特許第5694216号(P5694216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5694216監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694216
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/42 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   H04L12/42 M
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-52928(P2012-52928)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-187816(P2013-187816A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237662
【氏名又は名称】富士通テレコムネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】森谷 武志
【審査官】 鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−227084(JP,A)
【文献】 国際公開第03/026222(WO,A1)
【文献】 特開平09−238153(JP,A)
【文献】 特開2003−296206(JP,A)
【文献】 特開平05−304528(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0192997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置と、前記複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置とで構成される監視制御システムにおいて、
前記監視制御装置は、前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定する
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
請求項に係る監視制御システムにおいて、
前記監視制御装置は、複数の前記加算値の最大値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数に設定する
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に係る監視制御システムにおいて、
前記監視制御装置は、主信号の伝送経路が前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えられた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と、前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを再設定する
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項4】
ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置において、
前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定するポーリング制御部を設けた
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項5】
請求項に係る監視制御装置において、
前記ポーリング制御部は、複数の前記加算値の最大値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数に設定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に係る監視制御装置において、
前記ポーリング制御部は、主信号の伝送経路が前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えられた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と、前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを再設定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項7】
ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置と、前記複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置とで構成される監視制御システムのポーリング制御方法において、
前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定する
ことを特徴とするポーリング制御方法。
【請求項8】
請求項7に係るポーリング制御方法において、
最大の前記加算値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数とする
ことを特徴とするポーリング制御方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に係るポーリング制御方法において、
前記運用系ルートと前記待機系ルートとの切り替えによって主信号の伝送経路を前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを入れ替える
ことを特徴とするポーリング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末間で冗長化されたネットワークを構成する複数の伝送装置と、これらの伝送装置を監視および制御する監視制御装置とで構成される監視制御システムで利用されるポーリング制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インターネットや専用線ネットワークの中継/伝送ネットワークを構成する複数の伝送装置は、リングネットワークで構成されることが多く、システムの信頼性を高めるため信号ルートは冗長化されている。
【0003】
例えば図11の場合、ユーザ端末901とユーザ端末902との間を6台の伝送装置904を介して接続されている。そして、ユーザ端末901は伝送装置904_1、ユーザ端末902は伝送装置904_6にそれぞれ接続され、伝送装置904_1から伝送装置904_6の6台の伝送装置904はリングネットワーク903を構成し、ルートAとルートBとに冗長化されている。尚、伝送装置904_1から伝送装置904_6までの6台に共通の説明を行う場合は符号末尾の(_番号)を省略して伝送装置904と表記し、特定の伝送装置904を指す場合は符号末尾に(_番号)を付加して例えば伝送装置904_1のように表記する。
【0004】
そして、図12に示した監視制御システム900の例では、6台の伝送装置904を監視制御するための監視制御装置(サーバ)911が点線で示した監視制御網913を介して各伝送装置904に接続されている。ここで、図11と同符号のものは同じものを示す。図12において、6台の伝送装置904は物理的に離れた場所に配置されるため、それらを統合して監視制御するオペレーションシステムとして、サーバ911が配置され、サーバ911に接続された制御端末(クライアント)912をオペレータが操作して監視制御システム900を管理する。
【0005】
このようにして、各伝送装置904は、点線で示した監視制御網913を介して接続されるサーバ911から定期的に送信されるポーリングによって監視されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2003−529706号公報
【特許文献2】特開2007−282153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、監視制御装置であるサーバ911により監視制御しなければならない伝送装置904の台数は数百台程度であったが、物理的制約に伴うサーバ911の設置箇所の削減や、異なるネットワークを統合する装置の登場などにより、1台のサーバ911で監視制御しなければならない伝送装置904の台数が数千台規模に増えてきた。
【0008】
このような監視制御しなければならない伝送装置904の台数の増加に対して、従来と同様の信頼性を維持するためには、伝送装置904を監視する1台の監視制御装置(サーバ911)が行わなければならない全体のポーリング回数が増加することになる。このため、伝送装置904を監視するための監視制御網913の負荷やサーバ911の処理負荷の増大などの問題が生じる。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、ネットワーク監視の信頼性を維持しつつ、全体のポーリング回数を削減することにより、監視制御網の負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る監視制御システムは、ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置と、前記複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置とで構成される監視制御システムにおいて、前記監視制御装置は、前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定することを特徴とする。
【0013】
特に、前記監視制御装置は、複数の前記加算値の最大値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数に設定することを特徴とする。
【0014】
また、前記監視制御装置は、主信号の伝送経路が前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えられた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と、前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを再設定することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る監視制御装置は、ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置において、前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定するポーリング制御部を設けたことを特徴とする。
【0018】
特に、前記ポーリング制御部は、複数の前記加算値の最大値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数に設定することを特徴とする。
【0019】
また、前記ポーリング制御部は、主信号の伝送経路が前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えられた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と、前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを再設定することを特徴とする。
【0020】
本発明に係るポーリング制御方法は、ユーザ端末間を冗長化された運用系ルートおよび待機系ルートで接続する複数の伝送装置と、前記複数の伝送装置を監視および制御する監視制御装置とで構成される監視制御システムのポーリング制御方法において、前記運用系ルートにある前記伝送装置に対して第1の値、前記待機系ルートにある前記伝送装置に対して第2の値、をそれぞれ重み付けし、前記伝送装置毎に前記第1の値と前記第2の値の加算値を求め、前記加算値が大きいほど前記伝送装置のポーリング回数を多く設定することを特徴とする。
【0022】
さらに、前記運用系ルートと前記待機系ルートとの切り替えによって主信号の伝送経路を前記運用系ルートから前記待機系ルートに切り替えた場合に、前記運用系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数と前記待機系ルートに配置された前記伝送装置に対するポーリング回数とを入れ替えることを特徴とする。
【0024】
また、最大の前記加算値を基準にした相対値を前記伝送装置毎に求め、ネットワークの信頼性を維持するために必要な予め設定された単位時間当たりのポーリング回数に前記相対値を乗算した値を当該伝送装置のポーリング回数とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法は、伝送装置が配置されるルートの重要度に応じてポーリング回数を変えることにより、監視制御装置から伝送装置へのポーリング回数を減らすことができ、監視ネットワーク負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる。そして、ルート切替に連動して伝送装置の重要度を変更してポーリング回数を最適に維持することにより、ネットワーク監視への信頼性を低下させずに、ネットワークへの負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】監視制御システム100の構成例を示す図である。
図2】サーバ111および伝送装置104の構成例を示す図である。
図3】運用系ルートと待機系ルートの一例を示す図である。
図4】重み付け例を示す図である。
図5】単位時間当たりのポーリング回数の一例を示す図である。
図6】重み付けのその他の例を示す図である。
図7】ルート切替の一例を示す図である。
図8】ルート切替後の重み付け例を示す図である。
図9】ルート切替後の単位時間当たりのポーリング回数の一例を示す図である。
図10】ポーリング処理のフローチャートである。
図11】冗長化されたネットワーク例を示す図である。
図12】監視制御システム900の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法の実施形態について詳しく説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る監視制御システム100の構成例を示す図である。図1において、監視制御システム100は、ユーザ端末101とユーザ端末102との間でリングネットワーク103(実線で示したユーザ信号ルート)を構成する6台の伝送装置104と、6台の伝送装置104に接続される監視制御網113(点線で示した監視制御ルート)を介して監視制御信号を送受信する監視制御装置(サーバ111)とで構成される。尚、図1の例では、説明が分かり易いように、2台のユーザ端末101,102の間を6台の伝送装置104で接続するだけの簡単な構成を示したが6台である必要はない。
【0029】
ここで、従来技術で説明した図11および図12と同様に、伝送装置104_1から伝送装置104_6までの6台に共通の説明を行う場合は符号末尾の(_番号)を省略して伝送装置104と表記し、特定の伝送装置104を指す場合は符号末尾に(_番号)を付加して例えば伝送装置104_1のように表記する。
【0030】
図1において、サーバ111は、監視制御網113を介して各伝送装置104の動作状態を確認するためのポーリング信号を定期的に送信し、各伝送装置104から返送される応答信号により、動作状態を監視する。このため、サーバ111は、管理しなければならない伝送装置104の台数が増えると、ポーリングを実行するための処理負荷が増大すると共に、ポーリング信号や応答信号を頻繁に送受信しなければならないので、監視制御網113に対する負荷も増加する。一般に、監視制御網113は、リングネットワーク103をインバンドで使用しているので、通信路が狭く、警報など他の制御信号の送受信が遅延するなどの問題が生じる。そして、これらの負荷を低減するために、単純にポーリング回数を減らした場合は、ネットワーク監視への信頼性が低下するという問題が生じる。
【0031】
そこで、本実施形態に係る監視制御システム100では、配下の伝送装置104に重要度を割り当て、重要度に応じて重み付けを行う。そして、重み付けに応じて単位時間当たりのポーリング回数を決めることによって、重要度の高い伝送装置104に対しては従来通りのポーリング回数を実行し、重要度の低い伝送装置104に対してはポーリング回数を減らす。これにより、ネットワーク監視への信頼性を維持しつつ、監視するためのネットワークの負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる。
【0032】
次に、サーバ111および伝送装置104の構成例について、図2を用いて説明する。尚、図1と同符号のブロックは同じものを示す。
【0033】
図2において、サーバ111は、制御部201と、監視用通信部202と、クライアントIF203とを有する。また、伝送装置104は、制御部301と、監視用通信部302と、データ通信部303とを有する。尚、図2のサーバ111および伝送装置104の構成は、本実施形態の説明に必要な部分のみを記載してあり、ユーザデータを送受信する動作に必要なブロックは省略してある。
【0034】
サーバ111の制御部201は、クライアントIF203を介してクライアント(制御端末)112に接続される。そして、オペレータはクライアント112で各伝送装置104の動作状態をモニタして管理し、必要に応じて制御コマンドを送信して、伝送装置104の設定や動作状態などを変更する。特に、本実施形態に係る監視制御システム100では、サーバ111は、監視用通信部202を介して、各伝送装置104に定期的にポーリング信号を送信し、各伝送装置104から返信される応答信号により、伝送装置104の動作状態を監視する。また、サーバ111は、監視用通信部202を介して、伝送装置104からアラーム信号を受信し、伝送装置104の障害発生やデータ通信部302の通信ルートの変更(運用系から待機系への切り替え)などの情報を取得する。
【0035】
一方、伝送装置104は、監視用通信部302を介してサーバ111から受信するポーリング信号を制御部301に出力し、制御部301は自装置の状態を示す情報を含む応答信号を監視用通信部302を介してサーバ111に返信する。また、伝送装置104の制御部301は、データ通信部302の通信状態や自装置の状態などに異常が発生した場合に、監視用通信部302を介してサーバ111にアラーム信号を送信する。例えば制御部301は、データ通信部302の運用系の通信ルートに異常が発生した場合に自動的に待機系の通信ルートに切り替えるが、この時に運用系から待機系に切り替えたことをサーバ111に通知する。或いは、サーバ111に接続されるクライアント112の制御端末からオペレータが手動で運用系から待機系へのルート切替コマンドを送信し、これを受けた伝送装置104の制御部301は、データ通信部302の通信ルートを運用系から待機系に切り替える。
【0036】
このようにして、伝送装置104の通信ルートを運用系から待機系に切り替えることができ、運用系の障害が解消された場合は逆に待機系から運用系に戻すこともできる。
【0037】
図3は、図1の監視制御システム100と同様の図で、ユーザ端末101からユーザ端末102への接続ルートの一例を示し、ルートAとルートBとに冗長化されている。図3において、太い実線矢印で示されたルートAは、ユーザデータを送受信する主信号の運用系の経路を示し、伝送装置104_1、伝送装置104_2、伝送装置104_3および伝送装置104_6を経由してユーザ端末101とユーザ端末102との間で通信を行う経路である。一方、太い点線矢印で示されたルートBはユーザデータを送受信する主信号の待機系の経路を示し、伝送装置104_1、伝送装置104_4、伝送装置104_5および伝送装置104_6を経由してユーザ端末101とユーザ端末102との間で通信を行う経路である。
【0038】
ここで、サーバ111の制御部201は、各伝送装置104に対する単位時間当たりのポーリング回数を決める。図4は、伝送装置104_1から伝送装置104_6までの6台の伝送装置104の重要度に応じて重み付け加算値を割り当て、最大の重み付け加算値で正規化した相対値の一例を示している。尚、各伝送装置103の重み付け加算値は、予めサーバ111に設定され、制御部201の内部メモリなどに保持されているものとする。
【0039】
例えば図3の監視制御システム100の場合の重み付け加算値の設定方法は、次のように行われる。図3において、伝送装置104_1および伝送装置104_6は、ユーザ端末101およびユーザ端末102にそれぞれ接続され、ルートAおよびルートBの両方のルートで使用されるので重要度:3を付与する。そして、図3の例ではルートAが運用系でルートBが待機系なので、運用系の伝送装置104_2および伝送装置104_3の方が待機系の伝送装置104よりも高い重要度:2を付与する。さらに、ルートBの待機系の伝送装置104_4および伝送装置104_5は最も低い重要度:1を付与する。
【0040】
このようにして、図3の6台の伝送装置104にそれぞれ重み付け加算値を割り当てた例が図4である。さらに図4において、6台の伝送装置104の中で重み付け加算値の最大値は3(伝送装置104_1と伝送装置104_6)なので、各重み付け加算値を最大値の3で正規化して相対値を求める。尚、各伝送装置104の相対値は以下の(式1)で求めることができる。
相対値=(各伝送装置の重み付け加算値)/(最大の重み付け加算値) …(式1)
図4の例では、伝送装置104_1および伝送装置104_6の相対値が1、伝送装置104_2および伝送装置104_3の相対値が2/3なので約0.67、伝送装置104_4および伝送装置104_5の相対値が1/3なので約0.33となる。
【0041】
そして、サーバ111の制御部201は、図4で求めた各伝送装置104の相対値から単位時間(1時間)当りに実行すべきポーリング回数を算出する。ここで、ネットワークの信頼性を維持するのに十分な単位時間あたりのポーリング回数をN回とすると、各伝送装置104のポーリング回数は(式2)で求めることができる。
ポーリング回数=N×(各伝送装置の相対値) …(式2)
本実施形態に係る監視制御システム100では、例えばネットワークの信頼性を維持するのに、単位時間(1時間)に60回のポーリング回数が必要であるとして、各伝送装置のポーリング回数は図5のように算出される。尚、ネットワークの信頼性を維持するのに必要なポーリング回数は、例えばネットワーク設計情報(伝送装置104の配置やユーザ端末101,102の接続位置、運用系および待機系などのルート設定などの情報)および過去の統計情報(故障発生頻度などの情報)から決められる。
【0042】
図5は、N=60として図4で求めた相対値を用いて(式2)により各伝送装置104のポーリング回数を求めた例を示している。図5において、相対値:1の伝送装置104_1および伝送装置104_6の単位時間当りのポーリング回数は60回、相対値:0.67(2/3)の伝送装置104_2および伝送装置104_3の単位時間当りのポーリング回数は40回、相対値:0.33(1/3)の伝送装置104_4および伝送装置104_5の単位時間当りのポーリング回数は20回となる。
【0043】
このようにして、伝送装置104の重要度に応じて単位時間当りのポーリング回数を可変することにより、重要度の高い伝送装置104はネットワークの信頼性を維持できるだけのポーリング回数でポーリングを行い、重要度が低い伝送装置104のポーリング回数を減らすことにより、監視制御システム100全体での合計のポーリング回数を大幅に削減することができる。
【0044】
例えば、従来のシステムでは、6台の伝送装置104に対して単位時間当りのポーリング回数は60回なので、システム全体で60×6=360回のポーリングが必要であったが、本実施形態に係る監視制御システム100では、60+40+40+20+20+60=240回の2/3のポーリング回数に減らすことができる。
【0045】
尚、上記の例では、ユーザ端末101およびユーザ端末102に接続されるエッジの伝送装置104_1および伝送装置104_6に最大の重み付け加算値を割り当てるようにしたが、図6に示すように、運用系の伝送装置104_1、伝送装置104_2、伝送装置104_3および伝送装置104_6に重み付け加算値:2を割り当て、待機系のみの伝送装置104_4および伝送装置104_5に重み付け加算値:1を割り当てるようにしてもよい。この場合は、伝送装置104_4および伝送装置104_5の相対値が0.5となり、ポーリング回数が半分に減少する。また、上記の例では、運用系と待機系の伝送装置104の重み付け加算値の差が1としたが、差を2以上にしてもよい。いずれの場合でも同様に合計のポーリング回数を削減する効果が得られる。
【0046】
[ルート切替時の動作]
次に、運用系ルートに何らかの障害が発生した場合に、待機系ルートに切り替わる場合のポーリング処理の動作について説明する。図7は、図3に対応する監視制御システム100の図である。尚、図3と同符号のものは同じものを示す。
【0047】
図7は、図3において、運用系のルートAに何らかの障害が発生して、伝送装置104_1および伝送装置104_6がルート切り替えを行った後の様子を示す図である。尚、ルート切り替えは、障害発生時に伝送装置104が自動的に行ってもよいし、監視制御装置(サーバ)111側からルートの切り替えを制御するようにしてもよい。
【0048】
図7において、図3の場合とは逆に、太い実線矢印で示されたルートBは、ユーザデータを送受信する主信号の運用系の経路を示し、伝送装置104_1、伝送装置104_4、伝送装置104_5および伝送装置104_6を経由してユーザ端末101とユーザ端末102との間で通信を行う経路である。一方、太い点線矢印で示されたルートAはユーザデータを送受信する主信号の待機系の経路を示し、伝送装置104_1、伝送装置104_2、伝送装置104_3および伝送装置104_6を経由してユーザ端末101とユーザ端末102との間で通信を行う経路である。
【0049】
ここで、サーバ111の制御部201は、運用系がルートAからルートBになり、待機系がルートBからルートAに切り替わったことを伝送装置104_1および伝送装置104_6から例えばアラーム信号として通知される。或いは、運用系ルートの障害発生のみを通知するアラーム信号が運用系の伝送装置104からサーバ111に送信され、サーバ111によって運用系と待機系のルートを入れ替える制御を行ってもよいし、アラーム信号ではなくクライアント112からオペレータが手動で運用系と待機系のルートを入れ替える制御コマンドを伝送装置104に発行してもよい。何れの場合でも、サーバ111の制御部201は、ルート切り替えが発生したことを認識して、各伝送装置104に対する重要度を見直して単位時間当たりのポーリング回数を再設定する。
【0050】
図8は、図4に対応する図で、伝送装置104_1から伝送装置104_6までの6台の伝送装置104の重要度に応じて重み付け加算値を割り当て、最大の重み付け加算値で正規化した相対値の一例を示している。図8の例では、伝送装置104_1および伝送装置104_6は、ユーザ端末101およびユーザ端末102にそれぞれ接続され、ルートAおよびルートBの両方のルートで使用されるので重要度:3のままである。そして、ルートAが待機系でルートBが運用系に切り替わったので、新たな運用系のルートBの伝送装置104_4および伝送装置104_5の重要度を図4の1から2に上げる。同様に、待機系になったルートAの伝送装置104_2および伝送装置104_3の重要度を図4の2から1に下げる。
【0051】
さらに、重み付け加算値の変更に伴い、先に説明した(式1)により求められる相対値も変更される。図8の例では、伝送装置104_1および伝送装置104_6の相対値は1で変わらず、伝送装置104_2および伝送装置104_3の相対値が1/3となって約0.33に下がり、伝送装置104_4および伝送装置104_5の相対値が2/3となって約0.67に上がる。
【0052】
そして、サーバ111の制御部201は、図5と同様に、図8で求めた各伝送装置104の相対値から単位時間当りに実行するポーリング回数を先に説明した(式2)で求める。ここで、ネットワークの信頼性を維持するのに十分な単位時間あたりのポーリング回数Nは60とする。
【0053】
この結果、図9に示すように、相対値:1の伝送装置104_1および伝送装置104_6の単位時間当りのポーリング回数は60回のまま変わらず、相対値:0.33(1/3)の伝送装置104_2および伝送装置104_3の単位時間当りのポーリング回数は40回から20回に減少し、相対値:0.67(2/3)の伝送装置104_4および伝送装置104_5の単位時間当りのポーリング回数は20回から40回に増加する。
[ポーリング処理の流れ]
次に、ポーリング処理の流れについて、図10のフローチャートを用いて説明する。尚、図10のフローチャートは、監視制御装置であるサーバ111の制御部201が中心となって実行される処理である。また、ステップS101からステップS103までは、システム起動時に実行される初期処理で、運用中はステップS104からステップS108までの処理が繰り返し実行される。ここで、図10のフローチャートでは、各処理が連続したフローチャート形式で描いてあるが、実際にはタイマー割り込みでポーリングを実行したり、ルート切替の割り込みが発生した場合にステップS106からステップS108が実行される仕組みになっている。
【0054】
以下、図10のフローチャートに従って順番に説明する。
【0055】
(ステップS101)制御部201は、配下に収容する複数の伝送装置104の重要度に応じて重み付け加算値を算出する。尚、重み付け加算値は、テーブルとして予め制御部201の内部メモリに記憶しておいてもよいし、監視制御システム100のネットワーク構成(運用系ルートや待機系ルートおよび伝送装置104の配置など)から重要度を判別して算出してもよい。
【0056】
(ステップS102)制御部201は、図4で説明したように、各伝送装置104について、相対値を算出する。
【0057】
(ステップS103)制御部201は、図5で説明したように、各伝送装置104の単位時間当たりのポーリング回数を算出し、ポーリング回数テーブルを設定する。
【0058】
(ステップS104)制御部201は、ポーリング回数テーブルを参照して、各伝送装置104に対して設定された単位時間当たりのポーリング回数になるようにタイマー割り込みなどでポーリングを実行する。
【0059】
(ステップS105)制御部201は、ルート切替が発生したか否かを判別し、ルート切替が発生した場合はステップS106に進み、ルート切替が発生しない場合はステップS104に戻ってポーリング回数テーブルに従って各伝送装置104にポーリングを実行する処理を繰り返す。尚、ステップS105の処理は、ルート切替のアラーム信号などによる割り込み処理で行ってもよい。
【0060】
(ステップS106)制御部201は、ステップS101と同様に、各伝送装置104の重要度に応じて重み付け加算値を算出する。ここでは、図8で説明したように、ルート切替に従って各伝送装置104の重要度が変更される。
【0061】
(ステップS107)制御部201は、ステップS102と同様に、各伝送装置104の相対値を算出する。
【0062】
(ステップS108)制御部201は、ステップS103と同様に、各伝送装置104の相対値に応じてポーリング回数を算出し、ポーリング回数テーブルを更新する。
【0063】
このように、本実施形態に係る監視制御システム100は、ルートが運用系から待機系或いは待機系から運用系に切り替わった場合でも、伝送装置104の重要度に応じて単位時間当りのポーリング回数を可変することにより、重要度の高い伝送装置104は、ネットワークの信頼性を維持できるだけのポーリング回数でポーリングを行うことができ、重要度が低い伝送装置104のポーリング回数を減らすことにより、監視制御システム100全体での合計のポーリング回数を大幅に削減することができる。
【0064】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る監視制御システム100は、伝送装置が配置されるルートの重要度に応じてポーリング回数を変えることにより、監視制御装置から伝送装置への合計のポーリング回数を減らすことができ、監視ネットワーク負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる。そして、ルート切替に連動して伝送装置の重要度を変更することで、ネットワーク監視への信頼性を低下させずに、監視ネットワークの負荷およびサーバの処理負荷を軽減することができる。
【0065】
尚、本発明に係る監視制御システムおよび監視制御装置並びにポーリング制御方法について、各実施例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0066】
100,900・・・監視制御システム
101,102,901,902・・・ユーザ端末
103,903・・・リングネットワーク
104,904・・・伝送装置
110,910・・・監視制御装置
111,911・・・サーバ
112,912・・・クライアント
113,913・・・監視制御網
201・・・制御部
202・・・監視用通信部
203・・・クライアントIF
301・・・制御部
302・・・監視用通信部
303・・・データ通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12