(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
演奏者は、ハイハットやバスドラムを演奏する際、ハイハットスタンドやバスドラムに取り付けられた操作ペダルを踏み込む。このとき、操作ペダルの踏み込み力によって、ハイハットスタンドやバスドラムの位置が最初の位置より演奏者から遠ざかることがある。このため、ハイハットスタンドやバスドラムの位置を固定できる構成として、スパイク付脚を備えたハイハットスタンドや、スパイク付脚を備えたバスドラムが提案されている。
【0003】
特許文献1は、バスドラムの支持脚構造を開示している。特許文献1に開示の支持脚は、シェルに固定されるベースと、ベースに対し回動可能に取り付けられる第1脚体と、第1脚体に対し伸縮自在に取り付けられる第2脚体と、第2脚体の先端に固定されるゴム製のストッパとを備えている。バスドラムは、スパイク状に形成された第2脚体の先端を床面に突き当てて設置される。これにより、バスドラムは、最初の位置から移動しないように固定される。
【0004】
特許文献2は、ハイハットスタンドの支持脚構造を開示している。特許文献2に開示の支持脚は、支柱に脚板を介して連結される支持脚本体部と、支持脚本体部内に収容されるスパイク棒と、支持脚本体部の先端に装着されるゴム製のストッパとを備えている。支持脚本体部によって、スパイク棒は、その尖端を支持脚本体部の開口端から出没可能に支持されている。ハイハットスタンドも、バスドラムと同様に、スパイク棒の尖端を床面に突き当てて設置される。
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の支持脚構造によれば、脚体の先端をバスドラムの床面に突き当ててバスドラムを設置するため、バスドラムの振動は、ゴム脚に吸収されることなく、脚体の先端を介して床面へと伝達されてしまう。このため、バスドラムの振動を最大限に引き出すことができず、バスドラム本来の響きが十分に得られなかった。また、特許文献2に開示の支持脚構造においても、スパイク棒が支持脚本体部に組み付けられているため、ハイハットの振動は、ハイハットスタンドの支柱から支持脚本体部及びスパイク棒を介して床面へと伝達されてしまう。このため、特許文献1の支持脚構造と同様の問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、楽器又は楽器用スタンドに取り付けられるスパイク付脚、スパイク付脚を備えた楽器及び楽器用スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、楽器又は楽器用スタンドに取り付けられるスパイク付脚であって、楽器又は楽器用スタンドに連結される脚部材と、脚部材の先端に固定され、楽器又は楽器用スタンドの設置面に当接されるストッパと、ストッパに支持され、設置面に突き当てられるスパイクとを備え、
ストッパはゴムからなり、スパイクの基端は、
スパイクの基端と脚部材との間にストッパの一部を介在させるようにして脚部材の先端から離間していることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、
スパイクの基端は、スパイクの基端と脚部材との間にゴム製のストッパの一部を介在させるようにして脚部材の先端から離間している。このため、楽器からの振動を、脚部材の先端とスパイクの基端との間で遮断する
と共に、スパイクの基端と脚部材との間に介在するゴム製のストッパにより吸収すること
もできる。このため、楽器からの振動がスパイクを介して楽器の設置面に伝達されるのを抑制することができる。これにより、楽器の振動を最大限に引き出すことができ、楽器本来の響きを得ることができる。
【0013】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、ストッパには、脚部材の先端が固定される第1縦穴と、スパイクを収容する第2縦穴とが設けられ、第2縦穴内には、スパイクとの間に介装されて剛性を有するホルダが設けられ、脚部材の先端は第1固定部材により第1縦穴に固定され、ホルダは第2固定部材により第2縦穴に固定されることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、ストッパの第2縦穴内とスパイクとの間には、剛性を有するホルダが介装されている。また、ストッパに対する脚部材の固定と、ストッパに対するホルダの固定とが、第1及び第2固定部材を用いてそれぞれ別々に行われる。これにより、ストッパ全体の強度が確保されるため、楽器又は楽器用スタンドを設置したときの姿勢が安定化する。また、演奏者による踏み込み動作によってストッパから脚部材が外れたり、スパイクが外れたりすることを抑制できる。
【0015】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、スパイクは、ストッパに対しスパイクの軸線に沿って移動可能に支持され、ストッパには、ストッパに対するスパイクの位置を調節するための調節ネジが設けられ、調節ネジの頭部は、楽器又は楽器用スタンドの外側に向けて配置されていることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、調節ネジの頭部が楽器又は楽器用スタンドの外側に向けて配置されているため、スパイク付脚を収納位置に配置する際、楽器又は楽器用スタンドの表面に調節ネジの頭部が接触して傷が付くことを防止できる。また、調節ネジを回す等の操作を、楽器又は楽器用スタンドの外側から行うことができる。よって、スパイクの位置を容易に調節することができる。
【0017】
請求項
4に記載の発明は、スパイク付脚を備えた楽器であって、スパイク付脚は、楽器に連結される脚部材と、脚部材の先端に固定され、楽器又は楽器用スタンドの設置面に当接されるストッパと、ストッパに支持され、設置面に突き当てられるスパイクとを備え、
ストッパはゴムからなり、スパイクの基端は、
スパイクの基端と脚部材との間にストッパの一部を介在させるようにして脚部材の先端から離間していることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用効果を奏する。
請求項
5に記載の発明は、スパイク付脚を備えた楽器用スタンドであって、支柱と、支柱に連結された脚部材と、脚部材の先端に固定され、楽器又は楽器用スタンドの設置面に当接されるストッパと、ストッパに支持され、設置面に突き当てられるスパイクとを備え、
ストッパはゴムからなり、スパイクの基端は、
スパイクの基端と脚部材との間にストッパの一部を介在させるようにして脚部材の先端から離間していることを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、楽器からの振動がスパイクを介して楽器の設置面に伝達されるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るスパイク付脚をバスドラムに適用した一実施形態について、
図1〜
図7(b)を参照して説明する。
図1に示すように、バスドラムBDは、円筒状のシェル1、打面ヘッド2、フロントヘッド3、打面側フープ4、及びフロント側フープ5を備えている。打面側フープ4は、シェル1の第1開口端に対し、打面ヘッド2と共に装着される。フロント側フープ5は、シェル1の第2開口端に対し、フロント側フープ5と共に装着される。
【0023】
バスドラムBDの打面ヘッド2付近には、図示しないペダル装置が接続されている。また、バスドラムBDのフロントヘッド3付近には、一対のスパイク付脚10が取り付けられている。スパイク付脚10は、先端を打面ヘッド2に向けて配置される収納位置と、
図1に示すように先端を斜め前方に向けて配置される使用位置とを取り得る。一対のスパイク付脚10は、シェル1の外側に少し開いた状態で使用される。バスドラムBDは、一対のスパイク付脚10とペダル装置との3点で支持されることにより、設置面としての床面FL上に設置される。
【0024】
次に、スパイク付脚10の構成について
図1〜
図7(b)を参照して説明する。
図1に示すように、スパイク付脚10は、シェル1に固定されるベース12と、脚部材としての第1及び第2脚体13,14と、第2脚体14の先端に固定されるストッパ15とを備えている。第1脚体13は、ベース12に取り付けられている。また、第2脚体14は、第1脚体13に取り付けられている。ストッパ15は、床面FLに当接されることで、滑り止めとして機能する。
【0025】
図2及び
図4に示すように、ベース12は、断面台形状の箱体からなる。ベース12の中央には、第1脚体13が取着される略円形状のリテーナ21が形成されている。リテーナ21は、ベース12の表面から所定の高さだけ突出されている。リテーナ21の中央には、挿通孔22が形成されている。また、リテーナ21の表裏各面において挿通孔22の周囲には、筒状壁23,24がそれぞれ形成されている。ベース12の表側の筒状壁23には、スパイク付脚10が収納位置又は使用位置を越えて回動することを規制する一対の規制部25が設けられている。
【0026】
第1脚体13は、ベース12に取り付けられる取付部31と、取付部31から直線状に延びる略筒状の脚部32とを備えている。取付部31の中央には、ベース12の挿通孔22と対応する挿通孔33が形成されている。第1脚体13は、取付部31をリテーナ21に取着することで、ベース12に対し回動可能に取り付けられている。また、リテーナ21及び取付部31の各挿通孔22,33には、ベース12の裏面からボルト38が挿通されている。
【0027】
リテーナ21と取付部31との間には、スプリング39が圧縮された状態で配置されている。スプリング39の内側には、ボルト38の軸部が挿通されている。ボルト38の頭部は、ベース12の裏側の筒状壁24内に収容されている。ボルト38の先端は、取付部31から外方に突出されている。ボルト38の先端には、T型ナット40が螺着されている。
【0028】
ボルト38に螺着されたT型ナット40をスプリング39の付勢力に抗して締め付けると、第1脚体13はベース12に固定される。一方、T型ナット40を緩めると、第1脚体13は、スプリング39により外側に付勢されて、ベース12に対し回動可能となる。こうしてT型ナット40を操作し、第1脚体13を回動させることにより、スパイク付脚10の位置が収納位置及び使用位置のいずれか一方に切り換えられる。
【0029】
脚部32の表面には、脚部32とほぼ同じ長さを有する凹部34が形成されている。凹部34の底壁には、凹部34とほぼ同じ長さを有する溝35が形成されている。凹部34の底壁には、溝35の両側縁に沿って一定間隔毎に目盛りが刻印されている。脚部32は、凹部34と反対側に、第2脚体14を収容するための空間36を有している。脚部32の開口端には、略筒状のガイドブッシュ37が装着されている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、ガイドブッシュ37は、筒部37aと、筒部37aの開口端に沿って設けられたフランジ部37bとを備えている。ガイドブッシュ37の開口端には、フランジ部37bと共に略C字状を有する開口37cが設けられている。ガイドブッシュ37が脚部32に装着された状態で、フランジ部37b及び開口37cは、脚部32の開口端よりも外に配置されている。
【0031】
図5及び
図6に示すように、第2脚体14は、断面略C字状に形成されている。このため、第2脚体14の裏面には、断面長方形状の溝41が形成されている。第2脚体14の上端付近には、挿通孔42が形成されている。また、第2脚体14の下端付近には、ネジ孔43が形成されている。
【0032】
図3〜
図5に示すように、第2脚体14は、ガイドブッシュ37に挿通されると共に、第1脚体13内の空間36において移動可能に収容されている。第2脚体14の挿通孔42には、ブッシュナット44の円筒部44aが挿入されている。第2脚体14の溝41には、ブッシュナット44の六角部分44bが嵌め込まれている。このため、ブッシュナット44は、第2脚体14に対して回転しないように支持されている。
【0033】
また、第2脚体14の挿通孔42には、ボルト45が挿入されている。ボルト45は、第1脚体13の凹部34から溝35を通って、ブッシュナット44に螺着されている。ボルト45の頭部と凹部34の底壁との間には、押え板46が介装されている。ブッシュナット44に螺着されたボルト45を締め付けると、第2脚体14と押え板46とにより第1脚体13が挟持されるため、第2脚体14が第1脚体13に固定される。一方、ブッシュナット44に螺着されたボルト45を緩めると、第2脚体14と押え板46とによる第1脚体13の挟持が解除されるため、第2脚体14が第1脚体13に対し移動可能となる。こうしてボルト45を操作し、第2脚体14をその長手方向に移動させることにより、スパイク付脚10の長さが調節される。
【0034】
図6〜
図7(b)に示すように、ストッパ15は、略直方体状のストッパ本体51、円筒状のスパイクホルダ52、及び略棒状のスパイク53等を備えている。ストッパ本体51は、ゴム等の振動吸収材料により形成されている。ストッパ本体51の上部には、第2脚体14の先端が固定される第1縦穴55が形成されている。第1縦穴55は、第2脚体14の断面形状と同じく略C字状に形成されている。
【0035】
ストッパ本体51の下部には、スパイクホルダ52を収容する第2縦穴56が形成されている。第2縦穴56は、スパイクホルダ52の外形と同じく断面略円形状に形成されている。ストッパ本体51には、ストッパ本体51の外側面から第1及び第2縦穴55,56のそれぞれに連通する連通孔57,58が形成されている。連通孔57,58には、円筒状のカラー57a,58aがそれぞれ装着されている。第1固定部材としてのボルト59が、ストッパ本体51の側方からカラー57aを通じて、第2脚体14のネジ孔43に螺着されている。これにより、第2脚体14の先端が、ストッパ本体51の第1縦穴55に固定されている。
【0036】
スパイクホルダ52は、スパイク53と第2縦穴56の壁面との間に介装されている。スパイクホルダ52は、例えば、金属、セラミックス、合成樹脂等、剛性を有する材料により形成されている。スパイクホルダ52の全長は、第2縦穴56の全長よりも若干短く設定されている。スパイクホルダ52は、中央にスパイク53を支持する支持孔60を有している。スパイクホルダ52の長手方向の中央には、ネジ孔61が形成されている。第2固定部材としてのボルト63が、ストッパ本体51の側方からカラー58aを通じてスパイクホルダ52のネジ孔61に螺着されている。これにより、スパイクホルダ52が、ストッパ本体51の第2縦穴56に固定されている。
【0037】
ストッパ本体51は、第1及び第2連通孔57,58と反対側に、ストッパ本体51の外側面から第2縦穴56に連通する連通溝65を有している。スパイクホルダ52も、ネジ孔61と反対側に、スパイクホルダ52の外側面から支持孔60に連通する連通溝66を有している。両連通溝65,66はいずれも、ストッパ本体51及びスパイクホルダ52の長手方向に延びている。スパイクホルダ52の連通溝66は、ストッパ本体51の連通溝65と対応する幅及び長さを有している。
【0038】
スパイク53は、円柱部68と、床面FLに突き当てられる尖端部69とを備えている。スパイク53は、スパイクホルダ52の支持孔60に収容されている。また、スパイク53は、スパイクホルダ52に対し、スパイク53の軸線に沿って移動可能に支持されている。スパイク53は、スパイクホルダ52に対し移動することで、ストッパ本体51の第2縦穴56から出没される。
【0039】
スパイク53の長手方向の略中央には、横方向に延びるネジ孔70が形成されている。ネジ孔70には、ストッパ本体51及びスパイクホルダ52の両連通溝65,66を通じて、調節ネジとしてのボルト71が螺着されている。ボルト71は、頭部をスパイクホルダ52の平坦な外周面52aに当接させてネジ孔70に螺着されている。この状態で、ボルト71の頭部は、スパイク53の軸線に対し外側に向けて配置されている。
【0040】
ネジ孔70に螺着されたボルト71を締め付けると、スパイク53がスパイクホルダ52に固定される。一方、ネジ孔70に螺着されたボルト71を緩めると、スパイク53がスパイクホルダ52に対し移動可能となる。こうしてボルト71を操作し、スパイク53を移動させることにより、スパイクホルダ52に対するスパイク53の位置が調節される。スパイクホルダ52に対するスパイク53の位置は、スパイク53の第2縦穴56からの突出量に対応している。
【0041】
次に、ストッパ15の内部構造について
図7(a)及び
図7(b)を参照して説明する。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第1縦穴55と第2縦穴56との間には、ストッパ本体51の一部が介在している。このため、ストッパ15に第2脚体14及びスパイク53を組み付けた状態で、スパイク53の基端は、第2脚体14の先端から離間して配置されている。つまり、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間には、振動吸収部材からなるストッパ本体51の一部が介在している。本実施形態において、スパイク53と第2脚体14との間に介在するストッパ本体51の一部が、バスドラムBDからの振動を吸収する振動吸収部材として機能する。つまり、振動吸収部材は、ストッパ本体51に一体形成されている。
【0042】
次に、上記のスパイク付脚10の操作手順について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、まず、T型ナット40を緩めて、スパイク付脚10を回動させて、収納位置から使用位置へと配置する。その後、T型ナット40を締め付けて、スパイク付脚10を使用位置に固定する。次に、ボルト45を緩めて、第2脚体14を第1脚体13に対し移動させることにより、スパイク付脚10の長さを調節する。その後、ボルト45を締め付けて、スパイク付脚10の長さを固定する。次に、ボルト71を緩めて、スパイク53をストッパ本体51から突出させる。そして、スパイク53の突出量を調節した後、ボルト71を締め付ける。バスドラムBDのセッティングに際し、上記一連の操作を、左右一対のスパイク付脚10についてそれぞれ行う。尚、スパイク付脚10を使用形態から収納形態にする際は、上記一連の操作と逆の操作を行えばよい。
【0043】
次に、上記のスパイク付脚10の作用について
図7(a)及び
図7(b)を参照して説明する。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間には、ストッパ本体51の一部が介在している。この場合、スパイク53の基端が第2脚体14の先端から離間しているため、バスドラムBDからの振動が、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間で遮断される。また、バスドラムBDからの振動は、スパイク53の基端と第2脚体14の先端の間に介在されたストッパ本体51によって吸収される。このため、バスドラムBDからの振動がスパイク53を介して床面FLに伝達されることが抑制される。
【0044】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スパイク53の基端が第2脚体14の先端から離間して配置されているため、バスドラムBDからの振動を、第2脚体14の先端とスパイク53の基端との間で遮断することができる。このため、バスドラムBDからの振動がスパイク53を介して床面FLに伝達されるのを抑制することができる。よって、バスドラムBDの振動を最大限に引き出すことができ、バスドラムBD本来の響きを得ることができる。
【0045】
(2)スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間には、ストッパ本体51の一部が介在されている。また、ストッパ本体51は、ゴム等の振動吸収材料により形成されている。この構成によれば、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間に介在されたストッパ本体51によって、バスドラムBDからの振動を吸収することができる。このため、バスドラムBDからの振動を、第2脚体14の先端とスパイク53の基端との間で確実に遮断することができる。よって、バスドラムBDからの振動がスパイク53を介して床面FLに伝達されるのを確実に抑制することができる。
【0046】
(3)ストッパ本体51がゴム等の振動吸収材料からなるため、ストッパ15の全体で、バスドラムBDからの振動を吸収することができる。よって、バスドラムBDからの振動がスパイク53を介して床面FLに伝達されるのをより確実に抑制することができる。
【0047】
(4)振動吸収部材がストッパ本体51に一体形成されているため、スパイク付脚10の部品点数を減らすことができる。よって、スパイク付脚10の組み付け工数や部品コストを低減することができる。
【0048】
(5)ボルト59により、第2脚体14の先端がストッパ本体51の第1縦穴55に固定され、ボルト63により、スパイクホルダ52がストッパ本体51の第2縦穴56に固定されている。また、スパイク53と第2縦穴56の壁面との間には、剛性材料からなるスパイクホルダ52が介装されている。この構成によれば、ストッパ本体51に対する第2脚体14の固定とスパイクホルダ52の固定とがそれぞれ別のボルト59,63により行われる。これにより、ストッパ15全体の強度が確保されるため、床面FL上に設置されたバスドラムBDの姿勢が安定化する。また、演奏者による踏み込み動作によってストッパ本体51から第2脚体14が外れたり、スパイク53が外れたりすることも抑制できる。
【0049】
(6)脚部32の開口端には、略C字状の開口37cを有するガイドブッシュ37が装着されている。また、第2脚体14は、断面略C字状を有すると共に、ガイドブッシュ37に挿通されて第1脚体13内の空間36に収容されている。また、ストッパ本体51の上部には、第2脚体14の先端が固定される第1縦穴55が形成されている。第1縦穴55は、第2脚体14の断面形状と同じく略C字状に形成されている。この構成によれば、第1脚体13の先端には第2脚体14が回転しないように取り付けられ、第2脚体14の先端にはストッパ15が回転しないように取り付けられる。また、ボルト71は、頭部をスパイクホルダ52の平坦な外周面52aに当接させて、スパイク53のネジ孔70に螺着されている。この場合、ボルト71は、その頭部を常にシェル1の外側に向けて配置されている。このため、スパイク付脚10を収納位置に配置する際に、シェル1の表面にボルトの頭部が接触して傷が付くことを防止できる。また、ボルト71の頭部が常にシェル1の外側に向けて配置されているため、ボルト71を回す等の操作を、バスドラムBDの外側から行うことができる。よって、スパイク53の第2縦穴56からの突出量を容易に調節することができる。
【0050】
(7)ボルト59は、カラー57aを通じて第2脚体14のネジ孔43に螺着されている。同様に、ボルト63は、カラー58aを通じてスパイクホルダ52のネジ孔61に螺着されている。また、ストッパ本体51は、ゴム等の振動吸収材料により形成されている。この構成によれば、連通孔57,58のそれぞれにカラー57a,58aを装着することで、ボルト59,63の締め付けによるストッパ本体51の潰れを抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、スパイク付脚10を、バスドラムBD以外の楽器や、シンバルスタンドやタムスタンド等の楽器用スタンド等に適用してもよい。
【0052】
例えば、
図8に示すハイハットスタンド80は、支柱81と、支柱81に連結された2本の脚部材82と、床面FLに当接される3つのストッパ83と、ペダル装置84とを備えている。各ストッパ83は、各脚部材82の先端に固定されている。ストッパ83には、床面FLに突き当てられるスパイク85が設けられている。尚、ストッパ83の内部構造について、本実施形態のスパイク付脚10のそれと同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、本実施形態に係るスパイク付脚10を備えたハイハットスタンド80によっても、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、スパイク53の基端は、脚部材82の先端から離間して配置されている。このため、ハイハット87からの振動が支柱81、脚部材82及びスパイク53を介して床面FLに伝達されるのを抑制することができる。よって、ハイハット87の振動を最大限に引き出すことができ、ハイハット87本来の響きを得ることができる。
【0054】
・本実施形態において、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との離間距離を、ストッパ本体51の全長に応じた任意の寸法に変更してもよい。
・本実施形態において、スパイク53の基端と第2脚体14の先端との間に介在される振動吸収部材として、ストッパ本体51の一部に代えて、空間を設けたり、別の部材を使用したりしてもよい。前者の場合、ストッパ本体51における第1縦穴55と第2縦穴56との間に、孔や凹部等を形成すればよい。後者の場合、ストッパ本体51における第1縦穴55と第2縦穴56との間に、ストッパ本体51とは別の部材を配置すればよい。
【0055】
・本実施形態において、ストッパ本体51を、ゴム以外の振動吸収材料により形成してもよい。ゴム以外の振動吸収材料として、例えば、硬質ポリウレタン発泡材料等の樹脂、カーボン等のセラミックス、又は木材等が挙げられる。
【0056】
・本実施形態において、ボルト59,63によるネジ固定以外の方法により、ストッパ本体51に第2脚体14とスパイクホルダ52とを固定してもよい。ネジ固定以外の方法として、例えば、接着による固定や、嵌め込みによる固定等が挙げられる。
【0057】
・本実施形態において、ストッパ15から、スパイクホルダ52を省略してもよい。また、ストッパ15から、ボルト71を操作してスパイク53の突出量を調節するための機能を省略してもよい。
【0058】
・本実施形態において、スパイク付脚10の脚部材を、第1及び第2脚体13,14の2つの脚体により構成したが、1つの脚体のみにより構成してもよい。