
【0229】
したがって、本発明の一つの機能は、任意の時間(たとえば、郡部の病院で午前2時)
にMPPCの有効帯域を自動的に広げて、継続的に広範で高価な帯域を適用せずに不全の期間を最適に短縮する機構を提供する。帯域を広げる最適な機構の一つは、特定の不全モードに対して高い感度と特異性とを有する集中試験などの高度な検査を伴う。患者安全プロセッサネットワーク10のMPPCアーカイブ16は、動画帯域を広げる機会について調査することができ、早期発見と治療反応改善を通じて不全の期間を短縮することにより、死亡率とコストを削減するバランスの取れた機構を実現する。
【0230】
より狭い帯域でのモニタリングおよび検査と、事象、バイナリ、画像、反復発生、およびパターン発生の検出時の広い帯域への調節とを組み合わせることで、コストが低減され、同じかより小さなコストでより大きな患者集団に対処することができる。生理学的不全に先行する発生が記録され、この関係はネットワークを介して相互作用プロセッサ304によってモニタリングされる。生理学的不全とこれらの特定の発生との関係が特定されると、プロセッサは、より広い検査帯域でさらに早く取得されていれば、もっと早くより診断的な画像を提供したと思われるこれらの現在のセンチネル発生に関してMPPCをさらに調査する。次に、これらの検査は、センチネル発生の検出時に自動的に命令される検査としてプロセッサ304に追加される。試験または試験セットが、別のより安価な、または侵襲性の低い試験または試験セットによって提供されない追加画像検出または定量化を提供することに失敗した場合、その試験または試験セットは使用されない。このように、プロセッサ304は自己適合性を有し、不要なまたは冗長な検査を除外し、より早期な不全検出を可能とすることでカスケード進展の適時回避を促進する関数としてのコストを低減する検査を追加することによって、MPPC処理の最適化を学習する。
【0231】
MPPCの検査コンポーネントを継続的または断続的に調整し向上させるために国内外ネットワーク上で一つまたはそれ以上の中央集中プロセッサ304と通信する適合性プロセッサ304を用いて、この同じ手法をMPPCの治療コンポーネントにも適用して、所与の治療がMPPCに測定可能な効果を及ぼしたという証拠(陽性または陰性)を判定することができる。治療コンポーネントは、たとえば、薬物、溶液、栄養、手術治療、吸気治療、圧力治療、リハビリテーション、運動、位置調整、副子固定を含む。MPPCは、治療順序のタイミング、治療送達、治療量または手順、個々の治療量のパターン、時間の経過に伴う投与量パターン、投与方法などに関連する関係を含む治療関係の画像、および画像とMPPCの残りとの比較のためのその他の画像を提供する。プロセッサ304を用いて、新たな薬物、異なる投与量、異なる手順、および/または治療の除外などの新たな治療を適用して、統計比較の応用などにより、薬物または治療なしのMPPCと比較して、新たな薬物のMPPCへの効果を判定することができる。一実施形態では、これは中央集中プロセッサ304によって判定され、次に中央集中プロセッサ304は、プロセッサ304によって決定され(その後、プロセッサ304を監督する医師グループの承認を受ける)最も好ましい治療レジメを生成するためにプロトコルを調整する。局所的には各病院で、中央集中プロセッサ304からアップロードされた変更を容認または拒否することを決定できる。いずれにせよ、拒否する病院のその後のMPPCはプロセッサ304にアップロードされた変更を容認した病院のMPPCとプロセッサ304によって比較され、変更が実際には陽性であったか、陰性であったか、あるいはMPCCに何の影響も及ぼさなかったか(MPPCの費用コンポーネントも含む)が判定される
国内外患者安全処理ネットワークを通じてローカルプロセッサ304と通信する一つまたはそれ以上の中央集中プロセッサ304を使用することにより、地域医療送達システム、病院、さらには異なるフロアでも、異なる検査および治療プロトコルを使用することができる。中央集中プロセッサは、自身(および所望により、中央集中プロセッサ304を監督する医師)が(様々な治療および検査画像のセットを含む)様々なMPPCセットから最適な治療および検査プロトコルを決定するための広範囲な幅広いMPPC選択肢を有しているため、こうした多様性はシステムにとって大きな長所である。
【0232】
上述したように、一実施形態によると、患者安全処理ネットワークは、病棟または病室に配置される1セットのローカルプロセッサ304を含む。ローカルプロセッサ304はその場所で医療従事者の指示を受ける。このため、現場の医療従事者が、制御下の患者のために配備された、治療および検査プロトコルおよび検査帯域の変更を制御することができる。現場の担当医師は個々に、またはグループで、ならびに病院薬剤師と看護士もローカルプロセッサ304を使用してこれらのプロトコルを処方することができる。ローカルプロセッサ304は職員を記録する(たとえば、ステップ時系列または非数値時系列として、ある医師または看護士がたとえば責任を負うときにある状態遷移事象が生じ、彼または彼女が別の人と交代するときに異なる状態遷移事象が生じる)。もしくは、おそらく組み合わせて、医師または看護士が勤務中であった期間を示すために状態一致事象を使用することができる。したがって、これらの患者へのケア行為は生理学的状態の動画(MPPC)の一部である。プロトコルは、患者をケアするグループまたは個々の医師によって決定することができる。特定の医療従事者またはグループが好ましい、または好ましくないMPPCと統計的に、またはその他の形で関連付けられる程度は、プロセッサによって査定することができる。ローカルプロセッサ304に関するプロトコル選択は、上述したように予め作製されたMPPCプロトコルの使用を通じて行うことができる。
【0233】
ローカルプロセッサ304は、医師時系列を解析し、プロトコルおよびMPPCをこの医師によって選択されたものと合致するように調節することができる。医師はプロセッサ304をオーバライドし、これが行われる場合、このオーバライドは少なくとも一つの事象を含み、オーバライドが撤回されるまで新たな時系列を含む。特定のオーバライドが統計的に、あるいはその他の形で好ましい、または好ましくないMPPCに関連付けられる範囲は、病院プロセッサ304、病院グループプロセッサ304、または国際プロセッサ304によって査定することができる。これらは今後のプロトコルに修正を加え、さらには、オーバライドに関連付けられるMPPCに応じて、オーバライドの修正の組み込みまたはこの種のオーバライドの防止を提供することもできる。
【0234】
病院中のローカルプロセッサ304が、好ましくは品質向上委員会と各分野の病院専門家の指示の下、中央「病院プロセッサ304」と通信する。病院プロセッサ304はローカルプロセッサ304すべてと通信し、病院全体でローカルプロセッサ304に対して適用が合意されている、治療、および/または検査、および/または帯域調節プロトコルおよび/または比較MPPCをアップロードするのに使用することができる。
【0235】
各病院プロセッサ304は、中央組織プロセッサ304と通信する(および中央組織プロセッサ304によって制御することができる)。医療「組織プロセッサ304」は、最低限の安全治療および検査基準を設定するため、病院プロセッサ304を通じてその制御下で病院プロトコルの標準化を可能とし、全病院からの専門家の代表者らによる中央集中保証グループによって制御され得る。患者を世話する個人が少なくとも一つの時系列を表し、病棟が少なくとも一つの時系列を表し、病院が少なくとも一つの時系列を表し、組織が少なくとも一つの時系列を表す。したがって、組織プロセッサ304のMMPPは、各患者に対するこれらのケースワーカおよび位置時系列のすべてを含む。もしくは、または組み合わせて、患者がモニタされるGPSユニットを身につけている場合、これに位置時系列を含めて、MMPPの一部として連続的なリアルタイム位置を提供することができる(プロセッサ304は、入力された位置とGPS位置とを比較して確認用バイナリを生成することができる)。
【0236】
一実施形態は、新たなテストまたは検査装置から引き出される新たなセットの時系列をコスト効率に関して評価する方法の例を証明する。本例では、パルスオキシメトリ反射プローブが(帽子またはヘッドバンドまたはその他の固定装置によって、患者の片目または両目から患者の頭に)搭載され、プローブは無線またはその他の方法でパルスオキシメー
タおよびローカルプロセッサ304に接続される(たとえばブルートゥースによって)。送信機は、プローブ内、またはヘッドバンド内または上、帽子、または耳の後ろ(たとえば、所望により補聴器の位置)に搭載することができる。患者に搭載する位置センサも設けることができる。背臥位から立位への体位変更のような操作は、プロセッサ304によって状態遷移または状態一致事象として検出され含められ、操作に関連するフォトプレチスモグラフィパルスの成分の低下(眼窩上動脈、内頚動脈の遠位枝の毛細管床分布の潅流を示す)は分岐バイナリを生成する。このように、立位操作に関連する目の上の毛細管床の流れは、立位操作に関連する内頚動脈から供給される他の毛細管床の代理マーカとなる。リアルタイム潅流は、耳、指先、または脈圧(たとえば、侵襲的動脈ラインによって)の潅流と比較されて、内頚動脈分布の一方または両方における潅流の不同性を特定することができる。ローカルプロセッサ304は、これらを有するMPPCを追加の時系列として処理する。ローカルプロセッサ304はMPPCを病院プロセッサ304にアップロードする。病院プロセッサ304、組織プロセッサ304、および/または国際プロセッサ304で、患者安全比較プロセッサを使用して、MPPCにおける不同性を同時罹患率などの関数として調整後、眼窩上の潅流の起立性低減を含むMPPCが(検出後の発作を低減する治療または矯正措置と組み合わせて)病院内での発作数の統計上有意な減少と対応付けられるかどうかを判定するように、MPPCを評価することができる。これらの時系列は、所与の患者のMPPCが調査集団(たとえば、手術のタイプ、年齢、同時罹患率、またはその他の事象または画像別)のMPPCと類似することが検出されるときの検査帯域を増加させるために、(調査集団を用いた断続的または継続的な眼窩上モニタリングを自動的に要求することによって)自動的に追加することができ、それらの処理済み時系列データの追加は結果に好影響を及ぼした。一方、片目上に不同低潅流が識別される場合、頚動脈疾患の超音波評価がプロセッサ304によって要求され、その結果が事象として追加される。
【0237】
すべての組織プロセッサ304(または、病院が中央組織下にない場合は病院プロセッサ304)は好ましくは国際プロセッサ304に接続される。国際プロセッサ304は好ましくは、電子医療記録の中央集中保管庫(たとえば、Microsoft社のHealth Vault(登録商標))の一部として国際プロセッサ304とネットワークを保持する、GoogleやMicrosoftなどの医療情報企業によって制御される。各下位プロセッサ304(国際プロセッサ304の下)はプロセッサ304ネットワーク、広範な冗長性、下位依存性の欠如とは無関係に動作することができるため、ネットワーク不良に対するより高い安全性をプロセッサ304ネットワークに組み込むことができる。
【0238】
このプロセッサ304ネットワーク構造によって、各政府により広範囲な最低基準を設定し、その最低基準の範囲全体での作用をモニタリングして、個々の基準の相対的な費用および便益を解析することができる。
【0239】
いかなるドメイン特定プロセッサ304も好ましくは、MPPCおよび事象、バイナリ、画像、およびカスケードなどのMPPC内の全発生と、その他のMPPCおよびその他MPPCの全発生とを比較して、経費、成果、滞在の長さ、罹患率、死亡率、リソース消費、および/または合併症における向上または低下と各々関連付けられるMPPC間の統計的差異を検出する患者安全比較プロセッサ(PSCP)を含む。
【0240】
プロセッサ304の利点の一つは、MPPCのオブジェクトが個別であるため、PSCPの統計ソフトウェアコンポーネントに容易に組み込めることである。具体的には、プロセッサ304は、特定の発生定義および検索時間ウィンドウを前提として、患者のストリームセット内で発生の存在を確実に特定する機能を提供する。企図される実施形態では、これらの発生を特定するプロセスは多様型画像識別法を通じて達成される。本実施形態に係る統一的検索および/または特定方法により、幅広い統計ツールを組み込むことによっ
て、個別の時間的関連データコレクション間の差異を特定するための、当該技術において十分に既知な幅広い統計的手法の機能や方法にアクセスすることができる。
【0241】
PSCPは、基本的発生クエリ機能を通じてさらなる最適化を行う。たとえば、クエリは、特定の発生、ドメイン(たとえば、ローカル、病院、組織、国際)、および1セットの状態を含むように成功に作成することができる。結果セットは患者に、特定された発生が得られる時間帯を提示する。結果セットの統合体は、特定された発生を有するとして特定された状態(234,046を満たす特定されたドメイン(〜230万)内の特定された集団(たとえば、434(0.003%)患者のIDの率を提示する。
【0242】
オブジェクトは、体系化された昇順の複合的階層のコレクションも含み、該コレクションは昇順の複雑性毎に統計的に比較されて関連する差異を特定することができる。一実施形態では、PSCPは、MPPCをほぼ同一の画像の少なくとも一部を有するグループに分割する。たとえば、同時罹患率、年齢、および性別は類似するが、医師、病院および/または治療の異なるほぼ同一の敗血症カスケード画像を用いてグループ分けを行うことができる。カスケードに関連する長さ、進展、合併症、および死亡率の差を特定し、医師、病院、治療、検査、および/または治療タイミングの差と統計的に比較することができる。
【0243】
一実施形態では、プロセッサ304はデータ包入、関係管理、および画像識別を最適化するオンライントランザクションプロセス(OLTP)システムによってサポートされ、PSCPは大集団内での発生の存在および解析に関するデータマイニング用に最適化された関連のオンライン解析処理(OLAP)データベースを含む。患者内の発生の特定は、時間、患者特徴、職員などに対して次元が設定される間、主要な尺度を提供する。多次元データ環境により、データが利用可能である、および/または重要なデータセグメンテーションを提供すると判定される際の次元の包入が可能になる。階層(たとえば、ドメイン階層や職員階層)は統合体を「包囲」するために含められる。
【0244】
特定の検査、治療、帯域変動、病棟位置、または病院位置が成果の向上と統計的に関連付けられると、国際プロセッサ304はそれらの特定された詳細を病院プロセッサ304および/または組織プロセッサ304に検討用に組み込む新たなプロトコルを、たとえばダウンロード用に提供することができる。新たな薬物または治療は、試験的薬物治療の時系列が試験コードでラベル付けされるように、プロセッサ304によって許容される盲検化でこのようにして査定することができる。
【0245】
一実施形態では、PSCPはオブジェクトの統計的解析にトップダウン手法を適用し、該手法では、病棟のあらゆるレベルから国際レベルに至るまでの専門家または専門家団が、彼らの所望する統計的比較を定義する。これは確率査定スタジオ、たとえば、事象、バイナリ、画像などの発生の、第1のウィンドウへのドラッグアンドドロップ(オブジェクトに対する関係タイミングの範囲の選択)によって実行することができ、その後、発生のドラッグアンドドロップは、たとえば血液培養結果、診断、薬物、薬物と他のオブジェクトとの組み合わせなどのオブジェクトに対する関係タイミング範囲も選択する。次に、プロセッサは、比較されるオブジェクトの統計関係を示す統計的比較を提供することができる。
【0246】
一実施形態では、確率査定スタジオは、ニアミスとその率ならびにヒットの確率を示す。ニアミスの定義は発生定義内で規定されねばならない。ここで、たとえば、複数の回帰によって対比させることが重要である。プロセッサ304は、個々のおよび結合された事象、バイナリ、および画像をターゲットと統計的に比較することができるように(ターゲットは相互であってもよい)適用される。これにより、複数の異なる関係変数の関数であ
る統計値を関係付けて定義する複数の回帰の適用に関する主要な弱点が緩和される。医学文献の読者の多くは、通常は多数の回帰式に基づく複合的な関係生理学的データセットの評価を含む、仮定を含む数学的装飾に納得させられてしまうが、真に専門の数学者であれな、関係生理学的データセットへの複数の回帰式の適用は、数学的完全性および再現性について疑わしい結果を招くことを知っている。これは、画像の事前分離および組み合わせに対してより広い自由裁量での統計的解析の適用を可能にする、プロセッサ304を用いた統計処理の利点の一つである。
【0247】
本発明の一態様によると、患者安全発見プロセッサ(PSDP)は、いずれかのレベルで提供されるが、理想的には国際患者安全プロセッサで提供される。患者安全比較プロセッサと同様、PSDPは(たとえば、統計解析によって)、事象、バイナリ、画像、カスケード、反復発生、およびパターン発生などの発生と、最終診断、「高決定的」検査試験(血液培養、妊娠検査、またはHIV検査など)の結果、滞在の長さ、治療の費用、治療を行う医療従事者の数、他人に治療を行う医療従事者の数(医療従事者の作業負荷)、同意に基づく診断など、「高決定的オブジェクト」と呼ばれるその他のオブジェクトとを比較する。しかしながら、PSCPと対照的に、PSDPはプロセッサ304データベース内の発生(おそらくほぼすべてのオブジェクト)に統計的解析を行うことによって「ボトムアップ」手法を適用し、それまで未知であった関係を特定する。これらの関係は、互いの間に、および特に、最終結果、診断、および/または成果のうち少なくとも一つを含むオブジェクトとの統計上有意な関係を含むことができる。
【0248】
一実施形態では、患者安全発見プロセッサは、第1の発生が高決定的オブジェクトと関連付けられる確率を判定し、その後、第2の発生が第1のオブジェクトの後に発生する確率を判定することができる。次に、プロセッサは、各継続的オブジェクトが高決定的オブジェクトと対応付けられる確率を判定する。これにより確率の時系列が生成されて、各確率データポイントが各新たな発生タイプと共に得られる(新たなオブジェクトが発生タイプ定義に追加される、あるいは、高決定的オブジェクトの発生の確率が、定義に追加される新オブジェクトの関数として変動する毎に生成することができる)。ここでは、各高決定的オブジェクトに対して一つまたはそれ以上の複数の確率時系列を導き出すことができる。これらの確率時系列はプロセッサ304に組み込まれるオブジェクト化プロセッサによって、確率の増減事象(確率事象と称する)を検出し特徴付けるために、オブジェクトに変換し処理することができる。現在企図される実施形態では、非一時的リスク因子に基づくベースライン確率(予備試験確率)が確定された後、(最初の確率が、時間の影響を受けない、あるいは予備試験確率査定によって判定された後)確率時系列の勾配が非一時的因子にあまり依存しないように、発生タイプ定義が構築される。
【0249】
MPPC内の連続発生から生成される確率時系列パターン(TSP)は、個々の確率のみによって提供されるよりも多くの情報を提供するという特徴を発揮することができる。たとえば、(確率時系列に沿った)上昇事象が検出されるとき、上昇の勾配と規模は既知である。規模が大きく急な勾配を有するTSPに沿った上昇事象は、正または負のいずれでもよい「確率モーメント」(PPM)を定義すると言われる。高い正PPMの存在は、試験下の高決定的オブジェクト(または診断)の存在または今後の検出の強力な証拠となる。TSPは、確率の上昇が特定される診断毎にプロセッサによって生成することができる。敗血症などの病態生理学的プロセスの治療(有効であれば)は、まずは正の陽性PPM、その後負のPPMを示すTSPに沿った正の揺動を生成させる。負のPPMが維持されると、破滅的な事象が中断された証拠となるため、これは望ましいパターンである。TSPに沿った正の確率的揺動と統計上関連付けられる治療は、国際プロセッサ304によって特定される。
【0250】
図25は、PSDPが画像定義セットを作成および/または修正するために統計的解析
を実行する一実施形態を示す。PSDPはプロセッサ304およびPSCPに関連して、事象定義セット1250およびバイナリ定義セット1252(および任意で画像定義セット1254)ならびに時系列データのドメインを提供され、誘導画像発見のための環境を提供する。この発見プロセスの出力は統計的に強化された発生定義セット1246である。
【0251】
誘導画像発見を用いる研究者にとっての第1のステップは、発見が適用される患者(または患者群時系列セット)(1240および1242の統合)のドメインを特定することである。次に、研究者は各患者に、発見された画像が関係する状態または診断の有無を示すブールフラグを装着しなければならない。一例では、研究者は、(たとえば血液培養オブジェクトまたは病理学オブジェクトによって決定される)「独立診断意味」を含む決定的オブジェクトを特定することができる。一実施形態では、この決定的オブジェクトは、特定プロセスを開始するために使用される。プロセッサ304は、この決定的オブジェクトを備える患者を陽性として標示する(論理的および/または物理的に陽性患者セット1242内に置く)が、研究者は後に特定される偽陽性を除外するためこの指定を無効にすることができる。PSDPは、個々の陽性または陰性指定、あるいはルールセットを満たすことによる指定を行うツールを提供する。このように、明示的に、あるいはルールによって、すべての患者は論理的に(および/または物理的に)陽性患者セット1240または陰性患者セット1242の二つの患者セットのうちの一方に置かれる。
【0252】
ドメイン内のすべての患者が陽性1242または陰性1240として指定されると、PSDPは問題の状態または診断と相関する画像の構成を開始することができる。PSDPは、供給される事象定義セット1250およびバイナリ定義セット1252を使用して陽性および陰性群内のすべての患者に対して、標準プロセッサ304およびPSCP解析の結果にアクセスする。最初の画像定義セット1254も供給することができるが、必須ではない。
【0253】
統計的に強化された発生定義セット1246の構成プロセスは、(陽性患者セットで発見される)発生を使用し、陽性患者セット1242および陰性患者セット1240間の統計的差異を発見することによって発生定義を構成する機能に依存する(先に定義されるように、発生はたとえば、事象、関係バイナリ、画像、反復発生またはパターン発生であってもよい)。このプロセスは反復的であり、基本的発生(たとえば、事象)から始まることができ、次第により複合的な発生(たとえば、画像、反復的発生、およびパターン発生)へと移動する。作成された各発生定義は、候補発生定義キャッシュ1256に配置される。
【0254】
別の企図される実施形態では、
図26に示されるように、研究者は、候補画像を得なければならない基準患者1260、1262、1264(陽性患者セット1242全体ではない)を指定しなければならない。さらに、研究者は、研究者がターゲットとされている状態と有意に相関していると理解する基準患者内の特定の時系列セグメントを明示しなければならない。もしくは、あるいは組み合わせて、研究者は、検討対象にならない特定の時系列セグメントを指摘することができる。
【0255】
各候補発生定義に関して、作成されたPSCPクエリエンジン1244は、ドメイン以外は同一である(一方は陽性ドメイン1242、もう一方は陰性ドメイン1240)二つのクエリを実行して、特定の率を判定するために使用される。これらのクエリは、上述したように、研究者の要求に応じて(または、プロセッサ304により自動的に)任意数の集団、リスク因子、事前状態、またはその他のセグメンテーション次元によって限定されて、統計的に優位なサブ集団を特定することができる。
【0256】
一例では、相関関係を判定する際の主要エレメントは、発生が少なくとも1回特定された患者の数として定義可能な個別患者発生とすることができる。複数の発生の特定は研究者に伝えられ、発生タイプの包入において追加因子として重み付けをすることができる。また、同一または類似の発生の再発が特定された場合、PSDPは反復発生またはパターン発生を作業発生タイプに追加するように試みることができる。
【0257】
上記クエリから戻る率間の差異は発生の統計的有意指数(SSI)を示す。研究者は閾値を設定し、それによりPSDPは、発生タイプは保持されるか廃棄されるかを判定することができる。発生タイプが保持される場合、発生タイプは特定された状態または診断に関してSSI1248と共に(たとえば1247で示されるように)記憶される。プロセスの完了時、1セットの発生タイプ定義が記憶され、SSIによってランク付けされる。発生定義群は、特定された状態または診断に関して、各自のSSI表示と共に統計的に強化された発生定義セット1246に記憶される。
【0258】
一実施形態では、PSDPは基本的発生、単独の動揺事象または単独の関係バイナリを含む発生で始まる。これらの画像が解析されると、統計上有意な発生定義が記憶され、PSDPはより複合的な発生定義の作成を開始する。このプロセスを達成するため、複数の(たとえば三つの)キー時間帯エレメントを規定することができる。含まれる各時系列は、データの最大位相シフトの表示と共に指定することができる。最大位相シフトはデータのリアルタイム発生およびそのデータの記録からの最大遅延を示す。第2に、事象およびバイナリは、影響の最大範囲と共に指定することができる。この最大影響範囲はリアルタイムの観点で(たとえば、30秒または2時間)定義することができる、あるいは相対的な特定(たとえば、患者滞在、3回の事象期間)であってもよい。文脈上の最大影響範囲を判定するために階層を設けることができる。たとえば、時系列は最大影響範囲を有するように指定することができるため、オーバライドされない限り、時系列に沿って発生するほぼすべての事象は各自の時系列から最大影響範囲を引き継ぎ、二つの時系列からの事象を含んでいるバイナリは二つの時系列の最大影響範囲を引き継ぐ(特別にオーバライドされない限り)。場合によっては、微調整が要求される場合、最大影響範囲は二つのうち一つの特定時系列からとして指定することができる。さらに、最大影響範囲は、二つの時系列間の関係内で指定することができる。すなわち、時系列は、別の時系列への特定の影響範囲を有するように既知とすることができる。ある時系列から別の時系列への影響は第2の時系列から第1の時系列への影響と同じでないこともあるため、この関係の方向も規定することができる。さらに、個々の事象およびバイナリは、特定の最大影響範囲を有するとして規定することができる。一実施形態では、複数の最大影響範囲が実際にはバイナリまたは画像に関するものである場合、大きい方の最大影響範囲を適用することができる。最後に、第3のキー時間帯は、研究者が検索を拡大するために示すことのできる単独の許容誤差エレメントであってもよい。
【0259】
一実施形態では、具体的には発生(たとえばバイナリおよび画像)の構成のため、PSDPがこれらの三つの時間帯を使用して、発生定義を生成するために組み合わされるエレメントの検索範囲を決定する。本実施形態では、PSDPが所与の発生と結合するエレメントを探しているとき、検索は以下の時間帯の重複を探す。
(0
S−T)〜(O
E+T)
(E
S−E
MPS)〜(E
E−E
MPS)+E
MSI))
ただし、
O
S=発生開始時間(時間)
O
E=発生終了時間(時間)
T=許容誤差(時間帯)
E
S=エレメント開始時間(時間)
E
E=エレメント終了時間(時間)
E
MPS=エレメント最大位相シフト(時間帯)
E
MSI=エレメント最大影響範囲(時間帯)
PSDPはこの検索範囲を使用し発生作業発生と組み合わせるべきすべての発生を特定して、新たな発生を統計上有意な発生における定義結果に追加するかどうかを判定する。本例では、検索は単独の患者内で実行され、陽性患者ドメイン内に存在する発生のみが使用される。効率性のため、研究者は、陰性ドメインについて検査する新たな発生定義を作成する前に、発生が陽性患者ドメイン内で少なくともX回発見されなければならないとさらに指摘することができる。陽性患者ドメイン内の画像の複数バリエーション間でタイミング関係を解析することで、発生定義自体内の検索ウィンドウを判定する時間間隔データが得られ、ここで追加許容誤差も構成することができる。新たなエレメントが新たな発生定義を構成するコアを提供するとして選択されると、次に発生定義は、SSIについて問い合わせ、それが統計的に強化された発生定義セットの一部となるように閾値SSIを満たすかどうかを判定するために使用される。統計的に強化された発生定義セットへの包入にかかわらず、コンポーネント発生の統計的有意性は完全な発生の統計的有意性と常に相関関係にあるので、新たな発生定義は追加の組み合わせを構成するために記憶される。実際、所与の発生コンポーネントは中程度の確率で特定の決定的オブジェクトの存在を予測することができるが、完全な発生定義が構築されると、発生定義は、決定的オブジェクトが発生するか否かを実際に予測することができる。このように、PSDPは、検索範囲内の組み合わせが特定されなくなるまで、次第に複雑化する発生定義を構成し続ける。
【0260】
発生定義の増分作成を支援するため、プロセッサ304は、有意であり得る発生を戻すクエリ機能をサポートする。このクエリは以下のようなコンポーネントの結果セットを戻す:Given(強化される発生定義、陽性ドメイン);Return(エレメント)Where(エレメントが検索範囲内にある)。さらに、統合体クエリを以下のように提供することができる:Given(強化される発生定義、陽性ドメイン)Return(エレメントタイプ、発見された発生の総数、発見された個別患者発生の総数)Where(エレメントが検索範囲内にある)Order By(個別患者発生の総数)。
【0261】
この解析中、PSDPは、特定された発生間の先行関係の定義をさらに維持する。これらの先行関係を評価することで、統計的解析における追加エレメントが提供される。PSDPは最も予測的な(たとえば最も統計的有意性が高い)MPPCの時間線に沿った画像の進展経路を特定することができる。この情報は、画像のみでなく画像経路をターゲットとするプロトコルの改良の助けとなる。最大SSIを有する画像(またはその他の発生)は主画像として指定することができる。もしくは、複数の画像(または発生)の場合、それらが関連する進展経路内の最大SSIという事実を主として指定することができる。
【0262】
PSDPは、バイナリの位置を支援するが、より容易に特定のバイナリタイプの検出を支援することができる。たとえば、予測および類似バイナリはPSDPで特定することができるが、非存在確認バイナリは、PSDPが事象の非存在を検索基準として使用して検索範囲を大きく拡張するためにより多くのプロセッサパワーを必要とする。別の例では、同様にまたは完全に同一に予測的である事象の存在が、類似バイナリ、類似画像、および冗長または不要であり得る検査の表示に関する定義を示唆することができ、PSDPはこの表示を研究者に提供することができる。
【0263】
場合によっては、バイナリが予測的でないと特定される場合、そのバイナリ内の一方の事象(または両方の事象)が予測的であると特定することができる。ここでは、事象間の一つまたはそれ以上の関係が事象の存在よりも予測的であるとみなすことができる。このことは、従来の統計回帰が(関係バイナリおよびより複雑な発生(たとえば画像)を構成せずに、より具体的には、複合的な関係パターン、および相互に関する事象のパターンのタイミングを考慮せずに)さらに幅広い範囲の検出事象に適用される際、不完全であり誤
解を招く可能性のある理由の一つである。
【0264】
PSDPは事象セグメンテーションに非常に敏感であるため、研究者は個々の事象定義を(たとえば、定義の勾配、規模、閾値違反、コンポーネントに関連する)一連の事象サブタイプに分割するようにPSDPに指示することができる。PSDPは、閾値違反しているSSIを探すため、元の事象タイプと各事象サブタイプとを検索する。このプロセスが完了し、統計的に強化された発生定義セットがプロセッサ304にとって利用可能になれば、プロセッサ304は統計的に強化された発生定義セット内のすべての発生を検索することができる。すべての発生が特定されたら、プロセッサ304は、特定された発生の中から最小SSI(MSSI)を取得することができる。その後、特定の状態のMSSIと診断下試験を追加並列時系列として追加し、プロセッサ304による解析と、患者安全視覚化プロセッサ内の視覚化のために利用可能にすることができる。これらのMSSI時系列内の事象は特別に重要である。MSSIの上昇事象は、状態または診断の陽性予測特定に向かうシステムの運動を示す。その事象の統計値および瞬時統計値の時系列の勾配から、プロセッサ304と患者安全視覚化プロセッサ内の確率モーメントが得られる。本発明の一実施形態によると、正勾配の高い結果は、勾配を得るために使用される検査の出力が時間に敏感である(すなわち、出力が時間と共に疾患状態の有無または決定的オブジェクトの存在の関数として変化する)ことを示唆し、瞬時予測表示を超える追加の予測表示を提供する。高確率モーメントの存在は予測度の高さを示し、特定の疾患状態も鋭敏に指摘する。患者安全コンソールは、上位X個の診断に関してMSSIの並列時系列を示すように構成することができる、あるいは、最大統計モーメントを有するMMSIを示すように構成することができる。並列確率時系列は、確率の増減が特定される診断毎にプロセッサによって生成することができる。敗血症などの病態生理学的プロセスの治療による回復は、敗血症の確率時系列に沿った正の揺動を生成させる。
【0265】
後ろ向き解析では、主要診断に向けた確率モーメントは主要性能指標(KPI)である。このKPIの増加は、診断環境の有効性を判定するために使用することができる。エレメント(たとえば、診断試験)は、診断に向けた統計モーメントの増加を証明することによって有効性を確定することができる。診断およびコストに向けた確率モーメントがPSCP多次元データベースに尺度として追加されて、PSCPは診断ツールのコスト効率を証明することができる。一実施形態では、PSDPは後ろ向きリアルタイム解析(RRA)のプロセスを利用して、確率モーメントをさらに調査する。RRAは時分割技術を使用して、リアルタイムで提示されたかのように1セットの時系列と関連のオブジェクトストリームを調査する。これを達成するため、プロセッサ304は1セットのMPPCを作成し、各MPPCはどのMPPCが特定の時刻にあったかを表す。すなわち、プロセッサ304は時刻を選択し、その時刻前に存在していたデータのみを含むようにMPPCを切り捨てる。このように、および真の最終MPPCと組み合わせて、部分的発生は、部分的発生を定義するために採用可能な進展と定義とを調査するために解析することができる。PSDPは、示唆的エレメントを探すため、部分的発生と最終発生とを比較することができる。また、PSDPは、広範な患者および状態全体にわたって部分的発生を比較することができる。たとえば、PSDPは、早期検出を困難にする極めて類似する部分的発生を判定し、それらを区別するキーエレメントを探すことができる。
【0266】
このように、将来のバイナリ、画像、およびカスケードは、ますます多い患者データセットが利用可能になれば、下から順に構成される。実質上、プロセッサ304によってモニタリングされる患者の全体プールが試験的データセットを含むことによって、陽性または陰性の統計的関連性が自動的に判定され、新たな関係、障害、予測検査セット検査、不要な検査、有効な治療、不要な治療、無効な治療、および有害治療のすべてが、統計的関係の関数として下から特定していくことができる。
【0267】
確率モーメント評価の適用は、生体の最も重要な特徴の一つである、病態生理学的プロセスおよび生理学的関係の時間依存性を利用したものである。上述したように、動揺に対する生体の動揺と病理学的または生理学的反応とは、関係付けて時間に依存する。各生体は具体的には、化学的、電気的、および機械的エンティティとして構成される。生体のこれらのコンポーネントの各々の関係構造が、化学的、電気的、および機械的作用のタイミングを定義する。したがって、この構造の作用、反応、および不全は、関係構造の関数として定義可能な限界内の順序で発生し、それが作用、反応、および不全の時間関係の限界を定義することになる。
【0268】
病態生理学的カスケードが存在する場合、確率モーメントの増加はより迅速に進展する病態生理学的カスケードによって誘発されるが、より迅速なデータサンプリング、より広い検査帯域(単位時間当たりのより多い検査)、および/またはさらに集中的な検査によっても誘発させることができる。したがって、確率モーメントは、病態生理学的カスケード進展の速度および規模、ならびに並列時系列を提供するために行われる検査の質および範囲の両方の関数である。検査と帯域の拡大が同じであれば、より高い確率モーメントはより速い病態生理学的カスケードの進展を示唆するものである。
【0269】
一実施形態では、事象、バイナリ、および画像が時間集合によって定義され、事象集合が(たとえばウィンドウイングにより)主に(またはもっぱら)時間に基づく、本発明に係るシステムおよび方法が提供される。生理系および病態生理学的プロセスの時間依存性を活用するもので、上述したようなバイナリ画像、および/またはカスケードの提供よりも単純である。このような時間集合は、生理学的不全動画のより複合的な構成を補完するために使用することができる。またバイナリ、画像、および/またはカスケードは、(たとえば、すべての順列または特定の順列セットの結合による)事象オブジェクトの時間ベースの統合から得ることができる。もしくは、あるいは組み合わせて、事象バイナリ、および画像は、規模、勾配、および/またはパターンおよび/または他の特徴のタイプ別に追加的に、または同様に統合することができる。
【0270】
本発明の別の態様によると、各時間関係は、事象、バイナリ、画像、および/またはカスケードの少なくとも一つの部分が事象、バイナリ、画像、および/またはカスケードの別の部分と比較可能となるようにオブジェクトに変換することができる。一例では、アルファ事象の少なくとも一つの時間関係がベータ事象の少なくとも一つの部分と比較されて、少なくとも一つのバイナリ内時間関係(オブジェクトまたはバイナリオブジェクトの特性であってもよい)を導き出す。バイナリ内時間関係(または別の時間関係)は、時系列に変換し、オブジェクト化し、所望に応じてMPPCに組み込むことのできる値を含む。同様に、これは画像およびカスケードに関して実行することもできる。一例では、カスケードの加速がこれにより容易に特定することができる。
【0271】
一実施形態では、プロセッサはセンチネル事象オブジェクト(白血球数の上昇、呼吸数の上昇、または体温の上昇)を検出するようにプログラムされる。次に、プロセッサは、センチネル事象の検出の後ろ向きおよび予測的時間ウィンドウ内で発生するすべての事象オブジェクトを特定する。一例では、体温上昇の検出後、温度プロセッサは、体温上昇から48時間以内に発生するすべての事象を統合し、この統合を(決定的オブジェクトに関連して統計的に得られた統合から構築された、および/または得られた)統合と比較することができる。これらの事象オブジェクトの統合を提供する主要な関係は時間ではなく、統合内の事象オブジェクトを包括的に比較することができる。
【0272】
時間の統合では、新たな事象の追加毎に、複数の決定的事象の将来の発生確率が判定される。上述したように、順番に確率の上がっていく複数の時間依存(一時的)事象が検出されたときに確率モーメントが得られる。複数の決定的事象の確率の時系列を図にし、オ
ブジェクト化し、解析することができる。
【0273】
別の実施形態では、プロセッサは(たとえば)オブジェクト(動揺事象など)を探す時系列を通って反復して循環する(ウィンドウイングのサイクルであってもよい)。オブジェクトは特定されるたびに、これが検出されるオブジェクトタイプであれば、(たとえば)動揺事象セットに配置される。継続的セットはサイクル毎に得られる。各サイクルから得られたセットは、生体の状態に応じて、動揺事象を含まない場合もあれば、数百もの動揺事象を含む場合もある。この手法は実質上サイクル別にオブジェクト(事象)を統合する(循環周波数は決定的オブジェクトに応じて、たとえば約.01秒〜約1時間の範囲を取ることができる)。したがって、継続的セットの動揺事象はオブジェクトを含み、オブジェクトの特徴、オブジェクトの数、およびオブジェクトに関連付けられる確率を有する。これらの特徴はオブジェクト化し解析することのできる各種時系列を得るために使用可能である。一例では、動揺事象の時系列に沿った動揺事象の数(および/または規模)は高い正の勾配を示すが、決定的プロセスの確率の時系列はどれも高い正の勾配を示さない。つまり、プロセッサが動揺の原因を特定できていない(および適時に特定できない)ということであり、熟練医師の診断評価を適時に要するという警告を発することができる。この場合、プロセッサ304は「患者の生理系は次第に動揺を深めている。私は動揺の成長にあった速度で考え得る原因を特定していない。患者には人間の脳による助けが即座に必要である」と告げている。
【0274】
動揺オブジェクトセットは広範囲に(すべての利用可能な時系列から)得ることができる、あるいは特定群の時系列(たとえば、炎症に関連する時系列)の集中セットから得ることができる。様々なセットの成長または減退の相対パターンは、特徴セットの選択された時系列をオブジェクト化することによって比較することができる。一例では、敗血症の間、1セットの炎症動揺オブジェクトが(動揺オブジェクトの数および/または規模の増加、および/または、数および/または規模の増加間の時間間隔の減少を伴い)急速に成長する場合があり、その後、この成長に続いて血行動態動揺オブジェクトセットの急速な成長が生じることがある。セットのオブジェクト化時系列を比較することで、アルファ事象を含む炎症セットの上昇と、ベータ事象を含む血行動態セットの上昇とを有するバイナリを生成する並列上昇オブジェクトが提供される。検出後、呼吸セット上昇の発生を追加して、(特徴セットの時系列から得られる)画像、最後に、特徴セットの時系列から得られる生理学的不全の追加セット動画を生成することができる(特徴はたとえば、動揺の数、動揺の規模、動揺の周波数、動揺の勾配、所与の決定的オブジェクトの確率を含む)。
【0275】
一実施形態は、オブジェクトの有意性を証明し、アーティファクトによる動揺を除外する、二つまたはそれ以上の時系列間の特定のオブジェクト(たとえば、事象、バイナリ、および画像)間の連続的派生の例を提供する。一例では、運動がSPO
2時系列に沿った非アーティファクト脱飽和事象を引き起こすことは十分既知である。しかしながら、運動は脱飽和事象に応答して(特に脱飽和からの覚醒に応答して)発生する場合もある。近接する覚醒運動の存在はSPO
2事象、バイナリ、および画像を証明し、脱飽和の時点で患者が眠っている、あるいは鎮静下にあることを確定する助けとなる。運動誘発アーティファクト脱飽和と真の脱飽和に応答する覚醒運動とは、一般的に関係タイミング、関係空間パターン、および関係周波数パターンおよび特徴において異なる。位相シフトの調節後、アーティファクト脱飽和オブジェクトを誘発する覚醒運動オブジェクトは、脱飽和オブジェクトの開始と同時に、あるいは開始に先立って早期に発生する。覚醒運動オブジェクトは、脱飽和オブジェクトの開始後、あるいは脱飽和オブジェクトからの回復に近接して発生する。また、位相シフトの調節後、覚醒運動オブジェクトは通常少なくとも一つの側面で、SPO
2オブジェクトのパターン、運動オブジェクトのパターンに先行するSPO
2オブジェクトのパターン内の脱飽和オブジェクトのパターンに反映する、および/または対応する特定のパターンで発生する。さらに、クラスタ内の運動覚醒は通常短時間(約2
〜6秒)であり、その後に小さな運動または無運動期間が続く。一実施形態では、プレチスモグラフパルス波形の周波数スペクトルの高周波数成分が運動を示すために使用され、他の既知の方法が(たとえば、Minolta 300iパルスオキシメータによって出力されるような)ステップ関数時系列として閾値運動を示すために使用される、あるいは好ましくは、1〜10の間の値の段階的運動時系列が提供される。
【0276】
以下、睡眠時無呼吸誘発低酸素血を一般的に示唆する「低酸素誘発短期覚醒」(HIM)の画像の発生例を提示する。一実施形態では、HIM画像は運動時系列(プレチスモグラフ時系列から、またはアクティグラフィーまたはその他の方法による運動検出を用いて生成される)、SPO
2時系列、および脈拍時系列(プレチスモグラフ脈拍時系列など)から得られる。これらの時系列はすべて患者搭載パルスオキシメータによって生成することができる。プロセッサ304は、運動事象、バイナリ、または画像の影響範囲内のSPO
2事象、バイナリ、または画像、およびSPO
2事象、バイナリ、または画像の影響範囲内の脈拍事象、バイナリ、または画像を検出する。短時間(たとえば1〜6秒)の運動後の酸素飽和度低下の開始、心拍数上昇(および/または脈拍時系列の別の特性)、およびSPO
2上昇がまとまると、HIMの画像が生成される。場合によっては、運動事象、バイナリ、または画像は、特徴のみの関数である病状を示すことができる。一例では、運動は、たとえば、オブジェクト化、FFT処理、周波数ドメインと空間ドメイン処理の組み合わせ、またはその他の方法によって定義される無呼吸のクラスタにより誘発されるHIMのクラスタに典型的な周期的クラスタパターンで検出され、他の時点では、所与のSPO
2事象、バイナリ、または画像を拒否する決定は、運動およびその他の信号の関係タイミングおよび関係パターンを考慮して行うことができる。一例では、SPO
2揺動のクラスタと関係に組み合わされた揺動のクラスタの存在が、HIMのクラスタの存在の強力な証拠となる。これは、長時間の運動の検出(たとえば、(高SPO
2脱飽和の規模)SPO
2揺動クラスタの最後で15秒以上)によってもさらにサポートされる。この最後の運動は、重度無呼吸のクラスタの累積効果によって誘発される低酸素誘発覚醒(HIA)に特有である。覚醒が疼痛を認知させ、患者自身に脆弱な時点で自己治療させてしまうため、患者管理無痛法で治療されている患者において特定するのは危険な画像である。したがって、プロセッサ304は、PCA治療と組み合わせてHIA画像の組み合わせを検出し、その指摘をPCA装置に送信して、HIAの検出時およびHIA画像が検出された後のインターバル中(たとえば30分)に患者がPCA装置から大量瞬時投与を受けるのを防止するようにプログラムすることができる。PCAが存在するときのHIAの検出は、自己大量瞬時投与が直後に続いた場合には、過剰投薬(または睡眠時無呼吸の治療下)の強力な証拠となるであろう。
【0277】
SPO
2パターンを非アーティファクトとして含めるための一つの方法は、SPO
2時系列と運動を示唆する時系列とを比較し、SPO
2時系列に沿った同様のタイミングおよび特徴(および/または周波数特性であってもよい)と、運動時系列に沿った動揺のタイミングおよび特徴(空間および/または周波数特性であってもよい)との両方に基づきSPO
2時系列を非アーティファクトとしてとして判定することを含む。一実施形態では、これは、閾値の開始前または運動時系列に沿った動揺の傾向前に発生した脱飽和の少なくとも4%、あるいは運動なしの期間中に発生した脱飽和の規模の少なくとも1/3で特定することによって、脱飽和を非アーティファクトとして特定することを含むことができる。脱飽和のクラスタを非アーティファクトとして含めるためのもう一つの方法は、脱飽和のクラスタパターンを特定し、短期運動事象のクラスタパターンを特定することを含み、クラスタパターンは周波数に対応し、運動事象は脱飽和に対するよりも回復に対して広範囲に対応する。脱飽和またはクラスタを非アーティファクトとして含めるためのもう一つの方法は、(たとえばFFTによって)プレチスモグラフ波形を周波数成分に転換し、周波数スペクトルが脱飽和の第1の部分よりも脱飽和からの回復中により高い高周波数成分(またはより広い帯域)を示す場合に脱飽和またはクラスタを非アーティファクトとして
特定することを含む。
【0278】
別の例では、SPO
2の各揺動の回復の勾配、回復の規模、および回復規模率(各揺動の規模増大/規模減少)、期間率(期間上昇/期間低下)、面積率(曲線上下面積上昇/曲線上下面積低下)の時系列データセットが生成され、麻酔薬注入の時系列と比較される。麻酔薬は回復の勾配と規模をいずれも低減させることができ、低下の規模を増加させることができ、回復率を低減させることができる。したがって、本発明の一態様によると、これらの値のうちの一つの動揺パターンまたは閾値の変化(たとえば、10分間の回復の平均勾配における50%の低下)は、起こり得る過剰な麻酔薬治療の指摘を開始させる、あるいはPCAを締め出すために使用することができる。
【0279】
これらは、各マイクロドメインで定義され、プロセッサ304に追加される特定の特性および関係と共に、事象、バイナリ、および画像レベルでの関係画像の例を提供する。本例では、睡眠時無呼吸の画像はHIM、HIA、および運動誘発アーティファクトの画像を包含し、包括的プロセッサ304の基本画像のうちいくつかを表す。
【0280】
一例では、プロセッサ304は、式1および2によって1晩の循環重度指数(CSI)を生成し、出力することができる。
1.T
s=T
t−T
m
ただし、T
s=調査時間
T
m=運動時間(マイクロ覚醒運動以外)
T
t=総時間
2.CSI=[(T
c/T
s)/(SumT
r)/T
c)]平均デルタSPO
2
ただし、T
c=1晩の循環(クラスタ)時間
T
r=回復時間(サイクルクラスタ内のサイクル間)
T
s=除外されたアーティファクト時間を伴う、あるいは伴わない調査時間
平均デルタSPO
2の代わりに、最大10%、または最大10分、またはデルタSPO
2のその他の部分または数量を使用することができる。
【0281】
また、リアルタイム(ウィンドウ)CSI(WCSI)を式3によって与えることができる。
3.WCSI=[(T
cw/T
w)/(SumT
r)/T
c)]平均デルタSPO
2
ただし、T
cw=算出ウィンドウ(たとえば5分)間の循環(クラスタ)時間
T
w=総ウィンドウ時間(たとえば10〜15分)
もしくは、CSIは回復不全に関して調節して式4で回復を生成することができる。
4.CSI(ベースラインSPO
2−平均回復SPO
2)
ただし、差異に対するすべての負の値は1と等しくする。
【0282】
回復CSIの算出の際、ベースラインSPO
2ではなく、90〜93などの値を使用することができる、あるいは回復は低下前にピーク値と数学的に比較することができる。さらに、平均回復SPO
2の代わりに、最小10%、または最小10分、または回復の関係または絶対的規模および/または勾配のその他の部分または数量を使用することができる。
【0283】
一実施形態では、麻酔薬および/または鎮静剤注入から得られるオブジェクトは、回復のオブジェクトと組み合わされて、薬物関連回復不全を示唆する画像を生成する。たとえば、その画像は、薬物注入の発生と、それに続く回復ピーク値の低下および/または回復勾配値の低下の発生を含む。本実施形態は、オブジェクト化時系列マトリックスを適用する患者安全処理技術の例を2、3示す。上述したように、新たなマイクロドメインがマトリックスに追加される場合、このマイクロドメイン内の新たな発生の追加を前提とし、マ
トリックス内の新たな画像が、決定的オブジェクトと関連付けられるより高い確率を有し、その後追加がないかどうかを質問することができる。多数の新たな有意な関係および尺度が、この方法を用いて、あるいは適合性プロセッサ304の処理を提供するプロセスを自動化することによって特定され、該プロセス中、プロセッサ304は発生を探す広範囲のマイクロドメインを通じて構成および循環して、マトリックスに追加されるときに明らかに正のまたは負に確率を変化させる。
【0284】
図24は、患者安全プロセッサネットワークのデータフロー図である。二つの稼働中の医療施設(1200および1207)が中央集中画像データセンター1210に接続される。一実施形態では、施設は最低でも、患者安全プロセッサ1201と患者安全視覚化プロセッサ1202の二つのプロセッサを含む。また、各施設は最低でも、統合された患者データと関連するオブジェクト化時系列マトリックスとを含む患者安全性画像データベース1204と、未処理生理学的信号および上述のその他の入力からオブジェクト化時系列マトリックスを構成するのに必要な発生定義(たとえば、事象定義、バイナリ定義、および画像定義)をすべて含む安全性画像定義データベース1205と、の二つのデータベースを備える。
【0285】
構成された客観化時系列マトリックスを含む患者モニタリングデータはこの方向で総合患者安全性画像データベース1212へと流れ込み、調査やその他の報告作業を遂行することのできる利用可能なデータを増やす。このデータフローはたとえば、データベース同期化、メッセージ待ち行列、EDI、エンタープライズサービスバス、非同期ウェブサービス、ビジネスプロセス管理ソフトウェア、またはその他の企業体系化サーバによって簡易化することができる。一実施形態の一例では、中央集中画像データセンター1210は、総合患者安全性画像データベース1212、安全性画像定義データベース1216、および患者安全データウェアハウス1214の三つのデータベースを備える。
【0286】
総合患者安全性画像データベース1212は、任意数の医療施設における患者安全性画像データベースからの総合データを有する。患者安全データウェアハウス1214は、総合患者安全性画像データベースの解析によって生成されるデータベースであり、大集団内の発生の存在および解析に関するデータマイニング用に最適化されたオンライン解析処理(OLAP)データベースである。
【0287】
一実施形態の一例では、安全性画像定義データベース1216は、調査の結果、確率モーメントに関して最も正確であると判定された発生定義(たとえば、画像定義)の中央集中保管庫である。これらの定義は、上述されるように、状態を特定および治療する機能を強化するために任意数の施設によってアクセス可能である。安全性画像定義データベース1216に対して追加、変更、または削除される発生定義は、配布を専門とする個人または委員によって、あるいは所定の送信プロトコルによって医療施設に配布することができる。
【0288】
図14に示される研究センター1220は、プロセッサ304のメタデータを発生定義セットの形式で作成し、検査し、更新し、配布する際に中央集中研究チームをサポートするソフトウェアのセットである。一実施形態の一例では、研究センター1220は、患者安全比較プロセッサ(PSCP)1222、患者安全発見プロセッサ1224、確率査定スタジオ1226、および誘導画像発見1228のソフトウェアを含む。上で詳述したこれらのソフト成分はすべて、発生定義セットの発見、認証、改善、確率査定、および記憶を簡易化する。
【0289】
図28は、一実施形態の一例では、発生定義セットを視覚的に構成し維持するために使用されるソフトウェアである発生定義エディタのユーザインタフェースモデルを示す。発
生定義エディタ1320は、一連のポイントおよび発生ストリーム内でのマイクロドメインの調査、識別、および定義のために柔軟な環境を有する。該環境は、研究者がマイクロドメインの位置を特定し、マイクロドメイン内の特定エレメントに焦点を合わせる、あるいは選択されたマイクロドメインの特性を作成できるように構成される。
図28で構成されるように、発生定義エディタは四つの異なるセクションを有する。
【0290】
第1のセクションは、画面の最上部にある選択バー1324である。構成されるように、本セクションは、発生タイプ1328を選択し、選択発生1330を表示する機能を含む。選択された発生タイプは、研究者が見ている、および/または更新している発生定義を特定する。この発生タイプはより単純なタイプ(事象またはバイナリ)であってもよいし、より複合的なタイプ(画像、反復画像、またはパターン画像)であってもよい。発生タイプは、発生定義セットに残っていない候補タイプであってもよい。さらに、発生エディタによって、研究者は派生タイプを作成し、そこで異なるタイプの定義で始め、新たなタイプを作成するように変更を加えることができる。
【0291】
選択発生1330により、研究者は発生マイクロドメインの定義に取り組む際に基準となるように、利用可能な発生ストリーム内の発生を一つ選択することができる。選択発生が選択されると、画面の最下部(第4の)セクションに(構成部分のすべてまたは一部とともに)表示することができる。このため、研究者は、基準ケース内の定義の変更結果を即時に見ることができる。研究者は、編集途中にいくつかの基準ケース間で切換を行うことができる。画面の第2のセクションは、いくつかのサブセクション:発生タイプエクスプローラ1332、特徴ボックス1334、その他参加リスト1336、および依存性ビューア1338から成る。発生タイプエクスプローラは本セクションの主要エレメントであり、その他のサブセクションはすべて、発生タイプエクスプローラと、同エクスプローラ内で選択される発生タイプ(たとえば、
図28のオキシメトリ揺動)とに関係する。本セクションは、研究者が追加の発生タイプを検索し、構成途中の定義に追加する機能を提供する。発生タイプエクスプローラ1332は、作業発生定義に追加する、研究者が利用可能な発生タイプをすべて列挙する。研究者は、発生エクスプローラ1332から発生タイプを構成面1344にドラッグして、発生タイプを作業発生定義に追加することができる。検索機能はリストをフィルタリングするために設けられる。研究者が発生エディタの発生タイプを選択すれば、本セクション内の他の三つのサブセクションは選択された発生タイプに固有の情報を反映するように変更される。
【0292】
その他三つのサブセクションは以下のように情報を提供する。特徴ボックス1334は、発生エクスプローラで選択された発生タイプの特徴リストを提供する。これらの特徴は、たとえば、名称、タイプ(すなわち、たとえば、事象、バイナリ、または画像である)、視認性(すなわち、どのドメインがこれに適用されるか)などを含む。本セクションは、研究者が発生定義の状態(たとえばどの研究者がそれを作成したか、いつ作成されたか、承認されているか、あるいは検討中であるか、など)を把握できるようにワークフロー詳細も含むことができる。その他参加リスト1336は、発生エクスプローラで選択された発生タイプが参加する発生のリストを表示する。たとえば、
図28に示されるように、オキシメトリ揺動発生が発生エクスプローラで選択されるため、オキシメトリクラスタ反復発生がその他参加リスト1336に表示される。オキシメトリ揺動がオキシメトリクラスタ反復発生の一部であるためにここで表示されるのである。ここでは、任意数の発生タイプを列挙することができる。依存性ビューア1338は、発生エクスプローラで現在選択されている発生タイプの依存性モデルを示す。依存性は、依存性ツリー図、発生リストなどの各種ビューで示すことができる。
図28は、オキシメトリ揺動に関する依存性図を示す本セクションを示す。依存性ビューアにより、研究者は発生エクスプローラで選択された発生タイプの全構成部分を、構成される発生タイプにとって必要な未処理信号まで調べることができる。
【0293】
画面の第3のセクションは、研究者が(たとえばドラッグアンドドロップで)発生の範囲を表す図を描く発生定義
図1340である。本セクションは、フェーズドロップダウン1341を用いて、図が適用される位相(たとえば、範囲特定、エレメント構成、範囲改良)を特定するように構成することができる。ビュー依存性ボタン1342により、研究者は表示された図が依存する依存性を見ることができる。図自体は構成面1344に表示される(
図28に示される図は
図10でより詳細に説明されている)。
【0294】
第4の最後のセクションは(構成されるように)時系列セクションである。本セクションは、発生ストリーム1346と関連するポイントストリーム1346(たとえば信号)とを含む。これらのストリームは、(選択された発生機能1330を使用して)特定の発生が選択されるとき、あるいは追加ストリームボタン1348を通じて個別に追加される。ストリームは時間上並列に示される。発生ストリームが追加されると、発生定義エディタは、関連する発生ストリームおよび/またはポイントストリームを追加すべきかどうかを尋ねることができる。
【0295】
本セクションにより、研究者は、自らが取り組んでいるマイクロドメインを構成しながら実際のデータを調べることができる。発生定義の変更はすぐに時系列セクションに反映されるため、研究者は定義を基準患者に同調させることができる。複数の患者(または患者滞在)が要求される場合、ストリーム群を時間上協調させるように時系列セクションは複数のサブセクションに分割することができる。このように、研究者は発生定義を正確に改良するように、陽性ケースと陰性ケース(おそらくは似通っているが誤解を招きやすいパターン)を見たいと思うかもしれない。
【0296】
発生定義エディタは、研究者が発生定義を改良するために使用可能な豊富なツールセットの一部となるように構築される。たとえば、発生定義エディタは患者安全比較プロセッサにリンクして、研究者の要求に応じて基準患者セットの統計的解析を実行する(たとえば、SSIを判定する)。このように、研究者は定義の変更に対する統計的影響を即時に査定することができる。
【0297】
さらに、発生定義エディタは、誘導された画像発見中に、画像構成プロセッサと共に採用することができる。このように、プロセッサによって提供される自動化(たとえば、統計上有意であり得る画像の位置)は研究者によって指示され改良される。
【0298】
図29は、発生定義エディタの第2の例を示す。この場合、発生定義エディタは僅かに異なって構成され、ヘパリン誘発性出血画像の編集を示す。発生定義エディタユーザインタフェースの概要に関しては、
図28を参照されたい。
図29では、構成面は二つのセクション−シーケンス化1350と非シーケンス化1352(画像のシーケンス化エレメントと非シーケンス化エレメントとの差異は
図8Cで説明した)に分割される。発生定義エディタの最下部セクションは、
図28とは異なって構成される。この場合、研究者は関連する時系列を見るのではなく、研究者は左下の対象化ルール1354と右下の特性/類義語1358を見ることを選択している。これらのセクションによって、研究者は発生定義をさらに改良することができる。対象化ルールセクション1354は、ターゲット発生タイプの発生として発生を分類するために満たさなければならないルールを挙げている。これらのルールは上述したように、たとえば、ブール式または保存ルールセットであってもよい。ルールはこの画面で要約的に(または名称で)挙げられているが、研究者はビュールールエディタボタン1356を使用してそれらを編集し、より完全なビューを得ることができる。特性および類義語は特性/類義語リスト1358に列挙される(特性および類義語については、
図5および
図7Aで詳細に説明した)。特性および/または類義語はこの画面で要約的に(または名称で)挙げられているが、研究者はビュールールエディタボ
タン1356を使用してそれらを編集し、より完全なビューを得ることができる。
【0299】
特性エディタを
図30で詳細に説明する。選択発生が選択されると、各条件ルール、特性、および類義語の評価結果(有効であれば)が表示される。発生定義図の変更は、対象化ルール、特性および/または類義語に影響を及ぼし得る。図の変更がこれらのエレメントを無効化すれば(たとえば、特性依存性の一部である構成部分を除外する)、エディタは(ユーザによって構成されるように)色、アイコン、メッセージ、または上記すべてでその事実を示すだろう。対象化ルール、特性、および類義語の依存性およびその他の特徴は見る、および/または関連エディタ(ルールエディタまたは特性エディタのいずれか)内で編集することができる。
【0300】
図30は、発生定義エディタ(
図28および
図29に示す)内の発生特性エディタのユーザインタフェースモデルを示し、一実施形態の一例では、発生定義セット内の発生特性を視覚的に構成し持続させるために使用されるソフトウェアツールである。発生特性エディタは、発生定義エディタ内で呼び出す、あるいは独立型ツールとして使用することができる。
【0301】
図30で構成されるように、発生特性エディタは四つの個別セクションを有する。第1のセクションは、画面の最上部の選択バー1370である。構成されるように、本セクションは、選択機能と範囲1372および選択された発生1374のディスプレイを含む。選択された範囲1372は、研究者が見ている、および/または更新している発生定義を特定する。この発生タイプは、より単純なタイプ(事象またはバイナリ)またはより複合的なタイプ(画像、反復画像またはパターン画像)のいずれであってもよい。一実施形態では、範囲1372は、発生タイプ(たとえば変曲点)のサブエレメントを含むことができる。発生特性エディタが発生定義エディタから呼び出されたら、範囲1372が、研究者が現在編集している発生タイプとして最初に設定される。選択された発生1374により、研究者は、自らが発生マイクロドメインの定義に取り組む際の基準となる、利用可能な発生ストリーム内の発生を選択することができる。選択された発生が選択されると、それは(構成部分の全部または一部と共に)画面の最下部の(第4の)セクションに表示することができる。これにより、研究者は基準ケースにおける定義の変更の結果を即時に見ることができる。研究者は編集中に、いくつかの基準ケース間の切換を行うことができる。
【0302】
第2のセクションは、いくつかのサブセクション:発生モデルビュー1376、特徴ボックス1380、および依存性ビューア1382から成る。発生モデルビューは本セクションの主要エレメントであり、その他のサブセクションはすべてその主要エレメントと、主要エレメント内で選択される項目(たとえば、
図30の不安定指数算出特性)とに関係する。本セクションは、研究者が、範囲の発生モデル内の上記項目(たとえば、特性、類義語)を検索し、築途中の特性定義内にエレメントとして追加する機能を提供する。発生モデル1384は、範囲内の発生タイプすべてとその関連特性、類義語、およびルールすべての階層を含む。研究者は、発生モデル1384から項目(たとえば特性)を式構成面1394上にドラッグし、作用特性定義にエレメントとして追加することができる。階層をフィルタリングする検索機能が提供される。研究者が発生モデル1384内の項目を選択すれば、本セクション内のその他三つのサブセクションは、選択された項目に特有の情報を反映するように変更する。その他三つのサブセクションは以下のように情報を提供する。
【0303】
特徴ボックス1380は、発生モデル1384で選択された項目の特徴リストを提供する。これらの特徴は、たとえば、名称、タイプ(
図30に示されるような算出された特性)、値(選択された発生が利用可能な場合)などを含む。本セクションは、研究者が発生
定義の状態(たとえばどの研究者がそれを作成したか、いつ作成されたか、承認されているか、あるいは検討中であるか、など)を把握できるようにワークフロー詳細も含むことができる。依存性ビューア1382は、発生モデルで現在選択されている項目の依存性モデルを示す。依存性は、各種ビュー:依存性ツリー図、発生リストなどに示すことができる。
図30は、不安定指数算出特性に関する依存性図を示す本セクションを示す。依存性ビューアにより、研究者は発生エクスプローラで選択された項目の構成部分をすべて、構成されるおよび/または評価される項目に必要な未処理信号に至るまで調査することができる。
【0304】
画面の第3のセクションは、図示される構成で、三つのサブセクション:特性式ボックス1340、評価結果パネル1392、および作用特性定義に接続される第2の依存性ビューア1396から成る。特性式ボックス1340および含まれる特性構成面1394は、研究者が(直接あるいはドラッグアンドドロップを通じて)作用特性を定義する式を作成する編集空間を提供する。特性のタイプは、タイプドロップダウン1388(たとえば、算出特性や属性)から選択することができる。特性のタイプが変更された場合、構成面1394は特性タイプに合わせて再構成される。たとえば、属性が選択されると、構成面は二つの部分:ブール状態と値式とに分割される。依存性ビュー1396により、研究者は作用特性が依存する依存性を見ることができる。
【0305】
第4の最終セクションは(構成されるように)時系列セクションである。本セクションは、
図28と同様、発生ストリームおよび関連のポイントストリーム(たとえば信号)を含む。本セクションにより、研究者は自らが取り組んでいる特性を構成しながら実際のデータを調べることができる。特性定義の変更は時系列セクションに即時に反映されるため、研究者は定義を基準患者に合わせて調整することができる。
【0306】
図31は、選択された基準患者および発生を用いて使用される発生特性エディタ(
図30に示されるものと同じ)のユーザインタフェースモデルを示す。
図32は、サンプル依存性図、具体的にはヘパリン誘発性出血画像の依存性を示す画像依存性図であり、依存性図はルートエレメント1430から未処理ポイントストリーム(1450、1452、1454、1456、1458、および1460)に至るまでの依存性の視覚化を提供する。
【0307】
一実施形態の一例では、依存性図は、依存性に関して評価されているエレメントを表すアイコンである単独のルートエレメント1420を含む。いくつかの場合、ルートエレメント1420は省略することができる(たとえば、ソフトウェアユーザインタフェース内に明確に示唆される)。ルートエレメントから線が下方に伸びて依存性を示す。代替的実施形態(
図32には示さず)では、線は任意の方向に突出することができるが、矢印の頭で依存性の方向を示す。アイコンは依存性のエレメントを表す。アイコンはたとえば、発生タイプ(たとえば、
図32では、三角形アイコン1438はヘパリン上昇事象を表す)、特性、ルール、サブエレメントを表すことができる、ポイントストリーム(たとえば、
図32では、波状アイコン1456はヘモグロビン信号を表す)を表すことができる。図中の各ノードはそれ自体が依存性図である。双方向的環境では、ノードは折り畳む、あるいは展開することができる。ポイントストリームはリーフノードとみなされ、依存性を有していない。その他のリーフノードも存在することができる。たとえば、特性に関する依存性が表示されており、特性が式:勾配*0.8を有する算出特性である場合、依存性図は勾配特性と数0.8の二つのトップレベルのノードを有する。この場合、数0.8はリーフノードとなる。依存性図は、範囲依存性(
図32の場合のように)、または特性、ルール、および類義語を含むより詳細な依存性を示すために使用することができる。この第2の構成が単独の値の依存性を示す際に最も頻繁に使用される一方、第1の構成は範囲の発生に焦点を当てる際に最も頻繁に使用される。
図32の依存性図は対称的ではあるが、
これに限らない(そうでないことも多い)。
【0308】
依存性図は依存性リスト内に折り畳むことができる。依存性リストは単に依存性のすべてを列挙するが、階層関係は示さない。
図32の図はリストに折り畳むことができる。
・ヘパリンまたは有害PTTパターン(バイナリ)に対する脈拍反応
・ヘパリンまたは有害PTTパターン(バイナリ)に対するヘモグロビン反応
・ヘパリンまたは有害PTTパターン(バイナリ)に対する血圧反応
・PTT上昇(事象)
・脈拍上昇(事象)
・ヘモグロビン低下(事象)
・血圧低下(事象)
・ヘパリン(チャネル)
・PTT(チャネル)
・脈拍(チャネル)
・ヘモグロビン(チャネル)(たとえば、パルスオキシメトリによりリアルタイムで取得)
・血圧(チャネル)
依存性図および依存性リストはフィルタリングすることができる。サンプルフィルタリングは(2、3例を挙げると)以下を含む。
・ポイントストリームを表示しない。
・トップレベルの依存性のみ(すなわち、
図32では、ヘパリン1432に対する脈拍反応、ヘパリン1434に対するヘモグロビン反応、およびヘモグロビン1436に対する血圧反応)を表示する。
・特性、ルール、および類義語を発生タイプに折り畳む。この場合、構造のみが示されて、特定のサブエレメントは示されない。
【0309】
患者データ(たとえば、選択された発生ストリームおよび発生)が存在する場合、依存性ツリーを強化することができる。たとえば、単独の値(たとえば、特性またはルール)まで評価可能なエレメントについては、評価された値を表示することができる。範囲エレメント(たとえば、発生タイプ)を表すエレメントは、特定の範囲要件を満たすために使用された実際の発生へのハイパーリンクを提供することができる。反復発生のようないくつかの場合、依存性図は事例図に拡張することができる。この場合、単独の依存性が、発見された発生すべてのリストへと拡張される。このように、事例図は、選択された発生内のエレメントへの迅速アクセスを生成する。これは非常に複合的な画像、特に画像が非常に大量な時間にまたがる場合に非常に有効であろう。事例図内で個々のノードを選択することで、ユーザは発生および/またはポイントストリーム内のエレメントにナビゲートし、並列時間ビューを適切に(たとえば、正しいスケールおよび時間位置に)シフトすることができる。
【0310】
研究者に関係する別のビューでは、依存性ツリーは各ノードの統計的有意指数(SSI)を示すように強化することができる。このように、研究者は統計的依存性を認識することができる。たとえば、ルートノードが(特定の状態を参照して)子ノード以下のSSIを有する場合、研究者はノードによって表されるより単純なバージョンのためにより複合的な画像を廃棄することができる。
【0311】
図33は、具体的には、
図5および
図7Aで詳述したパターン発生を定義するように構成される発生エディタのユーザインタフェースモデルを示す。ユーザインタフェースは
図28および
図29のユーザインタフェースと非常に類似する(これらの図中の細部については
図28および
図29を参照)。パターン発生構成は、独自の構成領域を有する。構成領域は、発生パターン定義バー1480と二つのサブセクション:簡略記号表示リスト1
488とパターンシーケンス構成面1488とから成る。
【0312】
発生パターン定義バー1480は、
図28と同じ役割および機能でフェーズドロップダウン1482とビュー依存性ボタン1484とを含む。簡略記号表示リスト1488は単に、関連の簡略記号(たとえば1486)と共に並べられたパターン(たとえば、1486)の一部を成すように選択される発生タイプのリストである。パターンシーケンス構成面1488により、簡略記号の配列でパターン発生定義を表すことができる。研究者が発生エクスプローラから簡略記号リスト上へ発生タイプをドラッグすれば、エディタは(たとえば、アルファベット順で)次の簡略記号を有するリストに入力する。その後、簡略記号は簡略記号を、パターンを記載するように構成されるパターンシーケンス構成面上にドラッグすることができる。もしくは、研究者が、発生エクスプローラから発生タイプを直接パターンシーケンス構成面上にドラッグすることができる。エディタは最初に簡略記号リストを検索して、一致が発見されるかどうかを確認する。一致が発見される場合、正しい簡略記号がドロップで指示される位置で面上に配置される。一致が発見されない場合、簡略記号がリストに追加され、次に、リストの位置で面上に配置される。新技術の効率およびモニタリングの最適化のために新技術をプロセッサ304に組み込むプロセスの一例を説明する。新技術のプロセッサ304への導入の一例として、静脈還流の促進に対する感度増強を検出するシステムおよび方法を説明する。重症患者の血管内容積状態は未知であることが多いが、脈圧変動を用いた血管内容積状態の査定または脈拍変動指数の使用が有効であると推進されている。しかしながら、これに関しては、米国特許出願第11/708,422号(この開示は、本明細書で完全に開示されるのと同様に、あらゆる目的のため参照により全文を組み込む)に記載されるように、これは脈拍変動を増大させる誤った生理学的作用に向かう可能性があり、間違った治療につながる誤傾向を生む。患者のニーズに応じて血管内容積を表示する継続的なモニタリングが必要とされ、本発明の実施形態はその機能を提供することができる。静脈還流の促進に対する感度増強を検出するシステムおよび方法1500の一実施形態は、血圧および/または血流の変動の検出モニタ(たとえば、パルスオキシメータ、自動血圧カフ、または動脈線)を含む血管内容積状態の検出システムを含むプロセッサ304 1510のコンポーネントと、少なくとも一つの四肢を圧迫して四肢からの静脈還流を増大させる脚部全体またはふくらはぎ圧迫装置1512などの静脈還流増大装置とを含み、プロセッサは、プロセッサ304 1510、またはたとえば、脈拍上昇運動の上昇1524および/または血流の動脈圧を示す(たとえば、自発的または人工的換気循環に応答する脈拍変動1530の低下を含むことができる)測定値を検出および/または定量化するパルスオキシメータ1520とすることができる。一実施形態では、従来の四肢圧迫装置1512は、深部の静脈血栓を防ぐように患者のふくらはぎを圧迫するために採用される連続圧迫装置を含み、それは短期間持続される漸次的圧迫を加えるように集成することができる(たとえば、四肢圧迫装置は、DVT防止モードと、遠位方向から近位方向への持続的圧迫を提供する静脈還流促進モードとを有することができる)。より高い鋭敏度の場合、対象を圧迫するために延長する圧迫装置を使用することができる。圧迫は、者に投与される溶液を減らしてより大きな効果を上げるために、溶液大量瞬時投与のような静脈還流促進のための別の機構と同調させることができる。機械式換気に関連して静脈還流の相対感度を判定するため、促進は静脈還流を低減させる操作(たとえば、吸気の最後の停滞状態や短期間の上昇PEEP)の前であっても、後ろであっても、組み合わせてもよい。プロセッサ304は溶液大量瞬時投与と圧迫とを協調させて、適切なタイミングを確保することができる。圧迫装置1512またはその他の静脈還流促進体が始動されるときを示すインジケータ1534を提供することができる。インジケータ1534はたとえば、印加された圧力の時系列1540を生成することのできる圧力トランスデューサであってもよいし、四肢の圧迫の発生および/または開始を示す圧迫装置1512自体からのステップ関数または時系列出力であってもよい。一実施形態では、プロセッサ304 1510は、バイナリのアルファコンポーネントが静脈還流の促進を誘発する少なくとも一つの事象(ふくらはぎ、脚、腹部、および/または上
肢などの人体への圧迫を含み、ベータコンポーネントが心血管パラメータの少なくとも一つの変動(たとえば、脈拍上昇運動の上昇1524または脈拍変動の低下1530)を含むバイナリを検出するようにプログラミングされる。連続バイナリは、圧迫装置が四肢を圧迫するように作用するたびに時系列に沿って得ることができる。連続アルファ促進事象に対する動脈側での新たな、または変動する連続ベータ値の発生(たとえば、心出力または血圧の感度向上を示す)は、血管内容積の低下(したがって、静脈還流促進に対する感度増強)を指摘することができる。もしくは、連続アルファ促進事象に対する静脈側での新たな、または変動する連続ベータ値の発生(たとえば、脚部圧迫に応答して、減衰勾配の低下または中心静脈圧の曲線下の面積増加)は、静脈還流促進に対する中心静脈圧および肺毛細血管楔入圧(または左心房圧)の感度増強を生成する血管内容積の過度な上昇を指摘することができる。この方法(たとえば上述の特許出願に記載されるように、人工呼吸器に関連する静脈還流の低減をモニタリングする方法と組み合わせることができる)を用いて、プロセッサ304は、たとえば、現在配備される技術(たとえば、パルスオキシメータ、中心静脈圧モニタ、機械式人工呼吸器、非侵襲的または侵襲的血圧モニタ、肺動脈カテーテル、連続的心臓出力モニタ、および連続ふくらはぎ圧迫装置)から時系列マトリックスに沿って関係パターンを比較し、血管内容積と静脈還流の低減および促進の変動に対する心血管感度とをリアルタイムで指し示すことができる。当該装置は、術後時間線の時系列1570に関連して実際のふくらはぎ圧迫の確認1560も提供する。
【0313】
一実施形態によると、プロセッサ304による解析用により包括的な時系列マトリックスを生成するため、二重腔カニューレの一方の内腔を酸素源に接続し、他方の腔を圧力および/または流量センサに接続することができるため、鼻吸気圧の時系列が酸素の時系列と一緒に生成され、これらの時系列はパルスオキシメータからの各種時系列と結び付けることができる。装着しやすいように、カニューレは鼻吸気圧センサと首の周囲に装着したパルスオキシメータ(たとえばボレロのような構造)とに接続することができ、酸素源への接続を提供する別のチューブと接続可能な端子を有する。一実施形態では、首で分岐し、一方が鼻吸気圧用に接続され、もう一方が酸素源用に接続される単内腔カテーテルが使用される。連続的酸素流と流量変化によって誘発される圧力の存在は、鼻吸気圧信号のAC成分が重畳されるチューブ内のDC圧力成分として検出される。
【0314】
別の実施形態によると、プロセッサ304は、初期の換気扇関連肺炎(VAP)の証拠を検索するために適用される。データセットの時系列マトリックスは人工呼吸器から得られ、たとえば、分換気、LE率、呼吸数および呼吸力、FIO2、酸素消費(利用可能な場合)、CO2生成、呼気CO2、誘発された呼吸対自発呼吸の傾向、呼気成分などである。これらはプロセッサによって、たとえば、心拍数、脈圧(および/またはプレス)変動、脈拍上昇運動、脈圧、および手技反応圧力変動などの心血管モニタの時系列とさらに組み合わせることができる。これらは、好中球率および/または数、穿刺(帯域率)および/または数、炎症マーカ、痰パラメータなどの検査データの時系列、およびSPO
2、体温などのその他の生理学的測定値またはスコアの時系列とさらに組み合わせることができる。これらは、痰またはBALスコアまたは値、錯乱スコア、およびX線スコアおよび/またはスケールなどのその他の値の時系列とさらに組み合わせることができる。その他の感染源がない場合および/または痰量または化膿スコアの上昇がある場合に、炎症−呼吸−のカスケードおよび/または心血管促進が発見されると、換気扇関連肺炎(VAP)の疑いが強い。本発明の別の態様によると、機械式換気で管理される患者は患者安全プロセッサ304によってモニタリングされ、患者安全プロセッサ304は、少なくとも呼吸データおよび炎症データのデータセットを生成し、VAPを示唆する関係パターンに関して少なくとも両方のデータセットを断続的または継続的に検索し、VAPを示唆する関連パターンの検出後に出力を提供する。関係パターンは、時系列マトリックスに沿ってリンクされた、あるいは統合された動揺/傾向/閾値違反から成るカスケードとすることができる。
【0315】
オブジェクト化は、時系列マトリックスを自由に検索可能にするためにプロセッサ304によって採用することのできる時系列処理方法の一例である。上述したように、オブジェクト化は、時系列マトリックスを複雑性順の個別の連続するおよび/または重複するオブジェクトのストリームに3軸以上で変換して、各時系列およびオブジェクト化マトリックス自体を複数次元で容易に検索可能とする。オブジェクト化を採用する時系列検索プロセスの一例が、オブジェクト化への第1のステップとして提供される。プロセッサ304は、1セットの時系列を一つの検索ベクトルに統合する。発生タイプと検索ベクトルとの組み合わせが、単独の発生ストリームを得るデータを定義する。検索ベクトルは、時間ウィンドウ(明示的に、あるいは「患者滞在」または「術後観察期間+1日」などの特定されたエレメントの関数として)と、定義またはルールによって、時系列を得るシステム内の現象の追跡に適用する1セットの時系列とによって定義される。たとえば、検索ベクトルは、病院滞在中の呼吸数および/または振幅に関して作成することができる。プロセッサ304は、呼吸数および/または振幅を得ることのできるすべての信号を修正するように方向付けることができる。たとえば、プロセッサ304はパルスオキシメータからの信号を使用することができる、あるいは、EKG信号および/または二重内腔圧感知鼻カニューレ、および/または胸部または気道上の音声センサ、および/またはその他のデータ源から得られる胸部インピーダンス信号を使用することができる。
【0316】
このように、検索ベクトルは任意数の時系列を含むことができる。プロセッサ304は、ある特定の信号が発見された場合、他の信号が無視されるように、特定の信号を「優先する」ように方向付けることができる。もしくは、プロセッサ304は、すべての利用可能な信号を総合して、重複させることができるように方向付けることができる。このように、検索ベクトルは重複する時系列を含むことができる。たとえば、患者が二つの異なるオキシメータを身につけている場合、プロセッサ304は、その両方を単独の検索ベクトルに含めるように方向付けることができる。検索ベクトル内に重複する時系列が存在する場合、同時刻(または特定される妥当な位相シフト内)での発生の識別は、検索および/または統計的解析のために一つの発生としてカウントされる。この場合、両方のオブジェクトが記憶され、関係バイナリ化がそれらの間で作成される(たとえば、「等価発生」として分類される)。プロセッサ304は、統計的解析および検索がモニタリングされるシステム内での単独の事象の複数記録を反復しないように、発生の一つを「主」とし他を副と特定することができる。等価発生が発見されると予想されるが、発見されない場合、発見された発生と予想された発生が発見されなかった検索領域とを総合して、分岐するバイナリを作成することができる。
【0317】
一実施形態では、検索ベクトルは、以下の三つのことを含むいくつかのことを達成することを意図する。データの記録の割込みが行われた同一ソースからの時系列を統合することができる。同一タイプである、あるいは複数のリード線を有する二つのモニタからの時系列を統合することができる。システム内の同一現象の等価観察を表す異なるソースを利用することができる。一方、プロセッサ304の一実施形態では、検索ベクトルは、モニタリングされるシステム内の現象に対する個々の全身性反応を表す二つの時系列を統合するためには使用されない。同一現象に対する複数反応の特定は、別々であるが並列する検索ベクトルによって対処することができ、複合的な発生の集合(画像など)と、確率モーメント(上述)を生成するそれらの進展との特定を可能にする。
【0318】
開示される実施形態は様々な修正や代替の形状を取ることができるが、具体的な実施形態をたとえば図面に示され、本明細書で詳細に説明してきた。しかしながら、本開示は、開示される特定の形状に限定されることを意図するものではないと理解しておくべきである。事実、開示される実施形態は生理学的不全系の臨床的診断に適用されるのみでなく、本明細書で提供されるような画像によって表示可能ないかなる臨床状態にも適用すること
ができる。実際に、開示される実施形態は、術後のモニタリングのように患者の状態が一般的に向上しつつある状態をモニタリングおよび/または診断するために適用することができる。むしろ、本開示は、添付の以下の請求項で定義されるように、開示される実施形態の精神および範囲に含まれるすべての修正、等価物、および代替物をカバーすることができる。